カテゴリ:抗酸菌感染症( 155 )

T-SPOT®.TB強陽性と弱陽性の比較

e0156318_9552565.jpg IGRAは海外とは解釈が異なるので注意が必要です。

小高 倫生ら.
活動性結核の診断におけるT-SPOT®.TBの有用性の検討
Kekkaku Vol.92, No.10 : 575-580, 2017


目的:
 IGRA の検査法の一つであるT-SPOT®.TBが,結核菌培養陽性である活動性結核の診断に有用であることの報告はあるが,T-SPOT®.TB陽性症例をT-SPOT®.TBのスポット数の違いで比較検討することが,結核の日常診療に有効であるかを検討した。

対象と方法:
 2013 年4 月から2015年7 月までに当院呼吸器内科にて,肺結核が否定できない症例でT-SPOT®.TBを施行した中でT-SPOT®.TB陽性であった92例を対象とし,T-SPOT®.TB陽性群をスポット数によりT-SPOT®.TB強陽性群35例と弱陽性群57例に分類した。これらの症例の臨床的な相違をretrospectiveに検討した。スポット数での比較を明瞭化するために,T-SPOT®.TBのパネルA(ESAT-6)もしくはパネルB(CFP-10)の値が50以上のものをT-SPOT®.TB強陽性とし,50未満で8 以上のものをT-SPOT®.TB弱陽性と今回の報告では記載した。スポット数を50で分けた理由としては,スポット数50以上はT-SPOT®.TBが陽性であることが明らかであり,それ以上を測定していないため,50 以上と50 未満とを区別した。

結果:
 T-SPOT®.TB強陽性群35 例のうち結核菌培養陽性は10 例,T-SPOT®.TB弱陽性群57例のうち結核菌培養陽性は7 例であり,T-SPOT®.TB強陽性群はT-SPOT®.TB弱陽性群と比較して,結核菌培養陽性であった症例が有意に多かった(P<0.05)。

結論:
 T-SPOT®.TBのスポット数は活動性結核の補助的診断の一つとして有用な検査であると考えられる。


by otowelt | 2017-12-14 00:28 | 抗酸菌感染症

胸水貯留のあるNTM症の臨床的特徴

e0156318_21415744.jpg 時折胸膜炎合併のNTM症もいらっしゃるので、実臨床的で有用な報告だと思います。

Park S, et al.
Clinical characteristics and treatment outcomes of pleural effusions in patients with nontuberculous mycobacterial disease.
Respir Med. 2017 Dec;133:36-41.


背景:
 非結核性抗酸菌(NTM)の感染症は10年にわたって増加してきた。しかしながら、胸膜炎を呈した患者の臨床的特徴についてはよくわかっていない。

方法:
 胸水貯留がみられるNTM患者を1997年から2013年まで後ろ向きに同定した。患者は、確定例(9人:胸水あるいは胸膜からNTMが検出)、疑い例(5人:抗NTM治療によって胸水が軽減)に分けられた。臨床的特徴と治療アウトカムが解析された。胸膜炎のない肺MAC症の患者と胸膜炎のある患者が比較された。

結果:
 14人のNTM胸膜炎患者の年齢中央値は68歳であり、ほとんどが男性だった(14人中9人:64.3%)。 Mycobacterium intracellulareがもっともよくみられた菌種であり(50.0%)、続いてM. avium(35.7%)、M. abscessus (7.1%) 、M. kansasii (7.1%).だった。リンパ球比率の中央値およびADAの中央値はそれぞれ83%、97IU/Lだった。8人の患者が治療完遂し軽快したが、2人の患者はコントロール不良NTMによって死亡した。肺MAC症の胸膜炎患者は、通常の肺MAC症の患者と比較して結節気管支拡張型が少なく治療成功例率が低かった。

結論:
 NTM症の患者の胸水所見は結核のそれと類似していた。治療アウトカムは、胸膜炎があると不良であった。


by otowelt | 2017-12-12 00:40 | 抗酸菌感染症

HIV合併結核は治療成績が悪い

e0156318_9552565.jpg HIV合併結核は年に数えるくらいしか診療しないため、非常に勉強になります。 

松本 健二ら.
大阪市におけるHIV合併肺結核の結核治療成績に関連する要因
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 21_26, 2017


目的:
 HIV 合併肺結核の結核治療成績に関連する要因を分析評価することにより今後の対策
に寄与する。

方法:
 対象は2008~2014 年,大阪市の新登録肺結核のうちHIV 合併が判明した例とした。対照として,性と年代をマッチングさせた2012~2014 年の大阪市の新登録肺結核を用いた。分析はχ2検定およびFisher の直接法を用い,危険率5 % 未満を有意差ありとした。

