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サルコイドーシスとIPFにおける疲労

e0156318_11333269.jpg サルコイドーシスの方が疲労感が大きいのかどうか、実臨床では正直わかりません。

Atkins CP, et al.
Fatigue in sarcoidosis and idiopathic pulmonary fibrosis: differences in character and severity between diseases.
Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2016 Aug 1;33(2):130-8.


背景:
 サルコイドーシスとIPFはいずれも間質性肺疾患という共通事項がある。疲労はサルコイドーシスの特徴であるとされているが、IPFの疲労との関連性については調べられていない。

目的:
 これらの疾患における疲労の頻度と重症度、および疲労スコアに影響する因子を調べること。

方法:
 サルコイドーシスおよびIPF患者において、単施設で横断的に質問票を用いた研究を実施した。質問票データには、疲労、不安、抑うつ、睡眠、呼吸困難の評価に加え、スパイロメトリーを含む疾患重症度をはかる検査も含めた。

結果:
 質問票は232人の患者で実施された(82人が健常ボランティア、73人がサルコイドーシス患者、77人がIPF患者)。サルコイドーシス患者は有意に睡眠スコアが高かったが、疲労、不安、抑うつに関しては有意差はなかった。重症度によって層別化すると、統計学的に有意ではないが、サルコイドーシス患者で疲労が強い傾向にあった。回帰分析では、サルコイドーシスコホートにおいて疲労を予測する因子は同定できなかったが、IPFコホートでは呼吸困難と睡眠スコアが有意に疲労を予測した(R2=0.74).

結論: 
 サルコイドーシスおよびIPF患者は疲労に苦しんでいるが、サルコイドーシス患者はIPF患者よりも重度の疲労スコアを呈する群と考えられた。


by otowelt | 2016-09-26 00:38 | サルコイドーシス

治療抵抗性サルコイドーシスに対するインフリキシマブは呼吸機能を改善

 e0156318_11333269.jpg PETの使用法に関しては議論の余地があると思いますが・・・。

Adriane DM Vorselaars, et al.
Effectiveness of infliximab in refractory FDG PET-positive sarcoidosis
ERJ April 30, 2015 ERJ-02270-2014


背景:
 サルコイドーシスにおけるインフリキシマブの効果にはエビデンスが乏しく、潜在的に効果がある薬剤として世界的に広く普及しにくい現状がある。インフリキシマブの効果を調べるため、治療抵抗例を対象にオープンラベル試験を実施した。

方法:
 58人の患者は8回のインフリキシマブ(5mg/kg)点滴を受けた。呼吸機能、FDG-PETによる疾患活動性、QOLが調べられた。インフリキシマブの血中濃度が投与前に毎回測定された。

結果:
 インフリキシマブの26週間の治療後、努力性肺活量は平均6.6%改善した(予測値)(p=0.0007)。しかしながら、治療6ヶ月までは呼吸機能は減少した。
 ベースラインのSUVmaxが高い例では努力性肺活量の改善がよくみられた(R=0.62, p=0.0004)。総合的に効果がみられたのは79%であり、部分的な効果は17%に見られた。インフリキシマブのトラフ値と治療反応について相関はなかった。
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(文献より引用)

結論:
 インフリキシマブは治療抵抗性のFDG-PET陽性サルコイドーシスの努力性肺活量を有意に改善させる。治療前のSUVmaxが高い例ではその効果が期待できるため、複雑なサルコイドーシスの治療に有用である可能性がある。


by otowelt | 2015-05-30 00:52 | サルコイドーシス

サルコイドーシスの厚生労働省指定難病診断基準は学会基準とどう違うのか?

