カテゴリ:抗酸菌感染症( 152 )

結核の診断に3連痰は必要か?

e0156318_9552565.jpg 実臨床にマッチした内容と思います。

小林賀奈子ら.
結核診断に必要な喀痰塗抹検査回数
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 1_3, 2017


目的:
 結核の診断に集菌塗抹の蛍光染色による3 連続喀痰検査が必要か検討した。

対象:
 2005 年4 月1 日から2012 年12 月31 日の間に肺結核にて入院し,抗結核薬治療を受けた394 人のうち,喀痰培養検査が陽性であり検体の選択基準を満たした379 人を対象とした。

方法:
 3 連続喀痰検査における1 回目喀痰塗抹陽性率と,2 回目・3 回目の累積喀痰塗抹陽性率を後ろ向きに調査した。検体の性状をMiller and Jones 分類を用いて評価し,1 回目の喀痰を粘性痰と膿性痰に分けて検討した。また喀痰採取方法や空洞病変の有無で塗抹陽性率の差を検討した。

結果:
 対象の379 人中,300 人が1回目の喀痰塗抹検査で陽性であった(陽性率79.2%)。粘性痰と膿性痰において1 回目の塗抹陽性率に差があった(72.3% 対91.2%)。一方,喀痰採取法や空洞病変の有無は1 回目の塗抹陽性率に影響しなかった。

考察:
 粘性痰では2 回目は有意に塗抹陽性率が上がったが3 回目は有意ではなく,膿性痰では1 回目で高い塗抹陽性率が得られ,膿性痰を採取することが重要であると考えた。


by otowelt | 2017-11-17 00:33 | 抗酸菌感染症

日本における女性看護師・男性医師の結核感染・発病のリスクの検討

e0156318_9552565.jpg 私もかからないように気をつけねば・・・。

山内 祐子ら.
近年の日本における女性看護師・男性医師の結核感染・発病のリスクの検討
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 5_10, 2017


目的・対象:
 結核登録者情報システムのデータベースを用いて,女性看護師,男性医師の結核罹患および潜在性結核感染症のリスクを一般人口と比較した。

結果:
 2010 年の女性看護師の結核罹患率の相対危険度は20~69 歳で4.86(95% 信頼区間4.31 -5.45)であり,1987~97 年の2.30 よりも上昇していた。相対危険度は20~29 歳で8.84 と最も高く,年齢とともに下がり50 ~ 59 歳で3.60 となるが,それでもなお有意に1 よりは高い。男性医師では39歳以下の年齢でのみ有意に1 より高かった。潜在性結核感染症(LTBI)で治療を指示される者の人口割合は明らかにこれら医療従事者で高く,相対危険度は女性看護師で20~69 歳32.7(同30.5 - 35.0)で,20~29 歳の62.8 から60~69 歳の11.6 までの幅があった。男性医師では20~69 歳で9.7(同7.9-11.7)で,20~29 歳の14.5 から60~69 歳の5.3までの幅があった。

考察:
 看護師や医師の結核患者は一般人口に比して積極的患者発見方法(定期健診や接触者健診)で発見されることが多く,これは現在医療職場における感染曝露対策への努力を示すものといえる。しかしながら,これらの医療従事者における発病やLTBI が多く,また看護師においてみられたようになお上昇している可能性があることから,その問題の動向のさらなる監視と職場における全般的な対策の強化がなおも必要である


by otowelt | 2017-11-16 00:53 | 抗酸菌感染症

リファンピシン単剤耐性結核に対する治療戦略

e0156318_9552565.jpg  RMR-TBに関しては、キードラッグのINHが使えるので、絶望的というわけではありません。

Park S, et al.
Treatment outcomes of rifampin-sparing treatment in patients with pulmonary tuberculosis with rifampin-mono-resistance or rifampin adverse events: A retrospective cohort analysis.
Respir Med. 2017 Oct;131:43-48.


