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メタアナリシス:ARDSに対する吸入プロスタグランジンは効果的?

e0156318_21563989.jpg ARDSに対する吸入プロスタグランジンの話題です。

Brian M. Fuller, et al.
The use of inhaled prostaglandins in patients with acute respiratory distress syndrome:
a systematic review and meta-analysis
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.14-3161


目的:
 吸入プロスタグランジンが、ARDS患者の肺生理学あるいは死亡率を改善させるかどうか調べる。また有害事象について解析する。

方法:
 PubMed, EMBASE, CINAHL, Cochraneなどからデータを抽出。研究はランダム化の有無を問わず比較試験を登録した。2人の独立したレビュアーがタイトルやアブストラクトをスクリーニングした。

データ統合:
 1993年から2014年までの21年間の間、25の研究(ランダム化比較試験2つ)が同定された。アルプロスタジルとプラセボを比較した1つのランダム化比較試験において、平均P/F比の変化に差はみられなかった(141.2 [95%信頼区間120.8-161.5]→161.5 [95%信頼区間134.6-188.3] vs. 163.4 [95%信頼区間140.8-186.0] →186.8 [95%信頼区間162.9-210.7], p= 0.21)。
 残りの研究のメタアナリシスでは、吸入プロスタグランジンはP/F比を改善した(16研究; 39.0%増, 95%信頼区間26.7%-51.3%), またPaO2も改善(8研究; 21.4%増, 95%信頼区間12.2%- 30.6%)。肺動脈圧も減少させた(-4.8mmHg; 95%信頼区間-6.8mmHg~-2.8mmHg)。バイアスリスクおよび異質性は高かった。メタ回帰では、論文の出版年(p = 0.862), ベースラインの酸素化(p = 0.106), ARDSの原因(p = 0.816)、については治療効果に関連性はみられなかった。
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(文献より引用:P/F比)

 観察研究では17.4%の患者で血圧低下が起こった。

結論:
 ARDSにおいて、吸入プロスタグランジンは酸素化を改善し肺動脈圧を減少させるが、有害事象とも関連しうる。現時点で結論づけられるほどデータは十分ではなく、将来さらなる研究が必要である。


by otowelt | 2015-03-13 00:50 | 集中治療

人工呼吸器装着患者に対する気管切開に関するメタアナリシスについて

ICU死亡率についてデータ乖離が指摘されたため、論文が取り下げられました。

・メタアナリシス:人工呼吸器装着患者に対する気管切開は早期に実施した方が死亡リスクが少ない

RETRACTED: Effect of early versus late or no tracheostomy on mortality of critically ill patients receiving mechanical ventilation: a systematic review and meta-analysis


by otowelt | 2015-02-08 00:23 | 集中治療

ARDS患者におけるサイトメガロウイルスの血清学的陽性はアウトカム不良と関連せず

e0156318_17262418.jpg サイトメガロウイルスとARDSの関連についての論文です。

Ong, David S. Y, et al.
Cytomegalovirus Seroprevalence as a Risk Factor for Poor Outcome in Acute Respiratory Distress Syndrome
Critical Care Medicine: February 2015 - Volume 43 - Issue 2 - p 394–400


目的:
 サイトメガロウイルスのキャリアの患者では、免疫不全がない患者であっても同ウイルスの再活性化は重症疾患を複雑化する。ARDSの患者ではこの再活性化が起こりやすいとされている。サイトメガロウイルスが血清学的に陽性である免疫不全のない患者のARDSに対して、予防的な抗ウイルス薬をICUで用いる手法がある。われわれは、サイトメガロウイルスが血清学的に陽性であるARDS患者の合併症・死亡に関するリスク因子を調べた。

方法:
 オランダの2施設のICUにおけるプロスペクティブ観察コホート研究。28日時点の生存日数と人工呼吸器非装着日数を複合アウトカムとした。
 患者は新規にARDSと診断された患者で、少なくとも4日の人工呼吸器を要するものとした。免疫不全のある患者や、ICU入室前に抗ウイルス薬を使用していた患者は除外となった。
 サイトメガロウイルスはリアルタイムTaqman CMV-DNA PCRを用いて検出。

