カテゴリ:気管支喘息・COPD( 414 )

システマティックレビュー:説明のつかないCOPD急性増悪では肺塞栓を考慮すべき

e0156318_1015674.jpg COPD急性増悪でなくとも、疑うべきときは疑わなければならない重要な疾患です。

F.E. Aleva, et al.
Prevalence and Localization of Pulmonary Embolism in Unexplained Acute Exacerbations of COPD: A systematic review and meta-analysis
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.07.034


背景:
 COPD患者は炎症亢進エピソード、いわゆるCOPD急性増悪に遭遇することがある。この30%において原因ははっきりわからないとされている。炎症と血栓の間にはよく知られた関連があるため、この研究では説明のつかないCOPD急性増悪において、塞栓症の局在と頻度、肺塞栓の臨床マーカーを同定した。

方法:
 MEDLINE、EMBASEを用いてシステマティックに検索を実施した(1974年~2015年10月)。COPD急性増悪患者において肺塞栓を診断するため胸部CT血管造影を実施された前向きおよび横断研究を抽出した。

結果:
 22論文がレビューされ、7試験が登録された。説明のつかないCOPD急性増悪のうち肺塞栓がみられた頻度は16.1%だった(95%信頼区間8.3-25.8%)。68%の塞栓は肺動脈主幹、葉動脈、葉間動脈にみられた。死亡率および入院期間は説明のつかないCOPD急性増悪患者および肺塞栓患者では上昇・延長した。胸膜痛および心不全は説明のつかないCOPD急性増悪患者および肺塞栓患者でよくみられる臨床所見だった。反面、気道感染徴候は肺塞栓による増悪では頻度は少なかった。

結論:
 説明のつかないCOPD急性増悪で肺塞栓はよくみられる。塞栓の3分の2はその局在が明らかであり、抗凝固療法の適応となろう。特に胸膜痛や心不全徴候があり、感染徴候が明らかでなければ、説明のつかないCOPD急性増悪患者では肺塞栓を注意すべきである。


by otowelt | 2016-08-31 00:14 | 気管支喘息・COPD

チオトロピウムによるCOPD治療開始は心血管系リスクを増加させず

e0156318_23175684.jpg 本題とは異なる観点ですが、海外でもやはりLABA単独使用というのはまれのようですね。

Samy Suissa, et al.
Long-acting bronchodilator initiation in COPD and the risk of adverse cardio-pulmonary events: A population-based comparative safety study
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.08.001


背景:
 長時間作用性β2刺激薬(LABA)や抗コリン薬チオトロピウムを含む長時間作用性気管支拡張薬は、COPDの初期治療として推奨されている。これらの気管支拡張薬の心血管系、脳血管系、呼吸器系に対する有害事象のリスクについては、限定的なサンプルサイズの研究に基づいていたり相反する結果が示されたりしている。さらに、当該初期治療が開始された次期や、おのおのがリスクに直面する時期についての情報が得られる研究はほとんどない。

方法:
 われわれは、長時間作用性気管支拡張薬を2002年~2012年の間に新規処方された55歳以上の患者をUnited Kingdom’s Clinical Practice Research Datalinkを用いて同定した。チオトロピウムで開始された患者は、高次元傾向スコアおよび過去の吸入ステロイド薬使用によってマッチされ、LABA新規使用者と比較された。治療開始から1年あるいは急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中、心不全、不整脈、肺炎の発症まで追跡された。

結果:
 26442人のチオトロピウム新規使用者が26442人のLABA新規使用者と比較された。LABA使用者は、主にICSに追加処方されていた。LABAと比較して、チオトロピウム開始によるAMIのハザード比は1.10 (95%信頼区間0.88-1.38)、脳卒中のハザード比は1.02 (95%信頼区間0.78-1.34), 不整脈のハザード比は0.81 (95%信頼区間0.60-1.09), 心不全のハザード比0.90 (95%信頼区間0.79-1.02)だった。肺炎の発症は、チオトロピウム群で有意に少なかった(ハザード比0.81; 95%信頼区間0.72-0.92)。

結論:
 LABAと比較してチオトロピウムによるCOPDの治療開始は、心血管系リスクを初期1年で増加させなかった。肺炎リスクはLABAの方が高く、これはLABAとともに使用されている吸入ステロイド薬の使用による影響と考えられた。


by otowelt | 2016-08-30 00:58 | 気管支喘息・COPD

製錬業はCOPDの職業的リスク因子

e0156318_234399.jpg そうは言ってもやはり喫煙が気腫化の最たる原因であろうと思います。

Kraïm-Leleu M, et al.
Occupational Risk Factors for COPD: A Case-Control Study.
PLoS One. 2016 Aug 3;11(8):e0158719.