・はじめに
厚生労働省の指定難病の1つであるサルコイドーシスの2015年診断基準は、2006年学会診断基準と違いがあるため注意が必要です。
 まずは、2006年の日本サルコイドーシス学会誌に掲載されている、サルコイドーシスの診断基準を見てみましょう。2臓器にサルコイドーシスを示唆する肉芽腫がみられれば確定診断になりますが、呼吸器内科の臨床では両側肺門リンパ節腫脹(BHL)のみを呈して、1臓器(肺あるいはリンパ節)から肉芽腫が検出されるケースが多いです。そのため、組織診断群の診断基準では、肺あるいはリンパ節の肉芽腫+BHL+ガリウムシンチ陽性の組み合わせ、肺あるいはリンパ節の肉芽腫+BHL+BAL中リンパ球比率の増加の組み合わせ、といった感じで組織診断群に該当するケースがほとんどです。つまり、2臓器なくても診断ができるという点は臨床的に大きなメリットになります。


1.組織診断群
一臓器に組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,かつ,下記1)~3)のいずれかの所見がみられる場合を組織診断群とする.
1) 他の臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認める.
2) 他の臓器で「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」(診断の手引き参照)がある.
3) 以下の全身反応を示す検査所見6項目中2項目以上を認める.
・両側肺門リンパ節腫脹
・血清ACE活性高値
・ツベルクリン反応陰性
・Gallium-67 citrateシンチグラムにおける著明な集積所見
・気管支肺胞洗浄検査でリンパ球増加またはCD4/CD8比高値
・血清あるいは尿中カルシウム高値


 臨床診断群は、肉芽腫が証明されていないケースで、2臓器に間接的な証拠が必要であるため、これも実際のところはぶどう膜炎+BHL+ガリウムシンチ陽性、といったタイプがしばしば該当します。肉芽腫がなくとも臨床診断群は時に該当するワケです。


2.臨床診断群
組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は証明されていないが,2つ以上の臓器において「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」(診断の手引き参照)に相当する所見があり,かつ,前記に示した全身反応を示す検査所見6項目中2項目以上を認めた場合を臨床診断群とする.

○呼吸器系病変を強く示唆する臨床所見
1)両側肺門リンパ節腫脹(BHL)を認める場合.
2)両側肺門リンパ節腫脹(BHL)は認めないが,表2のいずれかの肺病変所見を認める場合.
1.胸部X線所見
1)上肺野優位でびまん性の分布をとる肺野陰影.粒状影,斑状影が主体
2)気管支血管周囲間質の不規則陰影と肥厚
3)進行すると上肺野を中心に肺野の収縮を伴う線維化病変をきたす
2.CT/HRCT所見
1)肺野陰影は小粒状影,気管支血管周囲間質の肥厚像が多く見られ,局所的な収縮も伴う粒状影はリンパ路に沿って分布することを反映し,小葉中心部にも小葉辺縁部(胸膜,小葉間隔壁,気管支肺動脈に接して)にも見られる
2)結節影,塊状影,均等影も頻度は少ないが見られる.が,胸水はまれである.進行し線維化した病変が定型的な蜂窩肺を示すことは少なく,牽引性気管支拡張を伴う収縮した均等影となることが多い
3.気管支鏡所見
1)網目状毛細血管怒張(network formation)
2)小結節
3)気管支狭窄



 さて、2015年の厚生労働省の指定難病の基準では固有に定めたサルコイドーシスの診断基準の「確実」及び「ほぼ確実」を対象としています。実はこの文言をそのまま臨床に適用すると、臓器病変の規定がやや厳しくなってしまったような印象を受けます。2臓器に病変がある、ということがいずれの診断群でも明記されているためです。


① 組織診断群(確実):(A)①、②のいずれかで2つ以上の臓器病変があるかあるいは(A)③の2項目以上が陽性であり、かつ(B)が陽性のもの。
② 臨床診断群(ほぼ確実):(A)①、②のいずれかで2つ以上の臓器病変があり、かつ(A)③の2項目以上が陽性のもの。
(A) 臨床所見・検査所見
① 胸郭内病変
(a) 胸部X 線・CT 所見(両側性肺門縦隔リンパ節腫脹、リンパ路に沿った肺野陰影、気管支・血管束病変、胸膜の変化など)
(b) 肺機能所見(%VC・DLco・PaO2 の低下)
(c) 気管支鏡所見(粘膜下血管のnetwork formation、結節など)
(d) 気管支肺胞洗浄液所見(リンパ球の増加、CD4/8 上昇)
(e) 心電図所見(房室ブロック、心室性不整脈、右脚ブロック、軸偏位、異常Q波など)
(f) 心エコー所見(心室中隔の菲薄化、局所的な左室壁運動異常または形態異常)
(g) ガドリニウム造影MRI所見(心筋の遅延造影所見)

