カテゴリ:気管支喘息・COPD( 410 )

好酸球数が少ないCOPD患者は肺炎リスクが高い?

e0156318_1633480.jpg GSKの援助を受けた研究ですが、COPD+ICS→肺炎リスクという知見に一石を投じる内容です。

Ian D Pavord, et al.
Blood eosinophil count and pneumonia risk in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a patient-level meta-analysis
Lancet Respiratory Medicine, 2016 in press.

背景:
 吸入ステロイド薬(ICS)はCOPDにおける重要なマネジメントであるが、中等症~重症COPD患者では肺炎のリスクを上昇させる。血中好酸球数比率が2%以上の患者では、2%以下の患者よりもICSへの反応性が良好であるため、血中好酸球数がCOPD患者の肺炎リスクに影響を与えるかもしれない。このpost-hocメタアナリシスにおいて、われわれは血中好酸球数比率2%の閾値が、肺炎リスクの異なる患者をICS治療の有無にかかわらず同定することができるかどうか調べた。

方法:
 GSK社の試験レジストリから、COPD患者のランダム化二重盲検試験を抽出した。適格試験は、ICSアーム(フルチカゾンプロピオン酸/サルメテロールあるいはフルチカゾンフランカルボン酸/ビランテロール)およびコントロール群(フルチカゾン非吸入)が設定され、ランダム化前と少なくとも24週間後の血中好酸球数データが観察されているものとした。血清好酸球数比率(白血球数の2%未満vs 2%以上)によって層別化し、肺炎イベントを有した患者数をデータとして記録した(ICS使用の有無は問わない)。

結果:
 1998年~2011年に10試験が登録された。血中好酸球数データが得られたCOPD患者10861人が対象となった。4043人はベースラインの好酸球比率が2%未満で、6818人は2%以上だった。血清好酸球比率が2%未満の患者のうち149人(3.7%)が1回以上の肺炎イベントを、2%以上の患者のうち215人(3.2%)が1回以上の肺炎イベントを起こした(ハザード比1.31; 95%信頼区間1.06–1.62)。ICS治療を受けていない患者では、血清好酸球比率が2%未満の患者のうち40人(3.8%)が肺炎イベントを、2%以上の患者のうち48人(2.4%)が肺炎イベントを有していた(ハザード比1.53; 95%信頼区間1.01–2.31)。ICS治療を受けていた患者では、それぞれ4.5%、3.9%であったが統計学的な有意差はなかった(ハザード比1.25、95%信頼区間0.98-1.60)。

結論:
 血中好酸球比率2%を閾値に設定すると、COPD患者で好酸球数が少ない患者は、好酸球数が多い患者よりも肺炎リスクが高かった。このリスク上昇は統計学的に小さなものであるが、さらなる前向き研究で検討すべき知見である。


by otowelt | 2016-08-24 00:59 | 気管支喘息・COPD

AVICA試験:小児喘息に対するアセトアミノフェンはイブプロフェンよりリスクは高くない

e0156318_10194314.jpg ようやく決着がつきましたか。

William J. Sheehan, et al.
Acetaminophen versus Ibuprofen in Young Children with Mild Persistent Asthma
N Engl J Med 2016; 375:619-630


背景
 小児において、アセトアミノフェン使用と喘息関連合併症との関連が報告されており、喘息小児にはアセトアミノフェンの使用を控えるようすすめる医師もいる。しかし、この関連を評価するための妥当なデザインの臨床試験はない。

方法:
 多施設共同前向きランダム化二重盲検並行群間試験において、軽症持続型喘息の小児300人(12~59ヶ月)を登録し、48週間、発熱時あるいは疼痛時にアセトアミノフェンを頓用する群と、イブプロフェンを頓用する群にランダムに割り付けた。プライマリアウトカムは、全身ステロイド投与の必要性がある喘息発作の回数とした。両群とも、同時に実施された関連試験で用いられた標準的長期管理薬を投与された。

