カテゴリ:集中治療( 179 )

ICUにおける高酸素血症は有害

e0156318_21563989.jpg  既知の知見の通りですね。

Helmerhorst H, et al.
Metrics of Arterial Hyperoxia and Associated Outcomes in Critical Care.
Crit Care Med. 2017 Feb;45(2):187-195. doi: 10.1097/CCM.0000000000002084.


目的:
 高酸素血症の潜在的リスクについてエビデンスが構築されてきているが、臨床的定義と方法論的限界が不透明で、過去の研究の解釈と臨床的信頼性が立ち行かない。われわれの目的は、以前から用いられている基準および新しい基準によって、高酸素血症を呈するICU内の各サブグループの臨床転帰との関連性を体系的に評価することである。

方法:
 オランダのICUで実施された観察コホート研究である。適格患者は14441人であった。

結果:
 2011年7月から2014年7月までの間、合計295079人の血液ガス分析(PaO2を含む)が採取された。2つ以上のPaO2データのある患者のその他の各種情報が抽出された。
 軽度の高酸素血症はPaO2が120~200mmHgと定義され、重度の高酸素血症は200mmHgを超えるものと定義された。
 重度の高酸素血症は、高い死亡率と人工呼吸器非装着日数の少なさと関連していた(軽度の高酸素血症および正常患者と比較)。条件付き死亡率の補正効果推定量は、重度の高酸素血症の方が軽度の高酸素血症よりも大きかった。この関連は入院24時間以内および24時間以降のいずれにおいても観察され、大部分のサブグループで同様の結果だった。高酸素血症の期間が増すにつれて、院内死亡率と線形の相関がみられた。

結論:
 重症患者では安全なレベルにPaO2を制限すべきである。



▼楽天

by otowelt | 2017-02-07 00:55 | 集中治療

メタアナリシス:ネーザルハイフローは通常酸素療法より気管挿管率を減少し、NIPPVに代替選択肢となりうる

e0156318_13512197.jpg ネーザルハイフローのメタアナリシスです。「ネーザルハイフローのレビュー」の記事も参考にしてください。

ネーザルハイフローのレビュー

Yue-Nan Ni, et al.
Can high-flow nasal cannula reduce the rate of endotracheal intubation in adult patients with acute respiratory failure compared with conventional oxygen therapy and noninvasive positive pressure ventilation? A systematic review and meta-analysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.004


背景:
 急性呼吸不全(ARF)の成人患者におけるハイフローセラピー(ハイフローネーザルカニューラ[HFNC]、ネーザルハイフロー)の効果は議論の余地がある。われわれは、成人ARFにおいて非侵襲性陽圧換気(NIPPV)や通常酸素療法(COT)と比較してHFNCが気管挿管の頻度を減少させる効果があるかどうか調べた。

方法:
 Pubmed, Embase, Medline, Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) 、Information Sciences Institute (ISI) Web of ScienceからHFNCとNIPPIV・COTを比較した比較試験を抽出した。プライマリアウトカムは気管挿管率とし、セカンダリアウトカムはICU死亡率・ICU在室期間(ICU LOS)とした。

結果:
 18試験・3881人の患者が解析に組み込まれた。ICU死亡率(I2=67%, χ2=12.21, P=0.02)、気管挿管率(I2=63%, χ2=13.51, P=0.02)以外にHFNCとNIPPVの間に有意な異質性はなかった。
 COTと比較すると、HFNCは気管挿管率の低さと関連していた(オッズ比0.47、95%信頼区間0.27-0.84, P=0.01)が、NIPPVとの比較では有意差はなかった(オッズ比0.73, 95%信頼区間0.47-1.13, P=0.16)。ICU死亡率、ICU LOSについてはCOTあるいはNIPPVに優劣はなかった。
e0156318_8414057.jpg
(文献より引用:気管挿管率)

結論:
 ARF患者において、HFNCはCOTと比較して気管挿管率を減少させ、NIPPVに代用できる信頼性がある。


by otowelt | 2017-02-02 00:57 | 集中治療

メタアナリシス:中心静脈カテーテル留置後のカテーテル位置異常と気胸の同定にベッドサイド超音波は有用

e0156318_173229100.jpg 結局レントゲンは撮るのでしょうが、手元にエコーがあれば確認しておきたいですね。

Ablordeppey EA, et al.
Diagnostic Accuracy of Central Venous Catheter Confirmation by Bedside Ultrasound Versus Chest Radiography in Critically Ill Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Crit Care Med. 2016 Dec 5. [Epub ahead of print]


