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ALI死亡率はここ10年で低下

e0156318_2103043.jpgRecent trends in acute lung injury mortality: 1996-2005
Critical Care Medicine. 37(5):1574-1579, May 2009.

目的:
 1つのセンターにおけるALIの死亡率は、
 長期間にわたって低下傾向にある。
 しかしながら、最近のALIの死亡率の傾向が
 アメリカ全体で低下傾向にあるのかよくわかっていない。
 最近の進んだALIの治療が死亡率を下げるのかを検証。

デザイン:
 レトロスペクティブコホート試験(ARDSネットワーク)

対象:
 ARDSネットワークに登録された、成人ICU患者。
 2451人の人工呼吸器患者で、ARDSネットワークに1996年から2005年に
 登録された人を対象とする。

結果:
 1996年~1997年の間で粗死亡率は35%。
 2004年から2005年にかけてはこれが、26%まで低下(p < 0.0005)。
 
結論:
 ARDSネットワークに登録したALI患者で、最近のALI治療により
 粗死亡率は低下した。

by otowelt | 2009-04-19 02:09

敗血症における未分画ヘパリンは死亡率改善せず (HETRASE試験)


ICU患者にヘパリンを持続的に流すことで、
DVTの予防やら死亡率改善やら・・・・という議論をみたことがあるが
とりあえず、あまり意味はないぞというインパクトを与える論文ではある。
エンドポイントの設定が、DVT関連なら少し説得力があるのだが・・・。

Unfractioned heparin for treatment of sepsis: A randomized clinical trial (The HETRASE Study).
Critical Care Medicine:Volume 37(4)April 2009pp 1185-1196


目的:
 第一の目的は、多臓器不全スコアの改善にヘパリンに効果が
 あるかということを調べることである。第二の目的は、ヘパリンの効果が28日死亡率
 に影響を及ぼすかということを調べるためである。
 サブグループ解析として、感染部位、
 Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II score
 MOD score、D-ダイマーで解析。

デザイン:
 単一施設無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。
 低用量持続未分画ヘパリン(UFH)投与を敗血症治療に用いる。

セッティング
 550床 University Hospital and referral center in Medellín, Columbia.

患者:
 319人の患者で救急部より敗血症で入院になった患者

介入:
 プラセボあるいは未分画ヘパリン(500単位/時間を7日間)を用いた

結果:
 生存退院までの期間は、プラセボで平均12.5日、ヘパリン群で平均12日。
 (p = 0.976)
 MODスコアの改善は、両群とも1日あたり0.13~0.11の改善を認めた。
 (p = 0.240)
 28日死亡率は、プラセボ群で16%、ヘパリン群で14%(p = 0.652)。
 サブグループ解析でも未分画ヘパリンの28日死亡率の低下は認めなかった。
e0156318_16425428.jpg
 
結論:
 わたしたちの研究では、敗血症における未分画ヘパリンは実現可能かつ
 安全な介入と考えられる。しかしながら、この腱きゅでは
 この薬剤を用いることによる利益は証明できなかった。

by otowelt | 2009-04-04 23:40

活性化プロテインCは重症敗血症の死亡率を改善させない


Human recombinant activated protein C for severe sepsis.
Cochrane database sys rev 2008

は、sepsis survival campaign2008より以後に考察された
システマティックレビューである。

これは、活性化プロテインCの4つのランダム化試験のレビューであり、
活性化プロテインC VS プラセボの試験である。
28日後の死亡率をプライマリエンドポイントに設定したところ、
有意差はみられなかっただけでなく、逆に活性化プロテインCは
出血のリスクを高める可能性がある


sepsis survival campaign2008では、活性化プロテインCは
基本的に有用性を前面に押し出している。
これはPROWESS試験の結果によるものである。
Efficacy and safety of recombinant human activated protein C
for severe sepsis. N Engl J Med 2001; 344:699.


