カテゴリ:感染症全般( 357 )

胸部レントゲン写真が正常の市中肺炎の臨床像

e0156318_12513269.jpg 面白い着眼点の前向き研究です。

Cameron P. Upchurch, et al.
Community-acquired Pneumonia Visualized on Computed Tomography but Not Chest X-Ray: Pathogens, Severity, and Clinical Outcomes
CHEST DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2017.07.035


背景:
 胸部CTで同定できるものの胸部レントゲン写真が正常の肺炎の臨床的重要性については不明である。

方法:
 市中肺炎で入院した成人患者に対する多施設共同前向きサーベイランスにおいて、われわれは胸部CTで同定できるが胸部レントゲン写真が正常の肺炎患者の臨床的特徴・病原微生物・アウトカムを通常の市中肺炎と比較した。

結果:
 2251人の市中肺炎患者が登録され、2185人(97%)が胸部レントゲン写真で肺炎を有しており、66人(3%)が胸部CTのみで肺炎が同定された。胸部CTのみで肺炎が同定された患者の臨床的プロファイルは、通常の市中肺炎と同等だった(合併症、バイタルサイン、入院期間、ウイルス性の頻度[30% vs 26%]、細菌性の頻度[12% vs 14%]、ICU入室[23% vs 21%]、人工呼吸器装着[6% vs 5%]、敗血症性ショック[5% vs 4%]、院内死亡率[0% vs 2%])。

結論:
 胸部レントゲン写真で同定されないものの胸部CTで同定される成人市中肺炎患者の病原微生物・疾患重症度・アウトカムは、通常の市中肺炎患者と同等であった。


by otowelt | 2017-09-06 00:45 | 感染症全般

雑誌の紹介:J-IDEO

 すでにその名を知られるようになった感染症学雑誌、J-IDEO
 錚々たる面子の中、4号目のスペシャルトピックをわたくしめ倉原が書かせていただきました。少しテイストを変えて、堅苦しくない読み物にしました。「呼吸器科の最後の砦で出合う感染症たち」というタイトルにしたところ、それをもとに憧れの石川雅之先生に素敵なイラストを描いていただきました。大好きな漫画家さんだったので、感動のあまり泣きそうになりました。

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発売日:2017年9月10日
出版社 : 中外医学社

e0156318_13141310.jpg中外医学社ページ

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by otowelt | 2017-09-02 00:18 | 感染症全般

ベンゾジゼピンは肺炎のリスクを上昇させる

e0156318_12513269.jpg 今後、ベンゾジアゼピン系以外の睡眠薬がさらに普及してくるでしょうか。

Chen TY, et al.
The use of benzodiazepine receptor agonists and the risk of pneumonia hospitalization: a nationwide population-based, nested case-control study.
Chest. 2017 Aug 4. pii: S0012-3692(17)31326-0. doi: 10.1016/j.chest.2017.07.030.


背景:
 ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)の使用と肺炎のリスクの関連性はまだ結論がついていない。この研究は、一般人口集団におけるBZRA使用と肺炎の関連性を調べたものである。

方法:
 2002~2012年の台湾国民健康保険データベースを用いて、コホート内症例対照研究を実施した。われわれは、新規にBZRAを処方された患者のみを登録し、過去に使用歴のあるものは除外した。また、肺炎患者は入院を要した12002人を同定し、リスクスコアをマッチさせたコントロールを別に12002人設定した。ロジスティック回帰モデルを用いてBZRA使用と入院を要する肺炎の関連性を調べた。曝露日、用量反応関係、BZRAのクラスが包括的にアセスメントされた。

結果:
 BZRAの現行使用は、入院を要する肺炎のリスク上昇と関連していた(補正オッズ比1.86; 95%信頼区間1.75-1.97)。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬よりも肺炎のリスクが高かった(補正オッズ比2.42; 95%信頼区間2.16-2.71 vs 補正オッズ比1.53; 95%信頼区間1.44-1.63)。肺炎リスクは、超短時間作用性および短~中時間作用性BZRAを内服している場合、1日用量が多い場合、BZRAの使用種類が多い場合に上昇した。個々のBZRAをみると、ミダゾラムが入院を要する肺炎のリスクが最も高かった(補正オッズ比5.77; 95%信頼区間4.31-7.73)。

