カテゴリ:感染症全般( 357 )

J-IDEO創刊!

 すでに色々なところで話題になっていますが、『J-IDEO』(ジェイ・イデオ)という新しい感染症雑誌が創刊されます。編集主幹は言わずと知れた岩田健太郎先生で、編集委員や執筆陣もそうそうたる顔ぶれです。

 まず目を惹くのは、表紙。『もやしもん』でおなじみの石川雅之先生のイラストです。この『J-IDEO』は、医学雑誌界における『少年ジャンプ』のような存在にしたいという想いがあります。私に執筆依頼があったときも、『少年ジャンプ』という単語を10回くらい聞かされました。私は小学校2年から後期研修医の頃まで少年ジャンプを毎号読んでいましたから、誰よりもよく理解しているつもりです。えっへん。
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 というわけで、私もこの『J-IDEO』にちょこっとだけ登場しています。あこがれの先生方と並んで執筆できるなんて、いやー、とても光栄です。『少年ジャンプ』では連載がつまらないと早々に打ち切りになるので、「倉原先生は来月で終わりましょうか」と言われないよう、頑張りたいと思います。鳥山明や尾田栄一郎といった名だたる大物に囲まれた新人漫画家の気分ですよ。ひええ、プレッシャーだ。

 編集主幹である岩田健太郎先生は、みなさんご存知の通り日本の医学書の歴史を変えた人です。無味乾燥な医学書という紙の塊に、読み物として命を吹き込み、そこに脈と体温を持たせたのです。今の医学書があるのは、岩田先生の築いた地盤があってこそです。今度は、医学雑誌の歴史が変わる瞬間を見ることができるかもしれません。


by otowelt | 2017-03-09 00:14 | 感染症全般

急性気道感染症に対するNSAIDs使用は心筋梗塞のリスクを上昇

e0156318_15212933.jpg 実臨床ではアセトアミノフェンの使用の方が多いですが、自分自身にはNSAIDsを使ったりしています。

Yao-Chun Wen, et al.
Acute Respiratory Infection and Use of Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs on Risk of Acute Myocardial Infarction: A Nationwide Case-Crossover Study
J Infect Dis (2017) jiw603. DOI:https://doi.org/10.1093/infdis/jiw603


背景:
 過去の研究では、急性気道感染症(ARI)とNSAIDsの使用は急性心筋梗塞(AMI)のトリガーになりうることが示されている。いくつかの国では、医師はARIの症状緩和のためにNSAIDsを処方する。しかしながら、ARIに対するNSAIDs使用がAMIのリスクを増加させるかどうか評価された研究はない。

方法:
 2007~2011年の間に、AMIで入院した(index date)9793人の患者が登録された。症例-クロスオーバーデザインを用いて、症例(index dateより1~7日前)およびマッチコントロール時期(index dateより366~372日前)の間の曝露ステータスを比較した:ARIエピソード中のNSAIDs使用、NSAIDsを用いなかったARIエピソード、NSAIDs使用のみ、曝露なし。多変量条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、潜在的交絡因子で補正したオッズ比を算出した。

結果:
 ARIエピソード中のNSAIDs使用はAMIリスクを3.4倍増加させた(補正オッズ比3.41; 95%信頼区間2.80–4.16)。またNSAIDsを用いなかったARIエピソードでも2.7倍の増加がみられ(補正オッズ比2.65; 95%信頼区間2.29–3.06), NSAIDs単独曝露のみでも1.5倍の増加がみられた(補正オッズ比1.47; 95%信頼区間1.33–1.62)。しかしながら、非経口NSAIDsはARI患者において高いAMIリスクと関連していた(補正オッズ比7.22; 95%信頼区間4.07–12.81)。

結論:
 ARIエピソード中のNSAIDs使用は、特に非経口の場合、AMIリスクの上昇と関連していた。



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by otowelt | 2017-03-02 00:10 | 感染症全般

慢性肺アスペルギルス症の予後予測因子の検討

e0156318_8535280.jpg 他の感染症を併発していると予後が悪いようです。

Lowes D, et al.
Predictors of mortality in chronic pulmonary aspergillosis.
Eur Respir J. 2017 Feb 8;49(2). pii: 1601062. doi: 10.1183/13993003.01062-2016. Print 2017 Feb.


