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サルコイドーシスに対するインフリキシマブ治療を中断すると、SUVmaxおよびsIL-2R高値例では再発が多い

e0156318_11333269.jpg ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)の速報をしようと思っていたのですが、多忙のためできませんでした。申し訳ありません。

 PETでSUVmaxが高くsIL-2Rも著増しているサルコイドーシス患者さんは実際にいますが、多くの場合、両側肺門リンパ節腫脹(BHL)だけでは済まず、眼・心臓・神経・皮膚へのサルコイドーシスの浸潤がみられます。
 「これは悪性リンパ腫だろう」と思われる症例でも、病理組織でサルコイドーシスと診断されることがあります。経験的にSUVmaxが高い症例は、皮膚や心臓など縦隔以外にも病変がみられることが多いと感じています。
 以前CHESTで報告があったように、サルコイドーシスのセカンドラインとしてはメトトレキサートやアザチオプリンなどの免疫抑制剤が用いられることがあります。本当に“効く”のかどうか存じ上げませんが・・・。

サルコイドーシスのセカンドライン治療におけるメトトレキサートとアザチオプリンは良好な効果

 サードラインとして、インフリキシマブが挙げられています。

Vorselaars A, et al.
Prediction of relapse after discontinuation of infliximab therapy in severe sarcoidosis
Eur Respir J erj00552-2013; published ahead of print 2013, doi:10.1183/09031936.00055213


背景:
 インフリキシマブは、重症サルコイドーシスに対するサードライン治療として効果的であるが、長期的な効果は不明である。

方法:
 この試験の目的は、サルコイドーシス患者におけるインフリキシマブの中断後の再発率、および血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)や18F-FDG PETのSUVmaxといった活動性マーカーの解析によって再発が予測できるかどうか検証することである。このレトロスペクティブコホート試験において、Kaplan-Meier法によってサルコイドーシスの再発率が解析され、Cox回帰分析によって予測因子を調べた。

結果:
 インフリキシマブを開始した47人のサルコイドーシス患者がリスク解析に登録された。47人のうち、29人(62%)が再発を経験した。再発は、29人のうち20人が最初の10ヶ月以内に起こった。Kaplan-Meier解析では、再発までの中央期間は11.1ヶ月であり、コホート内の25%が4ヶ月以内に再発した。
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(文献より引用)

 治療開始時の縦隔における18F-FDG PETのSUVmaxが6.0以上の場合(ハザード比3.77、P<.001)、血清sIL-2Rが4,000 pg/mL以上の場合(ハザード比2.24、P =.033)はサルコイドーシスの再発を有意に予測することができた。多変量解析では、治療開始時の縦隔リンパ節のSUVmax6.0以上は、サルコイドーシス再発の独立予測因子であった(ハザード比4.33、P<.001、人種間で補正後)。
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(文献より引用)

 なお、サルコイドーシスのバイオマーカーとしてよく使用されているアンジオテンシン変換酵素(ACE)は本試験では有意差はみられなかった。

結論:
 サルコイドーシスに対してインフリキシマブ治療を中断した患者の多くが再発した。治療開始時の血清sIL-2R高値および縦隔における18F-FDG PETのSUVmax高値は、再発を有意に予測する。そのため、こういった患者集団においてはインフリキシマブの治療中断には細心の注意を払わねばならない。


by otowelt | 2013-09-08 00:44 | サルコイドーシス

日本人のサルコイドーシス患者では喫煙率が高い

e0156318_11333269.jpg 日本のサルコイドーシス患者の喫煙歴に着目した素晴らしい論文です。個人的にもとても興味深いです。

Hattori T, et al.
An increased prevalence of cigarette smoking in Japanese patients with sarcoidosis
Respirology, in press.


