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栄養障害や肺炎合併はインフルエンザウイルス感染の生存に不利益

e0156318_1113675.jpg 国立病院機構三重病院からの報告です。素晴らしいと思います。CHESTに掲載されている日本の呼吸器内科医を目にすると嬉しくなります。

Takaya Maruyama, et al.
Outcomes and prognostic features of patients with influenza requiring hospitalization and receiving early antiviral therapy: A Prospective Multicenter-Cohort Study
Chest. 2015 Jul 23. doi: 10.1378/chest.14-2768. [Epub ahead of print]


背景:
 日本において、インフルエンザの患者に対する抗ウイルス薬のルーチンの使用が標準治療である。

方法:
 多施設共同プロスペクティブコホート研究において、インフルエンザが陽性であった入院患者で抗ウイルス治療を受けた患者の予後予測因子を同定した。

結果:
 1345人のインフルエンザの患者が登録された(766人が小児、579人が成人)。抗ウイルス治療が適応とならない1歳未満の乳児を除外した場合、1253人中1224人(97.7%)が抗ウイルス治療を受けた。579人の成人患者のうち、24人(4.1%)が30日以内に死亡したが、766人の小児に死亡例はなかった。528人(91.2%)の成人患者はインフルエンザA型であり、509人(87.9%)が慢性疾患を基礎に有しており、211人(34.6%)が画像検査で同定された肺炎を有していた。死亡した24人中20人が肺炎によるものであった。肺炎の微生物学的内訳は、Streptococcus pneumoniae (12.3%), Staphylococcus aureus (10.9%)(MRSAを含む[3.3%]), 腸内細菌科(8.1%), Pseudomonas aeruginosa (3.3%)であった。これらのうち、151人は市中肺炎(CAP)に分類され、60人は医療ケア関連肺炎(HCAP)に分類された。不適切な治療はCAPよりもHCAPに多かった(15.2% vs. 2%, p=0.001)。潜在的な多剤耐性病原菌はHCAPの患者に多く(21.7%vs 2.6%, p<0.001)、特にMRSA(10% vs 0.7%, p=0.002)やPseudomonas aeruginosa (8.3% vs 1.3%, p=0.021)が多かった。男性、重症度スコア、血清アルブミン(栄養障害)、肺炎の存在はインフルエンザ発症からの30日生存に関連する独立予測因子であった。

結論:
 予後予測因子のうち、栄養障害と肺炎については医療介入が行われるべきである。ほとんどのインフルエンザの患者には適切な治療が行われているが、CAPとHCAPには微生物学的な原因に乖離がみられる。インフルエンザとHCAPを有する患者では、経験的治療を向上することが望まれる。


by otowelt | 2015-08-05 10:48 | 感染症全般

ATS2015:split pleura signは膿胸診断に有用

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 日本からの報告です。Split Pleura Signは私も実地でよく使用しているサインです。

N. Tsujimoto, et al.
Simple Method for Differentiating Empyema from Parapneumonic Effusion Using the Split Pleura Sign and the Amount of Pleural Effusion on Thoracic CT
ATS 2015, A24, Poster Discussion Session


概要:
 膿胸および肺炎随伴性胸水と診断された連続患者をレトロスペクティブに登録した。多変量解析において、split pleura sign(ハザード比6.9, 95%信頼区間1.4-12.4, p=0.002)、総胸水量(40mm以上)(ハザード比4.2, 95%信頼区間1.4-12.4, p=0.009)は膿胸のリスク因子であった。split pleura signの感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率はそれぞれ78.8%, 72.3%, 67.5%, 79.0%であった。



by otowelt | 2015-05-18 06:51 | 感染症全般

ATS2015:非HIV-PCPにおけるリンパ球数はCD4陽性細胞数と関連している

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 PCP患者におけるリンパ球数はCD4陽性細胞数と相関性があるという報告です。

Z. Tong, et al.
Absolute Lymphocyte Count is Useful in the Early Recognition of Pneumocystis Pneumonia in Immunocompromised Human Immunodeficiency Virus (HIV)-Negative Patients
ATS 2015, A16, Mini Symposium


背景:
 CD4陽性細胞数は、ニューモシスチス肺炎の発症を予測する有用なマーカーであると考えられているが、リンパ球絶対数(ALC)がCD4陽性細胞と相関性があるという報告はHIV感染患者において少数あるのみである。その他の免疫抑制状態の患者においてこれら2つの関連性については調べられていない。

