カテゴリ:抗酸菌感染症( 147 )

肺MAC症に対するクロファジミン含有レジメンの有効性は標準治療に匹敵

e0156318_13334416.jpg 肺MAC症に対するクロファジミンを代替治療として推奨する報告です。クロファジミン使用率が高いですが、論文中に「クロファジミンかリファンピシンのどちらを使用するかについては治療医にゆだねられた。とりわけリファンピシンの薬物相互作用が懸念される場合、クロファジミンが使用された」と記載されています。選択バイアスがあったことに関しては考察にも記載されています。

Julie Jarand, et al.
Long Term Follow Up Of Mycobacterium Avium Complex Lung Disease In Patients Treated With Regimens Including Clofazimine and/or Rifampin
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-0543


背景:
 肺Mycobacterium avium complex (MAC)症は多剤併用による長期治療が必要な呼吸器感染症である。現行の推奨レジメンでは薬剤忍容性や薬物相互作用がよくみられる。しかしながら、代替治療については限られた報告しかない。

方法:
 この後ろ向きレビューでは、成人の肺MAC症患者で少なくとも治療後6ヶ月の経過を追えたものを登録した。クロファジミンおよびリファンピシンを含むレジメンの臨床的および微生物学的アウトカムを調べた。

結果:
 107人の患者が登録された。79%が女性で、平均年齢は67歳だった。喀痰の抗酸菌塗抹検査は全体の54%で陽性であった。ほとんどの患者はクロファジミン+マクロライド+エタンブトール(85%)によって治療されていた。14人の患者(13%)はリファンピシン+マクロライド+エタンブトールによる治療であった。95%の患者は、平均4.5±4.2ヶ月で喀痰塗抹が陰性化した。クロファジミンによって治療された患者は、リファンピシンで治療された患者よりも喀痰陰性化の頻度が高かった(100% vs 71%; p=0.0002)。
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(文献より引用:肺MAC症アウトカム[Figure2])

 微生物学的な再発は107人中52人(49%)で観察された。36%の患者は再治療を要した。2つの治療レジメン間で再発率や再治療率に有意差はみられなかった。

結論:
 肺MAC症のほとんどの患者は喀痰陰性化が達成できる。再治療は全体の3分の1の患者に要した。われわれのコホートでは、クロファジミン含有レジメンはリファンピシン含有レジメンと初期アウトカムや再治療率について遜色ない結果が得られた。クロファジミンは代替治療案として考慮すべきであろう。


by otowelt | 2015-11-16 00:13 | 抗酸菌感染症

早期胃癌に対する胃切除は結核発症のリスク因子

e0156318_1741025.jpg 一般的に胃切除は結核のリスク因子であることが知られています。

Choi IJ, et al.
Risk Factors for TB in Patients With Early Gastric Cancer: Is Gastrectomy a Significant Risk Factor for TB?
Chest. 2015 Sep 1;148(3):774-83.


背景:
 胃切除は結核のリスク因子として知られている。しかしながら、早期胃癌患者における胃切除と結核との関連性についての研究はない。本研究では早期胃癌患者患者の結核に関連するリスク因子(胃切除を含む)について評価した。

方法:
 これは、韓国国立がんセンターの胃癌データベースを用いたレトロスペクティブコホート研究である。胃切除ないし内視鏡的に早期胃癌(T1)と診断された患者を組み入れた。

結果:
 1935人の患者が本コホートに登録された。これらのうち、1495人が胃切除、440人が内視鏡的切除を行われた。フォローアップ期間中央値は4.9年で、31人が結核を発症した(10万人年あたり334人、95%森羅区間227-475)。多変量Cox回帰分析では、胸部レントゲン写真上の陳旧性肺結核の存在と胃切除が有意なリスク因子として同定された(それぞれハザード比5.01、95%信頼区間2.44-10.28、P < .001、ハザード比8.95、95%信頼区間1.22-65.78、P = .031)。
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(文献より引用:Table2)

 胃切除を行われた患者のサブグループでは、陳旧性肺結核の存在、15%以上の体重減少、胃切除後約1年後の15%以上の血清アルブミン値減少が有意にリスク因子として同定された(それぞれハザード比4.80、95%信頼区間2.26-10.18、P < .001、ハザード比3.08、95%信頼区間1.47-6.48、P = .003、ハザード比5.02、95%信頼区間1.47-17.12、P = .010)。

