カテゴリ:抗酸菌感染症( 146 )

気管支結核の小児157例の臨床的検討

e0156318_9552565.jpg 気管支結核の小児をまとめた珍しい報告です。

Jiao AX, et al.
Characteristics and clinical role of bronchoscopy in diagnosis of childhood endobronchial tuberculosis.
World J Pediatr. 2017 Jun 15. doi: 10.1007/s12519-017-0046-1.


背景:
 気管支結核(EBTB)は、小児肺結核でもっともよくみられる合併症である。この研究の目的は、小児EBTBの診断における気管支鏡の臨床的役割を調べることである。

方法:
 後ろ向きに、気管支鏡を受けた157人のEBTB小児を登録した(2006年1月~2014年6月)。

結果:
 登録患児の年齢中央値は3.4歳で、73.2%が5歳未満だった。もっともよく観察されたEBTBのタイプは腫瘍型であった(92.4%)。浸潤気管支を抽出すると、もっとも病変が確認できたのは右中葉だった(21.5%)。続いて、右主気管支(15.4%)だった。5歳未満の小児は、多発性気管支内病変のリスクが高かった(オッズ比2.313、95%信頼区間1.009-5.299、P=0.044)。気管支鏡前に、16人(10.2%)の患児がEBTBを強く疑われていたが、その他はEBTBのない肺結核と考えられていたり、肺炎や異物誤嚥と誤認されていたりした。

結論:
 5歳未満の肺結核小児はEBTBのリスクが高く、多発性の気管支内病変が観察されやすい。もっともよくみられるEBTBのタイプは腫瘍型であり、右中葉が最も侵されやすい気管支である。


by otowelt | 2017-07-14 00:57 | 抗酸菌感染症

イソニアジド単剤耐性結核は臨床アウトカムを悪化させる

e0156318_9552565.jpg 実臨床でもちらほらみかけます。


van der Heijden YF, et al.
Isoniazid-monoresistant tuberculosis is associated with poor treatment outcomes in Durban, South Africa.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):670-676.


背景:
 南アフリカにおける大規模結核クリニックのデータを用いて、イソニアジド(INH)単剤耐性結核と治療アウトカムの関連性を調べる。

方法:
 後ろ向きの縦断的研究を2000~2012年の結核患者において実施し、INH耐性結核結核と感受性結核をロバスト標準誤差によるロジスティック回帰を用いて調べた。INH単剤耐性結核は、修飾的な治療を受けた。

結果:
 18058人の結核患者のうち、19979の結核菌で薬剤感受性試験が行われた。そのうち、577はINH単剤耐性で16311人は感受性だった。追跡不能、転医、HIV感染症合併例(じつに41%が合併)は両群ともに同等の頻度であった。INH単剤耐性結核は感受性結核より治療失敗の頻度が高かった(4.1% vs 0.6%、p<0.001)。また死亡も多かった(3.2% vs. 1.8%, p=0.01)。年齢、性別、人種、治療ステータス、罹患部位で補正しても、INH単剤耐性エピソードは治療失敗(オッズ比6.84, 95%信頼区間4.29-10.89, P < 0.001)および死亡(オッズ比1.81, 95%信頼区間1.11-2.95, P = 0.02)と関連していた。

結論:
 INH単剤耐性は、感受性結核よりも臨床アウトカムの悪化と関連している。


by otowelt | 2017-06-14 00:09 | 抗酸菌感染症

低蔓えん国における胸水中ADAの臨床的意義

e0156318_9552565.jpg 低蔓えん国におけるデータが少なかったですが、そこまでかけ離れた数値ではなかったですね。
 高ければいいってものではなく、ADAが100IU/Lを超えてくると結核以外の診断を考えなければいけません。

Sivakumar P, et al.
The diagnostic utility of pleural fluid adenosine deaminase for tuberculosis in a low prevalence area.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):697-701.


背景:
 胸水中ADAは、結核の有病率が低い地域では、未診断胸水の患者にルーチンに測定されるわけではない。

方法:
 後ろ向きに胸水中ADAを測定された患者を抽出した(南ロンドン:2009年~2015年)。ROC曲線解析を用いて、感度・特異度が適切になる閾値を設定した。

結果:
 132人が胸水中ADAを測定された。27人が結核性胸膜炎と診断され、105人がそれ以外だった。胸水中ADAの中央値はそれぞれ63IU/L(IQR47-88 )、12IU/L(IQR7.5-22.5)だった。ROC曲線解析で適切なカットオフ値は30IU/Lと設定された。これは陽性適中率、陰性適中率がそれぞれ60.5%、98.9%であり、感度96.3%(95%信頼区間89.2-100)、特異度83.8%(95%信頼区間76.8-90.9)だった。ROC曲線下面積は0.934(95%信頼区間0.893-0.975)だった。