目的:
 この研究の目的は、技巧職におけるCOPDの職業的リスク因子を調べることである。

方法:
 この多施設共同症例対照研究には、曝露形態が異なる11の職業が含まれた。コントロールおよび対象症例は性別、年齢、喫煙歴がマッチされた。多変量ロジスティック回帰分析を用いてオッズ比を推定した。

結果:
 合計1519人の参加者が2004年9月から2012年9月までに登録された。マッチ後、547のペアがつくられた。平均年齢は56.3±10.4歳だった。この研究では、製錬業のみがCOPDのリスクを上昇させた(オッズ比7.6, p < 0.0001, 95%信頼区間4.5-12.9)。身体活動性はオッズ比を低下させ(オッズ比0.7)、都市部の居住はリスク因子だった(オッズ比1.6)。
 精錬業者で用いられた金属はおもに鋳鉄、アルミニウム、合金であった。機械整備(65.2%)、鋳造(49.6%)、表面処理(41.1%)、鋳造(41.0%)がもっともよくみられた活動内容であった。

結論:
 技巧職のうち、とりわけ製錬業ではCOPDの職業的リスクとなる。


by otowelt | 2016-08-29 00:48 | 気管支喘息・COPD

フェヴィピプラント(fevipiprant)は中等症~重症喘息患者の好酸球性気道炎症を抑制する

e0156318_1637713.jpg 喘息治療医の間で注目を集めている経口治療薬フェヴィピプラントの報告です。

Sherif Gonem, et al.
Fevipiprant, a prostaglandin D2 receptor 2 antagonist, in patients with persistent eosinophilic asthma: a single-centre, randomised, double-blind, parallel-group, placebo-controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(16)30179-5


背景:
 好酸球性気道炎症は喘息でよくみられ、この炎症を軽減することで臨床アウトカムが改善する。われわれは、プロスタグランジンD2受容体アンタゴニストであるフェヴィピプラント(fevipiprant, QAW039)が中等症~重症の好酸球性喘息患者における好酸球性気道炎症を軽減するかもしれないと仮説を立てた。

方法:
 イギリスのグレンフィールド病院において、単施設ランダム化二重盲検並行群間プラセボ対照比較試験を実施した。われわれは、喀痰中好酸球数比率が2%以上の遷延性の中等症~重症喘息患者を登録した。2週間の単盲検プラセボrun-in periodののち、患者は1:1にランダムにフェヴィピプラント225mg1日2回経口投与あるいはプラセボに割り付けられた。12週治療期間を経て、6週間のプラセボによるウォッシュアウト期間を設けた。プライマリアウトカムは、喀痰好酸球比率のベースラインから治療後12週までの変化とし、ITT解析で評価した。一度でも試験薬を投与されたすべての患者は安全性解析を実施された。

結果:
 2012年2月10日から2013年1月30日までの間、61人の患者がランダムにフェヴィピプラント(30人)あるいはプラセボ(31人)に割り付けられた。フェヴィピプラント群の3人の患者とプラセボ群の4人の患者が喘息発作のため試験中止となった。フェヴィピプラント群の2人がプラセボを不適切に投与された。ベースラインから治療後12週までの間で、喀痰好酸球比率はフェヴィピプラント群で有意に減少した(フェヴィピプラント群:5.4% [95%信頼区間3.1–9.6]→1.1% [95%信頼区間0.7–1.9]、プラセボ群4.6%[95%信頼区間2.5–8.7]→3.9%[95%信頼区間2.3–6.7])。ベースラインと比較して、平均喀痰好酸球比率はフェヴィピプラント群で4.5倍減少した(プラセボ群との差:3.5倍、95%信頼区間1.7-7.0、p=0.0014)。フェヴィピプラント群の安全性プロファイルは良好で、治療関連死や重篤な有害事象は観察されなかった。

結論:
 フェヴィピプラントは遷延性の中等症~重症喘息患者の好酸球性気道炎症を抑え、忍容性も良好であった。


by otowelt | 2016-08-26 00:51 | 気管支喘息・COPD

好酸球数が少ないCOPD患者は肺炎リスクが高い?

e0156318_1633480.jpg GSKの援助を受けた研究ですが、COPD+ICS→肺炎リスクという知見に一石を投じる内容です。

Ian D Pavord, et al.
Blood eosinophil count and pneumonia risk in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a patient-level meta-analysis
Lancet Respiratory Medicine, 2016 in press.

