2017年 05月 30日 ( 1 )

重症患者に対するramped positionとsniffing positionの比較

 先日のATSでも注目を集めた演題です。
 ramped positionは傾斜体位ともいい、肥満患者で有効とされる体位です。ブログ「麻酔科勤務医のお勉強日記」(Q:ランプ・ポジション(ramp position)とは?)が分かりやすいです。
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Matthew W. Semler, et al.
A Multicenter, Randomized Trial of Ramped Position versus Sniffing Position during Endotracheal Intubation of Critically Ill Adults
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.03.061


背景:
 低酸素血症は、重症患者の気管挿管時にもっともよくみられる合併症である。ramped positionによる挿管は機能的残気量を増加させることによって低酸素血症を予防し、挿管時間を減らすことができるとされている。しかし、手術室外での評価はされていなかった。

方法:
 これは、気管挿管を適用された260人の成人患者における、ramped positionとsniffing positionを比較した多施設共同ランダム化比較試験である(2015年7月22日~2016年7月19日)。プライマリアウトカムは、挿管中および挿管後2分時の最低SaO2とした。セカンダリアウトカムには喉頭蓋可視Cormack-Lehane分類、挿管困難などが含まれた。

結果:
 最低SaO2の中央値は、ramped positionで93%(IQR84-99%)、sniffing positionで92%(IQR79-98%)だった(p=0.27)。ramped positionはCormack-Lehane分類グレードIIIあるいはIVの増加と関連していた(25.4% vs 11.5%, P = 0.01)。これにより挿管困難(12.3% vs 4.6%, P = 0.04), 初回挿管成功率(76.2% vs 85.4%, P = 0.02)に差がみられた。

結論:
 多施設共同研究では、重症患者に対するramped positionでの気管挿管は、sniffing positionと比較して挿管中の酸素化を改善しなかった。また、ramped positionは、喉頭蓋の可視化を悪化させ初回挿管成功率を低下させる懸念がある。


by otowelt | 2017-05-30 00:58 | 集中治療