目的:
 われわれは、中心静脈カテーテルの位置を確認し気胸を否定するための胸部レントゲン写真と比較したベッドサイド超音波検査の診断能を調べるために、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。

データ元:
 PubMed, Embase, Cochrane Central Register of Controlled Trials reference lists, conference proceedings, ClinicalTrials.gov。

研究選択:
 中心静脈カテーテルの確認のために胸部レントゲン写真と比較したベッドサイド超音波の診断能(2×2分割表)を記載した文献およびアブストラクトを抽出。プライマリアウトカムは、カテーテルの位置確認および気胸の同定の精度とした。セカンダリアウトカムは、実現可能性、評価者間信頼性、中心静脈カテーテル位置確認のためのベッドサイド超音波の効率性とした。

データ抽出:
 研究者は試験デザイン、カテーテル位置異常や処置による気胸を同定するためのエコー描画技術を含め詳細に研究を抜粋した。診断能をみるため、感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比を算出した。

データ統合:
 15の研究(1553の中心静脈カテーテル留置)が登録された。
 中心静脈カテーテル位置異常の診断において、ベッドサイド超音波は感度82%(95%信頼区間77~86%)、特異度98%(95%信頼区間97~99%)だった。また、陽性尤度比は31.12(95%信頼区間14.72~65.78)、陰性尤度比は0.25(95%信頼区間0.13~0.47)だった。気胸の同定については、登録された研究では100%近い同定率であった。ベッドサイド超音波は中心静脈カテーテルの確認時間を平均58.3分短縮した。リスクバイアスおよび異質性は高かった。
e0156318_1429448.jpg
(文献より引用)

結論:
 ベッドサイド超音波検査は胸部レントゲン写真よりも、中心静脈カテーテル留置後の気胸同定を迅速に判断できる。中心静脈カテーテルの位置異常があったとき、ベッドサイド超音波で5人中4人に同定が可能である。

by otowelt | 2016-12-23 00:11 | 集中治療

PRoVENT試験:ICUで人工呼吸管理を受けている患者の30%はARDSリスクを有している

e0156318_1256030.jpg LIPSは1点増えるごとにARDS発症のオッズ比を1.5、ICU死亡率のオッズ比を1.22上昇させます(Crit Care Res Pract. 2015;2015:157408.)。ただ、FiO2>35%の状態にある合併症のある患者というだけですぐに4点に到達します。

Neto AS, et al.
Epidemiological characteristics, practice of ventilation, and clinical outcome in patients at risk of acute respiratory distress syndrome in intensive care units from 16 countries (PRoVENT): an international, multicentre, prospective study.
Lancet Respir Med. 2016 Nov;4(11):882-893.


背景:
 ARDSのリスクがあるICU患者の疫学的な背景や患者アウトカム、どのように換気マネジメントされているかについては情報が乏しい。われわれは、ARDSのリスクにある患者の疫学的背景、これらの集団の換気マネジメント、アウトカムをARDSのリスクのない集団と比較検討した。

方法:
 このPRoVENT試験は、16ヶ国116ICUで実施された国際多施設共同前向き研究である。人工呼吸管理をICUで1週間以上受けた18歳以上の患者を2014年1月~2015年1月まで登録した。肺傷害予測スコ(LIPS)によってARDSのリスクを層別化し、4点以上をARDSのリスクありと定義した。プライマリアウトカムは、ARDSのリスクがある患者の比率とした。セカンダリアウトカムには、換気マネジメント(1回換気量、PEEP)、肺合併症の発症、臨床アウトカムを設定した。

結果:
 3023人の患者がスクリーニングされ、935人が適格基準を満たした。これらのうち、282人がARDSリスクを有していた(30%、95%信頼区間27-33)。これはICU1ベッドあたり0.14症例/週に相当する。1回換気量は両群同等であった(中央値7.6 mL/kg PBW [IQR 6.7-9.1] vs 7.9 mL/kg PBW [6.8-9.1]; p=0.346)。PEEPはARDSリスクのある患者の方が高かった(中央値6.0 cm H2O [IQR 5.0-8.0] vs 5.0 cm H2O [5.0-7.0]; p<0.0001)。ARDSの発症は、ARDSリスクのある集団の方が多かった(19/260 [7%] vs 17/556 [3%]; p=0·004)。ARDSリスクのない患者と比較すると、ARDSリスクのある患者は院内死亡率(86/543 [16%] vs 74/232 [32%]; p<0·0001), ICU死亡率(62/533 [12%] vs 66/227 [29%]; p<0·0001), 90日死亡率(109/653 [17%] vs 88/282 [31%]; p<0·0001)が高かった。1回換気量はARDSを発症した集団とそうでない集団とで有意差はなかった。