結果:
 2年の間に306人の患者が登録され、そのうち209人(68%)がサイトメガロウイルスが血清学的に陽性だった。血清学的に陽性の患者は、高齢でCOPDや糖尿病を罹患している頻度が高かった。
 サイトメガロウイルス再活性化は209人のうち53人(26%)の患者でみられた。28日時点で306人のうち100人(33%)が死亡ないし人工呼吸器を継続していた。交絡因子を補正すると、サイトメガロウイルス陽性はプライマリアウトカムに関連していなかった(粗オッズ比1.09、95%信頼区間0.90-1.70、補正オッズ比1.01、95%しr内区間0.64-1.59)。またサイトメガロウイルス陽性は、サブグループ解析においてもアウトカム不良と関連していなかった。しかしながら、敗血症性ショックの状態でARDSにいたった患者ではこの関連性は有意に観察された(補正オッズ比2.86; 95%信頼区間1.32–6.23)。
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(文献より引用)

結論:
 ARDSの患者においてサイトメガロウイルスが血清学的に陽性であっても、人工呼吸器装着期間の延長や死亡率の増加とは関連していなかった。しかし、敗血症性ショックの場合は例外的に有意な関連性がみられた。そのため、非選択的なサイトメガロウイルス陽性のARDS患者に対する抗ウイルス薬の予防戦略に臨床的な意義は見いだせないと考える。


by otowelt | 2015-02-02 00:48 | 集中治療

生存した急性肺傷害の患者の長期死亡率は心原性肺水腫の患者と同等

e0156318_15104631.jpg 重症呼吸器疾患の長期フォローアップデータに重きを置いた研究です。

Christopher N. Schmickl, et al.
Comparison of Hospital Mortality and Long-Term Survival in Patients with Acute Lung Injury (ALI)/Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS) versus Cardiogenic Pulmonary Edema (CPE)
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-1371


背景:
 最も適切な治療を選択するために、急性肺傷害(ALI)と心原性肺水腫(CPE)の早期の鑑別診断は重要であるが、これらの鑑別が予後にどのような影響を与えるのかは研究されていない。人工呼吸器を装着する前に正確な予後情報を与えることは重要である。

方法:
 これは2006年から2009年に入院した急性肺水腫の成人患者コホートに基づいた長期フォローアップ研究である。ALIとCPEの診断は事後のエキスパートレビューによって確立された。ロジスティックCox回帰により、ALIとCPEの院内死亡率と長期生存を比較した。

結果:
 328人(ALI155人、CPE173人)のうち、240人(73%)が中央フォローアップ期間160日のうちに死亡した。交絡因子によって補正すると、ALIの患者は院内でより死亡しやすかったが(オッズ比4.2、95%信頼区間2.3-7.8、p<0.001)、在院中に生存した患者のフォローアップ中の死亡リスクは両群ともに同等であった(ハザード比1.13, 95%信頼区間0.79-1.62, P=0.50)。独立死亡予測因子には、年齢、APCHE IIIスコアが含まれた。
 ALI患者をARDS(ベルリン基準を満たすもの)のサブセット患者にしぼっても、その結果は同じであった。事後解析において、在院中に生存した患者の死亡率をアメリカの一般人口と比較すると有意に最初の2年で高かったが、その後5年で収束に向かった。

結論:
 CPE患者と比較してALI/ARDSの院内死亡率は高かったものの、在院中に生存患者の長期フォローアップではその生存は両群とも同等であった。


by otowelt | 2014-12-16 00:48 | 集中治療

人工呼吸器関連肺炎の診断においてCEPPISはCPISよりも有効

e0156318_16532358.jpg CPISはVAPの診断においてその感度と特異度の低さが指摘されています。胸部レントゲン写真(radiography)と思って読み進めていたところ、途中で肺エコー(echography)だと気付きました。
 人工呼吸器・気管チューブがからんでいるのかどうかというよりも、どういった菌を想定するのかが最も重要であることは言うまでもありません。 

Giovanni Zagli, et al.
Diagnosis of ventilator-associated pneumonia: a pilot, exploratory analysis of a new score based on procalcitonin and chest echography
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2922


背景:
 ICUにおいて人工呼吸器関連肺炎(VAP)の診断をおこなうためには、たとえばCPISといったスコアが有用とされるものの、これは過去の研究において低い診断パフォーマンスであることが指摘されている。そのため、われわれはプロカルシトニンと肺エコーを使用したVAP診断スコア:CEPPIS(Chest Echography and Procalcitonin Pulmonary Infection Score)を考案した。
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(文献より引用:CEPPISスコア)

方法:
 これはイタリアのCareggi University Hospitalにおいて実施されたレトロスペクティブ研究である。患者は2009年1月から2011年12月までの間に救急部からICUへ入室となった者(人工呼吸器装着時間>48時間の患者)を登録した。肺エコーはVAPが疑われた場合に、胸部レントゲン撮影の12時間以内に実施された。微生物学的にVAPと診断された患者(VAP群)あるいは病原菌が検出されなかったコントロール群にレトロスペクティブに分類した。