目的:
 PCPの早期同定のためにALCがどの程度の診断的価値を有するか調べる。

方法:
 PCPのリスクにある患者をレトロスペクティブに3年調べた。ALCとCD4陽性細胞数の関連を調べた。

結果:
 186人の患者が登録され、74人がPCP、112人が非PCPであった。ALCとCD4陽性細胞数の間におけるスピアマン相関係数は0.619 (95%信頼区間0.444 - 0.765, p < 0.001)であった。PCP診断に対するALCのROC AUCは0.717 (95%信頼区間0.641 - 0.793)だった。ALCカットオフ値9500/μLにおける感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比、陽性的中率、陰性的中率は77.03%, 64.29%, 2.16, 0.36, 58.9%, 80.9%であった。

結論:
 非HIV患者の免疫不全状態においてALCは有意にCD4陽性細胞数と関連していた。PCPの早期同定のためのALCは有用である。


by otowelt | 2015-05-18 01:37 | 感染症全般

成人市中肺炎に対する抗菌薬はβラクタム系抗菌薬単独治療でよいか?

e0156318_10461784.jpg 市中肺炎を診すぎて、最近悩むことが増えてきました。

Douwe F. Postma, et al.
Antibiotic Treatment Strategies for Community-Acquired Pneumonia in Adults
N Engl J Med 2015; 372:1312-1323


背景:
 臨床的に市中肺炎(CAP)を疑い、ICUではない一般病棟に入院した患者への経験的抗菌薬治療の選択は、エビデンスが乏しい。経験的治療戦略としてβラクタム系抗菌薬の単独治療、βラクタム系抗菌薬+マクロライド系抗菌薬併用治療、フルオロキノロン系抗菌薬単治療を比較した。

方法:
 90日死亡率について、βラクタム系抗菌薬単独治療戦略の、βラクタム+マクロライド併用およびフルオロキノロン単剤に対する非劣性を検証する目的でおこなわれた試験である。3つの戦略プランを4ヶ月ごとに変更していくクラスター無作為化クロスオーバー試験である。解析はITT、非劣性マージン3%ポイント、両側 90%信頼区間を用いた。

結果:
 βラクタム系抗菌薬単独治療戦略に656人、βラクタム+マクロライド併用治療戦略期間に739人、フルオロキノロン単独治療戦略期間に888人が登録された。戦略の遵守はそれぞれ93.0%、88.0%、92.7%だった。
 登録患者の年齢中央値は70歳だった。90日死亡率は、それぞれ9.0%(59人)、11.1%(82人)、8.8%(78人)だった。ITT解析において、死亡リスクはβラクタム+マクロライド併用治療戦略ではβラクタム系抗菌薬単独治療戦略よりも1.9%ポイント高く(90%信頼区間-0.6~4.4)、フルオロキノロン単独治療戦略ではβラクタム系抗菌薬単独治療戦略よりも0.6%ポイント低かった(90%信頼区間-2.8~1.9)。
 これらの結果から、βラクタム系抗菌薬治療戦略の非劣性が示された。
 全戦略において入院期間中央値は6日であり、経口投与開始までの期間(中央値)は、フルオロキノロン単独治療戦略3日(IQR0~4)、それ以外では4日(IQR3~5)だった。

結論:
 臨床的にCAPを疑いICU以外の一般病棟に入院した患者に対して推奨される経験的抗菌薬治療として、βラクタム系抗菌薬の単独治療は、90日死亡率について、βラクタム系抗菌薬+マクロライド系抗菌薬併用治療およびフルオロキノロン系抗菌薬単独治療と比較して非劣性であった。


by otowelt | 2015-04-09 00:24 | 感染症全般

重症市中肺炎に対するメチルプレドニゾロン投与は治療失敗を減少させる

e0156318_16271270.jpg 先日Lancetにも類似の報告が掲載されたのが記憶に新しいですね。

入院を要する市中肺炎に対する全身性ステロイド投与は臨床的安定性をはやめる

TrialAntoni Torres, et al.
Effect of Corticosteroids on Treatment Failure Among Hospitalized Patients With Severe Community-Acquired Pneumonia and High Inflammatory ResponseA Randomized Clinical.
JAMA. 2015;313(7):677-686. doi:10.1001/jama.2015.88.


