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VAPと口腔ケア

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人工呼吸管理をするだけで、1日ごとに1%の肺炎リスクが
上昇すると言われている。

ICUにおける口腔ケアのVAP減少のエビデンスはあるのか??

Oral Care Reduces Incidence of Ventilator-Associated Pneumonia in ICU
Populations. Intensive Care Med 2006,32:230-236.




人工呼吸器関連肺炎(VAP)は致死率が高く、CDCは口腔ケアの
重要性を強調している。上記論文は、歯科医師がICU に介入して、
口腔ケアがVAP 予防に有効であるかを調査した結果、口腔ケアは
口腔内におけるVAP 原因菌を減少させ、ICU -VAP発症を減少
(ケア群3.9%VS非介入群10.4%)させ、VAP発症を減らすことが判明。


そのほかの論文として、DeRisoら(1996)は、ICU患者353例を対象に
無作為化比較試験を行い、「洗口30秒(0.12%クロルヘキシジン)
+標準的口腔ケア;1 日2回」によるケアで、呼吸器感染症の発生が
69%減少したことを報告した。

Stiefelら(2000)による非比較介入研究では、
「歯がある患者:小児用歯ブラシ、歯磨き粉、生理食塩液、
口腔保湿ゲルおよびリップクリーム(ワセリン);1日2回」
「歯がない患者:発泡スポンジブラシ、生理食塩液;2~6時間ごと」の
ケアによって口腔状態が改善し、ケアに要する時間が延長しないこと、
スポンジブラシ不使用によりコストが削減されることなどが示された。

Schlederら(2002)の検討は後向き観察研究であるが、4年間
人工呼吸器を装着しているICU患者10例において、
「吸引、吸引式歯ブラシによる歯と舌のブラッシング、
水とアルコールフリーの含嗽液、口腔保湿剤、リップクリーム」を用いたケア
によってVAPの頻度がプロトコール実施前5.6/1,000人工呼吸日数から
実施後は2.2/1,000人工呼吸日数に減少したことを示した。

Fourrierら(2000)の前向き無作為化介入試験では、ICU患者60例に
おいて、「重炭酸等張液で洗口後、0.2%クロルヘキシジンゲル;1日3回」
のケアによりデンタルプラークの減少、VAPの罹患密度減少、
院内感染の減少傾向が認められた。

そのため、今ではICUの口腔ケアは当たり前のものとなっている。

実際の口腔ケアは、基本的に、出血傾向がある患者以外は歯ブラシを用いて
ブラッシングを行う。口腔内細菌がバイオフィルムで保護されていることを
ふまえると、機械的な清掃を行うことが重要になる。
出血傾向や口腔粘膜に障害のある患者ではスポンジブラシを使用する。
ブラッシングの次に重要なのは洗浄で、ブラッシングにより歯面から
除去された細菌を洗い流す。洗浄液は、水道水を使用するが、蒸留水や
グルコン酸クロルヘキシジンが含まれる市販の洗口液でもよい。
洗浄液などは口腔内に残らないように、確実に吸引を行う。
そのほか、舌の清掃も行う。舌苔が多い場合は専用の舌ブラシを用いるのが
望ましいが、スポンジブラシでもよい。また、口腔ケアの前後には綿球で
口腔内を清拭しながら、ミラーを用いて口腔内のアセスメントを行う。


今月のJ Intensive Care Medより、
安価口腔ケアでも大丈夫との報告。

The Impact of a Simple, Low-cost Oral Care Protocol on Ventilator-associated Pneumonia Rates in a Surgical Intensive Care Unit
Journal of Intensive Care Medicine, Vol. 24, No. 1, 54-62 (2009)


目的:
 この研究の目的は、単純で安価な口腔ケアプロトコルが
 ICUにおけるVAPを予防できるのかどうかを調べたものである。
 24ベッド(surgical/trauma/burn ICU)にて実施。

患者:全員人工呼吸器を装着しておりICUに入室した患者。

介入:
 患者に0.7%モノフルオロリン酸ナトリウムペーストで歯磨きをおこない
 水で洗浄、引き続いて0.12%クロルヘキシジンを投与。
 これを1日2回おこなった。

結果:
 口腔ケアによって、4158ventilator daysのうち10の感染症が発生。
 これは1000 ventilator daysあたり2.4と比べると低い。
 つまりは平均よりも46%減少したことになる。(P = .04)
 コストはアメリカドルで有意に減少。

