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免疫不全患者の急性呼吸不全に非侵襲性換気を用いると挿管リスクが高くなる

e0156318_1704815.jpg 昨日の論文を読んだ後だと、「このNIVがヘルメット型インターフェイスならどうなんだろう」と思ってしまいますね。

Jean-Pierre Frat, et al.
Effect of non-invasive oxygenation strategies in immunocompromised patients with severe acute respiratory failure: a post-hoc analysis of a randomised trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(16)30093-5


背景:
 急性呼吸不全を呈した免疫不全の患者に対する非侵襲性換気(NIV)の使用は議論の的になっており、それゆえ高流量鼻腔カニューラ酸素療法(HFN)は通常酸素療法の代替として登場した。われわれは、HFN単独あるいはHFN-NIVによって治療を受けた急性呼吸不全を呈した免疫不全の患者でアウトカムを比較した。

方法:
 多施設共同ランダム化比較試験において、われわれは高二酸化炭素血症のない急性呼吸不全を呈した免疫不全の患者における事後サブグループ解析を実施した。この研究は、フランスおよびベルギーの23のICU患者を、通常酸素療法、HFN単独、NIVにHFNを併用する酸素療法にランダムに1:1:1に割り付けたものである。事前の好中球減少症、acute-on-chronicの呼吸不全、心原性肺水腫、ショック、意識変容がみられた患者は除外された。プライマリアウトカムは、ランダム化から28日以内に挿管を要した患者の比率とした。

結果:
 82人の免疫不全患者のうち、30人が通常酸素療法群、26人がHFN単独群、26人がNIV+HFN群に割り付けられた。HFN単独群26人のうち8人(31%)、通常酸素療法群30人のうち13人(43%)、NIV+HFN群26人のうち17人(65%)が28日以内に挿管を要した(p=0.04)。NIVで治療を受けた患者の方が、HFNで治療を受けた患者よりも挿管のオッズ比が高かった(4.25、95%信頼区間1.33-13.56)。HFN単独群と通常酸素療法群には有意差はみられなかった(オッズ比1.72、95%信頼区間0.57–5.18)。多変量ロジスティック回帰分析後、挿管および死亡率と独立して関連していたのは、年齢と初期治療としてのNIV使用であった。

結論:
 急性呼吸不全をきたした免疫不全の患者においてNIVは挿管のリスクを上昇させるため注意深く用いるべきである。


by otowelt | 2016-06-09 00:00 | 集中治療

ARDSに対する非侵襲性換気:ヘルメット型インターフェースの方がフェイスマスクより良好なアウトカム

e0156318_11153841.jpg インターフェイスでここまで差が出るのは正直驚きました。

Patel BK, et al.
Effect of Noninvasive Ventilation Delivered by Helmet vs Face Mask on the Rate of Endotracheal Intubation in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 May 15. doi: 10.1001/jama.2016.6338. [Epub ahead of print]


背景:
 フェイスマスクによる非侵襲性換気(NIV)は、ARDSの患者の挿管を予防する上で相対的に効果があるとは言いがたい。ヘルメット型インターフェイスによるNIVは、ARDS患者において良好な戦略になるかもしれない。

目的:
 ヘルメット型インターフェイスがARDS患者の相関率を改善するかどうか調べること。

方法:
 単施設(シカゴ大学病院ICU)のランダム化比較試験で、ARDS患者83人を登録し、フェイスマスクによるNIVを少なくとも8時間必要としている者を登録。
 患者はこのままフェイスマスイクを継続する群とヘルメット型インターフェイスに変更する群にランダムに割り付けられた。当初206人(各群103人ずつ)の予定としたが、ヘルメット型インターフェイス群で良好な結果が出ており、試験は早期終了となった。
 プライマリアウトカムは挿管率とした。セカンダリアウトカムとして28日侵襲性換気非実施日数、ICU在室日数、入院期間、院内死亡率、90日死亡率を設定。

結果:
 83人(45%が女性、年齢中央値59歳、APACHE IIスコア中央値26)が解析に組み込まれた(試験早期中止)。挿管率はフェイスマスク群で61.5%(24人)、ヘルメット型インターフェイス群で18.2%(8人)だった(絶対差-43.3%; 95%信頼区間-62.4% to -24.3%; P < .001)。人工呼吸器非装着日数は、ヘルメット型インターフェイス群で有意に延長した(28日 vs 12.5日、 P < .001)。90日時点で、ヘルメット型インターフェイス群の15人(34.1%)が死亡、フェイスマスク群の22人(56.4%)が死亡した(絶対差-22.3%; 95% 信頼区間-43.3 to -1.4; P = .02)。インターフェイス関連皮膚潰瘍を含む有害事象には両群ともに観察された(フェイスマスク群:鼻潰瘍7.6%、 ヘルメット型インターフェイス群:首潰瘍6.8%)。
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(文献より引用:Figure2)

