出版のお知らせ:ポケット呼吸器診療2017

 毎年アップデート出版している「ポケット呼吸器診療2017」が2017年3月1日に発売されます。前回の2016年版からさらにボリュームが50ページ増え、内容が充実しました。変更があった部分は青いアミをかけて、一目で分かるように工夫をこらしています。価格は、何とか1,000円台を維持できました。

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発売日:2016年2月12日
単行本 : 206ページ
価格 : 1,800円 (税抜)
出版社 : シーニュ
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)
監修 : 林 清二 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター院長)

e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する 

<2016年版→2017年版の主な変更点>
・胸部CT所見を追加:juxtaphrenic peak sign、tram lineなど数項目
・肺エコー所見を追加:shred sign、quad signなど数項目
・代表的肺エコー所見の画像を追加
・インフルエンザ治療薬を追加
・マイコプラズマ肺炎の診断にLoopamp®マイコプラズマP 検出試薬キット、プロラスト®Myco、プライムチェック® マイコプラズマ抗原、リボテスト® マイコプラズマ、クイックチェイサー®Mycoなどを追加。
・クラミドフィラ肺炎の診断にヒタザイム法、エルナス®肺炎クラミドフィラIgMを追加。
・百日咳の診断にノバグノスト百日咳/IgM、ノバグノスト百日咳/IgAを追加。
・肺アスペルギルス症の分類を変更:慢性肺アスペルギルス症(CPA)、単純性肺アスペルギローマ(SPA)、慢性進行性肺アスペルギルス症(CPPA)、慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)、慢性空洞性肺アスペルギルス症(CCPA)、慢性線維性肺アスペルギルス症(CFPA)。
・CPAの診断チェックリストを追加。
・ABPAの診断基準に国際的にコンセンサスが得られているAgarwalのものを追加。
・TNF -α 阻害薬と結核の関連について記載。
・粟粒結核の治療を追加。
・リファマイシンの相互作用注意薬としてエレルサ®、グラジナ®、ジメンシー®を追加。
・日本結核病学会病型分類のイラストを掲載。
M. massilienseについて記載。
・プロボコリン®、ケンブラン®について少しだけ記載。
・ACT(Asthma Control Test)を掲載。
・ゾレア®投与量の表を掲載。
・COPDの重症度分類(GOLD2017準拠)を変更。COPD治療指針をGOLD2017から作図。
・COPDに対する肺容量減量術、ロフルミラストについて記載。
・COPD 増悪の重症度分類を掲載(Anthonisenらの分類、Rodoriguezの分類、Vogelmeierらの分類)
・CosioらのACOS 診断基準を掲載。
・スペーサーの情報を最新のものへ変更。
・特発性肺線維症(IPF)診断のフローチャートを「特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂第3版」のものへ変更。
・NSIPの治療を独立して記載。「特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂第3版」に準拠。
・COPの治療を独立して記載。「特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂第3版」に準拠。
・膠原病関連間質性肺疾患の章を作成:SSc─ILD、PM/DM─ILD、RA─ILD、SjS─ILD、SLE─ILDなど。
・特発性肺線維症(IPF)急性増悪の定義を変更:Collardらの2016年改訂案および「特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂第3版」の2種類を掲載。
・肺癌の治療を「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2016 年版」に準拠(大幅に変更)。
・肺癌のTNM分類および病期分類を「肺癌取扱い規約第8 版」のものに変更。
・EGFR-TKIによる皮膚障害の治療をグレード別に記載。
・悪性胸膜中皮腫のTNM分類および病期分類にIASLC病期決定プロジェクト案のものを追加。
・ANCA関連血管炎の項目を追加。
・Salisburyらの慢性過敏性肺炎(CHP)診断アルゴリズムを追加。
・過敏性肺炎の原因をいくつか追加:みかん農家肺、堆肥肺、金属加工液肺など
・アレルギーの章にABPAの診断と治療を詳しめに再掲載(感染症:アスペルギルス症のところにも一部記載があったが、アレルギーが本態であるため実用的になるよう配慮した)。
・石綿との関連が明らかな業務上疾病の表を追加。
・咳喘息、アトピー咳嗽の情報を追記。
・副鼻腔気管支症候群(SBS)の項目を追加。
・呼吸不全の章に急性心不全患者の管理アルゴリズムを追加。


