カテゴリ:気管支喘息・COPD( 414 )

IMPACT試験:homogeneous emphysemaに対する気管支バルブによる肺容量減量術は肺機能を改善

e0156318_1825266.jpg heterogeneous emphysemaに対してはBeLieVeR-HIFi試験においてその有効性が示されている気管支バルブ。homogeneous emphysemaではどうでしょうか?

Valipour A, et al.
Endobronchial Valve Therapy in Patients with Homogeneous Emphysema: Results from the IMPACT Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Aug 31. [Epub ahead of print]


背景:
 気管支バルブ(EBV)は、重度の不均一な気腫性病変(heterogeneous emphysema)を有する患者の肺の生理機能を改善させることが示されている(BeLieVeR-HIFi試験)。均一な気腫性病変(homogeneous emphysema)に対してもEBVが効果的かどうかは限られたデータしかない。

目的:
 側副換気のないhomogeneous emphysemaの患者に対するEBVの効果と安全性を調べること。

方法:
 前向き多施設共同ランダム化比較試験を実施した。プライマリアウトカムは、通常ケアと比較したEBV治療群の3ヶ月後の1秒量変化率(%)とした。セカンダリアウトカムに1秒量、SGRQスコア、6分間歩行距離、標的葉容量減少とした。

結果:
 93人の患者(平均年齢63.7±6.1歳、%1秒量29.3±6.5%、%残気量275.4±59.4%)が登録され、EBV群に43人、通常ケア群に50人が割り付けられた。プライマリアウトカムは、EBV群で13.7±28.2%、通常ケア群で-3.2±13.0%だった(平均差17.0%、p=0.0002)。その他のアウトカムとして、SGRQスコア:-8.63±11.25 vs 1.01±9.36、6分間歩行距離22.63±66.63m vs -17.34±52.8mも3ヶ月後に有意な変化がみられた。3ヶ月時点での標的葉容量減少は-1195±683 mlだった(p<0.0001)。EBV群の97.2%の患者が標的葉の容量減少を達成した(p<0.0001)。処置に起因する気胸は11人に発生した(25.6%)。そのうち5人がバルブの除去や移動を余儀なくされた。

結論:
 側副換気のないhomogeneous emphysemaの患者に対するEBVは臨床的に意義のある肺機能・運動耐容能・QOLの改善をもたらす。


by otowelt | 2016-09-28 00:34 | 気管支喘息・COPD

AZALEA試験:成人喘息発作にアジスロマイシンは無効

e0156318_1637713.jpg 喘息発作に対してすでに抗菌薬を投与されている人が多いのが驚きでした。本研究では除外されていますが。

Sebastian L. Johnston, et al.
Azithromycin for Acute Exacerbations of Asthma:The AZALEA Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. Published online September 19, 2016.


背景:
 ガイドラインでは喘息発作に対する抗菌薬の使用を推奨していない。テリスロマイシンの研究では利益が示されているが、副反応のため使用は限定的である。

目的:
 成人の喘息発作時の標準治療にアジスロマイシンを加えるべきかどうか検証すること。

方法:
 これは、2011年9月から2014年8月まで実施された、成人喘息発作救急を扱っているイギリスの多施設で実施された、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である(AZALEA試験)。6ヶ月を超える喘息既往のある成人で、経口ないし全身性ステロイドを要する喘息発作を呈したものを登録した。

介入:
 3日間のアジスロマイシン500mgあるいはプラセボに割り付けた。

アウトカム:
 プライマリアウトカムはランダム化から10日間の症状スコア記録、治療効果量は-0.3と想定した。セカンダリアウトカムは症状スコア、QOL質問票、肺機能の10日間の変化、症状スコアの50%の減少とした。

結果:
 4582人の患者が31施設からスクリーニングされ、380人のうち199人がランダム化された。非登録の主たる原因は、抗菌薬を投与されていたことであった。症状発現から薬剤投与までの時間は中央値で22時間だった(IQR 14-28時間)。発作背景は治療群間および施設間で差はみられなかった。プライマリアウトカムである症状スコアは、アジスロマイシン群で発作時4.14±1.38、10日後2.09±1.71点、プラセボ群で4.18±1.48点、2.20±1.51点だった。マルチレベル分析を用いると、10日時点の症状スコアの差には両群で有意差は観察されなかった(差−0.166点; 95%信頼区間−0.670 to 0.337)。これは症状発現から10日目のどの時点でも同様の結果だった。QOLや肺機能についても差はみられなかった。

