カテゴリ:抗酸菌感染症( 153 )

LTBIに対する3ヵ月のリファペンチン+イソニアジドは9ヶ月イソニアジドに非劣性

T.R. Sterling, et al.
Three Months of Rifapentine and Isoniazid for Latent Tuberculosis Infection
N Engl J Med 2011; 365:2155-2166


背景:
 潜在性結核菌感染(LTBI)に対する治療は
 結核のコントロールと撲滅に必要不可欠である。
 現時点での標準レジメンである9ヵ月のイソニアジド投与は有効だが
 毒性と低い治療完遂率によってその効果は制限されている。

方法:
 結核リスクの高いヒトを対象に、直接的監視による3ヵ月の
 リファペンチン(900 mg)+イソニアジド(900 mg)の
 週1回投与(併用群)あるいは自己管理による9ヵ月の
 イソニアジド(300 mg)の1日1回投与(イソニアジド単独群)を比較。
 プライマリエンドポイントは結核の確定とした。

結果:
 ITT解析において結核を発症したのは併用群3986例中7例
 (累積発症0.19%)、イソニアジド単独群3745例中15例
 (累積発症0.43%)で、差は0.24%ポイントであった。
 治療完遂率は併用群82.1%、イソニアジド単独群69.0%
 であった(P<0.001)。有害事象により投与中止となった比率は
 併用群4.9%、イソニアジド単独群3.7%(P=0.009)。
 薬剤性肝障害発生率は、それぞれ0.4%、2.7%(P<0.001)。

結論:
 3ヵ月リファペンチン+イソニアジド投与は
 LTBIにおいて9ヵ月イソニアジド単独投与と同程度に有効で
 なおかつ治療完遂率は高い。

by otowelt | 2011-12-11 16:20 | 抗酸菌感染症

LTBIに対する12-dose regimenのCDCからの推奨

木曜日、LTBIに対する治療でCDCから
12-dose regimen:週1回3ヵ月HRを推奨するとに正式に発表された。
NEJMからの報告を受けての決定である。
現状のLTBIは、血液検査などチェックしながらの外来通院であるため
臨床医にとっては、短い方が助かるといえば助かる。

The Centers for Disease Control and Prevention (CDC) unveiled new guidelines Thursday for the treatment of latent tuberculosis infection (LTBI) in the U.S. with a 12-dose regimen, administered once-weekly under directly observed therapy (DOT). The current regimen requires daily drug administration over nine months, making the new treatment simpler and easier for patients.

by otowelt | 2011-12-09 07:35 | 抗酸菌感染症

結核患者におけるアベロックス長期投与データ

モキシフロキサシンは、抗結核薬のキノロンとしては
かなり強力なのは言わずもがなである。
現状として、当院ではファーストチョイスのキノロンとしては
レボフロキサシンを使用している。

A.D. Pranger, et al. Evaluation of moxifloxacin for the treatment of tuberculosis: 3 years of experience
Eur Respir J 2011; 38: 888–894


 レトロスペクティブスタディ。
 結核治療においてMFX400mg/dayを内服した
 Tuberculosis Centre Beatrixoord, University Medical
 Centre Groningen (Haren, the Netherlands)の患者
 (2006年1月1日から2009年1月1日まで)

 安全性については、血中24 時間AUC( AUC0―24h)と
 最小発育阻止濃度(MIC)の比(AUC/MIC)とした。

 89人の患者が中央値で6.9mg/kgのMFX1日1回で74日間治療。
 薬物動態的解析でAUC0-24/MICが100未満であったものは
 解析可能であった16人中8人。
e0156318_17444812.jpg
e0156318_17472765.jpg
e0156318_17474288.jpg

by otowelt | 2011-10-03 17:44 | 抗酸菌感染症

縦隔内リンパ節腫大に対する結核診断にEBUS-TBNAは有用

Neal Navani, et al. Utility of endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration in patients with tuberculous intrathoracic lymphadenopathy: a multicentre study
Thorax 2011;66:889-893


背景:
 EBUS-TBNA:Endobronchial ultrasound-guided
 transbronchial needle aspirationは、肺癌診断において重要な
 ツールになったが、結核の縦隔内リンパ節診断の役割は
 確立されていない。このスタディの目的は、EBUS-TBNAを結核による
 縦隔リンパ節腫大の診断に有用かどうかを調べたものである。

方法:
 156人の連続した患者で結核による縦隔内リンパ節腫脹がみられる
 ものをスタディに登録し、4施設で2年以上にわたり調査した。
 最低でも6ヵ月の抗結核治療後フォローアップがあり、診断が確定されており
 臨床的・放射線学的反応がみられたものをスタディに登録している。
 全患者は、CTをEBUS-TBNA前に施行している。

