カテゴリ:集中治療( 180 )

ワイヤレスDisposcope®による気管挿管

 Disposcope®は、要はスタイレットのかわりにマイクロカメラを通してリアルタイムに挿管するためのツールです。驚くべきことに、ワイヤレス。時代はここまで来たのですね。

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(YouTube:「DISPOSCOPE ENDOSCOPE INTU SYSTEM 」https://www.youtube.com/watch?v=fotgoFjyAO4より)

Chen PT, et al.
A randomised trial comparing real-time double-lumen endobronchial tube placement with the Disposcope® with conventional blind placement.
Anaesthesia. 2017 Sep;72(9):1097-1106. doi: 10.1111/anae.13984.


背景:
 ダブルルーメン気管内チューブの挿入は時に難しい。この研究は、ワイヤレスDisposcope®を用いて挿管する有用性を調べたものである。

方法:
 正常な気道を有する患者で、胸部外科手術前に挿管を要する人をランダムにワイヤレスDisposcope®群あるいは通常挿管群に割り付けた(各群27人)。挿管できたかどうかは気管支鏡を用いてその後確認した。

結果:
 Disposcope®群は有意に挿入までの時間が短かった(18.6±2.5秒 s vs. 21.4±2.9秒、p < 0.001)、また喉頭鏡使用から処置後聴診までの時間(83.4±3.0秒 vs. 93.9±5.7秒, p < 0.001)およびトータル処置時間(130.7±6.1秒 vs. 154.5±6.3秒, p < 0.001)も有意に短縮できた。Disposcope®群では全例正しい位置にチューブが留置できていたが、通常挿管では挿管位置不良が7.4%にみられた(胸部外科手術患者なので留置位置は通常とは異なる)。

結論:
 ワイヤレスDisposcope®はダブルルーメン挿管チューブを正しい位置に留置することができ、時間も短縮できる。


by otowelt | 2017-09-01 00:47 | 集中治療

12時間以上人工呼吸管理を受けたICU入室患者のストレス経験

e0156318_21563989.jpg 口渇、確かにそうですよね。

高島尚美ら.
12時間以上人工呼吸管理を受けたICU入室患者のストレス経験
日本集中治療医学会雑誌 Vol. 24 (2017) No. 4 p. 399-405


背景および方法:
 12時間以上人工呼吸管理を受けたICU入室患者のストレス経験の実態と関連要因を明らかにするために,ICU退室前に34項目のICU Stressful Experiences Questionnaire日本語版(ICU-SEQJ)を作成し,聞き取り調査をした。

結果:
 その実態は,8割近くが「口渇」を,7割近くが「動きの制限」や「会話困難」,「気管チューブによる苦痛」,「痛み」,「緊張」を中程度~非常に強い主観的ストレスとして経験していた。既往歴がない,緊急入室,有職者は有意にストレス経験が強く,重回帰分析では抜管前のCRP値が最も影響を与えており,気管挿管時間,鎮痛鎮静薬投与量,痛みの訴えは弱い関連があった。96名中,気管挿管に関する7項目の記憶がなかった患者は10名でストレス経験は有意に低く,関連要因はプロポフォール使用の多さと深鎮静と高齢だった。

結論:
 多くのICU入室患者にとってストレス経験は厄介で,入室状況や病歴によっても異なるため,看護師はニーズを予測しながら個別的にアセスメントし,ストレス経験緩和のための介入をする必要がある。


by otowelt | 2017-07-24 00:59 | 集中治療

重症患者に対するramped positionとsniffing positionの比較

 先日のATSでも注目を集めた演題です。
 ramped positionは傾斜体位ともいい、肥満患者で有効とされる体位です。ブログ「麻酔科勤務医のお勉強日記」(Q:ランプ・ポジション(ramp position)とは?)が分かりやすいです。
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Matthew W. Semler, et al.
A Multicenter, Randomized Trial of Ramped Position versus Sniffing Position during Endotracheal Intubation of Critically Ill Adults
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.03.061


背景:
 低酸素血症は、重症患者の気管挿管時にもっともよくみられる合併症である。ramped positionによる挿管は機能的残気量を増加させることによって低酸素血症を予防し、挿管時間を減らすことができるとされている。しかし、手術室外での評価はされていなかった。