結果:
 試験薬の投与回数は中央値5.5 回(IQR1.0-15.0)で、群間差は観察されなかった(P=0.47)。1人あたりの発作回数にも群差はなく、46週フォローアップ期間中、アセトアミノフェン群では平均0.81回、イブプロフェン群では平均0.87回だった(アセトアミノフェン群のイブプロフェン群に対する発作相対的比率0.94、95%信頼区間0.69-1.28、P=0.67)。喘息発作が1回以上みられた割合はアセトアミノフェン群49%、イブプロフェン群47%で、2回以上認められた割合はそれぞれ21%、24%だった。同様に、アセトアミノフェン群とイブプロフェン群で、喘息がコントロールされていた日数の割合(それぞれ85.8%、86.8%、P=0.50)、アルブテロール(サルブタモール)の発作時吸入(1週あたりそれぞれ2.8回、3.0回、P=0.69)、予定外の受診・入院(1人あたりそれぞれ0.75回、0.76回、P=0.94)、有害事象に有意差はなかった。

結論:
 軽症持続型喘息の小児において、アセトアミノフェンはイブプロフェンと比較して、喘息発作の発現率が高くなることとやコントロール不良との関連はなかった。


by otowelt | 2016-08-22 00:08 | 気管支喘息・COPD

女性COPDにおけるICSは骨粗鬆症の予防効果がある?

e0156318_1633480.jpg 私も積極的にICSを処方しているわけではありませんが、このコホートではICS使用者は極めてマイノリティですね。骨粗鬆症についてはほとんど悪影響はないとする報告が多いですが、むしろ予防効果があるという報告はあまり目にしたことがありません。

Liu SF, et al.
Inhaled corticosteroids can reduce osteoporosis in female patients with COPD.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Jul 14;11:1607-14.


背景:
 COPD患者における吸入ステロイド薬(ICS)が、骨粗鬆症を予防できるかどうかは良くわかっていない。この研究の目的は、女性COPD患者における骨粗鬆症の頻度をICS使用有無ごとに調べることである。

患者および方法:
 これは、1997年~2009年のTNHIデータベースを用いて調査された後ろ向きコホート研究である(ICD-9コードを使用)。40歳未満の若年女性患者やすでに骨粗鬆症の既往がある女性患者は除外された。喘息症例も除外した。これらの患者を2011年まで追跡し、骨粗鬆症の発症を調べた。Cox比例ハザード回帰モデルによって肺癌のハザード比も求めた。

結果:
 COPD患者10723人が登録され、そのうち812人がICS使用者、9911人がICS非使用者であった。骨粗鬆症の発症は、ICS非使用者で10万人年あたり4395人、ICS使用者で2709人だった(ハザード比0.73、95%信頼区間0.63-084)。年齢などで補正すると、高用量ICSは骨粗鬆症のリスク低下と関連していた(0 mg to ≤20 mg:ハザード比0.84, 95%信頼区間0.69-1.04; >20 mg to ≤60 mg:ハザード比0.78, 95%信頼区間0.59-1.04; >60 mg:ハザード比0.72, 95%信頼区間0.55-0.96)。骨粗鬆症の累積確率はICS使用者で有意に低下した(P<0.001)。

結論:
 ICSを使用している女性COPD患者では、骨粗鬆症の用量反応性の予防効果がみられた。


by otowelt | 2016-08-17 00:54 | 気管支喘息・COPD

AFFIRM COPD試験:アクリジニウム/ホルモテロールはサルメテロール/フルチカゾンより有効

e0156318_23175684.jpg Duaklir®ジェヌエアの臨床試験です。ACLIFORM COPD試験、AUGMENT COPD試験が有名です。今回はICS/LABAとの比較です。

Claus Vogelmeier, et al.
Efficacy and safety of aclidinium/formoterol versus salmeterol/fluticasone: a phase 3 COPD study
European Respiratory Journal 2016; DOI: 10.1183/13993003.00216-2016


目的:
 中等症~重症の安定期COPD患者におけるアクリジニウム/ホルモテロール1日2回吸入の効果をサルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸と比較すること。

方法:
 AFFIRM COPD試験は、24週の二重盲検ダブルダミー比較試験である。患者はランダムに1:1にアクリジニウム/ホルモテロール 400/12μg1日2回(ジェヌエア/プレスエア使用)あるいはサルメテロール/フルチカゾン 50/500μg1日2回(アキュヘイラー使用)に割り付けられた。
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(文献より引用:スタディデザイン)

 プライマリエンドポイントは、24週時点でのピーク1秒量(ベースラインからの変化量)とした。他のエンドポイントとしてTDIスコア、SGRQスコア、CATスコア、COPD症状、COPD急性増悪、リリーバー使用、デバイス嗜好性などを設定した。有害事象についても記録された。