2008ガイドラインの内容は、
・重症患者(APACHEⅡ25 点以上、敗血症による多臓器不全、
 敗血症性ショック、敗血症によるARDS)で出血に関する
 絶対禁忌がない患者に対してrhAPC の投与が推奨される

というものである。

まだ決着はつかぬ、といったところでよいだろうか??

by otowelt | 2009-03-01 23:18

敗血症性多臓器不全に持続的静脈-静脈血液濾過は有用でない


今週のCrit Care Med。
敗血症における多臓器不全に対する血液濾過の有用性について。

Critical Care Medicine:Volume 37(3)March 2009pp 803-810
Impact of continuous venovenous hemofiltration on organ failure during the early phase of severe sepsis: A randomized controlled trial


目的:
 敗血症による多臓器不全に対して持続的静脈-静脈血液濾過を
 おこなうことにはまだ異論がある。この有用性について考察。
 フランスのICUでおこなわれた、ランダム化無作為試験。

患者:
 80人の患者で24時間以内に臓器不全に陥った症例。

介入:
 group 1 (HF), 血液濾過群:25 mL/kg/hrを96時間
 group 2 (C),  通常の治療群

結果:
 プライマリエンドポイントは、14日観察における臓器不全の数、重症度、期間。
 重症度はSepsis-Related Organ Failure Assessment scoreで算定。
 結果的に76人が解析され、臓器不全の数や重症度は
 血液濾過群の方が高かった(p < 0.05)。

結果:
 敗血症による多臓器不全に対して持続的静脈-静脈血液濾過を行うことは
 臓器不全を悪化させる。しかしながら、高用量血液濾過(>35 mL/kg/hr)
 はチャレンジしていない。

by otowelt | 2009-02-24 13:44

カテーテル関連感染症(CRBSI)その2


【培養・染色】
・半定量法
 通常はロールプレート法(MAKI法)を用いる。寒天培地上でカテ先を4回
 転がし、翌日発育してくる集落の数を数え、15個以上の発育で感染を疑う。
 Maki DG, Weise CE, Sarafin HW: A semi-quantitative method for identifying intravenous-catheter-related infection. N Engl J Med 296: 1305~1309, 1977.

・定量法
 半定量法のもつ弱点 (カテーテルの内腔を検査していない) を解消する目的で
 考案されたもので、Cleri法と呼ばれる。血管内に挿入された部分の長さに応じて,
 カテーテル内腔を2~10mlのtrypticase soy brothで3回内腔を洗浄し,
 その洗浄液を定量培養。洗浄操作の代わりに超音波処理する方法も提案。
 102あるいは103CFUを判定区分値とする。
Cleri DJ, Corrado ML, Seligman SJ: Quantitative culture of intravenous inserts. J Infect Dis 141: 781~786, 1980

・染色
 ロールプレートが終わってからカテ先をグラム染色するときは、こすりつけても
 よいが少量の生食でフラッシュしてから、沈査を染色するのが望ましい。

【症状】
・典型的症状は、点滴刺入部周囲の発赤・腫脹・膿性分泌物の存在。
・GNRによる静脈炎は、局所の発赤などの所見が乏しく、感染源不明の
 菌血症としてあつかわれることが多いので注意。

【抗菌薬ロック療法】
・基本的にカテーテルを抜去していない患者が対象となる。
・CRBSI を防止するため、抗生物質溶液でカテーテルの内腔のフラッシュ
と充填を行ない、カテーテルの内腔に同溶液を残しておく抗生物質ロック
予防法が試みられている。
・ヘパリン単独(50~100単位)またはヘパリン+バンコマイシン2.5mg/ml
が使用されている。数mlあれば問題ないとされている。
   J Clin Oncol 2000;18:1269-78.
・CNSのサルベージ成功率は、最高80%
・黄色ブドウ球菌やCandidaでは60%近くが失敗すると言われている。