結論:
 このランダム化比較試験では、アジスロマイシンによる治療は喘息発作に臨床的な利益をもたらさなかった。


by otowelt | 2016-09-23 00:14 | 気管支喘息・COPD

TRILOGY試験:COPDに対するトリプル吸入療法は症状を改善しないが肺機能に利益

e0156318_10134879.jpg 言わずと知れたTRILOGY試験について。これはChiesi Farmaceutici SpA社の助成を受けている研究です。

Dave Singh, et al.
Single inhaler triple therapy versus inhaled corticosteroid plus long-acting β2-agonist therapy for chronic obstructive pulmonary disease (TRILOGY): a double-blind, parallel group, randomised controlled trial
Lancet, Volume 388, No. 10048, p963–973, 3 September 2016


背景:
 COPDに対するトリプル吸入療法(2種類の長時間作用性気管支拡張薬[LAMA, LABA]と吸入ステロイド薬[ICS])の効果に関する有用なデータは少ない。われわれは、1つの吸入デバイスで3剤(ベクロメタゾン++グリコピロニウム)(BDP/FF/GB)を吸入する治療と、BDP/FFの2剤を吸入する治療を比較した。

方法:
 このTRILOGY試験は、14ヶ国159施設で実施されたランダム化並行群間二重盲検試験である。これら施設は一次~三次医療機関まで幅広く組み込まれた。登録されたCOPD患者は気管支拡張後1秒量が50%未満で、過去12ヶ月の間に1回以上の中等症~重症COPD増悪を経験しており、CATスコアが10点以上で、BDI focalスコアが10点以下のものとした。また、ICS+LABA、ICS+LAMA、LABA+LAMA、LAMAによる2ヶ月以上の治療歴があることを条件とした。 
 登録患者は、2週間の導入期間(run-in period)においてBDP/FF(100μg/6μg 1日2回)の投与を受けた後、BDP/FF/GB(100μg/6μg/12.5μg 1日2回)のトリプル吸入療法にステップアップする群またはBDP/FF(100μg/6μg 1日2回)の2剤治療を維持する群にランダムに割り付けられ、52週治療が継続された(いずれもpMDIで吸入)。
 吸入前1秒量、吸入2時間後1秒量、TDI focalスコアの3つの複合プライマリエンドポイントによって26週時点で評価された。セカンダリエンドポイントとして、52週時点での中等症~重症のCOPD増悪の割合などを設定した。

結果:
 2015年3月21日から2016年1月14日までの間、1368人の患者がBDP/FF/GB群(687人)、BDP/FF群(681人)のいずれかに割り付けられた。26週時点で、BDP/FF/GB群ではBDP/FF群と比較して吸入前1秒量が0.081L(95%信頼区間0.052-0.109、p<0.001)、吸入2時間後1秒量が0.117L(95%信頼区間0.086-0.147、p<0.001)改善した。26週時点での平均TDI focalスコアはBDP/FF/GB群1.71点、BDP/FF群1.50点で、差は0.21点で有意差はみられなかった(p=0.160)。年間の中等症~重症増悪の頻度はBDP/FF/GB群0.41、BDP/FF群0.53と23%少なかった(率比0.77、95%信頼区間0.65-0.92、p=0.005)。有害事象はBDP/FF/GB群で368人(54%)、BDP/FF群の379人(56%)で観察された。BDP/FF/GB群で重篤な治療関連有害事象(心房細動)がみられた。

結論:
 COPD患者におけるICS/LABA治療からトリプル吸入療法にステップアップすることの臨床的利益を示した。


by otowelt | 2016-09-22 00:39 | 気管支喘息・COPD

RE2SPOND試験:COPDに対するロフルミラストは重症例に対して増悪を減らす効果

 愛読ブログのHospitalistで紹介されていたので、さっそく読みました。
 REACT試験と同じく、重症/超重症のCOPD患者さんを対象にしたランダム化比較試験です。REACT試験は12週フォローアップだったので、52週という長期の研究はこれが初めてです。
 ERSでもロフルミラストのポスターセッションがありましたが、るいそうのあるCOPD患者さんには副作用が強く出ると結構厳しいと思います。欧米のように、下腹部がぷっくりしたCOPD患者さんには耐えうる治療なのかもしれませんが。Twitterでフォローしているヨーロッパのドクターは「体重減少がやはりキツイ」とおっしゃっていました。
 COPDのこの手の研究では、ベースラインのCOPDが軽症(GOLD I)、中等症(GOLD II)、重症(GOLD III)、超重症(GOLD IV)かどうかという切り口と、COPDの増悪が中等症(経口あるいは点滴の全身性ステロイド治療を要するもの)、重症(入院を要したり死亡したもの)かどうかという切り口が幾通りにも設定できるので注意が必要です。