結論:
 ICUで人工呼吸管理を受けている患者の3分の1はARDSリスクを有していた。肺合併症はARDSリスクのある患者でよくみられ、臨床アウトカムも不良だった。

by otowelt | 2016-11-15 00:36 | 集中治療

抜管後ハイリスク患者におけるネーザルハイフローと非侵襲的換気のランダム化比較試験

e0156318_13512197.jpg ここではハイフローセラピーのことをネーザルハイフロー(NHF)と書かせていただきます。いずにれいしてもOptiflow®が用いられているのですが。
 今春に公開されたHernández先生の有名な論文のハイリスク症例ヴァージョンです。

抜管後は通常の酸素療法よりネーザルハイフローの方がよい

 COPDも喉頭浮腫も気道分泌物過多もまとめて「ハイリスク」にしてよいのだろうか、という疑問は残ります。個人的には重症COPDの抜管後はNPPVがよいのではと思います。
 ランダム化から24時間を経過し、NHF、NIVを酸素療法に切り替えた時点でKaplan-Meier曲線に開きが出ていますね。

Hernández G, et al.
Effect of Postextubation High-Flow Nasal Cannula vs Noninvasive Ventilation on Reintubation and Postextubation Respiratory Failure in High-Risk Patients: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 Oct 18;316(15):1565-1574.


背景:
 ネーザルハイフロー(NHF)および非侵襲的換気(NIV)は再挿管の必要性を減らすかもしれない。

目的:
 再挿管のリスクが高い患者において、抜管後呼吸不全を予防する上でNHFがNIVに非劣性を示すかどうか調べること。

方法:
 スペインの3つのICUで2012年9月から2014年10月に実施された多施設共同ランダム化比較試験において、抜管が予定されている重症患者でハイリスク要件に該当するものを登録した。以下の1つでも満たせばハイリスクと定義した:65歳以上、抜管日APACHE IIスコア12点以上、BMI30以上、不適切な分泌物管理(8時間に2回以上の吸引を要する)、ウィーニングが困難あるいは遷延、2つ以上の合併症、人工呼吸器を必要とした原因が心不全、中等症~重症COPD、明らかな気道の問題(喉頭浮腫など)、人工呼吸器装着遷延。
 患者は抜管後24時間、ランダムにNHF群とNIV群に割り付けられた。24時間後、NHF群は通常の酸素療法、NIV群はベンチュリーマスクへスイッチした。
 プライマリアウトカムは再挿管および抜管後72時間以内の呼吸不全の発生とした。非劣性マージンは10%ポイントとした。セカンダリアウトカムは呼吸器感染症(VAPあるいはVAT)、敗血症、多臓器不全、入院期間、死亡率、有害事象、再挿管までの時間とした。

結果:
 604人(平均年齢65±16歳、388人[64%]が男性)が登録され、314人がNIV群、290人がNHF群に割り付けられた。
 抜管後72時間時において、NHF群の66人(22.8%)、NIV群の60人(19.1%)が再挿管を要した(絶対差-3.7%、95%信頼区間-9.1~∞)。非呼吸器系の原因による再挿管症例を除外すると、再挿管はNHF群49人(16.9%)、NIV群50人(15.9%) (絶対差1%、95%信頼区間-4.9~6.9%)。
e0156318_13171467.jpg
(文献より引用:Table 2)
e0156318_13192614.jpg
(文献より引用:Figure 2)

 またNHF群の78人(26.9%)、NIV群の125人(39.8%)が抜管後呼吸不全を呈した(リスク差12.9%、95%信頼区間6.6~∞)。再挿管までの時間は両群とも差はみられなかった(26.5時間[IQR14-39時間] vs 21.5時間[IQR10-47時間]、絶対差―5時間[95%信頼区間―34~24時間])。ランダム化からのICU在室期間中央値はNHF群で短かった(3日[IQR2-7日] vs 4日[IQR2-9日]、p=0.048)。他のセカンダリアウトカムは両群同等であった。治療中断を余儀なくされた有害事象は、NHF群0%、NIV群42.9%だった(p<0.001)。