② 胸郭外病変
(a)眼病変 (肉芽腫性前部ぶどう膜炎、隅角結節、網膜血管周囲炎、塊状硝子体混濁など)
(b) 皮膚病変(結節型、局面型、びまん浸潤型、皮下型、瘢痕浸潤、結節性紅斑)
(c) 表在リンパ節病変(無痛性腫脹)
(d) 唾液腺病変(両側性耳下腺腫脹、角結膜乾燥、涙腺病変など)
(e) 神経系病変(脳神経、中枢神経障害など)
(f) 肝病変(肝機能異常、腹腔鏡上の肝表面の小結節など)
(g) 骨病変(手足短骨の骨梁脱落、嚢胞形成など)
(h) 脾病変(脾機能亢進に伴う汎血球減少、脾腫、巨脾など)
(i) 筋病変(腫瘤、筋力低下、萎縮など)
(j) 腎病変(腎機能異常、持続性蛋白尿、高カルシウム血症、結石など)
(k)胃病変(胃壁肥厚、ポリープなど)

③ 検査所見
(a) 両側性肺門リンパ節腫脹
(b) 血清ACE 上昇または血清リゾチーム上昇
(c) 血清可溶性インターロイキン2受容体上昇
(d) 67Ga-citrate シンチグラム集積像陽性(リンパ節、肺など)またはFDG/PET集積像陽性(心など)
(e)気管支肺胞洗浄液のリンパ球増加、CD4/8 上昇

(B) 病理組織学的所見
類上皮細胞からなる乾酪性壊死を伴わない肉芽腫病変
生検部位(リンパ節、経気管支肺生検、気管支壁、皮膚、肝、筋肉、心筋、結膜など)。

※便宜上記号は変更しております。


・指定難病の診断基準はどう変わったか?
 「診断基準が厳しくなったの?」というとそういうわけではなく、2006年の日本サルコイドーシス学会誌の1臓器+全身反応による診断に該当する部分が、赤字の部分です。さて重要なのが、全身反応の検査項目が学会基準と解離している点です。将来的に学会基準が厚生労働省の基準と同様のものに変えられるのかどうかは現時点では私は存じ上げません。
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表. 2006年学会基準と2015年指定難病基準の全身反応に関する検査所見の違い

 よくよく見ると、おおむね同じなのですが、学会基準と比較すると指定難病基準ではツベルクリン反応、カルシウム値に関する記載がありません。PET検査はすでに有用であるという位置づけに定まっていますが(個人的には異論があります)、学会基準と大きく異なるのはs-IL2Rの登場です。


・海外の診断基準はどうか?
 UpToDateを見てもわかるように、海外では診断基準はありません。ただ、コンセンサスとして

  -臨床的・画像的所見がサルコイドーシスに合致する
  -他の類似疾患を除外できている
  -組織学的に非乾酪性肉芽腫が同定されている


 という3点を満たすことが必要とされています。また、基本的に2臓器以上の非乾酪性肉芽腫の証明、あるいは1臓器の肉芽腫と全身反応を示唆する検査所見があれば診断してもよいと考えられますが、これに関して国際的なステートメントが普及しているわけではありません。日本では特定疾患の申請に際して制度上厳格な基準が必要であるため、国によってバラつきがあるかもしれません。
 つまり、日本のサルコイドーシスの診断基準は“社会的”な診断基準であり、感度・特異度が高いポイントを探索した“医学的”な診断基準とは性質を異にします。そのため、診断基準に合致しないからといって目の前の患者さんが「サルコイドーシスではない」と安易に結論づけるのはナンセンスです。その逆も然りでしょう。


