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AIR-BX試験:非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入アズトレオナムは臨床的に有意な利益をもたらさない

e0156318_22435338.jpg 気管支拡張症に対する吸入抗菌薬としてはトブラマイシン、アミカシンあたりが呼吸内科的にメジャーですね。ATSでもシステマティックレビューが報告されています。
 そういえば、その後吸入マンニトールはどうなったのでしょう。

ATS2014:気管支拡張症に対する吸入抗菌薬のシステマティックレビュー
非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入ドライパウダーマンニトール(ブロンキトール®)の効果

Alan F Barker, et al.
Aztreonam for inhalation solution in patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis (AIR-BX1 and AIR-BX2): two randomised double-blind, placebo-controlled phase 3 trials
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 19 August 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70165-1


背景:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者における吸入抗菌薬の臨床的利益はランダム化比較試験では確率されていない。われわれは、非嚢胞性線維症の気管支拡張症およびグラム陰性菌コロナイゼーションのある患者に対するアズトレオナム吸入の効果と安全性をアセスメントした。

方法:
 AIR-BX1およびAIR-BX2は二重盲検多施設共同ランダム化プラセボ対照第3相試験で、18歳以上の喀痰あるいは気管支鏡のグラム陰性菌の培養が陽性となった気管支拡張症患者を登録した。患者はランダムに1:1にアズトレオナムあるいはプラセボの吸入を受ける群に割り付けられた。
 両試験では、4週間のアズトレナム75mgあるいはプラセボ吸入治療(1日3回、ネブライザー使用)を2セット行い、その後4週間フォローアップした。プライマリエンドポイント治療後4週時点での気管支拡張症QOL呼吸器症状スコア(QOL-B-RSS)のベースラインからの変化とした。

結果:
 AIR-BX1試験では47病院、AI-BX2試験では65病院から患者を登録した。試験は2011年4月25日から2013年7月1日まで実施された。
 AIR-BX1試験では、348人の患者がスクリーニングされた。134人がアズトレオナム群に、132人がプラセボ群に割り付けられた。AIR-BX2試験では404人の患者がスクリーニングされた。136人がアズトレオナム群へ、138人がプラセボ群に割り付けられた。
 4週時点でのアズトレオナムとプラセボの間のベースラインからの平均QOL-B-RSSの差はAIR-BX1試験では有意ではなかった(0.8、95%信頼区間−3.1 to 4.7、 p=0.68)。しかしAIR-BX2試験では有意な差がみられた(4.6, 95%信頼区間1.1 to 8.2, p=0.011)。4週時点での後者試験の4.6ポイントという数字は、臨床的に有意とは考えられなかった。
 両試験において治療関連有害事象はアズトレオナム群で多くみられた。最もよくみられたのは呼吸困難感、咳嗽、喀痰の増加であった。

結論:
 QOL-B-RSSをアウトカムに設定した場合、非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者に対するアズトレオナム吸入は臨床的に有意な利益をもたさなかった。プラセボ対照試験において吸入抗菌薬の臨床的利益のエビデンスを蓄積していく必要があるだろう。


by otowelt | 2014-09-02 00:20 | 感染症全般

Streptococcal Toxic Shock Syndromeに対する免疫グロブリン大量療法とクリンダマイシンは予後を改善

e0156318_23184679.jpg 当たり前ですが、IVIGの量は日本よりもかなり多いです。

Anna Linnér, et al.
Clinical Efficacy of Polyspecific Intravenous Immunoglobulin Therapy in Patients With Streptococcal Toxic Shock Syndrome: A Comparative Observational Study
Clin Infect Dis. (2014) 59 (6): 851-857. doi: 10.1093/cid/ciu449


背景:
 Streptococcal toxic shock syndrome (STSS)および壊死性筋膜炎はA群溶連菌(GAS)による最重症型の感染症である。免疫グロブリン(IVIG)治療は死亡率に対して有益な付加的な治療とされてきた。しかしながら、臨床的エビデンスは限られている。われわれは、STSS患者における比較観察研究においてIVIG治療の有効性を調べた。

方法:
 2002年4月から2004年12月まで実施されたスウェーデンのサーベイランス研究において、GASによるSTSSに対するIVIGの効果をプロスペクティブに評価した。症状、疾患重症度、治療、アウトカムが67人の患者から抽出された。

