カテゴリ:抗酸菌感染症( 145 )

結節・気管支拡張型肺MAC症に対する間欠的抗菌薬レジメンは妥当な選択肢である

e0156318_8455598.jpg 間欠的な抗菌薬治療は空洞型では効果が乏しいとされています(Am J Respir Crit Care Med. 2006 Jun 1;173(11):1283-9. )。コンプライアンスの観点からは毎日の方がよいと思いますが・・・。

Byeong-Ho Jeong, et al.
Intermittent Antibiotic Therapy for Nodular Bronchiectatic Mycobacterium avium Complex Lung Disease
Am J Respir Crit Care Med. First published online 13 Nov 2014


背景:
 非空洞性の結節・気管支拡張型の肺MAC症に対して、間欠的な週3回抗菌薬治療が推奨されているが、それを支持するデータは限られている。

目的:
 結節・気管支拡張型の肺MAC症に対して、毎日の抗菌薬治療と比較した間欠的治療の効果と安全性を評価すること。

方法:
 治療を受けたことがない結節・気管支拡張型の肺MAC症217人の患者をレトロスペクティブに登録した。すべての患者は1日1回(99人)あるいは間欠的(週3回、118人)の抗菌薬治療を受けた(クラリスロマイシンあるいはアジスロマイシン+リファンピシン+エタンブトール)。

結果:
 間欠的抗菌薬治療よりも、毎日の抗菌若治療の方が初期抗菌薬治療の調整を要する頻度が高かった(46% vs. 21%, P < 0.001)。特に、エタンブト-ルは毎日の抗菌薬治療を受けている方が中断の頻度が多かった(24% vs. 1%, P < 0.001)。しかしながら、症状の改善、放射線学的な改善、喀痰培養陰性化は両群ともに差はみられなかった(毎日:75% vs. 間欠:82%, P = 0.181; 68% vs. 73%, P = 0.402; 76% vs. 67%, P = 0.154)。

結論:
 非空洞性の結節・気管支拡張型肺MAC症に対するマクロライド、リファンピシン、エタンブトールによる間欠的治療(週3回)は、初期治療として妥当なレジメンであると考えられる。


by otowelt | 2014-12-05 00:54 | 抗酸菌感染症

HIV感染症を有する成人への36ヶ月間イソニアジドの肝障害の頻度は5%

e0156318_2243466.jpg ボツワナの試験(The Lancet, Volume 377, Issue 9777, Pages 1588 - 1598, 7 May 2011 )では、36ヶ月のイソニアジドが有効とされていますが、現時点では9~12ヶ月以上の投与が有効であることは分かっているものの、果たして3年も投与が必要なのかどうかは研究グループによって意見が分かれています。

Zegabriel Tedla, et al.
Isoniazid-associated hepatitis in HIV-infected adults receiving thirty-six months isoniazid prophylaxis in Botswana
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0215


背景:
 結核蔓延国においてHIVに感染した成人に対して、WHOは36ヶ月のイソニアジド予防治療(36IPT)を推奨している。われわれは、36IPTを用いた患者においてイソニアジドによる肝炎の頻度とリスク因子を調べた。

方法:
 ボツワナで実施されたランダム化比較試験において1006人のHIV感染成人が36IPTを受けた。黄疸やトランスアミナーゼが正常上限の2.5倍を超えて上昇している患者は登録から除外した。ARTを受けている場合はCD4陽性リンパ球数が200未満、それ以外はCD4陽性リンパ球数を問わず登録した。重症肝炎(正常上限の5倍を超えるトランスアミナーゼ上昇)がみられた場合、36IPTは中止した。しかし、中等度の障害であれば容認した(2.5~5倍)。

結果:
 1006人中19人(1.9%)が重症肝炎を起こした。3人が黄疸を呈し、2人が肝性脳症に陥った。また31人(3.1%)が中等度の肝炎を起こした。肝炎を起こした50人のうち20人は、ベースラインのARTとは関連していなかった(ハザード比1.49、95%信頼区間0.20-11.1, P=0.70)。