背景:
 リファンピシン単剤耐性結核(RMR-TB)はまれである。原稿のガイドリアンでは、RMR-TBはMDR-TBとして治療されることが推奨されているが、そのエビデンスは不確かである、

方法:
 われわれは後ろ向きにRMR-TBの症例の臨床的特徴とアウトカムを抽出した。RMR-TBの臨床的特徴は、リファンピシンの服用が副作用で容認できなかった症例(RAE-TB)と比較した。

結果:
 44人のRMR-TB、29人のRAE-TB患者が登録された。RMR-TBは、アルコール使用者、肺結核の既往、重症肺結核像が多く、RAE-TBは高齢者、多数の合併症、肺外結核合併が多かった。
 治療ではフルオロキノロン(FQ)がもっともよく用いられた(RMR-TB:70.5%、RAE-TB:82.8%)。治療中央期間はRMR-TBで453日、RAE-TBで371日だった(p = 0.001)。治療成功率はそれぞれ87.2%、80.0%だった(p = 0.586)。
 治療レジメンによるRMR-TB群のサブ解析(スタンダードレジメン11人、スタンダードレジメン+FQ:12人、MDR-TBレジメン21人)では、MFR-TBレジメン使用者では重症の肺結核病巣だったが、治療成功率に差はなかった(85.7%, 91.7%, 85.0%)。治療期間に差異がみられた。
 2人の結核が再発した(スタンダードレジメン群33.3%)。

結論:
 RMR-TB治療に対する、ファーストライン薬+フルオロキノロンはMDR-TBレジメンと同じくらい有効であった。RMR-TB患者ではより短縮した治療が可能かもしれない。


by otowelt | 2017-10-16 00:53 | 抗酸菌感染症

結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用

e0156318_9552565.jpg 結核性胸膜炎には悩まされていますから、非常に有用な報告ですね。

Wen Wang, et al.
Diagnostic accuracy of interleukin 27 for tuberculous pleural effusion: two prospective studies and one meta-analysis
Thorax 2017;0:1–8. doi:10.1136/thoraxjnl-2016-209718


背景:
 滲出性胸水の治療選択には正確な鑑別診断が肝要である。

目的:
 結核性胸膜炎に対する胸水中インターロイキン27の診断精度を調べること。

方法:
 インターロイキン27濃度、インターフェロンγ、ADAが51人の結核性胸膜炎患者および103人の非結核性胸膜炎患者の胸水で測定した(北京コホート)。北京コホートとは別に、その後120人の武漢コホートでも同様の検査を実施した。

結果:
 北京コホートでは、結核性胸膜炎の診断における胸水中インターロイキン27はカットオフ値を591.4 ng/Lに設定すると、AUC0.983 (95%信頼区間0.947 to 0.997)、感度96.1% (95%信頼区間86.5% to 99.5%)、特異度99.0% (95%信頼区間94.7% to 100%)、陽性適中率98.0 (95%信頼区間89.4 to 99.9)、陰性適中率98.1 (95%信頼区間93.3 to 99.8)だった。この診断精度の良さは、武漢コホートでも示された。インターロイキン27は、インターフェロンγと同等の精度を有し、ADAよりも精度が良かった。陰性の場合の検査後確率は0.1%未満であり、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外するのに役立つ。
e0156318_1542578.jpg
(文献より引用:Figure1A,1B)
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(文献より引用:Table3)

結論:
 高蔓延国における結核性胸膜炎の診断にインターロイキン27が有用かもしれない。この検査が陰性であれば、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外できるかもしれない。


by otowelt | 2017-09-19 00:34 | 抗酸菌感染症

80歳以上の高齢結核患者にピラジナミドを用いてもよいか?

e0156318_9552565.jpg 実臨床的で非常に参考になる短報です。

吉山 崇ら.
80歳以上の結核標準治療の検討.
Kekkaku Vol. 92, No. 7 : 485_491, 2017


目的:
 現在の結核の標準治療は、ピラジナミド(PZA)を含む(A)法と含まない(B)法がある。80歳以上の高齢者に対しては後者(B)法をより積極的に推奨しているが、この妥当性を検討する。

方法:
 後ろ向きの既存データを用いた多施設共同研究である。本研究の参加施設は、結核療法研究協議会(療研)内科会参加施設および結核病学会治療委員の協力依頼を受けた結核病床を有する医療施設。2012年に参加施設の80歳以上の結核患者のうち、(A)法または(B)法で治療した結核患者の背景情報、治療成績、有害事象、治療後の再発割合を収集。

