カテゴリ:感染症全般( 348 )

HIV関連クリプトコッカス髄膜炎にステロイドは不要?

 なんでもかんでもステロイド、というわけにはいかないようです。

Justin Beardsley, et al.
Adjunctive Dexamethasone in HIV-Associated Cryptococcal Meningitis
N Engl J Med 2016; 374:542-554


背景:
 HIV感染症に関連するクリプトコッカス髄膜炎により、世界で年間60万人を超える死者が出ている。当該疾患の治療法はここ20年間ほとんど変化しておらず、承認間近の新しい抗クリプトコッカス薬も出ていない。一部の集団において、別の原因による髄膜炎患者にステロイドを使用すると死亡率が低下することが示されているものの、クリプトコッカス髄膜炎患者ではまだ検証されていない。

方法:
 二重盲検ランダム化プラセボ対照試験において、ベトナム、タイ、インドネシア、ラオス、ウガンダ、マラウイでHIV関連クリプトコッカス髄膜炎の成人患者を集めた。全例に、アムホテリシンB+フルコナゾールの併用投与に加え、デキサメタゾンまたはプラセボを6週間投与。

結果:
 合計451人を登録したが、試験は安全性を理由に中止された。10週までの死亡率はデキサメタゾン群 47%、プラセボ群41%で(デキサメタゾン群のハザード比1.11、95%信頼区間0.84~1.47、P=0.45)、6ヶ月までの死亡率はそれぞれ57%、49%(ハザード比1.18、95%信頼区間0.91~1.53、P=0.20)だった。
 10週時点で障害が認められた患者はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも多かった。事前に規定した良好な転帰を示した患者の割合はそれぞれ13%、25%だった(オッズ比0.42、95%信頼区間0.25~0.69、P<0.001)。有害事象の頻度はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも高く(667件 vs 494件、P=0.01)、より頻度が高かった有害事象はグレード3~4の感染症(48人 vs 25人、P=0.003)、腎イベント(22人 vs 7人、P=0.004)、心イベント(8人 vs 0人、P=0.004)だった。髄液中菌クリアランス速度はデキサメタゾン群のほうが遅かった。

結論:
 デキサメタゾンの投与によって、HIV関連クリプトコッカス髄膜炎患者の死亡率は低下せず、有害事象と障害の頻度はプラセボより高いという結果だった。


by otowelt | 2016-02-25 00:03 | 感染症全般

胸水を有する肺炎は予後不良である

e0156318_14285339.jpg 肺炎随伴性胸水のある肺炎患者さんは、確かに入院期間が長くなります。胸水が減らないと退院させにくいという事情もあるとは思いますが。

Nathan C. Dean, et al.
Pleural effusions at first emergency department encounter predict worse clinical outcomes in pneumonia patients
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.12.027


背景:
 胸水は入院肺炎患者の15~44%に胸水がみられるとされている。救急部初診時に胸水を呈していた場合のアウトカムに対する影響があるのかどうか、あるいは別途マネジメントを考慮すべきなのかどうかは分かっていない。

方法:
 われわれはICD-9のコードで肺炎、膿胸、敗血症、肺炎に続発した呼吸不全で登録された7病院の救急部の患者を登録した。画像データがない患者は除外した。胸水は胸部画像によって同定した。