背景:
 慢性肺アスペルギルス症(CPA)は、非免疫不全患者においても肺組織を破壊する慢性進行性感染症である。5年死亡率は50~85%と報告されており、その予後予測因子はほとんど同定されていない。

方法:
 1992年~2012年の間に、387人のCPA患者がイギリス国立アスペルギルス症センターに紹介された。本コホートを2015年6月まで追跡した。客観的および主観的な因子(年齢、性別、既往肺疾患、呼吸困難スコア、QOL、血清アルブミン値、血清CRP値、放射線学的所見)が調べられた。CPA発症から紹介までの期間を後ろ向きに調べ、死因を解析した。
  
結果:
 1年生存率86%、5年生存率62%、10年生存率47%だった。死亡リスクは非結核性抗酸菌症のある患者(ハザード比2.07, 95%信頼区間1.22-3.52; p<0.001)、COPD患者(ハザード比1.57、95%信頼区間1.05-2.36; p=0.029)、高齢者(ハザード比1.053, 95%信頼区間1.03-1.07/年; p<0.001), 低活動性(ハザード比1.021, 95%信頼区間1.01-1.03/SGRQスコア活動性ドメイン1点上昇ごと; p<0.001)、両肺アスペルギローマ(p<0.001)で上昇した。
 アゾール感受性が高いCPAの10年生存率は68%だったが、アゾール感受性が低いCPAではその数値は46%にまで低下した(p=0.143 by log rank)。
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(文献より引用:Figure2)

結論:
 CPAの死亡にいくつかの因子が影響を与えた。これらはCPA予後を調べるツールとして評価されるかもしれない。





by otowelt | 2017-02-24 00:41 | 感染症全般

市中肺炎における壊死性変化は肺炎症状を悪化させ入院期間を延長

e0156318_803162.jpg 実臨床では明らかな化膿症のケースでは再発が多く、治療に難渋することが多いように感じます。

Hyewon Seo, et al.
Clinical relevance of necrotizing change in patients with community-acquired pneumonia
Repirology, DOI: 10.1111/resp.12943


背景および目的:
 胸部CTで診断された壊死性肺炎(NP)の患者の大多数は、臨床研究においてほとんど調べられていない。この研究の目的は、市中肺炎(CAP)患者におけるNPの臨床的特徴とその頻度を調べることである。

方法:
 この後ろ向き研究において、紹介されたCAP患者で胸部造影CTが撮影されたものを調べた。患者はNP群および非NP群に分けられ、比較された。
 NPは、胸部造影CTにおいて造影効果がみられない1つ以上の肺葉における多発性コンソリデーションと定義された。

結果:
 830人のうち、壊死性の変化がみられたのは103人(12%)だった。NP群の患者はより肺炎症状が強く、炎症性マーカーが高く、胸腔ドレナージを要する頻度が高かった。人工呼吸器使用、血管作動薬点滴必要性、30日死亡率、院内死亡率、臨床的悪化は両群で有意差はみられなかった。入院期間中央値はNP群の方が有意に長かった。Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析では、壊死性の変化はCAP患者の入院期間の独立予測因子であった。

結論:
 NPはCAP患者の3分の1に観察される。その存在はより重度の臨床徴候と関連し、胸腔ドレナージの必要性を増加させた。NPは入院期間延長の独立予測因子であったが、死亡率には差はみられなかった。

by otowelt | 2016-12-09 00:35 | 感染症全般

外来市中肺炎の診断に胸部MRIは有用

e0156318_13551497.jpg ホイホイMRIが撮影できる施設ならばよいかもしれませんが・・・。
 
Syrjala H, et al.
Chest magnetic resonance imaging for pneumonia diagnosis in outpatients with lower respiratory tract infection.
Eur Respir J. 2016 Nov 3. pii: ERJ-01303-2016.


背景:
 外来で下気道感染症のある患者において、肺炎の診断に胸部MRIが有用かどうか調べた。

方法:
 7日以内の症状があり、発熱37.8℃がある患者を前向きに登録した。患者は胸部HRCT、胸部MRI、胸部レントゲン写真を撮影され、1か月後に必要であれば再度実施し、肺炎の診断を確認した。MRI撮影時間は3~4分だった。

結果:
 77人のうち、肺炎がみられたのは、HRCT、MRI、レントゲン写真でそれぞれ32人(41.6%)、30人(39.0%)、23人(29.9%)だった。
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(文献より引用:Figure1:55歳女性)