結論:
 36IPTを受けたHIV感染症の成人患者は、過去に報告されているほど肝炎や肝性脳症を起こすわけではなさそうだ。ARTを受けていない患者と比較しても、ARTによってそのリスクが上昇するわけでもなかった。


by otowelt | 2014-11-26 00:18 | 抗酸菌感染症

モキシフロキサシンと高用量リファペンチンの週1回投与を含む6ヶ月レジメンは標準治療と同程度の有効性

e0156318_16322657.jpg 先週のNEJMは結核特集でした。

モキシフロキサシンを含む結核治療レジメン、標準治療に非劣性示さず

Amina Jindani, et al.
High-Dose Rifapentine with Moxifloxacin for Pulmonary Tuberculosis
N Engl J Med 2014; 371:1599-1608


背景:
 結核の治療に現在使用されているレジメンは6ヶ月の連日投与だが、そのレジメンよりも短く簡易的なレジメンが望まれている。

方法:
 新規に診断された喀痰抗酸菌塗抹陽性の薬剤感受性肺結核の患者を3レジメンのいずれかにランダムに割り付けた。すなわち、エタンブトール+イソニアジド+リファンピシン+ピラジナミドを2ヶ月間連日投与した後、イソニアジド+リファンピシンを4ヶ月間連日投与するコントロールレジメン(2HREZ+4HR)、コントロールレジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに替えて 2ヶ月間連日投与した後、モキシフロキサシン+リファペンチン900mgを週2回2ヶ月間投与する4ヶ月レジメン(2MREZ+2MRpt)、コントロールレジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに替えて2ヶ月間連日投与した後、モキシフロキサシン+リファペンチン1200 mgを週1回4ヶ月間投与する6ヶ月レジメン(2MREZ+4MRpt)。喀痰検体を塗抹・培養によって評価した。プライマリアウトカムは治療失敗・再発の複合とし、非劣性マージン6%ポイント、90%信頼区間で非劣性を検証。

結果:
 合計827人の結核患者を南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナ、ザンビアから登録した。患者の28%にHIVウイルスとの重複感染がみられた。per-protocol解析では、治療効果が不良の患者の割合はコントロール群が4.9%、介入群(6ヶ月)が 3.2%(補正後のコントロール群との差-1.8%ポイント、90%信頼区間-6.1~2.4)、介入群(4ヶ月)が18.2%(補正後のコントロール群との差13.6%ポイント、90%信頼区間8.1~19.1)だった。修正ITT解析において治療効果が不良だった患者の割合は、コントロール群が14.4%、介入群(6ヶ月)が13.7%(補正後のコントロール群との差0.4%ポイント、90%信頼区間-4.7~5.6)、介入群(4ヶ月)が26.9%(補正後のコントロール群との差13.1%ポイント、90%信頼区間6.8~19.4)だった。

結論:
 モキシフロキサシンと高用量リファペンチンの週1回投与を含む6ヶ月レジメンに、標準治療のコントロールレジメンと同程度の有効性が確認された。モキシフロキサシンとリファンペンチンの4ヶ月レジメンにはコントロールレジメンに対する非劣性はみられなかった。


by otowelt | 2014-10-27 00:39 | 抗酸菌感染症

腎不全・免疫不全患者のクオンティフェロン

e0156318_2130255.jpg 結核病学会雑誌にあった、総会シンポジウムのまとめが面白いですね。その中から、腎不全・免疫不全患者におけるQFTの考察について、一部抜粋します。

猪狩英俊.
2. 血液透析,免疫低下患者に対するQFT 検査 (第88 回総会シンポジウム)
結核 第89 巻 第9 号 2014 年9 月


背景・方法:
 QFTの評価として,このシンポジウムでは次の2 点について検討した。第1 に,血液透析や免疫低下患者は結核発病リスクが高いといわれているが,これらの疾患を有する患者にはLTBI(QFT 陽性者)は多いのか。第2にこれらの疾患を有する患者を診断する性能として判定不可の割合は多いのか。対象は,慢性腎臓病患者(CKD),透析患者,腎移植前の患者(末期腎不全),腎移植後の患者,リウマチ患者である。比較対象として医療従事者をおいた。

