カテゴリ:抗酸菌感染症( 150 )

縦隔内リンパ節腫大に対する結核診断にEBUS-TBNAは有用

Neal Navani, et al. Utility of endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration in patients with tuberculous intrathoracic lymphadenopathy: a multicentre study
Thorax 2011;66:889-893


背景:
 EBUS-TBNA:Endobronchial ultrasound-guided
 transbronchial needle aspirationは、肺癌診断において重要な
 ツールになったが、結核の縦隔内リンパ節診断の役割は
 確立されていない。このスタディの目的は、EBUS-TBNAを結核による
 縦隔リンパ節腫大の診断に有用かどうかを調べたものである。

方法:
 156人の連続した患者で結核による縦隔内リンパ節腫脹がみられる
 ものをスタディに登録し、4施設で2年以上にわたり調査した。
 最低でも6ヵ月の抗結核治療後フォローアップがあり、診断が確定されており
 臨床的・放射線学的反応がみられたものをスタディに登録している。
 全患者は、CTをEBUS-TBNA前に施行している。

結果:
 EBUS-TBNAは、146人の患者においてTB診断ができた
 (94%; 95% CI 88% to 97%)。病理学的所見は 
 134人(86%)で結核に合致していた。微生物学的な所見としては
 74人(47%)の患者で結核培養陽性であり、陽性までの中央日数は
 16日であった(range 3-84)。8人が薬剤耐性であった(5%)。
 10人(6%)は、EBUSにおいて特異的な診断所見が得られず
 4人は縦隔鏡を施行し、結核と診断された。6人は、経験的に
 結核治療に踏み切って、反応がみられた。入院を要する合併症は
 1人にみられた。

結論:
 EBUS-TBNAは、縦隔リンパ節腫大のある結核の診断において
 安全かつ効果的な方法である。

by otowelt | 2011-09-26 09:42 | 抗酸菌感染症

HIV感染成人における潜在性結核の新レジメンの評価

NEJMから潜在性結核の論文。

New Regimens to Prevent Tuberculosis in Adults with HIV Infection
N Engl J Med 2011;365:11-20.


背景:
 HIV感染者の潜在性結核に対しての治療は有効とされているが、
 実際に治療を受けている例は世界的にも少ない。
 潜在性結核に対し、標準的なINH治療より強力で継続可能な
 3つの新レジメンを評価。

方法:
 HIV感染に対してHAARTを受けていない患者で、
 ツベルクリン反応が陽性である南アフリカの成人を
 1.リファペンチン(rifapentine)(900 mg)+イソニアジド(900 mg)
   週1回12週間投与群
 2.リファンピン(600 mg)+イソニアジド(900 mg)
   週2回12週間投与群
 3.イソニアジド(300 mg) 1日1回最長6年投与群
 4.イソニアジド(300 mg) 1日1回6ヵ月間投与群(コントロール群)
 のいずれかにランダムに割り付け。プライマリエンドポイントは
 結核未発症生存率。

結果:
 1148人が組み込まれた。年齢中央値30歳、CD4細胞数中央値は
 484 個/mm3 だった。活動性結核または死亡の発生率は
 リファペンチン+イソニアジド群では、100人年あたり3.1、
 リファンピン+イソニアジド群では100人年あたり2.9、
 イソニアジド継続群では100人年あたり2.7、
 コントロール群では100人年あたり3.6 であった(すべてP>0.05)。
 重篤な副作用は、イソニアジド継続群(100人年あたり18.4件)が
 他よりも高かった。結核菌分離株58株のうち、2株(3.4%)は
 多剤耐性だった。
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結論:
 HIV感染成人における潜在性結核について
 すべての二次予防レジメンが有効だった。
 イソニアジド+リファペンチンの3ヵ月投与、
 リファンピン+イソニアジドの3ヵ月投与、
 イソニアジドの継続投与のいずれにおいても
 イソニアジドの6ヵ月投与に対して優位性はみられなかった。

by otowelt | 2011-07-09 09:52 | 抗酸菌感染症

固形燃料の使用は結核発症と関連するかもしれない

単変量解析で差が出た論文。

Exposure to combustion of solid fuel and tuberculosis: a matched case–control study
Eur Respir J 2011; 38: 132–138


背景および方法:
 このスタディは、ベナン共和国においておこなわれた
 固形燃料の燃焼曝露と結核との関連を調べたものである。
 連続症例で、喀痰塗沫陽性であった結核患者で
 前治療歴がないものを登録した。近隣の人々から年齢、性別などを
 調整したコントール群を設定した。