結果:
 ① HIV 合併肺結核は25 例であり,すべて男性で平均年齢は43.2 歳であった。②喀痰塗抹陽性率は,HIV 合併肺結核では76.0%,一方,対照の肺結核250 例では50.8% と前者で有意に高かった。③結核治療の服薬中断リスク項目:服薬中断リスク項目の検討では,HIV 合併肺結核は多い順に「服薬協力者なし」68.0%,「副作用」48.0%,「経済的な問題」32.0%,「肝障害」28.0% と続き,一方,対照の肺結核ではそれぞれ33.2%,22.8%,16.0%,11.6% であり,各項目に有意差を認めた。④ DOTS 実施率は,HIV 合併肺結核では68.0%,対照の肺結核では94.8% と,HIV 合併肺結核で有意に低かった。死亡,転出,治療中を除く治療成績の比較では,治療成功がHIV 合併肺結核は72.7%,対照の肺結核では92.9% と,HIV 合併肺結核で有意に低かった。HIV 合併肺結核の治療成功16 例と失敗中断6 例それぞれの中断リスクの平均個数は3.8 個,2.8 個と治療成功例で多かったが,DOTS 実施率は75.0%,33.3% と,治療成功例でDOTS 実施率が高かった。

結論:
 HIV 合併肺結核は対照の肺結核より結核の治療成績が有意に悪かった。HIV 合併肺結核では服薬中断リスク項目を多く認め,かつDOTS 実施率が低かったため,服薬中断のリスクアセスメントを適切に行い,服薬支援を強化するべきであると考えられた。


by otowelt | 2017-11-20 00:58 | 抗酸菌感染症

結核の診断に3連痰は必要か?

e0156318_9552565.jpg 実臨床にマッチした内容と思います。

小林賀奈子ら.
結核診断に必要な喀痰塗抹検査回数
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 1_3, 2017


目的:
 結核の診断に集菌塗抹の蛍光染色による3 連続喀痰検査が必要か検討した。

対象:
 2005 年4 月1 日から2012 年12 月31 日の間に肺結核にて入院し,抗結核薬治療を受けた394 人のうち,喀痰培養検査が陽性であり検体の選択基準を満たした379 人を対象とした。

方法:
 3 連続喀痰検査における1 回目喀痰塗抹陽性率と,2 回目・3 回目の累積喀痰塗抹陽性率を後ろ向きに調査した。検体の性状をMiller and Jones 分類を用いて評価し,1 回目の喀痰を粘性痰と膿性痰に分けて検討した。また喀痰採取方法や空洞病変の有無で塗抹陽性率の差を検討した。

結果:
 対象の379 人中,300 人が1回目の喀痰塗抹検査で陽性であった(陽性率79.2%)。粘性痰と膿性痰において1 回目の塗抹陽性率に差があった(72.3% 対91.2%)。一方,喀痰採取法や空洞病変の有無は1 回目の塗抹陽性率に影響しなかった。

考察:
 粘性痰では2 回目は有意に塗抹陽性率が上がったが3 回目は有意ではなく,膿性痰では1 回目で高い塗抹陽性率が得られ,膿性痰を採取することが重要であると考えた。


by otowelt | 2017-11-17 00:33 | 抗酸菌感染症

日本における女性看護師・男性医師の結核感染・発病のリスクの検討

e0156318_9552565.jpg 私もかからないように気をつけねば・・・。

山内 祐子ら.
近年の日本における女性看護師・男性医師の結核感染・発病のリスクの検討
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 5_10, 2017


目的・対象:
 結核登録者情報システムのデータベースを用いて,女性看護師,男性医師の結核罹患および潜在性結核感染症のリスクを一般人口と比較した。

結果:
 2010 年の女性看護師の結核罹患率の相対危険度は20~69 歳で4.86(95% 信頼区間4.31 -5.45)であり,1987~97 年の2.30 よりも上昇していた。相対危険度は20~29 歳で8.84 と最も高く,年齢とともに下がり50 ~ 59 歳で3.60 となるが,それでもなお有意に1 よりは高い。男性医師では39歳以下の年齢でのみ有意に1 より高かった。潜在性結核感染症(LTBI)で治療を指示される者の人口割合は明らかにこれら医療従事者で高く,相対危険度は女性看護師で20~69 歳32.7(同30.5 - 35.0)で,20~29 歳の62.8 から60~69 歳の11.6 までの幅があった。男性医師では20~69 歳で9.7(同7.9-11.7)で,20~29 歳の14.5 から60~69 歳の5.3までの幅があった。

