カテゴリ:感染症全般( 353 )

小児の肺炎の診断に肺エコーは有用

e0156318_10322082.jpg 僻地の診療では肺エコーが主流になるかもしれませんね。エコーシステムを確立する方がコストは少ないでしょう。

Ellington LE, et al.
Lung ultrasound as a diagnostic tool for radiographically-confirmed pneumonia in low resource settings.
Respir Med. 2017 Jul;128:57-64.


背景:
 肺炎は小児における罹患・死亡の重要な原因であるが、その診断はとくに専門家や標準画像検査が不足した地域では厳しい。われわれは、小児肺炎の診断における肺エコーを放射線学検査と比較した。

方法:
 2012年1月から2013年9月までの間、われわれは生後2~59ヶ月の呼吸器症状を呈して救急部を受診した外来小児患者を登録した(ペルー・リマ)。全患者は、肺エコーを適用された。また、呼吸器症状を呈していない小児も本研究に登録した。呼吸器症状のある小児は胸部レントゲン写真が撮影された。一部の小児には血液検査もおこなった。

結果:
 453人の肺炎の小児、133人の喘息の小児、103人の細気管支炎の小児、143人の上気道炎の小児が登録された。胸部レントゲン写真は、臨床的に肺炎と考えられた453人のうち191人(42%)で診断が可能だった。肺エコーによるコンソリデーションを肺炎のプライマリエンドポイントとした場合、感度88.5%、特異度100%で、AUC0.94(95%信頼区間0.92-0.97)だった。肺エコーで何かしらの異常がみられた場合、感度92.2%、特異度95.2%、AUCは同じく0.94だった(95%信頼区間0.91-0.96)。

結論:
 肺エコーは胸部レントゲン写真で同定された肺炎に対して高い診断能をもつ。小児の肺炎において肺エコーは有用である。


by otowelt | 2017-07-12 00:16 | 感染症全般

肺アクチノミセス症の臨床的検討

e0156318_95584.jpg まれな呼吸器感染症に関する報告は少ないです。

Zhang, M, et al.
Primary pulmonary actinomycosis: a retrospective analysis of 145 cases in mainland China
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 21, Number 7, 1 July 2017, pp. 825-831(7)

目的:
 肺アクチノミセス症について理解を深めること。

方法:
 後ろ向きに中国で145人の症例を抽出した。

結果:
 男女比は2.7:1で、診断時平均年齢は48±12歳だった。主症状は咳嗽(87.6%)、喀痰(40%)、血痰(37.2%)、発熱(26.9%)、胸痛(24.8%)、喀血(16.6%)だた。88人(60.7%)は基礎疾患を有していなかった。5人のみが初期診断が正しく、60人は肺がん、肺結核、肺膿瘍などと誤認されていた。ほとんどの患者は外科的手術や気管支鏡検査で診断がついた。67人の患者はペニシリンGを受け、1人は外科手術のみで抗菌薬投与を受けなかった。抗菌薬の平均治療期間は4.5±3.7ヶ月で、110人(75.9%)が完全に治癒し、4人が死亡した。平均フォローアップ期間は26±32か月だった。

結論:
 肺アクチノミセス症は稀な疾患であり、しばしば肺がんや肺結核と誤認される。ペニシリンGが標準的治療法であるが、適切な治療期間はこれからの検討課題であろう。


by otowelt | 2017-07-11 00:54 | 感染症全般

胃酸分泌抑制治療は再発性Clostridium difficile感染症のリスクを上昇

e0156318_9404474.jpg おなかの調子が悪いから胃酸分泌抑制をかけるという短絡的な発想は控えるべきですね。


Raseen Tariq, et al.
Association of Gastric Acid Suppression With Recurrent Clostridium difficile InfectionA Systematic Review and Meta-analysis
JAMA Intern Med. 2017;177(6):784-791.


背景:
 胃酸分泌抑制は、原発性Clostridium difficile感染症(CDI)のリスク増加と関連しているが、再発性CDIとの関連性は不明である。

目的:
 システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施し、胃酸分泌抑制治療と再発性CDIの関連性w調べた。
 1995年1月1日から2015年9月30日までの胃酸分泌抑制治療と再発性CDIに関する文献をMEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register、Cochrane Database、Web of Scienceから抽出した。
 症例対照研究、コホート研究、臨床試験で、胃酸分泌抑制治療の有無を問わずCDI患者を登録したもの、再発性CDIについて評価されたものを外来・入院などの規定を設けず選択した。
  Newcastle-Ottawaスケールで研究の質を評価した。データは2人の研究者によって独立して抽出された。
 CDIの再発リスクおよび胃酸分泌抑制治療との関連性を評価した。

