2015年 05月 18日 ( 14 )

ATS2015:抗ARS抗体陽性間質性肺疾患の長期予後はIPFより良好か

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K. Tanizawa, et al.
The Long-Term Outcome of Interstitial Lung Disease with Anti-Aminoacyl-tRNA Synthetase Antibodies
ATS 2015, A39, Thematic Poster Session


背景:
 抗ARS抗体が陽性の間質性肺疾患の予後についてはデータがほとんどない。そのため、われわれは抗ARS抗体が陽性の間質性肺疾患の患者を本研究に登録した。われわれが過去に示したように、PM/DMのないARS-ILDはCTD-ILDおよびPM/DMを有するARS-ILDは画像上類似しており病理学的なNSIPパターンを示唆するとしているが、われわれは本研究においてARS-ILDと抗ARS抗体を有さないIPFを比較検討した。

方法:
 2施設共同のレトロスペクティブ試験において、ARS-ILDの長期アウトカムを調べた。新規にARS-ILDと診断された36人、新規に抗ARS抗体陰性IPFと診断された92人を登録した。

結果:
 36人のARS-ILD患者のうち、PMが7人、DMが12人に診断され、残りの17人はPM/DMの発症はなかった。ARS-ILDはIPFと比較して女性、非喫煙者に多かった。(女性: ARS-ILD, 19/36, 53% vs. IPF, 22/92, 24%; P < 0.01, 非喫煙者: ARS-ILD, 23/36, 64% vs. IPF, 20/92, 22%; P < 0.01)。呼吸機能検査については両群ともに同等であった。観察期間中(中央値49ヶ月)、7人のARS-ILD患者、51人のIPF患者が死亡した。生存解析ではARS-ILDはIPFよりも予後が良好であった(P < 0.01)。

結論:
 ARS-ILDの長期アウトカムはIPFよりは良好である。


(補足)
 私たちがcNSIPだと思っている患者群の中には、いわゆる抗ARS抗体症候群の患者が含まれている可能性が示唆されています。ATSの会場でもいくつかそういった報告がありました。

Y. Funaki, et al.
Clinical Characteristics of Idiopathic Nonspecific Interstitial Pneumonia with Anti-Aminoacyl-tRNA Synthetase Autoantibody
ATS 2015, A39, Thematic Poster Session

H. Kitamura, et al.
High Frequency of Anti-Aminoacyl-tRNA Synthetase Autoantibodies Detected in Patients with Idiopathic Cellular Nonspecific Interstitial Pneumonia
ATS 2015, A39, Thematic Poster Session



by otowelt | 2015-05-18 10:20 | びまん性肺疾患

ATS2015:LAMに対するシロリムスは血清VEGF-D値を減少させる

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A.M. Taveira-DaSilva, et al.
Long-Term Effect of Sirolimus Treatment on Serum Levels of VEGF-D in Lymphangioleiomyomatosis
ATS 2015, A31, Poster Discussion Session


背景:
 血清VEGF-D値はLAMの何人科の患者で上昇がみられ、る。血清VEGF-Dは診断的バイオマーカーであることが知られているが、MILES試験ではこの値はLAMの重症度、運動耐容能定価、酸素必要性の上昇と関連があるとされている(Young LR, et al. Lancet Respir Med 2013; 1:445)。
 またシロリムス治療によってVEGF-D値が低下することが示唆されている。この研究の目的は、長期シロリムスの使用がVEGF-D値を下げるかどうか調べたものである。

方法:
 血VEGF-D値および呼吸機能検査をシロリムス治療を受けている11人のLAM患者から抽出した。

結果:
 患者の平均年齢は43±9歳だった。11人中8人が酸素療法を受けていた。初期1秒量およびDLCOはそれぞれ予測値の74±20%、59±13%だった。患者は平均3.3±1.4年フォローアップを受けた。
 図に示すように、血清VEGF-D値はシロリムスを受けた11人の患者で経年的に減少がみられた。VEGF-D値はシロリムス投与前後で2,937±2,051 ng/ml から1,464±923 ng/ml へ減少(5ヶ月時)、865±416 ng/ml へ減少(14ヶ月時), 684±345 ng/mlへ減少(30ヶ月時)(p<0.001, by ANOVA)。このVEGF-Dの減少は長期間観察された。また、経年的な1秒量の減少抑制効果、DLCO減少抑制効果もみられた。
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(Abstractより引用)