※朝の吸入後2~3時間以内の1秒量最大値

結果: 
 合計933人の患者が登録された(平均年齢63.4歳、65.1%が男性)。アクリジニウム/ホルモテロールは、サルメテロール/フルチカゾンよりも有意にピーク1秒量を改善し、TDIも非劣性を示した。健康ステータスや急性増悪リスクの減少は両群ともに同等であった。治療忍容性は良好で、肺炎はアクリジニウム/ホルモテロール群の方が少なかった。
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(文献より引用:ピーク1秒量)

結論:
 安定期COPD患者において、アクリジニウム/ホルモテロールはサルメテロール/フルチカゾンよりも有意に気管支拡張効果をもたらし、症状コントロールや急性増悪リスクを減少させた。両治療は忍容性が良好であったものの、治療関連有害事象はアクリジニウム/ホルモテロール群の方が少なかった。


by otowelt | 2016-08-08 00:30 | 気管支喘息・COPD

COPD患者が禁煙できない要因

e0156318_23175684.jpg 禁煙外来を用いても、COPD患者さんの禁煙にはかなり苦労します。

Sandra S. Tøttenborg, et al.
Determinants of smoking cessation in COPD patients treated in the outpatient setting.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.05.020


背景:
 COPDの進行において禁煙の効果が示されている。それにもかかわらず、多くのCOPD患者は喫煙し続けている。

方法:
 この前向き追跡試験では、2008年~2012年における外来COPD患者3233人の禁煙率と禁煙の臨床・社会経済的決定因子調べた。多変量Cox回帰を用いて、禁煙のハザード比を算出した。

結果:
 外来受診から1年および5年以内の禁煙率はそれぞれ19%、45%だった。補正解析において、患者は若年であるほど禁煙しない傾向にあり、70歳超と比較すると50~69歳でハザード比0.84(95%信頼区間0.71-0.99)、30~49歳で0.53(95%信頼区間0.37-0.50)だった。また、低収入(ハザード比0.79, 95%信頼区間0.67-0.94), 独居(ハザード比0.75, 95%信頼区間0.64-0.88), 失業者(ハザード比0.70, 95%信頼区間0.54-0.90), 軽症COPD(GOLD Dと比較して、GOLD A:ハザード比0.67、95%信頼区間0.53-0.84、GOLD B:ハザード比0.61、95%信頼区間0.47-0.80)、MRC息切れスケール4点未満(ハザード比0.80, 95%信頼区間0.68-0.95), 外来での急性増悪治療歴がないこと(ハザード比0.80, 95%信頼区間0.68-0.93)も、禁煙をしない決定因子であった。

結論:
 若年および社会経済的に不利なCOPD外来患者は禁煙達成が困難である。


by otowelt | 2016-08-03 00:30 | 気管支喘息・COPD

肥満パラドクス:COPDはBMIが高い方が死亡リスクが低い?

e0156318_1633480.jpg 脂肪よりも筋肉をつけないとダメなのは明白です。

Guo Y, et al.
Body mass index and mortality in chronic obstructive pulmonary disease: A dose-response meta-analysis.
Medicine (Baltimore). 2016 Jul;95(28):e4225.


背景:
 この研究の目的は、COPD患者においてBMIと死亡率の量反応関係を調べることである。

方法:
 われわれはPubMed、Embase、Web of Scienceから2015年7月までの文献を検索した。ランダム効果メタアナリシスを用いて正常体重のCOPD患者の死亡率を、低体重、過体重、肥満のCOPD患者のそれと比較し相対リスクを算出した。加えて、BMIと死亡率の量反応関係を調べた。

結果:
 17の観察研究、30182人のCOPD患者が対象となった。健常者と比較して、低体重、過体重、肥満COPD患者の死亡の相対リスクはそれぞれ、1.40(95%信頼区間1.20-1.63), 0.80 (95%信頼区間0.67-0.96), 0.77 (95%信頼区間0.62-0.95)だった。ランダム効果モデルを用いると、BMIと死亡率の間には非線形の相関がみられた。BMI21.75未満のCOPD患者は死亡リスクが高かった。さらに、BMIが増加するほど死亡リスクが減少した。BMIが30だと、死亡リスクは最も低かった(相対リスク0.69; 95%信頼区間0.53-0.89)。BMIが32を超える場合、BMIと死亡に関連性はなかった。

結論:
 過体重はCOPD患者の低い死亡リスクと関連していたが、低体重は高い死亡リスクと関連していた。しかしながら、COPD患者における肥満と死亡率の関連を支持するエビデンスは限られている。


by otowelt | 2016-08-02 00:31 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:COPDに対するロフルミラスト

e0156318_2225660.jpg ロフルミラストはまだ日本では承認されていません。 

Yuan L, et al.
Potential treatment benefits and safety of roflumilast in COPD: a systematic review and meta-analysis.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Jun 30;11:1477-83.