【カテ交換】
●末梢
・静脈炎・カテーテル関連感染防止の観点から、定期的に静脈カテーテル
 を交換するよう提案されてきた。ショートタイプの末梢静脈カテーテルの
 研究によると、カテーテルの留置時間が72 時間を超えると血栓性静脈炎
 や菌の定着の発生が増加することが明らかになっている。
   Intern Med 1991;114:845-54.
・しかし、末梢カテーテルの留置時間が72時間の場合と、96時間の場合を
 比較しても、静脈炎の発生率に事実上の差は認められない。
   Am J Infect Control 1998;26:66-70.
・静脈炎やカテーテルの菌の定着は、カテーテル関連感染のリスク上昇を
 招くため、感染リスクと静脈炎による患者の不快感を軽減するため末梢
 静脈カテーテルの留置部位を72〜96時間間隔で交換することが一般的。

●中心静脈
・カテーテルの交換を7 日毎に行なった患者と、必要に応じて行なった患者で
 CRBSI に違いは認められていない
   Crit Care Med 1990;18:1073-9.
・感染の頻度を減らす目的だけのために中心静脈カテーテルをルーチンに交換
 する必要はない。但し、不要となった血管内カテーテルは迅速に抜去。

●動脈ライン
・末梢動脈カテーテルは橈骨動脈もしくは大腿動脈に挿入され、連続的
 な血圧モニタや血液ガス測定に使用される。CRBSIの発生率は、
 一時的なCVC と同レベル。(1,000カテーテル挿入日あたり2.9対2.3)
 Abstracts of the 39th Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy. San Francisco, CA: American Society for Microbiology, 1999:514.

・末梢動脈カテーテルに関するある研究では、定期的にカテーテルを
 交換した場合と、必要に応じて交換した場合の感染率に差がない。
   Crit Care Med 1990;18:1073-9.

【治療】
敗血症的でCRBSIが疑われる場合、培養出るまで
 バンコマイシン1回15mg/kg(実際体重)12時間ごと静注  
+ 
 トブラマイシン1回 5mg/kg(理想体重)24時間ごと静注
 (もしくはトブラマイシンに換えてセフェピム or セフタジジム1g8時間毎)
 ※MRSAでないとわかった場合は、ブドウ球菌ならセファゾリンに変えること 
  ただし、経食道エコーはIE除外のためにしておくべき。

血液培養で酵母が陽性(Candida)
・第一選択:ミカファンギン 1回 150mg 24時間毎静注
その他:アムホテリシンB 1回 0.3-1.0mg/kg 24時間毎静注
 

by otowelt | 2009-02-12 12:53

カテーテル関連感染症(CRBSI)その1


【ポイント】
・カテーテル挿入部とその付近に感染兆候ある場合、もしくは血管内カテーテル
 を有する患者に発熱があるものの、フォーカスがはっきりしない場合には、
 カテーテル感染を疑う。
・必ず血液培養を場所を変えて2セット採取
 (少なくとも1セットを末梢で⇒カテーテル血・末梢血両方あると有用)
・血流感染が疑わしければ、必ず抗菌薬を投与する
 カテーテル感染による血流感染は「全て」治療の適応である
  ⇒ IE・骨髄炎・眼内炎など重篤合併症を起こす可能性
・起因菌が判明したら抗菌薬のDe-escalationを積極的に行う。
・カテーテル感染の場合は基本的にカテーテルを抜去する
 (血栓症等の合併症のないCNS感染の場合など、わずかの例外はある)

【総論】
・血管内カテーテルに関連した重大な感染合併の大部分は、中心静脈
 カテーテルに起因している。代表的な原因微生物としてはCNS、
 カンジダ属、黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌(大腸菌、エンテロバクター、
 クレブシエラ、緑膿菌など)が挙げられる。
・院内感染としての心内膜炎は重要であり、侵襲的手技または血管内
 装置の合併症として認識され、頻度は全感染性心内膜炎の約10%である

