カテゴリ:膠原病( 6 )

SLE患者の肺合併症では胸水、コンソリデーション、無気肺の合併が多い

e0156318_23212533.jpg SLEの肺病変の経験は、個人的には多くありません。

Omer S.B. Alamoudi, et al.
Pulmonary manifestations in systemic lupus erythematosus: Association with disease activity
Respirology, Article first published online: 30 JAN 2015, DOI: 10.1111/resp.12473.


背景および目的:
 全身性エリテマトーデス (SLE)は肺に影響を与える頻度の多い膠原病であるが、肺の表現型を予測するリスク因子はほとんど調べられていない。この研究の目的は、西サウジアラビアにおけるSLE患者の肺合併症の頻度を胸部HRCTを用いて調べ、その独立リスク因子を同定することである。

方法:
 本レトロスペクティブ研究において、10年間で184人のSLE患者が登録された。胸部HRCTにおける異常を同定し、その異常がループス腎炎、SLEの活動性(SLE Disease Activity Index 2000 item scoresで規定)あるいは補体・抗dsDNA抗体値と関連しているか調べた。

結果:
 登録患者のうち61人(33%)に肺合併症がみられ、52人(85%)の胸部HRCTで異常陰影が指摘された。頻度の高かったHRCT所見は、胸水貯留(58%)、コンソリデーション(42%)、無気肺(42%)だった。HRCTの異常と補体低値、抗dsDNA抗体高値、疾患活動性には関連がみられ(P < 0.05)、とりわけ胸水・心嚢液貯留、コンソリデーションとの関連が大きかった。また、SLEの診断から1年以内に肺の異常を指摘されることが多かった。しかしながら、罹患期間やループス腎炎は肺合併症のリスク上昇とは関連していなかった。

結論:
 サウジアラビアにおいてSLE患者の肺合併症は多く、胸水、コンソリデーション、無気肺がよくみられた。補体低値、抗dsDNA抗体高値、SLEの疾患活動性は有意にHRCTの異常と関連していた。


by otowelt | 2015-03-18 00:04 | 膠原病

膠原病による肺動脈性肺高血圧症に対してエンドセリン受容体拮抗薬は効果が弱いかもしれない

e0156318_21423119.jpg 膠原病による肺動脈性肺高血圧症の治療は、基本的に通常の肺動脈性肺高血圧症と同じように“3系統”から薬剤が選ばれています。

Kuwana M, et al.
Pulmonary arterial hypertension associated with connective tissue disease: meta-analysis of clinical trials.
BMJ Open. 2013 Aug 1;3(8). pii: e003113. doi: 10.1136/bmjopen-2013-003113.


目的および方法:
 結合組織病(CTD)に合併した肺動脈性肺高血圧症(PAH)に関するスタディは少ない。そのため、適切なCTD-PAHの治療はいまだ確立されていない。
 PAHの治療およびCTD-PAHの治療に関するデータを抽出し、前者19試験(3073人)、後者9試験(678人)のメタアナリシスをおこなった。評価項目はすべて6分間歩行距離による運動耐用能であった。

結果:
 PAHの症例における平均年齢は32-55歳であり、女性は61-87%だった。CTD-PAHの症例における平均年齢は45-55歳で、女性は74-95%だった。
 ホスホジエステラーゼ5阻害薬、プロスタサイクリンはいずれのPAH症例においても有意な効果がみられたが、エンドセリン受容体拮抗薬のみ、CTD-PAHには大きな改善をもたらさなかった。PAHとの比較で、ボセンタンは14.1 m (-4.4-32.6 m) vs 39.5 m (19.5-59.6 m)、アンブリセンタンは21.7 m (2.2-41.3 m) vs 44.2 m (30.2-58.2 m) とCTD-PAH症例ではあまり効果がみられなかった。

結論:
 3系統いずれのPAH治療薬は効果的であった。しかしながら、エンドセリン受容体拮抗薬はCTD-PAHに対しては大きな効果はみられなかった。CTD-PAHに対するこれらの治療のさらなる試験が望まれる。


by otowelt | 2013-08-26 00:30 | 膠原病

ERS2012:IPFにおける自己抗体異常は予後不良因子

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IPF患者で自己抗体が陽性になると、二次性IPと判断され特定疾患の申請や治療の足かせになることがある。真のIPF患者であっても、膠原病を合併する人もそりゃあいるだろうと常々思っているが、この医学的なふるい分けにどこまで意味があるのか答えは出ていない。