背景:
 ロフルミラストはCOPD治療に効果的であり、特にCOPD急性増悪を予防する効果があるとされている。

目的:
 安定期COPDに対するロフルミラストの効果と安全性を評価したランダム化比較試験を評価すること。

方法:
 MEDLINE, EMBASE, Cochrane Controlled Trials Registerで検索を実施した。COPDにおけるロフルミラストの治療効果を報告したランダム化比較試験を抽出し、メタアナリシスを実施した。

結果:
 合計9つの記事と13のランダム化比較試験が同定された。ロフルミラスト群の29.1%の患者が急性増悪を経験した。ロフルミラストの使用は、プラセボと比較してCOPD急性増悪を減少させた(オッズ比0.82, 95%信頼区間0.75-0.9)。ロフルミラスト使用によってQOLおよびスパイロメトリーのデータが改善した。気管支拡張薬投与前1秒量変化は、ロフルミラスト投与群で増加したが(64.88 mL; 95%信頼区間54.09-75.66)、プラセボ群では増加しなかった。ロフルミラスト群ではプラセボ群と比較して有害事象がやや多かった(オッズ比1.36, 95%信頼区間1.13-1.65)。有害事象には下痢、頭痛、悪心、体重減少、などがみられた。

結論:
 COPD急性増悪を予防するロフルミラストの効果は明白であった。COPD患者においてロフルミラストはスパイロメトリーのデータを改善させた。ロフルミラストはCOPD患者には利益をもたらしたが、コホートデザインデータに限定された結果であること、研究間の異質性があることから、さらなるランダム化比較試験の実施が望ましい。


by otowelt | 2016-08-01 00:02 | 気管支喘息・COPD

TAHSコホート:成人における早期発症喘息と晩期発症喘息の頻度は同等

e0156318_1637713.jpg 有名コホートからの報告です。

Daniel J Tan, et al.
Clinical and functional differences between early-onset and late-onset adult asthma: a population-based Tasmanian Longitudinal Health Study
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2015-208183


背景:
 早期発症成人喘息と晩期発症成人喘息の違いは、前向きデータにおいて記述されていない。

目的:
 縦断コホート研究において、両喘息の特徴の差を調べること。

方法:
 Tasmanian Longitudinal Health Study (TAHS)は集団ベースコホートであり、参加者が7歳時点の1968年のときに最初のスパイロメトリーが実施された(8583人)。コホートは、その後2002~2005年に差異追跡された(5729人が回答)。被験者が44歳の時点で、1389人が喘息および気管支炎に関連した検査(質問票、肺機能検査、皮膚プリックテスト)を受けた。
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(文献より引用)

結果:
 TAHSコホートのうち、7.7%(95%信頼区間6.6-9.0%)が早期発症、7.8%(95%信頼区間6.4-9.4%)が晩期発症の喘息だった。アトピーと家族歴は早期発症の喘息女性によくみられ、現喫煙歴と社会経済的ステータスの低さは晩期発症の喘息によくみられた。早期発症喘息患者の肺機能検査は有意に晩期発症喘息患者よりも良好であった(平均気管支拡張後1秒率差−2.8%予測値[95%信頼区間−5.3 to −0.3])。しかしながら、喘息重症度と喘息スコアは両群で有意差はなかった。喘息と喫煙歴には関連性があり、これは晩期発症喘息患者における気流閉塞と関連していた。早期発症喘息との間にこの関連性はなかった。

結論:
 中年成人における早期発症喘息と晩期発症喘息の頻度は同等であった。早期発症喘息の方が晩期発症喘息よりも肺機能は良好であった。


by otowelt | 2016-07-25 00:18 | 気管支喘息・COPD

中国では喘息患者の31%、COPD患者の19%がACOS

e0156318_125953.jpg これまでの報告と比べると、かなり多い数字です。通常ACOSはCOPD・喘息ともに10~20%程度の合併率ではないかと考えられています。

Ding B, et al.
Asthma-chronic obstructive pulmonary disease overlap syndrome in the urban Chinese population: prevalence and disease burden using the 2010, 2012, and 2013 China National Health and Wellness Surveys.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Jun 9;11:1139-50.