結論:
 血清VEGF-D値は、シロリムスの効果を裏付ける有用なツールである。


(補足)
・同じ演者で、呼吸機能検査をLAMの患者さんに実施しても気胸の発生が有意に増えるワケではないという旨の発表もおこなわれています。

Prevalence of Pneumothoraces in Lymphangioleiomyomatosis Patients Undergoing Pulmonary Function and Exercise Testing
ATS 2015, A31, Poster Discussion Session


・VEGF-Dについての有用性については日本からも報告があります
K. Ando, et al.
Role of Lymphangiogenic Growth Factors in the Pathogenesis of Lymphangioleiomyomatosis
ATS 2015, A31, Poster Discussion Session




by otowelt | 2015-05-18 09:41 | びまん性肺疾患

ATS2015:全身性強皮症関連間質性肺疾患に対するピルフェニドンの可能性

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 IPFの疾患概念は0-100でクリアカットに分けられる病態ではないため、UIP/IPFにしかピルフェニドンは効果がないというのは論理的ではありません。将来的には適応が広がるのではないかと思いますが、その前にさらなる抗線維化薬が登場するかもしれません。

D. Khanna, et al.
Safety and Tolerability of Pirfenidone in Patients with Systemic Sclerosis-Associated Interstitial Lung Disease - The LOTUSS Study
ATS 2015, A26, Poster Discussion Session


概要:
 この研究は、全身性強皮症(SSc)と診断された患者において、胸部HRCTで間質性肺疾患(ILD)が指摘された肺予備能を保持した(努力性肺活量[FVC]50%以上、DLCO40%以上)患者に対するピルフェニドンの効果を検討したものである。16週時点において、%FVCは中央値で-0.5%(-42~12%)の変化がみられ、10人の患者は5%以上の上昇、5人は5を超えて減少した。DLCOも増加したものと減少したものがいた。有害事象については過去のピルフェニドンで報告されていたものと差異はなかった。SSc-ILDの患者に対するピルフェニドンには忍容性があると考えられた。前向きの比較試験が望まれる。


by otowelt | 2015-05-18 08:37 | びまん性肺疾患

ATS2015:関節リウマチ関連間質性肺疾患と抗CCP抗体の関連

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 RA-ILDの患者さんは当院にも多数来院されます。

S. Matson, et al.
The Predictive Value of CCP Antibodies in Rheumatoid-Arthritis Interstitial Lung Disease
ATS 2015, A26, Poster Discussion Session


背景:
 関節リウマチ(RA)はアメリカ人の成人の1%にみられるcommon diseaseである。これに関連する間質性肺疾患(RA-ILD)は、患者の60%にものぼるほどよくみられる病態である。RAに特異的とされる抗CCP抗体が高値であることはRA-ILDのリスクを上昇させるかもしれない。われわれは、この関連性について調べた。

方法:
 RA-ILD患者54人およびコントロール患者(胸部画像でUIPあるいはNSIPを疑われたがRAのないもの)111人を登録。抗CCP抗体陽性と臨床的な特徴をこの2群において比較検討した。

結果:
 RA患者54人のうち、抗CCP抗体は既往喫煙者(85% vs. 54%, p=0.012)や男性(92% vs. 52%, p=0.001)で有意に高かった。胸部HRCTにおいてUIPパターンが観察されたのは抗CCP抗体陽性患者であった(非UIPと比較、60% vs. 39%, p=0.009)。

結論:
 RA患者において抗CCP抗体は男性、喫煙者に多かった。これは臨床的なRA-ILDフェノタイプと関連している。抗CCP抗体は胸部画像上UIPパターンの患者に多くみられた。


(補足)
 fibrobrastic foci score、germinal centers score がUIP/IPFとUIP/RAの鑑別に有用であるという報告も同セッションで報告されています。

Y. Tsuchiya, et al.
Usual Interstitial Pneumonia Preceding Rheumatoid Arthritis: Clinical and Histologic Features
ATS 2015, A26, Poster Discussion Session



by otowelt | 2015-05-18 07:58 | びまん性肺疾患

ATS2015:システマティックレビュー:電子たばこは禁煙に有用か?