結果:
 16の観察研究が登録された(CDI患者7703人)。そのうち1525人(19.8%)が再発性CDIにかかった。再発性CDIは、胃酸分泌抑制治療を受けている患者で22.1%(4038人中892人)、胃酸分泌抑制治療を受けていない患者で17.3%(3665人中633人)だった(オッズ比1.52、95%信頼区間1.20-1.94、p<0.001)。研究間の異質性は有意であった(I2 64%)。年齢・潜在的交絡因子で補正したサブグループ解析においても、胃酸分泌抑制治療は再発性CDIのリスクを増加させた(オッズ比1.38、95%信頼区間1.08-1.76、p=0.02)。

結論:
 観察研究のメタアナリシスでは、胃酸分泌抑制治療は再発性CDIのリスクを増加させた。観察研究であるため、解釈には注意が必要である。


by otowelt | 2017-06-19 00:25 | 感染症全般

重症患者におけるバラシクロビルあるいは低用量バルガンシクロビルはサイトメガロウイルス再活性化を抑制

e0156318_17262418.jpg 今のところ、2017年は私にとってサイトメガロウイルスとの闘いの年です。

Nicholas J. Cowley, et al.
Safety and Efficacy of Antiviral Therapy for Prevention of Cytomegalovirus Reactivation in Immunocompetent Critically Ill PatientsA Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. 2017;177(6):774-783.


背景:
 サイトメガロウイルス(CMV)潜伏感染は成人の半分以上にみられ、ウイルス再活性化(血液などの体液検査からウイルスが測定できるなど)は重症の病態にある患者の3分の1にのぼるとされている。

目的:
 抗ウイルス治療が重症例におけるCMV再活性化に対して、安全・効果的かどうか調べること。

方法:
 単施設オープンラベルランダム化比較試験。2012年1月1日から2014年1月31日までに少なくとも24時間人工呼吸管理を要したCMV血清陽性患者124人を抽出した。平均ベースラインAPACHE IIスコアは17.6だった。
 ウイルス再活性化抑制のため、患者はバラシクロビルによるCMV予防群(34人)あるいは低用量バルガンシクロビルによるCMV予防群(46人)にランダムに割り付けられた。コントロールとして非介入群44人が設定された。
 主要アウトカムは初回の血液検査によるCMV再活性化判定(薬剤開始から28日まで)とした。

結果:
 124人の患者(46人女性、89人男性、平均年齢56.9±16.9歳)のうち、ウイルス再活性化はコントロ-ル群12人、バルガンシクロビル群1人、バラシクロビル群2人にみられた(予防群 vs コントロール群:ハザード比0.14,95%信頼区間0.04-0.50)。この研究は臨床的エンドポイントを解析するためのものではなかったが、バラシクロビル群は高い死亡率のために中止された(34人中14人が28日までに死亡、コントロール群は同中止時点で37人中5人が死亡)。他の安全性エンドポイントに群間差はなかった。

結論:
 重症患者におけるバラシクロビルあるいは低用量バルガンシクロビルは、CMV再活性化を抑制する。しかしながら、高い死亡率のため、大規模臨床試験でその効果と安全性を検証すべきである。


by otowelt | 2017-06-16 00:40 | 感染症全般

喀痰の肺炎球菌抗原キット(ラピラン) による肺炎球菌性肺炎の診断

e0156318_10322082.jpg 福岡大学呼吸器内科池亀聡先生の報告です。

Ikegame S, et al.
The Evaluation of the Sputum Antigen Kit in the Diagnosis of Pneumococcal Pneumonia
Intern Med 56: 1141-1146, 2017


目的:
 喀痰用の肺炎球菌抗原検出キットが開発され、 喀痰から肺炎球菌性肺炎の迅速診断が可能となった。 このキットを用いた前向き研究を行った。

方法:
 2014年4月~2015年9月の間、 肺炎で当院に入院となった患者を対象に痰培養、 喀痰肺炎球菌抗原検出キット(ラピラン®)、 尿中肺炎球菌抗原検出キットの検査を行いそれぞれの有用性を比較 する前向き研究を行った。 研究の期間中に登録できなかった症例は後ろ向き研究という形で痰 培養、尿中抗原キットなどの検査データの解析を行った。

