カテゴリ:気管支喘息・COPD( 414 )

気流制限がないにもかかわらず気腫肺がみられる喫煙者の臨床的特徴

e0156318_23175684.jpg 大局的な流れとして、将来的にCOPDの定義が変わるような気がしています。少なくとも1秒率の定義だけではスクリーニング機能が不十分であることは明らかです。

Ana B. Alcaid, et al.
Clinical Features of Smokers with Radiological Emphysema but without Airway Limitation
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.10.044


背景:
 気流制限がないが気腫肺を有する患者の臨床的特徴については良く分かっていない。

目的:
 放射線学的に胸部CTで気腫肺がみられる気流制限のない現・既往喫煙者の臨床的特徴を、気腫肺のない現行喫煙者、既往喫煙者のそれと比較すること。

方法:
 被験者は身体測定、既往歴聴取、低線量CTを受けた。以下のパラメータが評価された:肺機能検査(DLCOを含む)、mMRC息切れスケール、CATスコア問診、6分間歩行試験。気腫肺がCTで観察された被験者と観察されなかった被験者を比較した。

結果:
 203人のうち、154人(78%)が気腫肺を有しており、49人が有していなかった。低線量CTで気腫肺がみられた患者はDLCOが異常(80%未満)を示しやすく(46% vs 19%, p=0.02)、6分間歩行試験中のSpO2が4%を超えて低下しやすく(8.5% vs 0%, p= 0,04)、QOLが障害されやすかった(CATスコア10点以上) (32% vs 14%, p=0.01)。CATスコアの各項目を調べると、気腫肺がみられる患者の多くが「胸がしめつけられる感じがする」(p=0.05)、「家庭での日常生活に制限を感じる」(p<0.01)と答えていた。また気腫肺がみられた患者は過去1年の増悪が有意に多かった(0.19 vs 0.04, p=0.02)。

結論:
 喫煙者には、気流制限がないものの低線量CTで気腫肺がみられる患者がおり、QOL低下、COPD増悪、DLCO低下、6分間歩行試験中の酸素飽和度の低下と関連していた。
 

by otowelt | 2016-12-05 00:52 | 気管支喘息・COPD

STAAR試験:コントロール不良喘息小児に対する電子アドヒアランスモニタリング戦略の有効性

e0156318_12222112.jpg やはりアラームなどをつけると吸入デバイス自体が大きくなってしまいますね。

Morton RW, et al/
STAAR: a randomised controlled trial of electronic adherence monitoring with reminder alarms and feedback to improve clinical outcomes for children with asthma.
Thorax. 2016 Nov 4. pii: thoraxjnl-2015-208171.


背景:
 吸入ステロイド薬のアドヒアランスの問題は喘息小児ではよくみられる事象で、ひいては疾患コントロール不良やQOL低下、死亡リスクの増加にまで関連しているかもしれない。電子モニターを用いたアドヒアランス改善効果を狙った過去の研究では良好な結果が示されたが、臨床アウトカムの改善までは示されていない。この研究の目的は、このアプローチをルーチンのプラクティスに導入することによって臨床アウトカムの改善がみられるかどうかを検証したものである。

方法:
 喘息小児6~16歳を登録し、ランダムに電子アドヒアランスモニター介入群(毎日アラームが鳴り、ICS使用はクリニックに通達される)と非介入群(アドヒアランスの観察のみ)に割り付けた。全小児はベースラインにおいて、ICSおよびLABAの使用下でコントロール不良の喘息を有していた。ルーチンのクリニック受診は3ヶ月ごととし、1年間まで継続した。プライマリアウトカムはACQスコアとした。セカンダリアウトカムはアドヒアランス、喘息マーカーとした。
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(文献より引用)