S. Hayward, et al.
Significance of abnormal autoantibodies in patients presenting with IPF
ERS 2012 Oral Presentation


背景:
 IPF患者のサブセットでは、膠原病症状がないにもかかわらず自己抗体の異常がみられる患者がいる。膠原病関連間質性肺疾患は一般的にIPFよりも予後が良いと考えられている。

目的:
 IPF患者において自己抗体の異常の頻度とその影響を調べる。

方法:
 連続したIPF患者を2002年1月1日から2010年12月31日までプロスペクティブにデータベースから抽出した。すべてのIPFは明らかな膠原病ではないものを登録し、HRCTでUIP所見があるものとした。HRCTおよび外科的生検で確実性があるものを、確定的IPFとしそれ以外のIPFはprobable IPFとした。自己抗体の異常は少なくともリウマチ因子40倍以上、抗核抗体640倍以上、または特異的ENAスクリーニングが陽性のものとした。2011年12月まで患者はフォローアップされた。233人の患者が登録され、25人は自己抗体がなかったため除外された。結果的に208人の患者データが報告され、95人が確定的IPFであった。

結果:
 自己抗体の異常は患者の18%にみられた。 確定的IPFとprobable IPFの比較、性別、年齢、喫煙歴、呼吸機能検査は、自己抗体異常患者と正常患者の間では差はみられなかった。3人の患者が明らかな膠原病を発症した。これらは全員自己抗体異常がみられた。生存期間中央値は、自己抗体異常患者では有意に短かった(39ヶ月 vs 69ヶ月、非補正HR 1.57 [0.97 to 2.53], p=0.07、年齢・性別・肺活量・喫煙歴・IPF確定性で補正したHR1.69[1.03 to 2.78] p=0.04)。

結論:
 全IPF患者のうち1%のみが明らかな膠原病を発症した。自己抗体の異常は生存の予後不良と関連していた。

by otowelt | 2012-09-04 07:26 | 膠原病

ボセンタンは、SScにおいて新たなDUs発症を減らす

ボセンタンがらみの話題。呼吸器内科医であるため、
ボセンタンに話題はある程度知っておいた方がよいと思ったので。
今回RCTが、Arthritis Rheumに出ていた。

SScにおけるボセンタンのDU予防の話。過去にも似た内容の論文がある。
Digital ulcers in systemic sclerosis:prevention by treatment with bosentan, an oral endothelin receptor antagonist.
Arthritis Rheum 2004; 50 : 3985 – 93 .


以下今回の論文。

Bosentan treatment of digital ulcers related to systemic sclerosis: results from the RAPIDS-2. randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Ann Rheum Dis 2011;70:32–38


目的:
 虚血性手指潰瘍;ischaemic digital ulcers (DUs)は、
 全身性強皮症(SSc)においてよくみられ、疾患関連死亡率上昇の原因ともなりうる。
 過去の臨床試験で、経口エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンは
 新たなDUsを48%減らすことが示された。
 このスタディ(RAPIDS-2試験)ではSScにおけるボセンタンの効果を
 より評価したものである。
 
方法:
 この二重盲検プラセボ対照試験は、ヨーロッパと北米の41施設で
 おこなわれ、188人のSScの患者で少なくとも1つの
 活動性のDUがある患者に対して
 ボセンタン62.5㎎1日2回4週間し125mg1日2回20週間
 を投与する群(n=98)と、プラセボを20週内服する群(n=90)に
 割りつけた。2つのプライマリエンドポイントが設定された。
 すなわち、新たなDUsの数、cardinal ulcerの治癒までの時間とした。
 セカンダリエンドポイントは、疼痛、機能障害、安全性とした。

結果:
 ボセンタンが投与された群では、プラセボと比較し新たなDUsが30%減少。
 (mean±standard error:1.9±0.2 vs 2.7±0.3 new ulcers; p=0.04)
 この効果はよりDUsが多かった患者においてよくみられた。
 cardinal ulcerあるいはセカンダリエンドポイントにおいては差がみられなかった。
 末梢性浮腫とアミノトランスフェラーゼの上昇がボセンタン群で
 副作用としてみられた。
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結論:
 ボセンタンは、SScにおいて新たなDUs発症を減らしうるが
 DUの治癒については寄与しない。ボセンタンは、安全で忍容性があり
 再発性DUsのあるSScのマネジメントには有用であると思われる。

by otowelt | 2011-01-14 05:36 | 膠原病

リツキシマブは重症ANCA関連血管炎の寛解導入においてシクロホスファミドに非劣勢で、再発には有用

Rituximab versus Cyclophosphamide for ANCA-Associated Vasculitis
N Engl J Med 2010; 363 : 221 - 32.