結論:
 抜管されたハイリスク成人患者において、再挿管および抜管後呼吸不全を予防する上で、NHFはNIVに非劣性を示した。NHFはこれらのハイリスク患者に有益かもしれない。


by otowelt | 2016-10-21 00:39 | 集中治療

免疫不全患者の急性呼吸不全に非侵襲性換気を用いると挿管リスクが高くなる

e0156318_1704815.jpg 昨日の論文を読んだ後だと、「このNIVがヘルメット型インターフェイスならどうなんだろう」と思ってしまいますね。

Jean-Pierre Frat, et al.
Effect of non-invasive oxygenation strategies in immunocompromised patients with severe acute respiratory failure: a post-hoc analysis of a randomised trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(16)30093-5


背景:
 急性呼吸不全を呈した免疫不全の患者に対する非侵襲性換気(NIV)の使用は議論の的になっており、それゆえ高流量鼻腔カニューラ酸素療法(HFN)は通常酸素療法の代替として登場した。われわれは、HFN単独あるいはHFN-NIVによって治療を受けた急性呼吸不全を呈した免疫不全の患者でアウトカムを比較した。

方法:
 多施設共同ランダム化比較試験において、われわれは高二酸化炭素血症のない急性呼吸不全を呈した免疫不全の患者における事後サブグループ解析を実施した。この研究は、フランスおよびベルギーの23のICU患者を、通常酸素療法、HFN単独、NIVにHFNを併用する酸素療法にランダムに1:1:1に割り付けたものである。事前の好中球減少症、acute-on-chronicの呼吸不全、心原性肺水腫、ショック、意識変容がみられた患者は除外された。プライマリアウトカムは、ランダム化から28日以内に挿管を要した患者の比率とした。

結果:
 82人の免疫不全患者のうち、30人が通常酸素療法群、26人がHFN単独群、26人がNIV+HFN群に割り付けられた。HFN単独群26人のうち8人(31%)、通常酸素療法群30人のうち13人(43%)、NIV+HFN群26人のうち17人(65%)が28日以内に挿管を要した(p=0.04)。NIVで治療を受けた患者の方が、HFNで治療を受けた患者よりも挿管のオッズ比が高かった(4.25、95%信頼区間1.33-13.56)。HFN単独群と通常酸素療法群には有意差はみられなかった(オッズ比1.72、95%信頼区間0.57–5.18)。多変量ロジスティック回帰分析後、挿管および死亡率と独立して関連していたのは、年齢と初期治療としてのNIV使用であった。

結論:
 急性呼吸不全をきたした免疫不全の患者においてNIVは挿管のリスクを上昇させるため注意深く用いるべきである。


by otowelt | 2016-06-09 00:00 | 集中治療

ARDSに対する非侵襲性換気:ヘルメット型インターフェースの方がフェイスマスクより良好なアウトカム

e0156318_11153841.jpg インターフェイスでここまで差が出るのは正直驚きました。

Patel BK, et al.
Effect of Noninvasive Ventilation Delivered by Helmet vs Face Mask on the Rate of Endotracheal Intubation in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 May 15. doi: 10.1001/jama.2016.6338. [Epub ahead of print]


背景:
 フェイスマスクによる非侵襲性換気(NIV)は、ARDSの患者の挿管を予防する上で相対的に効果があるとは言いがたい。ヘルメット型インターフェイスによるNIVは、ARDS患者において良好な戦略になるかもしれない。

目的:
 ヘルメット型インターフェイスがARDS患者の相関率を改善するかどうか調べること。

方法:
 単施設(シカゴ大学病院ICU)のランダム化比較試験で、ARDS患者83人を登録し、フェイスマスクによるNIVを少なくとも8時間必要としている者を登録。
 患者はこのままフェイスマスイクを継続する群とヘルメット型インターフェイスに変更する群にランダムに割り付けられた。当初206人(各群103人ずつ)の予定としたが、ヘルメット型インターフェイス群で良好な結果が出ており、試験は早期終了となった。
 プライマリアウトカムは挿管率とした。セカンダリアウトカムとして28日侵襲性換気非実施日数、ICU在室日数、入院期間、院内死亡率、90日死亡率を設定。

