カテゴリ:サルコイドーシス( 25 )

日本人のサルコイドーシス患者では喫煙率が高い

e0156318_11333269.jpg 日本のサルコイドーシス患者の喫煙歴に着目した素晴らしい論文です。個人的にもとても興味深いです。

Hattori T, et al.
An increased prevalence of cigarette smoking in Japanese patients with sarcoidosis
Respirology, in press.


背景および目的:
 いくつかの試験によれば、サルコイドーシスを有する西洋の患者は診断前の喫煙率が低いとされている(Thorax 1986; 41: 787-91、Thorax 1988; 43: 516-24、Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)。ACCESS試験(Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)ではサルコイドーシス患者の喫煙率は10%と報告されている。近年のケースコントロールスタディにおいても12.2%と報告されている(Int Arc Allergy Immunolo 2011; 157: 281-7)。一方で、サルコイドーシスの疫学的特徴は日本人と西洋人で異なることが知られている。しかしながら、日本におけるこれらのデータは存在しない。
 そのため、われわれはこの日本人のサルコイドーシス患者のレトロスペクティブコホート試験において、喫煙歴とサルコイドーシスの関連を調べた。

方法:
 2000年から2008年までの間に日本の札幌市でサルコイドーシスと新規に診断された388人の患者をレトロスペクティブに試験へ登録した。日本の喫煙率の参照データとして、2つの大規模サーベイの結果を用いた。
 既往喫煙者を除外したのちに、現喫煙者と非喫煙者におけるサルコイドーシスに特異的な臨床所見を比較した。

結果:
 サルコイドーシスの患者のうち、男性は有意に女性よりも年齢が低かった(中央値:32歳 vs 53歳, P < 0.001)。また、肺実質のサルコイドーシスの病変は男性の方が有意に多かった(P = 0.042)。無症状での胸部画像上異常がみられた症例が38%であった。
 サルコイドーシスが診断された時点で喫煙をしている患者の比率は男性で59.6%、女性で27.9%だった。30代の男性を除くと、喫煙率は一般的な日本人のそれと比較してすべての年齢層で高かった。肺実質のサルコイドーシスの病変は非喫煙者よりも現喫煙者の方が高い傾向がみられた(オッズ比1.33 [95%信頼区間0.99-1.77], P = 0.054)。
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(文献より引用)

結論:
 このレトロスペクティブコホート試験では、日本人のサルコイドーシス患者は西洋人での報告よりも高い喫煙歴であった。日本人の集団では、喫煙とサルコイドーシスの関連性が西洋と異なる可能性が示唆される。


by otowelt | 2013-08-01 00:10 | サルコイドーシス

GRANULOMA試験:サルコイドーシスの診断において超音波ガイド下リンパ節生検は経気管支鏡的肺生検より有効

e0156318_20235424.jpg 「サルコイドーシスを疑うときは、肺野に病変がなくともTBLBをおこなうべきだ」という呼吸器科的な考え方を覆す報告です。

von Bartheld MB, et al.
Endosonography vs conventional bronchoscopy for the diagnosis of sarcoidosis: the GRANULOMA randomized clinical trial.
JAMA. 2013 Jun 19;309(23):2457-64.


背景:
 非乾酪性肉芽腫を組織で同定することがサルコイドーシスの診断において推奨されている。気管支鏡による肺生検をおこなうことが現在の標準的検査法であるが、肉芽腫の検出には中等度の感度しか有さない。一方で超音波を使用したリンパ節生検は近年有用であるという報告が多い。

目的:
 病期I/IIのサルコイドーシスを診断するための経気管支鏡的肺生検と超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検の診断能を比較する。

方法:
 6ヶ国14施設におけるランダム化比較試験が2009年3月から2011年11月までの間おこなわれ、病期I/IIのサルコイドーシスを疑われた304人の連続患者が登録された。

介入:
 経気管支鏡的肺生検および超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検にランダムに割り付けられた。患者は気管支肺胞洗浄(BAL)も施行された。