背景および目的:
 いくつかの試験によれば、サルコイドーシスを有する西洋の患者は診断前の喫煙率が低いとされている(Thorax 1986; 41: 787-91、Thorax 1988; 43: 516-24、Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)。ACCESS試験(Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)ではサルコイドーシス患者の喫煙率は10%と報告されている。近年のケースコントロールスタディにおいても12.2%と報告されている(Int Arc Allergy Immunolo 2011; 157: 281-7)。一方で、サルコイドーシスの疫学的特徴は日本人と西洋人で異なることが知られている。しかしながら、日本におけるこれらのデータは存在しない。
 そのため、われわれはこの日本人のサルコイドーシス患者のレトロスペクティブコホート試験において、喫煙歴とサルコイドーシスの関連を調べた。

方法:
 2000年から2008年までの間に日本の札幌市でサルコイドーシスと新規に診断された388人の患者をレトロスペクティブに試験へ登録した。日本の喫煙率の参照データとして、2つの大規模サーベイの結果を用いた。
 既往喫煙者を除外したのちに、現喫煙者と非喫煙者におけるサルコイドーシスに特異的な臨床所見を比較した。

結果:
 サルコイドーシスの患者のうち、男性は有意に女性よりも年齢が低かった(中央値:32歳 vs 53歳, P < 0.001)。また、肺実質のサルコイドーシスの病変は男性の方が有意に多かった(P = 0.042)。無症状での胸部画像上異常がみられた症例が38%であった。
 サルコイドーシスが診断された時点で喫煙をしている患者の比率は男性で59.6%、女性で27.9%だった。30代の男性を除くと、喫煙率は一般的な日本人のそれと比較してすべての年齢層で高かった。肺実質のサルコイドーシスの病変は非喫煙者よりも現喫煙者の方が高い傾向がみられた(オッズ比1.33 [95%信頼区間0.99-1.77], P = 0.054)。
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(文献より引用)

結論:
 このレトロスペクティブコホート試験では、日本人のサルコイドーシス患者は西洋人での報告よりも高い喫煙歴であった。日本人の集団では、喫煙とサルコイドーシスの関連性が西洋と異なる可能性が示唆される。


by otowelt | 2013-08-01 00:10 | サルコイドーシス

GRANULOMA試験:サルコイドーシスの診断において超音波ガイド下リンパ節生検は経気管支鏡的肺生検より有効

e0156318_20235424.jpg 「サルコイドーシスを疑うときは、肺野に病変がなくともTBLBをおこなうべきだ」という呼吸器科的な考え方を覆す報告です。

von Bartheld MB, et al.
Endosonography vs conventional bronchoscopy for the diagnosis of sarcoidosis: the GRANULOMA randomized clinical trial.
JAMA. 2013 Jun 19;309(23):2457-64.


背景:
 非乾酪性肉芽腫を組織で同定することがサルコイドーシスの診断において推奨されている。気管支鏡による肺生検をおこなうことが現在の標準的検査法であるが、肉芽腫の検出には中等度の感度しか有さない。一方で超音波を使用したリンパ節生検は近年有用であるという報告が多い。

目的:
 病期I/IIのサルコイドーシスを診断するための経気管支鏡的肺生検と超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検の診断能を比較する。

方法:
 6ヶ国14施設におけるランダム化比較試験が2009年3月から2011年11月までの間おこなわれ、病期I/IIのサルコイドーシスを疑われた304人の連続患者が登録された。

介入:
 経気管支鏡的肺生検および超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検にランダムに割り付けられた。患者は気管支肺胞洗浄(BAL)も施行された。

アウトカム:
 プライマリアウトカムは最終的にサルコイドーシスと診断された患者における非乾酪性肉芽腫を同定する診断能とした。診断は主治医によって臨床的に最終診断がおこなわれた。セカンダリアウトカムは合併症の頻度、サルコイドーシス診断におけるBALの感度と特異度とした。

結果:
 合計149人の患者がランダムに経気管支鏡的肺生検に割り付けられ、155人が超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検に割り付けられた。肉芽腫は、超音波ガイド下肺あるいはリンパ節生検の方が有意に検出率が高かった(114人 vs 72人; 74% vs 48%; P < .001)。超音波ガイドによる肉芽腫の診断率は80% (95% CI, 73%-86%)で、経気管支鏡的肺生検では53% (95% CI, 45%-61%)だった(P < .001)。
 重篤な合併症は通常の気管支鏡群で2人、超音波ガイド群で1人に確認されたが、全員回復した。
 BALのCD4/CD8比の感度は、フローサイトメトリーで54% (95% CI, 46%-62%)、サイトスピン解析で24% (95% CI, 16%-34%)だった。

結論:
 病期I/IIの肺サルコイドーシスを疑われた患者において、超音波ガイド下リンパ節生検は通常の経気管支鏡的肺生検と比較すると診断能が優れている。


by otowelt | 2013-06-27 00:02 | サルコイドーシス

日中の傾眠はサルコイドーシスの全身症状の1つである

e0156318_11333269.jpg サルコイドーシスの一症状としての傾眠を論じた報告です。

Karen C. Patterson, et al.
Excessive Daytime Sleepiness and Obstructive Sleep Apnea in Patients With Sarcoidosis
Chest. 2013; 143(6):1562-1568.