背景:
 これまでの研究により、ACOSの患者が認識されるようになってきた。しかしながら、中国における研究はほとんどない。この研究は、都市部中国におけるACOSの頻度と患者アウトカムの関連性を調べたものである。

方法:
 2010年~2013年の中国National Health and Wellness Surveyによるデータを用いた(59935人)。回答者は、主治医診断による4つの疾患グループに分けられた。すなわち、ACOS、喘息、COPD、コントロール(喘息もCOPDもない)である。

結果:
 ACOS患者は成人の0.61%にのぼった(366人)。喘息の集団の30.73%が、COPDの集団の18.60%がACOSであった。ACOS患者は他の疾患グループと比べて有意に健康ステータスが不良で、仕事生産性が低く、医療機関の使用が少なかった。ACOS患者と喘息患者のアウトカムにはあまり差はみられなかった。

結論:
 COPD患者や健常人と比較するとACOS患者は健康ステータスが不良で仕事生産性も低かった。


by otowelt | 2016-07-19 00:10 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:COPDに対するトリプル吸入療法はスピリーバ®単独よりも入院リスクを減少

e0156318_8415029.jpg コクランレビューです。

Rojas-Reyes MX, et al.
Combination inhaled steroid and long-acting beta2-agonist in addition to tiotropium versus tiotropium or combination alone for chronic obstructive pulmonary disease.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jun 6;6:CD008532. doi: 10.1002/14651858.CD008532.pub3.


背景:
 長時間気管支拡張薬であるチオトロピウムに吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬(ICS/LABA)はCOPDの維持治療に広く用いられている。これらの治療の組み合わせは、異なる作用機序であるため、個々の薬剤を投与するよりもより効果的かもしれない。

目的:
 COPD患者の急性増悪、症状、QOL、肺機能に対する治療効果を調べること。治療内容は、チオトロピウム+LABA/ICS vs チオトロピウム、またはチオトロピウム+LABA/ICS vs LABA/ICSの比較である。

方法:
 Cochrane Airways Group Specialised Register of Trialsをはじめとした電子データベースから信頼性のある記事を抽出した。研究は並行群間ランダム化比較試験で少なくとも3ヶ月以上の上記治療を比較したものとした。抽出した論文の質を評価し、データに関しては個別に著者へ問い合わせも実施した。

結果:
・チオトロピウム+LABA/ICS vs チオトロピウム
 これらの治療には死亡率に差はみられなかった(オッズ比1.80, 95%信頼区間0.55 to 5.91; 2試験; 961人)。ただし、入院に関しては併用群の方が有意にリスクが低かった(オッズ比0.61, 95%信頼区間0.40 to 0.92; 2試験; 961人;Number needed to treat for benefit 19.7, 95%信頼区間10.75 to 123.41)。急性増悪に対する効果は試験ごとにばらつきがあり、メタアナリシスを実施しなかった。SGRQスコアは有意に併用群で改善した(平均差-3.46, 95%信頼区間-5.05 to -1.87; 4試験; 1446人)。肺機能についても併用群の方が良好であったが、その差は極めて微量と言わざるを得なかった。有害事象は両群ともに差はみられなかった(オッズ比1.16, 95%信頼区間0.92 to 1.47; 4試験; 1363人)。有害事象としての肺炎についても差はなかった(Petoオッズ比1.62, 95%信頼区間0.54 to 4.82; 4試験; 1758人)。

・チオトロピウム+LABA/ICS vs LABA/ICS
 事前規定で妥当と考えられた6試験のうち1つのみがこれらの比較であったが、比較するには検定力不足であった。そのため、本メタアナリシスでは結論を出せない。

結論:
 チオトロピウム+LABA/ICSの併用は、チオトロピウム単独と比較して入院を減少させる中等度のエビデンスがあると考えられる。またQOLを改善する効果もあると考えられた。しかしながら、これらの併用療法が死亡率やCOPD急性増悪に利益をもたらすというエビデンスは十分ではなかった。チオトロピウムにLABA/ICSの吸入を加えても有意な有害事象の増加は観察されなかった。


by otowelt | 2016-07-15 00:15 | 気管支喘息・COPD