結論:
 単純で安価な口腔ケアプロトコルは、ICUにおけるVAPを予防できる。

by otowelt | 2009-03-18 08:44 | 感染症全般

造血器悪性疾患患者に対する侵襲性真菌感染症の予防:ドイツ血液腫瘍学会感染症ワーキンググループ


Primary prophylaxis of invasive fungal infections in patients with hematologic malignancies. Recommendations of the Infectious Diseases Working Party of the German Society for Haematology and Oncology.
Haematologica 94: 113-122, 2009


造血器悪性疾患では抗真菌剤の予防投与は広く認められていない。
レビュー委員は提案された提言について検討を行い、今回の提言を発表。
16922名の造血器悪性疾患患者を含む計86の研究が対象となった。
2-3の研究のみが他と異なる結果を述べていた。

①400mg/日のフルコナゾール投与は侵襲性真菌感染症の罹患率を下げ、
 重症GVHDを発症している同種移植患者とAML患者、MDS患者の
 侵襲性真菌感染症による死亡率、更には全体的な死亡率も下げていた。
②600mg/日のポサコナゾールはAML患者、MDS患者、GVHDを
 発症している同種移植患者に推奨される。
③フルコナゾール400mg/日はGVHDが発症するまでの同種移植患者の
 侵襲性真菌感染症予防に推奨される。
④リポゾーマルアンフォテリシンB吸入は好中球減少が長引いた症例の
 侵襲性真菌感染症予防に推奨される。

by otowelt | 2009-03-16 13:32 | 感染症全般

IDSAカンジダ感染症ガイドライン2009 


そういえば、3月にIDSAから
カンジダ感染症のガイドラインが発表されていた。
治療をまとめた表だけ読んだ。

Clinical Practice Guidelines for the Management
of Candidiasis: 2009 Update by the Infectious
Diseases Society of America.
Clinical Infectious Diseases 2009;48:503–535


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●カンジダ血症
・好中球減少がない患者
 第一選択
  フルコナゾール800mg (12mg/kg)ローディング後、
   400mg (6mg/kg)毎日
  あるいはエキノキャンディン(A-I)
 第二選択
  アムビゾーム3-5mg/kg毎日あるいはアムホテリシンB0.5–1mg/kg毎日
  あるいはボリコナゾール400mg (6mg/kg)1日2回2ドーズ後、
          200mg(3mg/kg)1日2回(A-I)

・好中球減少のある患者
 第一選択
  エキノキャンディンあるいはアムビゾーム3-5mg/kg毎日(A-II)
 第二選択
  フルコナゾール800mg(12mg/kg)ローディング後、400mg(6mg/kg)毎日
  あるいはボリコナゾール400mg (6mg/kg)1日2回2ドーズ後、
          200mg (3mg/kg)1日2回(B-III)

 コメント:
  フルコナゾールはglabrataでは半数が低感受性、
  kruseiではほとんど耐性であることから、エキノキャンディンあるいは
  アムホテリシンが使用される。特に好中球減少時には。
  ミカファンギン100mg/日とアンビゾーム3mg/kg/日は
  phaseⅢtrialではCandida血症の治療成績で有意差がなかった。

    Ernst-Rüdiger Kuse , et al. Lancet 2007; 369:1519-1527
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●カンジダ血症疑い 経験的治療
・好中球減少がない患者
 第一選択
  上記カンジダ血症と同じ。
 第二選択
  アムビゾーム3-5mg/kg毎日あるいはアムホテリシンB0.5–1mg/kg毎日(B-III)
  
・好中球減少のある患者
 第一選択
  アムビゾーム3-5mg/kg毎日
  あるいはカスポファンギン70mgローディング後、50mg毎日(A-I)
  あるいはボリコナゾール400mg (6mg/kg)1日2回2ドーズ後、
          200mg (3mg/kg)1日2回(B-I)
 第二選択
  フルコナゾール800mg(12mg/kg)ローディング後、400mg(6mg/kg)毎日
  あるいはイトラコナゾール200mg(3mg/kg)1日2回

※ほとんどの好中球減少患者で4日間発熱に対して
 抗菌薬治療を行ってもよくならないとき抗真菌薬の使用は妥当である。
※予防的にアゾールを使用していた患者に、アゾールを投与すべきではない。