結果:
 EBUS-TBNAは、146人の患者においてTB診断ができた
 (94%; 95% CI 88% to 97%)。病理学的所見は 
 134人(86%)で結核に合致していた。微生物学的な所見としては
 74人(47%)の患者で結核培養陽性であり、陽性までの中央日数は
 16日であった(range 3-84)。8人が薬剤耐性であった(5%)。
 10人(6%)は、EBUSにおいて特異的な診断所見が得られず
 4人は縦隔鏡を施行し、結核と診断された。6人は、経験的に
 結核治療に踏み切って、反応がみられた。入院を要する合併症は
 1人にみられた。

結論:
 EBUS-TBNAは、縦隔リンパ節腫大のある結核の診断において
 安全かつ効果的な方法である。

by otowelt | 2011-09-26 09:42 | 抗酸菌感染症

HIV感染成人における潜在性結核の新レジメンの評価

NEJMから潜在性結核の論文。

New Regimens to Prevent Tuberculosis in Adults with HIV Infection
N Engl J Med 2011;365:11-20.


背景:
 HIV感染者の潜在性結核に対しての治療は有効とされているが、
 実際に治療を受けている例は世界的にも少ない。
 潜在性結核に対し、標準的なINH治療より強力で継続可能な
 3つの新レジメンを評価。

方法:
 HIV感染に対してHAARTを受けていない患者で、
 ツベルクリン反応が陽性である南アフリカの成人を
 1.リファペンチン(rifapentine)(900 mg)+イソニアジド(900 mg)
   週1回12週間投与群
 2.リファンピン(600 mg)+イソニアジド(900 mg)
   週2回12週間投与群
 3.イソニアジド(300 mg) 1日1回最長6年投与群
 4.イソニアジド(300 mg) 1日1回6ヵ月間投与群(コントロール群)
 のいずれかにランダムに割り付け。プライマリエンドポイントは
 結核未発症生存率。

結果:
 1148人が組み込まれた。年齢中央値30歳、CD4細胞数中央値は
 484 個/mm3 だった。活動性結核または死亡の発生率は
 リファペンチン+イソニアジド群では、100人年あたり3.1、
 リファンピン+イソニアジド群では100人年あたり2.9、
 イソニアジド継続群では100人年あたり2.7、
 コントロール群では100人年あたり3.6 であった(すべてP>0.05)。
 重篤な副作用は、イソニアジド継続群(100人年あたり18.4件)が
 他よりも高かった。結核菌分離株58株のうち、2株(3.4%)は
 多剤耐性だった。
e0156318_9474815.jpg
結論:
 HIV感染成人における潜在性結核について
 すべての二次予防レジメンが有効だった。
 イソニアジド+リファペンチンの3ヵ月投与、
 リファンピン+イソニアジドの3ヵ月投与、
 イソニアジドの継続投与のいずれにおいても
 イソニアジドの6ヵ月投与に対して優位性はみられなかった。

by otowelt | 2011-07-09 09:52 | 抗酸菌感染症

固形燃料の使用は結核発症と関連するかもしれない

単変量解析で差が出た論文。

Exposure to combustion of solid fuel and tuberculosis: a matched case–control study
Eur Respir J 2011; 38: 132–138


背景および方法:
 このスタディは、ベナン共和国においておこなわれた
 固形燃料の燃焼曝露と結核との関連を調べたものである。
 連続症例で、喀痰塗沫陽性であった結核患者で
 前治療歴がないものを登録した。近隣の人々から年齢、性別などを
 調整したコントール群を設定した。

結果:
 合計200人の新規塗沫陽性患者、400人の近隣の人々が登録された。
 単変量解析において、調理に用いる固形燃料(OR 1.7, 95% CI 1.1–2.8)、
 既喫煙歴(OR 5.5,95% CI3.1–9.8)、男性(OR 10.5, 95% CI 1.6–71.1)、
 日常的アルコール飲酒(OR 2.3,95% CI 1.2–4.2)、過去5年間における
 家族内結核(OR 30.5, 95%CI 10.8–85.8)は有意に結核と関連していた。
 多変量ロジスティック回帰モデルにおいて、調理における固形燃料の使用は
 結核と統計学的に有意ではなかったが、関連する傾向にあった
 (adjusted OR 1.4, 95% CI 0.7–2.7)。

結論:
 固形燃料の使用は、結核発症と関連している可能性がある。

by otowelt | 2011-07-06 05:53 | 抗酸菌感染症

結核曝露後のQFT陽転は、現行ガイドラインの6~10週後再検では取りこぼすおそれがある

現行のガイドラインでは、QFT陰性患者は曝露後6~10週後にQFT検査を
おこなうべきとの見解である。
Updated guidelines for using interferon gamma release assays to detect Mycobacteriumtuberculosis infection – United States, 2010. MMWR Recomm Rep 2010; 59: 1–25.