背景:
 吸入ステロイド薬(ICS)はCOPDにおける重要なマネジメントであるが、中等症~重症COPD患者では肺炎のリスクを上昇させる。血中好酸球数比率が2%以上の患者では、2%以下の患者よりもICSへの反応性が良好であるため、血中好酸球数がCOPD患者の肺炎リスクに影響を与えるかもしれない。このpost-hocメタアナリシスにおいて、われわれは血中好酸球数比率2%の閾値が、肺炎リスクの異なる患者をICS治療の有無にかかわらず同定することができるかどうか調べた。

方法:
 GSK社の試験レジストリから、COPD患者のランダム化二重盲検試験を抽出した。適格試験は、ICSアーム(フルチカゾンプロピオン酸/サルメテロールあるいはフルチカゾンフランカルボン酸/ビランテロール)およびコントロール群(フルチカゾン非吸入)が設定され、ランダム化前と少なくとも24週間後の血中好酸球数データが観察されているものとした。血清好酸球数比率(白血球数の2%未満vs 2%以上)によって層別化し、肺炎イベントを有した患者数をデータとして記録した(ICS使用の有無は問わない)。

結果:
 1998年~2011年に10試験が登録された。血中好酸球数データが得られたCOPD患者10861人が対象となった。4043人はベースラインの好酸球比率が2%未満で、6818人は2%以上だった。血清好酸球比率が2%未満の患者のうち149人(3.7%)が1回以上の肺炎イベントを、2%以上の患者のうち215人(3.2%)が1回以上の肺炎イベントを起こした(ハザード比1.31; 95%信頼区間1.06–1.62)。ICS治療を受けていない患者では、血清好酸球比率が2%未満の患者のうち40人(3.8%)が肺炎イベントを、2%以上の患者のうち48人(2.4%)が肺炎イベントを有していた(ハザード比1.53; 95%信頼区間1.01–2.31)。ICS治療を受けていた患者では、それぞれ4.5%、3.9%であったが統計学的な有意差はなかった(ハザード比1.25、95%信頼区間0.98-1.60)。

結論:
 血中好酸球比率2%を閾値に設定すると、COPD患者で好酸球数が少ない患者は、好酸球数が多い患者よりも肺炎リスクが高かった。このリスク上昇は統計学的に小さなものであるが、さらなる前向き研究で検討すべき知見である。


by otowelt | 2016-08-24 00:59 | 気管支喘息・COPD

AVICA試験:小児喘息に対するアセトアミノフェンはイブプロフェンよりリスクは高くない

e0156318_10194314.jpg ようやく決着がつきましたか。

William J. Sheehan, et al.
Acetaminophen versus Ibuprofen in Young Children with Mild Persistent Asthma
N Engl J Med 2016; 375:619-630


背景
 小児において、アセトアミノフェン使用と喘息関連合併症との関連が報告されており、喘息小児にはアセトアミノフェンの使用を控えるようすすめる医師もいる。しかし、この関連を評価するための妥当なデザインの臨床試験はない。

方法:
 多施設共同前向きランダム化二重盲検並行群間試験において、軽症持続型喘息の小児300人(12~59ヶ月)を登録し、48週間、発熱時あるいは疼痛時にアセトアミノフェンを頓用する群と、イブプロフェンを頓用する群にランダムに割り付けた。プライマリアウトカムは、全身ステロイド投与の必要性がある喘息発作の回数とした。両群とも、同時に実施された関連試験で用いられた標準的長期管理薬を投与された。

結果:
 試験薬の投与回数は中央値5.5 回(IQR1.0-15.0)で、群間差は観察されなかった(P=0.47)。1人あたりの発作回数にも群差はなく、46週フォローアップ期間中、アセトアミノフェン群では平均0.81回、イブプロフェン群では平均0.87回だった(アセトアミノフェン群のイブプロフェン群に対する発作相対的比率0.94、95%信頼区間0.69-1.28、P=0.67)。喘息発作が1回以上みられた割合はアセトアミノフェン群49%、イブプロフェン群47%で、2回以上認められた割合はそれぞれ21%、24%だった。同様に、アセトアミノフェン群とイブプロフェン群で、喘息がコントロールされていた日数の割合(それぞれ85.8%、86.8%、P=0.50)、アルブテロール(サルブタモール)の発作時吸入(1週あたりそれぞれ2.8回、3.0回、P=0.69)、予定外の受診・入院(1人あたりそれぞれ0.75回、0.76回、P=0.94)、有害事象に有意差はなかった。