結果:
 合計200人の新規塗沫陽性患者、400人の近隣の人々が登録された。
 単変量解析において、調理に用いる固形燃料(OR 1.7, 95% CI 1.1–2.8)、
 既喫煙歴(OR 5.5,95% CI3.1–9.8)、男性(OR 10.5, 95% CI 1.6–71.1)、
 日常的アルコール飲酒(OR 2.3,95% CI 1.2–4.2)、過去5年間における
 家族内結核(OR 30.5, 95%CI 10.8–85.8)は有意に結核と関連していた。
 多変量ロジスティック回帰モデルにおいて、調理における固形燃料の使用は
 結核と統計学的に有意ではなかったが、関連する傾向にあった
 (adjusted OR 1.4, 95% CI 0.7–2.7)。

結論:
 固形燃料の使用は、結核発症と関連している可能性がある。

by otowelt | 2011-07-06 05:53 | 抗酸菌感染症

結核曝露後のQFT陽転は、現行ガイドラインの6~10週後再検では取りこぼすおそれがある

現行のガイドラインでは、QFT陰性患者は曝露後6~10週後にQFT検査を
おこなうべきとの見解である。
Updated guidelines for using interferon gamma release assays to detect Mycobacteriumtuberculosis infection – United States, 2010. MMWR Recomm Rep 2010; 59: 1–25.

QFTの陽転化のタイミングは一般的に言われている4~7週だけでなく
より長いケースもあるという、ガイドラインへ警鐘を鳴らすERJの論文。

Time interval to conversion of interferon-γ release assay after exposure to tuberculosis
Eur Respir J 2011; 37: 1447–1452


背景:
 結核診断において、当初陰性であった人が
 インターフェロンγリリースアッセイ(IGRA)が陽転するまでどのくらいの
 期間を要するかということはよくわかっていない。
 活動性肺結核患者に曝露したあと、IGRAの陽転の期間を調査した。

方法:
 まず、20歳の男性兵士(2人の上官、32人の兵士を有する軍隊所属)
 が結核に罹患した。この兵士はHIV陰性で基礎疾患もなかった。
 200年1月に呼吸器症状が出始め、2009年3月には血痰を呈した。
 この血痰により肺結核と診断されたのは2009年4月だった。
 結核の診断がついた時点で、早急に全員に胸部レントゲンを施行した。
 結果的に4人が活動性肺結核に、1人が接触後調査中に診断され、
 残り27人の接触者においてツベルクリン反応(TST)と
 QuantiFERON1 TB-Gold In-Tube (QFT-GIT)が行われた。
 これらは、2, 4, 8, 14, 18, 30週目に陽性が出るまでの間施行された。
 陽転した場合、潜在性肺結核として治療された。

結果:
 17人(63.0%)の兵士がQFT-GIT陽性で21 (77.8%)人がTST陽性になった。
 初期QFT陰性の10人のうち3人が2週間後に陽転、3人が4週間後に陽転、
 3人が14週間後に陽転。1人は30週の時点でも陰性であった。
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結論:
 結核に曝露した際、IGRA陽転は一般的には4~7週間後に起こるが、
 曝露後14~22週の遅さでも起こり得る。

by otowelt | 2011-06-03 11:47 | 抗酸菌感染症

肺結核の初期8週間治療に4剤合剤を用いることは分離処方に非劣性

先進国の結核ではそこまで大事なスタディではないかもしれないが
発展途上国にとっては重要なスタディであろう。

Abstractには記載されていないが、
結核性髄膜炎、肺外結核、インスリン依存性糖尿病、慢性肝疾患、慢性腎臓疾患、
血液異常、末梢神経障害、妊婦・授乳婦、精神疾患あるいはアルコール依存症、
その他禁忌と考えられる症例は除外されている。

Efficacy and Safety of a 4-Drug Fixed-Dose Combination Regimen Compared With Separate Drugs for Treatment of Pulmonary Tuberculosis. The Study C Randomized Controlled Trial
JAMA. 2011;305(14):1415-1423. doi: 10.1001/jama.2011.436


背景:
 結核治療における固定用量併用療法;Fixed-dose combinations (FDCs)は、
 薬剤耐性のリスクの観点から避けられてきた。

目的:
 4剤FDCを結核治療に用いることの効果と安全性を評価すること。

患者:
 オープンラベル試験で非劣勢を証明するためのランダム化対照試験で
 アフリカ、アジア、南米において2003~2008年に11の場所で
 おこなわれた。患者は1585人の成人で、塗沫陽性の新規肺結核患者。

