2017年 08月 25日 ( 1 )

80歳以上の高齢結核患者にピラジナミドを用いてもよいか?

e0156318_9552565.jpg 実臨床的で非常に参考になる短報です。

吉山 崇ら.
80歳以上の結核標準治療の検討.
Kekkaku Vol. 92, No. 7 : 485_491, 2017


目的:
 現在の結核の標準治療は、ピラジナミド(PZA)を含む(A)法と含まない(B)法がある。80歳以上の高齢者に対しては後者(B)法をより積極的に推奨しているが、この妥当性を検討する。

方法:
 後ろ向きの既存データを用いた多施設共同研究である。本研究の参加施設は、結核療法研究協議会(療研)内科会参加施設および結核病学会治療委員の協力依頼を受けた結核病床を有する医療施設。2012年に参加施設の80歳以上の結核患者のうち、(A)法または(B)法で治療した結核患者の背景情報、治療成績、有害事象、治療後の再発割合を収集。

結果:
 (A)法、(B)法の間には、性差・年齢・治療歴・喀痰抗酸菌塗抹結果・治療開始時喀痰抗酸菌培養陽性率・画像所見・身体活動度に差はなかった。肝障害・腎障害・悪性腫瘍の合併頻度は(A)法の群で少なかった。病院ごとのPZA含有レジメンの割合はばらつきが大きかった。有害事象の頻度は、肝障害および視神経障害が(A)法の群で多く、治療変更した症例も然りだった。治癒および治療完了割合は(A)法の群が高かった。死亡に差はみられなかった。

結論:
 80歳以上の高齢者に対してもPZA含有結核治療レジメンは有効であるものの、重篤な肝障害のリスクは若年者より高いかもしれない。



by otowelt | 2017-08-25 00:41 | 抗酸菌感染症