背景:
 重症市中肺炎の患者において、治療の失敗はさらなる炎症正反応やアウトカム不良と関連している。ステロイドはこうした患者においてサイトカイン遊離を軽減するが、併用治療についてはいまだ議論の余地がある。

目的:
 重症市中肺炎に対するステロイドの効果と高度炎症反応を調べること。

デザイン:
 スペインの3病院で実施された多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。登録患者は重症市中肺炎で、入院時に高度炎症反応(CRP150mg/L超)がみられたものとした。患者は2004年6月から2012年2月まで登録された。

介入:
 患者は入院36時間以内に、ランダムにメチルプレドニゾロン0.5mg/kg 12時間ごと(61人)あるいはプラセボ(59人)に5日間割り付けられた。

アウトカム:
 プライマリアウトカムは治療失敗(早期治療失敗の複合アウトカム[ショックへの進展などの臨床悪化、人工呼吸器装着を要する、治療72時間以内の死亡]あるいは後期治療失敗の複合アウトカム[画像上の悪化、遷延性の重症呼吸不全、ショックへの進展、人工呼吸器装着を要する、治療開始後72~120時間での死亡]、およびこれら早期・後期の複合アウトカムの両方)とした。院内死亡率はセカンダリアウトカムとし、有害事象についても調べた。

結果:
 両群とも使用した抗菌薬に差はみられず、セフトリアキソン+レボフロキサシンorアジスロマイシンのレジメンが最も多かった。PSIはI-IIIがメチルプレドニゾロン群18人(30%)、プラセボ群14人(24%)だった。PSI IVはそれぞれ21人(34%)・26人(44%)、Vは22人(36%)・19人(32%)だった。
 メチルプレドニゾロン群の患者の方が治療失敗が少なかった(8人[13%] vs.18人[31%]) (P = .02)。ステロイド治療は治療失敗のリスクを減少させた(オッズ比0.34、95%信頼区間0.14-0.87; P = .02)。両群において院内死亡率に差はみられなかった(6人[10%] vs. 9人[15%]; P = .37)。メチルプレドニゾロン群では高血糖が18%にみられ、プラセボ群では12%にみられた(P = .34)。
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(文献より引用)

結論:
 高度炎症反応を伴う重症市中肺炎の患者に対して、急性期のメチルプレドニゾロン使用はプラセボと比較して治療失敗を減少させる効果がある。


by otowelt | 2015-02-19 00:52 | 感染症全般

入院を要する市中肺炎に対する全身性ステロイド投与は臨床的安定性をはやめる

e0156318_16271270.jpg 欧米のブログを見ていると、早くもこの試験が注目を浴びているようです。試験期間がべらぼうに長いです。

Claudine Angela Blum, et al.
Adjunct prednisone therapy for patients with community-acquired pneumonia: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled trial
Lancet, Published Online: 18 January 2015


背景:
 全身性ステロイドを市中肺炎の治療に加えることの利益については議論の余地がある。われわれは、入院市中肺炎の患者に対して短期のステロイド治療が臨床的に安定してするまでの期間を減らすことができるかどうか調べた。

方法:
 この二重盲検多施設共同ランダム化プラセボ対照試験において、18歳以上の市中肺炎の患者をスイスの7施設から登録した。患者はランダムに1:1にプレドニゾン50mg/日あるいはプラセボを7日間投与する群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは臨床的な安定(バイタルサインが少なくとも24時間安定)までの日数とした。

結果:
 2009年12月1日から2014年5月21日までの間、2911人の患者が登録され、785人がランダム化された。392人がプレドニゾン群、393人がプラセボ群。臨床的に安定するまでの期間の中央値はプレドニゾン群の方が有意に短かった(3.0日、95%信頼区間2.5-3.4 vs. 4.4日、95%信頼区間4.0-5.0、ハザード比1.33、95%信頼区間1.15-1.50, p<0·0001)。
 30日目までの肺炎関連合併症については両群とも差はみられなかった(プレドニゾン群11人[3%]、プラセボ群22人[6%]、オッズ比0.49 [95%信頼区間 0.23–1.02]; p=0.056)。プレドニゾン群はインスリンを要する入院中の高血糖の頻度が有意に多かった(プレドニゾン群76人[19%] vs プラセボ群43人[11%]; オッズ比1.96, 95%信頼区間1.31–2.93, p=0.0010)。ステロイドによるその他の有害事象はまれであり、両群とも差はみられなかった。

結論:
 入院を要する市中肺炎の患者に対する7日間のプレドニゾン治療は合併症を増加させることなく臨床的な安定をはやめる。


by otowelt | 2015-01-28 00:13 | 感染症全般

腎移植患者のニューモシスチス肺炎に対するクリンダマイシン-プリマキンの有効性

e0156318_20444355.jpg アトバコンやペンタミジンをすっ飛ばしてクリンダマイシン-プリマキンの話題です。

Nickel P, et al.
Clindamycin-primaquine for pneumocystis jiroveci pneumonia in renal transplant patients.
Infection. 2014 Aug 29. [Epub ahead of print]


