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mild~moderateのCOPDにおいて、バレニクリンは禁煙に有効かつ安全

バレニクリン(チャンピックス)は呼吸器内科医であれば
誰しもが耳にする禁煙薬の代表格なのだが、
あまり使用している先生は多くないように思う。
(もちろんいろいろ理由はあるのだが・・・)

過去に2つのランダム化試験があるが、
呼吸機能検査がなされていなかったり、COPD患者ではない患者も
含まれており、一貫性がないという指摘もしばしばみられていた。
・Varenicline, an α4β2 nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, vs sustained-release bupropion and placebo for smoking cessation: a randomized controlled trial. JAMA 2006;296:47-55
・Efficacy of varenicline, an α4β2 nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, vs placebo or sustained-release bupropion for smoking cessation: a randomized controlled trial. JAMA 2006;296:56-63


今回CHESTのpublished ahead of printにバレニクリンの
ランダム化試験が掲載されていた。
これも呼吸器内科医必読の論文である。
原稿の状態で全文読むのはめんどくさいので、
出版されてキレイな論文になってから全文読もうと思う。

Effects of Varenicline on Smoking Cessation in Mild-to-Moderate COPD: A Randomized Controlled Trial
Chest; Prepublished online September 23, 2010;


背景:
 喫煙はCOPDとその進行にもっとも大事なリスクファクターである。
 このランダム化試験は、バレニクリンとプラセボを比較することによって
 mild~moderateのCOPDに対する効果と安全性をみた初めての試験である。

方法:
 27施設による二重盲検試験で、504人のmild~moderateのCOPD患者が
 登録した。(気管支拡張薬後 FEV1/FVC<70%および予測FEV1% ≧50%)
 バレニクリン群(N=250)あるいはプラセボ群(N=254) に12週間割り当て。
 その後40週間の非治療期間をフォローアップした。プライマリエンドポイントは
 9~12週の一酸化炭素確認による持続的な禁煙率
 (carbon monoxide-confirmed continuous abstinence rate :CAR)
 とした。セカンダリエンドポイントは9~52週のCARとした。

結果:
 9~12週のCARはバレニクリン群で有意に高かった。
 (42.3% VS 8.8%; OR, 8.40; 95% CI, 4.99–14.14; p<0.0001)であった。
 バレニクリンCARは9~52週においても同様に高かった
 (18.6% vs placebo 5.6%; OR, 4.04; 95% CI, 2.13–7.67; p<0.0001)。
 バレニクリン群では、悪心、悪夢、上部気道感染などの副作用がよくみられた。
 重篤な副作用は両群ともみられなかった。

結論:
 mild~moderateのCOPDにおいて、バレニクリンは
 プラセボよりも禁煙に効果があり安全である。

by otowelt | 2010-09-27 23:09 | 気管支喘息・COPD

気腫肺に対する気管支バルブ療法は、肺機能等を改善するものの合併症が増える

COPDにおける"volume reduction"の治療概念を
EWSでランダム化した論文であり、これも呼吸器内科必読の論文である。

A Randomized Study of Endobronchial Valves for Advanced Emphysema
N Engl J Med 2010; 363:1233-1244


背景:
 空気を流出させるが流入はさせない気管支バルブを、進行COPDによる過膨張の
 患者に留置することで、肺葉容積を減少させ、肺機能や運動耐容能が
 改善する可能性があるとされている。

方法:
 COPD患者を対象に、気管支バルブ療法と標準的内科治療を比較して
 安全性と有効性を検証した。エンドポイントは、ITT解析による一秒量と
 6分間歩行距離の%変化。6の主要な合併症の複合発生率に基づいて、安全性を
 検証した。

結果:
 321例中220例を気管支バルブ群、101例を標準的内科治療群にランダムに割付。
 6ヵ月時の一秒量は、バルブ群で4.3%(予測値の1.0%ポイント)上昇したのに
 対し、標準群では 2.5%(予測値の0.9%ポイント)低下。
 一秒量の平均群間差は6.8%(P=0.005)。6 分間歩行距離における群間差も同様。
 12ヵ月時の合併症複合発生率はバルブ群で10.3%、標準群で4.6%(P=0.17)。
 90日時で、バルブ群では標準群と比較して入院を要するCOPD増悪
 (7.9% VS 1.1%、P=0.03)、喀血(6.1% VS 0%,P=0.01)発生率が高かった。
 12ヵ月時のバルブ群の標的肺葉肺炎発生率は4.2%。