結果:
 23人の患者がIVIG治療を受け、44人が受けなかった。合併症、疾患重症度、臓器不全、性別には差はみられなかったが、IVIG群の患者は非使用者と比べて年齢が若く壊死性筋膜炎の合併が多かった(56% vs 14%)。また手術を受けた患者やクリンダマイシン使用患者はIVIG群で多くみられた。
 28日時点での生存を予測する因子として、単変量解析ではSPAS II(オッズ比1.05)、クリンダマイシン使用(オッズ比7.5)、IVIG(オッズ比6.7)、外科手術(オッズ比4.4)が得られた。多変量解析では、SAPS II(オッズ比1.1)、クリンダマイシン使用(オッズ比8.6)、IVIG(オッズ比5.6)は有意な生存予測因子であった。
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(文献より引用)

 壊死性筋膜炎のない患者(48人)でも同様の解析をおこなったところ、クリンダマイシン使用は有意な生存予測因子であった。統計学的に有意ではないものの、IVIGも改善の傾向がみられた。

 IVIGによる恩恵は80歳未満の患者に有意にみられた(Post hoc)。
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(文献より引用)

結論:
 GASによるSTSSに対して、IVIGとクリンダマイシンの使用は良好な予後に関連していた。


by otowelt | 2014-08-30 00:41 | 感染症全般

アメリカではインフルエンザに対して抗ウイルス薬処方が少ない?

e0156318_22395783.jpg インフルエンザの臨床試験にはてんで疎いので、イムノクロマトグラフィーと思って読んでいたら、診断はRT-PCRなのですね。ちなみに日本では、たとえ迅速キットが陰性でも臨床診断でタミフルがよく処方されている気がします。

Fiona Havers, et al.
Use of Influenza Antiviral Agents by Ambulatory Care Clinicians During the 2012–2013 Influenza Season
Clin Infect Dis. (2014) 59 (6): 774-782. doi: 10.1093/cid/ciu422


背景:
 インフルエンザの早期の抗ウイルス治療(発症から2日以内)は、インフルエンザに関連した合併症発生を減らす(かもしれない)。重症度にかかわらず、高い合併症リスクを有するインフルエンザ感染疑いの患者には早期のエンピリックな抗ウイルス治療が推奨されている(MMWR Recomm Rep 2011; 60:1–24.)。インフルエンザの外来患者で抗微生物治療を受けた者を対象とした。

方法:
 2012~2013年シーズンにおいて、アメリカの当該研究参加施設の外来を受診した患者データを解析した。7日以下の咳嗽症状を有する生後6ヶ月以上の患者を対象とした。全例インフルエンザがRT-PCRで検査された。
 原文:Respiratory specimens were tested for influenza viruses by PCR; all sites used the same assays. At 1 of the 5 network sites, study laboratory test results were provided to clinicians by email, usually within 24–48 hours of participant enrollment. PCR results were not available to clinicians at other sites, although clinicians may have had access to rapid influenza diagnostic tests or other tests not performed as part of the study protocol.
 病歴および処方情報は、診療録や処方録から得た。参加施設のうち4施設については一般抗菌薬(アモキシシリン/クラブラン酸、アモキシシリン、アジスロマイシン)の処方データも抽出した。

結果:
 急性呼吸器症状を呈した6766人のうち、509人(7.5%)が抗ウイルス薬の処方を受けた。全体のうち2366人(35%)がPCRで確定診断のついたインフルエンザであり、そのうち355人(15%)しか抗ウイルス薬の処方を受けていなかった。
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(文献より引用)

 合併症の高リスクと考えられる患者(2歳未満や65歳以上、慢性疾患を有する患者)1021人においても抗ウイルス薬を処方されたのは195人(19%)にとどまった。
 上述した3種類の抗菌薬の処方頻度については、1825人中540人(30%)と抗ウイルス薬よりは高率に処方されていた(vs 16%)。

結論:
 インフルエンザに対して抗ウイルス薬が有効と考えられる患者においても抗ウイルス薬はあまり処方されておらず、むしろ抗菌薬が処方されることが多かった。


by otowelt | 2014-08-29 00:50 | 感染症全般

システマティックレビュー:ペニシリン・セファロスポリンとカルバペネムの交差反応

e0156318_9465048.jpg ペニシリンとカルバペネムの交差反応は5~10%であると研修医の頃に習った覚えがあります。今回のシステマティックレビューでは何かしらの過敏反応を呈したのが4.3%、IgEを介した反応に限るのであれば2.4%と報告されています。
 I型アレルギーの発症だけは注意して回避したいところですが、安易にアレルギーとカルテに記載して将来デメリットを被ることにも配慮しなければなりません。