結論:
 軽症持続型喘息の小児において、アセトアミノフェンはイブプロフェンと比較して、喘息発作の発現率が高くなることとやコントロール不良との関連はなかった。


by otowelt | 2016-08-22 00:08 | 気管支喘息・COPD

女性COPDにおけるICSは骨粗鬆症の予防効果がある?

e0156318_1633480.jpg 私も積極的にICSを処方しているわけではありませんが、このコホートではICS使用者は極めてマイノリティですね。骨粗鬆症についてはほとんど悪影響はないとする報告が多いですが、むしろ予防効果があるという報告はあまり目にしたことがありません。

Liu SF, et al.
Inhaled corticosteroids can reduce osteoporosis in female patients with COPD.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Jul 14;11:1607-14.


背景:
 COPD患者における吸入ステロイド薬(ICS)が、骨粗鬆症を予防できるかどうかは良くわかっていない。この研究の目的は、女性COPD患者における骨粗鬆症の頻度をICS使用有無ごとに調べることである。

患者および方法:
 これは、1997年~2009年のTNHIデータベースを用いて調査された後ろ向きコホート研究である(ICD-9コードを使用)。40歳未満の若年女性患者やすでに骨粗鬆症の既往がある女性患者は除外された。喘息症例も除外した。これらの患者を2011年まで追跡し、骨粗鬆症の発症を調べた。Cox比例ハザード回帰モデルによって肺癌のハザード比も求めた。

結果:
 COPD患者10723人が登録され、そのうち812人がICS使用者、9911人がICS非使用者であった。骨粗鬆症の発症は、ICS非使用者で10万人年あたり4395人、ICS使用者で2709人だった(ハザード比0.73、95%信頼区間0.63-084)。年齢などで補正すると、高用量ICSは骨粗鬆症のリスク低下と関連していた(0 mg to ≤20 mg:ハザード比0.84, 95%信頼区間0.69-1.04; >20 mg to ≤60 mg:ハザード比0.78, 95%信頼区間0.59-1.04; >60 mg:ハザード比0.72, 95%信頼区間0.55-0.96)。骨粗鬆症の累積確率はICS使用者で有意に低下した(P<0.001)。

結論:
 ICSを使用している女性COPD患者では、骨粗鬆症の用量反応性の予防効果がみられた。


by otowelt | 2016-08-17 00:54 | 気管支喘息・COPD

AFFIRM COPD試験:アクリジニウム/ホルモテロールはサルメテロール/フルチカゾンより有効

e0156318_23175684.jpg Duaklir®ジェヌエアの臨床試験です。ACLIFORM COPD試験、AUGMENT COPD試験が有名です。今回はICS/LABAとの比較です。

Claus Vogelmeier, et al.
Efficacy and safety of aclidinium/formoterol versus salmeterol/fluticasone: a phase 3 COPD study
European Respiratory Journal 2016; DOI: 10.1183/13993003.00216-2016


目的:
 中等症~重症の安定期COPD患者におけるアクリジニウム/ホルモテロール1日2回吸入の効果をサルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸と比較すること。

方法:
 AFFIRM COPD試験は、24週の二重盲検ダブルダミー比較試験である。患者はランダムに1:1にアクリジニウム/ホルモテロール 400/12μg1日2回(ジェヌエア/プレスエア使用)あるいはサルメテロール/フルチカゾン 50/500μg1日2回(アキュヘイラー使用)に割り付けられた。
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(文献より引用:スタディデザイン)

 プライマリエンドポイントは、24週時点でのピーク1秒量(ベースラインからの変化量)とした。他のエンドポイントとしてTDIスコア、SGRQスコア、CATスコア、COPD症状、COPD急性増悪、リリーバー使用、デバイス嗜好性などを設定した。有害事象についても記録された。