アウトカム:
 プライマリアウトカムは最終的にサルコイドーシスと診断された患者における非乾酪性肉芽腫を同定する診断能とした。診断は主治医によって臨床的に最終診断がおこなわれた。セカンダリアウトカムは合併症の頻度、サルコイドーシス診断におけるBALの感度と特異度とした。

結果:
 合計149人の患者がランダムに経気管支鏡的肺生検に割り付けられ、155人が超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検に割り付けられた。肉芽腫は、超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検の方が有意に検出率が高かった(114人 vs 72人; 74% vs 48%; P < .001)。超音波ガイドによる肉芽腫の診断率は80% (95% CI, 73%-86%)で、経気管支鏡的肺生検では53% (95% CI, 45%-61%)だった(P < .001)。
 重篤な合併症は通常の気管支鏡群で2人、超音波ガイド群で1人に確認されたが、全員回復した。
 BALのCD4/CD8比の感度は、フローサイトメトリーで54% (95% CI, 46%-62%)、サイトスピン解析で24% (95% CI, 16%-34%)だった。

結論:
 病期I/IIの肺サルコイドーシスを疑われた患者において、超音波ガイド下リンパ節生検は通常の経気管支鏡的肺生検と比較すると診断能が優れている。


by otowelt | 2013-06-27 00:02 | サルコイドーシス

日中の傾眠はサルコイドーシスの全身症状の1つである

e0156318_11333269.jpg サルコイドーシスの一症状としての傾眠を論じた報告です。

Karen C. Patterson, et al.
Excessive Daytime Sleepiness and Obstructive Sleep Apnea in Patients With Sarcoidosis
Chest. 2013; 143(6):1562-1568.


背景:
 サルコイドーシスにおいて全身症状はよくみられるものであり、QOL低下と関連している。日中の過度の傾眠:Excessive daytime sleepiness (EDS)は、しばしば閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と関連しているが、サルコイドーシスの独立した全身症状であるかもしれない。このスタディの目的は、サルコイドーシスとEDSの関連を調べることである。

方法:
 本試験はシカゴ大学で行われたレトロスペクティブ試験である。われわれは62人の成人サルコイドーシス患者および1005人のOSAを疑われポリソムノグラフィ目的に来院した成人患者において、エプワース睡眠スケール(ESS)を比較した。線形回帰モデルによって共変数を調整した。
 また、抑うつに関してCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D)を用いて比較した。
 サルコイドーシス患者のサブルグープ解析では、睡眠スコアおよびポリソムノグラフィは呼吸機能検査の正常/異常によって比較された。

結果:
 患者背景において、EDSおよびESSはサルコイドーシス患者で高かった。EDS:サルコイドーシス:34人(60%)、コントロール患者:413人(43%)、p=0.012、ESS:前者:11人(IQR 8-14)、後者:8人(IQR 5-12)、p=0.011。
CES-Dに差はみられなかった(p=0.781)。EDSはサルコイドーシス患者にはよくみられる症状であり、共変数の調整後においてもサルコイドーシスは傾眠の独立因子であった。完全に共変数で調整をしても、サルコイドーシス患者においてESSの2点上乗せの作用がみられた(モデル3)。
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・モデル1:年齢、性別、人種、AHI(AHIの自然対数)で調整
・モデル2:上記にBMIを追加
・モデル3:上記に抑うつ症状の存在、オピオイドの使用を追加

 ポリソムノグラフィ目的で来院したコントロール患者と比較すると、サルコイドーシス患者では臨床的に明らかなOSAは少なかった(AHI平均値はサルコイドーシス患者:15.6点 vs コントロール患者:26点,p=0.002)。しかしながらサルコイドーシス患者のうち、呼吸機能検査で異常のあるものはOSAがより重度であった。

結論:
 サルコイドーシスは独立してEDSと関連している。傾眠はサルコイドーシスの病態に寄与しているかもしれない。サルコイドーシス患者における呼吸機能検査の異常はOSAに寄与しているかもしれないが、そのメカニズムは不明である。


by otowelt | 2013-06-14 00:42 | サルコイドーシス

ATS2013:線維化を伴う肺サルコイドーシスの急性増悪は、気管支拡張症や抗TNF治療を受けている患者に多い

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R.P. Baughman, et al.
Acute Exacerbations In Fibrotic Pulmonary Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session