方法:
 これは、気管挿管を適用された260人の成人患者における、ramped positionとsniffing positionを比較した多施設共同ランダム化比較試験である(2015年7月22日~2016年7月19日)。プライマリアウトカムは、挿管中および挿管後2分時の最低SaO2とした。セカンダリアウトカムには喉頭蓋可視Cormack-Lehane分類、挿管困難などが含まれた。

結果:
 最低SaO2の中央値は、ramped positionで93%(IQR84-99%)、sniffing positionで92%(IQR79-98%)だった(p=0.27)。ramped positionはCormack-Lehane分類グレードIIIあるいはIVの増加と関連していた(25.4% vs 11.5%, P = 0.01)。これにより挿管困難(12.3% vs 4.6%, P = 0.04), 初回挿管成功率(76.2% vs 85.4%, P = 0.02)に差がみられた。

結論:
 多施設共同研究では、重症患者に対するramped positionでの気管挿管は、sniffing positionと比較して挿管中の酸素化を改善しなかった。また、ramped positionは、喉頭蓋の可視化を悪化させ初回挿管成功率を低下させる懸念がある。


by otowelt | 2017-05-30 00:58 | 集中治療

ALI/ARDS治療早期にエラスポール®を用いると予後が改善する

e0156318_21563989.jpg 喧々囂々と専門家が議論されている分野なので、ノーコメントです。

Kido T, et al.
Efficacy of early sivelestat administration on acute lung injury and acute respiratory distress syndrome.
Respirology. 2017 May;22(4):708-713.


背景および目的:
 好中球エラスターゼ阻害薬であるシベレスタットの急性肺傷害(ALI)・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する有効性はいまだ議論の余地がある。われわれは、ALI/ARDS患者に対するシベレスタット7日間の投与によって投与群・非投与群のエンドポイントを比較した。

方法:
 この研究は日本国内で2012年に実施された研究である。シベレスタット群と非シベレスタット群の死亡率を比較した。

結果:
 4276人の患者が本研究に登録され、入院7日までの間に1997人がシベレスタットで治療され、2279人がシベレスタット治療を受けなかった。交絡因子で補正すると、3ヶ月以内の死亡率はシベレスタット群の方が有意に低かった(重みづけハザード比0.83; 95%信頼区間0.75-0.93; P < 0.002)。多変量回帰分析では若年、非癌、血液透析の必要性がない、高用量メチエルプレドニゾロンの非使用、が有意に治療成功と相関していた。

結論:
 後ろ向きおよび観察研究の結果からは、ALI/ARDS発症から7日以内にシベレスタットを投与することで予後が改善する可能性が示唆される。われわれの知る限り、これは、ALI/ARDSに対するシベレスタットの効果を評価したもっとも大規模な研究である。


by otowelt | 2017-05-11 00:40 | 集中治療

プロカルシトニンはCRPと比べて真の菌血症と偽陽性の鑑別に役立つ

e0156318_22555653.jpg 個人的にはまだあまりプロカルシトニンを使っていません。

波多野 俊之ら.
菌血症診断におけるプロカルシトニンの有効性の検討
日本集中治療医学会雑誌 Vol. 24 (2017) No. 2 p. 115-120


目的:
 菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について,後方視的に解析した。

方法:
 2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において当院で血液培養検査が陽性となりPCTが測定されていた132例を調査対象とし,検出菌,PCTおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性を評価した。

結果:
 感染症専門医により,菌血症102例,contamination(擬陽性)30例と判断された。菌血症と擬陽性でPCT(ng/ml)とCRP(mg/dl)の中央値は,それぞれ2.8と0.3,13.2と7.0であり,菌血症で有意に高かった(P<0.001,P=0.020)。ROC-AUC(95%信頼区間)は,PCT 0.76(0.65~0.86),CRP 0.64(0.52~0.76)だった。一方,菌血症の原因菌別でグラム陽性菌(n=48)とグラム陰性菌(n=54)のPCTは,それぞれ2.1と3.7で有意差を認めなかった(P=0.123)。