Martinez FJ, et al.
Effect of Roflumilast and Inhaled Corticosteroid/Long-Acting β2-Agonist on Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations (RE(2)SPOND). A Randomized Clinical Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Sep 1;194(5):559-67.


背景:
 COPD患者に対して最大限の吸入療法をおこなっても、中等症および重症の増悪は完全に予防できない。

目的:
 最大限の吸入ステロイド薬(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の吸入をおこなっても増悪のリスクがある患者において、ロフルミラストが中等症および重症のCOPD増悪を減らすかどうか同定すること。

方法:
 52週間の第IV相二重盲検プラセボ対照試験(RE2SPOND試験)において、40歳以上の重症/超重症COPD患者、慢性気管支炎患者、過去1年間で2回以上の増悪や入院を経験した患者、毎日のICS/LABAおよびLAMAを3ヶ月以上続けた患者を、ランダムに1日1回のロフルミラスト500μg(1178人)あるいはプラセボ(1176人)に割り付けた。LAMAの使用によって層別化もおこなった。
e0156318_9512482.jpg
(下記IJCOPDより引用)

結果:
 患者1人・1年あたりの中等症あるいは重症の増悪(プライマリエンドポイント)は、ロフルミラスト群でプラセボよりも8.5%減少したが、群間差は統計学的に有意ではなかった(率比0.92; 95%信頼区間0.81-1.04; P = 0.163)。しかしながら、ロフルミラストは肺機能を改善した。
e0156318_9524587.jpg
(文献より引用)

 事後解析では過去1年で3回以上の増悪を経験した患者では中等症あるいは重症のCOPD増悪が39%減少した(率比0.61; 95%信頼区間0.39–0.95;P = 0.030)。過去1年で重症の増悪を経験した患者では中等症あるいは重症のCOPD増悪が25%減少した(率比0.75; 95%信頼区間0.60– 0.93;P =0.010)。また、ロフルミラストは過去に入院を要した増悪を有する患者において中等症のCOPD増悪を有意に減少させた(率比0.78;95%信頼区間0.61– 1.00)。
e0156318_1054493.jpg
(文献より引用改変)

 有害事象による休薬はロフルミラスト群の11.7%、プラセボ群の5.4%にみられた。死亡はそれぞれ2.5%、2.1%にみられた。

結論:
 当研究の全被験者に対してロフルミラストは統計学的に有意なCOPD増悪を減らす効果はなかった。ロフルミラストは肺機能を改善し、頻繁に増悪がみられたり入院歴がある重症例に対して増悪を減らす効果があった。安全性プロファイルは過去の研究と同等であった。

付記:
 試験デザインの詳細については、IJCOPDに同時期に掲載されている。
Rennard SI, et al. Effects of roflumilast in COPD patients receiving inhaled corticosteroid/long-acting β2-agonist fixed-dose combination: RE(2)SPOND rationale and study design. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Aug 17;11:1921-8.


by otowelt | 2016-09-12 00:38 | 気管支喘息・COPD

ANASA試験:ドライパウダー吸入器は喘息・COPDの幅広い患者で満足度が高い

e0156318_13444742.jpg Facebookページ(https://www.facebook.com/pulmonarist)でERS2016の速報ニュースを流しているので、興味のある人はご覧ください。
 
 エルペンヘラーは一度銀紙を差し込まないといけないつくりになっているので、わずらわしいと思うのですが・・・。なぜ高得点だったのだろう?

Zervas E, et al.
Assessment of satisfaction with different dry powder inhalation devices in Greek patients with COPD and asthma: the ANASA study.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Aug 5;11:1845-55. doi: 10.2147/COPD.S113870. eCollection 2016.


