カテゴリ:気管支喘息・COPD( 421 )

GERD症状のある気管支喘息患者において、PPIは喘息症状を改善

慢性咳嗽の鑑別診断に必ず入るのがGERD。
GERD症状のある喘息患者において、PPIが喘息関連データも改善するかどうか検討。
結局のところ、”喘息+GERDがただあっただけ”なのではないかと思ってしまう…。

Effect of Esomeprazole 40 mg Once or Twice Daily on Asthma: A Randomized, Placebo-controlled Study
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2010; 181: 1042-1048.


背景:
 GERDは気管支喘息患者ではcommonである。
 しかしながら、PPIの喘息に対する作用については議論のあるところである。

目的:
 エソメプラゾール40mg1日1回あるいは2回を、GERD症状のある喘息患者に
 投与することによる検討。

方法:
 26週間にわたるランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験(NCT00317044)。
 18~70歳の中等症から重症喘息のGERD症状のある患者を、エソメプラゾールを
 投与する群とプラセボ群に割りつけた。プライマリエンドポイントは、
 朝のピークフローの変化とし、そのほかにも
 夕方のピークフロー、FEV1、ぜんそく症状、QOLアンケート、
 GERD症状アンケート、エソメプラゾールの忍容性も評価。

結果:
 合計961人の患者を割り付け。828人が完遂した。
 朝のピークフローは、プラセボに比べるとエソメプラゾール40mg1日1回群で
 +3.5 L/min; 95% CI, –3.2 to 10.2、40mg1日2回群で
 +5.5 L/min; 95% CI, –1.2 to 12.2であったが、統計学的な差はなかった。
 治療終了時、いずれの用量のエソメプラゾール群も有意にFEV1を改善した。
 (+0.09 L and +0.12 L; P = 0.0039 and P < 0.0001, respectively)
 しかしながら、1日2回群では26週計算では有意な改善を認めている。
 (+0.07 L; P = 0.0042)
 喘息のQOLアンケートでは、エソメプラゾール両群ともに改善を認めている。
 (+0.28 and +0.41; P = 0.0006 and P < 0.0001, respectively).

結論: 
 エソメプラゾールは呼吸機能と喘息関連QOLを改善するかもしれない。
 しかしながら、臨床的にはかなり小さな影響であると考えられる。

by otowelt | 2010-05-19 01:46 | 気管支喘息・COPD

血清YKL-40レベルは、喘息の急性発作、血清IgEおよび好酸球と関連

キチナーゼは環境的に多糖キチンの豊富な開裂する能力を持ったhydrolaseを
もつファミリーである。
ほ乳類におけるキチナーゼは、Th2細胞由来の炎症に対して重要な役割を
果たすことが知られており、喘息患者の組織で過剰発現が確認されている。

キチンかチキンかワケがわからなくなってくるが、
YKL-40はNEJMにも掲載されているほど重要なトピックである。
NEJMでは、YKL-40の値増加は有意に頻回の吸入回数、
頻回の経口ステロイド使用回数、頻回の入院率が多いという結論に至っている。
Chitinase-like Protein in the Lung and Circulation of Patients with Severe Asthma
NEJM Vol. 357:2016-2027 Nov. 15, 2007 No. 20


YKL-40をコードする遺伝子CHI3L1は、プロモータ領域での-131C->G変異が
YKL-40蛋白の増加および1秒率(FEV1)の悪化と相関している。
これもNEJMより報告されている。
Effect of Variation in CHI3L1 on Serum YKL-40 Level, Risk of Asthma, and Lung Function
NEJM, 358, 1682, 2008


今回はERJからの論文。

背景および方法:
 血清YKL-40が中国人の喘息における急性増悪、血清総IgEレベル、
 血清好酸球値、呼吸機能と相関するかを調べた。
 コントロール群を用いて検討。

結果:
 コントロールおよび安定喘息小児と比べて、
 血清YKL-40レベルは有意に急性増悪で上昇していた。
 同様に、IgEレベル、好酸球値も上昇していた。
 しかしながら、呼吸機能とは関連していなかった。
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結論:
 血清YKL-40レベルは、喘息の急性発作、血清IgEおよび好酸球と関連していた。

by otowelt | 2010-04-28 12:03 | 気管支喘息・COPD

小児の急性喘息エピソードに、短期経口ステロイド治療は症状軽減に有用

小児を対象としている論文なので、
成長阻害という問題が立ちはだかるのはやむを得ないか。

Parent initiated prednisolone for acute asthma in children of school age: randomised controlled crossover trial
BMJ 2010;340:c843


背景:
 学齢期の小児の急性喘息エピソードには、受診後の経口ステロイド治療が
 有効だが、投与開始が遅れると効果は低下する。そのため
 症状発現時に家庭内で治療を開始する方法は有益と考えられ、
 オーストラリアでは、親による経口ステロイド治療が行われている。
 ただ、喘息の小児に対するステロイド適用が増えると、身長の伸びが
 抑制される可能性がある。