背景:
 肺サルコイドーシス患者は急性増悪をきたしうるとされている。サルコイドーシスのどの病期であっても起こりうるが、線維化のあるサルコイドーシス患者では致死率が高い。肺サルコイドーシス患者の急性増悪を理解するため、われわれはシンシナティ大学サルコイドーシスクリニックの患者で検証した。

方法:
 129人の肺の線維化を伴うサルコイドーシス患者を登録した。ステロイドや抗菌薬治療を必要とする肺サルコイドーシスの急性増悪(AEPS)エピソード、年齢、人種、性別、呼吸機能、サルコイドーシスの全身性治療、HRCTデータを抽出した。

結果:
 94人(73%)の患者が2回以上のAEPSを経験し、回数の中央値は3回(0~8回)だった。HRCTで気管支拡張症がある患者は、その回数が非気管支拡張症と比較して高かった(3回[0-6回] vs 2回[0-8回], p<0.0001)。 AEPSと年齢、努力性肺活量、一秒量、一秒率、血清IgE値と関連はなかった。さらに、AEPSの回数は人種、性別、喫煙歴、プレドニゾン使用、メトトレキサート使用、その他細胞毒性のある薬剤の使用とは関連していなかった。TNFモノクローナル抗体治療を受けている患者は、よりAEPSの回数が多かった(3.5回[1-6回] vs 3回[0-8回], p=0.0364)。

結論:
 AEPSは線維化のあるサルコイドーシス患者では起こりうる病態である。このエピソードは基礎に気管支拡張症がある場合に起こりやすいが、人種、性別、年齢、喫煙歴とは関連していなかった。抗TNF治療を受けている患者はAEPSを起こしやすい。


by otowelt | 2013-05-20 03:13 | サルコイドーシス

ATS2013:サルコイドーシス患者の末梢血および気管支肺胞洗浄液ではTh17/Treg細胞比が上昇する

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e0156318_11333269.jpgC. Jiang, et al.
Imbalance Between Th17 And Regulatory T-Cells In Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 サルコイドーシスは全身性の肉芽腫性疾患であり、免疫応答の異常によって引き起こされると考えられている。CD4陽性Tリンパ球は、肉芽腫の形成に重要な役割を果たしている。サルコイドーシスにおける炎症は、CD4+CD25highT細胞群(Foxp3発現)(Tregs)と前炎症性Th17細胞とのホメオスターシスの消失によって起こるかもしれない。この試験の目的は、サルコイドーシス患者において末梢血および気管支肺胞洗浄液(BALF)のTregとTh17細胞を評価し、ステロイドの影響を検証することである。

方法:
 10人のサルコイドーシス患者および10人の健常者において、TregとTh17細胞は末梢血およびBALFで測定された。サルコイドーシス患者ではプレドニゾン導入前後に末梢血単核球でFoxp3およびRORγt(retinoic-acid-related orphan receptor-γt)mRNAがリアルタイム逆転写PCRによって解析された。

結果:
 サルコイドーシス患者においてTregの減少とTh17細胞の増加が観察された。Th17/Treg細胞比はサルコイドーシス患者で有意に上昇した。プレドニゾン治療後に、Foxp3 mRNA発現は末梢血で増加しており、RORγt mRNA発現は低下する傾向がみられた。

結論:
 サルコイドーシスは、末梢血およびBALFでTh17/Treg細胞比の上昇に関連しており、Th17/Treg比に影響を与えるサイトカインを標的にすることがサルコイドーシス治療の新しい可能性をもたらすかもしれない。


by otowelt | 2013-05-20 02:41 | サルコイドーシス

ATS2013:慢性サルコイドーシスに対してウステキヌマブおよびゴリムマブはプラセボと比べても効果が乏しい

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e0156318_11333269.jpgウステキヌマブとゴリムマブに関するポスター発表が2つありました。どちらも同じグループからの発表です。

M.A. Judson, et al.
Safety And Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session