QFTの陽転化のタイミングは一般的に言われている4~7週だけでなく
より長いケースもあるという、ガイドラインへ警鐘を鳴らすERJの論文。

Time interval to conversion of interferon-γ release assay after exposure to tuberculosis
Eur Respir J 2011; 37: 1447–1452


背景:
 結核診断において、当初陰性であった人が
 インターフェロンγリリースアッセイ(IGRA)が陽転するまでどのくらいの
 期間を要するかということはよくわかっていない。
 活動性肺結核患者に曝露したあと、IGRAの陽転の期間を調査した。

方法:
 まず、20歳の男性兵士(2人の上官、32人の兵士を有する軍隊所属)
 が結核に罹患した。この兵士はHIV陰性で基礎疾患もなかった。
 200年1月に呼吸器症状が出始め、2009年3月には血痰を呈した。
 この血痰により肺結核と診断されたのは2009年4月だった。
 結核の診断がついた時点で、早急に全員に胸部レントゲンを施行した。
 結果的に4人が活動性肺結核に、1人が接触後調査中に診断され、
 残り27人の接触者においてツベルクリン反応(TST)と
 QuantiFERON1 TB-Gold In-Tube (QFT-GIT)が行われた。
 これらは、2, 4, 8, 14, 18, 30週目に陽性が出るまでの間施行された。
 陽転した場合、潜在性肺結核として治療された。

結果:
 17人(63.0%)の兵士がQFT-GIT陽性で21 (77.8%)人がTST陽性になった。
 初期QFT陰性の10人のうち3人が2週間後に陽転、3人が4週間後に陽転、
 3人が14週間後に陽転。1人は30週の時点でも陰性であった。
e0156318_1141056.jpg
結論:
 結核に曝露した際、IGRA陽転は一般的には4~7週間後に起こるが、
 曝露後14~22週の遅さでも起こり得る。

by otowelt | 2011-06-03 11:47 | 抗酸菌感染症

肺結核の初期8週間治療に4剤合剤を用いることは分離処方に非劣性

先進国の結核ではそこまで大事なスタディではないかもしれないが
発展途上国にとっては重要なスタディであろう。

Abstractには記載されていないが、
結核性髄膜炎、肺外結核、インスリン依存性糖尿病、慢性肝疾患、慢性腎臓疾患、
血液異常、末梢神経障害、妊婦・授乳婦、精神疾患あるいはアルコール依存症、
その他禁忌と考えられる症例は除外されている。

Efficacy and Safety of a 4-Drug Fixed-Dose Combination Regimen Compared With Separate Drugs for Treatment of Pulmonary Tuberculosis. The Study C Randomized Controlled Trial
JAMA. 2011;305(14):1415-1423. doi: 10.1001/jama.2011.436


背景:
 結核治療における固定用量併用療法;Fixed-dose combinations (FDCs)は、
 薬剤耐性のリスクの観点から避けられてきた。

目的:
 4剤FDCを結核治療に用いることの効果と安全性を評価すること。

患者:
 オープンラベル試験で非劣勢を証明するためのランダム化対照試験で
 アフリカ、アジア、南米において2003~2008年に11の場所で
 おこなわれた。患者は1585人の成人で、塗沫陽性の新規肺結核患者。

介入:
 患者は4剤(リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エサンブトール)
 8週間の強化治療期間において、治療を毎日FDCとして受ける群(798人)と、
 非FDCで別々に処方した場合の治療(787人)をランダムに割り付け。
e0156318_1233447.jpg
アウトカム:
 治療アウトカムは、ランダム化後18ヶ月めの培養陰性化とした。
 非劣性はper-protocol解析、改訂ITT解析の結果に基づいて解釈された。
 モデルを2つ使用。(詳細割愛)

結果:
 per-protocol解析において、FDC群の591人のうち555人の患者(93.9%)が、
 分離処方群で579人中548人が望ましい結果となった
 (risk difference, −0.7% [90%CI −3.0% to 1.5%])
 モデル1、2の解析においても差はみられなかった。
 有害事象に関しても同等であった。
e0156318_1231484.jpg
結論:
 薬剤をそれぞれ別個に内服する場合と比べ、4剤のFDCを服用する場合
 非劣性が証明された。必ずしも全ての場合においてFDCが非劣性とは
 限らないが、FDCを用いることの潜在的な有用性がみられると考える。

by otowelt | 2011-04-15 12:08 | 抗酸菌感染症

MACにおいてクラリスロマイシン耐性と23S rRNA変異に相関関係

Abstractしか読めない論文はキライなのだが、少し論文の幅を広げてみる。
マクロライド耐性MACの論文。

Evaluation of a rapid detection method of clarithromycin resistance genes in Mycobacterium avium complex isolates
J Antimicrob Chemother (2011) 66 (4): 722-729.


