カテゴリ:抗酸菌感染症( 141 )

MAC症の菌種別検討:Mycobacterium chimaera(マイコバクテリウム・キマイラ)

 感染症科医・呼吸器内科医は、肺MAC症の1つとしてMycobacterium chimaeraを知っておく必要がありそうです。chimaeraは語源はギリシア神話に登場する怪物であるキマイラが語源が由来です。ラテン語でキマイラ(Chimæra, Chimaera)、ヨーロッパのいくつかの言語ではキメラ (Chimera) 、英語ではキメラ・キメイラ・カイメラ (Chimera)と呼びます。ラテン語表記であることから、「マイコバクテリウム・キマイラ」というのが妥当な発音かと思われます。

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(キマイラ:ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ。Wikipediaより使用[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%A9])

 複数の遺伝子領域をシークエンスして、sequevarを新しい菌種として報告されているため、あたかも新しい菌種が出現したように捉えられがちですが、実のところは「分類が進んだだけ」なのだろうと思います。

Daniel P. Boyle, et al.
Comparison of Clinical Features, Virulence, and Relapse among Mycobacterium avium Complex Species
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 191, No. 11 (2015), pp. 1310-1317.


背景:
 これまで、MAC症はM. aviumM. intracellulareで構成されてきた。しかしながら、遺伝子検索の進歩によって新しい種が見いだされつつある。MAC症の菌種ごとのリスク因子、毒性、臨床アウトカムについて調べた。

目的:
 2000~2012年に著者の施設で得られた肺の検体から分離された全MACを評価するレトロスペクティブコホート研究をおこなった。そして、MACの菌種ごとに臨床経過を調査した。

方法:
 rpoBとinternal transribed spacer(ITS)を使用したマルチローカス遺伝子解析を行い、MACを菌種ごとに区別した。臨床経過、臨床アウトカムについては診療録を参照した。

結果:
 448人から検出されたMACのうち、54%がM. avium、18%がM. intracellulare、28%がM. chimaeraだった。ATS/IDSA基準を用いたところ、M. aviumM. intracellulareM. chimaeraよりも感染の基準を満たしやすかった(それぞれ補正オッズ比2.14; 95%信頼区間1.33–3.44、補正オッズ比3.12;95%信頼区間1.62–5.99)。
 M. chimaeraに感染していた患者は、免疫抑制剤を使用している頻度が多かった(補正オッズ比2.75; 95%信頼区間1.17–6.40)。M. aviumM. chimaeraの感染は、M. intracellulareの感染と比べて再発・再感染をおこしやすかった(それぞれ補正オッズ比5.64; 95%信頼区間1.51–21.10、補正オッズ比4.47; 95%信頼区間1.08–18.53)。

結論:
 MACの菌種別の解析ではそれぞれの菌種によって臨床アウトカムが異なり、一部の菌では再発・再感染を起こしやすいことがわかった。
 

by otowelt | 2015-07-17 00:43 | 抗酸菌感染症

リファンピシンは35mg/kg/dayでも大丈夫!?

e0156318_21313252.jpg リファンピシンの用量はもっと多くていいんじゃない!?というのはこれまで何度も言われてきたことです。Cmaxは高くなりますね。

ATS2013:リファンピシンの妥当な用量は?
結核診療で使用されているリファンピシンの用量は少なすぎる
肺結核患者におけるリファンピシンの血清濃度は低い

Martin J. Boeree, et al.
A Dose-Ranging Trial to Optimize the Dose of Rifampin in the Treatment of Tuberculosis
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 191, No. 9 (2015), pp. 1058-1065.


背景:
 結核に対するリファンピシン(1mg/kg/day)は1971年にその薬効、毒性、コストに鑑みて市場に導入された。マウスとヒトによる過去の研究では、リファンピシンの増量は結核治療を早めることができるかもしれない。

目的:
 リファンピシン増量による安全性、忍容性、薬理動態、早期の結核菌活動性を調べる。

方法:
 全剤感受性の結核患者を、リファンピシン標準量10mg/kg/dayを8人、20, 25, 30, 35mg/kg/dayを15人ずつの5用量群設定し、14日間にわたって投与した。全患者に対してINH、PZA、EBを標準量で治療開始8日目から追加投与した。これによる安全性、薬理動態、結核菌の減少を調べた。