結果・考察:
 CKD患者のQFT 陽性率は8 % で,透析患者のQFT 陽性率は2 % と低かった。多変量解析でも透析はQFT 陽性率を低くする要因であった。リウマチ(RA)患者のQFT 陽性率は11% であった。生物学的製剤開始前の患者のQFT 陽性率は15% と高く,生物学的製剤を開始した患者のQFT 陽性率8 % に比べて高かった。生物学的製剤やメソトレキセートなどの免疫抑制薬が影響している可能性が示された。
 CKD患者の判定不能は5 % で,医療従事者に比べて高かった。特に,腎移植後の患者では15% が判定不能であった。RA患者の判定不能は2 % であった。
 RA 患者のQFT 陽性率は医療従事者に比べて高い可能性がある。しかし,生物学的製剤導入後の人ではQFT陽性率が低くなっており,LTBI の診断が不十分になる可能性がある。多変量解析の結果からも生物学的製剤の使用,ステロイドの使用,メソトレキセートの使用などがQFT 陰性化の要因となった。CKD患者やRA患者では,治療介入がQFT結果に影響を及ぼし,陽性率を低くしている可能性が示された。


by otowelt | 2014-10-21 00:45 | 抗酸菌感染症

DPB患者には非結核性抗酸菌症がしばしば観察される

e0156318_21415744.jpg DPBは緑膿菌と喀痰との戦いになることが多いです。NTMも重要な病原微生物ですね。

Takahiro Tsuji, et al.
Nontuberculous mycobacteria in diffuse panbronchiolitis
Respirology,30 SEP 2014 DOI: 10.1111/resp.12412


背景および目的:
 嚢胞性線維症に続発する非結核性抗酸菌症(NTM)は報告されているが、非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者におけるNTMの頻度についてのデータは限られている。われわれはレトロスペクティブにびまん性汎細気管支炎(DPB)におけるNTMの頻度について調べた。

方法:
 われわれは2000年1月から2012年12月までの間に、33人のDPB患者における抗酸菌培養、患者特性、CT検査を調べた。少なくとも1回NTMが培養で陽性になったものをNTM陽性、陽性にならなかったものをNTM陰性、培養検査が実施されていないものをNTM非同定と定義した。
 DPBの診断は、1998 年厚生省特定疾患びまん性肺疾患調査研究班のものに従った。

結果:
 平均年齢は51.5歳であった。平均フォローアップ期間は162.8ヶ月であり、喀痰におけるNTMの頻度は21.2%(7人)だった。3人(9.1%)が少なくとも2回培養陽性であった(ATS/IDSA診断基準)。その7人のうち、6人がMACで、1人がM.kansasiiだった。M.chelonaeはMACと合併していた例が1人確認された。7人中4人に感受性検査が実施され、MACはすべてクラリスロマイシン感受性だった。緑膿菌は最も頻度が高く分離された(14人:42.4%)。ただし、NTM陽性患者とNTM陰性患者の間で緑膿菌の分離頻度に差はみられなかった(p=1.00)。
 最初の培養陽性からDPBの診断までの平均期間は194.6ヶ月であった。
 NTM陽性患者は、NTM陰性患者と比較して低い1秒量(%予測値)である傾向にあった(50.0% vs 77.3%, P = 0.03)。しかし、放射線学的あるいは臨床的な差は両群では観察されなかった。

結論:
 本研究によれば、NTMはDPBの患者でしばしば観察される。粘膜線毛クリアランスの欠如が個体にNTM感染をもたらすのかもしれない。


by otowelt | 2014-10-17 00:08 | 抗酸菌感染症

超多剤耐性結核に対するリネゾリドの有効性

e0156318_9331615.jpg 過去のNEJMの論文(N Engl J Med. 2012 Oct 18;367(16):1508-18.)では半年で87%の喀痰培養陰性化率が得られています。有害事象はやはり多いです。