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●尿路感染症
・無症状の膀胱炎
 新生児、好中球減少、妊婦、泌尿器手術前でなければ治療しない
 泌尿器手術前後では、フルコナゾール200-400mg(3-6mg/kg)毎日
 あるいはアムホテリシンB0.3-0.6mg/kg毎日 を数日間治療
・有症状の膀胱炎
 第一選択
  フルコナゾール200mg(3mg/kg)毎日 2週間投与(A-III)
 第二選択
  アムホテリシンB0.3-0.6mg/kgを1-7日間
  あるいはフルシトシン25mg/kg 1日4回を7-10日間(B-III)
・腎盂腎炎
 第一選択
  フルコナゾール200mg(3mg/kg)毎日 2週間投与(B-III)
 第二選択
  アムホテリシンB0.5-0.7mg/kg毎日
  あるいは5-FC 25mg/kg1日4回を加える
  あるいは5-FC単独2週間投与(B-III)
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●カンジダ膣炎
 局所療法あるいはフルコナゾール150㎎1回のみ(A-I)
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●カンジダが呼吸器検体から検出
 通常治療は必要ない(A-III)
Candida lower respiratory tract infection
is rare and requires histopathologic
evidence to confirm a diagnosis.

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●口腔内カンジダ症 7-14日間治療
 第一選択
  クロトリマゾール10mg×5回/日 内服
  あるいはナイスタチン(フロリードゲル)塗布
  あるいはフルコナゾール100-200mg毎日(A-I)中等症から重症例にすすめられる。
 第二選択
  イトラコナゾール200mg毎日
  あるいはポサコナゾール400mg1日1回(A-II)
  あるいはボリコナゾール200mg1日2回
  あるいはアムホテリシンB(ファンギゾンシロップ)経口
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●食道カンジダ症 14-21日間治療
 第一選択
  フルコナゾール200-400mg(3-6mg/kg)毎日(A-I)
  エキノキャンディン  
  あるいはアムホテリシンB(ファンギゾンシロップ)経口
 第二選択
  イトラコナゾール200mg毎日内服
  あるいはポサコナゾール400mg1日2回
  あるいはボリコナゾール200mg1日2回      
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※エキノキャンディンの用量は以下の通り:
 anidulafungin, 200-mg loading dose, then 100 mg/day;
 caspofungin, 70-mg loading dose, then 50 mg/day;
 micafungin, 100 mg/day.

by otowelt | 2009-03-15 16:08 | 感染症全般

CRP/neopterin比は細菌・ウイルス感染の鑑別に有用

Diagnostic utility of CRP to neopterin ratio in patients with acute respiratory tract infections. Journal of Infection Volume 58, Issue 2, February 2009, Pages 123-130
目的:
 neopterinとCRPの役割、その比率(C/N)が細菌感染あるいは
 ウイルス感染でどのように異なるか、急性呼吸器感染症への寄与について
 ERで考察。

方法:
 561人の患者で採血。プライマリアウトカムは、細菌orウイルス感染の診断一致。
 group1 :positive bacterial culture and mixed bacterial/viral growth
 group2 :virological aetiology
 group3 :unknown microbiological aetiology
 にカテゴライズして考察。

結果:
 C/N比はウイルスより細菌で10倍高値、健康成人より42倍高値であった。
 カットオフ値を>3とすると、細菌・ウィルスの診断についての
 感度および特異度は79.5%、81.5%であった。

結果:
 CRPおよびneopterinの測定は、細菌感染とウイルス感染の鑑別に有用。


ちなみに・・・・・・・・・・・・ネオプテリンとは
 ネオプテリンは,活性化されたT細胞から分泌されるγ-インターフェロンの
 刺激によりマクロファージから放出が増加することが知られており、
 T細胞-マクロファージ系の活性化の指標とされている

by otowelt | 2009-02-22 17:30 | 感染症全般

新規HIV感染者 過去最多


 厚生労働省エイズ動向委員会は18日、08年の国内の新規エイズウイルス(HIV)感染者報告数(速報値)を1113人と発表した。6年連続で過去最多を更新した。

 新規感染者のうち、1049人(94%)が男性。感染経路は、同性間の性的接触が約7割、異性間が約2割で他は不明など。年齢別では、20代が約3割、30代が約4割を占めているが、40代以上が前年より増加した。

 一方、08年の新規エイズ患者数(速報値)も432人で過去最多。患者数は05年に前年を下回ったが、その後は増加している。07年は速報値では前年を下回ったものの、確定値で上回った。

 08年10~12月の報告数では、新規感染者が292人で、四半期ベースで過去最多となった前期(08年7~9月)を2人下回った。(2009年2月18日 毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090218-00000055-yom-sci

by otowelt | 2009-02-22 17:09 | 感染症全般

フルコナゾール経口は静注よりシクロスポリン・タクロリムス血中濃度を上昇させる


Greater impact of oral fluconazole on drug interaction with intravenous calcineurin inhibitors as compared with intravenous fluconazole.
Eur J Clin Pharmacol 64:89-91, 2008