結果:
 83人(45%が女性、年齢中央値59歳、APACHE IIスコア中央値26)が解析に組み込まれた(試験早期中止)。挿管率はフェイスマスク群で61.5%(24人)、ヘルメット型インターフェイス群で18.2%(8人)だった(絶対差-43.3%; 95%信頼区間-62.4% to -24.3%; P < .001)。人工呼吸器非装着日数は、ヘルメット型インターフェイス群で有意に延長した(28日 vs 12.5日、 P < .001)。90日時点で、ヘルメット型インターフェイス群の15人(34.1%)が死亡、フェイスマスク群の22人(56.4%)が死亡した(絶対差-22.3%; 95% 信頼区間-43.3 to -1.4; P = .02)。インターフェイス関連皮膚潰瘍を含む有害事象には両群ともに観察された(フェイスマスク群:鼻潰瘍7.6%、 ヘルメット型インターフェイス群:首潰瘍6.8%)。
e0156318_11113958.jpg
(文献より引用:Figure2)

結論:
 ARDS患者において、ヘルメット型インターフェースを用いたNIV管理は有意に挿管率を低下させた。これにより、90日死亡率も有意に改善した。多施設共同研究によってこの知見を確かなものとする必要があろう。


by otowelt | 2016-06-08 00:54 | 集中治療

抜管後は通常の酸素療法よりネーザルハイフローの方がよい

e0156318_13512197.jpg 率にすると2倍の開きがあるほど、ネーザルハイフローが有効という結論になります。抜管後NPPVはさほどよい報告もなかったため、今回はインパクトのある結果でしょうか。

Hernández G, et al.
Effect of Postextubation High-Flow Nasal Cannula vs Conventional Oxygen Therapy on Reintubation in Low-Risk Patients: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 Mar 15. doi: 10.1001/jama.2016.2711. [Epub ahead of print]


背景:
 抜管後の再挿管が高リスクおよび低リスクである混合集団の重症患者の研究では、ハイフロー鼻腔酸素療法は通常の酸素療法よりも抜管後の酸素化を改善することが示されている。しかしながら、再挿管についての決定的なデータは不足している。

目的:
 人工呼吸器を装着している18歳以上の患者で、抜管後の再挿管のリスクが低い場合のハイフロー鼻腔酸素療法が、通常の酸素療法よりも優れているかどうか調べること。

デザイン:
 2012年9月から2014年10月の間にスペインの7つのICUで多施設共同ランダム化比較試験を実施した。登録患者は527人の成人重症患者で、計画的抜管の基準を満たした再挿管のリスクが低いものとした。低リスクの定義は、65歳未満、挿管時のAPACHE IIスコアが12点未満、BMIが30未満、適切な気道分泌物マネジメントを実施されている、適切なウィーニング、合併症が0ないし1、心不全・中等症~重症COPD・気道開存性の問題・人工呼吸器装着の遷延がないことと定義した。

介入:
 患者は抜管後24時間、ハイフロー鼻腔酸素療法あるいは通常の酸素療法にランダムに割り付けられた。フローは、10L/分から開始し、患者が不快に思うラインまでアップしていった。

アウトカム:
 プライマリアウトカムは、72時間以内の再挿管とした。セカンダリアウトカムは、抜管後呼吸不全、気道感染、敗血症、多臓器不全、ICU在室日数および入院日数、ICUおよび入院死亡率、有害事象、再挿管までの時間とした。

結果:
 527人(平均年齢51歳、62%が男性)のうち、264人がハイフロー鼻腔酸素療法、263人が通常の酸素療法を受けた。72時間以内の再挿管はハイフロー鼻腔酸素療法群で少なかった(13人[4.9%] vs 32人 [12.2%];絶対差7.2% [95%信頼区間2.5% to 12.2%]; P = .004)。通常の酸素療法群の再挿管率は過去の報告と同水準であった。多変量解析では、ハイフロー鼻腔酸素療法はあらゆる原因での再挿管の低さと独立して関連していた(オッズ比0.32 [95%信頼区間0.16 to 0.66])。1人の再挿管を予防するためのハイフロー鼻腔酸素療法のNNTは14(95%信頼区間8-40)であった。
 抜管後呼吸不全についてもハイフロ―鼻腔酸素療法群で少なかった(22人/264人[8.3%] vs 38人/263人[14.4%];絶対差6.1% [95%信頼区間0.7% to 11.6%]; P = .03)。再挿管までの時間に両群で有意差はなかった(19時間[IQR12-28]vs 15時間[IQR9-31];絶対差-4 [95%信頼区間-54 to 46]; P = .66]。ICU在室日数も統計学的な差はなかった(6日[IQR, 2-8] vs 6日[IQR, 2-9];絶対差0日 [95%信頼区間−10 to 24]; P = .29)。鼻粘膜や皮膚に関するトラブルも含め、ハイフロー鼻腔酸素療法による有害事象は報告されなかった。