背景:
 吸入治療のアドヒアランス不良は喘息およびCOPD患者でよくみられる。患者の嗜好に合わせた吸入薬の選択は、アドヒランスおよび治療効果にとって有益になりうる。質問票を用いて吸入薬に対する患者満足度を調べることができる。この研究の目的は、吸入薬満足感(FSI-10)質問票を用いて、ドライパウダー吸入器(DPI)(ディスカス®、エルペンヘラー®、タービュヘイラー®)の使いやすさや満足度を調べることである。FSI-10は自己完結型の質問票で、使いやすさ、携帯性、操作性などを評価したものである。

患者および方法:
 4週間の多施設共同非介入試験を実施した。登録患者は560人の喘息患者と561人のCOPD患者である。初診時、患者は使用DPIによって3群に分けられた(セレタイドディスカス、ロレニウムエルペンヘラー、シムビコートタービュヘイラー)。再診時にFSI-10の記入に協力してもらった。

結果:
 517人のCOPD患者および523人の喘息患者が研究を完遂した。全てのDPIの満足度は良好であったが、エルペンヘラー群がよりFSI-10が高かった(それぞれCOPD,喘息の順、エルペンヘラー:44.7 and 44.1 vs タービュヘイラー:41.5 and 43, P<0.001、ディスカス:40.8 and 41.4, P<0.01)。 タービュヘイラーは喘息患者ではディスカスより良好な満足度が得られた。デバイスにかかわらず、重症COPD患者は中等症あるいは軽症のCOPD患者よりも満足度が高い傾向にあった。

結論:
 喘息およびCOPD患者において、全てのDPIは受け入れ良好であった。エルペンヘラーは質問票の多くの項目で高得点を獲得した。進行期のCOPD患者は、デバイス満足度が高い傾向にあった。


by otowelt | 2016-09-07 00:29 | 気管支喘息・COPD

CALIMA試験、SIROCCO試験:重症好酸球性喘息に対するベンラリズマブは発作を減少

e0156318_21232296.jpg
  Facebook(https://www.facebook.com/pulmonarist)のERS2016速報ニュース⑩でもお伝えしたように、Lancetに2研究が同時発表されています。LAVOLTA試験についても同日同誌で発表がありました。呼吸器内科医にとって論文を読むのが大変な時期ですが、頑張りましょう。
 ERS2016のニュースはFacebookで随時更新していきます。SNSなどで情報を流してくれるヨーロッパの若手呼吸器内科医たちに感謝です。

J Mark FitzGerald, et al.
Benralizumab, an anti-interleukin-5 receptor α monoclonal antibody, as add-on treatment for patients with severe, uncontrolled, eosinophilic asthma (CALIMA): a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial
Lancet, Published Online: 04 September 2016


Eugene R Bleecker, et al.
Efficacy and safety of benralizumab for patients with severe asthma uncontrolled with high-dosage inhaled corticosteroids and long-acting β2-agonists (SIROCCO): a randomised, multicentre, placebo-controlled phase 3 trial
Lancet, Published Online: 04 September 2016


 いずれの試験も好酸球数が300/μL以上のコントロール不良喘息患者さんを組み入れた研究です。ベンラリズマブは30mgを4週ごとあるいは8週ごとに投与するレジメンで、プラセボと比較されました。
 CALIMA試験では、プラセボと比較して4週ごと投与群(率0.60[95%信頼区間0.48-0.74]、率比0.64[95%信頼区間0.49-0.85]、p=0.0018)および8週ごと投与群(率0.66[95%信頼区間0.54-0.82]、率比0.72[95%信頼区間0.54-0.95]、p=0.0188)で年間の喘息発作発生が減少しました。
 SIROCCO試験では、プラセボと比較して4週ごと投与群(率0.55[95%信頼区間0.42-0.71]、p<0.0001)、8週ごと投与群(率0.49[95%信頼区間0.37-0.64]、p<0.0001)で喘息発作発生が減少しました。気管支拡張前1秒量についてもプラセボと比較してやや改善がみられました。症状については8週ごと群で有意に軽快しましたが、4週ごと群では差はみられませんでした。


by otowelt | 2016-09-06 00:32 | 気管支喘息・COPD

Salford Lung Study:COPDに対するレルベア®は通常ケアと比較して急性増悪を減少

e0156318_21232296.jpg

 Facebook(https://www.facebook.com/pulmonarist)でもお伝えしたように、現在ロンドンで開かれているERS2016で現時点で一番のトピックです。
 私を含め、肺炎を懸念していた人間からしてみれば大きなニュースです。実臨床に根付いた試験デザインであるのが非常に好ましいと思います。GSKが介入していますが。