フルコナゾールとカルシニューリン阻害剤(シクロスポリン・タクロリムス)間の
相互作用が立証されているにも関わらず、フルコナゾールの投与方法の違い
がカルシニューリン阻害剤との相互作用にどういった影響を与えるについては
十分に解明されていない。

方法:
 同種造血幹細胞移植を施行された53例で、経静脈投与されている
 シクロスポリンまたはタクロリムスの血中濃度がフルコナゾールを
 経静脈投与から経口投与に切り替えた後、どのように変化するか、検討を加えた。

結果:
 フルコナゾールを経口投与に変えると、
 シクロスポリン・タクロリムスの血中濃度が有意に上昇。

結論:
 カルシニューリン阻害剤に対して、フルコナゾールは経静脈投与よりも経口投与
 の方がより血中濃度を高める影響が強い。フルコナゾール投与方法を変更する際は
 十分注意してシクロスポリンおよびタクロリムスの血中濃度モニタリングをする。

by otowelt | 2009-02-18 14:28 | 感染症全般

VAT(人工呼吸関連気管炎)


Ventilator-Associated Tracheobronchitis The Impact of Targeted Antibiotic Therapy on Patient Outcomes. CHEST February 2009 vol. 135 no. 2 521-528

VATとは、発熱・白血球上昇・膿性痰といった所見があり、細菌学的情報(Gram stain with bacteria and leukocytes, with either a positive semiquantitative or a quantitative sputum culture)が認められ、胸部レントゲン異常がみられない病態を指す。

バイオフィルムとは、微生物などがコロニー状に集まり、固体に付着した状態。
身近な物では水道管や掃除してない風呂場のタイル、川面の石の表面のヌルヌル。
体内では口の中の歯苔がバイオフィルムである。
バイオフィルムは緑膿菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、肺炎球菌、
う蝕原因菌のミュータンス連鎖球菌、歯周病原因菌のグラム陰性嫌気性桿菌と
唾液や組織液に含まれる糖タンパク質に由来するペリクル(獲得被膜)で構成。

バイオフィルムは抗生物質や免疫物質などの浸透を阻止し、破壊への抵抗性を示す。
除去には機械的除去しかない。
ICUの患者では、気管チューブや経鼻胃管を使用していると肺炎が多い。
口腔内に常在しているブドウ球菌、肺炎球菌、緑膿菌、肺炎桿菌は、
それらのカテーテルにバイオフィルムを形成し、そのバイオフィルム細菌が
カテーテルを介して呼吸器官に容易に入り込み、
人工呼吸器関連肺炎(ventilatorassociated pneumonia VAT)発症させる。

by otowelt | 2009-02-12 11:51 | 感染症全般

RSウイルスに対するパリビズマブのアウトブレイク予防の可能性

RSウイルスは小児病棟ではアウトブレイクの原因となる。
しばしばNICUでもアウトブレイクを引き起こす。
早産児や新生児に重大な影響を与える可能性があるため、注意が必要である。

RSウイルスの名の由来は、呼吸器(Respiratory)感染患者から分離され、感染細胞が
多核巨細胞(合胞体(Syncytium))を形成するという特徴から。
Mononegavirales門パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)の
Pneumovirus属に分類される。
パラミクソウイルス科に属するウイルスには、パラインフルエンザウイルス、
麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトメタニューモウイルスなど。
RSウイルスにはAとBの血清型があり(A型のほうが重症!)、
さらに各血清型に多くの遺伝子型が知られている。

紹介するのは
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 246-252

早産児1例からのRSウイルス検出後に、NICUでのアウトブレイクを
予防した経験を報告した論文。
すべての患児にパリビズマブ15 mg/kgを筋肉内投与したところ、
新規の発症はみられなかった。
従来の感染制御対策にパリビズマブを併用することにより、RSウイルス拡散を
予防できる可能性があるという報告。


・・・・ちなみに、RSウイルスの治療についての一般論。

1.β-blocker
乳幼児症例の50%では吸入β刺激剤に反応して症状改善するとされているが,
meta-analysesでは気管支拡張剤の効果には否定的な結果
 ・Hammer J; J. Pediatrics 1995; 127: p485
 ・Wainwright C; NEJM 2003; 349: p27
 ・Kellner JD; Cochrane 2000; CD001266

2005年の論文では気道RSウイルス感染症に対しては有効とされているものもある。
 ・BMC Pediatr 2005; 5:7.