・s-IL2R
 さて、s-IL2Rが取り上げられていますが、サルコイドーシスの診断にそれほど寄与する検査項目なのでしょうか。CD4陽性細胞が多いため、s-IL2Rは確かにサルコイドーシスにおいて上昇しやすいとされています。47人を登録したCHESTの研究では、その中央値は1068U/mLと報告されています。
Grutters JC, et al. Serum soluble interleukin-2 receptor measurement in patients with sarcoidosis: a clinical evaluation. Chest. 2003 Jul;124(1):186-95.

 s-IL2Rはまた肺外サルコイドーシスで上昇しやすいことが知られています。
Gungor S, et al. Conventional markers in determination of activity of sarcoidosis Int Immunopharmacol. 2015 Mar;25(1):174-9.

 問題は、悪性リンパ腫など他の疾患でも上昇するため、またこれらの疾患との鑑別が非常に難しいケースが存在することから、特異度は高くないと考えられます。悪性リンパ腫の方が圧倒的に数値が高いために鑑別は容易なのかもしれませんが、2000~3000U/mLあたりの微妙なラインになってしまうこともあるでしょう。
Kita T, et al. Clinical significance of the serum IL-2R level and Ga-67 scan findings in making a differential diagnosis between sarcoidosis and non-Hodgkin's lymphoma. Ann Nucl Med. 2007 Nov;21(9):499-503.
 
 ツベルクリン反応陰性、血清カルシウム値高値に比べてs-IL2Rに優位性があるかどうかは、それぞれの検査項目について比較検討しなければならないため、結論は出ないかもしれません。


by otowelt | 2015-04-06 00:03 | サルコイドーシス

メタアナリシス:サルコイドーシスの診断に対するEBUS-TBNAはパフォーマンス良好だが感度に課題

e0156318_11333269.jpg 肉芽腫を観察できるだけの組織量が重要なのだろうな、と感じます。

Rocco Trisolini, et al.
Endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration for diagnosis of sarcoidosis in clinically unselected study populations
Respirology, 5 DEC 2014 DOI: 10.1111/resp.12449


背景:
 これまでの報告では、超音波ガイド下経気管支針生検(EBUS-TBNA)はサルコイドーシスの診断に良好なパフォーマンスであるとされている。しかしながら、これまでに多くの著者がその結果を検証しようとした。というのも、多くの研究は高度専門施設であったりサルコイドーシス紹介例が多かったりする特殊な状況下であることが報告されていたためだ。

方法:
 われわれはシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行い、画像上縦隔リンパ節腫大を指摘された連続患者を登録したサルコイドーシスのEBUS-TBNA診断の役割を検証した。PubMedなどの電子データベースを用いて文献をスクリーニングした。診断率、感度、特異度を算出。

結果:
 14の研究が登録された(2097人)。サルコイドーシスの頻度は中央値で15%だった。EBUS-TBNAによるサルコイドーシスの診断率は79%(標準偏差24%)であり、感度84%(95%信頼区間79–88%)、特異度100%(95%信頼区間99–100%)だった。スタディデザインによって異質性に影響がみられ、レトロスペティブデザインの研究はプロスペクティブのものよりも感度が不良であった((I2= 80.4%; P = 0.0001)。
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(文献より引用:感度、forest plot)

 線形回帰分析ではサルコイドーシスの頻度と感度の間に関連性は観察されなかった。
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(文献より引用)

結論:
 非選択患者/選択患者におけるサルコイドーシスの診断に対するEBUS-TBNAの結果は良好であった。各研究ごとの感度差を検証するために、さらなる質の高い研究が期待される。


by otowelt | 2014-12-17 00:11 | サルコイドーシス

慢性サルコイドーシスに対するウステキヌマブ・ゴリムマブはプラセボと比べて効果が乏しい

e0156318_11333269.jpg ステラーラ®は乾癬に、シンポニー®は関節リウマチに保険が通っています。

Marc A. Judson, et al.
Safety and efficacy of ustekinumab or golimumab in patients with chronic sarcoidosis
ERJ November 1, 2014 vol. 44 no. 5 1296-1307