結果:
 5つの用量群においてGrade1, 2の有害事象は同程度であった。Grade 3の肝障害は5例にみられた。
 AUCおよび血清リファンピシン濃度は用量依存性に増加した。14日後の結核菌の減少は、10, 20, 25, 39, 35mg/kg/day群でそれぞれlog10CFU/mLが0.176、0.168、0.167、0.265、0.261だった。
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(AUC0-24およびCmax:文献より引用)
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(log10CFU/mL:文献より引用)

結論:
 2週間におよぶリファンピシン35mg/kg/dayは安全かつ忍容性がある。リファンピシンへの曝露には天井効果のない非線形の用量依存性の濃度上昇がみられ、結核菌量の減少も多かった。



by otowelt | 2015-06-16 00:14 | 抗酸菌感染症

ATS2015:結核高蔓延国における胸水中ADAカットオフ値は低く設定してもよい

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Z. Tong, et al.
Adenosine Deaminase in Pleural Tuberculosis: A Reevaluation of Its Diagnostic Value
ATS2015, B50, Thematic Poster Session


背景:
 胸水中ADAは結核性胸膜炎に有効とされているが、そのカットオフ値はこれまでの研究から40IU/Lが広く受け入れられている。われわれは、レトロスペクティブに血清および胸水中ADAを結核性胸膜炎の患者において測定し、結核高蔓延国における最良のカットオフ値を調べた。

方法:
 レトロスペクティブ研究において、未診断胸水の患者のうち内科的胸腔鏡を実施された患者を登録した。胸水中ADA、血清ADA、胸水中ADA/血清ADA比が測定された。最良の診断カットオフ値を解析した。

結果:
 結核性胸膜炎と悪性胸水を鑑別する上で、胸水中ADAには両群に有意な値差がみられた(P<0.001)。カットオフ値を23.75U/Lに設定すると、胸水中ADAのAUCは0.982、感度90.6%、特異度97.2%であった。血清ADAのAUCは0.463であった。カットオフ値を28.68IU/Lに設定すると、非結核性胸膜炎と比較した場合、結核性胸膜炎の胸水中ADAのAUCは0.918は感度88.5%、特異度72.6%だった。この場合、血清ADAのAUCが0.703に上昇した。胸水中ADA/血清ADA比はカットオフ値2.05で感度86.3%、特異度72.6%だった。胸水中ADAと胸水中ADA/血清ADA比の組み合わせは感度84.2%、特異度89%だった。

結論:
 結核高蔓延国において、結核性胸膜炎の診断に胸水中ADAは低蔓延国よりも低く設定してもよいかもしれない。


by otowelt | 2015-05-19 06:30 | 抗酸菌感染症

活動性肺結核の患者において、女性・長期の症状は気管支結核の存在を予測する

e0156318_14341052.jpg 気管支結核に関する研究です。素晴らしい論文です。それにしても韓国では結核患者さんに対して呼吸機能検査が実施できるのでしょうか。

Sung-Soo Jung, et al.
Incidence and clinical predictors of endobronchial tuberculosis in patients with pulmonary tuberculosis.
Respirology, Article first published online: 26 JAN 2015


背景および目的:
 プロスペクティブ研究がないため、気管支結核の頻度や予測因子については不透明である。われわれの目的は、活動性肺結核の患者における気管支結核の頻度や予測因子を調べることである。

方法:
 われわれはプロスペクティブにすべての肺結核患者に対して気管支結核を同定するために気管支鏡検査をルーチンに実施した。気管支結核の予測因子を解明するために、臨床所見、気管支鏡所見が解析された。

結果:
 429人の肺結核患者に対して気管支鏡検査が実施された。それらのうち、233人(54.3%)に気管支結核所見が得られた。そのほとんどが葉気管支に狭窄が観察された。全体の53.7%に咳嗽症状がみられた。気管支結核の患者は塗抹陽性になる頻度が高かった(232人vs. 134人、p<0.001)。
 女性(オッズ比4.35、95%信頼区間1.78-10.63)、長期の症状(>4週間、オッズ比1.86、95%信頼区間1.05-5.46)、結核の既往歴がないこと(オッズ比4.16、95%信頼区間1.22-14.18)は活動性肺結核患者における気管支結核の合併を予測する独立因子であった。
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(文献より引用)