結論:
 ARDS患者において、ヘルメット型インターフェースを用いたNIV管理は有意に挿管率を低下させた。これにより、90日死亡率も有意に改善した。多施設共同研究によってこの知見を確かなものとする必要があろう。


by otowelt | 2016-06-08 00:54 | 集中治療

抜管後は通常の酸素療法よりネーザルハイフローの方がよい

e0156318_13512197.jpg 率にすると2倍の開きがあるほど、ネーザルハイフローが有効という結論になります。抜管後NPPVはさほどよい報告もなかったため、今回はインパクトのある結果でしょうか。

Hernández G, et al.
Effect of Postextubation High-Flow Nasal Cannula vs Conventional Oxygen Therapy on Reintubation in Low-Risk Patients: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 Mar 15. doi: 10.1001/jama.2016.2711. [Epub ahead of print]


背景:
 抜管後の再挿管が高リスクおよび低リスクである混合集団の重症患者の研究では、ハイフロー鼻腔酸素療法は通常の酸素療法よりも抜管後の酸素化を改善することが示されている。しかしながら、再挿管についての決定的なデータは不足している。

目的:
 人工呼吸器を装着している18歳以上の患者で、抜管後の再挿管のリスクが低い場合のハイフロー鼻腔酸素療法が、通常の酸素療法よりも優れているかどうか調べること。

デザイン:
 2012年9月から2014年10月の間にスペインの7つのICUで多施設共同ランダム化比較試験を実施した。登録患者は527人の成人重症患者で、計画的抜管の基準を満たした再挿管のリスクが低いものとした。低リスクの定義は、65歳未満、挿管時のAPACHE IIスコアが12点未満、BMIが30未満、適切な気道分泌物マネジメントを実施されている、適切なウィーニング、合併症が0ないし1、心不全・中等症~重症COPD・気道開存性の問題・人工呼吸器装着の遷延がないことと定義した。

介入:
 患者は抜管後24時間、ハイフロー鼻腔酸素療法あるいは通常の酸素療法にランダムに割り付けられた。フローは、10L/分から開始し、患者が不快に思うラインまでアップしていった。

アウトカム:
 プライマリアウトカムは、72時間以内の再挿管とした。セカンダリアウトカムは、抜管後呼吸不全、気道感染、敗血症、多臓器不全、ICU在室日数および入院日数、ICUおよび入院死亡率、有害事象、再挿管までの時間とした。

結果:
 527人(平均年齢51歳、62%が男性)のうち、264人がハイフロー鼻腔酸素療法、263人が通常の酸素療法を受けた。72時間以内の再挿管はハイフロー鼻腔酸素療法群で少なかった(13人[4.9%] vs 32人 [12.2%];絶対差7.2% [95%信頼区間2.5% to 12.2%]; P = .004)。通常の酸素療法群の再挿管率は過去の報告と同水準であった。多変量解析では、ハイフロー鼻腔酸素療法はあらゆる原因での再挿管の低さと独立して関連していた(オッズ比0.32 [95%信頼区間0.16 to 0.66])。1人の再挿管を予防するためのハイフロー鼻腔酸素療法のNNTは14(95%信頼区間8-40)であった。
 抜管後呼吸不全についてもハイフロ―鼻腔酸素療法群で少なかった(22人/264人[8.3%] vs 38人/263人[14.4%];絶対差6.1% [95%信頼区間0.7% to 11.6%]; P = .03)。再挿管までの時間に両群で有意差はなかった(19時間[IQR12-28]vs 15時間[IQR9-31];絶対差-4 [95%信頼区間-54 to 46]; P = .66]。ICU在室日数も統計学的な差はなかった(6日[IQR, 2-8] vs 6日[IQR, 2-9];絶対差0日 [95%信頼区間−10 to 24]; P = .29)。鼻粘膜や皮膚に関するトラブルも含め、ハイフロー鼻腔酸素療法による有害事象は報告されなかった。