 MRIはHRCTで同定された肺炎2例を見逃した(モーションアーティファクトによる)。レントゲン写真は4人の肺炎偽陽性患者がみられた(MRIでは偽陽性ゼロ)。胸部HRCTを肺炎診断のリファレンスにした場合、MRIの感度は93.8%(95%信頼区間79.9-98.3)、特異度は97.8%(95%信頼区間88.4-99.6%)、陽性尤度比42.2 (95%信頼区間6.1–293.6)、陰性尤度比0.06 (95%信頼区間0.02–0.25)、一方胸部レントゲン写真では感度71.9%(95%信頼区間54.6-84.4%)、特異度91.1%(95%信頼区間79.3-96.5%)、陽性尤度比8.1 (95%信頼区間3.1–21.1)、陰性尤度比0.31 (95%信頼区間0.18–0.54)だった。
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(文献より引用:Table1)

結論:
 外来肺炎の診断において、胸部MRIは正確で効果的な診断法である。胸部レントゲン写真よりは精度が高く、胸部HRCTと同等である。

by otowelt | 2016-11-22 13:34 | 感染症全般

過去に経口ステロイドや抗菌薬を使用していると耐性緑膿菌によるCOPD急性増悪に罹患しやすい

e0156318_1633480.jpg 個人的にも、緑膿菌に関連したCOPD急性増悪を時折経験します。

Ana Rodrigo-Troyano, et al.
Pseudomonas aeruginosa resistance patterns and clinical outcomes in hospitalized exacerbations of COPD
Respirology, Version of Record online: 20 JUN 2016, DOI: 10.1111/resp.12825


背景および目的:
 緑膿菌によるCOPD急性増悪はアウトカム不良と関連している。緑膿菌耐性は治療法の決定に重要であり、臨床アウトカムに影響を与えるかもしれない。この研究の目的は、耐性緑膿菌によるCOPD急性増悪患者をきたした患者の臨床的特徴とアウトカムを調べることである。

方法:
 これはCOPD急性増悪をきたし、緑膿菌が喀痰培養で陽性となった患者の前向き観察研究である(バルセロナ、2013~2014年)。1つ以上の耐性をアンチバイオグラムで示した緑膿菌を耐性と定義した。

結果:
 401人のCOPD急性増悪患者が登録された。これらのうち、54人(13%)で喀痰培養で緑膿菌が陽性であった。82%が男性で、年齢中央値は77歳、1秒量は予測値の36%未満であった。耐性緑膿菌は35人(66%)で同定され、感受性緑膿菌は18人(34%)で同定された。患者背景、肺機能、合併症には両群に差はみられなかった。耐性緑膿菌は過去に経口ステロイド(77% vs 44%、p=0.03)や抗菌薬(77% vs 31%, p=0.01)を使用していた例が多かった。感受性緑膿菌に関連したCOPD急性増悪は30日時点での死亡リスク、90日時点での死亡リスクが高かった(それぞれオッズ比13.53, 95%信頼区間1.14–69.56, P = 0.03、オッズ比7.09, 95%信頼区間1.33–37.89, P = 0.02)。

結論:
 耐性緑膿菌は重症COPD急性増悪にみられ、過去の経口ステロイド・抗菌薬使用と関連していた。感受性緑膿菌は高い死亡率と関連していた。これは、急性感染症に感受性緑膿菌の有害性が影響しているためかもしれない。


by otowelt | 2016-07-08 00:20 | 感染症全般

成人市中肺炎における血清プロカルシトニン濃度が高値の場合、集中治療を要するリスクが高い

e0156318_22555653.jpg 当院は複雑な呼吸器疾患の患者さんがいらっしゃるので、人工呼吸器を要するリスクは血清プロカルシトニンだけでは推定できないのが現状です。

Wesley H. Self, et al.
Procalcitonin as an Early Marker of the Need for Invasive Respiratory or Vasopressor Support in Adults with Community-Acquired Pneumonia
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.04.010


背景:
 市中肺炎(CAP)の成人患者のうち集中治療を要するかどうか予測することはまだ困難である。

方法:
 CAPで入院した成人患者に対する多施設共同前向きコホート研究において、われわれは入院時の血清プロカルシトニン濃度が、その後72時間以内に侵襲性呼吸器管理または血管作動薬管理(IRVS)の必要性と関連しているかどうかロジスティック回帰モデルを用いて評価した。また、プロカルシトニンを既存の肺炎重症度スコア(PSIおよびATS minor criteria)に加えることがIRVSの予測パフォーマンスを変えるかどうかも調べた。

