カテゴリ:気管支喘息・COPD( 458 )

酸素療法中COPD患者の死亡原因は、非呼吸器疾患が主

きわめて重要なスタディであろう。

Trends in Cause-Specific Mortality in Oxygen-dependent Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 1032–1036, 2011


背景:
 長期の酸素療法(LTOT)をCOPD患者の慢性的低酸素に用いるように
 なったため、女性の頻度とLTOTの開始年齢は上昇するようになった。
 われわれは、こういったことにより長年の死因が変化したのではないかと
 仮説づけた。

目的:
 LTOTをおこなっているCOPD患者における原因特異的死亡の傾向をみる。

方法:
 スウェーデンにおいて、1987年1月1日から2004年12月31日の間に
 COPDに対してLTOTを開始した患者がプロスペクティブ試験に登録され
 LTOTをやめたり、死亡したり、2004年12月31日に至るまでの
 間にモニタリングをおこなった。
 プライマリエンドポイントはthe Swedish Causes of Death Register
 による死因とした。

結果:
 7628人の患者(53%が女性)が登録され、1.7年の中央値モニタリングされた
 (range, 0–18.0 yr)。フォローアップ不詳となった患者はゼロであり、
 5457人の患者が試験中死亡した。
 粗全死亡率は1.6%/年(95%CI 0.9–2.2%/yr; P < 0.001)増加した。
 死亡リスクは循環器疾患2.8%/年(95% CI, 1.3–4.3%/yr; P < 0.001)増加、
 消化器疾患では7.8%/年(95% CI, 1.9–14.0%/yr; P = 0.009)増加。
 呼吸器疾患においては2.7%/年(95% CI, 2.0– 3.3%/yr; P < 0.001)減少し
 肺癌では3.4%/年(95% CI, 1.1–5.7%/yr; P = 0.004)減少した。
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結論:
 酸素療法中のCOPD患者では、死亡率は経時的に上昇するものの
 非呼吸器疾患が主な原因である(循環器疾患を含む)。
 COPDの合併症を適切に診断治療することが死亡率を減少させる。

by otowelt | 2011-04-17 10:32 | 気管支喘息・COPD

COPD診断基準に合致する症例において5人に1人は非喫煙者である

COPDにおいて非喫煙者が実は多いのだということは
よく言われていることだが、非喫煙者COPDの上位にアンチトリプシン欠損症を
すぐ想起してしまうのは、シマウマ探しが得意な日本人の悪いクセかもしれない。
・Mild and moderate-to-severe COPD in nonsmokers: distinct demographic profi les. Chest . 2005 ; 128 ( 3 ): 1239 - 1244 .
・Prevalence of airfl ow obstruction in smokers and never smokers in Switzerland. Eur Respir J . 2010 ; 36 ( 6 ): 1259 - 1269.


BOLD試験のデータを用いた、疫学的研究がCHESTから出ていた。

COPD in Never Smokers: Results From the Population-Based Burden of Obstructive Lung Disease Study
CHEST 2011; 139(4):752–763


背景:
 COPD患者においてかなりの頻度で非喫煙者がいることがわかっている。
 彼らの特徴と危険因子はいまだはっきりしていない。 

方法:
 われわれは14の国でおこなわれたBOLD試験を解析した。
 (Burden of Obstructive Lung Disease study)
 40歳以上の成人で、気管支拡張薬後スパイロメトリーと呼吸器症状・
 健康状態・COPDリスクとなる曝露歴の質問表を完了したものを登録。
 COPD診断は、気管支拡張薬後のFEV1/FVCに基づき
 現行のGOLDガイドラインに鑑みた。

結果:
 4291人の非喫煙者のうち、6.6%がmildのCOPDに合致した
 (GOLD stage I) 。また、5.6%がmoderate to very severe
 (GOLD stage II + )に合致した。非喫煙者は喫煙者にくらべると
 COPD発症リスクが少なく、より軽症であったものの
 それにもかかわらずGOLD2+の症例のうち23.3%が非喫煙者であった
 非喫煙者におけるCOPDの予測因子として年齢、教育、職業曝露、
 小児期の呼吸器疾患、BMIなどが挙げられる。

結論:
 この多施設共同国際試験において、COPD症例における非喫煙者の頻度は
 相当のものであると考えられる。年齢、喘息の既往、女性、
 教育レベルの低さなどは非喫煙者におけるCOPDのリスクを増加させる。

by otowelt | 2011-04-05 20:08 | 気管支喘息・COPD

喫煙は29~39%がCOPDの新規発症と関連する

COPDの疫学的研究。

Risk Factors for Chronic Obstructive Pulmonary Disease in a European Cohort of Young Adults
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 891–897, 2011