結論:
 PCTはCRPと比較して真の菌血症と擬陽性の鑑別に役立つと評価された。しかし,菌血症におけるグラム陽性菌とグラム陰性菌を鑑別できるものではなかった。


by otowelt | 2017-04-13 00:43 | 集中治療

ビデオ喉頭鏡による挿管が失敗しやすい因子

e0156318_21563989.jpg ビデオ喉頭鏡に関する報告です。

Raj Joshi, et al.
Difficult Airway Characteristics Associated with First-Attempt Failure at Intubation Using Video Laryngoscopy in the Intensive Care Unit
Annals of the American Thoracic Society, DOI: http://dx.doi.org/10.1513/AnnalsATS.201606-472OC


背景:
 ビデオ喉頭鏡は、気管チューブ挿入時の視野確保のための喉頭展開で解剖学的な軸を定める必要性を克服した。しかしながら、この利点があるにもかかわらず、多くの患者で失敗している。重症患者における解剖学的な特性がビデオ喉頭鏡の失敗と関連しているというデータはない。

目的:
 ICUにおいてビデオ喉頭鏡を用いた挿管の初回失敗に関連する背景を同定すること。

方法:
 2012年1月から2016年1月までに単施設ICUにおいてビデオ喉頭鏡で挿管された連続患者906人を対象におこなわれた観察研究である。どの挿管でも、挿管困難気道特性、用いたデバイス、アウトカムなどを記録してもらった。多変量回帰モデルが用いられ、挿管の失敗に関連した挿管困難気道特性を同定した。

結果:
 性別、年齢、挿管理由、成功および失敗にいたった使用デバイスに有意差はみられなかった。成功例は、挿管困難気道特性がないことが多かった(23.9%; 95%信頼区間20.7–27.0% vs. 13.3%; 95%信頼区間8.0–18.8%)。906人のデータベースのロジスティック回帰分析において、気道の血液の存在(オッズ比2.63; 95%信頼区間1.64–4.20), 気道浮腫(オッズ比2.85; 95%信頼区間1.48–5.45), 肥満(オッズ比1.59; 95%信頼区間1.08–2.32)は有意に挿管失敗と関連していた。
 開口困難や分泌過多がみられた集団のサブセット解析において、気道の血液の存在(オッズ比2.73; 95%信頼区間1.60–4.64), 頚部可動制限(オッズ比3.34; 95%信頼区間1.28–8.72), 気道浮腫(オッズ比3.10; 95%信頼区間1.42–6.70)は挿管失敗と関連していた。

結論:
 この単施設研究では、ICUにおけるビデオ喉頭鏡による挿管時に、気道の血液の存在、気道浮腫、頚部可動制限、肥満がある場合、挿管失敗の高いオッズ比と関連していた。



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by otowelt | 2017-03-28 00:05 | 集中治療

ARDSリスクのある患者に対する早期ICS/LABAは酸素化を改善する

e0156318_13444039.jpg ARDSリスクのある患者さんに、シムビコート®を吸ってもらった、ということですね。

Festic, Emir, et al.
Randomized Clinical Trial of a Combination of an Inhaled Corticosteroid and Beta Agonist in Patients at Risk of Developing the Acute Respiratory Distress Syndrome.
Crit Care Med, February 24, 2017


目的:
 ARDS患者における肺傷害に直接作用する呼吸器系薬剤の効果についてはよくわかっていない。吸入ステロイド薬+β刺激薬の早期治療は、ARDS進行を抑制するかもしれない。

方法:
 アメリカにおける5つの教育医療センターでおこなわれた、二重盲検ランダム化比較試験。患者は救急部を通じて入院したARDSリスクのある患者である。エアロゾル化されたブデソニド/ホルモテロールあるいはプラセボを1日2回5日間継続した。
 プライマリアウトカムは、5日時点でのSaO2/FiO2()S/F比)の変化とした。わたわれわれは、20%を超えるS/F比の定性的変化を解析した。他のアウトカムとして、人工呼吸器の必要性、ARDSの発症を含めた。

結果:  
 61人の患者が2013年9月3日から2015年6月9日まで登録された。受診から初回投薬までの時間の中央値は9時間以内だった。コントロール群の多くの患者が登録時ショックを呈していた(14人 vs 3人)。S/F比の上昇は治療群で大きく(p = 0.02)(図)、これはベースラインのショックの存在(p = 0.04)、LIPSスコア(p=0.001)、年齢(p=0.001)とは独立していた。定性的な解析(20%を超える変化)でもS/F比は改善した(p = 0.01)が、これはショックの有無で補正をしていない解析結果である(p = 0.15)。プラセボ群の多くの患者はARDSを発症し(7人 vs 0人)、人工呼吸を要した(53% vs 21%)。
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(文献より引用:S/F比[Figure2])