Jørgen Vestbo, et al.
Effectiveness of Fluticasone Furoate–Vilanterol for COPD in Clinical Practice
NEJM September 4, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1608033


背景:
 COPDマネジメントのエビデンスは、厳格な組み入れ基準に基づいた選ばれた患者を含む効果をみた研究に基づいている。普段の臨床プラクティスに近い状態でのランダム化比較試験が望まれていた。

方法:
 これは、COPD患者2799人を1日1回のフルチカゾンフランカルボン酸100μg/ビランテロール25μg(合剤群)あるいは通常ケア群にランダムに割り付けた比較試験である。プライマリアウトカムは、試験より1年以内に急性増悪を起こした既往のある患者における、中等症あるいは重症の急性増悪の発症とした。セカンダリアウトカムは、プライマリケアの受診率、二次医療機関の受診率、COPD初期治療の修正、試験より3年以内に急性増悪を起こした既往のある患者における急性増悪率とした(time-to-evento解析)。

結果:
 中等症あるいは重症の急性増悪は、通常ケアよりもフルチカゾンフランカルボン酸の方が有意に少なかった(8.4%、95%信頼区間1.1 to 15.2)(P=0.02)。プライマリケアあるいは二次医療機関へのCOPDによる受診には有意差はみられなかった。また両群において、time-to-event解析で初回の中等症あるいは重症急性増悪および初回の重症急性増悪の発症に差はみられなかった。フルチカゾンフランカルボン酸/ビランテール群における重篤な肺炎の有害事象の超過は観察されなかった。他の重篤な有害事象についても両群で同等だった。

結論:
 COPD急性増悪の既往がある患者において、1日1回のフルチカゾンフランカルボン酸/ビランテロール治療は通常ケアと比較して、重篤な有害事象を増加させることなく急性増悪の頻度を減少させる。


by otowelt | 2016-09-05 00:01 | 気管支喘息・COPD

ICS/LABAの重症喘息関連イベントリスクはICS単独と同等その2

e0156318_1637713.jpg 別の研究なので「その2」と書くのは失礼ですが、同じ号に掲載されているので便宜上・・・。

Stephen P. Peters, et al.
Serious Asthma Events with Budesonide plus Formoterol vs. Budesonide Alone
N Engl J Med 2016; 375:850-860


背景:
 喘息治療に、吸入ステロイド(ICS)に長時間作用性β2刺激薬(LABA)を併用する安全性については、いまだ懸念が残っている。FDAの市販後安全性調査において、喘息患者のブデソニド維持療法にホルモテロールを追加することで、重症喘息関連イベントのリスクが上昇するか調べた。

方法:
 この26週間の多施設共同二重盲検試験において、持続型喘息に対して喘息治療薬の投与を受けて、過去1年に1~4 回の発作を起こしている12歳以上の患者を、ブデソニド/ホルモテロール群とブデソニド単独群にランダムに割り付けた。致死的な喘息既往がある患者は本研究から除外した。プライマリエンドポイントは重症の喘息関連イベント(死亡、気管挿管、入院の複合アウトカム)の発生とし、time-to-event解析で評価した。ブデソニド/ホルモテロールのブデソニドに対する非劣性は、プライマリ安全性エンドポイントのリスクの 95%信頼区間上限が2.0を下回るものと定義した。プライマリ有効性エンドポイントは喘息発作の発生とし、これもtime-to-event解析で評価した。

結果:
 合計11693人をランダム化し、5846人をブデソニド/ホルモテロール群に、5847人をブデソニド群に割り付けた。重症な喘息関連イベントは、それぞれ43人、40人に発生し(ハザード比1.07、95%信頼区間0.70-1.65)、ブデソニドに対するブデソニド/ホルモテロールの非劣性が示された。本研究における喘息死は2人でいずれも併用群だった。喘息発作のリスクは、ブデソニド/ホルモテロール群の方が16.5%低かった(ハザード比0.84、95%信頼区間0.74-0.94、P=0.002)。

