2017年 08月 15日 ( 1 )

PPFEはIPFより予後不良?

e0156318_18552345.jpg  翻訳は日本医科大学から引用させていただきました。国内のPPFEではかなりまとまった報告だと思います。予後が不良の一群をみていることについては以前から指摘されていますね(Respir Investig. 2012 Sep;50(3):88-97. )。

Hayashi H, et al.
Body Mass Index and Arterial Blood Oxygenation as Prognostic Factors in Patients with Idiopathic Pleuroparenchymal fibroelastosis
Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2017; 34; 35-40


背景:
 原因不明で上葉優位に肺の線維化を来す疾患は,本邦では古くから認識されてきた.網谷らは,1992年,両側上葉に限局した非特異性線維化を呈する13症例をまとめ,「特発性上葉限局型肺線維症」として報告した.また,欧米でも,2004年に上葉優位の胸膜,隣接した肺実質の線維化,特に肺胞隔壁の弾性線維の増生を病理学的な特徴としたidiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis (IPPFE)という概念が提唱された.2013年にはATS(米国胸部疾患学会)/ ERS(欧州呼吸器学会)から発表された特発性間質性肺炎ステートメントでも,IPPFEは稀な間質性肺炎の中に包括されている.これらの病態はほぼ同一と考えられているが,比較的稀少ということもあり,その診断基準や発症のメカニズムについては明らかにされていない.今回,特発性肺線維症(IPF)との比較を通して,その臨床的特徴や予後などを調べることを目的とした.

方法:
 2005年から2013年に日本医科大学付属病院ならびに国立病院機構茨城東病院を受診,画像上IPPFEと判断した症例を対象とし,その医療記録をreviewした.IPPFEは,既報告に基づき,胸部CTで胸膜直下の線維化に付随した胸膜肥厚を認め,かつ上葉主体で下葉の病変は乏しい,ないしは認めないものと定義した.明らかな膠原病や慢性過敏性肺臓炎,悪性腫瘍を背景に持つ症例,二次性PPFEは除外した.本検討では,臨床像,検査結果を調べ,その推移をみた.検討項目として,臨床像(性別,年齢,喫煙歴,職業歴,吸入歴,BMI),血液検査(KL-6,SP-D,動脈血液ガス),呼吸機能検査(FVC,FEV1,TLC,DLco,RV/TLC,ERV)とした.同時期に日本医科大学付属病院を受診し, IPFと比較検討し,予後不良因子を検討した.

結果:
 対象としたIPPFE は20 例,比較対象としたIPF は71 例であった.観察期間は,2 群間で有意差は認めなかった.年齢中央値は,IPPFE 群が68.5 歳,IPF 群が70 歳で群間に有意差は認めなかった.IPPFE 群の体重ならびにBMI は,有意に低値であった(共にp<0.0001).非喫煙者が半数を占め(10/20 例),また喫煙者でのpack-years も低かった (p<0.0001).IPPFE群は,FVC,%FVC,FEV1,FEV1%,ERV,%ERVが有意に低値を示した.またRV/TLCが有意に高値を認めた.呼吸機能の推移では,IPPFEでは⊿FVC -326ml/year,⊿%FVC -10%/year,⊿%TLC -10.7%/yearと有意に拘束性障害の進行を認めた.Kaplan-Meier曲線を比較してみると,IPPFE群はIPFに比較して有意に予後不良であった(P=0.021).univariate Cox-proportional hazard modelにおいてBMI, PO2が有意に予後と相関した.

考察:
 上葉優位型肺線維症は,比較的緩徐に進行するとされているが,本検討ではIPFと比較し初診時から拘束性換気障害,残気率の上昇を認め,経過中FVCの急速な低下,Ⅱ型呼吸不全の進行を来たし,必ずしも予後良好な病態とは言えなかった.初診時のBMIとPaO2は予後との関連を示した.症状出現後の病勢進行は比較的急速で予後不良と考えられるため,無症状期からの慎重な観察,栄養管理,更に肺移植の考慮が必要である.


by otowelt | 2017-08-15 00:04 | びまん性肺疾患