【機序】
・CRBSIの原因を考える場合、特定微生物の付着性が重要。
 例えば黄色ブドウ球菌は、カテーテルに存在する宿主の蛋白質
 (フィブロネクチン等)に付着。
    J Infect Dis 1993;167:312-22.
・CNSは、他病原体(大腸菌や黄色ブドウ球菌等)よりもポリマーに付着し
 やすい。さらに、CNSの中には一般に細胞外多糖類を生成するものもある。
 この粘液により、カテーテルが存在すると、宿主の防衛メカニズムに対して
 耐性ができ(多核白血球の抱き込みや殺傷に対するバリアとして機能)、
 あるいは抗菌剤に対する感受性が低下し(菌の細胞壁に抗菌薬が接触する
 前に抗菌薬と結合しマトリックスを形成する等)、CNS病原性が増強。
    J Infect Dis 1990;161:37-40.
・カンジダの中には、ブドウ糖溶液中で、細菌と同じ粘液を生成するものもある。
 これが、経静脈的栄養輸液製剤の投与を受けている患者のBSIで、真菌性の
 病原体に起因する割合が増大していることの原因となっている可能性がある。
    J Clin Microbiol 1994;32:452-6.

【手技】
・カテ挿入部の皮膚の常在菌叢の菌密度は、CRBSIの大きなリスクファクター
 である。専門家は、感染リスクを軽減するためにCVC を、頸部や大腿部ではなく
 鎖骨下部分に留置するよう勧告している。

・内部頸静脈は、鎖骨下・大腿部に挿入された場合よりも感染リスクが高い。
  J Clin Microbiol1990;28:2520-5
・大腿部カテーテルは、成人で菌の定着率が高い。
  Infect Control Hosp Epidemiol 1998;19:842-5.
・大腿部カテーテルの場合、内頸部や鎖骨下より深部静脈血栓のリスクが高い
  JAMA 2001;286:700-7.
・皮下を這わせて静脈内に入れる(tunneling)ほうが感染を
 減らすことができる。
・10%ポビドンヨードや70%アルコールを用いた場合と比較して、
 2%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液を中心静脈や動脈部分に
 使用すれば、BSI 発生率をより低減できる
    Lancet 1991;338:339-43.
・カテーテル関連BSI の防止のためには、縫合式固定器具よりも無縫合式
 固定器具のほうが有利である。限られた患者を対象にしたある研究で、
 PICCの固定について、無縫合式器具と縫合式器具の比較が行なわれた。
 同研究では、無縫合式器具を用いた患者グループでCRBSIが減少
   J Vasc Interv Radiol 2001 (in press).

【診断】
 1.24時間以内に血液培養陽性の報告
 2.血液培養2セットが陽性
 CRBSIを疑って行った血液培養の検査では、上記の場合ほとんど真のCRBSI。

・中心静脈カテーテル感染を診断するのに、カテーテルと末梢からの採血での
 血培の培養時間が120分以上違って陽性(CVの方が早い場合)なら、
 感度81%、特異度92%で診断できる。150分以上ならLR=6. 02 (3.55-10.21)
 60分以内ならLR=0.11(0.06-0.20)
    Ann Intern Med 2004;140:18-25

by otowelt | 2009-02-12 12:46

肺癌のTNM分類が変更

呼吸器内科医なら皆さん知ってますが、肺癌のTNM分類が変わります。
肺癌の取扱規約はまだ出版されていないため、
厳密な変更はそれからになるのでしょうが・・・。

Goldstraw, P, et al. The IASLC Lung Cancer Staging Project: Proposals for the revision of the TNM stage groups in the forthcoming (seventh) edition of the TNM classification of malignant tumours. J Thorac Oncol 2007; 2:706.