結果:
 24ヶ月の間で、458837人のうち4771人が適格基準を満たした。胸水のあった690人(14.5%)の年齢中央値は68歳で、46%が男性だった。Elixhauserスコアの高い患者(オッズ比1.13、95%信頼区間1.09-1.18, p<0.001)、高BNP(オッズ比1.20, 95%新リア区間1.12-1.28, p<0.001), 高ビリルビン(オッズ比1.07, 95%信頼区間1.00-1.15,p=0.04), 高齢(オッズ比1.15, 95%信頼区間1.09-1.21, p<0.001)の患者は、肺炎随伴性胸水を呈しやすかった。胸水のない患者では、CURB-65は正確に死亡率を予測した(予測値4.7% vs. 実際5.0%)。しかしながら、同スコアは胸水のある患者では死亡率を過小に評価していた(予測値7.0% vs. 実際14.0%, p<0.001)。胸水のある患者はより入院しやすく(77% vs. 57%, p<0.001), 入院期間が長かった(中央値2.8日 vs. 1.3日, p<0.001)。重症度によって補正を行うと、30日死亡率の尤度は胸水のある患者で高かった(オッズ比2.6, 95%信頼区間2.0-3.5, p<0.001)。また、入院期間は不釣り合いながらも長くなった(Coefficient 0.22, 95%信頼区間0.14 to 0.29, p<0.001)。

結論:
 救急受診時に胸水を呈した肺炎患者は、より死亡しやすく、より入院しやすく、そしてより入院期間が長かった。なぜ胸水を有する肺炎患者の転帰が不良であるのか、またこういった患者に異なるマネジメントを適用することでアウトカムを改善させることができるのかどうかは早急な検討課題である。


by otowelt | 2016-02-18 00:03 | 感染症全般

成人市中肺炎に対する抗菌薬使用についてのシステマティックレビュー

e0156318_16271270.jpg 市中肺炎における抗菌薬使用のシステマティックレビューです。

Jonathan S. Lee, et al.
Antibiotic Therapy for Adults Hospitalized With Community-Acquired Pneumonia
A Systematic Review
JAMA. 2016;315(6):593-602. doi:10.1001/jama.2016.0115.


背景:
 抗菌薬治療は市中肺炎(CAP)に対する医療マネジメントの根幹をなす。

目的:
 抗菌薬治療における3側面の関連性を調べた。すなわち、抗菌薬開始のタイミング、初期抗菌薬の選択、静注→経口抗菌薬への移行の3点と、成人入院CAP患者における短期的死亡率との関連性である。

エビデンスレビュー:
 MEDLINE, EMBASE, Cochrane Collaborationデータベースから成人入院CAP患者に関する研究を1995年1月1日から2015年11月5日まで抽出した。

結果:
 20の試験(17の観察研究、3つのランダム化比較試験)が適格基準を満たした。
 8つの観察研究のうち、大規模な4試験では抗菌薬開始が病院到着から4~8時間以内であれば、死亡率は相対的に5%~43%減少すると報告されていた。小規模な4試験では、この関連性は認められなかった。
 1つのクラスターランダム化比較試験では、βラクタム単独とβラクタム+マクロライド併用とを比較するとβラクタム単独群で90日死亡率が補正差2.5%(90%信頼区間-0.6%~5.2%)減少した(単独群がよいとする結果)。2つ目のランダム化比較試験では、βラクタム単独治療はβラクタム+マクロライド併用療法と比較して入院7日目の臨床的安定性のアウトカムにおいて非劣性を示せなかった(差7.6%、片側90%信頼区間上限13.0%)(併用群の方がよいとする結果)。
 8つの観察研究のうち6つではβラクタム+マクロライドの併用療法は、短期的死亡率の26~68%の相対的減少と関連していた。また、3つの観察研究ではフルオロキノロン単独はβラクタム単独より短期的死亡率の30~43%の相対的減少と関連していた。
 1つのランダム化比較試験では早期の静注→経口の変更によって入院期間が有意に減少したが(絶対差1.9日、95%信頼区間0.6-3.2日)、客観的臨床基準にもとづいて静注→経口に変更した場合に治療失敗の差はみられなかった。

結論:
 成人入院CAP患者において、βラクタム+マクロライド併用あるいはフルオロキノロン単独の抗菌薬治療を病院到着4~8時間以内に開始することで、短期的な死亡率を減少させることができる。しかし、これは主には観察研究に基づく結論である。1つのランダム化比較試験によれば、客観的臨床基準に基づいて静注→経口へ抗菌薬を変更することが支持される。


by otowelt | 2016-02-12 00:22 | 感染症全般

緑膿菌あるいはMRSAによる医療ケア関連肺炎のリスク

e0156318_1550487.jpg 参考程度にしかならないかもしれませんが・・・。 

Metersky ML, et al.
Predictors of Pseudomonas and methicillin-resistant Staphylococcus aureus in hospitalized patients with healthcare-associated pneumonia.
Respirology. 2016 Jan;21(1):157-63.