背景:
 サルコイドーシスにおいて全身症状はよくみられるものであり、QOL低下と関連している。日中の過度の傾眠:Excessive daytime sleepiness (EDS)は、しばしば閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と関連しているが、サルコイドーシスの独立した全身症状であるかもしれない。このスタディの目的は、サルコイドーシスとEDSの関連を調べることである。

方法:
 本試験はシカゴ大学で行われたレトロスペクティブ試験である。われわれは62人の成人サルコイドーシス患者および1005人のOSAを疑われポリソムノグラフィ目的に来院した成人患者において、エプワース睡眠スケール(ESS)を比較した。線形回帰モデルによって共変数を調整した。
 また、抑うつに関してCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D)を用いて比較した。
 サルコイドーシス患者のサブルグープ解析では、睡眠スコアおよびポリソムノグラフィは呼吸機能検査の正常/異常によって比較された。

結果:
 患者背景において、EDSおよびESSはサルコイドーシス患者で高かった。EDS:サルコイドーシス:34人(60%)、コントロール患者:413人(43%)、p=0.012、ESS:前者:11人(IQR 8-14)、後者:8人(IQR 5-12)、p=0.011。
CES-Dに差はみられなかった(p=0.781)。EDSはサルコイドーシス患者にはよくみられる症状であり、共変数の調整後においてもサルコイドーシスは傾眠の独立因子であった。完全に共変数で調整をしても、サルコイドーシス患者においてESSの2点上乗せの作用がみられた(モデル3)。
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・モデル1:年齢、性別、人種、AHI(AHIの自然対数)で調整
・モデル2:上記にBMIを追加
・モデル3:上記に抑うつ症状の存在、オピオイドの使用を追加

 ポリソムノグラフィ目的で来院したコントロール患者と比較すると、サルコイドーシス患者では臨床的に明らかなOSAは少なかった(AHI平均値はサルコイドーシス患者:15.6点 vs コントロール患者:26点,p=0.002)。しかしながらサルコイドーシス患者のうち、呼吸機能検査で異常のあるものはOSAがより重度であった。

結論:
 サルコイドーシスは独立してEDSと関連している。傾眠はサルコイドーシスの病態に寄与しているかもしれない。サルコイドーシス患者における呼吸機能検査の異常はOSAに寄与しているかもしれないが、そのメカニズムは不明である。


by otowelt | 2013-06-14 00:42 | サルコイドーシス

ATS2013:線維化を伴う肺サルコイドーシスの急性増悪は、気管支拡張症や抗TNF治療を受けている患者に多い

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R.P. Baughman, et al.
Acute Exacerbations In Fibrotic Pulmonary Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session


背景:
 肺サルコイドーシス患者は急性増悪をきたしうるとされている。サルコイドーシスのどの病期であっても起こりうるが、線維化のあるサルコイドーシス患者では致死率が高い。肺サルコイドーシス患者の急性増悪を理解するため、われわれはシンシナティ大学サルコイドーシスクリニックの患者で検証した。

方法:
 129人の肺の線維化を伴うサルコイドーシス患者を登録した。ステロイドや抗菌薬治療を必要とする肺サルコイドーシスの急性増悪(AEPS)エピソード、年齢、人種、性別、呼吸機能、サルコイドーシスの全身性治療、HRCTデータを抽出した。

結果:
 94人(73%)の患者が2回以上のAEPSを経験し、回数の中央値は3回(0~8回)だった。HRCTで気管支拡張症がある患者は、その回数が非気管支拡張症と比較して高かった(3回[0-6回] vs 2回[0-8回], p<0.0001)。 AEPSと年齢、努力性肺活量、一秒量、一秒率、血清IgE値と関連はなかった。さらに、AEPSの回数は人種、性別、喫煙歴、プレドニゾン使用、メトトレキサート使用、その他細胞毒性のある薬剤の使用とは関連していなかった。TNFモノクローナル抗体治療を受けている患者は、よりAEPSの回数が多かった(3.5回[1-6回] vs 3回[0-8回], p=0.0364)。