R.P. Baughman, et al.
Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Skin Sarcoidosis,
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 サルコイドーシスは、インターロイキン12やTNF-αなどの前炎症性サイトカインを分泌する非乾酪性肉芽腫によって特徴づけられる原因不明の全身性の肉芽腫性疾患である。75%の患者で肺に病変がみられ、後遺症を残すことなく多くの患者が寛解するが、およそ30%は慢性サルコイドーシスとなる。ウステキヌマブ(ステラーラ®)およびゴリムマブ(シンポニー®)は、それぞれインターロキン12p40およびTNF-αに作用するヒトモノクローナル抗体であり、慢性期の徴候や症状を軽減させる可能性が期待されている。

方法:
 ステロイドなどの薬物治療をおこなっても症状が持続する慢性肺サルコイドーシス患者132人、慢性皮膚サルコイドーシス患者58人を本試験に登録した。これらの患者を、ウステキヌマブあるいはゴリムマブあるいはプラセボにランダムに割り付けた。登録された患者はステロイドを16~28週間の間で漸減していくよう規定された。プライマリエンドポントは%予測努力性肺活量の変化、6分間歩行距離、St George’s Respiratory Questionnaire (SGRQ)、28週時のSkin Physician Global Assessment (SPGA) 反応性がみられた患者割合とした。

結果:
 16週時で、統計学的に有意ではないがベースラインからの%予測努力性肺活量の差が観察された:ウステキヌマブ(−0.15, p=0.13)、ゴリムマブ(1.15, p=0.54)、プラセボ(2.02)。28週時にも、統計学的に有意差はみられなかった。SPGA反応性はゴリムマブ治療によってプラセボより多くみられた(53% vs 30%)。両治療群ともにプラセボよりステロイド漸減量が多く達成できた。
 28週を通して、有害事象に3群間差はみられなかった。

結論:
 ウステキヌマブおよびゴリムマブは忍容性があるが、いずれも本試験では肺サルコイドーシスに効果はみられなかった。しかしながら、ゴリムマブはある程度皮膚サルコイドーシスに効果がある可能性が示唆された。


by otowelt | 2013-05-19 23:35 | サルコイドーシス

サルコイドーシスのセカンドライン治療におけるメトトレキサートとアザチオプリンは良好な効果

 サルコイドーシスのセカンドライン治療における免疫抑制剤を比較した論文です。重度の肺サルコイドーシスでステロイドを使うことがあるかと思いますが、呼吸器内科医にとってはかなり興味深い論文だと思います。
 日本では、免疫抑制剤の場合メソトレキセートではなくメトトレキサートと表記します。個人的にはどっちでもいいんですが。

Adriane DM Vorselaars, et al.
Methotrexate versus azathioprine in second line therapy of sarcoidosis
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.12-1728


背景:
 サルコイドーシスの治療の第一選択肢は依然ステロイドであるが、慢性的な使用は毒性を高めてしまう。現時点で、妥当な第二選択肢の治療はない。このスタディの目的は、プレドニゾンの漸減、呼吸機能、副作用をメトトレキサートおよびアザチオプリンにおいて比較することである。

方法:
 国際レトロスペクティブコホート試験により、メトトレキサートあるいはアザチオプリンを開始後2年あるいは断薬するまで続けた全てのサルコイドーシス患者を登録した。
 ベルギーのルーヴェン大学病院およびオランダのセントアントニウス病院でおこなわれた。
 サルコイドーシスはATS/ERS/WASOGステートメントに基づいて診断された。
 メトトレキサートは10mg/週から開始し、肝機能をチェックしつつ15mg/週まで増量した。全ての患者は5mgの葉酸を内服することとした。アザチオプリンは2mg/kgを内服し、肝機能や血球をチェックしなたら最大150mg/日まで増量した。
 呼吸機能への治療効果やプレドニゾンの量が線形混合モデルを用いて計算された。副作用はχ2検定で比較された。