背景および目的:
 医療ケア関連肺炎(HCAP)は多剤耐性(MDR)菌の感染リスクが高い。MDRグラム陰性菌(MDR-GN)とMRSA感染症を識別する因子についてはよくわかっておらず、患者はしばしば両者の治療を施される。この研究は、緑膿菌性肺炎とMRSA肺炎を予測するリスク因子を同定するために実施された。

方法:
 65歳以上の退役軍人HCAP患者を2002年~2012年まで登録したデータベースを用いた。患者はICD-9コードを用いて登録された(緑膿菌性肺炎、MRSA肺炎、それ以外の肺炎)。患者特性と、緑膿菌性肺炎あるいはMRSA肺炎によるHCAPとの関連性を調べた。

結果:
 61651人のHCAP患者のうち、1156人(1.9%)が緑膿菌性肺炎、641人(1.0%)がMRSA肺炎、59854人(97.1%)がそれ以外の肺炎と診断された。
 MRSA肺炎は、男性、74歳を超える高齢、糖尿病、COPD、直近の介護施設入所歴あるいは入院歴、直近のフルオロキノロン曝露あるいはグラム陽性菌治療抗菌薬、重症肺炎と関連性があった。複雑性糖尿病とは関連性がなかった。
 緑膿菌性肺炎は、直近の入院歴、免疫不全宿主、COPD、片麻痺、直近の吸入ステロイド薬曝露、βラクタム/セファロスポリン/カルバペネムの曝露、グラム陽性菌治療抗菌薬、その他の抗菌薬、重症肺炎と相関性があった。84歳を超える高齢、社会的ステータスの高さ、薬物濫用、糖尿病とは関連性がなかった。

結論:
 患者特性は、緑膿菌あるいはMRSAによるHCAPのリスクを同定する手助けになるかもしれない。


by otowelt | 2016-01-27 00:18 | 感染症全般

急性非複雑性呼吸器感染症に対して抗菌薬を早期に用いない戦略の有効性

e0156318_123815.jpg 最近は患者さんが得られる情報も増えてきたため、「抗生物質下さい」とおっしゃる方が多いです。

Mariam de la Poza Abad, et al.
Prescription Strategies in Acute Uncomplicated Respiratory Infections
A Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. Published online December 21, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.7088


背景:
 抗菌薬をすぐに処方せずに後で処方すること(遅延処方:delayed antibiotics prescription)は、症状コントロールのために使用される抗菌薬の使用を減少させることに役立つ。その戦略にはいくつか異なるものがあるが、どれが最も効果的なのかは不明である。

目的:
 急性非複雑性呼吸器感染症(uncomplicated respiratory infections)において、当該遅延戦略の効果と安全性を検討する。

方法:
 われわれは、オープンラベルランダム化比較試験において、スペインの23のプライマリケアセンターから急性非複雑性呼吸器感染症の成人405人を登録した。
 患者はランダムに以下の1~4の戦略にランダム化割り付けされた。(1)患者主導の増悪時遅延処方戦略、(2)増悪時プライマリケアセンターを受診し、遅延処方する戦略、(3)即時処方戦略、(4)抗菌薬を処方しない戦略。遅延処方戦略は、症状増悪あるいは受診数日後改善がない場合だけ抗菌薬を内服することとした。
 プライマリアウトカムは有症状期間および症状重症度とした。各症状は6点満点のLikertスケールを用いた(3~4点が中等症、5~6点が重症)。セカンダリアウトカムは、抗菌薬の使用、患者満足度、抗菌薬の効果の患者信頼性とした。