結論:
 ARDSのリスクがある患者に早期の吸入ブデソニド/ホルモテロールを用いることは、良好なアウトカムをもたらし、酸素化を改善する。



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by otowelt | 2017-03-21 00:58 | 集中治療

システマティックレビュー:抜管前の予防的ステロイド投与は抜管後気道イベントや再挿管を減らす

e0156318_21563989.jpg 倉敷中央病院からの報告です。

Akira Kuriyama, et al.
Prophylactic corticosteroids for prevention of post-extubation stridor and reintubation in adults: a systematic review and meta-analysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.02.017


背景:
 抜管後stridorや再挿管を予防するために、選択的抜管前にステロイドを投与することがある。われわれは、選択的抜管前の予防的ステロイドによってどの患者が利益を受けるか同定するべく、システマティックレビューをアップデートした。

方法:
 PubMedなどの電子データベースを検索し、2016年2月29日までの妥当な文献を抽出した。適格文献は、選択的抜管前に予防的ステロイド投与を行う効果と安全性を人工呼吸器を装着した成人患者において検証したランダム化比較試験とした。DerSimonian-Laird法ランダム効果モデルを用いた。

結果:
 11の試験、2492人の患者が解析に組み込まれた。予防的ステロイドは、プラセボや無治療と比較して抜管後気道イベントの発生の減少と関連していた(リスク比0.43、95%信頼区間0.29-0.66)。また再挿管の減少とも関連していた(リスク比0.42、95%信頼区間0.25-0.71)。この関連性は抜管後気道合併症のハイリスク患者で顕著であった(抜管後気道イベント発生:リスク比0.34、95%信頼区間0.24-0.48、再挿管:リスク比0.35、95%信頼区間0.20-0.64)。リスク患者はカフリークテストで同定した。有害事象はまれであった。

結論:
 選択的抜管前に予防的ステロイドを投与することで、抜管後の気道イベントや再挿管のリスクを減らすことができる。



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by otowelt | 2017-03-17 00:35 | 集中治療

メタアナリシス:敗血症患者に対する解熱治療は死亡率を低下させない

e0156318_93453100.jpg 平均0.38℃って、意外に体温の下がりは少ないんですね。
 私は、熱があったらしんどいのでQOL維持のために解熱鎮痛薬を飲んでしまう弱い人間です。


Drewry AM, et al.
Antipyretic Therapy in Critically Ill Septic Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Crit Care Med. 2017 Feb 17. doi: 10.1097/CCM.0000000000002285.


目的:
 このメタアナリシスは、重症の敗血症がある成人患者における解熱治療が死亡率に与える影響を調べることが目的である。

データ:
 電子データベースから2016年2月までの文献を検索した(Ovid Medline, Embase, Scopus, Cumulative Index of Nursing and Allied Health Literature, Cochrane Central Register of Controlled Trials, NHS Economic Evaluation Database, ClinicalTrials.gov)。

選択:
 このメタアナリシスの適格基準は、敗血症患者に対する解熱治療、報告死亡率を検討した観察研究あるいはランダム化比較試験である。小児、神経外傷、健常ボランティアを対象とした研究は除外した。2人の独立したレビュアーによって評価された。

データ抽出:
 2人のレビュアーが独立してデータを抽出し、研究の質を評価した。アウトカムには死亡率、ショック再発、院内感染症発生、体温・心拍数・1回換気量の変化が含まれた。ランダム化比較試験および観察研究は分けて解析された。