結論:
 再挿管のリスクが低い抜管後の患者において、ハイフロー鼻腔酸素療法は通常の酸素療法と比較して72時間以内の再挿管のリスクを減少させる。


by otowelt | 2016-03-31 00:30 | 集中治療

メタアナリシス:DADを有するARDSは死亡率が高い

e0156318_9242121.jpg 病理学的にDADと診断できるケースは限られています。

Pablo Cardinal-Fernández, et al.
The presence of diffuse alveolar damage on open lung biopsy is associated with mortality in patients with acute respiratory distress syndrome: a systematic review and meta-analysis
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.02.635


目的:
 びまん性肺胞傷害(DAD)は、ARDSの病理学的特徴と考えられているが、ARDS患者の半数ではDADがみられない。DADを有するARDSと、それ以外の病理学的所見を呈するARDSの臨床的差異は分かっていない。この疑問を解決するべく、われわれはARDS患者に対して肺生検を実施した研究のメタアナリシスを実施した。

方法:
 1967年1月1日から2015年9月1日までの期間、MEDLINEなどの電子データベースを用いて研究を抽出した。具体的には、以下の条件を満たす研究とした。
・ARDSの診断後に開胸肺生検(OLB)を実施した研究
・ARDSとDADの定義が確かな研究
・OLBの病理学的所見でDADの有無について記載されている研究
・DADと非DADの死亡率が報告された研究
 特異的な病理所見に焦点を当てた研究や患者数が5人に満たない研究は除外した。2人の研究者が研究を抽出し、言語については規定を設けなかった。

結果:
 8つの研究のうち、4つ(228人)が高い質を有しており、4つ(122人)が中等度の質を有していた。全研究におけるDADのmeta proportionは0.45(95%信頼区間0.35 – 0.56; Q test 21.1; I2 66.8%; p= <0.01)。DADのないARDSと比較して、DADを有するARDSの死亡率に対するオッズ比は1.81(95%信頼区間1.14 - 2.80; Q test 8.8; I2=20.2%; p= 0.269)。年齢、性別、ARDS診断からOLBまでの日数、OLB実施時のSOFA、P/F比はDAD・非DAD間で差はみられなかった。

結論:
 メタアナリシスによれば、DADを有するARDSはDADを有さないARDSよりも死亡率の高さと関連していた。


by otowelt | 2016-03-10 00:18 | 集中治療

夜勤明けの集中治療医の認知パフォーマンスは低下している

e0156318_9371346.jpg 最近、夜勤明けに手術をしても大丈夫だという報告がNEJMからありましたね。

・夜勤明けに手術をしても大丈夫

 ICUみたいなハードな夜勤では、認知パフォーマンスが低下するのではないかと結論づけた報告です。

Maltese F, et al.
Night shift decreases cognitive performance of ICU physicians.
Intensive Care Med. 2016 Mar;42(3):393-400.


背景:
 疲労と医療過誤リスクの関連性は広く認識されている。この研究の主な目的は、夜勤明けのICU医師の認知パフォーマンスを調べることである。夜勤中の職務内容や睡眠量が認知パフォーマンスに与える影響も調べられた。

方法:
 合計51人の集中治療医が3つのICUから登録された(24人が上級医、27人がレジデント)。通常勤務翌日および夜勤シフトの後にランダムオーダーで当該評価をおこなった。4つの認知スキル(作業記憶能力、情報処理能力、知覚推理能力、認知柔軟性)がWechsler Adult Intelligence Scale and the Wisconsin Card Sorting Testを通して評価された。

結果:
 夜勤後の認知力は低下していた:作業記憶能力(11.3 ± 0.3 vs. 9.4 ± 0.3; p < 0.001)、情報処理能力(13.5 ± 0.4 vs. 10.9 ± 0.3; p < 0.001)、知覚推理能力(10.6 ± 0.3 vs. 9.3 ± 0.3; p < 0.002)、認知柔軟性(41.2 ± 1.2 vs. 44.2 ± 1.3; p = 0.063)。認知障害というほどのレベルでは、レジデントとICU医師の間に有意な差はみられなかった。認知柔軟性は2時間の睡眠後に持ち直した。その他の3つの認知スキルは夜勤中の睡眠量に関係なく、障害変容がみられた。

結論:
 集中治療医の認知能力はICUの夜勤後に有意に障害され、これは夜勤中の専門的職務や睡眠時間にかかわらないものだった。


by otowelt | 2016-03-04 00:44 | 集中治療

血球貪食症候群の肺病変は半数にみられ、予後不良である

e0156318_1110576.jpg 血球貪食症候群の肺病変に関する報告です。

Amélie Seguin, et al.
Pulmonary Involvement in Patients with Haemophagocytic Lymphohistiocytosis
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.004