結論:
 早期胃癌コホートにおいて陳旧性肺結核の存在と胃切除は結核発症の有意なリスク因子である。加えて、胃切除を受けた患者では陳旧性肺結核の存在、15%以上の体重減少・血清アルブミン値低下は結核発症のリスク因子であった。


by otowelt | 2015-10-13 00:49 | 抗酸菌感染症

N-アセチルシステインはアミノグリコシドによる耳毒性を軽減する

e0156318_17184039.jpg 日本でも錠剤が販売されるとよいのですが。

Kranzer K, et a.
A systematic review and meta-analysis of the efficacy and safety of N-acetylcysteine in preventing aminoglycoside-induced ototoxicity: implications for the treatment of multidrug-resistant TB.
Thorax. 2015 Sep 7. pii: thoraxjnl-2015-207245. doi: 10.1136/thoraxjnl-2015-207245. [Epub ahead of print]


背景:
 耳毒性はアミノグリコシドの重大な副作用である。アミノグリコシドは、多剤耐性結核(MDR-TB)の治療として推奨されている。N-アセチルシステイン(NAC)は薬剤性難聴あるいは騒音性難聴に保護的にはたらくとされている。このレビューでは、アミノグリコシドにNACを併用することで耳毒性の発現に影響があるかどうかを調べ、持続的にNACを投与することの安全性と忍容性をアセスメントした。

方法:
 レビューした研究は、NACとアミノグリコシドを併用することで耳毒性を予防する効果を報告したものとした。適応の有無にかかわらずNACを6週間以上投与した研究を対象としている。要約推定量は固定効果モデルを用いて算出された。異質性はI2 statisticを用いて解析した。

結果:
 3つの研究が登録され、アミノグリコシドを投与された末期腎不全146人においてNACは耳毒性を軽減した。投与4~6週間時における耳保護に対する相対リスクは0.14(95%信頼区間0.05~0.45)であり、リスク差は―33.3%だった(95%信頼区間45.5%~21.2%)。
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(文献より引用)

 6週間を超えるNAC投与は83の研究(9988人)において記載されており、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、関節痛は1.4~2.2倍に増えた。

結論:
 アミノグリコシドにNACを併用することで耳毒性を軽減できる。MDRTBに用いるアミノグリコシドにNACを併用する臨床試験の妥当性が強く示唆される。


by otowelt | 2015-10-08 00:29 | 抗酸菌感染症

紫外線殺菌技術による結核菌伝播の予防

e0156318_15305325.jpg 個人的に興味深かった文献です。

Matsie Mphaphlele, et al.
Institutional Tuberculosis Transmission. Controlled Trial of Upper Room Ultraviolet Air Disinfection: A Basis for New Dosing Guidelines
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 192, No. 4 (2015), pp. 477-484.


背景:
 菌の伝播は世界的な結核の流行を広げており、特に人が集まる地域ではそれが起こりやすい。世界的には自然換気が感染を防ぐ手段として用いられるが、本質的に信頼性が乏しく寒冷地域において限界があるだろう。空気を撹拌した紫外線殺菌技術によって結核菌の伝播を減少させる効果があることが示されているが、エビデンスに基づく紫外線量のガイドラインが必要とされている。

目的:
 実際の病院において、空気を撹拌した紫外線殺菌技術による結核菌の伝播が有効かどうか調べ、またその量についてガイドラインを提案する。

方法:
 合計7ヶ月以上にわたって、90匹のモルモットを6床の結核病棟の非殺菌空気を吸わせ、他方の90匹を紫外線殺菌技術による空気を吸わせた。
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(文献より引用:Figure2A)

結果:
 モルモットのツベルクリン反応陽転化(6mm超)を比較した。紫外線による殺菌技術を用いなかった場合のツベルクリン陽転化のハザード比は4.9(95%信頼区間2.8-8.6)であった。殺菌効果は約80%と推定された。

結論:
 空気中の紫外線殺菌技術は、結核菌の伝播を減少させる上で効果的であると考えられる。これらのデータから、室内全体で15–20 mW/m3の紫外線量、平均紫外線線量率(UV fluence rate)は5–7 μW/cm2と計算された。


by otowelt | 2015-09-25 00:14 | 抗酸菌感染症

非結核性抗酸菌症に対するベダキリンは有効かもしれない

e0156318_233338.jpg ベダキリンとマクロライドとの併用はQT延長のリスクがあります。
 多剤耐性結核に対するベダキリンの論文はNEJMにすでに掲載されています。