結論:
 南ロンドンにおいて、胸水中ADAが30IU/L未満では結核の診断は考えにくい。


by otowelt | 2017-06-13 00:57 | 抗酸菌感染症

結核治療中の初期悪化のリスク因子

e0156318_9552565.jpg  呼吸器内科医であれば、結核治療時に誰しもが経験したことのある「初期悪化」。これは、免疫再構築症候群・paradoxical reactionと同義です。

Barr DA, et al.
Paradoxical upgrading reaction in extra-pulmonary tuberculosis: association with vitamin D therapy.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):677-683. doi: 10.5588/ijtld.16.0927.


背景:
 結核におけるparadoxical reactionは、抗結核治療時に起こる死滅結核菌に対するアレルギー反応と考えられている。

目的:
 paradoxical reactionのリスク因子を同定し、ビタミンD使用との関連性を調べる。

方法:
 成人肺外結核を有するHIV陰性患者を対象にサーベイランスを実施した。このコホートでは、ビタミンDが新規結核患者に処方されていたり・処方されていなかったりした(なぜ?と思ったが、本文中には「Prescription of vitamin D is increasingly common practice in TB clinics in our setting.」と記載・・・)。
 
結果:
 249人の患者が登録され、ほとんどが結核性リンパ節炎だった。249人中222人が微生物学的・組織学的に結核と診断された症例だった。ビタミンDは249人中57人(23%)に処方されていた。249人中37人(15%)がparadoxical reactionを起こした。
 若年、抗酸菌塗抹陽性検体、多発性結核病巣、リンパ球低値、ビタミンDの使用がリスク因子であるとわかった。
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(文献より引用:Table3)

結論:
 抗結核治療におけるparadoxical reactionには、多量の抗原に対する反応とともに、ビタミンDを介したカスケードの関与が想定される。


by otowelt | 2017-06-05 00:57 | 抗酸菌感染症

NTMに対するクロファジミンの有効性

e0156318_13334416.jpg 集団の患者背景がヘテロすぎる気がします。

参考記事:肺MAC症に対するクロファジミン含有レジメンの有効性は標準治療に匹敵

Stacey L, et al.
Safety and Effectiveness of Clofazimine for Primary and Refractory Nontuberculous Mycobacterial Infection
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.04.175


背景:
 クロファジミンは抗酸菌に対してin vitroで効果があるとされている。NTM治療に用いられることが増えているものの、その使用の支持が得られるほどのデータはない。この研究の目的は、NTM感染症の患者におけるクロファジミンの安全性、忍容性、臨床アウトカムを評価することである。

方法:
 小児および成人の嚢胞性線維症(CF)および非嚢胞性線維症患者における肺・肺外NTM感染症に対してクロファジミン(多剤併用療法の一環として)が用いられた患者の観察コホート研究である(2006~2014年)。治療レジメンおよび有害事象についてデータ収集した。

結果:
 120人の患者が登録された(年齢中央値は62歳)、24人(21%)がCFだった。87人(78%)の患者は前治療において治療抵抗性だった。54人(48%)がM. abscessus complex、41人(37%)がMAC、16人(14%)が2菌種NTMを有していた。クロファジミン使用期間中央値は383日(範囲3-2419日)だった。16人(14%)の患者がクロファジミンを有害事象により中止していた(投与期間中央値101日[95%信頼区間63-119日])。肺NTMの82人中41人(50%)が、12ヶ月以内にNTM培養陰性化を達成した。

結論:
 クロファジミンは安全で忍容性があり小児および成人のCF・非CF患者のNTM感染症に有効である。NTM治療の代替薬として考慮すべきであろう。


by otowelt | 2017-06-01 00:44 | 抗酸菌感染症

肺MAC症における浸潤影・空洞容積は肺機能・SGRQと関連

e0156318_13334416.jpg 実地臨床で感じるところと同じ結果ですね。

Asakura T, et al.
Impact of cavity and infiltration on pulmonary function and health-related quality of life in pulmonary Mycobacterium avium complex disease: A 3-dimensional computed tomographic analysis.
Respir Med. 2017 May;126:9-16. doi: 10.1016/j.rmed.2017.03.010.