結論:
 AEPSは線維化のあるサルコイドーシス患者では起こりうる病態である。このエピソードは基礎に気管支拡張症がある場合に起こりやすいが、人種、性別、年齢、喫煙歴とは関連していなかった。抗TNF治療を受けている患者はAEPSを起こしやすい。


by otowelt | 2013-05-20 03:13 | サルコイドーシス

ATS2013:サルコイドーシス患者の末梢血および気管支肺胞洗浄液ではTh17/Treg細胞比が上昇する

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e0156318_11333269.jpgC. Jiang, et al.
Imbalance Between Th17 And Regulatory T-Cells In Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 サルコイドーシスは全身性の肉芽腫性疾患であり、免疫応答の異常によって引き起こされると考えられている。CD4陽性Tリンパ球は、肉芽腫の形成に重要な役割を果たしている。サルコイドーシスにおける炎症は、CD4+CD25highT細胞群(Foxp3発現)(Tregs)と前炎症性Th17細胞とのホメオスターシスの消失によって起こるかもしれない。この試験の目的は、サルコイドーシス患者において末梢血および気管支肺胞洗浄液(BALF)のTregとTh17細胞を評価し、ステロイドの影響を検証することである。

方法:
 10人のサルコイドーシス患者および10人の健常者において、TregとTh17細胞は末梢血およびBALFで測定された。サルコイドーシス患者ではプレドニゾン導入前後に末梢血単核球でFoxp3およびRORγt(retinoic-acid-related orphan receptor-γt)mRNAがリアルタイム逆転写PCRによって解析された。

結果:
 サルコイドーシス患者においてTregの減少とTh17細胞の増加が観察された。Th17/Treg細胞比はサルコイドーシス患者で有意に上昇した。プレドニゾン治療後に、Foxp3 mRNA発現は末梢血で増加しており、RORγt mRNA発現は低下する傾向がみられた。

結論:
 サルコイドーシスは、末梢血およびBALFでTh17/Treg細胞比の上昇に関連しており、Th17/Treg比に影響を与えるサイトカインを標的にすることがサルコイドーシス治療の新しい可能性をもたらすかもしれない。


by otowelt | 2013-05-20 02:41 | サルコイドーシス

ATS2013:慢性サルコイドーシスに対してウステキヌマブおよびゴリムマブはプラセボと比べても効果が乏しい

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e0156318_11333269.jpgウステキヌマブとゴリムマブに関するポスター発表が2つありました。どちらも同じグループからの発表です。

M.A. Judson, et al.
Safety And Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session

R.P. Baughman, et al.
Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Skin Sarcoidosis,
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 サルコイドーシスは、インターロイキン12やTNF-αなどの前炎症性サイトカインを分泌する非乾酪性肉芽腫によって特徴づけられる原因不明の全身性の肉芽腫性疾患である。75%の患者で肺に病変がみられ、後遺症を残すことなく多くの患者が寛解するが、およそ30%は慢性サルコイドーシスとなる。ウステキヌマブ(ステラーラ®)およびゴリムマブ(シンポニー®)は、それぞれインターロキン12p40およびTNF-αに作用するヒトモノクローナル抗体であり、慢性期の徴候や症状を軽減させる可能性が期待されている。

方法:
 ステロイドなどの薬物治療をおこなっても症状が持続する慢性肺サルコイドーシス患者132人、慢性皮膚サルコイドーシス患者58人を本試験に登録した。これらの患者を、ウステキヌマブあるいはゴリムマブあるいはプラセボにランダムに割り付けた。登録された患者はステロイドを16~28週間の間で漸減していくよう規定された。プライマリエンドポントは%予測努力性肺活量の変化、6分間歩行距離、St George’s Respiratory Questionnaire (SGRQ)、28週時のSkin Physician Global Assessment (SPGA) 反応性がみられた患者割合とした。

結果:
 16週時で、統計学的に有意ではないがベースラインからの%予測努力性肺活量の差が観察された:ウステキヌマブ(−0.15, p=0.13)、ゴリムマブ(1.15, p=0.54)、プラセボ(2.02)。28週時にも、統計学的に有意差はみられなかった。SPGA反応性はゴリムマブ治療によってプラセボより多くみられた(53% vs 30%)。両治療群ともにプラセボよりステロイド漸減量が多く達成できた。
 28週を通して、有害事象に3群間差はみられなかった。