Brittany Kula, et al.
A systematic review: Can one prescribe carbapenems to patients with IgE-mediated allergy to penicillins or cephalosporins?
Clin Infect Dis. first published online July 21, 2014


背景:
 βラクタム系抗菌薬であるペニシリン・セファロスポリンとカルバペネムの間には交差反応が懸念されているが、それが本当にIgEを介した交差反応をみているのかはわかっていない。

方法:
 小児と成人において、ペニシリンやセファロスポリンによってIgEを介した過敏症を起こしたあとカルバペネムに変更した患者データを収集し、システマティックレビューを実施した。反応は、IgEを介した反応が明らかなもの、IgEを介した反応が疑わしきものあるいはその可能性が高いもの、IgEを介した反応ではないものに分類した。

結果:
 10試験(4試験はレトロスペクティブデザイン)・12症例報告が適格基準を満たした。合計854人の患者が登録された。使用されたカルバペネムはほとんどがイミペネムかメロペネムであった。
 ペニシリンによるIgEを介した反応が過去に確定している、疑わしきものあるいはその可能性が高いものが838人であった。そのうち、カルバペネムが投与されて何かしらの過敏反応が疑われたのは36人(4.3%、95%信頼区間3.1~5.9)であった。IgEを介した反応が疑われたのは20人(2.4%、95%信頼区間1.6- 3.7%)だった。ペニシリンによるスキンテストが陽性だった患者(295人)のうち、1人だけが過敏反応を起こした(0.3%; 95%信頼区間0.06- 1.9%)。これはIgEを介した反応の可能性が高いと判断された。
 セファロスポリンによるIgEを介した反応が過去に確定している、疑わしきものあるいはその可能性が高いものと考えられた12人のうち、3人(25%)がカルバペネムにも何らかの過敏反応を示した。そのうち2人はIgEを介していない過敏反応と考えられた。

結論:
 ペニシリンとカルバペネムの間にIgEを介した交差反応の存在はかなりまれであると考えられるが、懸念事項には違いない。セファロスポリンとカルバペネムの間の交差反応の頻度は多かったが、有用なデータが限られていた。
 

by otowelt | 2014-08-07 00:08 | 感染症全般

外傷性脳損傷患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンは院内肺炎の発症を抑制できず

e0156318_22262163.jpg CRASH試験(Lancet. 2004; 364: 512-520)ではステロイドの投与は死亡リスクや院内肺炎の頻度を上昇させたことが有名です。しかしながら、HYPOLYTE試験(JAMA 2011; 305: 1201-1209)では副腎機能が正常化した時点でステロイドを中止しているためか、院内肺炎の頻度を下げたと報告されています。
 今回のLancet Respiratory Medicineの報告は、HYPOLYTE試験と同じくサンプルサイズが小さい点がlimitationとなりました。

Karim Asehnoune, et al.
Hydrocortisone and fludrocortisone for prevention of hospital-acquired pneumonia in patients with severe traumatic brain injury (Corti-TC): a double-blind, multicentre phase 3, randomised placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 24 July 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70144-4


背景:
 外傷性脳損傷後の院内肺炎:(Hospital-acquired pneumonia)はよくみられる病態であり、脳外傷による副腎機能不全が部分的に関与している可能性が示唆されている。われわれは、低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンが院内肺炎を予防する効果があるかどうか検証した。

方法:
 われわれは二重盲検第III相プラセボ対照試験をフランスの19のICUで実施した。重症外傷性脳損傷(GCS8点以下で頭部CTで脳損傷が確認できるもの)をきたした15~65歳の患者を登録した。患者はランダムに1:1にヒドロコルチゾン200mg/日(その後漸減)+フルドロコルチゾン50μg/日あるいはプラセボに10日間割り付けた。薬剤投与前に、副腎機能がコルチコトロピンテストによって調べられた。ステロイドおよびプラセボは副腎機能不全がなくなれば中止とした。
 プライマリアウトカムはランダム化から28日以内の院内肺炎の発症とした。ITT解析および副腎機能不全患者のみを含めた修正ITT解析をおこなった。