背景:
 シクロホスファミドとグルココルチコイドは、40年もの期間
 重症ANCA関連血管炎の寛解導入に重要な役割を果たしている。
 リツキシマブの有効性が非対照試験で示唆され、シクロホスファミドベース
 レジメンよりも安全である可能性がある。

方法:
 多施設共同ランダム化二重盲検試験において、寛解導入療法として
 リツキシマブ(375mg/m2/wを4週間)とシクロホスファミド(2mg/kg/day)
 を比較。グルココルチコイドは漸減した。
 プライマリエンドポイントは、6ヵ月時点でのプレドニゾンを用いない疾患の寛解。

結果:
 9施設で、ウェゲナー肉芽腫または顕微鏡的多発血管炎を有する
 ANCA陽性患者197例を登録。リツキシマブ群の63例(64%)、
 コントロール群の52例(53%)がプライマリエンドポイントに達し、
 非劣性基準を満たした。再発疾患の寛解導入には、リツキシマブレジメン
 のほうがシクロホスファミドレジメンより有効で、リツキシマブ群の
 51例中34例(67%)、コントロール群の50例中21例(42%)が
 プライマリエンドポイントに達した(P=0.01)。腎疾患を有する患者、
 肺胞出血をきたした患者の治療においても、リツキシマブは
 シクロホスファミドと同等に有効であった。
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結論:
 リツキシマブは、重症ANCA関連血管炎の寛解導入において
 シクロホスファミド連日投与に劣らず、なおかつ再発に対してはむしろ優れている。

by otowelt | 2010-07-18 08:23 | 膠原病

ANCA関連血管炎におけるリツキシマブはシクロホスファミドと同等

ANCA関連血管炎は呼吸器内科ではよくみる疾患の1つである。
NEJMから、リツキサンのトライアルである。
腎血管炎に対してはエンドキサンに優位性が認められなかった。

Rituximab versus Cyclophosphamide in ANCA-Associated Renal Vasculitis
N Engl J Med 2010; 363 : 211 - 20.


背景:
 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎に対する
 シクロホスファミドによる導入は、おおよそ70~90%に有効だが、
 死亡率、有害事象発生率が高くなるとされている。しかし、リツキシマブベース
 の治療による難治性ANCA関連血管炎患者の寛解率はおおよそ80~90%
 であり、シクロホスファミドレジメンよりも安全である可能性がある。

方法:
 ANCA関連血管炎導入療法として、リツキシマブとシクロホスファミドを比較。
 ANCA関連血管炎と新たに診断され、腎病変のある44例を
 標準的なグルココルチコイドレジメンに
 リツキシマブ375mg/m2/w 4週間+シクロホスファミド静注パルスを2回行う群
 (33 例、リツキシマブ群)と、
 3~6ヵ月のシクロホスファミド静注後にアザチオプリン投与を行う群(11 例,対照群)に
 3:1でランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは 12 ヵ月の時点での
 寛解維持率と、重度の有害事象とした。

結果:
 年齢中央値は68歳で、GFRは18mL/min/1.73 m2であった。
 寛解維持がみられたのは、リツキシマブ群25例(76%)、対照群9例(82%)
 であった(P=0.68)。重度有害事象は、リツキシマブ群14 例(42%)、
 対照群4例(36%)で発生した(P=0.77)。死亡数は、リツキシマブ群6例(18%)、
 対照群2例(18%)であった(P=1.00)。0~12 ヵ月におけるGFR増加中央値は、
 リツキシマブ群19mL/min、対照群15mL/minであった(P=0.14)。

結論:
 重症ANCA関連血管炎の治療法として、リツキシマブをベースとしたレジメンにおいては
 標準的なシクロホスファミド静注に対する優位性はみあっれなかった。寛解維持率は
 両群ともに高く、リツキシマブをベースとしたレジメンは
 早期の重度有害事象の減少には関連しなかった。

by otowelt | 2010-07-17 23:00 | 膠原病