結果:
 90人中77人の小児が試験を完遂した(39人が介入群、38人がコントロール群)。アドヒアランスは介入群70%、非介入群49%だった(p≤0.001)。ACQスコアには有意な差はみられなかったが、介入群の小児は有意に経口ステロイドを要する頻度が低く(p=0.008)、入院が少なかった(p≤0.001)。
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(文献より引用:アドヒアランス[A:介入群、B:非介入群])

結論:
 喘息コントロール不良小児に対する電子アドヒアランスモニタリングによるフィードバック戦略は、ルーチンの喘息マネジメントに有意な利益をもたらす。

by otowelt | 2016-11-30 00:07 | 気管支喘息・COPD

青年期有症状喘息に対するスピリーバ®レスピマット上乗せの有効性

e0156318_13311175.jpg 青年期の喘息患者さんにレスピマットを上乗せしたら、アドヒアランスがとんでもなく悪化しそうで・・・。

Hamelmann E, et al.
A randomised controlled trial of tiotropium in adolescents with severe symptomatic asthma.
Eur Respir J. 2016 Nov 3. pii: ERJ-01100-2016.


背景:
 われわれは重症青年有症状喘息患者において、ICS+別のコントローラーを使っている状態に1日1回のチオトロピウム(スピリーバ®)レスピマットを上乗せする効果について調べる第III相二重盲検並行群間試験を実施した。

※本試験では以下の規定
・高用量ICS+1つ以上の別のコントローラー(LABAあるいはロイコトリエン拮抗薬)
・中用量ICS+2つ以上の別のコントローラー(LABA、ロイコトリエン拮抗薬、テオフィリン徐放製剤)


方法:
 12~17歳までの392人が登録され、チオトロピウム5μg、2.5μg、プラセボを12週間上乗せするいずれかの群に割り付けられた。プライマリエンドポイントおよびキーセカンダリエンドポイントは、治療12週間後のベースラインからのピーク1秒量(吸入3時間以内FEV0-3h)の変化、トラフ1秒量とした。

結果:
 チオトロピウム5μg群はピークFEV1(0-3h)をプラセボよりも数値上は改善した(90 mL; p=0.104)。またチオトロピウム2.5μg群では有意な改善がみられた(111 mL; p=0.046)。両チオトロピウム群でいずれもトラフ1秒量と喘息コントロールの改善がみられた。安全性と忍容性はプラセボと同等であった。
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(ピークFEV1(0-3h)
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(トラフ1秒量)

結論:
 ICS+その他コントローラーで管理されている有症状の喘息青年患者に対して1日1階のチオトロピウムレスピマットを上乗せすることは忍容性がある。プライマリエンドポイントは満たさなかったが、肺機能に対して良好な改善はみられた。

by otowelt | 2016-11-21 00:11 | 気管支喘息・COPD

小児喘息に対する岩塩療法は有効か?

e0156318_1336485.jpg 4年ほど前に当ブログでも喘息の洞窟療法について取り上げました。

気管支喘息における洞窟療法(岩塩)

 岩塩豊富な洞窟に出かけるのは研究デザインとしては厳しいので、最近はhalogeneratorを用いてその環境を再現するHalotherapyが考案されています。これは、岩塩洞窟さながら、その部屋に微細な塩粉を発生させるというものです。

Bar-Yoseph R, et al.
Halotherapy as asthma treatment in children: A randomized, controlled, prospective pilot study.
Pediatr Pulmonol. 2016 Oct 10. doi: 10.1002/ppul.23621. [Epub ahead of print]


背景:
 喘息は間欠的あるいは持続的な抗炎症治療が必要な慢性炎症性疾患である。患者はしばしば従来の治療の補完的および代替的な治療を希望することがある。われわれは、気道過敏性検査、FeNO、QOLの検査によりハロセラピー(Halotherapy:岩塩療法)の効果を調べた。