 ほとんどの気管支結核/肺結核の患者は軽度の狭窄を有しており、それらの20%以上は診断時に重度の狭窄を有していた。気管支結核があった患者は、その後気管支狭窄が遷延しているかどうかフォローアップ気管支鏡を実施された。気管支腔の3分の1以上が狭窄していた遷延性気管支狭窄患者は145人中30人(20.7%)だった(54人はフォローアップロス)。狭窄長が長い症例や1秒量の減少は遷延性気管支狭窄のリスク因子であった。

結論:
 活動性肺結核のある患者の50%以上に気管支結核が観察された。女性、長期の症状は気管支結核合併の主要な予測因子であった。気管支狭窄をきたす一部の活動性結核の患者では、気管支鏡で迅速に診断をつけることを考慮すべきであろう。


by otowelt | 2015-02-13 00:52 | 抗酸菌感染症

HIVに感染した母親の母乳中のインターフェロンγ遊離アッセイ

e0156318_2243466.jpg 母乳中のIGRAを測定した珍しい研究です。

L. M. Cranmer, et al.
Tuberculosis interferon-gamma responses in the breast milk of human immunodeficiency virus infected mothers
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 19, Number 2, 1 February 2015, pp. 141-143(3)


概要:
 この研究は、HIVに感染している母親において、母乳における結核菌細胞性免疫反応をT-SPOTを用いて調べた研究である。Kenyatta National Hospitalにおいて、産後1ヶ月の母乳を採取し、母乳中の細胞を用いてT-SPOTを検査した。インターフェロンγの反応は8人中6人(75%)の母乳アッセイで観察された。母乳と血清の両方が採取された7人の母親において、インターフェロンγ反応性は血液よりも母乳の方が高かった(P =0.02)。母親の母乳と血液中に、結核菌に対するインターフェロンγ反応性の相関性がみられた。
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(文献より引用)


by otowelt | 2015-02-03 00:09 | 抗酸菌感染症

画像での予後悪化因子と肺Mycobacterium avium complex症

e0156318_8455598.jpg 前日に引き続き呼吸器学会誌から紹介です。

市木拓ら.
画像での予後悪化因子と肺Mycobacterium avium complex症
日呼吸誌, 3(6): 783-788, 2014


背景:
 空洞や気管支拡張像,病巣の拡がりが大などの予後悪化因子と考えられる画像所見を有する肺Mycobacterium avium complex症21例の胸部X線写真の経年的変化を検討した.

方法:
 2000 年1 月から2012 年6 月までの間,国立病院機構愛媛医療センターで肺MAC 症と診断され,5 年以上,胸部X 線写真の経過を観察できた症例は49 例あった.これらの症例は診断時には全例胸部CT も撮影されていた.そのうち,診断時の胸部画像所見として,空洞,気管支拡張像,病巣の拡がりが広いなどの予後悪化因子と考えられる所見のいずれかを有する症例は21 例あり,これらの症例を対象に後ろ向きに検討した.

結果:
 初診時と比較した胸部X 線写真の「悪化」例は,1 年後21 例中1 例(5%),3 年後19 例中7 例(37%),5 年後21 例中12 例(57%),7~12 年後の最終観察時には19例中15 例(79%)となっていた.
 入院歴があるものが多く,死亡例など経過不良例もみられた.治療による改善,軽度改善は1年後44%にみられたが以後漸減し,悪化例が増加していた.

結論:
 治療効果を維持するためには,長期治療が有効である可能性もあり,それを含めたさらなる方策が必要である.


by otowelt | 2014-12-26 00:14 | 抗酸菌感染症

結節・気管支拡張型肺MAC症に対する間欠的抗菌薬レジメンは妥当な選択肢である

e0156318_8455598.jpg 間欠的な抗菌薬治療は空洞型では効果が乏しいとされています(Am J Respir Crit Care Med. 2006 Jun 1;173(11):1283-9. )。コンプライアンスの観点からは毎日の方がよいと思いますが・・・。

Byeong-Ho Jeong, et al.
Intermittent Antibiotic Therapy for Nodular Bronchiectatic Mycobacterium avium Complex Lung Disease
Am J Respir Crit Care Med. First published online 13 Nov 2014