背景:
 サルコイドーシスは、インターロイキン12やTNF-αなどの前炎症性サイトカインを分泌する非乾酪性肉芽腫によって特徴づけられる原因不明の全身性の肉芽腫性疾患である。75%の患者で肺に病変がみられ、後遺症を残すことなく多くの患者が寛解するが、およそ30%は慢性サルコイドーシスとなる。ウステキヌマブ(ステラーラ®)およびゴリムマブ(シンポニー®)は、それぞれインターロキン12p40およびTNF-αに作用するヒトモノクローナル抗体であり、慢性期の徴候や症状を軽減させる可能性が期待されている。

方法:
 ステロイドなどの薬物治療をおこなっても症状が持続する慢性肺サルコイドーシス患者132人、慢性皮膚サルコイドーシス患者58人を本試験に登録した。これらの患者を、ウステキヌマブあるいはゴリムマブあるいはプラセボにランダムに割り付けた。登録された患者はステロイドを16~28週間の間で漸減していくよう規定された。プライマリエンドポントは%予測努力性肺活量の変化、6分間歩行距離、St George’s Respiratory Questionnaire (SGRQ)、28週時のSkin Physician Global Assessment (SPGA) 反応性がみられた患者割合とした。

結果:
 16週時で、統計学的に有意ではないがベースラインからの%予測努力性肺活量の差が観察された:ウステキヌマブ(−0.15, p=0.13)、ゴリムマブ(1.15, p=0.54)、プラセボ(2.02)。
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(文献より引用)

 28週時にも、統計学的に有意差はみられなかった。SPGA反応性はゴリムマブ治療によってプラセボより多くみられた(53% vs 30%)。両治療群ともにプラセボよりステロイド漸減量が多く達成できた。
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(文献より引用)

 28週を通して、有害事象に3群間差はみられなかった。

結論:
 ウステキヌマブおよびゴリムマブは忍容性があるが、いずれも本試験では肺サルコイドーシスに効果はみられなかった。しかしながら、ゴリムマブはある程度皮膚サルコイドーシスに効果がある可能性が示唆された。


by otowelt | 2014-11-18 00:46 | サルコイドーシス

メタアナリシス:サルコイドーシスは悪性腫瘍のリスクを上昇

e0156318_11333269.jpg 悪性腫瘍のリスクを少し上昇させるというメタアナリシスです。

Martina Bonifazi, et al.
Sarcoidosis and cancer risk: systematic review and meta-analysis of observational studies
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-1475


背景:
 サルコイドーシス患者におけるがんリスクの上昇が示唆されているが、症例対象研究やコホート研究の結果がまちまちである。われわれは、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。

方法:
 がんとサルコイドーシスを扱った原著論文を2013年1月までMEDLINE、Embaceから抽出した。2人の独立した研究者がタイトル・アブストラクトをレビューし、選択基準にのっとって論文を同定した。

結果:
 16の原著論文(25000人以上)が同定された。すべての浸潤性のがんを発症する相対リスクは1.19(95%信頼区間1.07-1.32)だった。臓器別のがんでは、皮膚がん(相対リスク2.00; 95%信頼区間1.69-2.36), 血液悪性腫瘍(相対リスク1.92; 95%信頼区間1.41-2.62), 上部消化管悪性腫瘍(相対リスク1.73; 95%信頼区間1.07-2.79), 腎臓がん(相対リスク1.55; 95%信頼区間1.21-1.99), 肝臓がん(相対リスク1.79; 95%信頼区間1.03-3.11)、結腸直腸がん(相対リスク1.33; 95%信頼区間1.07-1.67)にリスク上昇がみられた。出版バイアスはすべてのがんにおいて観察されなかった(p=0.8)。

結論:
 このメタアナリシスでは、サルコイドーシスと悪性腫瘍の間に有意だがゆるやかな関連性が認められた。


by otowelt | 2014-11-11 00:22 | サルコイドーシス

サルコイドーシス患者の性別・年齢による画像所見の差

 Lettersなので少し短い論文ですが、サルコイドーシスの年齢と画像所見に着目した興味深い報告だと思います。驚くべきことに40年前のデータまで検討されているようです。