結果:
 200人の患者が登録された。145人はメトトレキサート、55人ガアザチオプリンを使用した。メトトレキサートは非白人が多く(p=0.004)、ベースラインのDLCOが高い(p=0.01)というベースライン特性の差がみられた。肺外サルコイドーシスの治療適応は、心サルコイドーシス、神経サルコイドーシス、関節サルコイドーシス、眼サルコイドーシス(ぶどう膜炎)、著明な倦怠感であった。
 免疫抑制剤治療開始から37人が副作用のため脱落した。
 1日1回のプレドニゾンは治療中に年間で6.23mg減少し(p<0.0001)、ステロイド減量効果がメトトレキサートとアザチオプリンにみられた。1年間の治療をおこなった患者の70%が1日量のプレドニゾンを少なくとも10mg減量することができた。
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 両群において、一秒量は年間で平均53ml改善し(p=0.006)、肺活量は年間で平均95ml改善し(p=0.001)。DLCO (%予測値)は年間で平均1.23%増加した(p=0.018)。なお、肺サルコイドーシスと肺外サルコイドーシスでは全パラメータに有意な差がみられていた(* p=0.049、** P<0.001)。
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 アザチオプリン群ではより多くの感染症が観察されたが(34.6 vs 18.1% p=0.01)、他の副作用については両群に差はみられなかった。
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結論:
 サルコイドーシスのセカンドライン治療の効果を比較したこのレトロスペクティブ試験では、メトトレキサートとアザチオプリンは、有意にステロイドを減量する効果があり、呼吸機能に対して良好な効果が同等にみられ、感染症の発症以外ではいずれも副作用は同等であった。


by otowelt | 2013-03-30 12:53 | サルコイドーシス

サルコイドーシスの診断におけるEBUS-TBNAの迅速細胞診は有用

サルコイドーシスの診断におけるEBUS-TBNAの迅速細胞診の話題です。

Marshall L Plit, et al.
Rapid cytological analysis of endobronchial ultrasound-guided aspirates in sarcoidosis
ERJ November 22, 2012 erj01283-2012


背景:
 サルコイドーシスを疑われた患者に対するEBUS-TBNAの迅速細胞診:Rapid on site evaluation (ROSE)は、その最終的な診断との比較をされたことがない。

目的:
 サルコイドーシスを疑われた患者に対するEBUS-TBNAのROSEの診断精度を検証する。

方法:
 2010年7月から2011年7月までの間、プロスペクティブに2施設におけるEBUS-TBNA時のROSEののちに、TBLBや気管支内生検(EBB)を施行した。EBUS-TBNA時のROSEの診断精度が最終的な細胞診と比較された。TBLBや気管支内生検についても最終診断と比較された。
 EBUS-TBNAはすべて22G針で施行された。ROSEは、Diff Quik Stainにより典型的肉芽腫(epithelioid histiocytesで構成されるもの)があればサルコイドーシスの疑いとした。

結果:
 60症例のうち49例がサルコイドーシスであった。ROSEの感度・特異度は87.8%・91%であり、PPVは97.7%であった。最終的なセルブロックによる確定診断スライドとの併用では、感度・特異度は91.8%・100%まで上昇(PPVは100%)。
 サルコイドーシスの診断は、TBLBで67%、気管支内生検で29%が確定された。細胞診断士間や病理医間での観察者間一致はきわめて良好であった(細胞診断士:κ値0.91, 95% CI 0.80-1.0、病理医:κ値0.91, 95% CI 0.79-1.0)。
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結論:
 サルコイドーシスの診断におけるEBUS-TBNAのROSEは有用である。

by otowelt | 2012-11-25 17:15 | サルコイドーシス

臨床的に寛解したサルコイドーシスにおける長期的な疲労感の問題

サルコイドーシスにおける疲労感の話題。
慢性疲労症候群の診断基準は以下の論文のものを使用。
International Chronic Fatigue Syndrome Study Group . The chronic fatigue syndrome: a comprehensive approach to its defi nition and study . Ann Intern Med . 1994 ; 121 ( 12 ): 953 - 959 .