結果:
 2010年9月1日から2012年11月29日まで、われわれは336人の患者を登録した(168人ずつ各群割り付け)。8人の患者が同意を撤回した。28日時点で、ステロイド投与群の165人中74人(45%)およびプラセボ群の163人中87人(53%)が1回以上の院内肺炎を発症した(ハザード比0.75; 95%信頼区間0.55—1.03, p=0.07)。ITT解析において、われわれはステロイド群で86の院内肺炎エピソードを、プラセボ群で110の院内肺炎エピソードを記録した(1患者あたり発症数中央値:0, IQR 0—1 vs 1, IQR 0—1 , p=0.07)。修正ITT解析では、副腎機能不全のある患者においてプラセボ群と比較したステロイド群の院内肺炎のハザード比は0.80 (95%信頼区間0.56—1.14, p=0.22)で、副腎機能が正常の患者における探索的解析ではハザード比0.48 (95%信頼区間0.23—1.01; p=0.05)であった。治療による有害事象は観察されなかった。

結論:
 外傷性脳損傷の患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンはアウトカムを改善させなかった。しかしながら、プラセボ群における院内肺炎の患者が想定よりも少なく、研究自体が検定力不足であった。結果は統計学的に有意に近いものであり、さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2014-08-06 00:50 | 感染症全般

アスペルギローマのサイズと血痰は関連

e0156318_2212077.jpg アスペルギローマに関するレトロスペクティブな観察研究です。実臨床で抱くイメージに近い結果となっています。

Jung-Kyu Lee, et al.
Clinical course and prognostic factors of pulmonary aspergilloma
Respirology, in press, DOI: 10.1111/resp.12344


背景および目的:
 肺アスペルギローマの自然経過におけるサイズの変化に着目したデータは限られている。われわれはこの研究において、サイズの変化を通して肺アスペルギローマの臨床経過や予後について解明することを目的とした。

方法:
 肺アスペルギローマの成人患者143人を多施設共同レトロスペクティブ観察研究で同定した。アスペルギローマのサイズの変化を胸部CTで追った。空洞や主流のサイズの変化を通した臨床経過および血痰のリスクを評価した。

結果:
 フォローアップ期間中央値は5.1年であった。アスペルギローマのサイズは全体の39.2%で変化した。アスペルギローマの容量減少は13.3%、増大は25.9%にみられた。容量が減少した患者は有意にCRPが高く、より気管支拡張症が重度で陳旧性結核病巣を有していた。
 臨床的に有意な血痰は50.3%の患者に観察され、これは空洞のサイズやアスペルギローマの腫瘤サイズの大きさと関連していた。しかし、サイズの経時的変化とは関連していなかった。
 平均空洞径>22mm、腫瘤径>18mmの場合、血痰のリスクが増加した。

結論:
 われわれの研究では肺アスペルギローマのサイズが変化する患者が相当数存在した。臨床的に有意な血痰は空洞やアスペルギローマ腫瘤のサイズの大きさに関連していた。


by otowelt | 2014-07-22 00:44 | 感染症全般

高齢の肺炎患者においてアジスロマイシンを含む抗菌薬治療は90日死亡率を減少

e0156318_1292947.jpg 入院患者さんにおけるアジスロマイシンの点滴は、日本の場合溶媒の輸液量が少しネックになっています。

Eric M. Mortensen, et al.
Association of Azithromycin With Mortality and Cardiovascular Events Among Older Patients Hospitalized With Pneumonia
JAMA. 2014;311(21):2199-2208. doi:10.1001/jama.2014.4304


背景:
 入院を要する肺炎患者では、ガイドラインにおいてアジスロマイシンを含むマクロライド系抗菌薬の併用が推奨されているが、近年の研究によってアジスロマイシンが心血管系のイベントを増加させるのではないかという懸念が浮上している。

目的:
 肺炎で入院した患者において、アジスロマイシンの使用と全死因死亡率および心血管系イベントの関連を調べること。

デザイン・方法:
 肺炎で入院した高齢患者におけるレトロスペクティブコホート研究。アジスロマイシンを処方された群とその他のガイドライン推奨治療を行われた群とを比較した。患者は65歳以上の入院を要する肺炎患者とし、抗菌薬の使用は当該ガイドラインに準ずるものとした。アウトカムは30日および90日時点での全死因死亡率、90日時点での不整脈、心不全、心筋梗塞、そのほか心血管系イベントの発生とした。傾向スコアでマッチングした患者に条件付きロジスティック回帰分析を行った。