Shenjie Tang, et al.
Efficacy, safety and tolerability of linezolid for the treatment of XDR-TB: a study in China
ERJ September 18, 2014 erj00351-2014


背景:
 リネゾリドは、多剤耐性結核(MDR-TB)および超多剤耐性結核(XDR-TB)の治療に効果的かもしれない。われわれは、プロスペクティブに実施した多施設共同ランダム化試験において、リネゾリドのXDR-TBに対する効果、安全性、忍容性を調べた。

方法:
 培養陽性となったXDR-TBの65人の患者がランダムにリネゾリド群とコントロール群に割り付けられた。両群に割り付けられた患者は2年の独立した化学療法レジメンを実施された。少なくとも5種類の抗結核薬を感受性に合わせて選択した。リネゾリド治療群はリネゾリドを含むレジメンとし、初期4~6週間で1日1200mg、その後1日300~600mgを継続された。

結果:
 リネゾリド群の喀痰培養陰性化率は24ヶ月までに78.8%であり、これはコントロール群よりも有意に高かった(36.6%, p<0.001)。空洞閉鎖率は、リネゾリド群で24ヶ月までに69.7%で、コントロール群よりも有意に高かった(p<0.05)。リネゾリド群の治療成功率は69.7%で、これも有意にコントロール群より高かった(34.4%, p = 0.004)。リネゾリド群の27人(81.8%)の患者は臨床的に有意な有害事象を経験し、そのうち25人(93%)の患者はリネゾリドに関連すると考えられた。ほとんどの有害事象はリネゾリドを減量あるいは一時的に中断することで改善した。
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(文献より引用)

結論:
 XDR-TBに対するリネゾリドを含む化学療法は、空洞の閉鎖、喀痰培養陰性化、治療成功を促進させるかもしれない。


by otowelt | 2014-10-16 00:53 | 抗酸菌感染症

結核性心膜炎に対するステロイドとM. indicus pranii免疫療法の有効性

e0156318_2061099.jpg いつかどこかで耳にしたことがあるような抗酸菌、Mycobacterium indicus pranii。この菌については知識ゼロで論文を読みました。複合アウトカムに関しては有効性は否定されていますが、ステロイドが心膜の炎症を軽減する効果はありそうです。

Bongani M. Mayosi, et al.
Prednisolone and Mycobacterium indicus pranii in Tuberculous Pericarditis
N Engl J Med 2014; 371:1121-1130


背景:
 抗結核治療をおこなったとしても、結核性心膜炎の死亡率は依然高い。本研究において、結核性心膜炎の患者に対する糖質コルチコイド補助療法とMycobacterium indicus pranii免疫療法の有効性を評価した。

方法:
 2×2要因試験デザインを用いて、結核性心膜炎の診断が確定あるいはほぼ確実である成人患者1400人を6週にわたるプレドニゾロンあるいはプラセボ、そして3ヶ月間に5回のM. indicus praniiあるいはプラセボ注射にランダムに割り付けた。参加者3分の2は、HIV混合感染を有していた。プライマリ効果アウトカムは死亡・心嚢穿刺を要する心タンポナーデ・収縮性心膜炎の複合とした。