結果:
 合計405人の患者が登録され、398人が解析された。136人(34.2%)が男性で、平均年齢は45±17歳だった。症状重症度の平均は、Likertスケールで1.8~3.5点まで幅がみられ、平均期間は初回受診から6日間だった。初診時の平均一般健康ステータスは、0~100スケールで54±20だった。314人(80.1%)が非喫煙者で、372人(93.5%)が呼吸器合併症を有していなかった。初診時の症状頻度は、上記4群で同等だった。
 重症の症状を呈した平均期間は、抗菌薬即時処方群で3.6±3.3日、処方しない群で4.7±3.6日だった。重症症状を呈した期間の中央値(四分位範囲)は、増悪したらプライマリケアセンター受診する群で3(四分位範囲1-4)日間、抗菌薬内服指示群で3(四分位範囲2-6)日間だった。最重症症状の中央値(四分位範囲)は即時処方群とプライマリケアセンター受診群で5(四分位範囲3-5)日間、抗菌薬内服指示群で5(四分位範囲4-5)日間、処方しない群で5(四分位範囲4-6)日間だった。
 抗菌薬を処方しな群あるいは遅延戦略群において、抗菌薬使用量は少なく、抗菌薬の効果をさほど信頼していなかった。患者満足度は全群同等だった。

結論:
 抗菌薬を遅れて処方する戦略は、即座に処方する戦略と比べて、症状重症度・期間のわずかな増大を招いたものの臨床的には同等で、かつ抗菌薬使用量も減少した。


by otowelt | 2016-01-12 00:25 | 感染症全般

重症患者のCDIに対して経口バンコマイシン+静注メトロニダゾールが有効

e0156318_1557943.jpgなぜか全文読めないので詳細不明・・・。

Rokas KE, et al.
The Addition of Intravenous Metronidazole to Oral Vancomycin is Associated With Improved Mortality in Critically Ill Patients With Clostridium difficile Infection.
Clin Infect Dis. 2015 Sep 15;61(6):934-41.


背景:
 Clostridium difficile感染症(CDI)を有する重症患者に対する適切な治療は不明である。われわれは、経口バンコマイシン単剤治療または経口バンコマイシン+静注メトロニダゾール併用によって治療を受けた重症CDI患者の死亡率を評価した。

方法:
 これは単施設におけるレトロスペクティブな観察研究である。患者はC. difficleアッセイが陽性であった患者で、ICUに2007年6月から2012年9月まで在室していたものを対象とした。患者は、以下の基準のうち3つ以上を満たすものとした。すなわち、アルブミン2.5g/dL未満、心拍数90/分以上、MAP60mmHg未満、白血球15000/μL以上、年齢60歳超、血清クレアチニンがベースラインの1.5倍以上上昇、体温38℃以上。併用群の患者はバンコマイシンを開始してから48時間以内にメトロニダゾール静注を受けた。プライマリアウトカムは、院内死亡率とした。患者はAPACHEIIスコアを用いてマッチされた。

結果:
 88人の患者が登録され、各治療44人ずつとなった。患者背景はおおむね同等であったが、併用治療群では腎疾患が多かった。死亡率は、バンコマイシン単剤と併用治療でそれぞれ36.4%、15.9%だった(P = .03)。臨床的な治療成功、在院日数、ICU在室期間といったセカンダリアウトカムについて両群に差はみられなかった。

結論:
 CDIを有する重症患者に対する経口バンコマイシン治療に静注メトロニダゾールを併用することの有効性を示した。しかしながら、プロスペクティブのランダム化比較試験を実施する必要があるだろう。


by otowelt | 2015-09-28 00:34 | 感染症全般

アメリカの年間市中肺炎発生率は約25人/1万人、高齢者ほど多い

e0156318_1715279.jpg 高齢者になると発生率が急激に上昇します。

Seema Jain, et al.
Community-Acquired Pneumonia Requiring Hospitalization among U.S. Adults
N Engl J Med 2015; 373:415-427