結果:
 (A)法、(B)法の間には、性差・年齢・治療歴・喀痰抗酸菌塗抹結果・治療開始時喀痰抗酸菌培養陽性率・画像所見・身体活動度に差はなかった。肝障害・腎障害・悪性腫瘍の合併頻度は(A)法の群で少なかった。病院ごとのPZA含有レジメンの割合はばらつきが大きかった。有害事象の頻度は、肝障害および視神経障害が(A)法の群で多く、治療変更した症例も然りだった。治癒および治療完了割合は(A)法の群が高かった。死亡に差はみられなかった。

結論:
 80歳以上の高齢者に対してもPZA含有結核治療レジメンは有効であるものの、重篤な肝障害のリスクは若年者より高いかもしれない。



by otowelt | 2017-08-25 00:41 | 抗酸菌感染症

土壌曝露はM. intracellulare感染の独立リスク因子である

e0156318_13334416.jpg NTMと土壌の関連性を調べていたら、直近の呼吸器学会雑誌がヒットしました。すいません、読んでいませんでした。

三島 有華ら.
茨城県南地域における非結核性抗酸菌症と環境因子の検討
日呼吸誌, 6(3): 129-135, 2017

背景:
 非結核性抗酸菌は環境中に常在する.

方法:
 茨城県南の肺MAC症患者の土壌曝露,井戸水使用の影響を検討した.対象は128人(69.6±9.4歳),土壌曝露のみは26人,井戸水使用のみは10人,土壌曝露と井戸水使用のある者は22人であった.

結果・結論:
 土壌曝露と井戸水使用のある者でM. intracellulareを多く検出した.多変量解析で土壌曝露はオッズ比3.09(p=0.016)でありM. intracellulare感染の独立した危険因子と考えられ,井戸水使用はオッズ比2.48(p=0.073)であった.


by otowelt | 2017-07-28 00:47 | 抗酸菌感染症

気管支結核の小児157例の臨床的検討

e0156318_9552565.jpg 気管支結核の小児をまとめた珍しい報告です。

Jiao AX, et al.
Characteristics and clinical role of bronchoscopy in diagnosis of childhood endobronchial tuberculosis.
World J Pediatr. 2017 Jun 15. doi: 10.1007/s12519-017-0046-1.


背景:
 気管支結核(EBTB)は、小児肺結核でもっともよくみられる合併症である。この研究の目的は、小児EBTBの診断における気管支鏡の臨床的役割を調べることである。

方法:
 後ろ向きに、気管支鏡を受けた157人のEBTB小児を登録した(2006年1月~2014年6月)。

結果:
 登録患児の年齢中央値は3.4歳で、73.2%が5歳未満だった。もっともよく観察されたEBTBのタイプは腫瘍型であった(92.4%)。浸潤気管支を抽出すると、もっとも病変が確認できたのは右中葉だった(21.5%)。続いて、右主気管支(15.4%)だった。5歳未満の小児は、多発性気管支内病変のリスクが高かった(オッズ比2.313、95%信頼区間1.009-5.299、P=0.044)。気管支鏡前に、16人(10.2%)の患児がEBTBを強く疑われていたが、その他はEBTBのない肺結核と考えられていたり、肺炎や異物誤嚥と誤認されていたりした。

結論:
 5歳未満の肺結核小児はEBTBのリスクが高く、多発性の気管支内病変が観察されやすい。もっともよくみられるEBTBのタイプは腫瘍型であり、右中葉が最も侵されやすい気管支である。


by otowelt | 2017-07-14 00:57 | 抗酸菌感染症

イソニアジド単剤耐性結核は臨床アウトカムを悪化させる

e0156318_9552565.jpg 実臨床でもちらほらみかけます。


van der Heijden YF, et al.
Isoniazid-monoresistant tuberculosis is associated with poor treatment outcomes in Durban, South Africa.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):670-676.