介入:
 患者は4剤(リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エサンブトール)
 8週間の強化治療期間において、治療を毎日FDCとして受ける群(798人)と、
 非FDCで別々に処方した場合の治療(787人)をランダムに割り付け。
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アウトカム:
 治療アウトカムは、ランダム化後18ヶ月めの培養陰性化とした。
 非劣性はper-protocol解析、改訂ITT解析の結果に基づいて解釈された。
 モデルを2つ使用。(詳細割愛)

結果:
 per-protocol解析において、FDC群の591人のうち555人の患者(93.9%)が、
 分離処方群で579人中548人が望ましい結果となった
 (risk difference, −0.7% [90%CI −3.0% to 1.5%])
 モデル1、2の解析においても差はみられなかった。
 有害事象に関しても同等であった。
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結論:
 薬剤をそれぞれ別個に内服する場合と比べ、4剤のFDCを服用する場合
 非劣性が証明された。必ずしも全ての場合においてFDCが非劣性とは
 限らないが、FDCを用いることの潜在的な有用性がみられると考える。

by otowelt | 2011-04-15 12:08 | 抗酸菌感染症

MACにおいてクラリスロマイシン耐性と23S rRNA変異に相関関係

Abstractしか読めない論文はキライなのだが、少し論文の幅を広げてみる。
マクロライド耐性MACの論文。

Evaluation of a rapid detection method of clarithromycin resistance genes in Mycobacterium avium complex isolates
J Antimicrob Chemother (2011) 66 (4): 722-729.


目的:
 クラリスロマイシンは、Mycobacterium avium complex (MAC)
 においてカギとなる薬剤であり、この感受性は臨床的な反応と相関している。
 23S rRNAの2058あるいは2059のpoint mutationが
 クラリスロマイシン耐性株において高レベルで認められるとされている。
 このスタディにおいて、薬剤感受性テストと23S rRAN遺伝子の変異
 との関連性を調べた。さらに、われわれは23S rRNA変異を同定するため、
 ARMS(Amplification Refractory Mutation System)-PCR法を用いた
 早期同定を今回適用した。

方法:
 NCCLS/CLSI推奨に基づき、微量希釈法を使用し
 クラリスロマイシンのMICを245のMAC株で同定した。
 これらのうち219がクラリスロマイシン感受性で、
 26がクラリスロマイシン耐性であった。また、
 23S rRNA遺伝子のシークエンスとARMS-PCRを実施した。

結果:
 薬剤感受性テストにおいて、MICは感受性と耐性において
 二峰性の分布をとった。23S rRNAのシークエンス解析により 
 クラリスロマイシン感受性株は野生型で、一方クラリスロマイシン耐性24株は
 変異型であった。シークエンスとARMS-PCRの感度はそれぞれ92.3%、84.6%
 であった。特異度はいずれも100%であった。

結論:
 われわれは、クラリスロマイシンのMICと23S rRNA遺伝子変異との間に
 相関を見出した。MACにおいて23S rRNA遺伝子変異に対するARMS-PCRを
 用いることは、クラリスロマイシン耐性の迅速的な判断に有用である。
 

by otowelt | 2011-04-12 06:10 | 抗酸菌感染症

genotypeによっては結核患者における喀痰培養陰性化の促進にビタミンDは有用

結核患者さんの治療では、
塗沫が陰性してすぐに退院できる人と、培養陰性化をじっくり待って退院する人と
大きく2つのコースがある。後者は平均的に2ヶ月くらいかかってしまうので
治療者としてもできるだけ早く家に帰してあげたいところである。
ただ、禁煙できない、コンプライアンス不良、培養陰性化が遅い、という
3種の神器が揃うと非常にやっかいだ。

High-dose vitamin D3 during intensive-phase antimicrobial treatment of pulmonary tuberculosis: a double-blind randomised controlled trial
The Lancet, Volume 377, Issue 9761, Pages 242 - 250, 15 January 2011


背景
 ビタミンDは、抗菌薬が発達する前に結核治療として使用されていた。
 この代謝物はin vitroにおいて抗菌作用があるとされている。
 喀痰培養の陰性化に対してこのビタミンDの効果を検証した臨床試験はない。

方法:
 われわれはビタミンDの多施設共同ランダム化比較試験を
 成人の喀痰塗沫陽性結核患者においてロンドン、イギリスで施行した。
 146人が登録され、2.5mgのビタミンD3あるいはプラセボを
 結核治療開始から14日、28日、42日に投与した。
 プライマリエンドポイントは、治療開始してから喀痰培養陰性化までの時間とした。
 患者は、ビタミンD受容体のTaqIとFokIポリモルフィズムによる
 ジェノタイプ分けがなされた。

