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喘息予防・管理ガイドライン2009 (JGL2009)


第59回日本アレルギー学会秋季学術大会で、
喘息予防・管理ガイドライン2009(JGL2009)が発表された。
GINAと同じく、抗IgE抗体が収載されることになった。
日本で使用可能な抗IgE抗体は「ゾレア®皮下注用」(一般名:オマリズマブ)。

JGL2009では、重症喘息患者が位置づけられるステップ4(重症持続型)に、
新たな作用機序の薬剤である抗IgE抗体が追加された。
治療ステップ4における長期管理薬として、高用量吸入ステロイド薬に加えて、
テオフィリン徐放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性β2刺激薬
の併用が推奨されており、これらでも管理不良の場合、
通年性抗原に感作されていて陽性を示し、かつ血清中のIgE値が治療想定内の場合
には抗IgE抗体が推奨されている。

※これまでのガイドラインでは、ステップ4で管理不良の場合
 経口ステロイド薬の追加とされていたが、JGL2009では
 短期間(通常1週間以内)の投与を推奨しており、
 長期間の連用を回避するよう勧告している。

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by otowelt | 2009-11-06 11:26 | 気管支喘息・COPD

COPDに対するLAMA/LABA合剤の有用性


ノバルティスファーマ主体のスタディで40歳以上のCOPD患者さんを
対照にした、LAMA/LABA合剤の臨床試験の
II相試験結果が順調であることがERSで報告され、はやくも
呼吸器内科医の間でニュースとなっている。


そーせいグループ株式会社は16日、同社およびベクチュラ・グループ・ピーエルシー(英国)の共同開発・導出品QVA149(適応:慢性閉塞性肺疾患、以下「COPD」)について、有効性評価試験、安全性および忍容性試験の2つの第II相臨床試験の結果を、ウィーン(オーストリア)で開催中の欧州呼吸器学会(EuropeanRespiratory Society)において発表したと報告した。

QVA149は、同社とベクチュラ社が共同開発しノバルティスに導出したNVA237(臭化グリコピロニウム、長時間作用型ムスカリン拮抗薬:LAMA)と、ノバルティスが独自に開発したQAB149(インダカテロール、長時間作用型β2刺激薬:LABA)とを配合した、1日1回吸入による新規の気管支拡張薬で、COPD治療薬としてノバルティスにより開発されている。

同臨床試験での結果は、2つの強力な気管支拡張薬を併用し、利便性の高い1日1回投与とすることの利点を、有効性と安全性の両観点から支持しているという。


Safety and Tolerability of QVA149 Compared to Placebo and to Indacaterol in Patients With Moderate to Severe Stable Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)

Inclusion Criteria:
•Consented male or female adults aged ≥40 years
•Moderate to severe stable COPD according to the GOLD Guidelines (2006)
•Patients who have smoking history of at least 10 pack years
•Patients with a post-bronchodilator FEV1 ≥30% and <80% of the predicted normal and post-bronchodilator FEV1/FVC <0.70 and Visit 1 and Visit 3

有効性評価試験は無作為化・二重盲検・プラセボ対照・クロスオーバー法で
135人の中等~重症COPD患者を対象に検討。
QVA149 300/50群(QAB149 300μgとNVA23750μgの合剤)と
2用量のQAB149群(300μg及び600μg)で、7日間投与後の気管支拡張作用を
トラフFEV1値を指標として評価。投与7日目のQVA149群とプラセボ対照群間の
トラフFEV1値の差は、平均226mLと、臨床的に有意な改善が認められた。
同様に、QVA149群とQAB149 300μg群および600μg群との差はそれぞれ、
123mLおよび117mL。

by otowelt | 2009-09-21 10:53 | 気管支喘息・COPD

COPD合併肺癌患者に対する術前チオトロピウム投与は呼吸器症状、肺機能を有意に改善


肺癌とCOPDは喫煙という共通のリスクを持つ疾患である。
チオトロピウム(スピリーバ)の術前使用についての論文。

Preoperative use of inhaled tiotropium in lung cancer patients with untreated COPD.
Respirology 2009 May 19


背景:
 COPD合併肺癌患者は手術リスクが高い。長時間作用型気管支拡張薬
 チオトロピウムは、COPDの維持療法に用いられているが、
 周術期における効果については明らかにされていない。

方法:
 COPDを合併する原発性肺癌患者で手術を施行した102例のカルテで
 後方視的検討を行った。未治療の軽症~重症COPDをもち、
 術前にチオトロピウムを投与した肺癌患者は21例で、チオトロピウム開始2週前、
 2週後および手術施行3か月後にスパイロメトリーを実施した。