背景:
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の早期発症の因子に関する研究は少ない。

目的:
 われわれは、若年成人に対して呼吸機能検査を用いた
 国際コホート試験を実施しCOPDの危険因子を同定いsた。

方法:
 the European Community Respiratory Health Surveyを用いて
 4636人の喘息のない成人で気管支拡張薬使用前のFEV1/FVCを
 測定した1991年~1993年(当時20~44歳)の患者を
 1999年~2002年に解析したスタディである。
 COPDは国際的な基準に鑑みてFEV1/FVCが0.70未満と定義した。
 また、Quanjer and LuftiBus reference equations
 においてFEV1/FVC <正常下限とした。
 COPDの決定因子は、2レベルのPossin回帰モデルを用いて解析された。

結果:
 COPDの頻度は、Quanjer基準で1.85症例/人年、
 global initiative基準で2.88症例/人年であった。
 半数の症例において20pack-yearsを下回った喫煙歴であったが
 喫煙そのものはCOPDの主たるリスクであり、
 フォローアップ中新規発症は29~39%にのぼった。
 気道過敏性は2つ目の強い危険因子であった(15–17% of new cases)。
 他の決定因子として、小児期の家族の喘息歴、性別・年齢・過小体重。

結論:
 COPDは人生の早期の段階で起こりうる。
 喫煙予防は、COPD発症を減らすためには最も優先度が高い。また、
 気道過敏性、家族の喘息、小児期の気道感染はCOPD発症に関与する。
 呼吸機能検査のみで単独的にCOPDを定義するものではないと
 わたしたちは考える。

by otowelt | 2011-04-02 22:13 | 気管支喘息・COPD

サルメテロールよりチオトロピウムのほうがCOPD急性増悪を予防できる

Tiotropium versus Salmeterol for the Prevention of Exacerbations of COPD
N Engl J Med 2011;364:1093-103.


背景:
 COPDのガイドラインにおいて、中等症~最重症の患者の症状緩和と
 急性増悪のリスクを低下させるために、長時間作用型の吸入気管支拡張薬を
 使用することが推奨されている。ただ、長時間作用型抗コリン薬と
 長時間作用型β2刺激薬のどちらがよいかはわかっていない。
 COPD急性増悪の予防の観点において、抗コリン薬チオトロピウムが
 β2刺激薬サルメテロールにまさっているかどうか検証した。

方法:
 ランダム化二重盲検ダブルダミー並行群間比較試験を1年間観察する試験。
 COPDの中等症~最重症で、前年にCOPD急性増悪の既往がある患者を対象にして、
 中等度または高度のCOPD急性増悪の発生に対して、
 チオトロピウム18μg1日1回とサルメテロール50μg1日2回投与の効果を比較。

結果:
 合計7376人をチオトロピウム群(3707 例)とサルメテロール群(3669 例)の
 いずれかにランダムに割り付け。チオトロピウム群ではサルメテロール群に比べて
 初回のCOPD急性増悪までの期間が延長し(187 日 vs 145 日)、リスクが
 17%低下(HR0.83、95%CI 0.77~0.90、P<0.001)。またチオトロピウム群
 において初回のCOPD重症増悪までの期間も延長(HR0.72、
 95% CI 0.61~0.85,P<0.001)、年間の中等度~高度の急性増悪回数も減少
 (0.64 vs 0.72、rate ratio0.89、95% CI 0.83~0.96、P=0.002)。
 また年間の重症のCOPD急性増悪回数も減少した(0.09 vs 0.13、rate ratio0.73
 95% CI 0.66~0.82,P<0.001)。重篤な有害事象の発現と治療中止になった
 有害事象の発現は両群ともに同程度だった。
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結論:
 中等症~最重症のCOPDにおいて、サルメテロールよりチオトロピウムのほうが
 COPD急性増悪の予防に有効である。

by otowelt | 2011-03-24 06:23 | 気管支喘息・COPD

妊娠喘息患者における吸入ステロイドは、胎児副腎機能に影響なし

「妊婦への吸入ステロイドはパルミコートが一番安全」と
研修医時代に教えられた記憶があるが、あまり気にしなくてよいのだろうか。
妊娠喘息において極めて重要なスタディであり、呼吸器内科医・産婦人科医ともに
読んでおきたい論文である。

Fetal Glucocorticoid-regulated Pathways Are Not Affected by Inhaled
Corticosteroid Use for Asthma during Pregnancy
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 716–722, 2011