※朝の吸入後2~3時間以内の1秒量最大値

結果: 
 合計933人の患者が登録された(平均年齢63.4歳、65.1%が男性)。アクリジニウム/ホルモテロールは、サルメテロール/フルチカゾンよりも有意にピーク1秒量を改善し、TDIも非劣性を示した。健康ステータスや急性増悪リスクの減少は両群ともに同等であった。治療忍容性は良好で、肺炎はアクリジニウム/ホルモテロール群の方が少なかった。
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(文献より引用:ピーク1秒量)

結論:
 安定期COPD患者において、アクリジニウム/ホルモテロールはサルメテロール/フルチカゾンよりも有意に気管支拡張効果をもたらし、症状コントロールや急性増悪リスクを減少させた。両治療は忍容性が良好であったものの、治療関連有害事象はアクリジニウム/ホルモテロール群の方が少なかった。


by otowelt | 2016-08-08 00:30 | 気管支喘息・COPD

COPD患者が禁煙できない要因

e0156318_23175684.jpg 禁煙外来を用いても、COPD患者さんの禁煙にはかなり苦労します。

Sandra S. Tøttenborg, et al.
Determinants of smoking cessation in COPD patients treated in the outpatient setting.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.05.020


背景:
 COPDの進行において禁煙の効果が示されている。それにもかかわらず、多くのCOPD患者は喫煙し続けている。

方法:
 この前向き追跡試験では、2008年~2012年における外来COPD患者3233人の禁煙率と禁煙の臨床・社会経済的決定因子調べた。多変量Cox回帰を用いて、禁煙のハザード比を算出した。

結果:
 外来受診から1年および5年以内の禁煙率はそれぞれ19%、45%だった。補正解析において、患者は若年であるほど禁煙しない傾向にあり、70歳超と比較すると50~69歳でハザード比0.84(95%信頼区間0.71-0.99)、30~49歳で0.53(95%信頼区間0.37-0.50)だった。また、低収入(ハザード比0.79, 95%信頼区間0.67-0.94), 独居(ハザード比0.75, 95%信頼区間0.64-0.88), 失業者(ハザード比0.70, 95%信頼区間0.54-0.90), 軽症COPD(GOLD Dと比較して、GOLD A:ハザード比0.67、95%信頼区間0.53-0.84、GOLD B:ハザード比0.61、95%信頼区間0.47-0.80)、MRC息切れスケール4点未満(ハザード比0.80, 95%信頼区間0.68-0.95), 外来での急性増悪治療歴がないこと(ハザード比0.80, 95%信頼区間0.68-0.93)も、禁煙をしない決定因子であった。

結論:
 若年および社会経済的に不利なCOPD外来患者は禁煙達成が困難である。


by otowelt | 2016-08-03 00:30 | 気管支喘息・COPD

肥満パラドクス:COPDはBMIが高い方が死亡リスクが低い?

e0156318_1633480.jpg 脂肪よりも筋肉をつけないとダメなのは明白です。

Guo Y, et al.
Body mass index and mortality in chronic obstructive pulmonary disease: A dose-response meta-analysis.
Medicine (Baltimore). 2016 Jul;95(28):e4225.


背景:
 この研究の目的は、COPD患者においてBMIと死亡率の量反応関係を調べることである。

方法:
 われわれはPubMed、Embase、Web of Scienceから2015年7月までの文献を検索した。ランダム効果メタアナリシスを用いて正常体重のCOPD患者の死亡率を、低体重、過体重、肥満のCOPD患者のそれと比較し相対リスクを算出した。加えて、BMIと死亡率の量反応関係を調べた。

結果:
 17の観察研究、30182人のCOPD患者が対象となった。健常者と比較して、低体重、過体重、肥満COPD患者の死亡の相対リスクはそれぞれ、1.40(95%信頼区間1.20-1.63), 0.80 (95%信頼区間0.67-0.96), 0.77 (95%信頼区間0.62-0.95)だった。ランダム効果モデルを用いると、BMIと死亡率の間には非線形の相関がみられた。BMI21.75未満のCOPD患者は死亡リスクが高かった。さらに、BMIが増加するほど死亡リスクが減少した。BMIが30だと、死亡リスクは最も低かった(相対リスク0.69; 95%信頼区間0.53-0.89)。BMIが32を超える場合、BMIと死亡に関連性はなかった。

結論:
 過体重はCOPD患者の低い死亡リスクと関連していたが、低体重は高い死亡リスクと関連していた。しかしながら、COPD患者における肥満と死亡率の関連を支持するエビデンスは限られている。


by otowelt | 2016-08-02 00:31 | 気管支喘息・COPD