結果:
 126人がデータ解析に妥当な患者であった。
 喀痰培養陰性化までの期間は、ビタミンD群において36.0日、プラセボ群に
 おいて43.5日であった。(調整HR 1.39, 95% CI 0.90—2.16; p=0.14)
 またTaqI genotypeはビタミンD投与により喀痰培養陰性化までの期間の
 変化をもたらすことがわかった (P(interaction)=0.03)。
 また、tt genotypeの患者にのみ、促進的な反応が観察された
 (調整HR8.09, 95% CI 1.36—48.01; p=0.02)
 FokI genotypeはビタミンDによる効果に影響はなかった(P(interaction)=0.85)
 56日目の平均血中ビタミンD濃度は、介入群101.4 nmol/L、プラセボ群
 22.8 nmol/Lであった(95% CI for difference 68.6—88.2; p<0.0001)

結論:
 4回にわたるビタミンD3(2.5mg)の投与によって
 抗結核治療を受けている患者の同血中濃度が上昇する。
 ビタミンDは有意に喀痰培養陰性化までの時間には影響しなかったものの
 TaqIのうちのtt genotypeの患者においては有意にその期間を短縮した。

by otowelt | 2011-03-29 06:12 | 抗酸菌感染症

M. abscessusは抗菌薬治療に外科手術を加えたほうが微生物学的アウトカムが良好

いわゆるrapid growingと呼ばれる非結核性抗酸菌症のうち
Mycobacterium abscessusの論文がCIDから出ていた。
M. abscessusの治療としては、重症例や呼吸器合併例では
uptodateには以下の記載がある。
•Amikacin (15 mg/kg per day divided in two doses) plus either
•Cefoxitin (2 g intravenously every four hours) or
•Imipenem (1 g intravenously every six hours) plus
•Clarithromycin (500 mg twice daily) or azithromycin (250 to 500 mg daily)

ゆえに、チエナム、アミカシン、クラリスなどと
いった組み合わせを用いることになる。
リネゾリドやモキシフロキサシンといった抗菌薬も有効性が示唆されている。
・Activities of linezolid against rapidly growing mycobacteria. Antimicrob Agents Chemother 2001; 45:764.
・In vitro activity of new fluoroquinolones and linezolid against non-tuberculous mycobacteria. Int J Antimicrob Agents 2003; 21:585.


以下CIDからの論文。

Clinical and Microbiologic Outcomes in Patients Receiving Treatment for Mycobacterium abscessus Pulmonary Disease
Clinical Infectious Diseases 2011;52(5):565–571


背景:
 M. abscessusは、慢性呼吸器感染症を引き起こすが、適切な治療法や
 長期アウトカムについてはほとんどわかっていない。

方法:
 われわれは、ATSのM. abscessus呼吸器疾患の基準に合致する
 症例についてレトロスペクティブ観察研究を2001年から2008年までおこなった。
 われわれの目的は、臨床的あるいは微生物学的アウトカムを、これらの
 患者において抗菌薬多剤併用を手術+抗菌薬と比較することである。

結果:
 107人の患者が解析に組み込まれた。患者は女性に多く(83%)、
 非喫煙者は60%、平均年齢は60歳であった。
 107人のうち59人(55%)が呼吸器MAC感染症を現在あるいは過去に有していた。
 HRCTにおいて気管支拡張症・結節影が98%の患者において、空洞が44%の患者に
 みられた。69人(46人内科的、23人外科手術)が平均34ヶ月フォローアップ
 された。咳嗽、喀痰、疲労感が残存、改善、寛解したのはそれぞれ
 80%、69%、59%であった。69人のうち20人(29人)が培養陽性が
 残存しており、16人(23%)が陰性化したものの再発を経験。
 33人(48%)が陰性化し再発もしなかった。17人(16%)が観察期間中死亡。
 培養陰性化し、それが最低1年続いた患者は外科手術例に顕著であった。
 (57% vs 28%; P=.022)
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結論:
 M. abscessus呼吸器感染において、多剤併用抗菌薬療法と
 手術+抗菌薬治療は臨床的に同様のアウトカムであった。
 しかしながら、外科手術例において微生物学的な反応はより長く続くと思われる。

by otowelt | 2011-02-07 05:41 | 抗酸菌感染症

抗結核薬におけるDLSTは役に立たない?

全国的にも薬剤アレルギーを疑った時に
DLSTが検査される傾向にある。
個人的にはあまり有用とはおもっていない検査の1つである。
メソトレキセートに至っては、もはや出すべきではないとすら思っている。

過去記事:
DLSTは薬剤アレルギーに有用なのか?

