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呼吸器疾患患者における侵襲性肺アスペルギルス症の診断パフォーマンス

e0156318_1939242.jpg ガラクトマンナン抗原とラテラルフローの感度・特異度がまあまあよいようです。β-Dグルカンは予想通りの結果です。

Juergen Prattes, et al.
Novel Tests for Diagnosis of Invasive Aspergillosis in Patients with Underlying Respiratory Diseases
Am J Respir Crit Care Med. First published online 09 Sep 2014


目的:
 侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)は、呼吸器疾患も含め好中球の減少していない病態でも発生しうる。われわれは、呼吸器疾患のある患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)検体を通常培養するとともに、BALFガラクトマンナン、1,3-β-Dグルカン、アスペルギルス特異的ラテラルフローの診断的パフォーマンスを調べた。

方法:
 基本的な登録患者は18歳超の呼吸器疾患患者で気管支鏡を受けた者である。呼吸器疾患のある221人の患者から得られた268のBALF検体を解析した。ただし、血液悪性腫瘍や過去に臓器移植を受けた患者は除外した。オーストラリアのGraz大学病院において2012年2月~2014年5月に実施した。IPAは 改訂版EORTC/MSG基準(Clin Infect Dis. 2008; 46: 1813-1821.)を用いた。

結果:
 診断時、ほとんどの患者が広域抗菌薬を使用していた。最も多い基礎疾患はCOPDだった。
 31人(14%)の患者がprobableあるいはproven IPAと診断され、25人がpossible IPA、残りの165人はIPAと診断されなかった。probable/proven IPAは32%と有意に30日死亡率が高かった(p=0.034)。
 感度、特異度、診断的オッズ比はガラクトマンナン(カットオフ値0.5: 0.97, 0.81, 124.4、カットオフ値1.0: 0.97, 0.93, 422.1、カットオフ値3.0: 0.61, 0.99, 109.8)、β-Dグルカン(カットオフ値80pg/ml: 0.90, 0.42, 6.57、カットオフ値200pg/ml: 0.70, 0.61, 3.7)、ラテラルフローデバイス(0.77, 0.92, 41.8)、培養(0.29, 0.97, 14)でばらつきがみられた。
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(文献より引用:非IPAと比較したproven/probable IPAの診断パフォーマンス)

 proven/probable IPAと非IPAの鑑別におけるROC-AUCは、ガラクトマンナンは0.965(95%信頼区間0.935 – 0.996)、β-Dグルカン0.752 (95%信頼区間0.662 – 0.842)であった。
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(文献より引用)

結論:
 probableあるいはproven IPAはわれわれの集団では14%にみられ、これは有意に高い30日死亡率と関連していた。β-Dグルカンのパフォーマンスは低い特異性であり、培養も感度が低かった、その一方でアスペルギルスラテラルフローデバイスはガラクトマンナンの代替として使用可能である。


by otowelt | 2014-09-25 00:54 | 感染症全般

アネメトロ 9月26日発売

 本日、ファイザーからプレスリリースが出ています。

嫌気性菌感染症治療剤「アネメトロ®点滴静注液500mg」9月26日に新発売

 アネメトロについてはご存知の方も多いと思いますが、発売日は9月26日です。特に消化器系の先生は待ち望んでいた注射製剤でしょうか。

by otowelt | 2014-09-19 17:47 | 感染症全般

気管支拡張症に対するアジスロマイシンは喀痰量、QOLを改善

e0156318_2302539.jpg 呼吸器内科医としては、アジスロマイシンの長期投与の弊害がどこまであるのかが注目点です。まだ気管支拡張症に対してマクロライドを長期処方したことはありません。
 気管支拡張症に対するアジスロマイシンについては2012年のEMBRACE試験(Lancet. 2012 Aug 18;380(9842):660-7. )や2013年のBAT試験(JAMA. 2013 Mar 27;309(12):1251-9. )が有名です。

Albert I. Lourdesamy Anthony, et al.
Efficacy of azithromycin in the treatment of bronchiectasis
Respirology, Article first published online: 2 SEP 2014


背景および目的:
 われわれは成人の気管支拡張症に対して、12週間におよぶアジスロマイシンの効果を評価した。この研究の目的は、治療によって喀痰の量を減少させQOLを向上させることを証明することと、治療中止後どのくらい効果が続くかを調べることである。

