2009年 05月 13日 ( 1 )

クロルヘキシジンによる口腔ケアはICUではルーチンの必要性が薄い

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CHESTより、口腔ケアにおける
クロルヘキシジンのネガティブデータである。
抗生剤による経口的な消毒は
VAPを減少させるが、抗生剤抵抗性病原菌
の潜在的選択につながる可能性があり、
ガイドライン上は推奨できない。

クロルヘキシジンにおけるエビデンスは今までどうだったのか??


有名なのは、CritCareMedの2007年に発表された研究。

クロルヘキシジン局所投与群はコントロール群に比較して、
VAPの発生率が低下していた(RR0.74、95% CI 0.56-0.96、p=0.02)。
クロルヘキシジンの有効性は、心臓外科患者で最も顕著であった。
死亡率に対する有益性は認められなかった。
Topical chlorhexidine for prevention of ventilator-associated pneumonia:A meta-analysis.
Crit Care Med 2007;35(2):595-602.


で、今回の論文。

Oropharyngeal Cleansing With 0.2% Chlorhexidine for Prevention of
osocomial Pneumonia in Critically Ill Patients.
CHEST May 2009 vol. 135 no. 5 1150-1156


背景:
 クロルヘキシジンによる口腔ケアは肺炎リスクを心臓術後患者で減らすことが
 わかっている。しかしながら、ICU患者においてこれが適応されるかどうかは
 議論の余地がある。

方法:
 ICU入室患者に1日2回の0.2% chlorhexidineによるクレンジングと
 0.01% potassium permanganate(コントロール)にわけて比較した。
 エンドポイントはICU滞在中の肺炎の発症と、院内死亡率。

結果:
 512人の患者がそれぞれの群にランダム化された。
 471人がプロトコル完遂した。
 肺炎になったのは、0.2% chlorhexidine群で224人中16人(7.1%)
 0.01% potassium permanganate群で247人中19人(7.7%)。
 (p=0.82; RR 0.93; 95%CI 0.49 to 1.76)
 ITT解析でも同等の結果であった。
 肺炎を発症するタイミングについても2群同等であった。
 平均ICU滞在日数は5.0日vs6.0日で有意差なし。
 死亡率は、34.8%vs28.3%であった。
 
結論:
 ICUsettingにおいて、0.2% chlorhexidineにおける口腔ケアは、
 プラセボと比べても有益性はないと考えられる。


以上をふまえると、クロルヘキシジンは心臓術後患者のVAP予防には適応になるが、
ICUだからといってクロルヘキシジンを用いた口腔ケアをする必要があるかといえば
そうではないということだろう。
ただし、口腔ケアそのものに関しては有用性が認められている。

by otowelt | 2009-05-13 08:53 | 感染症全般