背景および目的:
 肺MAC症は、浸潤影、結節、空洞、気管支拡張症などさまざまな疾患像を呈する。しかしながら、肺病変における臨床パラメータの決定因子はいまだ不明である。この研究の目的は、定量的パラメーターを3次元CTで得て、これらパラメータと肺機能とQOLの関連を調べることである。

方法:
 胸部CTの定量解析が67人の肺MAC症患者に対して適用された。3次元CTを用いて肺病変を評価する新規定量的パラメータと肺機能・SGRQスコアの関連性が評価された。

結果:
 全肺容積に対する浸潤影の比率は、有意に肺機能結果と相関していた(%努力性肺活量:ρ = -0.52、残気量:ρ = -0.51、全肺気量:ρ = -0.59)。空洞を有する患者では、空洞容積は%努力性肺活量と強く相関しており(ρ = -0.78)、一方、空洞を有さない群では、全肺容積に対する浸潤影の比率が%努力性肺活量と強く相関していた(ρ = -0.53)。また空洞を有さない群では、全肺容積に対する浸潤影の比率は有意にSGRQパラメータと関連していた(ρ = 0.41-0.52)。

結論:
 3次元CTを用いた解析では、肺MAC症患者において浸潤影は肺機能およびSGRQに対して重要なパラメータであった。また、空洞を有する患者では、空洞容積は肺機能の重要なパラメータであった。ゆえに、浸潤影と空洞容積は肺MAC症マネジメントの重要な特徴であると言える。


by otowelt | 2017-05-16 00:06 | 抗酸菌感染症

肺MAC症の治療は菌陰性化1年を超えても続けるべきか?

e0156318_13334416.jpg たしかに、スパっと1年でやめると再発することが多いような気がします。

Kadota J, et al.
The clinical efficacy of a clarithromycin-based regimen for Mycobacterium avium complex disease: A nationwide post-marketing study.
J Infect Chemother. 2017 May;23(5):293-300.



背景:
 2007年ATS/IDSAステートメントでは、肺MAC症の治療はクラリスロマイシンをベースにした多剤併用治療が推奨されており、菌陰性化から約1年継続するべきとされている。しかしながら、それを裏付けるデータはあまり多くない。われわれの目的は、クラリスロマイシンをベースにしたレジメンの国内臨床アウトカムデータを得ることである。

方法:
 日本のガイドラインに準じて患者は組み入れられ、放射線学的あるいは微生物学的検査が行われた。クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの併用レジメン(クラリスロマイシンベースレジメン)を菌陰性化まで継続し、治療は初回陰性から約1年継続された。データは投与前、菌陰性化時、治療終了時、治療終了6ヶ月時に実施された。

結果:
 466人の患者のうち、肺MAC症に対してクラリスロマイシン800mg/日を処方されていたのは271人だった。これらの患者の菌陰性化率は94.7%だった。微生物学的再発率は追跡しえた100人中5人(5%)だった。再発は、菌陰性化後治療を15ヶ月未満継続された患者で観察された。薬剤による致死的あるいは重篤な合併症はなかった。

結論:
 肺MAC症に対するクラリスロマイシンベースレジメンは高い菌陰性化率を誇る。陰性化の後、15ヶ月未満の治療継続だと、再発を予防するには不十分かもしれない。


by otowelt | 2017-05-15 00:01 | 抗酸菌感染症

コントロール不良の糖尿病は肺結核の微生物学的アウトカム悪化の独立リスク因子

e0156318_9552565.jpg  当たり前のことだと思われがちですが、意外に研究が少なかったようです。

Yoon YS, et al.
The effect of diabetes control status on treatment response in pulmonary tuberculosis: a prospective study.
Thorax. 2017 Mar;72(3):263-270.


背景:
 コントロール不良の糖尿病は、コントロール良好の場合と比べて免疫応答が障害されている。しかしながら、糖尿病コントロールが肺結核患者の治療アウトカムに与える影響についてはよく知られていない。われわれは、糖尿病コントロールが肺結核治療反応性に与える影響を評価した。

方法:
 多施設共同前向き研究が2012年9月から2014年9月までの間におこなわれた。患者はHbA1cによって3群に層別化された。すなわち、糖尿病のない肺結核患者、コントロール良好な糖尿病のある肺結核患者、コントロール不良な糖尿病のある肺結核患者、の3群である。プライマリアウトカムは、初期強化治療2ヶ月後の喀痰中の結核菌培養陰性化率とした。