背景:
 非空洞性の結節・気管支拡張型の肺MAC症に対して、間欠的な週3回抗菌薬治療が推奨されているが、それを支持するデータは限られている。

目的:
 結節・気管支拡張型の肺MAC症に対して、毎日の抗菌薬治療と比較した間欠的治療の効果と安全性を評価すること。

方法:
 治療を受けたことがない結節・気管支拡張型の肺MAC症217人の患者をレトロスペクティブに登録した。すべての患者は1日1回(99人)あるいは間欠的(週3回、118人)の抗菌薬治療を受けた(クラリスロマイシンあるいはアジスロマイシン+リファンピシン+エタンブトール)。

結果:
 間欠的抗菌薬治療よりも、毎日の抗菌若治療の方が初期抗菌薬治療の調整を要する頻度が高かった(46% vs. 21%, P < 0.001)。特に、エタンブト-ルは毎日の抗菌薬治療を受けている方が中断の頻度が多かった(24% vs. 1%, P < 0.001)。しかしながら、症状の改善、放射線学的な改善、喀痰培養陰性化は両群ともに差はみられなかった(毎日:75% vs. 間欠:82%, P = 0.181; 68% vs. 73%, P = 0.402; 76% vs. 67%, P = 0.154)。

結論:
 非空洞性の結節・気管支拡張型肺MAC症に対するマクロライド、リファンピシン、エタンブトールによる間欠的治療(週3回)は、初期治療として妥当なレジメンであると考えられる。


by otowelt | 2014-12-05 00:54 | 抗酸菌感染症

HIV感染症を有する成人への36ヶ月間イソニアジドの肝障害の頻度は5%

e0156318_2243466.jpg ボツワナの試験(The Lancet, Volume 377, Issue 9777, Pages 1588 - 1598, 7 May 2011 )では、36ヶ月のイソニアジドが有効とされていますが、現時点では9~12ヶ月以上の投与が有効であることは分かっているものの、果たして3年も投与が必要なのかどうかは研究グループによって意見が分かれています。

Zegabriel Tedla, et al.
Isoniazid-associated hepatitis in HIV-infected adults receiving thirty-six months isoniazid prophylaxis in Botswana
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0215


背景:
 結核蔓延国においてHIVに感染した成人に対して、WHOは36ヶ月のイソニアジド予防治療(36IPT)を推奨している。われわれは、36IPTを用いた患者においてイソニアジドによる肝炎の頻度とリスク因子を調べた。

方法:
 ボツワナで実施されたランダム化比較試験において1006人のHIV感染成人が36IPTを受けた。黄疸やトランスアミナーゼが正常上限の2.5倍を超えて上昇している患者は登録から除外した。ARTを受けている場合はCD4陽性リンパ球数が200未満、それ以外はCD4陽性リンパ球数を問わず登録した。重症肝炎(正常上限の5倍を超えるトランスアミナーゼ上昇)がみられた場合、36IPTは中止した。しかし、中等度の障害であれば容認した(2.5~5倍)。

結果:
 1006人中19人(1.9%)が重症肝炎を起こした。3人が黄疸を呈し、2人が肝性脳症に陥った。また31人(3.1%)が中等度の肝炎を起こした。肝炎を起こした50人のうち20人は、ベースラインのARTとは関連していなかった(ハザード比1.49、95%信頼区間0.20-11.1, P=0.70)。

結論:
 36IPTを受けたHIV感染症の成人患者は、過去に報告されているほど肝炎や肝性脳症を起こすわけではなさそうだ。ARTを受けていない患者と比較しても、ARTによってそのリスクが上昇するわけでもなかった。


by otowelt | 2014-11-26 00:18 | 抗酸菌感染症

モキシフロキサシンと高用量リファペンチンの週1回投与を含む6ヶ月レジメンは標準治療と同程度の有効性

e0156318_16322657.jpg 先週のNEJMは結核特集でした。

モキシフロキサシンを含む結核治療レジメン、標準治療に非劣性示さず

Amina Jindani, et al.
High-Dose Rifapentine with Moxifloxacin for Pulmonary Tuberculosis
N Engl J Med 2014; 371:1599-1608