結論:
 進行した不均一(heterogeneous)肺気腫に対する気管支バルブ療法は
 肺機能、運動耐容能、症状に改善をもたらす一方、留置後のCOPD増悪、肺炎、
 喀血の合併症の頻度が増加した。

by otowelt | 2010-09-24 08:50 | 気管支喘息・COPD

吸入ステロイド+チオトロピウムは、吸入ステロイド+サルメテロールに非劣勢

呼吸器内科医必読。
喘息にスピリーバを使用できる時がくるかもしれない。
(COPD+喘息として使っていることもあるが…)
UPLIFT試験以降、スピリーバがノリノリだ。

Tiotropium Bromide Step-Up Therapy for Adults with Uncontrolled Asthma
September 19, 2010, NEJM


背景:
 LABA治療が、ステロイド吸入(ICS)しているコントロール不良喘息患者において
 症状を改善するが、他の代替療法が望まれる。

方法:
 3方法を用いた二重盲検/三重dummy交叉試験を210人の喘息患者で実施。
 以下のような3群とした。
 1.ICS+チオトロピウム
 2.ICS倍量:プライマリ優越性の比較
 3.ICS+LABA(サルメテロール):セカンダリ非劣性の比較

結果:
 チオトロピウム使用群において、倍量のICSに対し
 優越性アウトカムとして、PEFにおいて平均28.5L/minの差が出た。
 また、セカンダリアウトカムの多くで優越性がみられた。
 セカンダリアウトカムとしては以下の通り。
 夜のPEFで35.3L/min(P<0.001)、喘息コントロール日数平均差0.079 (P=0.01)、
 気管拡張剤使用前一秒量の平均差0.10 L/min (P=0.004)、daily symptom score
 -0.11点(P<0.001)。
 サルメテロール追加効果に比べて、非劣勢が証明された。
 
結論:
 吸入ステロイドにチオトロピウムを加えることは、呼吸機能検査をもとにした
 症状改善に効果があるものと考えられる。これは、サルメテロールの
 追加効果と同等である。

by otowelt | 2010-09-21 09:39 | 気管支喘息・COPD

COPD増悪は、COPDそのものの重症度より過去に増悪既往の方が規定因子

Susceptibility to Exacerbation in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
N Engl J Med 2010; 363:1128-1138


背景:
 COPDでは急性増悪が重要である。しかしながら、その頻度や
 決定因子についてはよくわかっていない。大規模な観察コホート集団において
 COPDには、重症度とは独立した、増悪するための
 ”型”(phenotype of COPD)が存在するという仮説を検証した。

方法:
 Evaluation of COPD Longitudinally to Identify Predictive
 Surrogate Endpoints:ECLIPSE試験に登録された患者2138人を対象。
 増悪の頻度やさまざまな因子との関連を解析。増悪は、
 医療提供者により抗菌薬ないしはステロイド・あるいはその両方が処方された
 イベント、もしくは入院の原因となったイベント(重度の増悪)と定義。
 3年間観察した。

結果:
 重症度が上昇するにつれて増悪の頻度は上昇した。調査1年目の増悪発生率は
 GOLDII 期のCOPD1例あたり0.85、III期1.34、IV期2.00。全体で増悪は
 II 期22%、III期33%、IV期47%で高頻度であった。
 いずれの病期においても、増悪を予測する唯一の強因子は、”増悪の既往”。
 phenotypeは、より重度の疾患や過去の増悪と関連していた。

結論:
 COPDの重症度が進行するにつれて増悪の頻度は上昇するが、
 発生率は独立した感受性のphenotype(型)を反映している。
 

by otowelt | 2010-09-20 09:15 | 気管支喘息・COPD

CTの気腫性変化は、COPD外来患者における呼吸器由来の死亡をよく予測する

α1アンチトリプシン欠損症において、CTにおけるLAA%が多いほど
死亡率が高いことはよく知られている。
・Mortality in alpha-1-antitrypsin defi ciency in the United Kingdom.
Respir Med. 2009;103:1540-1547.
・Predictors of mortality in alpha1-antitrypsin defi ciency.
Thorax. 2003;58:1020-1026.


しかし、NETT試験において、COPD患者では
CTにおけるLAA%は死亡率とは相関しないという報告がなされた。
NETT Research Group. Predictors of mortality in patients with emphysema
and severe airfl ow obstruction.
Am J Respir Crit Care Med. 2006;173:1326-1334.