結果:
 118病院から73690人の患者が登録された。アジスロマイシン処方を受けた既往がある31863人と同処方既往のないマッチ患者31863人が解析対象となった。2群において潜在的交絡因子に差はみられなかった。90日死亡率はアジスロマイシンを処方された患者で有意に低かった(17.4% vs 22.3%; オッズ比0.73; 95%信頼区間0.70-0.76)。しかしながら、心筋梗塞については有意に多かった(5.1% vs 4.4%; オッズ比1.17; 95% CI, 1.08-1.25)。他の心血管系イベント(43.0% vs 42.7%;オッズ比1.01; 95%信頼区間0.98-1.05), 不整脈(25.8% vs 26.0%; オッズ比0.99; 95%信頼区間 0.95-1.02), 心不全(26.3% vs 26.2%; オッズ比1.01; 95%信頼区間0.97-1.04)には統計学的な差は観察されなかった。
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(文献より引用)

結論:
 肺炎で入院した高齢患者に対するアジスロマイシンを含む抗菌薬治療は、他の抗菌薬治療と比較して90日死亡率が低かったが、心筋梗塞のリスクはやや上昇した。


by otowelt | 2014-06-12 11:37 | 感染症全般

喫煙は肺炎球菌性肺炎の死亡リスクを上昇

e0156318_22543726.jpg 「喫煙はすべての呼吸器疾患のリスクと言っても過言ではないと思います」と書こうと思いましたが、過敏性肺炎に関してはリスクを下げるという報告もあることを思い出しました。

Salvador Bello, et al.
TOBACCO SMOKING INCREASES THE RISK OF DEATH FROM PNEUMOCOCCAL PNEUMONIA
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2853


背景:
 喫煙は市中肺炎や侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)のリスクを上昇させるが、肺炎球菌によるCAPのアウトカムにおいてその死亡にもたらす影響についてはよくわかっていない。この研究の目的は、肺炎球菌によるCAPの死亡率に現在の喫煙ステータスがどういった影響をもたらすか調べることである。

方法:
 われわれは多施設共同プロスペクティブ観察コホート研究を4288のCAP症例を用いて実施した。この研究は892人の肺炎球菌によるCAP患者を登録した。そのうち204人(22.8%)が現喫煙者、387人(43.4%)が非喫煙者、301人(33.7%)が既往喫煙者であった。

結果:
 30日時点での死亡率は3.9%であった。喫煙者別の内訳は、現喫煙者4.9%、非喫煙者4.3%、既往喫煙者2.6%であった。現喫煙CAP患者はより若く(51歳 vs 74歳)、またアルコール乱用者が多く、心疾患・腎疾患・気管支喘息は少なかった。現喫煙者はCURB65が低かったが、40%が診断時に重症敗血症を呈していた。年齢、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、合併症などの複数の項目で補正した後も、現喫煙は肺炎球菌によるCAPの30日死亡の独立リスク因子であった(オッズ比5.0; 95%信頼区間 1.8-13.5; p=0.001)。
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(文献より引用)

結論:
 現喫煙者における肺炎球菌によるCAPは、重症敗血症を呈し若年例が多いが、合併症は比較的少なかった。喫煙は30日死亡のリスク因子であった。


by otowelt | 2014-06-05 00:17 | 感染症全般

再発C.difficile感染症に対する凍結糞便を用いた糞便微生物移植の有効性

e0156318_1654535.jpg すっかりC. difficile感染症の治療でおなじみになった糞便微生物移植のうち、凍結糞便を用いた注入法の報告です。 
 Discussionに興味深い一文がありました。

“We are now studying oral delivery of frozen encapsulated material as the next logical step in making FMT more accessible to patients.”