背景:
 結核の治療に現在使用されているレジメンは6ヶ月の連日投与だが、そのレジメンよりも短く簡易的なレジメンが望まれている。

方法:
 新規に診断された喀痰抗酸菌塗抹陽性の薬剤感受性肺結核の患者を3レジメンのいずれかにランダムに割り付けた。すなわち、エタンブトール+イソニアジド+リファンピシン+ピラジナミドを2ヶ月間連日投与した後、イソニアジド+リファンピシンを4ヶ月間連日投与するコントロールレジメン(2HREZ+4HR)、コントロールレジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに替えて 2ヶ月間連日投与した後、モキシフロキサシン+リファペンチン900mgを週2回2ヶ月間投与する4ヶ月レジメン(2MREZ+2MRpt)、コントロールレジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに替えて2ヶ月間連日投与した後、モキシフロキサシン+リファペンチン1200 mgを週1回4ヶ月間投与する6ヶ月レジメン(2MREZ+4MRpt)。喀痰検体を塗抹・培養によって評価した。プライマリアウトカムは治療失敗・再発の複合とし、非劣性マージン6%ポイント、90%信頼区間で非劣性を検証。

結果:
 合計827人の結核患者を南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナ、ザンビアから登録した。患者の28%にHIVウイルスとの重複感染がみられた。per-protocol解析では、治療効果が不良の患者の割合はコントロール群が4.9%、介入群(6ヶ月)が 3.2%(補正後のコントロール群との差-1.8%ポイント、90%信頼区間-6.1~2.4)、介入群(4ヶ月)が18.2%(補正後のコントロール群との差13.6%ポイント、90%信頼区間8.1~19.1)だった。修正ITT解析において治療効果が不良だった患者の割合は、コントロール群が14.4%、介入群(6ヶ月)が13.7%(補正後のコントロール群との差0.4%ポイント、90%信頼区間-4.7~5.6)、介入群(4ヶ月)が26.9%(補正後のコントロール群との差13.1%ポイント、90%信頼区間6.8~19.4)だった。

結論:
 モキシフロキサシンと高用量リファペンチンの週1回投与を含む6ヶ月レジメンに、標準治療のコントロールレジメンと同程度の有効性が確認された。モキシフロキサシンとリファンペンチンの4ヶ月レジメンにはコントロールレジメンに対する非劣性はみられなかった。


by otowelt | 2014-10-27 00:39 | 抗酸菌感染症

腎不全・免疫不全患者のクオンティフェロン

e0156318_2130255.jpg 結核病学会雑誌にあった、総会シンポジウムのまとめが面白いですね。その中から、腎不全・免疫不全患者におけるQFTの考察について、一部抜粋します。

猪狩英俊.
2. 血液透析,免疫低下患者に対するQFT 検査 (第88 回総会シンポジウム)
結核 第89 巻 第9 号 2014 年9 月


背景・方法:
 QFTの評価として,このシンポジウムでは次の2 点について検討した。第1 に,血液透析や免疫低下患者は結核発病リスクが高いといわれているが,これらの疾患を有する患者にはLTBI(QFT 陽性者)は多いのか。第2にこれらの疾患を有する患者を診断する性能として判定不可の割合は多いのか。対象は,慢性腎臓病患者(CKD),透析患者,腎移植前の患者(末期腎不全),腎移植後の患者,リウマチ患者である。比較対象として医療従事者をおいた。

結果・考察:
 CKD患者のQFT 陽性率は8 % で,透析患者のQFT 陽性率は2 % と低かった。多変量解析でも透析はQFT 陽性率を低くする要因であった。リウマチ(RA)患者のQFT 陽性率は11% であった。生物学的製剤開始前の患者のQFT 陽性率は15% と高く,生物学的製剤を開始した患者のQFT 陽性率8 % に比べて高かった。生物学的製剤やメソトレキセートなどの免疫抑制薬が影響している可能性が示された。
 CKD患者の判定不能は5 % で,医療従事者に比べて高かった。特に,腎移植後の患者では15% が判定不能であった。RA患者の判定不能は2 % であった。
 RA 患者のQFT 陽性率は医療従事者に比べて高い可能性がある。しかし,生物学的製剤導入後の人ではQFT陽性率が低くなっており,LTBI の診断が不十分になる可能性がある。多変量解析の結果からも生物学的製剤の使用,ステロイドの使用,メソトレキセートの使用などがQFT 陰性化の要因となった。CKD患者やRA患者では,治療介入がQFT結果に影響を及ぼし,陽性率を低くしている可能性が示された。


by otowelt | 2014-10-21 00:45 | 抗酸菌感染症