方法:
 軽症喘息と臨床診断され、抗炎症治療を受けていない5歳~13歳の小児を登録した。患者はランダムにhalogeneratorのある岩塩部屋(治療群)あるいはhalogeneratorのない岩塩部屋(コントロール群)に割り付けられた。気道過敏性、FeNO、スパイロメトリー、QOL質問票で評価した。治療は7週間継続され、合計14セッションが設けられた。

結果:
 ランダムに両治療群に割り付けられた。29人がhalogenerator岩塩療法群、26人がhalogeneratorのない群に割り付けられた。気道過敏性は治療群において有意に改善がみられ、コントロール群では変化がみられなかった。スパイロメトリーあるいはFeNOレベルには群間差はなかった。またQOL質問票については、治療群の方に良好な改善がみられた。

結論:
  halogeneratorを有する岩塩部屋は喘息小児には有効と考えられる。大規模なランダム化比較試験で長期フォローアップした研究の実施が望まれる。

by otowelt | 2016-11-11 00:18 | 気管支喘息・COPD

喘息性咳嗽に対するFeNOの有用性

e0156318_224778.jpg 現場において、FeNOの使い方に悩む最近です。

Asano T, et al.
Diagnostic utility of fractional exhaled nitric oxide in prolonged and chronic cough according to atopic status.
Allergol Int. 2016 Sep 29. pii: S1323-8930(16)30134-4. doi:10.1016/j.alit.2016.08.015.


背景:
 咳喘息(CVA)および咳嗽優位型喘息(CPA)は日本の遷延性咳嗽の重要な原因である。遷延性咳嗽の鑑別診断に対してFeNO測定が有用であると報告されているが、アトピー素因のようにFeNOが高い場合にFeNOの診断能がどうなのかは定かでない。

方法:
 われわれは後ろ向きに105人の非喫煙者遷延性ないし慢性咳嗽患者を登録した。患者はステロイドやロイコトリエン拮抗薬による治療を受けていないものを対象にした。

結果:
 CPAは37人にみられ、CVAは40人にみられ、非喘息性咳嗽(NAC)は28人にみられた。FeNOはCPA[35.8 (7.0-317.9) ppb]およびCVA [24.9 (3.1-156.0) ppb]においてNAC[18.2 (6.9-49.0) ppb]よりの有意に高かった (p < 0.01 by Kruskal-Wallis test)。NACと喘息性咳嗽(CPA+CVA)を鑑別するための最適なカットオフ値は29.2ppb[AUC0.74, p < 0.01]だった。FeNOが29.2ppbであった人の91%がACだった。一方、ACの40%の患者はFeNOが29.2ppb未満だった。
 アトピー患者ではカットフ値31.1ppb、非アトピー患者ではカットオフ値は19.9ppbだった。

結論:
 ACの存在でFeNOは高かったが、低いFeNOには限られた診断能しかみられなかった。アトピーの存在は遷延性および慢性咳嗽の鑑別診断におけるFeNOの有用性に影響をあたえる。

by otowelt | 2016-11-08 00:01 | 気管支喘息・COPD

LOTT試験:安定期COPDにおける中等度酸素飽和度低下例に長期間酸素療法は有意な利益もたらさず

e0156318_23175684.jpg いやあ、長らくこの結果を待っていた呼吸器内科医は多いでしょう。知らない人はいないはず、Long-Term Oxygen Treatment Trial(LOTT)試験がついに論文化です。
 どうでしょう、色々な意見が出そうですね。

The Long-Term Oxygen Treatment Trial Research Group
A Randomized Trial of Long-Term Oxygen for COPD with Moderate Desaturation
N Engl J Med 2016; 375:1617-1627