<UICC7(7th edition TNM staging system for lung cancer )>
●原発巣(T)
 T1:腫瘍径が3cm以下
   腫瘍は肺組織または臓側胸膜に囲まれているが、葉気管支より中枢に浸潤しない
  T1a:腫瘍径が2cm以下
  T1b:腫瘍径が2cm~3cm
 T2:腫瘍径が3cm~7cm、あるいは以下の特徴を有する
  ・主気管支に浸潤が及ぶが腫瘍中枢側が気管分岐部より2cm以上離れている
  ・臓側胸膜浸潤がある
  ・腫瘍によって肺門におよぶ無気肺あるいは閉塞性肺炎があるが、
   一側全体には及ばない。  
  T2a:腫瘍径が3cm~5cm
  T2b:腫瘍径が5cm~7cm
 T3:腫瘍径が7cmをこえるもの、あるいは以下の特徴を有する  
  ・胸壁浸潤
  ・横隔膜浸潤
  ・横隔神経浸潤
  ・縦隔胸膜浸潤
  ・壁側胸膜浸潤
  ・腫瘍が気管分岐部から2cm未満におよぶが、気管分岐部に浸潤のないもの
  ・腫瘍による無気肺あるいは閉塞性肺炎が一側肺全体に及ぶもの
  ・同一肺葉内に存在する腫瘍結節
 T4:腫瘍のサイズは問わず、以下に浸潤するもの
  ・縦隔浸潤
  ・心臓浸潤
  ・大血管浸潤
  ・気管浸潤
  ・反回神経浸潤
  ・食道浸潤
  ・椎体浸潤
  ・同側肺に存在する複数の腫瘍結節

●所属リンパ節(N)
 N0:所属リンパ節転移無し
 N1:同側の気管支周囲リンパ節、肺内リンパ節、および/または、
   同側の肺門リンパ節への転移あるいは直接進展
 N2:同側の縦隔、および/あるいは、鎖骨下リンパ節への進展
 N3:対側縦隔、あるいは対側肺門リンパ節、あるいは同側・対側の斜角筋
   あるいは鎖骨下リンパ節への転移

●遠隔転移 (M)
 M0:遠隔転移なし
 M1:遠隔転移あり
 M1a:対側肺葉内に存在する腫瘍結節
    悪性胸水・悪性心嚢水
 M1b:遠隔転移あり

●病期分類
 Stage IA: T1a-T1b   N0   M0
 Stage IB: T2a     N0   M0
 Stage IIA:T1a-T2a   N1   M0
       T2b     N0   M0
 Stage IIB:T2b      N1   M0
       T3      N0   M0
 Stage IIIA:T1a-T3   N2   M0
       T3      N1   M0
       T4     N0-N1   M0
 Stage IIIB:T4      N2   M0
       T1a-T4    N3   M0
 Stage IV:Any T    Any N   M1a or M1b

●変更点
T:
 T1病変は、T1a:腫瘍径が2cm以下、T1b:腫瘍径が2cm~3cmに細分化
 T2病変は T2a:腫瘍径が3cm~5cm 、T2b:腫瘍径が5cm~7cm に細分化
 7cm以上はT2だったものが全てT3に変更
 同一肺葉内結節のT4だったものがT3に変更
 同一肺の異なる肺葉の腫瘍結節はM1だったものがT4に変更
 悪性胸水・悪性心嚢水はT4だったものがm1に変更
N:
 変更点なし
M:
 M1a:対側肺葉内に存在する腫瘍結節、悪性胸水・悪性心嚢水およびM1b:遠隔転移あり に
 細分化
病期:
 T2aN1M0がIIBではなくIIAへ変更
 T2bN0M0がIBではなくIIAへ変更
 T3 (>7 cm), N0M0がIBではなくIIBへ変更(7cm以上であれば問答無用でT3)
 T3 (>7 cm), N1M0がIIBではなくIIIAへ変更(7cm以上であれば問答無用でT3)
 T3N0M0 (同一肺葉内結節)がIIIBではなくIIBへ変更
 T3N1M0あるいはT3N2M0 (同一肺葉内結節)がIIIBではなくIIIAへ変更
 T4M0 (同側肺内結節)がIVではなく、IIIA (N0 or N1のとき) あるいは
  IIIB (N2 or N3のとき)に変更
 T4M0 (direct extension)がIIIBではなくIIIA (N0 or N1のとき)に変更
 悪性胸水(M1a)はIIIBではなくIVに変更

e0156318_12154788.jpg


by otowelt | 2009-02-09 09:18

抗MRSA薬(2)


●テイコプラニン
・基本的にはVCMとほとんど同じ
・VREのうちvanBによるものはTeicoplaninに感受性を残す
(vanAからDまである)
・聴器・腎毒性・Red man 症候群などの副作用はいずれも少ない。
・肺(喀痰)移行性は良いが、骨髄は悪い。
・腎排泄 半減期40~70時間であり1日1回投与でよい
・アメリカではもはや使われていない。