結果:
 プライマリアウトカムについて、プレドニゾロン群とプラセボ群に差はみられなかった(23.8% vs. 24.5%、ハザード比0.95、95%信頼区間0.77~1.18、P=0.66)。M. indicus pranii免疫療法群とプラセボ群にも有意な差はなかった(25.0% vs. 24.3%、ハザード比1.03、95%信頼区間0.82~1.29、P=0.81)。
 プレドニゾロンはプラセボと比較して収縮性心膜炎の発生率を有意に低下させ(4.4% vs. 7.8%、ハザード比0.56、95%信頼区間0.36~0.87、P=0.009)、入院率も有意に低下させた(20.7% vs. 25.2%、ハザード比0.79、95%信頼区間0.63~0.99、P=0.04)。
 プレドニゾロンとM. indicus praniiのいずれもプラセボと比べてがんの発生率を有意に上昇させた(1.8% vs. 0.6%、ハザード比3.27、95%信頼区間1.07~10.03、P=0.03、1.8% vs. 0.5%、ハザード比3.69、95%信頼区間1.03~13.24、P=0.03)。ただし、これらはHIVに関連したがんの発生の増加と考えられる。

結論:
 結核性心膜炎の患者に対するプレドニゾロンとM. indicus pranii免疫療法のいずれも、死亡、心嚢穿刺を要する心タンポナーデ・収縮性心膜炎の複合アウトカムに対して有意な効果がみられなかった。


by otowelt | 2014-09-29 00:40 | 抗酸菌感染症

モキシフロキサシンを含む結核治療レジメン、標準治療に非劣性示さず

e0156318_16322657.jpg アベロックス®は多剤耐性結核の治療の研究が多いように思いますが、今回は感受性結核の使用についての報告です。

多剤耐性結核に対するレボフロキサシンとモキシフロキサシンの培養陰性化率は同等

Stephen H. Gillespie, et al.
Four-Month Moxifloxacin-Based Regimens for Drug-Sensitive Tuberculosis
NEJM September 7, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1407426


背景:
 先行研究や臨床前研究において、合併症のない薬剤感受性の喀痰抗酸菌塗抹検査が陽性の肺結核患者(18歳以上)に対して、モキシフロキサシンを含む4ヶ月のレジメンの有効性が示唆されている。

方法:
 われわれは、ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験を実施し、モキシフロキサシンを含むレジメン2種類についてコントロールレジメンに対する非劣性を評価した。
 コントロール群はイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールを8週間投与し、その後18週間イソニアジド、リファンピシンを投与した。介入群であるイソニアジド群は、コントロール群のエタンブトールの代わりにモキシフロキサシンを使用したレジメンを17週間投与し、その後プラセボを9週間投与した。もう1つの介入群であるエタンブトール群は、同様にコントロール群レジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに代えて17週間投与し、その後プラセボを9週間投与した(簡潔に書くと、2HREZ+4HRの6ヶ月レジメンを、2HRMZ+2HRMあるいは2REMZ+2REMの4ヶ月レジメンと比較した)。
 プライマリエンドポイントはランダム化から18ヶ月以内の治療失敗あるいは再発とした。

結果:
 1931人がランダム化された。909人が南アフリカ、376人がインド、212人がタンザニア、136人がケニア、119人がタイ、69人がマレーシア、66人がザンビア、22人が中国、22人がメキシコであった。
 per-protocol解析において、ランダム化された1931人の患者のうち、良好なアウトカムが報告されたのはイソニアジド群で85%、エタンブトール群で80%と、コントロール群の92%より低かった。コントロール群との差は、イソニアジド群が6.1ポイント(97.5%信頼区間1.7-10.5)、エタンブトール群が11.4ポイント(97.5%信頼区間6.7-16.1)だった。ITT解析、全感度解析でも結果は同様であった。
 コントロール群と比較した培養陰性までの期間に対するハザード比は、固形培地(Lowenstein–Jensen)と液体培地(MGIT)のいずれにおいても短縮していた。治療8週時点においてモキシフロキサシンの患者の方がより培養陰性化している頻度が多かったが、これについては統計学的に有意差はなかった。
 グレード3,4の有害事象の頻度には有意な差はみられなかった。