Michiru Sawahata, et al.
Age-related differences in chest radiographic staging of sarcoidosis in Japan
ERJ Published online before print March 13, 2014, doi: 10.1183/09031936.00005414


 1974年4月から2012年7月までの間、気管支鏡施行目的に入院した588人の連続した日本人サルコイドーシス患者を登録(431人が生検診断、157人が臨床診断)。診断は日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会の診断基準に基づいた。
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(文献より引用:全体のstage別頻度) 男性では、stage 1+2が最もよくみられた。若年者ではstage 1, stage 2, stage1+2, BHLがよくみられたが、高齢者ではstage 0およびstage 3/4がよく観察された。stage 1あるいは2の患者頻度は加齢にともなって減少する傾向がみられた。


by otowelt | 2014-04-04 00:32 | サルコイドーシス

線維性サルコイドーシスの患者における悪化イベント

e0156318_11333269.jpg サルコイドーシスの患者さんで間質性陰影を有する人は少なくありません。

Robert P. Baughman, et al.
Frequency of acute worsening events in fibrotic pulmonary sarcoidosis patients
Respiratory Medicine, in press.


背景:
 線維性サルコイドーシスのある患者は、さまざまな理由で呼吸器症状の悪化をきたす。われわれは、期間制限的な抗菌薬の使用あるいは呼吸器症状の改善のための4週間以内のステロイド増量といった急性の悪化イベントを調べた。

方法:
 線維性サルコイドーシス患者における急性の悪化イベントの頻度を調べた。われわれのクリニックにおいて4ヶ月の間に740人のサルコイドーシス患者が来院した。そのうち、129人(17%)が線維性サルコイドーシスを有していた。われわれは、年齢、人種、性別、胸部CT結果、呼吸機能検査(努力性肺活量、一秒量、一秒率)のデータを得た。

結果:
 レトロスペクティブな評価で、線維性サルコイドーシス患者は過去1年間に中央値で3回の悪化イベントを経験していることがわかった。胸部CTで気管支拡張所見があったのは129人中63人(49%)であった。
 気管支拡張症のある線維性サルコイドーシス患者は、気管支拡張症のない患者と比較して悪化イベントの頻度が高かった(3 vs. 2, p = 0.0001)。TNF阻害薬の投与を受けていた16人の患者は、投与されていない患者と比較して急性の悪化イベントが多かった(p = 0.0297)。
 人種、性別、喫煙歴、呼吸機能検査による差はみられなかった。

結論:
 線維性サルコイドーシス患者における急性の悪化イベントはよくみられる。また、気管支拡張症のある患者やTNF阻害薬投与中の患者ではその頻度はより高かった。


by otowelt | 2013-11-21 00:44 | サルコイドーシス

サルコイドーシスによる肺高血圧症に対するボセンタンは平均肺動脈圧を下げる

e0156318_1354472.jpg サルコイドーシスの肺高血圧症に対するボセンタンの論文です。

Robert P. Baughman, et al.
Bosentan for sarcoidosis associated pulmonary hypertension: A double-blind placebo controlled randomized trial
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-1766


背景:
 サルコイドーシスに関連した肺高血圧症(SAPH)は、呼吸困難感が遷延するサルコイドーシス患者においてよくみられる問題である。

目的:
 SAPH患者における肺動脈の血行動態に対するボセンタン治療の効果を同定すること。

デザイン:
 右心カテーテル検査でSAPHと診断した患者を、ボセンタンあるいはプラセボに割り付けた二重盲検プラセボ対照試験。ボセンタン:プラセボ=2:1で割り付けた。ボセンタンは最大用量で125mg1日1回とした。サルコイドーシスケアをおこなっている複数の施設で行われた。