結果:
 術前2週間のチオトロピウム投与は、呼吸器症状および肺機能を有意に改善
 〔FVC:治療前中央値3.43L→治療後3.52L、FEV(1):2.06L→2.32L
 FEV(1)%:73.2%→81.0%;いずれもp<0.001〕。
 術後FEV(1)%は中央値56.0%(4分位範囲51.6-60.3)から
 63.4%(60.8-66.0)に有意に増加した(p<0.001)。FEV(1)の増加は
 COPDの重症度と負の相関を示した(r=-0.59、p<0.005)。
 
結論:
 COPDを合併する肺癌患者に対する術前チオトロピウム投与は、
 手術を行ないやすくし、肺治癒切除の必要なCOPD患者にとっても有利である。

by otowelt | 2009-06-29 21:22 | 気管支喘息・COPD

オマリズマブ(ゾレア)を初めて使う


オマリズマブについて以前書いたが、こんなに早く使うとは思わなかった。
http://pulmonary.exblog.jp/9460012/

気管支喘息+肺癌+COPDの患者さんがいるのだが、
ステロイド内服・点滴、β2刺激薬、ロイコトリエン拮抗薬、抗ヒスタミン・・・・
あらゆる喘息治療薬に抵抗性であった。
ステロイド内服によってムーンフェイスになるので、
生活に困るという訴えも強くなってきた。

喘息症状がきわめて重症持続型であり、癌によって引き起こされている
症状でもなさそうなので、オマリズマブ(ゾレア)の使用に踏み切ることにした。

70000円というとてつもない金額だが、障害者認定を受けているため
その患者さんの負担はそう多くないことが、今回の決断のポイントとなった。


●オマリズマブが有用である根拠
 根拠論文は多岐にわたる。
  J Allergy Clin Immunol 2001;108:184-190.
  Eur Respir J 2001;18:254-261.
  Clin Exp Allergy 2004;34:632-638.
  Allergy 2005;60:309-316.


ノバルティスが提示しているphaseIII試験はAllergy 2005である。
GINAにも記載はあるが、文章のみ。

・Allergy 60(3), 309, 2005
 重症持続型アレルギー性喘息患者(高用量吸入ステロイド薬に加え、
 長時間作用型β2刺激薬を併用してもコントロール不十分な患者)を
 対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、オマリズマブを
 上乗せ投与した結果、治験薬投与期間(28週間)あたりの喘息増悪
 の頻度は、本剤群(209例)0.68回、プラセボ群(210例)0.91回、
 群間比95%CI 0.738(0.552-0.998)と、
 プラセボ群に比して有意に低下(p=0.042)。

・GINA update 2008
 Role in therapy - Anti-IgE (omalizumab) is a treatment option limited to patients with elevated serum levels of IgE.Its current indication is for patients with severe allergic asthma who are uncontrolled on inhaled glucocorticosteroids, although the dose of concurrent treatment has varied in different studies. Improved asthma control is reflected by fewer symptoms, less need for reliever medications, and fewer exacerbations. Further investigations will likely provide additional clarification of the role of anti-IgE in other clinical settings.

by otowelt | 2009-05-25 16:31 | 気管支喘息・COPD

抑うつ症状はCOPDの死亡率を上昇させる


今週のCHESTの論文より。
アブストラクトだけなので、死亡の原因がわからない・・・

実は以前にもERJで同じような論文はあった。
Relationship between depression and exacerbations in COPD
Eur Respir J 2008; 32:53-60

ERJ2008年の論文は、急性増悪に関するコホート研究であるが、
こういった研究は結構呼吸器領域では進んでいないことが多いのが現状。



Depressive Symptoms as Predictors of Mortality in Patients With COPD.
CHEST March 2009 vol. 135 no. 3 619-625


目的:
 COPD患者において抑うつ症状がどのように疾患に関与するか
 注目されていないところもある。
 COPDの全死亡率にどのように寄与するのかを明らかにした。

方法:
 121人のCOPD患者((男性78人、女性43人、平均年齢61.5 ± 9.1歳、
 平均%1秒率36.9 ± 15.5%)が登録され、肺リハビリセンターへ入院している患者。
 8.5年のフォローアップで、76人の死亡がみられた(mortality rate, 63%)。
 生存期間は88日から8.5年までで平均5.3年であった。
 