背景:
 南アフリカにおける大規模結核クリニックのデータを用いて、イソニアジド(INH)単剤耐性結核と治療アウトカムの関連性を調べる。

方法:
 後ろ向きの縦断的研究を2000~2012年の結核患者において実施し、INH耐性結核結核と感受性結核をロバスト標準誤差によるロジスティック回帰を用いて調べた。INH単剤耐性結核は、修飾的な治療を受けた。

結果:
 18058人の結核患者のうち、19979の結核菌で薬剤感受性試験が行われた。そのうち、577はINH単剤耐性で16311人は感受性だった。追跡不能、転医、HIV感染症合併例(じつに41%が合併)は両群ともに同等の頻度であった。INH単剤耐性結核は感受性結核より治療失敗の頻度が高かった(4.1% vs 0.6%、p<0.001)。また死亡も多かった(3.2% vs. 1.8%, p=0.01)。年齢、性別、人種、治療ステータス、罹患部位で補正しても、INH単剤耐性エピソードは治療失敗(オッズ比6.84, 95%信頼区間4.29-10.89, P < 0.001)および死亡(オッズ比1.81, 95%信頼区間1.11-2.95, P = 0.02)と関連していた。

結論:
 INH単剤耐性は、感受性結核よりも臨床アウトカムの悪化と関連している。


by otowelt | 2017-06-14 00:09 | 抗酸菌感染症

低蔓えん国における胸水中ADAの臨床的意義

e0156318_9552565.jpg 低蔓えん国におけるデータが少なかったですが、そこまでかけ離れた数値ではなかったですね。
 高ければいいってものではなく、ADAが100IU/Lを超えてくると結核以外の診断を考えなければいけません。

Sivakumar P, et al.
The diagnostic utility of pleural fluid adenosine deaminase for tuberculosis in a low prevalence area.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):697-701.


背景:
 胸水中ADAは、結核の有病率が低い地域では、未診断胸水の患者にルーチンに測定されるわけではない。

方法:
 後ろ向きに胸水中ADAを測定された患者を抽出した(南ロンドン:2009年~2015年)。ROC曲線解析を用いて、感度・特異度が適切になる閾値を設定した。

結果:
 132人が胸水中ADAを測定された。27人が結核性胸膜炎と診断され、105人がそれ以外だった。胸水中ADAの中央値はそれぞれ63IU/L(IQR47-88 )、12IU/L(IQR7.5-22.5)だった。ROC曲線解析で適切なカットオフ値は30IU/Lと設定された。これは陽性適中率、陰性適中率がそれぞれ60.5%、98.9%であり、感度96.3%(95%信頼区間89.2-100)、特異度83.8%(95%信頼区間76.8-90.9)だった。ROC曲線下面積は0.934(95%信頼区間0.893-0.975)だった。

結論:
 南ロンドンにおいて、胸水中ADAが30IU/L未満では結核の診断は考えにくい。


by otowelt | 2017-06-13 00:57 | 抗酸菌感染症

結核治療中の初期悪化のリスク因子

e0156318_9552565.jpg  呼吸器内科医であれば、結核治療時に誰しもが経験したことのある「初期悪化」。これは、免疫再構築症候群・paradoxical reactionと同義です。

Barr DA, et al.
Paradoxical upgrading reaction in extra-pulmonary tuberculosis: association with vitamin D therapy.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):677-683. doi: 10.5588/ijtld.16.0927.


背景:
 結核におけるparadoxical reactionは、抗結核治療時に起こる死滅結核菌に対するアレルギー反応と考えられている。

目的:
 paradoxical reactionのリスク因子を同定し、ビタミンD使用との関連性を調べる。

方法:
 成人肺外結核を有するHIV陰性患者を対象にサーベイランスを実施した。このコホートでは、ビタミンDが新規結核患者に処方されていたり・処方されていなかったりした(なぜ?と思ったが、本文中には「Prescription of vitamin D is increasingly common practice in TB clinics in our setting.」と記載・・・)。
 
結果:
 249人の患者が登録され、ほとんどが結核性リンパ節炎だった。249人中222人が微生物学的・組織学的に結核と診断された症例だった。ビタミンDは249人中57人(23%)に処方されていた。249人中37人(15%)がparadoxical reactionを起こした。
 若年、抗酸菌塗抹陽性検体、多発性結核病巣、リンパ球低値、ビタミンDの使用がリスク因子であるとわかった。
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(文献より引用:Table3)

結論:
 抗結核治療におけるparadoxical reactionには、多量の抗原に対する反応とともに、ビタミンDを介したカスケードの関与が想定される。


by otowelt | 2017-06-05 00:57 | 抗酸菌感染症