サルコイドーシスの診断の確実性がlimitationであると
Discussionに述べられている。

Characterization of Chronic Fatigue in Patients With Sarcoidosis in Clinical Remission
CHEST 2011; 140(2):441 –447


背景:
 サルコイドーシスの患者において、しばしば疲労感を訴えることがあり
 これはサルコイドーシスが臨床的に寛解しても起こり得る。 
 このスタディの目的は、臨床的に寛解したサルコイドーシスの患者に
 おいて疲労感の重症度を評価することと、慢性疲労症候群(CFS)の
 国際的診断基準に照らし合わせることである。さらに、
 抑うつや不安、健康状態、睡眠の質が関連しているかどうかも評価し
 身体活動レベルと筋力も疲労の評価目的として記録した。
 
方法:
 75人の臨床的に寛解したサルコイドーシス患者に質問票を提示。
 (Checklist Individual Strength [CIS], Symptom Checklist-90,
 Beck Depression Inventory for primary care,
 Medical Outcomes Study 36-Item Short-Form Health Survey),
 それに加えて、インタビュー(CFS診断基準のため)、睡眠の質、加速度計、
 筋力テストを施行。

結果:
 疲労感の重症度の平均スコアは、臨床的に寛解したサルコイドーシス
 患者において高かった(CIS fatigue severity 30.5± 15.5),。
 またCFS基準はこれら疲労感を訴えた患者の47%で合致した。
 サルコイドーシス診断からの中央期間は9年であり、疲労感は 
 抑うつ( P=.01)、不安( P =.013)と関連し、健康状態の低下( P<.001)
 とも関連。睡眠の質に関しては問題なかった。身体活動レベルは
 疲労感のある患者において低下がみられた。筋力は、特にハンドグリップ
 ( P=.006)および大腿四頭筋力( P<.001)が有意に疲労感のある患者において
 低下していた。
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結論:
 臨床的に寛解したサルコイドーシス患者における疲労感は
 しばしばみられる症状であり、CFSに類似する
 長期に続くゆゆしき問題である。精神的な問題や健康状態の低下も
 疲労と関連しており、興味深いことに身体活動や筋力の低下が観察された。

by otowelt | 2011-08-04 05:02 | サルコイドーシス

サルコイドーシスの治療

ハイライトに掲載されているのでご存知かもしれないが、
JAMAにサルコイドーシスのレビューが掲載されている。
Sarcoidosis Clinical Presentation, Immunopathogenesis, and Therapeutics
JAMA. 2011;305(4):391-399.


今朝は治療に重きを置いて文献を読んでみた。
少し気になったところを文献を引用して、個人的にまとめてみた。

●サルコイドーシスの治療概論
そもそも肺病変のあるサルコイドーシスで、I期の60~80%、II期の50~60%、
III期の30%が自然寛解するといわれている。
Sarcoidosis. N Engl J Med 1997; 336:1224.
ただ、どういった因子によってこの自然寛解が起こるのかどうかすら
わかっていないため、治療そのものが効果があったのか
自然寛解によるものなのかを判断するのが極めて難しい。

●ステロイド
ステロイドは細胞内のグルココルチコイド受容体と結合して核内に入り、
IL-1, IL-2, IL-3, IL-4, IL-5, IL-6 などのサイトカインの遺伝子の転写を
抑制する。この作用がIV型アレルギーによる肉芽腫反応を抑制するのではないかと
考えられている。歴史的に、自然寛解がある場合にはむやみに使用しないが、
臓器障害をきたさないためには早期に治療したほうがよいというジレンマがある。
副作用を防ぐためにはなるべく治療導入を遅らせるという考えが定着している。
stage I, IIの症例に関しては、ステロイドはプラセボ群と比べて
改善がみられたという論文が多いが、長期的な観察では両群に有意差はみられていない。
BHLのみの若年症例で、ステロイドはBHLの陰影消失率を低下させるという
考えがあるが、これは以下の論文に基づいている。
Pulmonary sarcoidosis:clinical course. Curr Opin Respir Med 1999; 5:293-298.
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ステロイドの効果を示唆する最も大きなスタディとしては、13のランダム化試験を
含むシステマティックレビューである。用量はプレドニゾロン換算で
4~40mg/日を3~24ヶ月と記載されている。
Corticosteroids for pulmonary sarcoidosis. Cochrane Database Syst Rev 2010; :CD001114.
このシステマティックレビューでは、経口ステロイドはレントゲン異常の改善
(RR 1.46 、95CI 1.01 to 2.09)、症状改善、呼吸機能の改善がみられた。
他のシステマティックレビューでは呼吸機能の改善に関しては
まだ異論もあるため、結論はついていない。
・Corticosteroid therapy in pulmonary sarcoidosis: a systematic review. JAMA 2002; 287:1301.
・Corticosteroids for pulmonary sarcoidosis. Cochrane Database Syst Rev 2005; :CD001114.

