2017年 10月 04日 ( 1 )

癌患者における偶発的肺血栓塞栓症は外来治療が可能

e0156318_1015674.jpg 低分子ヘパリンは日本では肺血栓塞栓症に対して保険適用されません。
 Hestia基準が満たされれば、外来でPE治療も可能かもしれませんが、日本では一般的ではないですね(Am J Respir Crit Care Med. 2016 Oct 15;194(8):998-1006.)。

Banala SR, et al.
Discharge or admit? Emergency department management of incidental pulmonary embolism in patients with cancer: a retrospective study.
Int J Emerg Med. 2017 Dec;10(1):19.


背景:
 入院と早期抗凝固療法は肺血栓塞栓症(PE)で救急部を受診した患者の標準的治療である。しかしながら、偶発的に発見されたPEの治療戦略は明らかになっていない。特に過凝固の状態に陥りやすい癌患者での戦略も不明である。

方法:
 われわれは、単施設において後ろ向きに癌患者の偶発的PE症例を救急部のデータから抽出し、外来治療低分子ヘパリンを用いた外来治療の妥当性を検証した。患者は、癌の病期診断におけるルーチンの造影CTで偶発的にPEが見つかったものを対象とした。生存データは救急部受診の30日後、90日後に調べた。

結果:
 193人の患者が登録され、135人(70%)が外来治療を受け、58人(30%)が入院した。30日生存率は全体で92%であり、外来治療患者では99%、入院患者では76%だった。ほぼ全員(189人:98%)が抗凝固療法を受け、そのうち170人(90%)が低分子ヘパリンを投与された。サドル型のPEは30日死亡率が高かった(43%が死亡: vs lobar PE 11%、segmental PE 6%、subsegmental PE 5%)。多変量解析では、Charlsonインデックス(年齢補正)、低酸素血症、偶発的PEの部位(サドル型)が30日死亡リスクを有意に上昇させる因子であった。年齢、合併症、人種、癌の病期、頻脈、低酸素血症、偶発的PEの部位(サドル型)は入院と有意に関連していた。

結論:
 癌患者における偶発的PEは、症例を選択すれば低分子ヘパリンで外来治療が可能である。不必要な入院を回避することで、院内感染、死亡、コストを軽減することができるかもしれない。


by otowelt | 2017-10-04 00:40 | 呼吸器その他