・目標血中濃度  Trough 10~20μg/ml
・血中濃度が安定するまでに時間がかかる

処方例:
初回は12mg/kgを12時間毎に3回投与、以後12mg/kgを24時間毎
日本では初回400mgを12時間毎に2回、以後400mgを24時間毎、と記載。
       

●硫酸アルベカシン(ハベカシン)
・ABKは細胞間液に移行しやすく、病態により血中濃度に差を生じ易い。
・また、ABKに対して耐性を有するMRSAが数%見られるため、
 MRSAにルーチンに投与するべきものではない。
・PK/PD理論に基づいた投与法は、1 日1 回投与。
・胸水、腹水、心嚢液、滑膜液への移行良好であるが
 髄液、疣贅へは移行不良。
・腎障害のある患者に対しては、投与量は変更せず、
 投与間隔をあけることで対処
・アメリカではもはや使われていない。

・目標血中濃度  Trough 9~20μg/ml
・トラフ値2μg/mLを越えると腎機能障害の発生頻度が上昇

処方例:
成人には1日1回150~200mgを30分で点滴静注する


●リネゾリド(ザイボックス)
・オキサゾリジノン系抗菌薬(50Sサブユニットの70S開始複合体に結合)
・VCM耐性の腸球菌(VRE)や黄色ブドウ球菌(VRSA)にも効果がある。
 バンコマイシン耐性Enterococcus.faeciumの第一選択。faecalisにも有効。
・MLSB耐性型にも効果がある。
・細菌のリボソームに結合し、蛋白合成阻害で静菌的作用を有する。
・腸管からの吸収が良く、経口薬も発売されている。
・また、体内の各臓器に良好に移行。Bioavailability=100%。
・他に特徴として腎障害のある患者にも使用量を変えずに使える。
・副作用としては悪心・嘔吐・下痢が多く、血球減少なども。
・2週間以上使うと、不可逆的な神経障害をきたす可能性がある。
・相互作用としてモノアミンオキシダーゼ阻害作用を有し、チラミン含有物
 (チーズ、赤ワイン、ビールなど)と併用することで重症高血圧の出現の恐れ。
 また、アドレナリン作動薬や、セロトニン作動薬、SSRIとの併用で
 それらの効果が増強されてしまうこともあり要注意である。
・リネゾリドは肺への移行性に優れている。
健常ボランティアにリネゾリドを投与して動態をみた結果では、肺胞上皮粘液中
の濃度は24時間後においても血漿中濃度に比べ約4倍も高かった。
・重症VAP患者16例でみた結果では、リネゾリドの肺胞上皮粘液中の濃度は
 このように高くならなかったが、それでも血清中濃度と同レベルに達していた。

処方例:
 リネゾリド400~600mg/回 12時間ごと(経口、静注いずれか)
 ザイボックス錠(600mg) 2T 分2


●キヌプリスチン・ダルホプリスチン(シナシッド)
・キヌプリスチン(ストレプトグラミンB)とダルホプリスチン(ストレプトグラミンA)が
 30:70で混合されている。(1V500mg ・・・150mg:350mg)
・混合比はあまり関係ない。
・タンパク合成を阻害し、ダルホプリスチンが最初の段階を、
 キヌプリスチンが最後の段階を阻害する。
・主に肝で代謝される。
・髄液移行はよくない。
・心内膜にも、ダルホプリスチンは疣贅の周辺のみにしか浸透しない
 ためあまりすすめられない。
・耐性Enterococcus. faeciumにも効果あり。ただし、faecalisには効果なし。
 (しかしVREのほとんどはfaeciumであるため、問題ない)
・副作用として、静脈炎、消化器症状、筋肉痛、関節痛、QT延長など。