多剤耐性結核に対するべダキリンの有効性

Julie V. Philley, et al.
Preliminary Results of Bedaquiline as Salvage Therapy for Patients with Nontuberculous Mycobacterial Lung Disease.
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.14-2764


背景:
 ベダキリンは、ジアリルキリノンと呼ばれる新規薬剤に分類される経口抗抗酸菌治療薬である。菌のATP合成酵素(ATP synthase)を阻害する。ベダキリンは多剤耐性結核に対して有効とされているが、非結核性抗酸菌症(NTM)に対して臨床的に試験されたことはない。

方法:
 われわれは、M. avium complex(MAC)症あるいはM. abscessus(Mab)の治療失敗に陥った肺疾患患者に対してベダキリンを探索的に用いた例を報告する。この薬剤について保険支払が可能であった患者のみを適格基準に登録した。15人の成人患者が選択されたが、10人のみがベダキリン内服可能であった(6人MAC、4人Mab)。10人の患者はベダキリン開始時にはすでに当該疾患に対して1~8年治療を受けていた。80%の患者がマクロライド耐性株を有していた(10人中8人)。患者は結核治療で用いられていたベダキリンの用量と同様のベダキリンを使用され、最も効果的な薬剤も併用した。

結果:
 もっともよくみられた有害事象は悪心(60%)、関節痛(40%)、食欲不振および主観的発熱(30%)であった。QT延長などの心電図異常はみられなかった。6ヶ月治療のあと、60%(10人中6人)の患者は微生物学的に反応がみられ、50%(10人中5人)は培養陰性化が1回以上観察された。

結論:
 この小規模な報告では、進行MACあるいはMabの患者に対するベダキリンの臨床的・微生物学的活性が示されたが、さらに大規模な研究が必要である。


by otowelt | 2015-09-10 00:33 | 抗酸菌感染症

接触者における末梢血単球の上昇は活動性結核の発症リスク

e0156318_171626100.jpg 個人的には、抗癌剤の投与後くらいしか末梢血の単球に着目することはありません。

Niaina Rakotosamimanana, et al.
Biomarkers for risk of developing active tuberculosis in contacts of TB patients: a prospective cohort study
ERJ August 6, 2015 ERJ-00263-2015


背景:
 ルーチンの臨床所見や血液検査データで、潜在性結核感染(LTBI)の患者が活動性結核を発症するリスク因子を同定することは、依然結核感染予防に対する大きな挑戦といえよう。われわれは、活動性結核の発症に関連するリスク因子を調べるプロスペクティブ研究をおこなった。

方法:
 HIV陰性の家族内接触者(296人)の臨床的特徴、血液検査、ツベルクリン反応(TST)、胸部画像検査をフォローアップの18ヶ月間に実施した。paired t-test、Kaplan-Meier解析、Cox比例ハザードモデルを用いて、接触者において活動性結核を発症の有無を分ける因子を調べた。

結果:
 接触者における結核症状の発現頻度は、末梢血単球が上昇している患者(補正ハザード比6.25, 95%信頼区間1.63–23.95; p<0.01)、TST反応が14mm以上の患者(補正ハザード比5.72, 95%信頼区間1.22–26.80; p=0.03)、単球/リンパ球比の上昇がある患者(補正ハザード比4.97, 95%信頼区間1.3–18.99; p=0.03)で多かった。TSTが14mm以上の接触者のうち、結核の発症リスクと強い関連がみられたのは末梢血単球の比率であった(補正ハザード比8.46, 95%信頼区間1.74–41.22; p<0.01)。
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(文献より引用:Figure3:単球カットオフ値7.5%での感度・特異度)

結論:
 末梢血単球およびTST反応性の上昇は、接触者の中から活動性結核を発症する患者を同定するための潜在的バイオマーカーと考えられる。


by otowelt | 2015-08-28 00:02 | 抗酸菌感染症

MAC症の菌種別検討:Mycobacterium chimaera(マイコバクテリウム・キマイラ)

 感染症科医・呼吸器内科医は、肺MAC症の1つとしてMycobacterium chimaeraを知っておく必要がありそうです。chimaeraは語源はギリシア神話に登場する怪物であるキマイラが語源が由来です。ラテン語でキマイラ(Chimæra, Chimaera)、ヨーロッパのいくつかの言語ではキメラ (Chimera) 、英語ではキメラ・キメイラ・カイメラ (Chimera)と呼びます。ラテン語表記であることから、「マイコバクテリウム・キマイラ」というのが妥当な発音かと思われます。

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(キマイラ:ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ。Wikipediaより使用[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%A9])

 複数の遺伝子領域をシークエンスして、sequevarを新しい菌種として報告されているため、あたかも新しい菌種が出現したように捉えられがちですが、実のところは「分類が進んだだけ」なのだろうと思います。

Daniel P. Boyle, et al.
Comparison of Clinical Features, Virulence, and Relapse among Mycobacterium avium Complex Species
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 191, No. 11 (2015), pp. 1310-1317.