方法:
 オーストラリアのビクトリア州で、過去1年間に
 気管支拡張薬を24時間以上必要とする急性喘息エピソードを4回以上
 経験していた5~12歳の小児を登録。
 割り付けは、喘息のエピソードを対象とした。エピソードごとに個々の患児が
 ステロイド(プレドニゾロン1mg/kg/日)またはプラセボを交互に
 用いることになるよう割り付けた。
 親には以下のように指示した。これまでの経験から、今回の発作がより
 重症であると思ったら、または発作治療薬(レリーバー)を6~8時間適用
 しても症状の改善が見られなかったら、迅速に試験薬の使用を開始し、
 症状を観察しながら3~5日間投与を継続する。

 プライマリエンドポイントは、7日間の昼間の症状スコアの平均。
 これは「今日の昼間、どの程度の息苦しさを感じましたか」という問いにして
 「全くなし」(スコア0)、「少し」(スコア1)、「時々」(スコア2)、
 「かなりの時間」(スコア3)、「ほとんどの時間」(スコア4)、
 「常に」(スコア5)のいずれかから患者が選択し記録したものを基に評価。

結果:
 230人の小児を登録。試験薬が1回以上用いられたエピソードが分析対象。
 2005年3月14日から2008年5月24日までの2年間に、親の手による
 短期ステロイド治療を必要とした喘息エピソードは、131人(57%)に
 トータル308回発生していた(55人が1回、29人が2回、23人が3回、
 9人が4回、8人が5回、1人が6回、4人が7回、2人が8回)。308回中、
 155エピソードがステロイドに、153エピソードがプラセボに割り付けられた。
 7日間のスコアの平均は、ステロイド使用エピソードが1.19。プラセボ
 使用エピソードが1.35で、幾何平均比は0.85(95%CI0.74-0.98、p=0.023)
 となり、プラセボに比べステロイド使用エピソードでは日中の症状スコアが
 15%低いことが明らかになった。
 ステロイド治療は、夜間の症状スコアも16%低下させた。
 幾何平均比は0.84(0.70-1.00、p=0.050)だった。
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結論:
 小児の急性喘息エピソードに対する、親の手による短期経口ステロイド治療は
 喘息の症状を軽減させる。

by otowelt | 2010-03-16 11:59 | 気管支喘息・COPD

吸入ステロイド合剤

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by otowelt | 2010-02-27 22:34 | 気管支喘息・COPD

定量的CTによって呼吸症状を評価する

定量的CTによって呼吸症状の評価が可能になるかもしれないが、
このスタディによる、今後の展望がよくわからない。

Quantitative Computed Tomography Measures of Emphysema and Airway Wall Thickness Are Related to Respiratory Symptoms
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 353–359, 2010


背景:呼吸器症状と定量的HRCTにおける気腫と気道壁厚の評価の関連性は
  よくわかっていなかったので、これを調べた。

目的:COPD患者、非COPD患者において気腫性病変と気道壁の厚さは
  呼吸器症状に関連するのかを検討した。

方法:463人のCOPD患者(男性65%)、488人の非COPD患者(男性53%)
 で検証。CTで気腫が認められる患者のうち
 (1)白人 (2)40歳以上
 (3)current あるいは former smokerで2.5pack-years以上の喫煙歴
 (4)α1アンチトリプシン欠損症がない
 を満たすもののみをエントリーした。
 患者全員に呼吸機能検査とHRCTを施行し、ATS質問票によって呼吸器症状を調査。

結果:2950HU以下のLAAを満たす領域は、COPD患者で平均7%、
  非COPD患者で0.5%であった。平均気道壁厚(AWT)は、
  COPD患者で4.94mm、非COPD患者で4.77mm。
  %LAAとAWT-Pi10はCOPD患者において有意に呼吸困難症状と関連しており、
  AWT-Pi10はCOPD患者において咳嗽とwheezeに関連していた。
  オッズ比 (95%CI)は、COPD患者および非COPD患者において呼吸困難は
  %LAAが10%増えるごとに、1.9 (1.5–2.3) と1.9 (0.6–6.6)、
  AWT-Pi10が0.1mm増えるごとに、1.07 (1.01–1.14)と1.11 (0.99–1.24)。
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結論:
 定量的CTによる気腫および気道壁厚の評価は、
 呼吸機能検査単独よりも、呼吸器症状の評価と有意に関連している。

by otowelt | 2010-02-23 12:14 | 気管支喘息・COPD

ICSによるCOPD急性増悪減少は誇張されすぎかもしれない

COPD患者への吸入ステロイドは是か非か。

今週のCHESTの論文も、それほどでもないという結論にとどめている。
”それほどでもない”が、少しでも効果があるのであれば、
エエやないかと思うのはダメなのだろうか?
ICSによる肺炎リスクはやはりあるのだろうか?
まだ結論は出ないと考えてよいだろうか・・・。


COPDに対する吸入ステロイドは、呼吸器内科医の間でも議論の
わかれるところであった。それは、結果の異なる報告が複数あるためかもしれない。

2008年に、JAMAからICS療法は安定期COPD患者の全死因死亡リスクを低減せず、
肺炎リスクが有意に上昇するというメタ分析が報告された。これは11のRCT
(14426人)のメタ分析によるもので、2008年の論文で発表されている。
Inhaled Corticosteroids in Patients With Stable Chronic Obstructive Pulmonary Disease
JAMA. 2008 Nov 26;300(20):2407-16.