背景:
 腎移植患者においてST合剤はニューモシスチス肺炎(PCP)の第一選択として考慮されている。代替治療は十分に研究されていない。クリンダマイシン-プリマキン(C-P)はHIV関連のPCPには有効とされているが、腎移植患者では不明である。

患者および方法:
 レトロスペクティブコホート研究において、PCPを発症した57人の連続した腎移植患者を登録した。23人がC-P、34人がST合剤で治療された。

結果:
 有意ではなかったが、C-Pでは効果不良による治療失敗率が高かった(30.4% vs 20.6 %, p = 0.545)。この差は重症のPCPではさらに顕著にみられ(60% vs 37.5 %, p = 0.611)、サルベージ治療としてはC-Pは効果に乏しいと考えられた。ST合剤に不応性でC-P治療に切り替えられた2人の患者がC-P治療に失敗したが、C-P治療に失敗しST合剤に切り替えられた7人の患者は治癒した。

結論:
 C-Pは腎移植を受けたPCPの患者に忍容性が高かったが、ST合剤よりは効果が不良であった。しかしながら、ST合剤に禁忌や治療有害事象がある場合は代替治療としてC-Pを考慮してもよい。C-P治療が失敗した症例でもST合剤は効果的なサルベージ治療となろう。


by otowelt | 2014-10-25 00:15 | 感染症全般

市中肺炎・医療ケア関連肺炎に対するGram染色は高い特異度を有し、標的治療に有用

e0156318_838672.jpg たった一言。素晴らしい研究です。

Fukuyama H, et al.
Validation of sputum Gram stain for treatment of community-acquired pneumonia and healthcareassociated pneumonia: a prospective observational study
BMC Infectious Diseases 2014, 14:534


背景:
 市中肺炎(CAP)に対する喀痰Gram染色の有用性については議論の余地がある。また、医療ケア関連肺炎(HCAP)の患者に対するこの手技の診断的価値を評価した報告はない。この研究の目的は、CAP・HCAPの患者において喀痰Gram染色の病原診断や標的治療に対する有用性を評価することである。

方法:
 われわれは2010年8月から2012年7月までに沖縄県立中部病院に入院した肺炎患者に対してプロスペクティブ観察試験を実施した。入院時に抗菌薬を投与する前に、訓練されたレジデントによって、得られた喀痰に対して迅速にGram染色を実施された。喀出困難な患者は、看護師が経鼻カテーテルによって喀痰を採取した。Gram染色の喀痰検体の質を解析した。また、Gram染色に基づいた病原微生物法的治療を経験的治療と比較した。単一の菌によるものと判断できない検体はpolymicrobialとした。
 肺炎の診断は、胸部レントゲン写真上新たな浸潤影の出現がみられ、下気道感染症を示唆する所見(発熱、咳嗽、喀痰、呼吸困難感、胸痛)があるものと定義された。

結果:
 670人の肺炎患者のうち、328人がCAP、342人がHCAPであった。喀痰検体は591人の患者から得られ、このうち478検体は良質の検体であった。HCAPの患者の方が有意にpolymicrobialパターンが多く、喀痰検体は不良であった。
 喀痰Gram染色の感度・特異度は、肺炎球菌に対して感度62.5%、特異度91.5%、インフルエンザ桿菌に対して感度60.9%、特異度98.2%、Moraxella catarrhalisに対して感度68.2%、特異度96.1%、Klebsiella pneumoniaeに対して感度39.5%、特異度98.2%、緑膿菌に対して感度22.2%、特異度99.8%、黄色ブドウ球菌に対して感度9.1%、特異度100%という結果だった。
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(文献より引用)
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(文献より引用)

 すでに抗菌薬を投与されている患者や誤嚥性肺炎が謳われる患者では診断能は低下した。病原微生物標的治療は、経験的治療と比較して、副作用を減少させたまま(p=0.049)同等の効果をもたらした。また、標的治療はICU入室率(p=0.017)や在院日数(p<0.001)が低かった。

結論:
 CAP・HCAPに対する喀痰Gram染色は高い特異度を有し、病原微生物の標的治療をすすめる上で有用である。

limitations:
・単一施設研究であること(Gram染色のメッカとも言える病院で、limitationとは思いませんが)
・非定型病原菌についての評価が不十分であること
・ランダム化比較試験でないこと


by otowelt | 2014-10-22 00:03 | 感染症全般

中等症の市中肺炎に対するβラクタム単剤は、βラクタム+マクロライド併用療法に非劣性示されず

e0156318_20385895.jpg 非劣性マージンが事前に規定した数値を超えました。

Nicolas Garin, et al.
β-Lactam Monotherapy vs β-Lactam–Macrolide Combination Treatment in Moderately Severe Community-Acquired Pneumonia
A Randomized Noninferiority Trial
JAMA Intern Med. Published online October 06, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.4887