結論:
 BZRAの現行使用は入院を要する肺炎のリスクを用量依存的に上昇させた。加えて、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、特にミダゾラムは、入院を要する肺炎のリスクを大きく上昇させた。


by otowelt | 2017-08-18 00:32 | 感染症全般

脳卒中は膿胸のリスクである

e0156318_10322082.jpg リスクは当然高くなりますが、脳出血の方がリスキーのようです。

Shen TC, et al.
Risk of developing pleural empyema in patients with stroke: a propensity-matched cohort study.
Intern Emerg Med. 2017 Jul 11. doi: 10.1007/s11739-017-1707-8.

背景:
 膿胸は肺炎の重要な合併症である。脳卒中は肺炎の高いリスク因子であるが、膿胸との関連は分かっていない。

方法:
 われわれは台湾のNational Health Insurance Research Databaseを用いて、2000年から2010年までに脳卒中の診断を受けた46万6170人と傾向スコアマッチされた同数の非脳卒中群を登録した。膿胸の発生は2011年まで追跡された。Cox比例ハザードモデルを用いて、脳卒中群における膿胸の補正ハザード比が非脳卒中群と比較された。

結果: 
 非脳卒中群と比べて、膿胸は脳卒中群で2.69倍高かった(15.2 vs. 5.59/10,000 人年, p < 0.001、補正ハザード比2.89 [95%信頼区間2.72-3.08])。虚血性脳卒中の場合、補正ハザード比は2.62だった(95%信頼区間2.45-2.79)。また、脳出血の場合、補正ハザード比は4.53だった(95%信頼区間4.14-4.95)。加えて、VPシャントのある脳卒中患者は膿胸のリスクが7倍以上となった。

結論:
 脳卒中は膿胸のリスクを上昇させる。このリスクは、脳出血のほうが虚血性脳卒中よりも高かった。


by otowelt | 2017-07-27 00:32 | 感染症全般

小児の肺炎の診断に肺エコーは有用

e0156318_10322082.jpg 僻地の診療では肺エコーが主流になるかもしれませんね。エコーシステムを確立する方がコストは少ないでしょう。

Ellington LE, et al.
Lung ultrasound as a diagnostic tool for radiographically-confirmed pneumonia in low resource settings.
Respir Med. 2017 Jul;128:57-64.


背景:
 肺炎は小児における罹患・死亡の重要な原因であるが、その診断はとくに専門家や標準画像検査が不足した地域では厳しい。われわれは、小児肺炎の診断における肺エコーを放射線学検査と比較した。

方法:
 2012年1月から2013年9月までの間、われわれは生後2~59ヶ月の呼吸器症状を呈して救急部を受診した外来小児患者を登録した(ペルー・リマ)。全患者は、肺エコーを適用された。また、呼吸器症状を呈していない小児も本研究に登録した。呼吸器症状のある小児は胸部レントゲン写真が撮影された。一部の小児には血液検査もおこなった。

結果:
 453人の肺炎の小児、133人の喘息の小児、103人の細気管支炎の小児、143人の上気道炎の小児が登録された。胸部レントゲン写真は、臨床的に肺炎と考えられた453人のうち191人(42%)で診断が可能だった。肺エコーによるコンソリデーションを肺炎のプライマリエンドポイントとした場合、感度88.5%、特異度100%で、AUC0.94(95%信頼区間0.92-0.97)だった。肺エコーで何かしらの異常がみられた場合、感度92.2%、特異度95.2%、AUCは同じく0.94だった(95%信頼区間0.91-0.96)。

結論:
 肺エコーは胸部レントゲン写真で同定された肺炎に対して高い診断能をもつ。小児の肺炎において肺エコーは有用である。


by otowelt | 2017-07-12 00:16 | 感染症全般

肺アクチノミセス症の臨床的検討

e0156318_95584.jpg まれな呼吸器感染症に関する報告は少ないです。

Zhang, M, et al.
Primary pulmonary actinomycosis: a retrospective analysis of 145 cases in mainland China
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 21, Number 7, 1 July 2017, pp. 825-831(7)