NETT試験と今回のCHESTの試験の違いは、後者がGOLD分類の全てをエントリー
しているところにある。また、NETT試験のフォローアップは3.9年と、
今回の試験の半分以下である。
以下、今回のCHESTの論文。

CT Scan Findings of Emphysema Predict Mortality in COPD
CHEST 2010; 138(3):635–640


背景:
 CTによって評価された気腫性変化は、COPDの予後因子である1秒率やDLCOと
 よく相関することが報告されている。
 しかしながら、CT評価とCOPDの死亡率がmild~severeのCOPDにおいて
 評価された論文は少ない。このスタディでは、様々なCOPDの病期によって
 それを評価した。

方法:
 251人の安定したCOPD外来患者をスタディに登録した。
 CTと呼吸機能検査が単施設スタディ登録字に行われた。
 気腫性病変を検知するため低吸収域(LAA)のパーセンテージをソフトで解析。
 予後因子が蓄積され、中央フォローアップ期間は8年間であった。

結果:
 251人の患者のうち、79人が死亡した。40人が肺癌を含まない呼吸器由来の
 死亡であった。単変量Cox解析では、CTによる気腫性変化解析、呼吸機能検査、
 年齢、BMIは有意に死亡率と相関した。多変量解析では、CTにおける気腫性変化は
 最も死亡率と相関がみられた。
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結論:
 CTにおける気腫性変化は、COPD外来患者における呼吸器由来の死亡を
 よく予測する。

by otowelt | 2010-09-09 12:35 | 気管支喘息・COPD

難治性喘息における喀痰オステオポンチンは上昇している

オステオポンチンOsteopontin: OPNは、
Uropontin, 2ar, BSPI, 44kD bone phosphoprotein,Eta-1とも呼ばれている。
骨基質に存在するタンパク質として同定されたものだが、胎盤、尿、白血球、
腎臓、腫瘍組織にも確認されている。
オンコロジストとしては、癌転移におけるOPNがよく知られている。

Increased levels of osteopontin in sputum supernatant in severe refractory asthma
Thorax 2010;65:782-786


背景:
 オステオポンチン(OPN)は炎症あるいは線維化に関与する
 グリコプロテインである。
 重症の難治性喘息(Severe refractory asthma :SRA)は
 炎症反応の増加とリモデリングの過程が特徴的とされている。
 このスタディの目的は、喀痰のOPNレベルがSRA患者において
 中等度までの患者に比べて過剰にみられているかどうかを検証することである。

方法:
 33人のSRAの患者、29人のmoderateのぜんそく患者、21人のステロイドナイーヴの
 喘息仮名j、20人の健康な患者を登録した。
 全例とも呼吸機能検査、喀痰においてOPN、VEGF、
 transforming growth factor b1(TGF-b1)、
 cysteinyl leukotrienes, インターロイキン13、
 eosinophilic cationic protein (ECP)、インターロイキン8が測定された。

結果:
 OPN中央値は明らかにSRA患者において高かった。
 (moderate喘息患者、ステロイドナイーヴ喘息患者、健康患者と比べて以下の通り)
 (1840 (1125-11000) vs 130(100-210) vs 100 (67-130) vs 50 (42-70)
  p<0.001)
 回帰分析ではlog OPNは喀痰好酸球、cysteinyl leukotrienes、
 IL-13, TGF-b1と有意に相関していた。
 TGF-b1はOPNと強い相関がみられた。
 これらの相関は、重症度の低い喘息患者や健常人には認められない傾向であった。
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結論:
 喀痰におけるOPNレベル上昇は、重症度の低い喘息患者よりSRA患者に
 高い傾向にあった。さらにOPNレベルは炎症あるいはリモデリングのプロセスに
 関与していると考えられる(TGF-b1、IL-13、cysteinyl leukotrienesの結果から)

by otowelt | 2010-09-06 15:23 | 気管支喘息・COPD

喘息患者において吸入ステロイドは頚動脈のアテローム性動脈硬化を減少

吸入ステロイドに抗炎症作用があることはわかっている。
           Am Rev Respir Dis 1993; 148: S1–S26.
また、さらにはAMIを減少させたという報告もあった。
           Am J Med 2003; 115: 377–381.