結果:
 前向き研究では69例が登録され、 9例が肺炎球菌性肺炎であった。 喀痰キットは喀痰培養検査結果と相関し肺炎球菌検出を予測できた 。また、感度に関しては喀痰キット88.9%(8/9)、 尿中抗原55.6%(5/9)と喀痰キットが高い傾向にあった。 治験登録できなかった症例も含めた検討では喀痰培養の感度93. 5%(29/31)、尿中抗原の感度60.6%(19/31) であり、これらの結果を踏まえ、 喀痰キットは尿中抗原より感度良好と結論付けた。
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 喀痰キットの偽陽性は4例でうち3例は事前の抗菌薬投与が行われ ており喀痰培養結果の修飾が疑われ、1例はS. intermidiusによる膿胸の関与が疑われた。

結論:
 総合的な判断で、 喀痰抗原キットは尿中抗原キットより高い感度と判断されたが、 事前の抗菌薬投与は培養を陰性化させることで喀痰キットの偽陽性の原因となる可能性がある。

コメント:
 尿中抗原キットのみ陽性で喀痰抗原キット陰性・ 喀痰培養陰性の症例が肺炎球菌性肺炎確定例(培養陽性) の半数程度存在した。 尿中抗原キットのみ陽性の症例を肺炎球菌性肺炎とすべきかについ ては今後の検討が必要である。


by otowelt | 2017-05-18 00:25 | 感染症全般

ブイフェンド(ボリコナゾール)の後発品

 よく参照することが多いので、ブログにメモしておきます。ブイフェンド薬価×42%が後発品の薬価です。
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by otowelt | 2017-04-21 00:26 | 感染症全般

J-IDEO創刊!

 すでに色々なところで話題になっていますが、『J-IDEO』(ジェイ・イデオ)という新しい感染症雑誌が創刊されます。編集主幹は言わずと知れた岩田健太郎先生で、編集委員や執筆陣もそうそうたる顔ぶれです。

 まず目を惹くのは、表紙。『もやしもん』でおなじみの石川雅之先生のイラストです。この『J-IDEO』は、医学雑誌界における『少年ジャンプ』のような存在にしたいという想いがあります。私に執筆依頼があったときも、『少年ジャンプ』という単語を10回くらい聞かされました。私は小学校2年から後期研修医の頃まで少年ジャンプを毎号読んでいましたから、誰よりもよく理解しているつもりです。えっへん。
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e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する 

e0156318_13141310.jpg中外医学社から購入する

 というわけで、私もこの『J-IDEO』にちょこっとだけ登場しています。あこがれの先生方と並んで執筆できるなんて、いやー、とても光栄です。『少年ジャンプ』では連載がつまらないと早々に打ち切りになるので、「倉原先生は来月で終わりましょうか」と言われないよう、頑張りたいと思います。鳥山明や尾田栄一郎といった名だたる大物に囲まれた新人漫画家の気分ですよ。ひええ、プレッシャーだ。

 編集主幹である岩田健太郎先生は、みなさんご存知の通り日本の医学書の歴史を変えた人です。無味乾燥な医学書という紙の塊に、読み物として命を吹き込み、そこに脈と体温を持たせたのです。今の医学書があるのは、岩田先生の築いた地盤があってこそです。今度は、医学雑誌の歴史が変わる瞬間を見ることができるかもしれません。


by otowelt | 2017-03-09 00:14 | 感染症全般

急性気道感染症に対するNSAIDs使用は心筋梗塞のリスクを上昇

e0156318_15212933.jpg 実臨床ではアセトアミノフェンの使用の方が多いですが、自分自身にはNSAIDsを使ったりしています。

Yao-Chun Wen, et al.
Acute Respiratory Infection and Use of Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs on Risk of Acute Myocardial Infarction: A Nationwide Case-Crossover Study
J Infect Dis (2017) jiw603. DOI:https://doi.org/10.1093/infdis/jiw603


背景:
 過去の研究では、急性気道感染症(ARI)とNSAIDsの使用は急性心筋梗塞(AMI)のトリガーになりうることが示されている。いくつかの国では、医師はARIの症状緩和のためにNSAIDsを処方する。しかしながら、ARIに対するNSAIDs使用がAMIのリスクを増加させるかどうか評価された研究はない。

方法:
 2007~2011年の間に、AMIで入院した(index date)9793人の患者が登録された。症例-クロスオーバーデザインを用いて、症例(index dateより1~7日前)およびマッチコントロール時期(index dateより366~372日前)の間の曝露ステータスを比較した:ARIエピソード中のNSAIDs使用、NSAIDsを用いなかったARIエピソード、NSAIDs使用のみ、曝露なし。多変量条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、潜在的交絡因子で補正したオッズ比を算出した。