考察:
 看護師や医師の結核患者は一般人口に比して積極的患者発見方法(定期健診や接触者健診)で発見されることが多く,これは現在医療職場における感染曝露対策への努力を示すものといえる。しかしながら,これらの医療従事者における発病やLTBI が多く,また看護師においてみられたようになお上昇している可能性があることから,その問題の動向のさらなる監視と職場における全般的な対策の強化がなおも必要である


by otowelt | 2017-11-16 00:53 | 抗酸菌感染症

リファンピシン単剤耐性結核に対する治療戦略

e0156318_9552565.jpg  RMR-TBに関しては、キードラッグのINHが使えるので、絶望的というわけではありません。

Park S, et al.
Treatment outcomes of rifampin-sparing treatment in patients with pulmonary tuberculosis with rifampin-mono-resistance or rifampin adverse events: A retrospective cohort analysis.
Respir Med. 2017 Oct;131:43-48.


背景:
 リファンピシン単剤耐性結核(RMR-TB)はまれである。原稿のガイドリアンでは、RMR-TBはMDR-TBとして治療されることが推奨されているが、そのエビデンスは不確かである、

方法:
 われわれは後ろ向きにRMR-TBの症例の臨床的特徴とアウトカムを抽出した。RMR-TBの臨床的特徴は、リファンピシンの服用が副作用で容認できなかった症例(RAE-TB)と比較した。

結果:
 44人のRMR-TB、29人のRAE-TB患者が登録された。RMR-TBは、アルコール使用者、肺結核の既往、重症肺結核像が多く、RAE-TBは高齢者、多数の合併症、肺外結核合併が多かった。
 治療ではフルオロキノロン(FQ)がもっともよく用いられた(RMR-TB:70.5%、RAE-TB:82.8%)。治療中央期間はRMR-TBで453日、RAE-TBで371日だった(p = 0.001)。治療成功率はそれぞれ87.2%、80.0%だった(p = 0.586)。
 治療レジメンによるRMR-TB群のサブ解析(スタンダードレジメン11人、スタンダードレジメン+FQ:12人、MDR-TBレジメン21人)では、MFR-TBレジメン使用者では重症の肺結核病巣だったが、治療成功率に差はなかった(85.7%, 91.7%, 85.0%)。治療期間に差異がみられた。
 2人の結核が再発した(スタンダードレジメン群33.3%)。

結論:
 RMR-TB治療に対する、ファーストライン薬+フルオロキノロンはMDR-TBレジメンと同じくらい有効であった。RMR-TB患者ではより短縮した治療が可能かもしれない。


by otowelt | 2017-10-16 00:53 | 抗酸菌感染症

結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用

e0156318_9552565.jpg 結核性胸膜炎には悩まされていますから、非常に有用な報告ですね。

Wen Wang, et al.
Diagnostic accuracy of interleukin 27 for tuberculous pleural effusion: two prospective studies and one meta-analysis
Thorax 2017;0:1–8. doi:10.1136/thoraxjnl-2016-209718


背景:
 滲出性胸水の治療選択には正確な鑑別診断が肝要である。

目的:
 結核性胸膜炎に対する胸水中インターロイキン27の診断精度を調べること。

方法:
 インターロイキン27濃度、インターフェロンγ、ADAが51人の結核性胸膜炎患者および103人の非結核性胸膜炎患者の胸水で測定した(北京コホート)。北京コホートとは別に、その後120人の武漢コホートでも同様の検査を実施した。

結果:
 北京コホートでは、結核性胸膜炎の診断における胸水中インターロイキン27はカットオフ値を591.4 ng/Lに設定すると、AUC0.983 (95%信頼区間0.947 to 0.997)、感度96.1% (95%信頼区間86.5% to 99.5%)、特異度99.0% (95%信頼区間94.7% to 100%)、陽性適中率98.0 (95%信頼区間89.4 to 99.9)、陰性適中率98.1 (95%信頼区間93.3 to 99.8)だった。この診断精度の良さは、武漢コホートでも示された。インターロイキン27は、インターフェロンγと同等の精度を有し、ADAよりも精度が良かった。陰性の場合の検査後確率は0.1%未満であり、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外するのに役立つ。
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(文献より引用:Figure1A,1B)
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(文献より引用:Table3)

結論:
 高蔓延国における結核性胸膜炎の診断にインターロイキン27が有用かもしれない。この検査が陰性であれば、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外できるかもしれない。


by otowelt | 2017-09-19 00:34 | 抗酸菌感染症

80歳以上の高齢結核患者にピラジナミドを用いてもよいか?

