CMVワクチンは先天性CMV感染を減らす

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サイトメガロウイルスは母親の胎盤を
介して胎児に移行し、新生児に
精神遅滞や難聴を引き起こす。
このような先天性サイトメガロウイルス
感染は、ダウン症に次いで2番目に
精神遅滞の原因となっている。



TORCH 症候群のひとつとして広く知られている先天性CMV感染症は
日本人では90%を超える成人が抗体を保有していたため
問題にならなかった。近年、日本人の若年層の抗体保有率の低下が
指摘され、妊婦の抗体保有率も80 %程度へ減少傾向を示している。
特に若年妊婦の抗体保有率の低下は著しい。
妊婦のCMV初感染の殆どは不顕性感染であり、症状が認められる
場合でも発熱、発疹などの非特異的な症状を呈するのみであり、
感染に気づかれないことも多い。
妊婦のCMV 初感染では再感染に比較して、胎児・新生児期は
子宮内胎児発育遅延、肝脾腫、出血斑、脳内石灰化、側脳室拡大、
網脈絡膜炎、黄疸などの重篤な症状を起こすことが多いとの報告があり、
周産期におけるCMV感染の管理は重要性を増す。
 J Med Virol 1992;326:663-667

NEJMから、サイトメガロウイルスワクチンについてのレポート。
予防接種後3年半で50%感染リスクを減らした。
母体感染防止は非常に難しいだろうと思われているため、
このNEJMの論文は驚くべき結果だと思う。

Vaccine Prevention of Maternal Cytomegalovirus Infection.
NEJM March 19, 2009, Volume 360:1191-1199


背景:
 先天性のサイトメガロウイルス感染症は聴力、認知能力、運動の
 側面で新生児にとっては大きな問題となる。
 これを予防するワクチンについて吟味。

方法:
 これはプラセボ対照無作為化二重盲検の第II相試験である。
 遺伝子組換えCMVワクチンをプラセボと比較したものである。
 CMVワクチンあるいはプラセボを生後0ヶ月、1ヶ月、6ヶ月に投与した。
 対象はCMVが血清学的に陰性である妊婦。(1年以内の出生をしていない人に限る)
 感染はウイルス培養あるいは免疫ボトルで行われた。
 プライマリエンドポイントは、CMV感染が同定されるまでの期間とした。

結果:
 40才以下で出産歴がありCMVに感染していない464人の女性を登録した。
 ランダムに234人のCMVワクチンを受けた患者と230人のプラセボワクチンを
 受けた患者に分けた。最低1年以上のフォローアップをおこない、49のCMV感染を
 確認した。18がワクチングループで、31人がプラセボグループだった。
 Kaplan–Meier曲線は、明らかにCMVワクチン群で42ヶ月フォローでの感染率が
 有意に低かった。(P=0.02)
 ワクチンのefficacyは50%であった。(95%CI, 7 to 73)
 また、局所反応や全身反応はワクチン群で多かった。

結論:
 CMVグリコプロテインBワクチンは先天性CMV感染を減らすことができる。

by otowelt | 2009-03-22 22:31 | 感染症全般

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