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電子たばこについてのシステマティックレビューです。

会場にて。
「E-cigarettes are widely used as a smoking cessation tool, but we found no data supporting their long-term efficacy and safety.」
 
R.O. Allehebi, et al.
Efficacy and Safety of Electronic Cigarettes for Smoking Cessation: A Systematic Review
ATS 2015, B102, Poster Discussion Session


背景:
 電子たばこは電子的にニコチンを含有する嗜好品である。われわれは、この効果と安全性について報告する。

方法:
 2014年5月までの研究を、MEDLINE、EMBASEで検索した。効果だけでなく安全性評価について報告した電子たばこの研究を選択した。

結果:
 4569の研究のうち、297の研究をフルレビューした。効果については4研究(2つがRCT,2つが非RCT)が組み入れ基準を満たした。安全性については22の研究が基準を満たした。
 1ヶ月時点において、電子たばこは有意に禁煙率を上げたが、その後3~6ヶ月フォローアップではこの効果はなくなった。1つの研究では、6ヶ月時点での禁煙率には差はみられなかった。
 有害事象については、乾性咳嗽、咽頭違和感、息切れなどがみられた。重篤な有害事象については両群ともに差はなかった。

結論:
 1ヶ月時点において電子たばこは高い禁煙率をほこるが、この効果は長期には続かない。また、短期的に呼吸器系の有害事象と関連していることが示唆される。



by otowelt | 2015-05-18 07:55 | 呼吸器その他

ATS2015:アスピリンの定期使用は気腫性病変の進行を抑制する?

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アスピリンの定期使用が気腫性病変の進行を抑制するのでは、というAaron医師の報告です。

会場にて。
「Our study found that patients taking aspirin regularly had a slower progression of emphysema over 10 years compared to those who did not use. This difference was not explained by many factors affected progression of emphysema―――」
 
C.P. Aaron, et al. Aspirin Use and Longitudinal Progression of Percent Emphysema on CT: The MESA Lung Study
ATS 2015, Poster Discussion Session


概要:
 4471人の参加者のうち、21%(921人)がアスピリンを定期使用しており、55%が既往喫煙者であった。呼吸器の検査を受けた25%の患者が気流閉塞を示唆された。年齢・性別・喫煙などの交絡因子で補正したところ、アスピリンの定期使用は10年にわたって有意な気腫性病変の進行抑制と関連していた。



by otowelt | 2015-05-18 07:40 | 気管支喘息・COPD

ATS2015:split pleura signは膿胸診断に有用

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 日本からの報告です。Split Pleura Signは私も実地でよく使用しているサインです。

N. Tsujimoto, et al.
Simple Method for Differentiating Empyema from Parapneumonic Effusion Using the Split Pleura Sign and the Amount of Pleural Effusion on Thoracic CT
ATS 2015, A24, Poster Discussion Session


概要:
 膿胸および肺炎随伴性胸水と診断された連続患者をレトロスペクティブに登録した。多変量解析において、split pleura sign(ハザード比6.9, 95%信頼区間1.4-12.4, p=0.002)、総胸水量(40mm以上)(ハザード比4.2, 95%信頼区間1.4-12.4, p=0.009)は膿胸のリスク因子であった。split pleura signの感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率はそれぞれ78.8%, 72.3%, 67.5%, 79.0%であった。



by otowelt | 2015-05-18 06:51 | 感染症全般

ATS2015:胸水中CRPは肺炎随伴性胸水の診断に有用

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 現時点で、積極的に胸水中CRPを測定することはありませんが。

S. Izhakian, et al.
The Diagnostic Value of Pleural Fluid C-Reactive Protein Level in Parapneumonic Effusions
ATS 2015, A24, Poster Discussion Session


背景:
 肺炎随伴性胸水とその他の原因の胸水を鑑別することは難しい。診断の遅れが感染性胸水による死亡のリスクを上昇させるかもしれない。この研究の目的は、胸水中CRPが肺炎随伴性胸水とそのほかの胸水の鑑別に役立つかどうかを調べたものである。