方法:
 本研究において、胸部HRCTで気管支拡張症と診断された78人の患者を登録した。患者は、2週間のrun in periodの後、ランダムに経口アジスロマイシンあるいはプラセボを12週間投与され、さらにその後両群ともにプラセボを12週間投与されフォローアップされた。喀痰量、SGRQスコア、呼吸機能検査がベースライン、12週目、24週目に評価された。エンドポイントはベースラインと追跡最終時で比較された。

結果:
 68人の患者が解析に登録された。平均24時間喀痰量は、治療中だけでなくその後のプラセボ相においても有意に減少した(いずれもP < 0.01)。アジスロマイシン群において12週目、24週目の平均SGRQスコアは有意に減少した。呼吸機能については治療および治療後のいずれにおいても、両群ともに維持されていた。
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(文献より引用)

結論:
 気管支拡張症に対する12週間のアジスロマイシンは喀痰量、健康ステータス、呼吸機能の安定に寄与した。喀痰量の減少とQOLの改善はアジスロマイシンが終了してから12週間維持された。


by otowelt | 2014-09-17 00:31 | 感染症全般

AIR-BX試験:非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入アズトレオナムは臨床的に有意な利益をもたらさない

e0156318_22435338.jpg 気管支拡張症に対する吸入抗菌薬としてはトブラマイシン、アミカシンあたりが呼吸内科的にメジャーですね。ATSでもシステマティックレビューが報告されています。
 そういえば、その後吸入マンニトールはどうなったのでしょう。

ATS2014:気管支拡張症に対する吸入抗菌薬のシステマティックレビュー
非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入ドライパウダーマンニトール(ブロンキトール®)の効果

Alan F Barker, et al.
Aztreonam for inhalation solution in patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis (AIR-BX1 and AIR-BX2): two randomised double-blind, placebo-controlled phase 3 trials
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 19 August 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70165-1


背景:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者における吸入抗菌薬の臨床的利益はランダム化比較試験では確率されていない。われわれは、非嚢胞性線維症の気管支拡張症およびグラム陰性菌コロナイゼーションのある患者に対するアズトレオナム吸入の効果と安全性をアセスメントした。

方法:
 AIR-BX1およびAIR-BX2は二重盲検多施設共同ランダム化プラセボ対照第3相試験で、18歳以上の喀痰あるいは気管支鏡のグラム陰性菌の培養が陽性となった気管支拡張症患者を登録した。患者はランダムに1:1にアズトレオナムあるいはプラセボの吸入を受ける群に割り付けられた。
 両試験では、4週間のアズトレナム75mgあるいはプラセボ吸入治療(1日3回、ネブライザー使用)を2セット行い、その後4週間フォローアップした。プライマリエンドポイント治療後4週時点での気管支拡張症QOL呼吸器症状スコア(QOL-B-RSS)のベースラインからの変化とした。

結果:
 AIR-BX1試験では47病院、AI-BX2試験では65病院から患者を登録した。試験は2011年4月25日から2013年7月1日まで実施された。
 AIR-BX1試験では、348人の患者がスクリーニングされた。134人がアズトレオナム群に、132人がプラセボ群に割り付けられた。AIR-BX2試験では404人の患者がスクリーニングされた。136人がアズトレオナム群へ、138人がプラセボ群に割り付けられた。
 4週時点でのアズトレオナムとプラセボの間のベースラインからの平均QOL-B-RSSの差はAIR-BX1試験では有意ではなかった(0.8、95%信頼区間−3.1 to 4.7、 p=0.68)。しかしAIR-BX2試験では有意な差がみられた(4.6, 95%信頼区間1.1 to 8.2, p=0.011)。4週時点での後者試験の4.6ポイントという数字は、臨床的に有意とは考えられなかった。
 両試験において治療関連有害事象はアズトレオナム群で多くみられた。最もよくみられたのは呼吸困難感、咳嗽、喀痰の増加であった。

結論:
 QOL-B-RSSをアウトカムに設定した場合、非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者に対するアズトレオナム吸入は臨床的に有意な利益をもたさなかった。プラセボ対照試験において吸入抗菌薬の臨床的利益のエビデンスを蓄積していく必要があるだろう。


by otowelt | 2014-09-02 00:20 | 感染症全般

Streptococcal Toxic Shock Syndromeに対する免疫グロブリン大量療法とクリンダマイシンは予後を改善

e0156318_23184679.jpg 当たり前ですが、IVIGの量は日本よりもかなり多いです。

Anna Linnér, et al.
Clinical Efficacy of Polyspecific Intravenous Immunoglobulin Therapy in Patients With Streptococcal Toxic Shock Syndrome: A Comparative Observational Study
Clin Infect Dis. (2014) 59 (6): 851-857. doi: 10.1093/cid/ciu449