結果:
 1770人の患者が登録され、115人(6.5%)がIRVSを要した。ロジスティック回帰モデルを用いると、プロカルシトニン濃度はIRVSリスクと強く関連していた。同定できないくらい低値のプロカルシトニン(<0.05 ng/ml)はIRVSリスク4.0%(95%信頼区間3.1-5.1%)と関連していた。10ng/ml未満の濃度においては、プロカルシトニンはIRVSリスクをおおよそ線形関係で表すことができ、1ng/ml上昇ごとに1-2%の絶対リスク上昇がみられた。プロカルシトニン濃度10ng/mlでは、IRVSリスクは22.4%(95%信頼区間16.3-30.1%)で、それを超える濃度でも比較的一定を保った。肺炎重症度スコアにプロカルシトニン濃度を加えると、IRVS予測パフォーマンスを向上させた。

結論:
 血清プロカルシトニン濃度は成人入院CAP患者におけるIRVSリスクと関連しており、ICU入室の決定に有用かもしれない。


by otowelt | 2016-05-25 00:15 | 感染症全般

喫煙していると肺炎球菌性肺炎の死亡率が減少する?

e0156318_9325254.jpg グラフを見ると、喫煙者では血清型5が多いようです。
 
Jessica A. Beatty, et al.
Current Smoking and Reduced Mortality in Bacteremic Pneumococcal Pneumonia: A Population-Based Cohort Study
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.04.020


背景:
 過去の研究(Chest. 2005;127(4):1260-1270、Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America. 2006;42(8):1093-1101、Clinical microbiology and infection : the official publication of the European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases. 2008;14(4):322-329.)では喫煙は肺炎患者の死亡率の減少と関連した独立因子とされている。われわれは、この帰結は異なる肺炎球菌血清型によるものと仮説を立て(すなわち、肺炎球菌性肺炎の喫煙者は致命率[CFR]の低い血清型の菌血症になりやすいといった)、この仮説を菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)患者の集団ベースコホートで調べた。

方法:
 われわれが前向きに設定した臨床レジストリに、2000年~2010年にカナダのアルバータ州北部に入院した18歳以上のBPP患者1636人を登録した。多変量ロジスティック回帰を用いて、われわれは喫煙ステータス(現行喫煙 vs 現行非喫煙)による全死因院内死亡率の補正リスクを同定し、肺炎球菌血清型によって層別化した解析をおこなった。
・低CFR:血清型1,4,5,7F,8
・高CFR:血清型3,6A,6B,9N、19A、19F、23F
・その他CFR:2, 7C, 9L, 9V, 10A, 10F, 11A, 11B, 11F, 12F, 13, 14, 15A, 15B, 15C, 16F, 17F, 18A, 18B, 18C, 18F, 20, 22A, 22F, 23A, 23B, 28A, 29, 31, 33A, 33F, 34, 35A, 35B, 35C, 35F, 37, 38, 40, 42

結果:
 平均年齢は54歳で、57%が男性、49%が現行喫煙者、41%が低CFR血清型だった。現行喫煙者・現行非喫煙者ともに肺炎球菌ワクチンを接種していたのはそれぞれ4.7%、4.0%だった。非喫煙者の方がガイドラインに遵守しない抗菌薬の使用が多かった(P < 0.001)。患者背景として、合併症を有する患者は高CFRにかかりやすかった。
 809人の現行喫煙者のうち61人が院内で死亡し、827人の現行非喫煙者のうち164人が院内で死亡した(8% vs 20%, 補正オッズ比0.52; 95%信頼区間0.36-0.77; P = 0.001)。肺炎球菌ワクチン接種も死亡率減少に関連していた(補正オッズ比0.19、95%信頼区間0.04-0.80)。これらの結果は、CFR高低を因子として組み入れても組み入れなくても多変量解析で同様の結果だった。
 現行喫煙者は、現行非喫煙者低と比較してCFR血清型にかかりやすかった(53% vs 29%, 補正オッズ比1.67; 95%信頼区間1.31-2.12; P < 0.001)。

結論:
 非喫煙者と比較して、現行喫煙者のBPPは院内死亡率が低く低CFR血清型に罹患しやすい。これらの結果は、少なくとも部分的にではあるが、過去の研究で喫煙が肺炎患者の死亡率を減少させたことを説明することができるかもしれない。


by otowelt | 2016-05-16 00:52 | 感染症全般

肺炎診断に胸部レントゲン写真の代わりに肺エコーを使うこと

e0156318_20385895.jpg エコーで肺炎の陰影があっても、たとえばSpO2がやや低めであったり、喘鳴がひどかったりすると、やはり臨床医は胸部画像を撮影したくなると思います。

Jones BP, et al.
Feasibility and Safety of Substituting Lung Ultrasound for Chest X-ray When Diagnosing Pneumonia in Children: A Randomized Controlled Trial.
Chest. 2016 Feb 25. pii: S0012-3692(16)01263-0.