背景:
 現在のところ、吸入ステロイド (ICS) は母親、胎盤、胎児への全身的な影響に
 おけるエビデンスがないにもかかわらず、妊娠中の喘息コントロールとしての
 使用が推奨されている。

目的:
 喘息の妊婦 (n = 156) と喘息のない妊婦(n = 51)において血清
 コルチゾル、エストリオール、コルチコトロピン遊離ホルモンを測定。

方法:
 妊娠のそれぞれのトリメスターにおいて、ICSの使用と投与量を記録し、
 血液検査をおこなった。母体の超音波を18週・30週に施行し
 出生時体重と胎児の性別を記録した。

結果:
 上記母体ホルモンの血清濃度は、喘息の有無により影響を受けなかった。
 ただしICS使用時に用量依存的に、上記は抑制された。
 この結果は胎児性別に依存し、女児を妊娠した際、
 第1トリメスターではICSは母体コルチゾルと逆相関し、
 第2~3トリメスターでは母体のオステオカルシンと逆相関した。
 男児を妊娠したときは、母体のコルチゾル、エストリオール、オステオカルシン
 血清濃度に影響はみられなかったものの、コルチコトロピン遊離ホルモンは
 ICS使用時に第1トリメスターでのみ増加がみられた。
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結論:
 妊娠喘息患者におけるICS使用により、女児を妊娠した時にのみ
 母体の糖質コルチコイド系に影響を生じる。
 ただし、男児および女児の両方の妊娠において、胎児副腎機能は
 影響を受けなかった。ICSは胎児期において糖質コルチコイド系に
 影響を与えないという結果となったが、これはすなわち
 胎児の成長・発達に悪影響を与えないものと考えられる。

by otowelt | 2011-03-22 04:25 | 気管支喘息・COPD

都市部に居住する小児・青年・若年成人の喘息症状の改善にオマリズマブは有用

季節性ピークを抑制できているのが驚きだ。

Randomized Trial of Omalizumab(Anti-IgE)for Asthma in Inner-City Children
N Engl J Med 2011; 364 : 1005-1015


背景:
 都市部に居住する小児は、アレルゲンへの曝露および感作が喘息重症度に
 多大な影響を及ぼすことがわかっている。よりよいコントロールをおこなうためには
 環境改善、ガイドライン治療だけでは限界がある。

方法:
 都市部に居住する小児・青年・若年成人で、持続性喘息を有するものを
 複数の施設でランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験に登録。
 ガイドライン治療にオマリズマブを追加した場合の有効性をプラセボと比較。
 試験は60週行い、プライマリエンドポイントは喘息症状とした。

結果:
 ランダム化した419例(ランダム化時点で73%が中等~重症)のうち
 オマリズマブ群はプラセボ群と比べ2週あたりの喘息症状発現日数が
 1.96 日から1.48 日に有意に減少した(24.5%、P<0.001)。
 オマリズマブ群では、1回以上の喘息発作増悪をきたした患者の割合が
 48.8%から30.3%へと低下した(P<0.001)。
 オマリズマブ群において、吸入ステロイド薬と長時間作用型β刺激薬使用が
 減少したにもかかわらず、喘息症状の改善がみられた。
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結論:
 都市部に居住する小児・青年・若年成人に対して、ガイドライン治療に
 オマリズマブを追加することで喘息コントロールが改善、増悪の季節性ピークが
 概ね消失した。また、コントロール達成においてその他薬剤の必要性が低下した。

by otowelt | 2011-03-20 13:18 | 気管支喘息・COPD

HRCTにおける間質性陰影は、全肺気量の減少と肺気腫率の低下に関連

ILDとCOPDとの関連に重要な報告となるだろう。

Lung Volumes and Emphysema in Smokers with Interstitial Lung Abnormalities
N Engl J Med 2011; 364:897-906


背景:
 喫煙は、気腫とレントゲン上の間質性肺異常陰影に関連する。
 間質性の胸部異常陰影がどのくらい全肺気量の減少と肺気腫の範囲に
 関連するのかよくわかっていない。

方法:
 喫煙者(コホート)で撮影されたHRCT2508件中2416件(96%)で
 間質性の陰影があるかどうかを検索した。線形回帰とロジスティック回帰を
 使用して、間質性陰影とおよびHRCT による全肺気量・肺気腫の測定との
 関連をアセスメントした。