結果:
 抑うつ症状はCOPDにおける死亡と有意に相関(OR 1.93; 95%CI, 1.12~3.33)。
 他の独立因子としては、男性であること(OR, 1.73; 95% CI, 1.03~2.92)、
 高齢者であること(OR, 1.05; 95% CI, 1.02~1.08)、
 Wpeakの低いこと (OR, 0.98; 95% CI, 0.97~0.99)であった。

結論:
 抑うつ症状は安定したCOPD患者において、その後の死亡率を増悪させる。

by otowelt | 2009-03-08 16:47 | 気管支喘息・COPD

喘息発作における救急車ユーザーは、コンプライアンスがもともと悪い傾向


Emerg Med Jより、喘息患者の救急車使用についての論文。
観点が面白かったので、アブストラクトだけ読んでみた。

The health behaviour and clinical characteristics of ambulance users with acute asthma.
Emerg Med J 2009; 26: 187-192


目的:
 喘息患者で、救急車を使っている患者とウォークインで来る患者との違いを考察。

方法:
 2か所以上の救急部に救急車で搬送された喘息患者をレトロスペクティブに考察。
 生活スタイルや、健康リスク、臨床的な違い、1秒量、入院率、重症度、処方内容、
 精神的側面をエンドポイントとした。

結果:
 142人が登録。26%がambulance serviceを使っていた。
 救急車ユーザーは、ウォークインで来る患者よりも、
 高齢で(40 vs 32 years, p<0.05)、
 その後のフォローに来ない傾向にあった(OR 2.93, 95% CI 1.16-7.37)。
 ウォークインの患者は、教育レベルが高かった(OR 4.36, 95%CI 1.11-17.09)。
 
結論:
 喘息発作における救急車ユーザーは、高齢で教育水準が低い傾向にあった。
 

・・・・・・・・ここの教育educationというのは、コンプライアンスと同義だと思われる。
救命センターで当直をしていた時、喘息+救急車といえば
精神科疾患を持っていたり、喘息のコンプライアンスが悪かった人が多かった。

by otowelt | 2009-03-03 12:09 | 気管支喘息・COPD

経口ステロイドに抗菌薬を併用すると、COPD急性増悪の発症と死亡率を軽減する


ERJには登録していないためアブストラクトしか読めないので
何の抗菌薬を使ったのかわからない・・・・
そしてどのくらいの期間抗菌薬を使ったのかも。

Reduced risk of next exacerbation and mortality associated with antibiotic use in COPD
Eur Respir J 2009 33: 282-288


デザイン:
 経口ステロイドあるいは、経口ステロイド・抗菌薬による治療後の
 COPD急性増悪のリスクについて評価したコホート研究。

方法:
 50歳以上のCOPD患者を登録。
 少なくとも1回以上の急性増悪を経験しており、経口ステロイドあるいは
 経口ステロイド・抗菌薬を投与されていることが条件。
 2回目あるいは3回目の増悪について評価した。

結果:
 842人が1回以上の急性増悪を経験している。
 1回目の増悪から2回目の増悪までの期間は、
 ステロイド群、ステロイド・抗菌薬群で差はみられなかった。
 しかしながら、2回目から3回目の増悪期間は、
 ステロイド群189日 VS ステロイド・抗菌薬群258日であった。
 ステロイドと抗菌薬の併用による保護的な効果は、
 最初の3か月と考えられる。(HR0.72, 95%CI 0.62–0.83)
 死亡率はステロイド・抗菌薬併用群で有意に低かった。

結論:
 経口ステロイドに抗菌薬を加えることで、COPD急性増悪の頻度を
 減らすことができる。これにより死亡率も減少する。

by otowelt | 2009-02-25 18:16 | 気管支喘息・COPD

COPDのincidence rateについての考察


今週のCHESTより。
COPDの疫学は、発見が遅いことから未開拓領域。
そのため、インパクトファクターも甘い傾向にある。

Prevalence, Incidence, and Lifetime Risk for the Development of COPD in the Elderly.Chest February 2009 135:368-377; published ahead of print February 5, 2009, doi:10.1378/chest.08-0684

背景:
 COPDの有病率prevalenceはすでに考察されている論文がいくつかある。
 (Lancet2007の有病率10.1%が有名か?
  ・・・・・・・・・40歳以上の成人の10人に1人がstageⅢ以上)
 
 しかしながら、COPDの発生率incidenceに関しての報告は少ない。

 prevalence: ある一時点においての疾病を有している人の割合
 incidence:ある一定期間における新たなる疾病の発症頻度(人年)