結果:
 661人の肺結核患者のうち、157人(23.8%)が糖尿病を有しており、108人(68.8%)がコントロール不良であった(HbA1c7.0%以上)。コントロール不良の糖尿病を有する患者はより症状が強く、喀痰結核菌塗抹検査が陽性になりやすく(p<0.001)、空洞を呈しやすかった(p<0.001)。
 治療反応性があっても、コントロール不良の糖尿病を有する患者は非糖尿病患者と比較して2ヶ月後の喀痰結核菌培養検査が陽性になりやすかった(p=0.009)。治療失敗(p=0.015)や死亡(p=0.027)もコントロール不良の糖尿病患者で多く観察された。反面、コントロール良好の患者は非糖尿病患者と同等の治療反応性を呈した。
 多変量解析では、コントロール不良の糖尿病は治療開始2ヶ月後の喀痰結核菌培養検査陽性の独立リスク因子であった(補正オッズ比2.11; p=0.042)。また、治療失敗あるいは死亡の独立リスク因子でもあった(補正オッズ比4.11; p=0.022)。
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(文献より引用:Table3)

結論:
 コントロール不良の糖尿病は、肺結核の治療反応性不良の独立リスク因子である。




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by otowelt | 2017-03-07 00:49 | 抗酸菌感染症

ステロイドと抗TNF-α抗体製剤はIGRAパフォーマンスの悪化を招く

e0156318_9552565.jpg 誰しもが一度は立ち止まる疑問。

Edwards A, et al.
Corticosteroids and infliximab impair the performance of interferon-γ release assays used for diagnosis of latent tuberculosis.
Thorax. 2017 Feb 3. pii: thoraxjnl-2016-209397. doi: 10.1136/thoraxjnl-2016-209397. [Epub ahead of print]


概要:
 過去にIGRA陽性である患者あるいは直近に結核患者への接触があった患者が登録された。元来免疫不全があったり糖尿病がある被験者は除外された。被験者はQFT-GIT(Gold In Tube)を採取された。
 採取した血液に試験薬を導入していく形式で当研究はすすめられた。標準アッセイとして、何も追加されないQFT-GIT、2つ目のアッセイとしてデキサメタゾン2 μg/mlを混注、3つ目のアッセイとして低用量インフリキシマブを想定して5 μg/mlを混注、また高用量を想定して100 μg/mlを混注。
 19人の成人(男性12人、女性7人、年齢中央値45歳)が登録された。登録前に抗結核薬の治療は誰にも導入されておらず、HIVは検査を拒否した3人以外全員陰性だった。
 QFT-GITが陽性だった10人のうち、3人がデキサメタゾンスピッツで陰性化した(7人は陽性のまま)。低用量インフリキシマブスピッツでは、2人がQFT-GIT陰性だった(8人陽性)。同様に高用量インフリキシマブスピッツでは2人が陰性だった(1人が判定不能、7人陽性)。
 抗原刺激インターフェロンγ、IL-2、TNF-α反応は有意に減弱していたが、IP-10反応は保持されていた。
 これらの結果から、ステロイドと抗TNF-α抗体製剤は有意にIGRAパフォーマンスを低下させると考えられる。



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by otowelt | 2017-02-28 00:06 | 抗酸菌感染症

BCGワクチンによるツベルクリン反応偽陽性はいつまで続く?

e0156318_17261144.jpg 意外にデータが少ないそうです。

James D. Mancuso, et al.
The Long-Term Effect of Bacille Calmette-Guérin Vaccination on Tuberculin Skin Testing: A 55-Year Follow-Up Study
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.001


背景:
 BCGは抗酸菌抗原に交差反応を起こすため、ツベルクリン反応(TST)の偽陽性の原因として良く知られている。しかしながら、BCGの影響がTSTに与える影響はよく分かっていない。この研究の目的は、TST反応性に対する長期的なBCGの影響を調べることである。

方法:
 アメリカインディアン/アラスカ人のTSTデータを前向きに1935~1947年に収集し、その後1946~1998年の間に後ろ向きでデータを収集した。TSTは10mm径以上を陽性とした。Kaplan-MeierおよびCox回帰が用いられ、BCG・プラセボ間でTST陽性化・陰性化までの期間を比較した。

結果:
 新生児がBCG接種を受けると、TSTが初期15年陽性化するリスクを上昇させた(補正ハザード比2.33)。この関連はワクチン接種後16~55年の間をあけても持続していた。しかし、その影響には減衰がみられた(補正ハザード比1.26)。BCGワクチン接種者群の間でTST陽性は、初期15年で陰性化しうるが、その後の期間では陰性化の減少はまれであった。

結論:
 新生児期以降にBCGワクチンを摂取することで、CDCが認めているようにTSTに10年を超える影響を与えるかもしれない。この影響は55年まで続く可能性がある。すなわち、ワクチン接種からどれだけ月日を経ようともTSTの解釈には注意を要する。



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by otowelt | 2017-02-03 00:12 | 抗酸菌感染症