結果:
 HRCT2416件中194件(8%)に間質性陰影がみられた。関連する共変量
 (relevant covariates)で補正した統計学的モデルにおいて、間質性陰影は
 全肺気量の減少(-0.444 L、95%CI -0.596~-0.292、P<0.001)と
 CT 値の閾値-950HU(-3%、95% CI -4~-2、P<0.001)、
 -910HU(-10%、95% CI -12~-8、P<0.001)によって定義された
 ”気腫率”の低下に関連。間質性陰影がない患者と比べて異常陰影が
 あった患者では、拘束性換気障害の割合が高く(OR2.3、95% CI 1.4~3.7、
 P<0.001)、COPD診断基準を満たす頻度が少なかった
 (OR0.53、95% CI 0.37~0.76、P<0.001)。
 間質性の肺の陰影は、たばこ受動喫煙の増加と現喫煙状況の双方ともに
 正の相関がみられた。
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結論:
 喫煙者でHRCT12件あたり1件にみられると思われる間質性の肺の陰影は
 全肺気量の減少と肺気腫率の低下に関連する。

by otowelt | 2011-03-11 06:01 | 気管支喘息・COPD

気管支喘息における吸入ステロイドは、肺炎のリスクを増加させない

気管支喘息に対する吸入ステロイドが
肺炎のリスクを上昇させるか検証したメタアナリシス。
”アストラゼネカ社”と銘打っているのがすごく気になる。

過去にCOPDにおいて、肺炎リスク上昇が示唆されている。
Inhaled corticosteroid usein chronic obstructive pulmonary disease and the risk of hospitalizationfor pneumonia. Am J Respir Crit Care Med 2007;176:162–166.

COPDにおいて吸入ステロイドが感染のリスクになりうる原因として、
COPDは下気道に、細菌のコロナイゼーションが多いからと考えられている。
Bacterial infection in chronic obstructive pulmonary disease. A study of stable and exacerbated outpatients using the protected specimen brush. Am J Respir Crit Care Med 1995;152:1316–1320.

以下、今回の論文。
Risks of Pneumonia in Patients with Asthma Taking Inhaled Corticosteroids
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 589–595, 2011


背景:
 吸入ステロイド(ICS)は、喘息治療の主幹である。COPDにおける
 スタディで、ICSにより肺炎を増加させるとの研究があった。そのため、
 気管支喘息におけるICSで肺炎のリスクが増加するのかどうか関心がある。

目的:
 気管支喘息に対してICSを受けている患者の肺炎リスクを評価する。

方法:
 ICSブデソニドを喘息に対して受けている患者をレトロスペクティブに解析。
 プライマリデータに登録された臨床試験は、すべて二重盲検プラセボ対照試験で
 最低でも3ヵ月以上ブデソニドを含むICSを受けているものとした。
 (26試験/ブデソニド:9097人、比較:5926人)
 スポンサーはアストラゼネカ社とした。
 セカンダリデータに登録された臨床試験は、
 最低3ヵ月以上の条件は変わらないが、プラセボ対照群がないものとした。
 (60試験/ブデソニド33496人、フルチカゾン2773人)
 Cox比例ハザード回帰モデルがICSの肺炎への副作用あるいは重大な副作用の
 効果への相対リスクを評価するために用いられた。

結果:
 肺炎の副作用がみられたのは、プライマリデータにおいて0.5%
 (rate 10.0 events/1,000 patient-years [TPY]) for budesonide and
 1.2% (19.3 per TPY) for placebo (HR 0.52; 95%CI 0.36–0.76; P < 0.001)
 重大な肺炎の副作用がみられたのは0.15%(2.9 per TPY) for budesonide and
 0.13% (2.1 per TPY) for placebo (HR 1.29; 95%CI 0.53–3.12; P = 0.58)。
 セカンダリデータにおいて、肺炎の副作用は0.70% (12.7 per TPY)、重大な肺炎
 の副作用は0.17% (3.1 per TPY)であった。
 ブデソニド高用量においても、あるいはブデソニドとフルチカゾンの両方の
 場合においても肺炎リスク上昇はみられなかった。

結論:
 気管支喘息患者において、ブデソニドを使用した臨床試験における  
 肺炎あるいは重大な肺炎のリスク上昇はない。

by otowelt | 2011-03-07 14:36 | 気管支喘息・COPD

農家に住む小児は、多種多様な微生物曝露のため喘息リスクが低くなる

個人的には、喘息を発症してしまった子供を『療養のため』ということで
田舎に連れて行くのは意味があるのかどうかを知りたい。

Exposure to Environmental Microorganisms and Childhood Asthma
N Engl J Med 2011;364:701-9.