ステロイド治療で問題になるのは、サルコイドーシスの再発率が高いことである。
治療導入症例において、プラセボと比べると再発率が高い傾向にあるのは
どの論文も同じである。そのため、ステロイド導入そのものが再発の
独立危険因子である可能性がある。
Statement on Sarcoidosis. Am J Respir Crit. Care Med 160: 736-755,1999.
また、吸入ステロイドについても研究がなされているが、結論は出ていない。
・Oral prednisolone followed by inhaled budesonide in newly diagnosed pulmonary sarcoidosis: a double-blind, placebo-controlled multicenter study. Finnish Pulmonary Sarcoidosis Study Group. Chest 1999; 116:424.
・randomized trial of inhaled fluticasone propionate in chronic stable pulmonary sarcoidosis: a pilot study. Eur Respir J 1999; 13:1345.
・No effect of high-dose inhaled steroids in pulmonary sarcoidosis: a double-blind, placebo-controlled study. J Intern Med 1994; 236:285.


●ステロイド投与基準と投与量
上記の2011年JAMAの論文に罹患臓器別の治療オピニオンが掲載されている。
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また日本サルコイドーシス学会によれば、
1) stageIで重大な肺外病変のない場合、リンパ節腫大の悪化・持続のみで
 経口ステロイド剤投与の適応にはならない。
2) サルコイドーシス肺病変(stageII,III)による自覚症状(特に息切れと咳)
 が強い場合にはステロイド剤投与の適応となる。ただし胸部レントゲンで
 肺野の粒状影や綿花状陰影が主体で、症状が咳嗽のみの場合には
 その多くはステロイド剤を投与せずとも軽快する。
3) サルコイドーシス肺病変(stageII,III)によって明らかな呼吸機能障害
 をきたしている場合にはステロイド剤投与の適応となる。
4) 画像所見の悪化とともに自覚症状(とくに息切れ)が増強している場合や
 呼吸機能障害の程度が悪化しつつある場合にはステロイド剤の投与を考慮する。
5) 自覚症状や呼吸機能障害の程度が軽く画像所見のみが悪化する場合は
 ステロイド剤の投与は慎重に行う。胸部レントゲンで肺野の粒状影や
 綿花状陰影のみの増強は無治療で改善することが多い。胸部CTでの
 太い気管支血管周囲の肥厚、気管支の変形拡張や無気肺の悪化(特に上葉)
 が投与開始の指標となる。従ってステロイド剤投与の前に胸部C T 撮影
 (HRCTを含む)を施行することが必要である。
5) 一般的にプレドニゾロン30mg/日連日または60mg/ 日隔日で開始して
 1カ月間継続する。
6) 4~8週毎に5~10mg/日連日または10~20mg/日隔日ずつ減量する。
7) 維持量は2.5~5mg/日連日または5~10mg/日隔日とする。
 全体の治療期間が1~2年となった時点で終了してみてもよい。
8) 再燃時の投与量および投与期間再燃は維持量投与中、投与与終了後
 6カ月以内に出現し易く、再燃時には原則として初回投与量くらいまで
 増量し、以後上記投与スケジュールで投与する。

海外の意見では、ステロイド投与基準は以下のごとく記載されている。
1)症状に悩まされている場合(咳、息切れ、胸痛、血痰など)
2)3~6ヵ月ごとの検査で呼吸機能が悪化している場合
 特に以下の1つ異常を満たす場合
 ・TLCが10%以上低下
 ・FVCが15%以上低下
 ・DLCOが20%以上低下
 ・安静時ないしは運動時のガス交換能の悪化(SaO2,SpO2で4%以上の低下)
3)胸部レントゲンの悪化
・Interstitial lung disease guideline: the British Thoracic Society in collaboration with the Thoracic Society of Australia and New Zealand and the Irish Thoracic Society. Thorax 2008; 63 Suppl 5:v1.
・3.Statement on sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 1999; 160:736.