結論:
 モキシフロキサシンを含む2レジメン(INH、EBをそれぞれ変更)は、コントロール群と比較してより初期の結核菌量を減少させる。しかしながら、これらのレジメンの非劣性は示されておらず、4ヶ月の短期治療が効果的とは言えない。


by otowelt | 2014-09-27 00:39 | 抗酸菌感染症

多剤耐性結核に対するべダキリンの有効性

e0156318_233338.jpg 多剤耐性結核の頻度が多い地域では、治療開発は急務です。

Andreas H. Diacon, et al.
Multidrug-Resistant Tuberculosis and Culture Conversion with Bedaquiline
N Engl J Med 2014; 371:723-732


背景:
 結核菌のATP合成酵素(ATP synthase)を阻害するジアリルキノリンであるベダキリン(bedaquiline)(Sirturo、TMC207)は、多剤耐性結核患者に推奨されている基本的なレジメンに8週間併用したときに、喀痰培養の陰性化までの期間が短縮するとされている。

方法:
 この2b相試験において、新たに多剤耐性結核と診断された喀痰塗抹陽性患者160人をベダキリン400mg1日1回2週間投与したあとに200mg週3回22週間投与する群と、プラセボを投与する群にランダムに割り付けた。両治療群は推奨されている基本レジメンに併用する形とした。プライマリ効果エンドポイントは液体培地の喀痰培養陰性化までの期間とした。フォローアップ期間は120週間。

結果:
 ベダキリンの使用によって喀痰培養陰性化までの期間の中央値は、プラセボの中央値125日と比較して 83日と短かかった(ベダキリン群のハザード比2.44、95%信頼区間1.57~3.80、P<0.001)。また、24週時点での喀痰培養陰性化率(79% vs 58%、P=0.008)、120週時点での喀痰培養陰性化率(62% vs 44%、P=0.04)もプラセボを上回った。WHOの多剤耐性結核の転帰の定義によれば、120週時点の治癒率はベダキリン群58%、プラセボ群32%だった(P=0.003)。有害事象については両群で同程度だった。死亡例はベダキリン群のほうがプラセボ群よりも多かったが、因果関係はないと考えられた。

結論:
 多剤耐性結核の24週間の推奨レジメンにベダキリンを追加することにより、喀痰培養陰性化が短縮し、120週時点の喀痰培養陰性化率がプラセボ群と比べて有意に上昇した。


by otowelt | 2014-09-05 00:25 | 抗酸菌感染症

リファンピシン耐性、イソニアジド耐性結核における遺伝子変異

e0156318_11483418.jpg 多剤耐性結核に対して、私は高用量イソニアジドを使った経験はありません。

Abate, D, et al.
Isoniazid and rifampicin resistance mutations and their effect on second-line anti-tuberculosis treatment
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 18, Number 8, 1 August 2014, pp. 946-951(6)


目的:
 イソニアジドおよびリファンピシンに対する耐性を起こしうる遺伝子変異の頻度を調べ、セカンドライン抗結核治療にこれらの変異がおよぼす影響をアセスメントすること。

デザイン:
 エチオピアのSt Peter's TB Specialized Hospitalで行われたレトロスペクティブ研究である。GenoType®MTBDRplusアッセイの結果と臨床データがレトロスペクティブに調べられた。

結果:
 リファンピシン耐性結核のうち68.7%(470例)が、rpoB遺伝子のコドン531(S531L)に変異を有していた。また、イソニアジド耐性結核のうち93%(481例)が、katG遺伝子のコドン315(S315T1)に変異を有していた。inhA遺伝子変異の頻度は0.8%であった。
 セカンドラインの治療アウトカムは、23.7%(76人)で不良であった。rpoB遺伝子における他のコドンの変異や、inhAプロモーター領域の変異はアウトカム不良とは関連していなかった。
e0156318_11474884.jpg
(文献より引用)

結論:
 リファンピシン、イソニアジドに耐性の結核において、高い頻度でrpoBのコドン531、katGのコドン315にそれぞれ変異を有していた。inhA領域の変異はまれであった。多剤耐性結核患者の治療に高用量イソニアジドはわずかな効果を有するのみかもしれない。


by otowelt | 2014-08-19 00:19 | 抗酸菌感染症