2017年 10月 20日 ( 1 )

腺癌から小細胞癌へ形質転換するメカニズムにRB1とTP53がカギに

e0156318_1164629.jpg  私も壮絶な1例を経験しているので、形質転換についてはかなり興味があります。

Lee JK et al.
Clonal History and Genetic Predictors of Transformation Into Small-Cell Carcinomas From Lung Adenocarcinomas.
J Clin Oncol. 2017 Sep 10;35(26):3065-3074.


目的:
 EGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌が小細胞肺癌へ形質転換することがあり、EGFR-TKIによる耐性化の主な機序の一つと考えられてきた。しかしながらこの分子病理学的機序についてはよく分かっていない。

方法:
 本研究では、21人のEGFR-TKIに耐性化し小細胞肺癌へと変化したものを登録した。これらから、時期を変えた9腫瘍の全ゲノムシークエンスを行い、クローン進化プロセスを再構成し、小細胞肺癌に到達する遺伝学的な予測因子を同定した。さらに得られた結果を合計210の肺癌組織で確認した。

結果:
 EGFR-TKI耐性の肺腺癌と小細胞肺癌では、共通のクローン原生と進化分岐を有していた。肺腺癌からの小細胞肺癌への先駆細胞のクローン多様性はTKI投与以前より存在し、早期の肺腺癌の時点でRB1とTP53の完全な不活性化を示していた。TKIを投与された75人の早期肺腺癌の組織で免疫染色をおこない、さらなる検討を行った。その結果。Rbとp53の不活性化は、小細胞肺癌に変化した群とそうでない群とでは有意に異なるプロパティだった(82% vs 3%、オッズ比131[19.9-859])。EGFR変異を持つ肺腺癌で、完全にRbとp53が不活性化されていた場合、小細胞肺癌に形質転換するリスクは43倍だった。

結論:
 EGFR-TKI抵抗性小細胞肺癌は肺腺癌のクローンから早期から枝分かれし、RB1とTP53の完全な不活性化を伴っていることがわかった。RB1とTP53の発現を調べることが、肺腺癌の小細胞肺癌への形質転換を予測する情報になるかもしれない。


by otowelt | 2017-10-20 00:06 | 肺癌・その他腫瘍