結果:
 221人の患者が登録され、13人が微生物学的にVAP群と診断され、108人がコントロール群に設定された。VAPの起因菌はMSSA28人、緑膿菌25人、クレブシエラ24人が多かった。多変量解析において外傷によるICU入室はVAPのリスクを上昇させた(オッズ比3.5938)。
 CEPPISスコア>5点の患者は、有意にVAPの存在を予測した(オッズ比23.78, 感度80.5%, 特異度85.2%、陽性的中率85.1%、陰性的中率80.7%、p<0.0001)、これはCPIS>6点よりも精度が高かった(オッズ比3.309、感度39.8%, 特異度83.3%、陽性的中率71.4%、陰性的中率57%、p=0.0002)。また、AUC-ROC解析でもCEPPISはCPISよりも有意に高い診断能であった(AUC 0.829 vs 0.616; P < 0.0001)。
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(文献より引用)

結論:
 この研究によれば、CEPPISはVAPの診断に効果的なスコアリングと考えられる。このスコアがVAP診断に妥当かどうか、前向きの検討が必要であろう。


by otowelt | 2014-09-11 00:55 | 集中治療

担癌の重症患者の感染症ではCRPよりもプロアドレノメデュリンやプロカルシトニンの方が有用

e0156318_22555653.jpg 癌患者さんではCRPやD-ダイマーは上昇していることが多く、想定よりも役に立たないことが多いと言われています。近い将来、プロアドレノメデュリンが日常的に測定されるバイオマーカーになる日がくるかもしれませんね。

Debiane, Labib, et al.
The Utility of Proadrenomedullin and Procalcitonin in Comparison to C-Reactive Protein as Predictors of Sepsis and Bloodstream Infections in Critically Ill Patients With Cancer.
Critical Care Medicine: Post Author Corrections: July 31, 2014


目的:
 われわれは、発熱のある担癌の重症患者においてプロアドレノメデュリンとプロカルシトニンの診断的・予後予測バイオマーカーとしての有用性を調べ、CRPと比較した。

方法:
 単施設プロスペクティブコホート研究。114人の発熱のある担癌患者の重症患者を本研究に登録した。発熱のあった日と4-7日後に血液検査を行い、プロアドレノメデュリン、プロカルシトニン、CRPが測定された。

結果:
 114人の患者のうち、27人が血流感染、36人が局所感染を発症した。残りの患者は感染症は同定されなかった。
 血流感染症の診断に対して、CRPと比較してプロアドレノメデュリン(0.70; 95%信頼区間 0.59-0.82)、プロカルシトニン(0.71; 95%信頼区間 0.60-0.83)のROC曲線下面積は有意に大きかった(それぞれp = 0.021、p = 0.003)。
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(文献より引用:血流感染症の診断・・・離れている2つがプロアドレノメデュリンとプロカルシトニン)

 ROC解析では、発熱発症から2か月以内の患者の死亡を予測する上でプロアドレノメデュリン(p = 0.005)およびプロカルシトニン(p = 0.009)はやはりCRPよりもパフォーマンスが良好であった。抗菌薬治療に反応性のあった患者ではこれらバイオマーカーはすべて値が減少したものの、不応性の患者ではプロアドレノメデュリン値が有意に上昇していた(p < 0.0001)。感染症のあった患者において、抗菌薬反応性を予測する上でプロアドレノメデュリン(0.81; 95%信頼区間0.71-0.92)とプロカルシトニン(0.73; 95%信頼区間0.60-0.85)はいずれもCRP(0.59; 95%信頼区間0.45-0.73)よりもAUCが大きかった(それぞれp = 0.004、p = 0.043)。しかしながらすべての有熱性の患者において、良好な治療反応性を予測する上で、プロアドレノメデュリンは有意にプロカルシトニンよりもAUCが大きかった(p < 0.0001)。

結論:
 担癌の重症患者において、プロアドレノメデュリンおよびプロカルシトニンは両方ともCRPと比較して血流感染を予測する上で有用と考えられる。これら2つのバイオマーカーは、感染症のあった患者において抗菌薬反応性の予後予測解析においてCRPよりも優れていた。しかしながら、すべての有熱性の患者において治療反応性を予測する上でプロアドレノメデュリンはプロカルシトニンよりも優れており、不応性の患者では有意に上昇していた。


by otowelt | 2014-09-04 00:45 | 集中治療

ICUにおける家族満足度のシステマティックレビュー

e0156318_2374935.jpg 読み物としてのレビューの側面が強い論文でした。

Laura J. Hinkle, et al.
Factors Associated with Family Satisfaction with End-of-Life Care in the ICU: A Systematic Review
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-1098