結論:
 再挿管のリスクが低い抜管後の患者において、ハイフロー鼻腔酸素療法は通常の酸素療法と比較して72時間以内の再挿管のリスクを減少させる。


by otowelt | 2016-03-31 00:30 | 集中治療

メタアナリシス:DADを有するARDSは死亡率が高い

e0156318_9242121.jpg 病理学的にDADと診断できるケースは限られています。

Pablo Cardinal-Fernández, et al.
The presence of diffuse alveolar damage on open lung biopsy is associated with mortality in patients with acute respiratory distress syndrome: a systematic review and meta-analysis
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.02.635


目的:
 びまん性肺胞傷害(DAD)は、ARDSの病理学的特徴と考えられているが、ARDS患者の半数ではDADがみられない。DADを有するARDSと、それ以外の病理学的所見を呈するARDSの臨床的差異は分かっていない。この疑問を解決するべく、われわれはARDS患者に対して肺生検を実施した研究のメタアナリシスを実施した。

方法:
 1967年1月1日から2015年9月1日までの期間、MEDLINEなどの電子データベースを用いて研究を抽出した。具体的には、以下の条件を満たす研究とした。
・ARDSの診断後に開胸肺生検(OLB)を実施した研究
・ARDSとDADの定義が確かな研究
・OLBの病理学的所見でDADの有無について記載されている研究
・DADと非DADの死亡率が報告された研究
 特異的な病理所見に焦点を当てた研究や患者数が5人に満たない研究は除外した。2人の研究者が研究を抽出し、言語については規定を設けなかった。

結果:
 8つの研究のうち、4つ(228人)が高い質を有しており、4つ(122人)が中等度の質を有していた。全研究におけるDADのmeta proportionは0.45(95%信頼区間0.35 – 0.56; Q test 21.1; I2 66.8%; p= <0.01)。DADのないARDSと比較して、DADを有するARDSの死亡率に対するオッズ比は1.81(95%信頼区間1.14 - 2.80; Q test 8.8; I2=20.2%; p= 0.269)。年齢、性別、ARDS診断からOLBまでの日数、OLB実施時のSOFA、P/F比はDAD・非DAD間で差はみられなかった。

結論:
 メタアナリシスによれば、DADを有するARDSはDADを有さないARDSよりも死亡率の高さと関連していた。


by otowelt | 2016-03-10 00:18 | 集中治療

夜勤明けの集中治療医の認知パフォーマンスは低下している

e0156318_9371346.jpg 最近、夜勤明けに手術をしても大丈夫だという報告がNEJMからありましたね。

・夜勤明けに手術をしても大丈夫

 ICUみたいなハードな夜勤では、認知パフォーマンスが低下するのではないかと結論づけた報告です。

Maltese F, et al.
Night shift decreases cognitive performance of ICU physicians.
Intensive Care Med. 2016 Mar;42(3):393-400.


背景:
 疲労と医療過誤リスクの関連性は広く認識されている。この研究の主な目的は、夜勤明けのICU医師の認知パフォーマンスを調べることである。夜勤中の職務内容や睡眠量が認知パフォーマンスに与える影響も調べられた。

方法:
 合計51人の集中治療医が3つのICUから登録された(24人が上級医、27人がレジデント)。通常勤務翌日および夜勤シフトの後にランダムオーダーで当該評価をおこなった。4つの認知スキル(作業記憶能力、情報処理能力、知覚推理能力、認知柔軟性)がWechsler Adult Intelligence Scale and the Wisconsin Card Sorting Testを通して評価された。

結果:
 夜勤後の認知力は低下していた:作業記憶能力(11.3 ± 0.3 vs. 9.4 ± 0.3; p < 0.001)、情報処理能力(13.5 ± 0.4 vs. 10.9 ± 0.3; p < 0.001)、知覚推理能力(10.6 ± 0.3 vs. 9.3 ± 0.3; p < 0.002)、認知柔軟性(41.2 ± 1.2 vs. 44.2 ± 1.3; p = 0.063)。認知障害というほどのレベルでは、レジデントとICU医師の間に有意な差はみられなかった。認知柔軟性は2時間の睡眠後に持ち直した。その他の3つの認知スキルは夜勤中の睡眠量に関係なく、障害変容がみられた。

結論:
 集中治療医の認知能力はICUの夜勤後に有意に障害され、これは夜勤中の専門的職務や睡眠時間にかかわらないものだった。


by otowelt | 2016-03-04 00:44 | 集中治療