2.ロイコトリエン拮抗薬
LT 受容体拮抗剤がRSV 細気管支炎の回復期における症状の軽快に有効で、
咳嗽や喘鳴の遷延を防ぐとの報告がある。
RSV 細気管支炎の病態はRSV 特異的IgE を介したⅠ型アレルギー反応
ではなく,自然免疫反応を介したものと理解されるが,局所におけるLT
の出現と作用が確認されていることから、LT受容体拮抗剤の効果は期待できる。

3.リバビリン(レベトール)
微小粒子のエアロゾルとして吸入で用いられる。多数のプラセボ対照研究において、
重症度の軽減と酸素飽和度の改善が認められているが、米国小児科学会では、
ハイリスクの患者においてのみ考慮されるべきであるとしている。
使用方法も煩雑であることから,最近は使用されなくなっている
 Cochrane Database Syst Rev 2004; :CD000181.
リバビリンと免疫グロブリンの併用で生存率は上昇する。
 Pharmacotherapy 2004; 24:932.

4.パリビズマブ(シナジス)
2001年、RSウイルス表面のエンベロープにあるF(Fusion)タンパク質を
特異的に認識するモノクローナル抗体製剤パリビズマブ(Palivizumab)(シナジス)
が承認。月1回 15mg/kgの筋注。
約1500人の乳幼児においての‘IMpact-RSV’スタディと呼ばれる研究では、
RSウイルス感染による入院が、プラセボ投与群で10.6%だったのに
対し、パリビズマブ投与群では4.8%と低かった。
 Pediatrics, September 1998;102:p.531-7.
ちなみに、価格は高い!
 50mg 79442円
 100mg 157709円

5.ステロイド
大規模meta-analysisでは、RSV感染症において
喘息などの閉塞性肺疾患を合併しない限りは、有用でないとされている。
 Cochrane Database Syst Rev 2004; 3:CD004878.

by otowelt | 2009-01-17 14:40 | 感染症全般

真菌関連喘息におけるイトラコナゾールの有用性


Ⅰ型アレルギー検査のために使用可能な皮膚テスト用真菌アレルゲンとして、
屋外空中飛散真菌として主要な菌種であるCladosporium、Alternaria、
Aspergillus、 Penicillium、Candidaの5種が広く臨床に使われている。
また、血中IgE 抗体測定が可能なアレルゲンとしては、これらに加えて
Malassezia(Pityrosporum), Mucor 等数種類がある。
近年、屋内環境中の真菌もアレルゲンとして重要であることが認識されており、
この論文では真菌感染がアレルゲンと思われる患者において、
抗真菌薬が喘息を改善させるかどうかをみたものである。

Randomized Controlled Trial of Oral Antifungal Treatment for Severe Asthma with Fungal Sensitization: The Fungal Asthma Sensitization Trial (FAST) Study. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2009; 179: 11-18.

皮膚テストあるいはRASTにおいて、
 Aspergillus fumigatus
 Cladosporium herbarum
 Penicillium chrysogenum (notatum)
 Candida albicans
 Trichophyton mentagrophytes
 Alternaria alternata
 Botrytis cinerea

のいずれか1種に陽性のステロイド依存性喘息に対して抗真菌剤の効果を検討した。

治療薬は、2 armで
oral itraconazole (200 mg twice daily) or placebo for 32 weeks
の比較検討。

結果として、抗真菌剤投与群の喘息症状は有意に改善した。

真菌に関係する喘息といえば、ABPAであるが
これ以外でははっきりとしたエビデンスはまだ存在しない。
この論文もそれをすっ飛ばして、治療の観点から入っているので
実際のところこの皮膚テストやRASTが陽性だからといって
抗真菌薬をホイホイと投与することはどうなのだろう・・・・

by otowelt | 2009-01-11 15:18 | 感染症全般

ICUの全死亡率に対するMRSA菌血症の寄与


ICUとMRSAは切っても切れない関係。

ICUなどのMRSA感染症のリスクの高い領域では、入院患者の保菌率と
感染症患者の発生率に相関があり、保菌検査は一定の意義を持つ。
(改訂された標準予防策、インフェクションコントロール、2004;13:520-522.)

保菌率が上昇している場合、感染対策を実行する。


Contribution of acquired meticillin-resistant Staphylococcus aureus bacteraemia to overall mortality in a general intensive care unit.
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 223-227


上記論文では、MRSA菌血症発生率はICU在室期間の延長に従って上昇し、
25日以上ICUに在室した198例の死亡率37.9%に対するMRSA菌血症の寄与は
3.1%(95%CI 1.1~5.7%)と推定された。
長期在室している患者の初期のMRSA保菌予防の重要性が考察されている。

by otowelt | 2009-01-08 23:17 | 感染症全般