背景:
 ICUにおける終末期医療の家族満足度はこれまでシステマティックにレビューされたことはなかった。われわれの目的は、このレビューによって重症成人患者の終末期医療における家族満足度に関連する因子を扱ったデータを統合することである。

方法:
 電子データベース(MEDLINE, MEDLINE Updated, EMBASE, CINAHL, PsycInfo, PubMed)が検索された。2人の著者が研究のタイトルとアブストラクトをレビューした。非成人、非ICU、終末期の状態にない患者を扱った研究、家族満足度が評価されてない研究などは除外された。研究の質はCONSORTグループの推奨に基づくチェックリストを用いてアセスメントされた。

結果:
 検索によって23論文が適格基準を満たした。すべての研究は家族から満足度の調査をおこなっていた。個別のコミュニケーション戦略(共感性、非放棄、緩和保証、記述による情報提供)は満足度を上昇させた。加えて、意思決定サポート、死亡時の家族の同席、死前期の抜管などの個別対応は満足度を上昇させた。
※ただし死前期の抜管は日本では法的整備がまだなされていない、当該研究のみに限る(American Journal of Respiratory & Critical Care Medicine 2008; 178:798-804、Journal of Palliative Care 2000; 16 Suppl:S40-44)

結論:
 良質なコミュニケーション、意思決定サポート、患者に対する個別のケアは終末期医療の家族満足度を上昇させる。意思決定の際に、家族が参加を望むかどうかアセスメントすることは重要な因子となるかもしれない。


by otowelt | 2014-08-22 00:43 | 集中治療

PROVHILO試験:手術中は高PEEPと低PEEPのどちらがよいか

e0156318_10165332.jpg IMPROVE試験では、術中も一回換気量を少なく設定した肺保護戦略の方がよいとされています。PEEPについてはどうなのかと論じたのがPROVHILO試験です。術後5日目までというアウトカム設定に少し疑問の声がありますが、興味深い報告だと思います。

The PROVE Network Investigators†for the Clinical Trial Network of the European Society of Anaesthesiology.
High versus low positive end-expiratory pressure during general anaesthesia for open abdominal surgery (PROVHILO trial): a multicentre randomised controlled trial.
The Lancet, Volume 384, Issue 9942, Pages 495 - 503, 9 August 2014


背景:
 外科手術のときの全身麻酔時に人工呼吸器の設定でPEEPを高くする意義はまだ不明である。PEEPを0 cmH2O以上にすることで術後の呼吸器系合併症を減らすことができるかもしれないが、術中の循環動態の抑制や肺傷害を引き起こす可能性もある。全身麻酔下で開腹手術を受ける際に低い一回換気量で人工呼吸をおこなわれている患者において、われわれはリクルートメント手技を用いた高PEEPが術後呼吸器系合併症に対して保護的にはたらくのではないかという仮説を検証した。

方法:
 ヨーロッパおよび北・南アメリカの30施設で実施されたこのランダム化比較試験において、われわれは900人の術後呼吸器合併症が高い患者(全身麻酔下で開腹手術を予定されており、一回換気量が8mL/kg)を登録した。われわれはランダムに患者をリクルートメント手技を用いた高PEEP(12cmH2O)群、同手技を用いない低PEEP(2cmH2O以下)群に割り付けた。
 プライマリエンドポイントは術後の呼吸器系合併症(術後5日目まで)とした。当該エンドポイントはITT解析とした。

結果:
 2011年2月から2013年1月までに447に員の患者がランダムに高PEEP群、453人が低PEEP群に割り付けられた。6人の患者が解析から除外された。高PEEP群におけるPEEP中央値は12 cmH2O(IQR 12—12)で、低PEEP群は2 cmH2O(0—2)であった。
 術後呼吸器合併症は高PEEP群のうち174人(40%)、低PEEP群のうち172人(39%)に起こった(相対リスク1.01; 95%信頼区間0.86—1.20; p=0.86)。低PEEP群の患者と比較して、高PEEP群の患者は術中に低血圧や血管作動薬を必要とすることが多かった。