背景:
 これまで、MAC症はM. aviumM. intracellulareで構成されてきた。しかしながら、遺伝子検索の進歩によって新しい種が見いだされつつある。MAC症の菌種ごとのリスク因子、毒性、臨床アウトカムについて調べた。

目的:
 2000~2012年に著者の施設で得られた肺の検体から分離された全MACを評価するレトロスペクティブコホート研究をおこなった。そして、MACの菌種ごとに臨床経過を調査した。

方法:
 rpoBとinternal transribed spacer(ITS)を使用したマルチローカス遺伝子解析を行い、MACを菌種ごとに区別した。臨床経過、臨床アウトカムについては診療録を参照した。

結果:
 448人から検出されたMACのうち、54%がM. avium、18%がM. intracellulare、28%がM. chimaeraだった。ATS/IDSA基準を用いたところ、M. aviumM. intracellulareM. chimaeraよりも感染の基準を満たしやすかった(それぞれ補正オッズ比2.14; 95%信頼区間1.33–3.44、補正オッズ比3.12;95%信頼区間1.62–5.99)。
 M. chimaeraに感染していた患者は、免疫抑制剤を使用している頻度が多かった(補正オッズ比2.75; 95%信頼区間1.17–6.40)。M. aviumM. chimaeraの感染は、M. intracellulareの感染と比べて再発・再感染をおこしやすかった(それぞれ補正オッズ比5.64; 95%信頼区間1.51–21.10、補正オッズ比4.47; 95%信頼区間1.08–18.53)。

結論:
 MACの菌種別の解析ではそれぞれの菌種によって臨床アウトカムが異なり、一部の菌では再発・再感染を起こしやすいことがわかった。
 

by otowelt | 2015-07-17 00:43 | 抗酸菌感染症

リファンピシンは35mg/kg/dayでも大丈夫!?

e0156318_21313252.jpg リファンピシンの用量はもっと多くていいんじゃない!?というのはこれまで何度も言われてきたことです。Cmaxは高くなりますね。

ATS2013:リファンピシンの妥当な用量は?
結核診療で使用されているリファンピシンの用量は少なすぎる
肺結核患者におけるリファンピシンの血清濃度は低い

Martin J. Boeree, et al.
A Dose-Ranging Trial to Optimize the Dose of Rifampin in the Treatment of Tuberculosis
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 191, No. 9 (2015), pp. 1058-1065.


背景:
 結核に対するリファンピシン(1mg/kg/day)は1971年にその薬効、毒性、コストに鑑みて市場に導入された。マウスとヒトによる過去の研究では、リファンピシンの増量は結核治療を早めることができるかもしれない。

目的:
 リファンピシン増量による安全性、忍容性、薬理動態、早期の結核菌活動性を調べる。

方法:
 全剤感受性の結核患者を、リファンピシン標準量10mg/kg/dayを8人、20, 25, 30, 35mg/kg/dayを15人ずつの5用量群設定し、14日間にわたって投与した。全患者に対してINH、PZA、EBを標準量で治療開始8日目から追加投与した。これによる安全性、薬理動態、結核菌の減少を調べた。

結果:
 5つの用量群においてGrade1, 2の有害事象は同程度であった。Grade 3の肝障害は5例にみられた。
 AUCおよび血清リファンピシン濃度は用量依存性に増加した。14日後の結核菌の減少は、10, 20, 25, 39, 35mg/kg/day群でそれぞれlog10CFU/mLが0.176、0.168、0.167、0.265、0.261だった。
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(AUC0-24およびCmax:文献より引用)
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(log10CFU/mL:文献より引用)