評価項目:
 呼吸機能検査、6分間歩行試験、右心系血行動態(平均肺動脈圧、肺血管抵抗)。

結果:
 35人の患者が16週の治療を完遂した(23人がボセンタン、12人がプラセボ)。ボセンタン治療を受けた患者では、16週の治療によって平均肺動脈圧-4 (標準偏差6.6) mm Hg (p=0.0105)、肺血管抵抗-1.7 (標準偏差2.75) Wood’s units (p=0.0104)の減少がみられた。プラセボで治療を受けた患者では、これらの血行動態アウトカムには影響はみられなかった。また、6分間歩行距離については両群とも差はみられなかった。ボセンタンで治療を受けた患者のうち2人が酸素必要量の増加を要した。
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(平均肺動脈圧:文献より引用)

結論:
 ボセンタンはSAPHの患者において肺動脈の血行動態を改善させることができた。


by otowelt | 2013-11-18 00:25 | サルコイドーシス

サルコイドーシスに対するインフリキシマブ治療を中断すると、SUVmaxおよびsIL-2R高値例では再発が多い

e0156318_11333269.jpg ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)の速報をしようと思っていたのですが、多忙のためできませんでした。申し訳ありません。

 PETでSUVmaxが高くsIL-2Rも著増しているサルコイドーシス患者さんは実際にいますが、多くの場合、両側肺門リンパ節腫脹(BHL)だけでは済まず、眼・心臓・神経・皮膚へのサルコイドーシスの浸潤がみられます。
 「これは悪性リンパ腫だろう」と思われる症例でも、病理組織でサルコイドーシスと診断されることがあります。経験的にSUVmaxが高い症例は、皮膚や心臓など縦隔以外にも病変がみられることが多いと感じています。
 以前CHESTで報告があったように、サルコイドーシスのセカンドラインとしてはメトトレキサートやアザチオプリンなどの免疫抑制剤が用いられることがあります。本当に“効く”のかどうか存じ上げませんが・・・。

サルコイドーシスのセカンドライン治療におけるメトトレキサートとアザチオプリンは良好な効果

 サードラインとして、インフリキシマブが挙げられています。

Vorselaars A, et al.
Prediction of relapse after discontinuation of infliximab therapy in severe sarcoidosis
Eur Respir J erj00552-2013; published ahead of print 2013, doi:10.1183/09031936.00055213


背景:
 インフリキシマブは、重症サルコイドーシスに対するサードライン治療として効果的であるが、長期的な効果は不明である。

方法:
 この試験の目的は、サルコイドーシス患者におけるインフリキシマブの中断後の再発率、および血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)や18F-FDG PETのSUVmaxといった活動性マーカーの解析によって再発が予測できるかどうか検証することである。このレトロスペクティブコホート試験において、Kaplan-Meier法によってサルコイドーシスの再発率が解析され、Cox回帰分析によって予測因子を調べた。

結果:
 インフリキシマブを開始した47人のサルコイドーシス患者がリスク解析に登録された。47人のうち、29人(62%)が再発を経験した。再発は、29人のうち20人が最初の10ヶ月以内に起こった。Kaplan-Meier解析では、再発までの中央期間は11.1ヶ月であり、コホート内の25%が4ヶ月以内に再発した。
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(文献より引用)

 治療開始時の縦隔における18F-FDG PETのSUVmaxが6.0以上の場合(ハザード比3.77、P<.001)、血清sIL-2Rが4,000 pg/mL以上の場合(ハザード比2.24、P =.033)はサルコイドーシスの再発を有意に予測することができた。多変量解析では、治療開始時の縦隔リンパ節のSUVmax6.0以上は、サルコイドーシス再発の独立予測因子であった(ハザード比4.33、P<.001、人種間で補正後)。
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(文献より引用)

 なお、サルコイドーシスのバイオマーカーとしてよく使用されているアンジオテンシン変換酵素(ACE)は本試験では有意差はみられなかった。

結論:
 サルコイドーシスに対してインフリキシマブ治療を中断した患者の多くが再発した。治療開始時の血清sIL-2R高値および縦隔における18F-FDG PETのSUVmax高値は、再発を有意に予測する。そのため、こういった患者集団においてはインフリキシマブの治療中断には細心の注意を払わねばならない。


by otowelt | 2013-09-08 00:44 | サルコイドーシス