●メソトレキセート
”ステロイド節約効果”があるという報告は多い。
下記の論文では、12ヵ月時にプレドニゾロンの量が
MTX:8.3mg/d vs Placebo:16 mg/d 、 P<.001 であった。
Methotrexate is steroid sparing in acute sarcoidosis: results of a double blind, randomized trial. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis 2000; 17:60.
ただ、MTX単独によるサルコイドーシス治療を裏付けるデータは
今のところ乏しいと考えてよい。
Treatments for pulmonary sarcoidosis. Respir Med 2008; 102:1.

●アザチオプリン
プレドニゾロンとの組み合わせで治療できたという報告はある。
プレドニゾロン単独に比べ、より治療効果があり
再燃率も低下させることが可能で、比較的安全に使用できる免疫抑制薬である。
・Treatment of chronic sarcoidosis with an azathioprine/prednisolone regimen. Eur Respir J 1999; 14:1117.
・zathioprine treatment of chronic pulmonary sarcoidosis. Sarcoidosis 1985; 2:107.
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●エタネルセプト
病勢の悪化により、効果なしとされている。
Etanercept for the treatment of stage II and III progressive pulmonary sarcoidosis. Chest 2003; 124:177.
また、難治サルコイドーシスのスタディもあるが
効果は見いだせなかった。
Etanercept for refractory ocular sarcoidosis: results of a double-blind randomized trial. Chest 2005; 128:1062.

●インフリキシマブ
プラセボ、高用量インフリキシマブ、低用量インフリキシマブで比較した
試験があるが、低用量のときにFVCが増えたという論文はある。
Infliximab therapy in patients with chronic sarcoidosis and pulmonary involvement. Am J Respir Crit Care Med 2006; 174:795.
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ステロイド無効のサルコイドーシスに対して24週時に
やや臨床的な改善を認めたものの、24ヶ月時には差はみられなかった。
Efficacy of infliximab in extrapulmonary sarcoidosis: results from a randomised trial. Eur Respir J 2008; 31:1189.
びまん性浸潤型皮膚サルコイドーシス(Lupus pernio)に有効であるという報告も。
The Treatment of Lupus Pernio.Chest February 2009 135:468-476;

●アダリムマブ
症例報告がいくつかあるのみである。
・Recalcitrant cutaneous sarcoidosis responding to adalimumab but not to etanercept. Clin Exp Dermatol 2010.
・Systemic sarcoidosis with bone marrow involvement responding to therapy with adalimumab: a case report. J Med Case Reports 2009; 3:8573.
・Adalimumab for treatment of cutaneous sarcoidosis. Arch Dermatol 2006; 142:17.


●Pentoxifylline
ホスホジエステラーゼ阻害を行う。
2000mg/日の使用でpost hoc解析ではプラセボより効果があった。
このスタディでもステロイド節約効果がみられた。
Steroidsparingeffects of pentoxifylline in pulmonarysarcoidosis. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2009;26(2):121-131.
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●クロロキン
FEV1の値と、再発率にやや寄与したという結果の論文はある。
Randomized trial of prolonged chloroquine therapy in advanced pulmonary sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 1999; 160:192.
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●シクロホスファミド、シクロスポリン
3rdラインと位置付けられているものであり、毒性と利益の観点から
すすめられるものではない。

●テトラサイクリン
皮膚サルコイドーシスでやや効果がみられたとする論文がある程度である。
The use of tetracyclines for the treatment of sarcoidosis. Arch Dermatol 2001; 137:69.

●サリドマイド
10人の患者に投与した2006年の論文があるが、効果はみられなかった。
The effect of thalidomide on corticosteroid-dependent pulmonary sarcoidosis. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis 2006; 23:51.

by otowelt | 2011-01-28 06:17 | サルコイドーシス