化学療法時の制吐に対して、パロノセトロンはグラニセトロンより有効


グラニセトロン(カイトリル)が抗癌剤治療における
制吐剤として使用されているが、どうも効きが悪いという経験を
多くの内科医は感じていると思う。
アロキシ(ALOXIR)のphaseIIIの試験がようやく出たのでピックアップしてみたい。

Palonosetron plus dexamethasone versus granisetron plus dexamethasone for prevention of nausea and vomiting during chemotherapy: a double-blind, double-dummy, randomised, comparative phase III trial.
Lancet Oncol 2009; 10: 115–24


背景:
 化学療法を受ける癌患者で、一番問題となるものは悪心と嘔吐。
 現在、化学療法由来の悪心・嘔吐(CINV)に対しては5-HT3受容体拮抗薬
 が標準的治療となっている。5-HT3拮抗剤は、 急性期のCINVに対しては
 かなりの効果を示すものの、予防的投与を行っていても、
 ほぼ半数の患者に急性と遅延性CINVが続く。パロノセトロンは、長い半減期
 (約40時間)と、強く高度な5-HT3受容体拮抗作用をもち、化学療法に
 関連する急性・遅延性CINVの両方を防ぐ効果があるとされている。
 第Ⅱ相試験で、プライマリーエンドポイントとされている急性期でのCRに対して、
 パロノセトロンの0.075mg・0.25mg・0.75mgの間では用量依存性はなかった。
 120時間を超える試験期間では、明らかに用量依存性の反応を示した。
 パロノセトロンの3用量は容認性があり、用量と関連する副作用の増加はなし。
 パロノセトロン0.75mgがPⅡ試験で推奨用量となりうることが示唆された。
 グラニセトロンは40μg/kgの用量が推奨臨床用量で、一般的な治療である。  
 試験の目的は、特に高催吐の化学療法を受けている患者に対して、
 CINVをコントロールするための最も基本的なレジメンを確立させることにある。

方法:
 1日目の化学療法開始の30分前に静注1回用量としてパロノセトロン(0.75mg)
 かグラニセトロン(40μg/kg)を投与する群へとランダムに割り当てる。
 デキサメタゾンの予防的投与(16mg静注)は1日目のパロノセトロンや
 グラニセトロンの投与前の45分以内に行った。
 シスプラチンを受ける患者には8mg静注、AC/EC療法の患者には4mg経口の
 デキサメタゾンを2日目(化学療法から24~26時間後)と3日目(48~50時間後)に投与。
 二重盲検の手法で試験は行われた。
 
 5日間を効果のエンドポイント、8日間を安全性のエンドポイントとして追跡。
 プライマリーエンドポイントは、急性期(化学療法後0~24時間)と、
 遅延期(化学療法後24~120時間)でのCRの患者の割合。
 セカンダリーエンドポイントは 、全体期での完全緩解、嘔吐の数、
 最初の嘔吐までの時間、レスキューを服薬するまでの時間、治療失敗までの時間、
 患者の主観的な評価とした。

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結果および考察:
 この第3相試験で、強い催吐作用がある化学療法を受けている患者において
 吐き気と嘔吐の防止のpalonosetronの有効性は、急性期のグラニセトロンと非劣勢。
 また遅発相ではグラニセトロンよりよいことが示された。
 有害事象の頻度は、palonosetronとグラニセトロンでほぼ同じであった

 これらの結果から、パロノセトロンとグラニセトロンを比較し、性別や年齢、
 化学療法に関係なく、急性期の悪心・嘔吐に対しては薬剤間に有意な差はないが、
 遅延期ではパロノセトロンのほうが完全制御率は高いとし、
 「がん化学療法による悪心や嘔吐の予防には、パロノセトロンとデキサメタゾンを
 標準治療にすべきである」と研究グループは結論づけた。

 強い催吐作用がある化学療法の後、デキサメタゾンを併用て、
 遅発型と全体的なCINVを防ぐ際にグラニセトロンに対するpalonosetronの有意性を
 示す最初のレポートである。
 最高2.25mgまでドーズアップしてもQTcを含むECGに対する重要な影響も
 示さなかったので、制癌剤または他の併用薬物に関連があるかもしれない。

by otowelt | 2009-03-12 14:08 | 肺癌・その他腫瘍

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