 このマニュアルは「できるだけコンパクトかつ有用な安い書籍」を目標にしていますが、限りなく最新の文献に基づいた疾患情報を提供できるよう心がけています。実臨床で使用することを最優先に、不要な贅肉を極限までこそぎ落としました。

 呼吸器を診療する医師のポケットに長く入れていただけるよう、これからも努力致しますので、よろしくお願い申し上げます。「こういった内容の方がよい」「こういった項目を入れて欲しい」などの叱咤激励もお待ちしております。

 最後に、シーニュの藤本浩喜様、監修を引き受けていただいた当院院長の林清二先生に心より感謝申し上げます。



# by otowelt | 2017-02-20 15:09 | 呼吸器その他

メタアナリシス:閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP療法と下顎前方維持装置(MAD)のQOLに対する有効性

e0156318_1118556.jpg どちらも結構眠りにくいと思われがちですが、OSAの患者さんには結構テキメンです。

Eric Kuhn, et al.
Effects of CPAP and MADs on health-related quality of life in OSA: a systematic review and meta-analysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.020


背景:
 未治療の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、治療によって軽減が見込まれる健康関連QOL障害と日中の傾眠と関連している。この報告の目的は、CPAP療法と下顎前方維持装置(MAD: mandibular advancement device)がOSAの健康関連QOLに与える影響を調べることである。

方法:
 MEDLINE、Cochrane Libraryデータベースを2015年11月まで検索した。健康関連QOLへの効果を調べるための、CPAP療法、MAD、コントロール治療を比較したランダム化比較試験を登録した。健康関連QOLはSF-36アウトカムを用いて解析されたものとした。試験特性、質、バイアスが3人の著者によって評価された。多変量ランダム効果メタ回帰を用いたネットワークメタアナリシスによって、SF-36スコアを構成する精神的側面、身体的側面への治療効果をアセスメントした。

結果:
 1491の研究が同定され、23のランダム化比較試験がメタアナリシスに組み込まれた(患者数2342人)。コントロール治療と比較して、CPAP療法は精神的側面に対して1.7点(95%信頼区間0.1-3.2, p=0.036)、身体的側面に対して1.7点(95%信頼区間0.5-2.9, p=0.005)の改善をもたらした。MADは精神的側面に対して2.4点(95%信頼区間0.0-4.9, p=0.053)、身体的側面に対して1.5点(95%信頼区間-0.2-3.2, p=0.076)の改善をもたらしたが、統計学的に有意ではなかった。SF-36スコアに対する治療効果にはCPAP療法とMADには有意差はみられなかった。

結論:
 CPAP療法は、OSAの健康関連QOLの改善に効果的である。MADもおそらく効果的であると思われるが、さらなるランダム化比較試験によってこれら2治療を比較することが望まれる。



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# by otowelt | 2017-02-20 00:30 | 呼吸器その他

日本医師会員喫煙意識調査報告

第5回(2016年)日本医師会員喫煙意識調査報告の概要です。対象は日本医師会員7500人。データはフリーで公開されています。

参考URL:http://www.med.or.jp/nichiionline/article/004947.html


概要
・2000年から2016年に医師の喫煙率は半分以下になった。
・男性の喫煙率は、呼吸器科が最低(3.5%)。泌尿器科(17.5%)、耳鼻咽喉科(15.3%)、精神科(14.3%)などが高い。
・女性の喫煙率は、呼吸器科、循環器科、耳鼻咽喉科が0%。男性と同じく泌尿器科が最も高い(25.0%)。
・喫煙に関する要因は、男性(調整オッズ比4.31、95%信頼区間2.87-6.48)、毎日の飲酒(同2.07、95%信頼区間1.50-2.85)、不幸せ感(同1.39、95%信頼区間1.03-1.87)など。
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(第5回(2016年)
日本医師会員喫煙意識調査報告平成29年2月15日[公益社団法人日本医師会]より引用)




