2013年 09月 12日 ( 1 )

美容目的のサイトカイン誘導キラー細胞治療後のMycobacterium abscessus菌血症

e0156318_1817296.jpg 重症のMycobacterium abscessusの場合、当院でもイミペネム/シラスタチン+アミカシンの点滴で治療していますが、医原性で敗血症に陥るとここまで重症化するものなのですね。美容に詳しくないので、サイトカイン誘導キラー細胞治療というのがあまりイメージできませんでした。

Raymond Liu, et al.
Mycobacterium abscessus Bacteremia After Receipt of Intravenous Infusate of Cytokine- Induced Killer Cell Therapy for Body Beautification and Health Boosting
Clin Infect Dis. (2013) 57 (7): 981-991.


背景:
 われわれは、美容や健康を増進させる目的でのサイトカイン誘導キラー細胞治療後に発症したMycobacterium abscessus菌血症の初めてのケースシリーズを報告する。

方法:
 臨床所見、検査所見、放射線学的所見、サイトカイン/ケモカイン特性、臨床アウトカムを記述した。

結果:
 M. abscessus菌血症に陥った4人の患者は全員女性で、年齢中央値は57.5歳だった(46~60歳)。美容処置を受けてから発症までは全員1時間以内だった。これら4人の患者全員が入院し、3人が敗血症性ショックに陥った。胸部レントゲンでは全員に浸潤影がみられた。3人は四肢末梢の壊死を起こし、1人は下肢切断と指の切断を余儀なくされた。入院時の血液抗酸菌塗抹標本が3人の患者で陽性だった。M. abscessusはまた、呼吸器検体(2人)、尿(1人)、髄液(1人)からも検出された。血液培養陽性までの時間は、患者1~3で52時間以内、患者4は83時間だった。

 患者1は、髄膜炎と尿路感染症を伴う播種性感染症を発症した。APACHEIIスコアも27点と最大であった。経験的治療は、バンコマイシン、ピペラシリン/タゾバクタム、のちにメロペネムも使用された。培養所見が判明したあとは、イミペネム/シラスタチン、アミカシン、クラリスロマイシン、チゲサイクリン、アモキシシリン/クラブラン酸などを使用した。最終的に患者1のみが死亡し、剖検で、局所的な肺の出血、びまん性肺胞傷害(DAD)、脾梗塞、副腎壊死、副腎出血がみられ、抗酸菌は肺、肝臓、腎臓、副腎に検出された。

 患者2は、ICUに最も長く在室した患者である。彼女もDICを併発していたが、多臓器不全は合併しておらずAPACHEスコアは低かった。下肢の壊死から約40日で鼠径リンパ肉芽腫を発症した。経験的治療は患者1と同じ内容で、培養判明後はイミペネム/シラスタチン、アミカシン、クラリスロマイシンを使用された。

 患者3は両下肢切断に至った症例である。合併症として敗血症性肺塞栓がみられた。彼女は多臓器不全を合併した。経験的にエルタペネムを使用後、バンコマイシン+メロペネムに変更された。培養判明後は、イミペネム/シラスタチン、アミカシン、アジスロマイシンを使用され、その後チゲサイクリンやクラリスロマイシンを使用した。

 患者4は最も軽症の患者であり、網膜炎、皮膚病変が観察された。軽症であったためICUの入室をまぬがれた。治療は培養判明前後いずれもイミペネム/シラスタチン、アミカシン、クラリスロマイシンを使用された。

 敗血症性ショックに陥った3人の患者は、サイトカイン/ケモカインの調節異常を有していた。比較的軽症の所見を呈していた患者4は、インターロイキン17やインターフェロンγ/インターロイキン12経路のサイトカインが高値を示していた。

ディスカッション:
 high bacterial loadが主な原因であるが、サイトカインストームを起こし重症化にいたったと考えられる(難しくてあんまり読んでません)。
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(文献より引用:抗酸菌とサイトカインストーム)

結論:
 美容的処置後の敗血症患者では、迅速発育抗酸菌を経験的にカバーすべきと考えられる。


by otowelt | 2013-09-12 00:32 | 抗酸菌感染症