しかしながら、オランダのRCTでは中等度~重症のCOPDにおけるICSが
肺機能の低下を遅らせるとの結果が示された。
Effect of Fluticasone With and Without Salmeterol on Pulmonary Outcomes in Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Trial
Ann Intern Med 2009; 151: 517-527


呼吸器学会からのCOPDガイドラインには以下の記述がみられる。
 %FEV1が50%未満のCOPDで増悪回数の多い症例では、吸入ステロイド療法が
 増悪の回数を減らし、患者QOLの悪化速度を抑制すると報告されている。
 COPDに対する吸入ステロイド薬の用量反応性の検討は少ない。これまでの大規
 模トライアルの報告では、高用量の吸入ステロイドが用いられている。



今週、CHESTに新しいメタ分析の報告が掲載されていたので特記しておく。

Inhaled Corticosteroids vs Placebo for Preventing COPD Exacerbations A Systematic Review and Metaregression of Randomized Controlled Trials
CHEST February 2010 vol. 137 no. 2 318-325


背景:
 吸入ステロイド (ICS) は、COPD急性増悪を減少させるといわれている。
 しかしながら、もともとの肺機能とICSによる急性増悪減少が
 どのように関連しているかはわかっていない。

方法:
 PubMed、EmBase、Cochrane Central Database of
 Controlled Trials databases (1988-2008)を解析し、
 ICSとプラセボによる効果の差を検証。
 これにより、risk ratio (RR)と95%CIを2群間で抽出。

結果:
 11試験、8164人の患者を抽出。
 ICSは急性増悪の減少と関連していた(RR, 0.82; 95% CI, 0.73-0.92)。
 しかしながら、有意な統計学的hetergeneityを認めるが、出版バイアスの根拠はなし。
 FEV1 < 50% の患者においては、ICSは有意な利益を持っていた
 (RR, 0.79; 95% CI, 0.69-0.89)。
 これも統計学的heterogeneityを認める。
 メタ回帰において、急性増悪リスク減少は、COPD重症度にかかわらず不変と
 考えられた。(一秒量解析による)

結論:
 現在言われているICSによるCOPD急性増悪減少は、誇張されすぎかもしれない。

by otowelt | 2010-02-08 22:57 | 気管支喘息・COPD

Bronchial thermoplastyは重症喘息に有用

最近話題のBTだが・・・。
NEJM Volume 356:1327-1337 March 29, 2007  でも取り上げられている。
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背景:
 Bronchial thermoplasty (BT)(気管支温熱療法)は、気管支平滑筋を減少させるため
 気管支そのものに熱エネルギーを与えるものである。

目的:
 BTの処置と、何もしない手技を比較。
 高用量吸入ステロイドを使用しても症状が残存する重症喘息患者において
 おこなわれた。

方法:
 288人の成人患者をBTと何もしない(プラセボ)手技に割り付けた。
 プライマリエンドポイントは、喘息QOLスコアの平均値を6, 9, 12ヶ月後で比べたもの。
 副反応と安全性も評価された。

結果:
 喘息QOLスコアはBT群で有意に高かった(BT, 1.35 ± 1.10; sham, 1.16 ± 1.23
 [PPS, 96.0% ITT and 97.9% per protocol])。79%のBT患者、
 64%のプラセボ患者でスコアは0.5以上変動した(PPS, 99.6%)。
 BTを受けてから6–52週間後、それを受けた患者では急性増悪はほとんどみられなかった。

結論:
 BTは、喘息関連のQOLを改善し、急性増悪を減少させる。

by otowelt | 2010-01-15 18:00 | 気管支喘息・COPD

吸入抗コリン薬まとめ

UPLIFT試験からスピリーバを使うドクターが多いですけど。
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by otowelt | 2009-12-31 15:34 | 気管支喘息・COPD

吸入ステロイド薬のまとめ

少し見にくいけど…(画像をクリックすれば拡大できます。)
”MDIは噴霧粒子が小さいから全身作用も大きい”って覚えてます。
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by otowelt | 2009-12-31 15:30 | 気管支喘息・COPD

COPD早期発見のツール

COPDを早期発見するのは難しい。
患者も病識が少ないので、軽症例をひっかけるのは
至難の業であることはだれしも経験していることと思う。
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17点以上をCOPD診断の価値ありと判断し、
16点以下はそれ以外の疾患を考える。

by otowelt | 2009-11-17 12:58 | 気管支喘息・COPD