背景:
 血球貪食症候群(HLH)は免疫不全を合併する致死的疾患である。HLHの肺病変についてはほとんど調査されていない。われわれは、HLHの肺病変について記載し、その予後をアセスメントした。

方法:
 14年間で後ろ向きに219人のHLH患者を同定した(肺病変があったのは118人[54%])。HLHの診断はHLH-2004診断基準に基づいた。

結果:
 呼吸困難感・咳嗽が最もよくみられる発症症状であった。胸部画像上、小葉中心性粒状影・境界明瞭なコンソリデーション・局所的スリガラス影を伴う間質性陰影がみられた。胸水や縦隔リンパ節腫大は半数の患者でみられた。1つ以上の肺病変出現の原因があったのは118人中91人(77.1%)であり、呼吸器感染症52人、肺水腫34人、悪性疾患22人(ほとんどが悪性リンパ腫)が含まれた。
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(文献より引用:)

肺病変の原因に対する治療とHLH特異的治療の組み合わせによって、呼吸機能が改善したのは118人中67人(56.7%)だった。院内死亡率は、肺病変のある患者では高かった(52.5% vs. 20%)。肺病変の原因として感染症がある場合、死亡する頻度が高かった(56% vs. 30%, p=0.004)。

結論:
 HLHの患者に肺病変は多くみられ、予後不良である。肺病変を有するHLH患者に対して、特異的な診断・治療戦略が妥当なものかどうか検証する研究が望まれる。


by otowelt | 2016-02-04 00:56 | 集中治療

人工呼吸器関連肺炎を肺エコーで早期に同定できる?

e0156318_21563989.jpg ポータブル胸部レントゲン撮影は画質が粗く、CT撮影するには手間がかかってしまう・・・。であれば肺エコーを有用に使えるのではないかとする報告です。

Silvia Mongodi, et al.
Lung Ultrasound for Early Diagnosis of Ventilator-Associated Pneumonia
Chest. 2015. doi:10.1016/j.chest.2015.12.012


背景:
 肺エコー(LUS)は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)における含気モニタリングに有用であり、市中肺炎の診断や観察に有効である。しかしながら、VAPの診断能を向上させる信頼性があるかどうかは不明である。

方法:
 多施設共同前向き研究で99人のVAP疑いの患者を登録し、LUS(感染、胸膜下コンソリデーション、葉コンソリデーション、樹枝状/線状エアブロンコグラム)の診断パフォーマンスを調べた。われわれは、LUSと経気管吸引(EA)による微生物学的検査の組み合わせを評価した。LUS所見およびEAは、胸膜直下コンソリデーション、樹枝状/線状エアブロンコグラムの同定領域数を用いてスコアリングした。また、EAについてはGram染色も実施した。

結果:
 VAPの診断に対して、胸膜直下コンソリデーションおよび樹枝状/線状エアブロンコグラムは、陽性適中率86%、陽性尤度比2.8だった。2領域の同エアブロンコグラムは陽性適中率を94%、陽性尤度比7.1に上昇させた。

結論:
 LUSはVAPのベッドサイド早期診断に信頼性のあるツールである。


by otowelt | 2016-01-14 00:01 | 集中治療

コリスチンのネブライザー吸入はVAPの頻度を減少させるか?

e0156318_10373080.jpg コリスチンのネブライザー吸入の話題です。気管支拡張症に対する有効性についての報告が記憶にあります。

ATS2013:慢性緑膿菌感染を有する気管支拡張症に対してプロミキシンのネブライザー吸入が有効

Marios Karvouniaris, et al.
Nebulised colistin for ventilator-associated pneumonia prevention
ERJ DOI: 10.1183/13993003.02235-2014 Published 24 September 2015


背景:
 われわれは、ネブライザー吸入によるコリスチン投与が、ICUにおける多剤耐性菌による人工呼吸器関連肺炎(VAP)の頻度を減少させることができるか評価した。

方法:
 これは単施設ランダム化オープンラベル試験であり、ギリシャのラリサ大学病院における12床のICUで実施された。患者は48時間を超えて人工呼吸管理されているものとした。コリスチン群は50万単位をネブライザーで1日2回予防投与、対照群は生食をネブライザーで1日2回投与された。投与は入室10日まで、あるいは抜管があるまで続けられた。プライマリアウトカムは30日VAP発生率とした。