背景:
 安静時ないし運動時に中等度の酸素飽和度低下がみられる安定期COPD患者に対する長期酸素療法の有効性は明らかにされていない。

方法:
 LOTT試験の当初のデザインは、安静時に中等度のSpO2低下(89~93%)がみられる安定期COPD患者に長期酸素療法を導入することが、導入しない場合と比較して死亡までの期間が延長するかどうかを検討するものだった。
 7ヶ月後、34人をランダム化した時点で試験デザインを一旦見直し、運動時に中等度のSpO2低下(6分間歩行試験時にSpO2≧80%が5分以上、<90%が 10秒以上続く)がみられる安定期COPD患者をも試験対象に組み入れ、新たに複合プライマリアウトカムとして、全原因による初回入院までの期間を加えた。
 患者を、長期酸素療法を導入する群(酸素投与群)と導入しない群(非酸素投与群)に、ランダムに1:1に割り付けた。酸素投与群においては、安静時にSpO2低下がある患者に24時間酸素療法を処方し、運動時にのみSpO2低下がみられる患者には運動時と睡眠時の間欠的な酸素療法を処方した。割り付けそのものは盲検化していない。
 安静時SpO289~93%であれば酸素投与を処方し、運動時のみにSpO2低下がみられる場合は睡眠時および運動時に酸素を処方した。酸素投与を受けた全患者は基本的に2L/分の流量を投与された。歩行時の流量は個々に年ごとに再設定したが、SpO2>90%あるいは最低2L/分を維持するよう規定した。非酸素投与群では安静時SpO288%以下あるいは運動時SpO280%以下(1分以上)を満たさない限り酸素を処方しなかった。

結果:
 2009年1月から2014年8月までの間、42施設で738人を追跡した。368人が酸素投与群、370人が非酸素投与群に割り付けられた。酸素投与群では220人が24時間酸素投与を受け、148人が運動時および睡眠時の酸素療法を受けた。
 生存時間(time-to-event)解析において、酸素投与群と非酸素投与群とのあいだに死亡または初回入院までの期間に有意差は観察されず(ハザード比0.94、95%信頼区間0.79~1.12、P=0.52)、全入院率(率比1.01、95%信頼区間0.91~1.13)、COPD増悪(率比1.08、95%信頼区間0.98~1.19)、COPD に関連する入院(率比0.99、95%信頼区間0.83~1.17)にも有意差はみられなかった。
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(文献より引用:プライマリアウトカム[死亡あるいは初回入院]あるいは初回入院)
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(文献より引用:死亡)

 酸素投与群の患者で、1~3ヶ月以内にCOPD増悪を経験した患者では死亡あるいは初回入院リスクが低かった(ハザード比0.58、95%信頼区間0.39~0.88、P=0.007)。このリスク低下は、同様に71歳以上の高齢者(ハザード比0.75、95%信頼区間0.57~0.99、P=0.03)、低QOL患者(登録時Quality of Well-Being Scale scoreが0.55点未満)(ハザード比0.77、95%信頼区間0.60~0.99; P = 0.03)でも観察された。しかしながら複数因子の補正後ではこれら交互作用で有意なものはなかった。as-treated analysisでは、16時間を超えて酸素療法を用いた群はそれ以外の全ての酸素投与時間と比べてアウトカムに差はみられなかった。
 QOL、肺機能、6分間歩行距離の測定値に群間差はみられなかった。

結論:
 安静時および運動時に中等度のSpO2低下がみられる安定期COPD患者に長期酸素療法を導入しても、導入しなかった患者と比べて、死亡または初回入院までの期間は延長せず、他の評価項目にも持続的な利益をもたらさなかった。

Discussion:
 われわれのデータは、たとえ運動時に酸素飽和度低下があるケースでも、安静時SpO2が88%を超えているCOPD患者に対する長期酸素療法は、有意な生存期間延長をもたさらないという過去の研究を支持するものである。しかし、酸素投与を受けているCOPD患者や重度の酸素飽和度がある患者における生存期間延長という過去の報告とは乖離した結果でもある。
 肺血管攣縮に対する酸素飽和度の非線形の閾値効果、メディエーター遊走、換気ドライブが乖離の理由として考えられ、それがSpO288%以下で惹起され、慢性低酸素血症患者では重要になるのかもしれない。
 過去のシステマティックレビューでは呼吸困難を軽減する効果があるとされたが、本研究ではQOL、抑うつ、不安、機能ステータスには効果がみられなかった。