目的:
 肺アクチノミセス症について理解を深めること。

方法:
 後ろ向きに中国で145人の症例を抽出した。

結果:
 男女比は2.7:1で、診断時平均年齢は48±12歳だった。主症状は咳嗽(87.6%)、喀痰(40%)、血痰(37.2%)、発熱(26.9%)、胸痛(24.8%)、喀血(16.6%)だた。88人(60.7%)は基礎疾患を有していなかった。5人のみが初期診断が正しく、60人は肺がん、肺結核、肺膿瘍などと誤認されていた。ほとんどの患者は外科的手術や気管支鏡検査で診断がついた。67人の患者はペニシリンGを受け、1人は外科手術のみで抗菌薬投与を受けなかった。抗菌薬の平均治療期間は4.5±3.7ヶ月で、110人(75.9%)が完全に治癒し、4人が死亡した。平均フォローアップ期間は26±32か月だった。

結論:
 肺アクチノミセス症は稀な疾患であり、しばしば肺がんや肺結核と誤認される。ペニシリンGが標準的治療法であるが、適切な治療期間はこれからの検討課題であろう。


by otowelt | 2017-07-11 00:54 | 感染症全般

胃酸分泌抑制治療は再発性Clostridium difficile感染症のリスクを上昇

e0156318_9404474.jpg おなかの調子が悪いから胃酸分泌抑制をかけるという短絡的な発想は控えるべきですね。


Raseen Tariq, et al.
Association of Gastric Acid Suppression With Recurrent Clostridium difficile InfectionA Systematic Review and Meta-analysis
JAMA Intern Med. 2017;177(6):784-791.


背景:
 胃酸分泌抑制は、原発性Clostridium difficile感染症(CDI)のリスク増加と関連しているが、再発性CDIとの関連性は不明である。

目的:
 システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施し、胃酸分泌抑制治療と再発性CDIの関連性w調べた。
 1995年1月1日から2015年9月30日までの胃酸分泌抑制治療と再発性CDIに関する文献をMEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register、Cochrane Database、Web of Scienceから抽出した。
 症例対照研究、コホート研究、臨床試験で、胃酸分泌抑制治療の有無を問わずCDI患者を登録したもの、再発性CDIについて評価されたものを外来・入院などの規定を設けず選択した。
  Newcastle-Ottawaスケールで研究の質を評価した。データは2人の研究者によって独立して抽出された。
 CDIの再発リスクおよび胃酸分泌抑制治療との関連性を評価した。

結果:
 16の観察研究が登録された(CDI患者7703人)。そのうち1525人(19.8%)が再発性CDIにかかった。再発性CDIは、胃酸分泌抑制治療を受けている患者で22.1%(4038人中892人)、胃酸分泌抑制治療を受けていない患者で17.3%(3665人中633人)だった(オッズ比1.52、95%信頼区間1.20-1.94、p<0.001)。研究間の異質性は有意であった(I2 64%)。年齢・潜在的交絡因子で補正したサブグループ解析においても、胃酸分泌抑制治療は再発性CDIのリスクを増加させた(オッズ比1.38、95%信頼区間1.08-1.76、p=0.02)。

結論:
 観察研究のメタアナリシスでは、胃酸分泌抑制治療は再発性CDIのリスクを増加させた。観察研究であるため、解釈には注意が必要である。


by otowelt | 2017-06-19 00:25 | 感染症全般

重症患者におけるバラシクロビルあるいは低用量バルガンシクロビルはサイトメガロウイルス再活性化を抑制

e0156318_17262418.jpg 今のところ、2017年は私にとってサイトメガロウイルスとの闘いの年です。

Nicholas J. Cowley, et al.
Safety and Efficacy of Antiviral Therapy for Prevention of Cytomegalovirus Reactivation in Immunocompetent Critically Ill PatientsA Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. 2017;177(6):774-783.