Ilan Youngster, et al.
Fecal Microbiota Transplant for Relapsing Clostridium difficile Infection Using a Frozen Inoculum From Unrelated Donors: A Randomized, Open-Label, Controlled Pilot Study
Clin Infect Dis. (2014) 58 (11): 1515-1522. doi: 10.1093/cid/ciu135


背景:
 通常の治療でも効果がみられない再発性のClostridium difficile感染症(CDI)に対する治療に関心が集まっている。われわれは、再発性CDIに対して他人の凍結糞便を用いた糞便微生物移植(fecal microbiota transplant:FMT)を大腸内視鏡的および経鼻胃管の2治療で比較した。

方法:
 凍結糞便は健康な成人から得られた。再発性および治療不応性CDI患者はランダムに大腸内視鏡および経鼻胃管によって糞便を投与される群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは8週間後時点における下痢の臨床的軽快とした。セカンダリエンドポイントは自己申告の健康スコアとした。
 糞便提供者(ドナー)は外傷以外にいかなる既往歴も有さない健康な成人とした。糞便採取前にマグネシアミルクを飲んでもらった。糞便懸濁液は、防腐剤を用いずに生理食塩水とブレンダーで混合した。その後、粒子状物質を除去した。遠心分離によって3倍に濃縮し、10%グリセロールで滅菌生理食塩水に再懸濁として添加した。その後-80℃に凍結した。

結果:
 20人の患者が登録され、10人ずつ各々の治療群に割り付けられた。患者は治療介入前に中央値で4回(range:2~16回)の再発を経験していた。1回のFMTによって下痢の軽快は14人(70%)で得られた(大腸内視鏡10人中8人、経鼻胃管10人中6人)。5人が再度FMT治療を受け、4人が軽快したため、全体としてFMTによる治癒率は90%となった。排便回数も治療前は中央値7回(IQR5~10)であったものが、治療後2回(IQR1~2)に減少した。また、自己申告健康スコアは有意に改善した。
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(文献より引用)

結論:
 凍結糞便を用いたFMTは再発性CDIに有効である。経鼻胃管からの投与は大腸内視鏡的投与と同等の効果が得られた。


by otowelt | 2014-05-27 00:26 | 感染症全般

HIV感染患者における市中肺炎とニューモシスティス肺炎を鑑別する因子

e0156318_1753714.jpg HIVの患者さんが肺炎を起こした場合には、常にニューモシスティス肺炎やは肺結核を念頭に置かねばなりません。日本では「ニューモシスス肺炎」と記載するのが正しいようですが、私は「ニューモシスティス肺炎」と記載しています。「ロマンック」と書くよりも「ロマンティック」と書く方が好きですね。

Catia Cilloniz, et al.
Community-acquired lung respiratory infections in HIV-infected patients: microbial aetiology and outcome
ERJ February 13, 2014 erj01558-2013


背景および目的:
 われわれはHIVに感染した患者の市中肺炎(CAP)の疫学、Pneumocystis jiroveciiによるCAPのリスク因子、30日死亡を予測する予後因子を記載する。

方法:
 これはHIVに感染した成人CAP患者を連続331人登録した(2007年1月から2012年7月まで)。

結果:
 128人(39人)の患者がCD4陽性細胞数200/mm3未満、99人(43%)がHIV RNA200コピー/mL未満であった。
 CD4陽性細胞数200/mm3以上の患者ではStreptococcus pneumoniaeが最もよくみられた。200/mm3未満およびHIV RNA200コピー/mL未満の患者ではP. jiroveciiが最もよくみられた。
 細菌性CAPを予測する因子としては、5日以下の症状(オッズ比2.6, 95%信頼区間1.5–4.4), CRP22 mg/dL以上(オッズ比4.3, 95%信頼区間2.3–8.2)、HCV共感染(オッズ比2.3, 95%信頼区間1.4–3.9)が挙げられる。白血球4×1012/L以下(オッズ比3.7, 95%信頼区間1.2–11.5), LDH598 U/L以上(オッズ比12.9, 95%信頼区間4.2–39.7)、多葉にわたる病変(オッズ比5.8, 95%信頼区間1.9–19.5)はP. jiroveciiによる肺炎を予測した。全体で30日死亡率は7%だった。
 適切な抗菌薬治療(オッズ比0.1, 95%信頼区間0.03–0.4), LDH598 U/L以上(オッズ比6.2, 95%信頼区間1.8–21.8)、人工呼吸器装着(オッズ比22.0, 95%信頼区間6.2–78.6)は30日死亡率を独立して予測した。
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(文献より引用)

結論:
 ある種の予測因子を用いれば、HIV感染症のある成人患者において、細菌性およびP. jiroveciiによる肺炎を鑑別することが可能かもしれない。


by otowelt | 2014-02-27 00:26 | 感染症全般