結論:
 腹部開腹手術におけるリクルートメント手技を用いた高PEEP戦略は、術後の呼吸器合併症に保護的に寄与しなかった。術中の保護換気戦略として、リクルートメント手技を用いない低一回換気量・低PEEPを含めるべきと考えられる。


by otowelt | 2014-08-21 00:50 | 集中治療

バンコマイシンは腎毒性軽減のためには持続点滴がよい?

e0156318_2340245.jpg limitationにも述べられていますが、レトロスペクティブかつ単施設研究です。本研究のコホートでは、持続投与が全体の半数にものぼります。

Hanrahan, Timothy P, et al.
Vancomycin-Associated Nephrotoxicity in the Critically Ill: A Retrospective Multivariate Regression Analysis.
Critical Care Medicine: July 31, 2014


目的:
 重症患者の急性腎傷害(AKI)の発生に関して、バンコマイシンの用量、トラフ濃度、投与設計の影響を調べること。

方法:
 レトロスペクティブ単施設観察研究。本研究はイギリスバーミンガムの大学病院で実施された。登録患者は2004年12月1日から2009年8月31日までの間にバンコマイシンを投与されたすべての重症患者とした。新規の腎毒性の発症はRIFLE分類を用いて報告され、腎毒性の独立予測因子はロジスティック回帰分析を用いて同定された。

結果:
 すべてのデータが有用だったのは1430人の患者であった。併用された血管作動薬(オッズ比1.633; p < 0.001), 血清バンコマイシン中央値(オッズ比1.112; p < 0.001), 治療期間(オッズ比1.041; p <= 0.001)は腎毒性を有意に予測した。間欠的な点滴は、持続点滴よりも腎毒性のリスクが高かった(オッズ比8.204; p <= 0.001)。
 持続点滴は1日量で中央値1.7gで、間欠的点滴と比較して有意に多かった(vs 1.5g/日、p=0.003)。また持続点滴の場合、バンコマイシンの血中濃度中央値は18.4 mg/Lであった。

結論:
 バンコマイシンの血中濃度高値と長期治療は独立して腎毒性のオッズ比を上昇させた。さらに、持続点滴は間欠的な点滴と比較して腎毒性のリスクを減少させる可能性がある。この研究では、バンコマイシンは重症患者において持続的な点滴を支持する。


by otowelt | 2014-08-14 00:07 | 集中治療

抜管後の酸素療法はベンチュリマスクよりもネーザルハイフローの方が有用

e0156318_9393351.jpg 抜管後のネーザルハイフローについての報告です。当院でも最近よく使っています。

Maggiore SM, et al.
Nasal High-flow vs Venturi Mask Oxygen Therapy After Extubation: Effects on Oxygenation, Comfort and Clinical Outcome.
Am J Respir Crit Care Med. 2014 Jul 8. [Epub ahead of print]


背景:
 通常抜管後には酸素投与がおこなわれる。いくつかのデバイスが使えるが、その効果を評価したデータは不足している。

目的:
 ベンチュリマスクと比較して、ネーザルハイフローが抜管後の吸入酸素濃度を設定するためのPaO2値に与える影響を調べる。セカンダリエンドポイントは、患者の快適性、有害事象、臨床的アウトカムとした。

方法:
 このランダム化比較試験において105人のP/F比が300以下の抜管直前の患者を登録した。52人がベンチュリマスク、53人がネーザルハイフローに割り付けられた。

結果:
 P/F比、インターフェイスによる患者の快適性、気道乾燥症状(NRS10点満点で聴取)、インターフェイスのずれ、酸素飽和度低下、人工呼吸器使用の必要性、再挿管のアウトカムが抜管後48時間までアセスメントされた。
 24時間目以降は、P/F比はネーザルハイフローの方が高く維持できた(287±74 vs 247±81 at 24h, p=0.03)。
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(文献より引用)

 インターフェイスの快適性や気道乾燥症状についてもネーザルハイフローの方が良好であった(p=0.006, p=0.002)。また、ネーザルハイフロー群ではインターフェイスのずれを訴えた患者は少なく(32% vs 56%, p=0.01), 酸素飽和度の低下(40% vs 75%, p<0.001)や再挿管(4% vs 21%, p=0.01)、他の人工呼吸器の使用(7% vs 35%, p<0.001)についても少なかった。

結論:
 抜管後の酸素療法として、ネーザルハイフローはベンチュリマスクと比較してP/F比が良好に維持でき、デバイストラブルも少ない。また再挿管の頻度も下げる。


by otowelt | 2014-08-08 00:24 | 集中治療