抗結核薬のDLSTについて、2008年に論文が出ているが
「DLSTは有用でない」という報告であったため
めんどくさくて読んでいなかった。
最近INHの減感作ばっかりやっているので、せっかくなので読んでみた。
結核屋にとっては大事な論文であろう。

Drug Lymphocyte Stimulation Test in the Diagnosis of Adverse Reactions to Antituberculosis Drugs
CHEST 2008; 134:1027-1032


背景:
 結核は近年の治療向上により効果が高くなっているが、
 その反面で副作用も多いとされている。
 これに対してDrug lymphocyte stimulation test (DLST)が
 副作用を起こす抗結核薬の特定につながるかどうかを検討する。

方法:
 プロスペクティブスタディで、結核入院患者436人を対象とした。
 結核の治療中に副作用を生じた患者にDLSTおよび
 薬剤誘発試験(DPT)をおこなった。薬剤は、isoniazid (INH), rifampin (RIF),
 ethambutol (EMB), pyrazinamide (PZA)とする。

結果:
 436人中69人(15.8%)で副作用を認めた。
 全体で261剤がDLSTおよびDPT施行となった。
 DLST陽性は20例(28.9%)・28剤(10.7%)
 これに対してDPT陽性は46例(66.6%)・67剤(25.7%)であった。
 DLSTの感度は、全薬剤に対しては14.9%であり、個々の薬剤に対しては
 INH 14.3%、RIF 13.6%、EMB 14.3%、PZA 0%であった。
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解釈:
 DPT陽性ならば基本的にDLST陽性であってほしい。この論文の
 根幹はそこにあると思う。この結果から、INHに限って言えば、
 DLSTのSIが高い症例ではDPT陽性例の傾向があるように見える。
 しかしながら、感度は極めて低く、なおかつ偽陽性がINHで20%を超える
 となると、これはもう検査としては成立しない範疇と考えてよいだろう。
 ただ、INHのSIが信じられないくらい高いときはINHに関しては
 考慮してもよいかもしれない。


結論:
 DLSTはの副作用を起こした抗結核薬の同定には寄与しない。

by otowelt | 2011-01-05 15:49 | 抗酸菌感染症

難治性喘息において、NTM感染が一部関連している可能性がある

毎月、CHESTはやや遅れて月始に出る。
呼吸器系のimpact factorが高い論文は、
いつもERJ→AJRCCM→CHESTという順番で読むことになる。

CHESTからNTMと喘息の関連について報告があった。
この論文におけるコホート内症例対照研究というのは、
追跡中のコホート内に発生した患者を”症例”とし、対照が
症例と同じコホートから選択されるもののその選択が
症例の発症後に行われるようなタイプの症例対照研究のことである。

Nontuberculous Mycobacterial Infection as a Cause of Diffi cult-to-Control Asthma. A Case-Control Study.
CHEST 2011; 139(1):23–27


背景:
 非結核性抗酸菌症(NTM)による症候性疾患は、
 構造的な肺疾患の存在があることによって起こることが一般的であるが
 喘息についての報告は少ない。

方法:
 これはコホート内症例対照研究である。われわれは、22人の
 難治性喘息で紹介を受けNTM感染がみられた患者を登録した。
 それぞれの症例に2症例の対照患者を準備した。
 (当該症例から次の喘息2連続患者)

結果:
 症状が発症あるいは悪化してからNTMの診断がつくまで平均2.1年かかった。
 よくみられた症状は、咳嗽の悪化(77%)、喀痰(40.9%)、
 喘息発作の増加(31.8%)であった。肺MAC症は22人中14人(63.6%)に
 みられ、残り8人はM.xenopiであった。該当症例は対照群と比べて
 高齢であり(59.8 ± 8.9 vs 42.6 ± 18 years;P<.001)、より予測FEV1が
 低かった(FEV1 57% [40%-74%] vs 89.5% [80%-98%];P<.001)。
 吸入ステロイド使用率、日々の使用量については両群ともに差はなかったが、
 NTM患者においては、より長期にステロイド吸入を使用していた。
 (17 [6.2-20] vs 4 [0.75-6.0] years; P=.002)
 NTMの6例は、経口ステロイドを常用しており、対照群では使用はみられなかった。
 22例のうち、10例はNTMに対する抗菌薬治療を施行され、7人がその改善を認めた。

結論:
 NTM感染は喘息と関連している可能性がある。難治性の高齢患者で
 吸入ステロイドを使用しているにもかかわらず、FEV1がより低い場合には
 NTM感染を疑うべきである。

by otowelt | 2011-01-05 05:09 | 抗酸菌感染症