方法:
 prospective population-based cohort studyを
 55歳以上のCOPD患者でおこなった。

結果:
 7,983人の患者が登録され、648症例が平均11年のフォローアップで
 COPDを発症している。overall incidence rate (IR)は9.2/1,000人年。
 [95%CI, 8.5~10.0]
 IRはもちろん、男性の方が多かった。
 ・男性:(14.4/1,000人年; 95% CI, 13.0~16.0)
 ・女性:(6.2/1,000 PY; 95% CI, 5.5 to 7.0)
 また、スモーカーの方が高かったのは言わずもがな。
 そして、このIRは55~59歳の若い女性にも患者群として
 有意に多かったという結果が出た。(7.4/1,000人年; 95%CI, 4.1~12.6)
 

by otowelt | 2009-02-25 11:47 | 気管支喘息・COPD

air trappingは喘息重症度と相関

Ashley Busacker, et al. A Multivariate Analysis of Risk Factors for the Air-Trapping Asthmatic Phenotype as Measured by Quantitative CT Analysis. Chest  2009 ;135:48-56

背景:
 重症喘息患者はair trappingがしばしば観察される。しかしながら、
 これをCTで撮影したことによる論文というのは今までない。
 この論文では2つの仮説をもとに検証している。すなわち、
 (1) air trapping measured by multidetector CT (MDCT)
  quantitative methodology would be a predictor of a more
  severe asthma phenotype; and
 (2) historical, clinical, allergic, or inflammatory risk factors
  could be identified via multivariate analysis.

方法:
 MDCTをつかっておこなわれた。
 Air trappingの定義:-850HUを下回り、かつ肺組織の9.66%以上
 (これって面積のこと??)
 喘息の重症度との関連性をリサーチ。

結果:
 air trappingの存在は、asthma-related hospitalizations, ICU visits,
 and/or mechanical ventilationと相関した。
 喘息発作の期間(OR, 1.42; 95%CI, 1.08 to 1.87)
 肺炎のエピソード(OR, 8.55; 95% CI, 2.07 to 35.26)
 気道好中球高値(OR, 8.67; 95% CI, 2.05 to 36.57)
 気道閉塞性(FEV1/FVC) (OR, 1.61; 95% CI, 1.21 to 2.14)
 アトピー(OR, 11.54; 95% CI, 1.97 to 67.70)
 
結論
 CTにおけるair trappingは喘息の重症度と相関する。

by otowelt | 2009-02-17 09:42 | 気管支喘息・COPD

気管支喘息におけるオマリズマブ(ゾレア)の適応承認

2009年1月21日、喘息治療薬のオマリズマブ(ゾレア)が製造承認を取得。
喘息に適応を持つ、初の抗体医薬(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤)。
2~4週間に1回の皮下注射で、重症喘息患者の症状増悪頻度を減少させる効果がある
とされている。

オマリズマブは、喘息治療の国際指針であるGINA2008において、
Step5の治療選択肢として位置付けられ、コントロール不良追加薬剤として、
経口ステロイドとともに並ぶ。

投与開始16週間後の平均PEF値をオマリズマブ(164人)とプラセボ(151人)で
比較すると、その差がオマリズマブ群で有意に改善していた。
また、喘息の増悪発現率についても、プラセボが11%(164人中18人)に対し
オマリズマブ群が4%(151人中6人)と、有意差が認められた。

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●ゾレア
・用法・用量
 皮下注投与量は,患者の体重および総血清IgE濃度に応じて、
 1回150~300 mgを4週間毎に1回から,1回225~375 mgを2週間毎に
 1回までと異なる。

・作用機序
 多くの喘息患者では,アレルギー成分が,肥満細胞および好塩基球の受容体に
 結合した抗原特異的IgEを介して,ヒスタミン,ロイコトリエン,その他メディエーター
 を遊離し,粘膜の炎症や気道平滑筋の痙攣を増加させる。オマリズマブは循環血中
 遊離IgEと複合体を形成し,IgEが肥満細胞および好塩基球に結合するのを防止し
 その結果メディエーターの遊離を防ぐ。

・薬物動態
 単回皮下投与後,7~8日間で最大血清濃度に達する。本剤は肝臓で分解され
 血清消失半減期は平均26日間である。血清中の遊離IgE濃度は,初回投与後
 1時間以内に用量依存性に低下する。推奨量を用いた場合,次の投与までの間
 持続する遊離IgE濃度の低下は96%を超えると報告されている。
 本剤の投与を中止すると,遊離IgE濃度は約1年で治療前の値に戻る。

by otowelt | 2009-01-22 15:28 | 気管支喘息・COPD