e0156318_9552565.jpg 実臨床的で非常に参考になる短報です。

吉山 崇ら.
80歳以上の結核標準治療の検討.
Kekkaku Vol. 92, No. 7 : 485_491, 2017


目的:
 現在の結核の標準治療は、ピラジナミド(PZA)を含む(A)法と含まない(B)法がある。80歳以上の高齢者に対しては後者(B)法をより積極的に推奨しているが、この妥当性を検討する。

方法:
 後ろ向きの既存データを用いた多施設共同研究である。本研究の参加施設は、結核療法研究協議会(療研)内科会参加施設および結核病学会治療委員の協力依頼を受けた結核病床を有する医療施設。2012年に参加施設の80歳以上の結核患者のうち、(A)法または(B)法で治療した結核患者の背景情報、治療成績、有害事象、治療後の再発割合を収集。

結果:
 (A)法、(B)法の間には、性差・年齢・治療歴・喀痰抗酸菌塗抹結果・治療開始時喀痰抗酸菌培養陽性率・画像所見・身体活動度に差はなかった。肝障害・腎障害・悪性腫瘍の合併頻度は(A)法の群で少なかった。病院ごとのPZA含有レジメンの割合はばらつきが大きかった。有害事象の頻度は、肝障害および視神経障害が(A)法の群で多く、治療変更した症例も然りだった。治癒および治療完了割合は(A)法の群が高かった。死亡に差はみられなかった。

結論:
 80歳以上の高齢者に対してもPZA含有結核治療レジメンは有効であるものの、重篤な肝障害のリスクは若年者より高いかもしれない。



by otowelt | 2017-08-25 00:41 | 抗酸菌感染症

土壌曝露はM. intracellulare感染の独立リスク因子である

e0156318_13334416.jpg NTMと土壌の関連性を調べていたら、直近の呼吸器学会雑誌がヒットしました。すいません、読んでいませんでした。

三島 有華ら.
茨城県南地域における非結核性抗酸菌症と環境因子の検討
日呼吸誌, 6(3): 129-135, 2017

背景:
 非結核性抗酸菌は環境中に常在する.

方法:
 茨城県南の肺MAC症患者の土壌曝露,井戸水使用の影響を検討した.対象は128人(69.6±9.4歳),土壌曝露のみは26人,井戸水使用のみは10人,土壌曝露と井戸水使用のある者は22人であった.

結果・結論:
 土壌曝露と井戸水使用のある者でM. intracellulareを多く検出した.多変量解析で土壌曝露はオッズ比3.09(p=0.016)でありM. intracellulare感染の独立した危険因子と考えられ,井戸水使用はオッズ比2.48(p=0.073)であった.


by otowelt | 2017-07-28 00:47 | 抗酸菌感染症

気管支結核の小児157例の臨床的検討

e0156318_9552565.jpg 気管支結核の小児をまとめた珍しい報告です。

Jiao AX, et al.
Characteristics and clinical role of bronchoscopy in diagnosis of childhood endobronchial tuberculosis.
World J Pediatr. 2017 Jun 15. doi: 10.1007/s12519-017-0046-1.


背景:
 気管支結核(EBTB)は、小児肺結核でもっともよくみられる合併症である。この研究の目的は、小児EBTBの診断における気管支鏡の臨床的役割を調べることである。

方法:
 後ろ向きに、気管支鏡を受けた157人のEBTB小児を登録した(2006年1月~2014年6月)。

結果:
 登録患児の年齢中央値は3.4歳で、73.2%が5歳未満だった。もっともよく観察されたEBTBのタイプは腫瘍型であった(92.4%)。浸潤気管支を抽出すると、もっとも病変が確認できたのは右中葉だった(21.5%)。続いて、右主気管支(15.4%)だった。5歳未満の小児は、多発性気管支内病変のリスクが高かった(オッズ比2.313、95%信頼区間1.009-5.299、P=0.044)。気管支鏡前に、16人(10.2%)の患児がEBTBを強く疑われていたが、その他はEBTBのない肺結核と考えられていたり、肺炎や異物誤嚥と誤認されていたりした。

結論:
 5歳未満の肺結核小児はEBTBのリスクが高く、多発性の気管支内病変が観察されやすい。もっともよくみられるEBTBのタイプは腫瘍型であり、右中葉が最も侵されやすい気管支である。


by otowelt | 2017-07-14 00:57 | 抗酸菌感染症