背景:
 胸部レントゲン写真は、肺炎診断の検査選択肢である。肺エコー検査は、小児における肺年の診断で精度が高いことが示されており、胸部レントゲン写真の代替検査となりうるかもしれない。われわれの目的は、肺炎を疑われた小児の評価で胸部レントゲン写真に肺エコーを代わりに用いることの有効性と安全性を調べることである。

方法:
 われわれは、救急部を受診した191人の小児に対して、肺エコーと胸部レントゲン写真を比較するランダム化比較試験を実施した。肺エコー群の患者は、肺エコーで臨床所見がはっきりしないときには、オプションとして臨床医は胸部レントゲン写真を用いた。コントロール群は、胸部レントゲン写真を撮影し、その後肺エコーを実施した。プライマリアウトカムは胸部レントゲン写真撮影の減少とし、セカンダリアウトカムは肺炎見逃し、その後の予定外の外来受診、有害事象とした。

結果:
 肺エコー群では胸部レントゲン写真撮影が38.8%減少した(95%信頼区間30.0 to 48.9%)。未熟な臨床エコー技師、経験豊富な臨床エコー技師ではそれぞれ30.0%、60.6%の胸部レントゲン写真撮影の減少を達成した。すべての参加者において、肺炎見逃しの症例、有害事象、予定外の外来受診はなかった。

結論:
 肺炎を疑われた小児に対して胸部レントゲン写真の代わりに肺エコーを用いることは有効かつ安全である。


by otowelt | 2016-04-07 00:14 | 感染症全般

HIV関連クリプトコッカス髄膜炎にステロイドは不要?

 なんでもかんでもステロイド、というわけにはいかないようです。

Justin Beardsley, et al.
Adjunctive Dexamethasone in HIV-Associated Cryptococcal Meningitis
N Engl J Med 2016; 374:542-554


背景:
 HIV感染症に関連するクリプトコッカス髄膜炎により、世界で年間60万人を超える死者が出ている。当該疾患の治療法はここ20年間ほとんど変化しておらず、承認間近の新しい抗クリプトコッカス薬も出ていない。一部の集団において、別の原因による髄膜炎患者にステロイドを使用すると死亡率が低下することが示されているものの、クリプトコッカス髄膜炎患者ではまだ検証されていない。

方法:
 二重盲検ランダム化プラセボ対照試験において、ベトナム、タイ、インドネシア、ラオス、ウガンダ、マラウイでHIV関連クリプトコッカス髄膜炎の成人患者を集めた。全例に、アムホテリシンB+フルコナゾールの併用投与に加え、デキサメタゾンまたはプラセボを6週間投与。

結果:
 合計451人を登録したが、試験は安全性を理由に中止された。10週までの死亡率はデキサメタゾン群 47%、プラセボ群41%で(デキサメタゾン群のハザード比1.11、95%信頼区間0.84~1.47、P=0.45)、6ヶ月までの死亡率はそれぞれ57%、49%(ハザード比1.18、95%信頼区間0.91~1.53、P=0.20)だった。
 10週時点で障害が認められた患者はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも多かった。事前に規定した良好な転帰を示した患者の割合はそれぞれ13%、25%だった(オッズ比0.42、95%信頼区間0.25~0.69、P<0.001)。有害事象の頻度はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも高く(667件 vs 494件、P=0.01)、より頻度が高かった有害事象はグレード3~4の感染症(48人 vs 25人、P=0.003)、腎イベント(22人 vs 7人、P=0.004)、心イベント(8人 vs 0人、P=0.004)だった。髄液中菌クリアランス速度はデキサメタゾン群のほうが遅かった。

結論:
 デキサメタゾンの投与によって、HIV関連クリプトコッカス髄膜炎患者の死亡率は低下せず、有害事象と障害の頻度はプラセボより高いという結果だった。


by otowelt | 2016-02-25 00:03 | 感染症全般