Limitations:
 患者の状態が悪すぎたり、明らかに酸素療法による利益を受けていると考えたりする医療従事者の存在があったため、登録しなかった患者がいるのは確か(潜在的バイアス?)。盲検化できなかったため、患者報告アウトカムに影響を及ぼした可能性はある(ただしプライマリアウトカムには影響なし)。酸素デバイスが統一できなかったため、これが酸素投与量に誤差を生んだ可能性がある。本研究は、酸素投与後の早期のアウトカムについては評価していない。

by otowelt | 2016-10-29 00:05 | 気管支喘息・COPD

COPD薬物治療のコントロバーシー

 昨日のFacebookページ「呼吸器内科医」の投稿内容です。

Singh D, et al.
Current Controversies in the Pharmacological Treatment of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Sep 1;194(5):541-9.


 Singh先生の「COPD薬物治療のコントロバーシー」(Am J Respir Crit Care Med. 2016 Sep 1;194(5):541-9.)を読みました。相変わらず分かりやすい。2014年のLancet Respiratory Medicineで言及されていた「Free-FEV1アプローチ」を紹介していました。これは、重症度分類のA~Dをおおまかに推定して治療方針を決めるというものです。過去はGOLD I~IV期に基づいたアプローチが推奨されていましたが、患者さんの個々に柔軟に対応したガイドラインに変化していく流れになるようです。
 クリニックでCOPD患者さんを診療している医師にとっては実用的ですね。
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by otowelt | 2016-10-07 00:46 | 気管支喘息・COPD

ACOS診断に炎症性バイオマーカーは有用

e0156318_125953.jpg IJCOPDのACOS論文を続けて紹介します。

Kobayashi S, et al.
Inflammatory biomarkers in asthma-COPD overlap syndrome.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Sep 7;11:2117-2123.


背景:
 喘息-COPDオーバーラップ症候群(ACOS)の臨床的フェノタイプと基礎メカニズムについては議論の余地がある。この研究は、外来COPD患者コホートにおいてCOPD患者とACOS患者を炎症性バイオマーカーに焦点を当てて比較したものである。

方法:
 この横断研究では、前向きに石巻COPDレジストリからデータが収集された。全ての患者はスパイロメトリーを用いてCOPDと診断された40~90歳の既往喫煙者である。変動する呼吸器症状があり気流閉塞の変動がみられる喘息の特徴を持つ患者をACOSと定義した。また、FeNO、血中好酸球、総IgE、抗原特異的IgE抗体といった炎症性バイオマーカーも測定された。

結果:
 257人のCOPD患者が同定され、37人(14.4%)がACOSと診断された。ACOS患者は若く、喫煙歴が短く、呼吸器系薬剤(吸入ステロイド薬やテオフィリン)を使用している傾向にあった。平均FeNOはACOSのないCOPD患者よりもACOS患者の方が高かった(38.5 ppb vs 20.3 ppb, P<0.001)。血中好酸球数および比率はACOS患者で有意に上昇していた(295/mm3 vs 212/mm3, P=0.032; 4.7% vs 3.2%, P=0.003)。総IgEおよび抗原特異的IgEの存在はACOS患者で有意に多かった。いずれのバイオマーカーも感度・特異度は低かったが、これらのバイオマーカーを組み合わせることでACOS診断に高い特異度が得られた。

結論:
 この研究により、炎症性バイオマーカーを用いるとACOS診断が支持される可能性があることが分かった。


by otowelt | 2016-10-05 00:26 | 気管支喘息・COPD

ACOSはCOPD単独よりもFeNOが高い

e0156318_125953.jpg ACOSというハイブリッドの存在が医学的に必要な概念なのか、いまだに答えを持ち合わせていません。

Goto T, et al.
Fractional exhaled nitric oxide levels in asthma-COPD overlap syndrome: analysis of the National Health and Nutrition Examination Survey, 2007-2012.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Sep 7;11:2149-2155.