方法:
 2011年1月から2013年12月までの間、レトロスペクティブにイスラエルのRabin医療センターにおいて244人の胸水患者が登録された。患者は胸水の種類によって4群に分けられた。すなわち、漏出性、悪性、肺移植後、肺炎随伴性胸水の4種類である。感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、胸水CRPのカットオフ値をROC解析を用いて解析した。

結果:
 胸水中CRPは有意に4群すべてで差がみられた(p<0.001)。平均CRP値は、肺炎随伴性胸水/膿胸で(5.38±4.85 mg/dl)、肺移植後(2.77±2.66 mg/dl), 悪性胸水(1.19±1.51 mg/dl)、漏出性胸水(0.57±0.81 mg/dl)という結果だった。
 他の3群と肺炎随伴性胸水/膿胸を鑑別するための胸水中CRPのカットオフ値1.38 mg/dlであった。この場合、感度84.2%, 特異度71.5%, 陽性的中率37%, 陰性的中率95%であった。
 他の3群と漏出性胸水を鑑別するための胸水中CRPのカットオフ値は0.64 mg/dlであった。この場合、感度79.5%, 特異度59.4%, 陽性的中率32%、陰性的中率92%だった。

結論:
 胸水中CRP値によって肺炎随伴性胸水/膿胸と他の胸水を鑑別できるかもしれない。


by otowelt | 2015-05-18 06:30 | 呼吸器その他

ATS2015:胸腔穿刺時に肋間動脈を同定するべき?

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 肋間動脈を意識すれば、合併症が減るのではないかとされています。

D. Hostler, et al.
of Intercostal Artery Doppler Ultrasound Exam Prior to Thoracentesis
ATS 2015, A24, Poster Discussion Session


概要:
 胸腔穿刺はアメリカでは年間20万回実施されており、その2%に出血性の合併症を起こすことが知られている。その多くが肋間動脈損傷である。肋間動脈は肋骨に保護されているが、超音波で同定できることが過去の報告で知られている。われわれは、ドプラー超音波により動脈血流を同定するプロスペクティブ研究を計画した。20人の胸水貯留のある患者を本観察研究に登録した。医師は胸腔穿刺前に穿刺部位下に超音波を用いて肋間動脈を同定した。穿刺予定部位と動脈の距離が記録された。また、超音波に費やした時間や手技に要した時間についても記録した。20人中14人(70%)で肋間動脈が同定できた。超音波に費やす時間は医師もほとんどストレスにならないだろうと考えられた。
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(Abstractより引用)


by otowelt | 2015-05-18 05:50 | 呼吸器その他

ATS2015:COPD再入院率は抑うつや不安のある患者で高い

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 “COPD再入院”というテーマは最近の流行のようです。patient-oriented programの報告も今年は多いですね。

G.P. Singh, et al.
Association of Psychosocial Factors with 30-Day Readmission Rates in Medicare Beneficiaries with COPD
ATS 2015, A23, Mini Symposium


概要:
 メディケアによる研究(2001年~2011年)で、COPDの病名で入院した患者が30日以内に入院したかどうかのデータを用いた。全体の17.94%が30日以内に再入院をし、30日再入院率は近年になればなるほど高くなっていった(16.83%→21.12%)。
 30日再入院率は、抑うつ(24.53 % vs 16.97 % ,p< .0001)、不安(25.38 % vs 17.15 % ,p< .0001 )、アルコール濫用(25.71 % vs 17.80 %, p< .0001)、薬物濫用(27.90 % vs 17.86 % ,p< .0001)、精神病(24.67 % vs 17.49% ,p <.0001) のある患者で有意に高かった。多変量解析でもこれらは独立したリスク因子であった。

(補足)
 他のポスターボードでも同様の発表があります。

J.C. Williams, et al.
A Simple Scoring System to Predict 30-Day Readmission After an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
ATS 2015, A23, Mini Symposium


"patient-oriented program"については以下の演題が興味深かった。

B. Harrold, et al.
A Successful COPD Population Management Program Fails to Affect 30-Day Readmission Rates
ATS 2015, A23, Mini Symposium



by otowelt | 2015-05-18 05:15 | 気管支喘息・COPD