目的:
 クラリスロマイシンは、Mycobacterium avium complex (MAC)
 においてカギとなる薬剤であり、この感受性は臨床的な反応と相関している。
 23S rRNAの2058あるいは2059のpoint mutationが
 クラリスロマイシン耐性株において高レベルで認められるとされている。
 このスタディにおいて、薬剤感受性テストと23S rRAN遺伝子の変異
 との関連性を調べた。さらに、われわれは23S rRNA変異を同定するため、
 ARMS(Amplification Refractory Mutation System)-PCR法を用いた
 早期同定を今回適用した。

方法:
 NCCLS/CLSI推奨に基づき、微量希釈法を使用し
 クラリスロマイシンのMICを245のMAC株で同定した。
 これらのうち219がクラリスロマイシン感受性で、
 26がクラリスロマイシン耐性であった。また、
 23S rRNA遺伝子のシークエンスとARMS-PCRを実施した。

結果:
 薬剤感受性テストにおいて、MICは感受性と耐性において
 二峰性の分布をとった。23S rRNAのシークエンス解析により 
 クラリスロマイシン感受性株は野生型で、一方クラリスロマイシン耐性24株は
 変異型であった。シークエンスとARMS-PCRの感度はそれぞれ92.3%、84.6%
 であった。特異度はいずれも100%であった。

結論:
 われわれは、クラリスロマイシンのMICと23S rRNA遺伝子変異との間に
 相関を見出した。MACにおいて23S rRNA遺伝子変異に対するARMS-PCRを
 用いることは、クラリスロマイシン耐性の迅速的な判断に有用である。
 

by otowelt | 2011-04-12 06:10 | 抗酸菌感染症

genotypeによっては結核患者における喀痰培養陰性化の促進にビタミンDは有用

結核患者さんの治療では、
塗沫が陰性してすぐに退院できる人と、培養陰性化をじっくり待って退院する人と
大きく2つのコースがある。後者は平均的に2ヶ月くらいかかってしまうので
治療者としてもできるだけ早く家に帰してあげたいところである。
ただ、禁煙できない、コンプライアンス不良、培養陰性化が遅い、という
3種の神器が揃うと非常にやっかいだ。

High-dose vitamin D3 during intensive-phase antimicrobial treatment of pulmonary tuberculosis: a double-blind randomised controlled trial
The Lancet, Volume 377, Issue 9761, Pages 242 - 250, 15 January 2011


背景
 ビタミンDは、抗菌薬が発達する前に結核治療として使用されていた。
 この代謝物はin vitroにおいて抗菌作用があるとされている。
 喀痰培養の陰性化に対してこのビタミンDの効果を検証した臨床試験はない。

方法:
 われわれはビタミンDの多施設共同ランダム化比較試験を
 成人の喀痰塗沫陽性結核患者においてロンドン、イギリスで施行した。
 146人が登録され、2.5mgのビタミンD3あるいはプラセボを
 結核治療開始から14日、28日、42日に投与した。
 プライマリエンドポイントは、治療開始してから喀痰培養陰性化までの時間とした。
 患者は、ビタミンD受容体のTaqIとFokIポリモルフィズムによる
 ジェノタイプ分けがなされた。

結果:
 126人がデータ解析に妥当な患者であった。
 喀痰培養陰性化までの期間は、ビタミンD群において36.0日、プラセボ群に
 おいて43.5日であった。(調整HR 1.39, 95% CI 0.90—2.16; p=0.14)
 またTaqI genotypeはビタミンD投与により喀痰培養陰性化までの期間の
 変化をもたらすことがわかった (P(interaction)=0.03)。
 また、tt genotypeの患者にのみ、促進的な反応が観察された
 (調整HR8.09, 95% CI 1.36—48.01; p=0.02)
 FokI genotypeはビタミンDによる効果に影響はなかった(P(interaction)=0.85)
 56日目の平均血中ビタミンD濃度は、介入群101.4 nmol/L、プラセボ群
 22.8 nmol/Lであった(95% CI for difference 68.6—88.2; p<0.0001)

結論:
 4回にわたるビタミンD3(2.5mg)の投与によって
 抗結核治療を受けている患者の同血中濃度が上昇する。
 ビタミンDは有意に喀痰培養陰性化までの時間には影響しなかったものの
 TaqIのうちのtt genotypeの患者においては有意にその期間を短縮した。

by otowelt | 2011-03-29 06:12 | 抗酸菌感染症