結果:
 合計168人の患者が登録された。VAPの頻度はコリスチン群および対照群で有意な差はみられなかった(14人[16.7%] vs 25人[29.8%]、p=0.07)。セカンダリアウトカムについて、介入群ではVAP罹患密度率は低く(11.4 vs 25.6, p<0.01)、グラム陰性桿菌によるVAPも少なく(p=0.03)、多剤耐性菌によるVAPも少なかった(p=0.04)。VAP患者39人の解析では、吸入コリスチンによる予防によってICU死亡率が改善した。コリスチン耐性菌の増加については報告されていない。

結論: 
 コリスチンのネブライザー吸入はICUにおけるVAPの頻度を減少させる効果はなかった。


by otowelt | 2015-10-28 00:21 | 集中治療

看護師や医師は、ICU患者の息切れを過小評価しがち?

e0156318_21563989.jpg SBT時の息切れに関する話題です。

Hege S Haugdahl, et al.
Nurses and Physicians Underestimate Patient Breathlessness During a Spontaneous Breathing Trial
Am J Respir Crit Care Med. First published online 04 Aug 2015 as DOI: 10.1164/rccm.201503-0419OC


背景:
 息切れはICUの患者において、頻度が多く悩ましい症状である。患者が感じている呼吸困難を評価する医療従事者の能力を調べた研究はほとんどない。呼吸に対する患者の受容は症状マネジメントにおいて重要であり、またSBTにおけるその受容は抜管アウトカムと関連しているかもしれない。

目的:
 SBTの最中に息切れを感じている人工呼吸器装着中の患者を評価する。

方法:
 100人の人工呼吸器装着中の患者における多施設共同観察研究を実施した。SBT終了時に11点満点のNRSスコアによって息切れをどう評価しているか、安心感、呼吸機能の改善について看護師、医師、患者の一致を調べた。息切れと背景因子あるいは呼吸器系の観察項目との関連性を調べた。

結果:
 62人(62%)の患者が中等度あるいは重度の息切れを訴えた(NRS4点以上)。息切れの強度は患者の評価では中央値5であったのに対して、看護師や医師では中央値2であった(p<0.001)。看護師や医師が評価したよりも、患者は安心感や呼吸機能の改善に対してより懸念を示していた。看護師と医師のおよそ半数が息切れを過小評価していた。息切れの過小評価は専門職の能力とは関連していなかった。SBT中の息切れと抜管アウトカムとに明らかな関連はみられなかった。

結論:
 SBT後の息切れを患者は看護師や医師よりも大きいと感じている。


by otowelt | 2015-10-06 00:02 | 集中治療

中心静脈カテーテルの3部位の比較

e0156318_173229100.jpg 結局のところ、世界的にCRBSIをどう減らすか、という論点に帰結するのかなと思いました。

Jean-Jacques Parienti, et al.
Intravascular Complications of Central Venous Catheterization by Insertion Site
N Engl J Med 2015; 373:1220-1229


背景:
 中心静脈カテーテル(CVC)挿入には通常3部位が使われるが、それぞれの部位に重大な合併症の可能性を孕む。

方法:
 本多施設共同試験において、ICUに入室した成人患者に対する非トンネル型CVCの挿入部位を、鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈にランダムに割り付けた。ただし、全部位が適している場合は1:1:1に、2部位が適している場合は1:1に割り付けた。プライマリアウトカムは、カテーテル関連血流感染(CRBSI)と症候性深部静脈血栓症(DVT)の複合とした。

結果:
 合計3027人に3471本のCVCを挿入。3部位適合例においてプライマリアウトカムイベントは、鎖骨下静脈群で8件、内頸静脈群で20件、大腿静脈群で22件みられた(1000カテーテル・日あたり1.5 vs. 3.6 vs. 4.6, P=0.02)。2部位適合例の比較では、プライマリアウトカムのリスクは大腿静脈群のほうが鎖骨下静脈群よりも有意に高かった(ハザード比3.5、95%信頼区間1.5~7.8、P=0.003)。内頸静脈群についても鎖骨下静脈群より有意に同リスクが高かったが(ハザード比2.1、95%信頼区間1.0~4.3、P=0.04)、大腿静脈群と内頸静脈群のリスクは同程度だった(ハザード比1.3、95%信頼区間0.8~2.1、P=0.30)。3部位適合例での比較では、胸腔ドレーンを挿入する必要がある気胸が鎖骨下静脈群で13件(1.5%)、内頸静脈群で4件(0.5%)発生。

結論:
 鎖骨下静脈からのCVC挿入は、内頸静脈・大腿静脈からの挿入と比べてCRBSIとDVTのリスクが低いが、気胸のリスクが高かった。


by otowelt | 2015-09-29 00:22 | 集中治療