結論:
 ウステキヌマブおよびゴリムマブは忍容性があるが、いずれも本試験では肺サルコイドーシスに効果はみられなかった。しかしながら、ゴリムマブはある程度皮膚サルコイドーシスに効果がある可能性が示唆された。


by otowelt | 2013-05-19 23:35 | サルコイドーシス

サルコイドーシスのセカンドライン治療におけるメトトレキサートとアザチオプリンは良好な効果

 サルコイドーシスのセカンドライン治療における免疫抑制剤を比較した論文です。重度の肺サルコイドーシスでステロイドを使うことがあるかと思いますが、呼吸器内科医にとってはかなり興味深い論文だと思います。
 日本では、免疫抑制剤の場合メソトレキセートではなくメトトレキサートと表記します。個人的にはどっちでもいいんですが。

Adriane DM Vorselaars, et al.
Methotrexate versus azathioprine in second line therapy of sarcoidosis
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.12-1728


背景:
 サルコイドーシスの治療の第一選択肢は依然ステロイドであるが、慢性的な使用は毒性を高めてしまう。現時点で、妥当な第二選択肢の治療はない。このスタディの目的は、プレドニゾンの漸減、呼吸機能、副作用をメトトレキサートおよびアザチオプリンにおいて比較することである。

方法:
 国際レトロスペクティブコホート試験により、メトトレキサートあるいはアザチオプリンを開始後2年あるいは断薬するまで続けた全てのサルコイドーシス患者を登録した。
 ベルギーのルーヴェン大学病院およびオランダのセントアントニウス病院でおこなわれた。
 サルコイドーシスはATS/ERS/WASOGステートメントに基づいて診断された。
 メトトレキサートは10mg/週から開始し、肝機能をチェックしつつ15mg/週まで増量した。全ての患者は5mgの葉酸を内服することとした。アザチオプリンは2mg/kgを内服し、肝機能や血球をチェックしなたら最大150mg/日まで増量した。
 呼吸機能への治療効果やプレドニゾンの量が線形混合モデルを用いて計算された。副作用はχ2検定で比較された。

結果:
 200人の患者が登録された。145人はメトトレキサート、55人ガアザチオプリンを使用した。メトトレキサートは非白人が多く(p=0.004)、ベースラインのDLCOが高い(p=0.01)というベースライン特性の差がみられた。肺外サルコイドーシスの治療適応は、心サルコイドーシス、神経サルコイドーシス、関節サルコイドーシス、眼サルコイドーシス(ぶどう膜炎)、著明な倦怠感であった。
 免疫抑制剤治療開始から37人が副作用のため脱落した。
 1日1回のプレドニゾンは治療中に年間で6.23mg減少し(p<0.0001)、ステロイド減量効果がメトトレキサートとアザチオプリンにみられた。1年間の治療をおこなった患者の70%が1日量のプレドニゾンを少なくとも10mg減量することができた。
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 両群において、一秒量は年間で平均53ml改善し(p=0.006)、肺活量は年間で平均95ml改善し(p=0.001)。DLCO (%予測値)は年間で平均1.23%増加した(p=0.018)。なお、肺サルコイドーシスと肺外サルコイドーシスでは全パラメータに有意な差がみられていた(* p=0.049、** P<0.001)。
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 アザチオプリン群ではより多くの感染症が観察されたが(34.6 vs 18.1% p=0.01)、他の副作用については両群に差はみられなかった。
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結論:
 サルコイドーシスのセカンドライン治療の効果を比較したこのレトロスペクティブ試験では、メトトレキサートとアザチオプリンは、有意にステロイドを減量する効果があり、呼吸機能に対して良好な効果が同等にみられ、感染症の発症以外ではいずれも副作用は同等であった。


by otowelt | 2013-03-30 12:53 | サルコイドーシス

サルコイドーシスの診断におけるEBUS-TBNAの迅速細胞診は有用

サルコイドーシスの診断におけるEBUS-TBNAの迅速細胞診の話題です。

Marshall L Plit, et al.
Rapid cytological analysis of endobronchial ultrasound-guided aspirates in sarcoidosis
ERJ November 22, 2012 erj01283-2012