背景:
 中等度の市中肺炎に対する経験的治療として、マクロライド系抗菌薬をβラクタム系抗菌薬に加える臨床的な利益は議論の余地がある。

目的:
 中等症の市中肺炎に対するβラクタム+マクロライド併用と比較したβラクタム単独の非劣性を検証する。

方法:
 200年1月13日~2013年1月31日までに実施されたオープンラベル多施設共同ランダム化試験において、スイスの6施設に中等症市中肺炎で入院した580人の免疫正常成人患者を登録した。フォローアップは90日とした。患者は、βラクタム+マクロライド(併用群)あるいはβラクタム単独(単剤群)に割り付けられた。Legionella pneumophila感染症が検索され、陽性の場合は単剤群にもマクロライドを併用した。アウトカムは、臨床的に安定が得られない患者の頻度とした(臨床的安定:治療7日目の脈拍<100/分、収縮期血圧>90mmHg、体温<38℃、呼吸数<24/分、酸素飽和度>90%[室内気])。

結果:
 治療7日後に、単剤群では291人中120人(41.2%)、併用群では289人中97人(33.6%)に臨床的安定が得られなかった(差7.6%, P = .07)。片側90%信頼区間上限は13.0%で、事前に規定した8%を超えていた。非定型病原菌に感染した患者(ハザード比0.33、95%信頼区間0.13~0.85)あるいはPSIカテゴリーIVの肺炎(ハザード比0.81、95%信頼区間0.59~1.10)は単剤治療ではより臨床的安定が達成しにくかった。一方で非定型病原菌に感染していない患者(ハザード比0.99; 95%信頼区間0.80-1.22)あるいはPSIカテゴリーI~IIIの肺炎(ハザード比1.06; 95%信頼区間0.82-1.36)は2群ともに同等のアウトカムであった。30日時点での再入院率は、単剤群で多かった(7.9% vs 3.1%, P = .01)。死亡率、ICU入室率、合併症、在院日数、90日以内の肺炎再発は両群ともに差はみられなかった。

結論:
 中等症の市中肺炎で入院した患者において、βラクタム単剤治療による非劣性は示されなかった。非定型病原菌あるいはPSIカテゴリーIVの肺炎では、単剤治療で臨床的安定は得られにくかった。


by otowelt | 2014-10-10 00:19 | 感染症全般

HIV感染症に関連した気流制限

e0156318_20133468.jpg 個人的にはAIDSと結核の合併しか診療しませんが、HIVについては一度しっかり勉強したいと考えています。

Calligaro GL, et al.
Lung function abnormalities in HIV-infected adults and children.
Respirology. 2014 Sep 23. doi: 10.1111/resp.12385. [Epub ahead of print]


概要:
 HIV感染症は成人・小児において慢性的な気流制限と呼吸機能障害のリスク因子と認識されるようになってきた。ウイルス要因(メタロプロテイナーゼ発現の増加)、免疫学的影響、結核などの日和見感染がその機序として考えられている。

HIVに伴う非感染性呼吸器疾患としては以下のものが挙げられる。
・COPD
・悪性腫瘍
 Kaposi肉腫
 AIDS関連リンパ腫
 非小細胞肺癌
・間質性肺疾患
 リンパ球性間質性肺炎
 NSIP
・HIV関連肺高血圧症
・HIV関連気管支拡張症
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(文献より引用)

・発展途上国では、新生児期を生存したHIV陽性の小児における慢性的な気流制限は、呼吸機能障害の主な原因である。
・この疾患の原因は多因子的である:閉塞性細気管支炎・気管支拡張症、有害な吸入抗原に対する感受性、免疫再構築症候群、慢性炎症
・抗レトロウイルス治療(ART)の遅延とコントロール不良のHIVウイルス複製は呼吸機能の減少と関連している。
・成人・小児においてHIVに関連する気流制限の薬学的マネジメントのデータはないが、早期にARTを受けること、コモンな呼吸器系病原微生物に対する幼少期の免疫構築、日和見感染症に対する抗菌薬の予防・迅速な治療は重要な予防戦略である。


by otowelt | 2014-10-09 00:46 | 感染症全般