ERJより、吸入ステロイドと動脈硬化の関連について報告があった。
以下、今回の論文。

Reduced carotid atherosclerosis in asthmatic patients treated with inhaled corticosteroids
Eur Respir J 2010; 36: 503–508


背景および方法:
 アテローム性動脈硬化の構成因子として炎症は重要であるが、
 吸入コルチコステロイド(ICS)がこれを防止する抗炎症薬であるかどうかは
 まだわかっていない。このスタディでは、頚動脈硬化をエコーによって
 150人の喘息患者においてICSを受けている患者と
 150人のコントロール患者を比較し、リスクについて評価した。

結果:
 頚動脈の内膜-中膜肥厚は明らかに喘息患者において薄かった。
 プラークの頻度も、コントロール群よりも喘息患者において少なかった。
 喘息患者においてアテローム性動脈硬化がみられた51人は
 高齢、男性、脂質異常症、ICS用量が少ない、という傾向にあった。

結論:
 頚動脈のアテローム性動脈硬化は、ICSを受けている喘息患者で
 明らかに少ない傾向があった。

by otowelt | 2010-09-01 23:11 | 気管支喘息・COPD

COPD急性増悪におけるステロイドのエビデンス

●COPD急性増悪におけるステロイド使用について
 COPD急性増悪におけるステロイド全身投与は、呼吸機能の改善、
 増悪治療の成功率を上昇させるだけでなく在院日数も軽減することができる。
・Controlled clinical trial of methylprednisolone in patients with chronic bronchitis and acute respiratory insufficiency. Ann Intern Med 1980; 92:753.
・Contemporary management of acute exacerbations of COPD: a systematic review and metaanalysis. Chest 2008; 133:756.


 271人のCOPD急性増悪患者でステロイド使用群と非使用群に割り付けされた
 NEJMの臨床試験(SCCOPE試験)の結果では、
 30日治療失敗率は、ステロイド使用23% VS ステロイド非使用33%
 90日治療失敗率は、ステロイド使用37% VS ステロイド非使用48%
 (いずれもP値=0.04であった)
 在院日数は、ステロイド使用8日 VS ステロイド非使用10日
Effect of systemic glucocorticoids on exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease. Department of Veterans Affairs Cooperative Study Group. N Engl J Med 1999; 340:1941.

 ステロイドは経口でも静脈注射でも違いがない。(消化管が問題なければ)
Oral or IV prednisolone in the treatment of COPD exacerbations. Chest 2007; 132:1741.
 
 吸入ステロイドについては、ランダム化試験がおこなわれていないので
 急性増悪時に使用することについては意義は不明である。

 ステロイドの適切な量はいまだにわかっていないが、
 一般的には以下のように使われることが多い。
 ・静脈注射— メチルプレドニゾロン(60~125mgを2~4回/日)
 ・経口 — プレドニゾロン(40~60mgを1日1回)
Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive pulmonary disease.

 ステロイドの投与期間はこれもエビデンスがないが、
 7~10日くらいのステロイドを投与する。
 3日間と7日間のステロイドでは後者の方が成績(1秒量とPaO2)がよかった。
Systemic glucocorticoids in severe exacerbations of COPD. Chest 2001; 119:726.
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●COPD急性増悪時の短期間のステロイドによって感染リスクは上昇するか?
 SCCOPE試験では、8週間という長期のステロイド患者において
 肺炎の発症がみられたが、短期間の使用では感染リスクは認められなかった。
Effect of systemic glucocorticoids on exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease. Department of Veterans Affairs Cooperative Study Group. N Engl J Med 1999; 340:1941.
 
 ただ、septic shockの患者における高用量ステロイドを短期間使用するケースでは
 感染リスクの増加(細菌感染およびそれによる死亡率上昇)がみられる報告があるので
 ステロイドはあくまでlow-moderateにとどめておくべきかもしれない。
A controlled clinical trial of high-dose methylprednisolone in the treatment of severe sepsis and septic shock. N Engl J Med 1987; 317:653.

 CORTICUS試験では、新たな敗血症が相対リスク2.78 (1.02–7.58)であった。
Hydrocortisone therapy for patients with septic shock (CORTICUS). N Engl J Med, 358: 111-124, 2008.