背景:
 市中肺炎は、アメリカの成人の入院・死亡の主原因の1つである。胸部レントゲン写真や最新の臨床検査で診断された肺炎の発生率がどの程度か必要とされている。

方法:
 アメリカのシカゴおよびナッシュビルの5施設で、18歳以上の成人の入院を要する市中肺炎について、人口ベースのサーベイランスをした。最近入院した患者、高度免疫抑制状態の患者は除外とした。培養、血清学的検査、抗原検査、分子診断検査のために血液、尿、呼吸器検体を採取した。放射線科医が胸部レントゲン写真を再検討した。人口ベースでの入院を要する市中肺炎の発生率を、年齢別、病原体別に調べた。

結果:
 2010年1月から2012年6月までの間に、3634人のうち適格基準を満たした2488人(68%)を登録。胸部レントゲン写真で肺炎が観察されたのは2320人(93%)で、中央値で57歳(IQR 46~71)だった。498人(21%)が集中治療を要し、52人(2%)が死亡した。胸部レントゲン写真で肺炎があり、なおかつ細菌検査とウイルス検査の両方に検体を用いることができた2259人のうち、病原体は853人(38%)で検出された。ウイルスが530人(23%)、細菌が247人(11%)、細菌・ウイルス両方が59人(3%)、真菌または抗酸菌が17人(1%)。検出された病原体で多かったのは、ライノウイルス(9%)、インフルエンザウイルス(6%)、肺炎球菌(5%)だった。肺炎の年間発生率は成人1万人あたり24.8人(95%信頼区間 23.5-26.1)で、65~79歳(1万人あたり63.0人)と80歳以上(1万人あたり164.3人)で特に高かった。発生率は年齢とともに上昇した。

結論:
 入院を要する市中肺炎の発生率は、高齢者層で最も高かった。多くの患者では病原体は検出されなかった。細菌よりも呼吸器系のウイルスが多く検出された。


by otowelt | 2015-08-10 00:29 | 感染症全般

栄養障害や肺炎合併はインフルエンザウイルス感染の生存に不利益

e0156318_1113675.jpg 国立病院機構三重病院からの報告です。素晴らしいと思います。CHESTに掲載されている日本の呼吸器内科医を目にすると嬉しくなります。

Takaya Maruyama, et al.
Outcomes and prognostic features of patients with influenza requiring hospitalization and receiving early antiviral therapy: A Prospective Multicenter-Cohort Study
Chest. 2015 Jul 23. doi: 10.1378/chest.14-2768. [Epub ahead of print]


背景:
 日本において、インフルエンザの患者に対する抗ウイルス薬のルーチンの使用が標準治療である。

方法:
 多施設共同プロスペクティブコホート研究において、インフルエンザが陽性であった入院患者で抗ウイルス治療を受けた患者の予後予測因子を同定した。

結果:
 1345人のインフルエンザの患者が登録された(766人が小児、579人が成人)。抗ウイルス治療が適応とならない1歳未満の乳児を除外した場合、1253人中1224人(97.7%)が抗ウイルス治療を受けた。579人の成人患者のうち、24人(4.1%)が30日以内に死亡したが、766人の小児に死亡例はなかった。528人(91.2%)の成人患者はインフルエンザA型であり、509人(87.9%)が慢性疾患を基礎に有しており、211人(34.6%)が画像検査で同定された肺炎を有していた。死亡した24人中20人が肺炎によるものであった。肺炎の微生物学的内訳は、Streptococcus pneumoniae (12.3%), Staphylococcus aureus (10.9%)(MRSAを含む[3.3%]), 腸内細菌科(8.1%), Pseudomonas aeruginosa (3.3%)であった。これらのうち、151人は市中肺炎(CAP)に分類され、60人は医療ケア関連肺炎(HCAP)に分類された。不適切な治療はCAPよりもHCAPに多かった(15.2% vs. 2%, p=0.001)。潜在的な多剤耐性病原菌はHCAPの患者に多く(21.7%vs 2.6%, p<0.001)、特にMRSA(10% vs 0.7%, p=0.002)やPseudomonas aeruginosa (8.3% vs 1.3%, p=0.021)が多かった。男性、重症度スコア、血清アルブミン(栄養障害)、肺炎の存在はインフルエンザ発症からの30日生存に関連する独立予測因子であった。