データ統合:
 8つのランダム化比較試験(1507人)および8つの観察研究(17432人)が解析された。
 ランダム化比較試験において、解熱治療は28日院内死亡率を低下させなかった(相対リスク0.93、95% 信頼区間0.77-1.13; I = 0.0%)。解熱治療の内訳は、アセトアミノフェン(相対リスク0.93、95%信頼区間0.68–1.40)、NSAIDs(相対リスク0.94、95%信頼区間0.68–1.31)、クーリング(相対リスク0.88、95%信頼区間0.65–1.19[ただし1研究のみ])だった。
 これは観察研究でも同等だった(オッズ比0.90、95%信頼区間0.54-1.51; I = 76.1%)。解熱治療の内訳は、アセトアミノフェン(オッズ比0.88、95%信頼区間0.65–1.19)、NSAIDs(オッズ比2.61、95%信頼区間1.11–6.12[ただし1研究のみ])、クーリング(オッズ比0.20、95%信頼区間0.00–10.91)だった。
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(文献より引用:Figure2)

 ショック再発(相対リスク1.13; 95%信頼区間0.68-1.90; I = 51.6%)、院内感染症(相対リスク1.13; 95%信頼区間0.61-2.09; I = 61.0%)についても変化はなかった。解熱治療は体温を平均0.38℃低下させた(95%信頼区間0.63~0.13℃;I = 84.0%)が、心拍数や1回換気量に変化はみられなかった。

結論:
 解熱治療は成人敗血症患者における28日院内死亡率を有意に改善しなかった。



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by otowelt | 2017-03-08 00:02 | 集中治療

ビデオ喉頭鏡は直接喉頭鏡よりも有益とは言えない

e0156318_21563989.jpg 残念な結果ですね。重篤な合併症は、ビデオ喉頭鏡17人 vs 直接喉頭鏡5人です。

Jean Baptiste Lascarrou, et al.
Video Laryngoscopy vs Direct Laryngoscopy on Successful First-Pass Orotracheal Intubation Among ICU PatientsA Randomized Clinical Trial
JAMA. Published online January 24, 2017. doi:10.1001/jama.2016.20603


背景:
 ICU患者は不安定であり、また迅速な処置が求められたり非エキスパートが処置を行うこともあるため、経口気管挿管は合併症のリスクを上昇させるかもしれない。、ビデオ喉頭鏡は喉頭蓋の確認しやすくするかもしれない。

目的:
 ビデオ喉頭鏡が直接喉頭鏡による経口気管挿管よりも成功率を上昇させるかどうか調べること。

方法:
 2015年5月から2016年1月までの間、フランスの7つのICUにおいて挿管が必要な患者371人をランダム化した。追跡期間は28日。
 挿管はビデオ喉頭鏡(186人)あるいは直接喉頭鏡(185人)で実施された。全ての患者は全身麻酔を受けた。
 プライマリアウトカムは、初回気管挿管成功率とした。セカンダリアウトカムは挿管成功までの時間、軽度から中等度の生命を脅かす合併症とした。

結果:
 371人(平均年齢62.8±15.8歳、136人[36.7%]が女性)がランダム化され、全員試験を完遂した。初回気管挿管成功率は、両群ともに有意差はなかった(ビデオ喉頭鏡67.7% vs 直接喉頭鏡70.3%、絶対差-2.5%[95%信頼区間-11.9~6.9%]、p=0.60)。非エキスパート(初期研修医290人)による初回挿管の頻度も両群とも同等であった(84.4% vs 83.2%、絶対差1.2%[95%信頼区間-6.3~8.6%]、p=0.76)。挿管成功までの時間の中央値は3分だった(範囲:2-4分)(絶対差0分、p=0.95)。ビデオ喉頭鏡は生命をおびやかす合併症とは関連していなかった(13.3% vs 10.4%、p=0.25)。事後解析では、ビデオ喉頭鏡は重篤な生命をおびやかす合併症(死亡、心停止、血圧90mmHg未満、重度の低酸素血症[SaO2 80%未満])が有意に多かった(9.5% vs 2.8%, 絶対差6.7%[95%信頼区間1.8-11.6%]、p=0.01)が、軽度から中等度の生命をおびやかす合併症とは関連していなかった(5.4% vs 7.7%、絶対差−2.3%[95%信頼区間−7.4%~2.8%]、p = 0.37)。

結論:
 気管挿管が必要なICU患者において、ビデオ喉頭鏡は直接喉頭鏡と比較して経口気管挿管の成功率を改善しなかった。また、重篤な生命をおびやかす合併症の増加と関連していた。


by otowelt | 2017-02-10 00:25 | 集中治療