目的:
 喘息-COPDオーバーラップ症候群(ACOS)の患者では、Th2を介した炎症の関連が示唆されている。しかしながら、ACOS患者とCOPD患者の間でのFeNoの差についてはほとんど分かっていない。このギャップを埋めるべく、アメリカ人におけるACOSおよびCOPD患者でのFeNO値の差を調べた。

患者および方法:
 この横断研究は2007年~2012年に実施された。40歳以上のCOPD患者が同定され、ACOSは過去12ヶ月以内に自己申告の喘鳴を有し気道可逆性がみられたものあるいは医師が喘息と診断したものと定義された。

結果:
 197人のCOPD患者が同定された。このうち、23%がACOSの基準を満たした。FeNO値は、ACOS患者で有意に高かった(非補正平均21.2 ppb vs 13.0 ppb; 差8.2 [95%信頼区間0.2 to 16.2]; P=0.045、補正差8.2 [95%信頼区間0.9 to 15.5]; P=0.03)。現喫煙者の間では有意差はみられなかったが、FeNOは非喫煙者ACOS患者の方が非喫煙者COPD患者よりも高かった(平均31.9 ppb vs 20.3 ppb; 補正差20.5 [95%信頼区間4.4 to 36.6]; P=0.02)。
 ACOSをCOPD単独と鑑別するためのFeNO診断能は十分とは言えず、AUCは0.63だった(95%信頼区間0.54 to 0.72)。

結論:
 COPDのうち23%がACOS基準を満たし、FeNOはACOSの方がCOPD単独よりも高かった。この傾向は特に非喫煙者によくみられた。


by otowelt | 2016-10-04 00:07 | 気管支喘息・COPD

CXCR2阻害剤はコントロール不良喘息患者の発作を減少させない

e0156318_1637713.jpg 期待されていた薬剤の1つであっただけに残念な結果でした。

Paul M O'Byrne, et al.
Efficacy and safety of a CXCR2 antagonist, AZD5069, in patients with uncontrolled persistent asthma: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(16)30227-2


背景:
 好中球性気道炎症が病態生理学特徴である重症喘息の患者が存在する。化学受容体CXCR2の刺激は好中球を軌道に誘導する。われわれは、コントロール不良重症喘息患者において、CXCR2阻害剤(AZD5049)の追加治療の効果と安全性を調べた。

方法:
 多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、われわれは18歳以上の長時間作用性β2刺激薬および中用量あるいは高用量吸入ステロイド薬の併用下でもコントロールが不良である喘息患者を登録した。患者はランダムに1:1:1:1に5mg、15mg、45mgのAZD5049(1日2回)およびプラセボに割り付けられた。プライマリエンドポイントは、6ヶ月間の重症喘息発作の数とした。安全性は6ヶ月の治療期間で解析された。

結果:
 640人の患者(平均年齢52歳±11.8歳)がランダム化され、478人がAZD5069(5mg群160人、15mg群156人、45mg群162人)、162人がプラセボに割り付けられた。どの用量群のAZD5069もプラセボと比較した重症喘息発作の頻度を減らさなかった(率比、5mg群:1.29, 90%信頼区間0.79–2.11; 15mg群:1.53, 同0.95–2.46; 45mg群:1.56, 同0.98–2.49)。AZD5069治療の忍容性は良好であった。もっともよくみられた有害事象は鼻咽頭炎であったが、プラセボの頻度より少なかった。

結論:
 CXCR2阻害剤は、コントロール不良重症喘息患者の重症発作の頻度を減らさない。


by otowelt | 2016-10-03 00:13 | 気管支喘息・COPD