結論:
 2週間におよぶリファンピシン35mg/kg/dayは安全かつ忍容性がある。リファンピシンへの曝露には天井効果のない非線形の用量依存性の濃度上昇がみられ、結核菌量の減少も多かった。



by otowelt | 2015-06-16 00:14 | 抗酸菌感染症

ATS2015:結核高蔓延国における胸水中ADAカットオフ値は低く設定してもよい

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Z. Tong, et al.
Adenosine Deaminase in Pleural Tuberculosis: A Reevaluation of Its Diagnostic Value
ATS2015, B50, Thematic Poster Session


背景:
 胸水中ADAは結核性胸膜炎に有効とされているが、そのカットオフ値はこれまでの研究から40IU/Lが広く受け入れられている。われわれは、レトロスペクティブに血清および胸水中ADAを結核性胸膜炎の患者において測定し、結核高蔓延国における最良のカットオフ値を調べた。

方法:
 レトロスペクティブ研究において、未診断胸水の患者のうち内科的胸腔鏡を実施された患者を登録した。胸水中ADA、血清ADA、胸水中ADA/血清ADA比が測定された。最良の診断カットオフ値を解析した。

結果:
 結核性胸膜炎と悪性胸水を鑑別する上で、胸水中ADAには両群に有意な値差がみられた(P<0.001)。カットオフ値を23.75U/Lに設定すると、胸水中ADAのAUCは0.982、感度90.6%、特異度97.2%であった。血清ADAのAUCは0.463であった。カットオフ値を28.68IU/Lに設定すると、非結核性胸膜炎と比較した場合、結核性胸膜炎の胸水中ADAのAUCは0.918は感度88.5%、特異度72.6%だった。この場合、血清ADAのAUCが0.703に上昇した。胸水中ADA/血清ADA比はカットオフ値2.05で感度86.3%、特異度72.6%だった。胸水中ADAと胸水中ADA/血清ADA比の組み合わせは感度84.2%、特異度89%だった。

結論:
 結核高蔓延国において、結核性胸膜炎の診断に胸水中ADAは低蔓延国よりも低く設定してもよいかもしれない。


by otowelt | 2015-05-19 06:30 | 抗酸菌感染症

活動性肺結核の患者において、女性・長期の症状は気管支結核の存在を予測する

e0156318_14341052.jpg 気管支結核に関する研究です。素晴らしい論文です。それにしても韓国では結核患者さんに対して呼吸機能検査が実施できるのでしょうか。

Sung-Soo Jung, et al.
Incidence and clinical predictors of endobronchial tuberculosis in patients with pulmonary tuberculosis.
Respirology, Article first published online: 26 JAN 2015


背景および目的:
 プロスペクティブ研究がないため、気管支結核の頻度や予測因子については不透明である。われわれの目的は、活動性肺結核の患者における気管支結核の頻度や予測因子を調べることである。

方法:
 われわれはプロスペクティブにすべての肺結核患者に対して気管支結核を同定するために気管支鏡検査をルーチンに実施した。気管支結核の予測因子を解明するために、臨床所見、気管支鏡所見が解析された。

結果:
 429人の肺結核患者に対して気管支鏡検査が実施された。それらのうち、233人(54.3%)に気管支結核所見が得られた。そのほとんどが葉気管支に狭窄が観察された。全体の53.7%に咳嗽症状がみられた。気管支結核の患者は塗抹陽性になる頻度が高かった(232人vs. 134人、p<0.001)。
 女性(オッズ比4.35、95%信頼区間1.78-10.63)、長期の症状(>4週間、オッズ比1.86、95%信頼区間1.05-5.46)、結核の既往歴がないこと(オッズ比4.16、95%信頼区間1.22-14.18)は活動性肺結核患者における気管支結核の合併を予測する独立因子であった。
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(文献より引用)

 ほとんどの気管支結核/肺結核の患者は軽度の狭窄を有しており、それらの20%以上は診断時に重度の狭窄を有していた。気管支結核があった患者は、その後気管支狭窄が遷延しているかどうかフォローアップ気管支鏡を実施された。気管支腔の3分の1以上が狭窄していた遷延性気管支狭窄患者は145人中30人(20.7%)だった(54人はフォローアップロス)。狭窄長が長い症例や1秒量の減少は遷延性気管支狭窄のリスク因子であった。

結論:
 活動性肺結核のある患者の50%以上に気管支結核が観察された。女性、長期の症状は気管支結核合併の主要な予測因子であった。気管支狭窄をきたす一部の活動性結核の患者では、気管支鏡で迅速に診断をつけることを考慮すべきであろう。


by otowelt | 2015-02-13 00:52 | 抗酸菌感染症