・処方例:
 faecium:7.5mg/kgを8時間ごと60分かけて点滴
 軟部組織感染:7.5mg/kgを12時間ごと60分かけて7日間投与


●セフトビプロール
・抗MRSA作用を持つ、セフェム系抗菌薬。
・院内肺炎(hospital-acquired pneumonia)を対象にした第3相試験では、
 ceftobiprole(セフトビプロール)の治癒率(69%)が
 ceftazidime(セフタジジム)+linezolid(リネゾリド)併用の治癒率(72%)
 に劣らない。

・将来性のある抗菌薬の1つ。


●VAP
バンコマイシンとリネゾリドの2つがATS/ IDSAの院内肺炎ガイドライン
で使用が推奨されている。グラム陽性菌による肺炎治療に対し、
バンコマイシンとリネゾリドを比較した二重盲検試験が二つ公表されている。
両試験のデザインは非劣性試験(non-inferiority trial)であり、2つとも
リネゾリドはバンコマイシンの有効性と劣らないことを証明している。
Clin Infec Dis 2001;32: 401-412.
Clin Ther 2003; 25: 980-982.


Wunderink らによる文献は、二つの臨床比較試験を混合した解析で、
post-hoc 解析の結果、約120名のMRSA肺炎に感染した患者に限って
みると、リネゾリドはバンコマイシンより優れているという内容。
Chest 2003; 124: 1789-1797.
 
しかし、Kollefらが、グラム陽性菌によるVAPの疑いがある患者1019例において
バンコマイシンとリネゾリドを比較した研究の結果では、MRSA・VAP症例の治癒率
はリネゾリド群62.2%、バンコマイシン群21.2%であり、
リネゾリドの優越性が浮き彫りに。

バンコマイシンのMICが2 mcg/mLのMRSA肺炎を治療する場合には、
バンコマイシンの治療効果が得られない場合があるのは当たり前。
ゆえに、それ以外のMRSAに関してはリネゾリドを使う意味はさほどない。
しかしながら、リネゾリドがバンコマイシンよりMRSA肺炎治療薬として
優れているという臨床試験の報告はまだない。

薬剤耐性の面からみると、バンコマイシンは40年前から使用されているのに
2002年までアメリカではバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌の報告がない。
それに対し、リネゾリドは2000年に発売されたが、
2001年にはリネゾリド耐性黄色ブドウ球菌が報告されている。

バンコマイシンによるMRSA肺炎治療の第一選択薬の座を
リネゾリドが奪うにしては、結論が早計すぎやしないか。


●PVL-MRSA
アメリカでは、MRSAを原因菌とするCAPが問題となりつつある。
CAPのMRSAは、院内肺炎の原因菌とは別の菌株であり、病原性、毒性がより強い。
PVL(Panton-Valentine Leukocidin)と呼ばれる毒素を産生、
両側性に壊死性の肺炎を生じる。このMRSA菌株は主に皮膚感染の原因菌で、
肺炎の原因菌となっている例は少ない。しかし、今後、肺炎の原因菌となる例が
増えるかもしれない。

by otowelt | 2009-01-11 21:59

抗MRSA薬(1)

1.バンコマイシンはボルネオが始まり
 ・ボルネオの伝道師が友人に土壌サンプルを送ったことから
  VCMが発見されたといわれている。
 ・その友人は、イーライリリー社の化学者だった。
 ・その土壌サンプルには、グラム陽性菌に対して著効する化合物を産生する
  細菌が生息していた。
 ・vanquish(征服する)という単語に由来して、バンコマイシンと命名された。
Griffith RS. Vancomycin use – an historical review. J Antimicrob Chemother 1984; 14: 1-5.