結論:
 予後予測因子のうち、栄養障害と肺炎については医療介入が行われるべきである。ほとんどのインフルエンザの患者には適切な治療が行われているが、CAPとHCAPには微生物学的な原因に乖離がみられる。インフルエンザとHCAPを有する患者では、経験的治療を向上することが望まれる。


by otowelt | 2015-08-05 10:48 | 感染症全般

ATS2015:split pleura signは膿胸診断に有用

e0156318_10521810.jpg



 日本からの報告です。Split Pleura Signは私も実地でよく使用しているサインです。

N. Tsujimoto, et al.
Simple Method for Differentiating Empyema from Parapneumonic Effusion Using the Split Pleura Sign and the Amount of Pleural Effusion on Thoracic CT
ATS 2015, A24, Poster Discussion Session


概要:
 膿胸および肺炎随伴性胸水と診断された連続患者をレトロスペクティブに登録した。多変量解析において、split pleura sign(ハザード比6.9, 95%信頼区間1.4-12.4, p=0.002)、総胸水量(40mm以上)(ハザード比4.2, 95%信頼区間1.4-12.4, p=0.009)は膿胸のリスク因子であった。split pleura signの感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率はそれぞれ78.8%, 72.3%, 67.5%, 79.0%であった。



by otowelt | 2015-05-18 06:51 | 感染症全般

ATS2015:非HIV-PCPにおけるリンパ球数はCD4陽性細胞数と関連している

e0156318_10521810.jpg



 PCP患者におけるリンパ球数はCD4陽性細胞数と相関性があるという報告です。

Z. Tong, et al.
Absolute Lymphocyte Count is Useful in the Early Recognition of Pneumocystis Pneumonia in Immunocompromised Human Immunodeficiency Virus (HIV)-Negative Patients
ATS 2015, A16, Mini Symposium


背景:
 CD4陽性細胞数は、ニューモシスチス肺炎の発症を予測する有用なマーカーであると考えられているが、リンパ球絶対数(ALC)がCD4陽性細胞と相関性があるという報告はHIV感染患者において少数あるのみである。その他の免疫抑制状態の患者においてこれら2つの関連性については調べられていない。

目的:
 PCPの早期同定のためにALCがどの程度の診断的価値を有するか調べる。

方法:
 PCPのリスクにある患者をレトロスペクティブに3年調べた。ALCとCD4陽性細胞数の関連を調べた。

結果:
 186人の患者が登録され、74人がPCP、112人が非PCPであった。ALCとCD4陽性細胞数の間におけるスピアマン相関係数は0.619 (95%信頼区間0.444 - 0.765, p < 0.001)であった。PCP診断に対するALCのROC AUCは0.717 (95%信頼区間0.641 - 0.793)だった。ALCカットオフ値9500/μLにおける感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比、陽性的中率、陰性的中率は77.03%, 64.29%, 2.16, 0.36, 58.9%, 80.9%であった。

結論:
 非HIV患者の免疫不全状態においてALCは有意にCD4陽性細胞数と関連していた。PCPの早期同定のためのALCは有用である。


by otowelt | 2015-05-18 01:37 | 感染症全般