背景:
 サイトメガロウイルス(CMV)潜伏感染は成人の半分以上にみられ、ウイルス再活性化(血液などの体液検査からウイルスが測定できるなど)は重症の病態にある患者の3分の1にのぼるとされている。

目的:
 抗ウイルス治療が重症例におけるCMV再活性化に対して、安全・効果的かどうか調べること。

方法:
 単施設オープンラベルランダム化比較試験。2012年1月1日から2014年1月31日までに少なくとも24時間人工呼吸管理を要したCMV血清陽性患者124人を抽出した。平均ベースラインAPACHE IIスコアは17.6だった。
 ウイルス再活性化抑制のため、患者はバラシクロビルによるCMV予防群(34人)あるいは低用量バルガンシクロビルによるCMV予防群(46人)にランダムに割り付けられた。コントロールとして非介入群44人が設定された。
 主要アウトカムは初回の血液検査によるCMV再活性化判定(薬剤開始から28日まで)とした。

結果:
 124人の患者(46人女性、89人男性、平均年齢56.9±16.9歳)のうち、ウイルス再活性化はコントロ-ル群12人、バルガンシクロビル群1人、バラシクロビル群2人にみられた(予防群 vs コントロール群:ハザード比0.14,95%信頼区間0.04-0.50)。この研究は臨床的エンドポイントを解析するためのものではなかったが、バラシクロビル群は高い死亡率のために中止された(34人中14人が28日までに死亡、コントロール群は同中止時点で37人中5人が死亡)。他の安全性エンドポイントに群間差はなかった。

結論:
 重症患者におけるバラシクロビルあるいは低用量バルガンシクロビルは、CMV再活性化を抑制する。しかしながら、高い死亡率のため、大規模臨床試験でその効果と安全性を検証すべきである。


by otowelt | 2017-06-16 00:40 | 感染症全般

喀痰の肺炎球菌抗原キット(ラピラン) による肺炎球菌性肺炎の診断

e0156318_10322082.jpg 福岡大学呼吸器内科池亀聡先生の報告です。

Ikegame S, et al.
The Evaluation of the Sputum Antigen Kit in the Diagnosis of Pneumococcal Pneumonia
Intern Med 56: 1141-1146, 2017


目的:
 喀痰用の肺炎球菌抗原検出キットが開発され、 喀痰から肺炎球菌性肺炎の迅速診断が可能となった。 このキットを用いた前向き研究を行った。

方法:
 2014年4月~2015年9月の間、 肺炎で当院に入院となった患者を対象に痰培養、 喀痰肺炎球菌抗原検出キット(ラピラン®)、 尿中肺炎球菌抗原検出キットの検査を行いそれぞれの有用性を比較 する前向き研究を行った。 研究の期間中に登録できなかった症例は後ろ向き研究という形で痰 培養、尿中抗原キットなどの検査データの解析を行った。

結果:
 前向き研究では69例が登録され、 9例が肺炎球菌性肺炎であった。 喀痰キットは喀痰培養検査結果と相関し肺炎球菌検出を予測できた 。また、感度に関しては喀痰キット88.9%(8/9)、 尿中抗原55.6%(5/9)と喀痰キットが高い傾向にあった。 治験登録できなかった症例も含めた検討では喀痰培養の感度93. 5%(29/31)、尿中抗原の感度60.6%(19/31) であり、これらの結果を踏まえ、 喀痰キットは尿中抗原より感度良好と結論付けた。
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 喀痰キットの偽陽性は4例でうち3例は事前の抗菌薬投与が行われ ており喀痰培養結果の修飾が疑われ、1例はS. intermidiusによる膿胸の関与が疑われた。

結論:
 総合的な判断で、 喀痰抗原キットは尿中抗原キットより高い感度と判断されたが、 事前の抗菌薬投与は培養を陰性化させることで喀痰キットの偽陽性の原因となる可能性がある。

コメント:
 尿中抗原キットのみ陽性で喀痰抗原キット陰性・ 喀痰培養陰性の症例が肺炎球菌性肺炎確定例(培養陽性) の半数程度存在した。 尿中抗原キットのみ陽性の症例を肺炎球菌性肺炎とすべきかについ ては今後の検討が必要である。


by otowelt | 2017-05-18 00:25 | 感染症全般

ブイフェンド(ボリコナゾール)の後発品

 よく参照することが多いので、ブログにメモしておきます。ブイフェンド薬価×42%が後発品の薬価です。
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by otowelt | 2017-04-21 00:26 | 感染症全般