2.バンコマイシンとは
・グリコペプチド系抗菌薬で、細胞壁合成阻害作用がある。
 βラクタムと異なる段階に作用する
・腸管からの吸収はほとんどなし(腸炎が強いと少し吸収)
・殺菌性で、体内分布は良好だが胆道系・髄液への移行は良くない。
 MRSA髄膜炎(例えば脳外科領域)では大量VCMを必要とする。
・移行性は、炎症のない髄液は良くない。胆管もイマイチ。
・AGとの併用でシナジーを示すが、腎毒性・耳毒性強くなる
・腎臓から排泄(CCr<10で半減期は147hrに)
・時間依存性である


3.バンコマイシンのスペクトラム
・ほとんどすべてのグラム陽性菌に効く。グラム陰性桿菌には活性がない。
・ただしLactobacillus, Leuconostoc, Listeria,Actinomyces,VREなど
 一部に無効あり。そのため、リステリア感染ではあまり使うべきではない。
・MSSAなんかでは、バンコマイシンはセファゾリンやペニシリンに比べて抗菌活性弱い。
・グラム陰性桿菌に効果がないのは、「バンコマイシンは非常に分子が大きく、
 グラム陰性菌の外膜にあるポーリン(孔)を通過できないため。」
 ※唯一、Chryseobacterium meningosepticumに対しては感受性がある
・ほかのぶどう球菌・MSSAでは、バンコマイシンの抗菌活性は極めて低く、
 セファゾリンには太刀打ちできない
・バンコマイシンは腸球菌に対しては、VREでなければ有効だが、静菌的にしか
 作用しないとされている。具体的には、MICに対して非常にMBCが高い。
 この場合、ゲンタマイシンとの併用で殺菌的に作用する。


4.副作用
 Red man症候群 ヒスタミンリリース: 1時間以上かけて滴下
 遅発性バンコマイシン熱 投与2~3週後に起こる発熱
 腎毒性 単剤では起こるかは不明、AG併用で出やすい
 聴器毒性 血中濃度で80μg/mlを超えた症例
 好中球減少 投与してから3~4週間くらいで起こる
※ヘパリンの存在下で活性を失うことがある。 
※セフタジジムやメイロンと混ぜると、析出するので要注意。


5.Redman症候群
 別名Red neck症候群という。ヒスタミン遊離によって起こるもので、
 アレルギーとは違う(Anesthesiology 2000; 92:1074.
 生命にかかわることは少ないが、心血管抑制のためにCPAになる
 ことがしばしばある(Can Anaesth Soc J 1985; 32:65.
 点滴速度が33mg/分(1g/30分)であれば、症状をきたしやすい。
 10mg/分以下なら、症状は起こしにくい。2時間以上かけて点滴する。
 また、オピオイドを内服している患者で起こりやすい。
 50mgのジフェンヒドラミン内服でRMSを抑制できたとのstudyも。
 特に重症RMSではヒスタミンブロッカーの投与が望ましい。
 (J Infect Dis 1991; 164:1180.


6.TDM(Therapeutic drug monitoring)
 投与開始4回目の投与直前troughを測定(peak測定不要)    
 目標濃度:Peak: 20-50 (μg/ml)  
       Trough:10-15 (μg/ml)
・VCMの薬物動態は比較的予想しやすいため、腎機能が正常な
 症例に通常量を使用する場合は、TDMを行う必要はない。
・例外的にピーク/トラフを測定する必要がある状況
 ・アミノグリコシドとの併用・透析症例
 ・通常量以上のバンコマイシン使用・腎機能変動が激しい症例
 ・肝機能異常が強い症例・体重が極端に大きいか小さい
 ・MRSA感染症で最低血中濃度を15μg/ml以上に保ちたい場合


7.適応
●VCMを使うとき
・MRSA,MREなどの耐性菌感染
・βラクタムアレルギー(殺菌力は強くないことに注意)
・メトロニダゾールで失敗したか、非常に重症のCD colitis
・MRSAやMRSEの多い施設、またはcolonizationが確認されている患者での
  人工物埋め込み手術の術前予防 
・髄膜炎でのempiric Rx (病原体・感受性判明まで)  
・MRSAがcolonizeしているか長期間入院している患者でのsepsis

●避けるとき
・ルーチンの術前投与      ・血培1セットのみからのCNS分離
・発熱性好中球減少症でMRSAの可能性が高くない症例への経験的投与
・MRSAのcolonizationの治療  ・吸入・関節・褥瘡などへの局所投与
・C.difficile腸炎の初回治療

by otowelt | 2009-01-11 21:48