# by otowelt | 2017-02-17 00:41 | 呼吸器その他

早産児に対するシナジス®はその後の再発性喘鳴を抑制する

e0156318_10534386.jpg シナジス®に関する論文です。

Hiroyuki Mochizuki, et al.
Palivizumab Prophylaxis in Preterm Infants and Subsequent Recurrent Wheezing: 6 Year Follow Up Study.
AJRCCM, Published Online: February 02, 2017


背景:
 RSウイルスは、新生児期の反復性喘鳴(recurrent wheezing)だけでなく潜在的なアトピー性喘息にも影響している。

目的:
 RSウイルスの重症化を予防するための1歳以前に投与された抗RSウイルスモノクローナル抗体・パリビズマブが、6歳時の反復性喘鳴やアトピー性喘息に影響を与えるかどうか調べること。

方法:
 2007年~2008年のRSウイルス感染症のシーズン中、早産児の観察前向き多施設共同症例対照研究(CREW研究:Pediatrics2013; 132: 811-818.)に登録された患児に臨床的にパリビズマブの投与が決定された。小児は6歳まで観察された。新生児のアセスメントが報告された(methodsを読む限り、スマホなどを駆使されている)。
 プライマリエンドポイントはアトピー性喘息の罹患率とした。

結果:
 444人の早産児が登録され、349人がパリビズマブの投与を受けた。
 6歳時において、アトピー性喘息の発症に差はみられなかった(投与群15.3% vs 非投与群18.2%)。一方、医師が診断した再発性喘鳴には有意な差があった(それぞれ15.3% vs 31.6%、p=0.003)。
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(文献より引用:アレルギー家族歴のある患児の反復性喘鳴[ITT集団])

結論:
 早産児に対するパリビズマブ予防投与は、6歳時のアトピー性喘息の発症を抑制しないが、再発性喘鳴を有意に抑制した。




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# by otowelt | 2017-02-16 00:40 | 気管支喘息・COPD

小児期に肺機能が低いとACOSのリスクが上昇する

e0156318_125953.jpg 私はACOSという用語があまり好きになれません。用語だけが独り歩きして、多様な集団を単一化してしまうリスクがあります。とりわけ喘息はフェノタイプの細分化が討議されており、ACOSという用語が時代と逆行している気がしてなりません。syndromeとして捉えるのではなく「ACO(asthma-COPD overlap))」という用語使用にとどめるべきとする意見もあります。しかしこのブルージャーナルの論文を読むと、ただの足し算というわけではないのかなと思う気持ちも芽生える・・・。

Dinh S Bui, et al.
Childhood Lung Function Predicts Adult COPD and Asthma-COPD Overlap Syndrome (ACOS).
AJRCCM, Published Online: February 01, 2017


背景:
 COPDフェノタイプの早期リスク因子のデータは限られている。

目的:
 小児期の肺機能が成人COPDフェノタイプに与える役割を調べること。

方法:
 気管支拡張前スパイロメトリーが7歳のタスマニア人小児に実施された。45歳時点で再度気管支拡張前後のスパイロメトリーを実施した。この解析では、COPDは気管支拡張後1秒率がLLN以下のものと定義した。ACOSは、スパイロメトリー上のCOPDと現在の喘息を合併したものと定義した。小児期の肺機能と喘息/COPD/ACOSの関連性を多項ロジスティック回帰分析を用いて調べた。

結果:
 45歳時点で、959人の被験者が喘息もCOPDも有しておらず、269人が喘息単独、59人がCOPD単独、58人がACOSを有していた。再重み付け有病率は喘息単独13.5%、COPD単独4.1%、ACOS13.5%だった。7歳時点で1秒量が最も低い集団(最低四分位)はACOSの発症と関連していた(オッズ比2.93、95%信頼区間1.32-6.52)。しかしCOPD単独あるいは喘息単独とは関連していなかった。1秒率が最も低い集団(最低四分位)はACOS(オッズ比16.3; 95%信頼区間4.7-55.9)、COPD単独(オッズ比5.76; 95%信頼区間1.9-17.4)と関連していたが、喘息単独とは関連していなかった。
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(文献より引用)

結論:
 7歳時点で肺機能が低いと、長期的にCOPDとACOSの発症リスクになりうる。学童児期に肺機能のスクリーニングを行うことで、ハイリスクグループを同定できるかもしれない。



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# by otowelt | 2017-02-15 00:09 | 気管支喘息・COPD