結論:
 中等症~重症の喘息を有する12歳以上では、ブデソニド/ホルモテロールはブデソニドと比べて喘息発作のリスクを低減したが、重症喘息関連イベントのリスクは同程度だった。


by otowelt | 2016-09-03 00:14 | 気管支喘息・COPD

VESTRI試験:ICS/LABA合剤の重症喘息関連イベントリスクはICS単独と同等

e0156318_1637713.jpg  小児における、ICS/LABAとICSの重症喘息関連イベントのリスクの差をみた研究です。かなり大規模な研究ですね。

David A. Stempel, et al.
Safety of Adding Salmeterol to Fluticasone Propionate in Children with Asthma
N Engl J Med 2016; 375:840-849


背景:
 長時間作用性β刺激薬(LABA)は、成人の喘息死リスクおよび小児の喘息入院リスクを増加させることがわかっている。吸入ステロイド薬(ICS)と LABA を併用することで、これらリスクが軽減するかどうかは現時点で不明である。この研究では、小児を対象としてフルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロールの固定用量合剤の安全性を前向きに調べた。

方法:
 喘息に対して連日の治療を要し、過去1年間に喘息発作の既往を有する4~11歳の小児を、26週間のフルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール吸入群とフルチカゾン吸入群に、1:1にランダムに割り付けた。プライマリ安全性エンドポイントは、重篤な喘息関連イベント(死亡、気管挿管、入院)の発生とし、time-to-event解析で評価した。プライマリ安全性エンドポイントのハザード比における95%信頼区間上限が2.675を下回る場合を非劣性と定義した。プライマリ有効性エンドポイントは、全身性ステロイド治療を要する重症喘息発作の発生とし、これもtime-to-event解析で評価した。

結果:
 合計6208人のうち、合剤群27人とフルチカゾン単独群21人に、重篤な喘息関連イベントが生じた。合剤群のフルチカゾン群に対するハザード比は1.28(95%信頼区間0.73-2.27)で、合剤の非劣性が示された(P=0.006)。また、重症の喘息発作は合剤群265人(8.5%)、フルチカゾン群309人(10.0%)で観察された(ハザード比0.86、95%信頼区間0.73-1.01)。

結論:
 喘息の小児を対象としたVESTRI試験において、フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロールの合剤は、重篤な喘息関連イベントのリスクに関連していたが、そのリスクはフルチカゾン単独治療と同程度だった。


by otowelt | 2016-09-02 00:59 | 気管支喘息・COPD

COSYCONET研究:COPD患者では末梢動脈疾患の頻度が高い

e0156318_17345414.jpg その頻度、倍とのこと。

Sarah Houben-Wilke, et al.
Peripheral Artery Disease and its Clinical Relevance in Patients with COPD in the COSYCONET Study
Am J Respir Crit Care Med. First published online 17 Aug 2016 as DOI: 10.1164/rccm.201602-0354OC


背景:
 COPD患者における末梢動脈疾患(PAD)の頻度と臨床的関連性の知見は不足している。

目的:
 われわれはCOPD患者におけるPADの頻度を健常コントロール群と比較し、PADと健康ステータス・機能的耐容能との関連性を調べた。

方法:
 PADの診断には足関節上腕血圧比(ABI)(Ankle-Brachial-Index)が用いられた(ABI0.9以下)。6分間歩行距離、健康ステータス(SGRQスコア、CATスコア、EQ-5D-3L)がCOSYCONETコホート研究におけるアウトカムとして使用された。コントロール群はSHIPコホートから抽出された。
 
結果:
 2088人のCOPD患者(61.1%が男性、平均年齢65.3±8.2歳、GOLD分類I期5.1%-II期7.4%-11.1%-9.5%)が登録された。184人(8.8%)の患者がPADと診断された。SHIPコホートでは、PADは1.8~4.2%の範囲であった。PADを有するCOPD患者は有意に6分間歩行距離が短かく(356m vs 422m、p<0.001)、健康ステータスが不良であった(SGRQスコア:49.7 vs 42.7、p<0.001、CATスコア: 19.6 vs 17.9, p=0.004, EQ-5D VAS: 51.2 vs 57.2, p<0.001)。この差はいくつかの交絡因子で補正後も有意であった。

結論:
 大規模なCOPDコホートにおいて、8.8%の患者がPADと診断された。これは非COPDコントロールよりも頻度が高かった。


by otowelt | 2016-09-01 00:53 | 気管支喘息・COPD