背景:
 サルコイドーシスを疑われた患者に対するEBUS-TBNAの迅速細胞診:Rapid on site evaluation (ROSE)は、その最終的な診断との比較をされたことがない。

目的:
 サルコイドーシスを疑われた患者に対するEBUS-TBNAのROSEの診断精度を検証する。

方法:
 2010年7月から2011年7月までの間、プロスペクティブに2施設におけるEBUS-TBNA時のROSEののちに、TBLBや気管支内生検(EBB)を施行した。EBUS-TBNA時のROSEの診断精度が最終的な細胞診と比較された。TBLBや気管支内生検についても最終診断と比較された。
 EBUS-TBNAはすべて22G針で施行された。ROSEは、Diff Quik Stainにより典型的肉芽腫(epithelioid histiocytesで構成されるもの)があればサルコイドーシスの疑いとした。

結果:
 60症例のうち49例がサルコイドーシスであった。ROSEの感度・特異度は87.8%・91%であり、PPVは97.7%であった。最終的なセルブロックによる確定診断スライドとの併用では、感度・特異度は91.8%・100%まで上昇(PPVは100%)。
 サルコイドーシスの診断は、TBLBで67%、気管支内生検で29%が確定された。細胞診断士間や病理医間での観察者間一致はきわめて良好であった(細胞診断士:κ値0.91, 95% CI 0.80-1.0、病理医:κ値0.91, 95% CI 0.79-1.0)。
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結論:
 サルコイドーシスの診断におけるEBUS-TBNAのROSEは有用である。

by otowelt | 2012-11-25 17:15 | サルコイドーシス

臨床的に寛解したサルコイドーシスにおける長期的な疲労感の問題

サルコイドーシスにおける疲労感の話題。
慢性疲労症候群の診断基準は以下の論文のものを使用。
International Chronic Fatigue Syndrome Study Group . The chronic fatigue syndrome: a comprehensive approach to its defi nition and study . Ann Intern Med . 1994 ; 121 ( 12 ): 953 - 959 .

サルコイドーシスの診断の確実性がlimitationであると
Discussionに述べられている。

Characterization of Chronic Fatigue in Patients With Sarcoidosis in Clinical Remission
CHEST 2011; 140(2):441 –447


背景:
 サルコイドーシスの患者において、しばしば疲労感を訴えることがあり
 これはサルコイドーシスが臨床的に寛解しても起こり得る。 
 このスタディの目的は、臨床的に寛解したサルコイドーシスの患者に
 おいて疲労感の重症度を評価することと、慢性疲労症候群(CFS)の
 国際的診断基準に照らし合わせることである。さらに、
 抑うつや不安、健康状態、睡眠の質が関連しているかどうかも評価し
 身体活動レベルと筋力も疲労の評価目的として記録した。
 
方法:
 75人の臨床的に寛解したサルコイドーシス患者に質問票を提示。
 (Checklist Individual Strength [CIS], Symptom Checklist-90,
 Beck Depression Inventory for primary care,
 Medical Outcomes Study 36-Item Short-Form Health Survey),
 それに加えて、インタビュー(CFS診断基準のため)、睡眠の質、加速度計、
 筋力テストを施行。

結果:
 疲労感の重症度の平均スコアは、臨床的に寛解したサルコイドーシス
 患者において高かった(CIS fatigue severity 30.5± 15.5),。
 またCFS基準はこれら疲労感を訴えた患者の47%で合致した。
 サルコイドーシス診断からの中央期間は9年であり、疲労感は 
 抑うつ( P=.01)、不安( P =.013)と関連し、健康状態の低下( P<.001)
 とも関連。睡眠の質に関しては問題なかった。身体活動レベルは
 疲労感のある患者において低下がみられた。筋力は、特にハンドグリップ
 ( P=.006)および大腿四頭筋力( P<.001)が有意に疲労感のある患者において
 低下していた。
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結論:
 臨床的に寛解したサルコイドーシス患者における疲労感は
 しばしばみられる症状であり、CFSに類似する
 長期に続くゆゆしき問題である。精神的な問題や健康状態の低下も
 疲労と関連しており、興味深いことに身体活動や筋力の低下が観察された。

by otowelt | 2011-08-04 05:02 | サルコイドーシス