背景:
 農場には多くの微生物がいるが、これに曝露される環境で育った小児は、
 小児喘息やアトピーになりにくいとされている。すでに
 微生物曝露マーカーとこれらアレルギー疾患とに逆相関があるとわかっている。

方法:
 2つの断面研究、農家で生活している小児とコントロール群の小児との間で、
 喘息とアトピーの有病率と、微生物曝露の多様性(diversity)を比較。
 PARSIFAL試験は、マットレスダストのサンプルを用いて
 培養法では測定できない環境細菌を検出するべく一本鎖DNA構造多型解析に
 より細菌のDNAをスクリーニング。GABRIELA試験では、小児の部屋から
 採取した沈積ダストのサンプルを使用して、培養法により
 細菌・真菌分類群をアセスメント。

結果:
 2つの研究の両方ともが、農家で生活している小児はコントロール群の小児と比べ
 喘息とアトピーの有病率が低く、多くの環境微生物に曝露されていた。
 この微生物曝露の多様性は、喘息のリスクと逆相関があった
 (PARSIFAL:OR0.62,95%CI 0.44~0.89、GABRIELA:OR0.86、
 95% CI 0.75~0.99)。サブ解析において、個々の微生物に関しては
 ユーロチウム属の種への曝露(補正OR 0.37,95% CI 0.18~0.76)、
 Listeria monocytogenesBacillus属・Corynebacterium
 への曝露(補正OR 0.57,95% CI 0.38~0.86)であった。
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結論:
 農家の小児は、コントロール群の小児よりも多種多様な微生物に曝露されている。
 喘息リスクと農家で育つことの逆相関関係は、この微生物曝露によって説明できる。

by otowelt | 2011-02-25 05:52 | 気管支喘息・COPD

アセトアミノフェンを服用している思春期の若者は、喘息、鼻炎、湿疹に罹るリスクが高い

アセトアミノフェンがCOX-1阻害作用があるために
高用量の場合に喘息のリスクとなるのは有名であるが、
小児のアセトアミノフェン使用が、喘息罹患のリスクファクターになるのか
どうかは長い間議論を呼んでいる。

小児の発熱に対して用いられているアセトアミノフェンが喘息の危険因子になることは
既にLancetで報告されている。72ヶ国が参加した
このInternational Study of Asthma and Allergy in Childhood (ISAAC)試験で、
1歳時にパラセタモールを投与すると、6から7歳で喘息を発症するリスクが
1.46倍と報告されている。ただ、交絡因子と研究デザイン想起バイアスが指摘されていた。
Association between paracetamol use in infancy and childhood, and risk of asthma, rhinoconjunctivitis, and eczema in children aged 6–7 years: analysis from Phase Three of the ISAAC programme. Lancet 2008;372:1039–1048.

ただ、BMJからはその関連性は否定的であった。
呼吸器感染による交絡因子を除外して補正した場合、喘息の罹患リスクのORは
0.96倍(crude odds ratio 0.95, 0.81 to 1.12)であった。
Paracetamol use in early life and asthma: prospective birth cohort study. BMJ 2010; 341:c4616

今回、ISAAC試験を受けた論文がAJRCCMから出た。
過去に論文データは全て発表されていたが、正式に出版されたのが今回である。
結論としては、アセトアミノフェンも喘息リスクとなりうるが使う場合は慎重に
使わないといけない、ということだろう。

Acetaminophen Use and Risk of Asthma,Rhinoconjunctivitis, and Eczema in Adolescents International Study of Asthma and Allergies in Childhood Phase Three
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 171–178, 2011


背景:
 アセトアミノフェンが喘息の罹患リスクを上昇させることはすでに疫学的研究から
 わかっていることである(断言しましたね)

目的:
 現在アセトアミノフェンを使用している13~14歳の小児に対して
 世界的に喘息あるいは他のアレルギー疾患のリスクの評価をおこなった。

方法:
 第III相ISAAC試験の部分的なデータとして、13~14歳の小児で
 筆記あるいはビデオによるアンケートで、現在の喘息症状、
 鼻結膜炎、湿疹のデータが得られた。また、筆記による
 環境的なアンケートをISAAC調査用紙で施行。

結果:
 プライマリアウトカムは現在のアセトアミノフェン使用による喘息症状
 のオッズ比とした。322959の小児(50ヶ国、113施設)が参加した。
 多変量解析では、最近のアセトアミノフェン使用は
 その曝露による喘息症状の悪化と関連
 (年に1回OR, 1.43 95%CI,1.33–1.53、1ヶ月に1回2.51 95%CI 2.33–2.70)。
 アセトアミノフェン使用は、曝露による鼻結膜炎と湿疹の症状も
 増悪させていた。
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結論:
 アセトアミノフェン使用は、喘息、鼻結膜炎、湿疹の増悪の
 重要なリスクファクターであると考えられる。

by otowelt | 2011-01-19 12:01 | 気管支喘息・COPD