結果:
 ARIエピソード中のNSAIDs使用はAMIリスクを3.4倍増加させた(補正オッズ比3.41; 95%信頼区間2.80–4.16)。またNSAIDsを用いなかったARIエピソードでも2.7倍の増加がみられ(補正オッズ比2.65; 95%信頼区間2.29–3.06), NSAIDs単独曝露のみでも1.5倍の増加がみられた(補正オッズ比1.47; 95%信頼区間1.33–1.62)。しかしながら、非経口NSAIDsはARI患者において高いAMIリスクと関連していた(補正オッズ比7.22; 95%信頼区間4.07–12.81)。

結論:
 ARIエピソード中のNSAIDs使用は、特に非経口の場合、AMIリスクの上昇と関連していた。



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by otowelt | 2017-03-02 00:10 | 感染症全般

慢性肺アスペルギルス症の予後予測因子の検討

e0156318_8535280.jpg 他の感染症を併発していると予後が悪いようです。

Lowes D, et al.
Predictors of mortality in chronic pulmonary aspergillosis.
Eur Respir J. 2017 Feb 8;49(2). pii: 1601062. doi: 10.1183/13993003.01062-2016. Print 2017 Feb.


背景:
 慢性肺アスペルギルス症(CPA)は、非免疫不全患者においても肺組織を破壊する慢性進行性感染症である。5年死亡率は50~85%と報告されており、その予後予測因子はほとんど同定されていない。

方法:
 1992年~2012年の間に、387人のCPA患者がイギリス国立アスペルギルス症センターに紹介された。本コホートを2015年6月まで追跡した。客観的および主観的な因子(年齢、性別、既往肺疾患、呼吸困難スコア、QOL、血清アルブミン値、血清CRP値、放射線学的所見)が調べられた。CPA発症から紹介までの期間を後ろ向きに調べ、死因を解析した。
  
結果:
 1年生存率86%、5年生存率62%、10年生存率47%だった。死亡リスクは非結核性抗酸菌症のある患者(ハザード比2.07, 95%信頼区間1.22-3.52; p<0.001)、COPD患者(ハザード比1.57、95%信頼区間1.05-2.36; p=0.029)、高齢者(ハザード比1.053, 95%信頼区間1.03-1.07/年; p<0.001), 低活動性(ハザード比1.021, 95%信頼区間1.01-1.03/SGRQスコア活動性ドメイン1点上昇ごと; p<0.001)、両肺アスペルギローマ(p<0.001)で上昇した。
 アゾール感受性が高いCPAの10年生存率は68%だったが、アゾール感受性が低いCPAではその数値は46%にまで低下した(p=0.143 by log rank)。
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(文献より引用:Figure2)

結論:
 CPAの死亡にいくつかの因子が影響を与えた。これらはCPA予後を調べるツールとして評価されるかもしれない。





by otowelt | 2017-02-24 00:41 | 感染症全般

市中肺炎における壊死性変化は肺炎症状を悪化させ入院期間を延長

e0156318_803162.jpg 実臨床では明らかな化膿症のケースでは再発が多く、治療に難渋することが多いように感じます。

Hyewon Seo, et al.
Clinical relevance of necrotizing change in patients with community-acquired pneumonia
Repirology, DOI: 10.1111/resp.12943


背景および目的:
 胸部CTで診断された壊死性肺炎(NP)の患者の大多数は、臨床研究においてほとんど調べられていない。この研究の目的は、市中肺炎(CAP)患者におけるNPの臨床的特徴とその頻度を調べることである。

方法:
 この後ろ向き研究において、紹介されたCAP患者で胸部造影CTが撮影されたものを調べた。患者はNP群および非NP群に分けられ、比較された。
 NPは、胸部造影CTにおいて造影効果がみられない1つ以上の肺葉における多発性コンソリデーションと定義された。

結果:
 830人のうち、壊死性の変化がみられたのは103人(12%)だった。NP群の患者はより肺炎症状が強く、炎症性マーカーが高く、胸腔ドレナージを要する頻度が高かった。人工呼吸器使用、血管作動薬点滴必要性、30日死亡率、院内死亡率、臨床的悪化は両群で有意差はみられなかった。入院期間中央値はNP群の方が有意に長かった。Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析では、壊死性の変化はCAP患者の入院期間の独立予測因子であった。

結論:
 NPはCAP患者の3分の1に観察される。その存在はより重度の臨床徴候と関連し、胸腔ドレナージの必要性を増加させた。NPは入院期間延長の独立予測因子であったが、死亡率には差はみられなかった。

by otowelt | 2016-12-09 00:35 | 感染症全般