 現段階では、low-moderateの用量のステロイドを短期に使用することにおいて
 感染リスクを増加させるというエビデンスはない。

"文責"倉原優

by otowelt | 2010-08-22 08:03 | 気管支喘息・COPD

スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入

日経メディカルオンラインで取り上げられていて思い出したトピックだが、
呼吸器内科医の間で少し話題になっている、スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入。
ご存知、霧状に噴霧する新しいソフトミスト吸入器である。

従来のスピリーバとの違いは、操作法の違いである。
1回2吸入という点も今までと異なるので、少々複雑な操作を2回行う必要がある。
ただ、慣れるとレスピマットの使い心地がよいという話をよく耳にする。
しかしながら、高齢者でスピリーバハンディヘラーですら吸入手技が危うい人は
レスピマット吸入は少々難しいかもしれない。
若い元気なCOPD患者さんで、ハンディヘラーよりこちらの方がよいと思われる
方も多いと思うので、個人的にも一度試してみたいところである。
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国内臨床試験だが、従来のスピリーバ製剤との比較で非劣勢が証明されている。
プライマリエンドポイントはトラフ1秒量変化量である。
         Respir Med 104:228, 2010

by otowelt | 2010-07-26 16:27 | 気管支喘息・COPD

COPD患者へのβブロッカーは、COPD急性増悪リスクが減り、生命予後も改善する

e0156318_125953.jpgきれいな大学病院だなぁ。
さすがオランダ。

β-blockers may reduce mortality and risk of exacerbations in patients with chronic obstructive pulmonary disease. Arch Intern Med. 2010;170:880-7
背景:
 COPDは動脈硬化を促進し、心血管疾患が合併することが多い。心血管疾患の
 診断もしっかり行われていない症例が多いが、心血管疾患を明らかに
 合併しないCOPD症例に対して、βブロッカーの使用が予後を改善するかは不明。

方法:
 Utrecht General Practitioners(GPs)Networkデータベースを使用。
 診断および処方はすべてコード化されている。
 2005年12月の時点で、データベース症例約60000例で、
 そのうち20362例が45歳以上であった。これを対象として、
 1995年1月1日から2005年12月31日までの間にCOPDと診断された症例を解析。
 プライマリエンドポイントは総死亡、観察期間中初回のCOPD急性増悪とした。
 COPD急性増悪の定義は、ステロイドパルスおよび7~10日間のステロイド使用、
 または同増悪条件下による入院と定義した。

結果:
 2230例のうち、当初より診断されていたCOPDが560例(25%)、
 観察期間中に診断されたCOPDは1670例(75%)。平均年齢64.8歳(SD:11.2)。
 53%が男性であった。平均観察期間7.2年の期間において、全体で686例(30.8%)
 が死亡。βブロッカー使用群の27.2%が、非使用群の30.8%が死亡(P=0.02)。
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 最低1度のCOPD急性増悪を経験したのは1055例(47.3%)。
 βブロッカー使用群の42.7%が、非使用群では49.3%がCOPD急性増悪を
 経験していた(P=0.005)。
 心血管系の合併症を有する症例は、ほかのグループより有意に死亡率が高かった。
 (35.5% VS 21.4%、P<0.001)。
 βブロッカー投与を受けた症例は665例(29.8%)で、多くが心選択性。
 βブロッカー使用群の、非使用群に対する総死亡の非調整HRは0.70
 (95%CI:0.59-0.84)、調整HRはCP modelで算出した場合0.68
 (95%CI:0.56-0.83)。傾向スコアで調整した場合のHRは0.64
 (95%CI:0.52-0.77)。心選択性βブロッカーでは調整した場合のHRは
 0.67(95%CI:0.55-0.83)、0.63(95%CI:0.51-0.77)。非選択性
 βブロッカーで0.82(95%CI:0.61-1.10)、0.80(95%CI:0.60-1.05)。
 1670例の観察期間中新規診断COPDのうち530例がβブロッカーを使用。
 191例は診断前後もβブロッカーを使用し、84例は中止。
 255例がCOPDの新規診断後に使用を開始。
 サブグループ解析では、βブロッカー中止群において死亡HRが最も高かった
 非調整HR0.71(95%CI:0.46-1.11)、調整HR(CP、PS)は、
 それぞれ0.89(95%CI:0.56-1.42)と0.75(95%CI:0.47-1.19)。

結論:
 COPD患者にβ遮断薬を投与すると、COPD増悪のリスクが減り、
 生命予後が改善する可能性がある。

当然ながら、RCTではないので課題が残る。これはこういったスタディの
宿命でもある。ただ、心血管疾患合併の有無にかかわらずこういった結果が
出ているのは非常に大きいし、呼吸器内科医としては大規模RCT並に
話題性のある臨床試験だと考えなければならない報告である。

by otowelt | 2010-06-10 12:50 | 気管支喘息・COPD