背景:
 Streptococcal toxic shock syndrome (STSS)および壊死性筋膜炎はA群溶連菌(GAS)による最重症型の感染症である。免疫グロブリン(IVIG)治療は死亡率に対して有益な付加的な治療とされてきた。しかしながら、臨床的エビデンスは限られている。われわれは、STSS患者における比較観察研究においてIVIG治療の有効性を調べた。

方法:
 2002年4月から2004年12月まで実施されたスウェーデンのサーベイランス研究において、GASによるSTSSに対するIVIGの効果をプロスペクティブに評価した。症状、疾患重症度、治療、アウトカムが67人の患者から抽出された。

結果:
 23人の患者がIVIG治療を受け、44人が受けなかった。合併症、疾患重症度、臓器不全、性別には差はみられなかったが、IVIG群の患者は非使用者と比べて年齢が若く壊死性筋膜炎の合併が多かった(56% vs 14%)。また手術を受けた患者やクリンダマイシン使用患者はIVIG群で多くみられた。
 28日時点での生存を予測する因子として、単変量解析ではSPAS II(オッズ比1.05)、クリンダマイシン使用(オッズ比7.5)、IVIG(オッズ比6.7)、外科手術(オッズ比4.4)が得られた。多変量解析では、SAPS II(オッズ比1.1)、クリンダマイシン使用(オッズ比8.6)、IVIG(オッズ比5.6)は有意な生存予測因子であった。
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(文献より引用)

 壊死性筋膜炎のない患者(48人)でも同様の解析をおこなったところ、クリンダマイシン使用は有意な生存予測因子であった。統計学的に有意ではないものの、IVIGも改善の傾向がみられた。

 IVIGによる恩恵は80歳未満の患者に有意にみられた(Post hoc)。
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(文献より引用)

結論:
 GASによるSTSSに対して、IVIGとクリンダマイシンの使用は良好な予後に関連していた。


by otowelt | 2014-08-30 00:41 | 感染症全般

アメリカではインフルエンザに対して抗ウイルス薬処方が少ない?

e0156318_22395783.jpg インフルエンザの臨床試験にはてんで疎いので、イムノクロマトグラフィーと思って読んでいたら、診断はRT-PCRなのですね。ちなみに日本では、たとえ迅速キットが陰性でも臨床診断でタミフルがよく処方されている気がします。

Fiona Havers, et al.
Use of Influenza Antiviral Agents by Ambulatory Care Clinicians During the 2012–2013 Influenza Season
Clin Infect Dis. (2014) 59 (6): 774-782. doi: 10.1093/cid/ciu422


背景:
 インフルエンザの早期の抗ウイルス治療(発症から2日以内)は、インフルエンザに関連した合併症発生を減らす(かもしれない)。重症度にかかわらず、高い合併症リスクを有するインフルエンザ感染疑いの患者には早期のエンピリックな抗ウイルス治療が推奨されている(MMWR Recomm Rep 2011; 60:1–24.)。インフルエンザの外来患者で抗微生物治療を受けた者を対象とした。

方法:
 2012~2013年シーズンにおいて、アメリカの当該研究参加施設の外来を受診した患者データを解析した。7日以下の咳嗽症状を有する生後6ヶ月以上の患者を対象とした。全例インフルエンザがRT-PCRで検査された。
 原文:Respiratory specimens were tested for influenza viruses by PCR; all sites used the same assays. At 1 of the 5 network sites, study laboratory test results were provided to clinicians by email, usually within 24–48 hours of participant enrollment. PCR results were not available to clinicians at other sites, although clinicians may have had access to rapid influenza diagnostic tests or other tests not performed as part of the study protocol.
 病歴および処方情報は、診療録や処方録から得た。参加施設のうち4施設については一般抗菌薬(アモキシシリン/クラブラン酸、アモキシシリン、アジスロマイシン)の処方データも抽出した。

結果:
 急性呼吸器症状を呈した6766人のうち、509人(7.5%)が抗ウイルス薬の処方を受けた。全体のうち2366人(35%)がPCRで確定診断のついたインフルエンザであり、そのうち355人(15%)しか抗ウイルス薬の処方を受けていなかった。
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(文献より引用)

 合併症の高リスクと考えられる患者(2歳未満や65歳以上、慢性疾患を有する患者)1021人においても抗ウイルス薬を処方されたのは195人(19%)にとどまった。
 上述した3種類の抗菌薬の処方頻度については、1825人中540人(30%)と抗ウイルス薬よりは高率に処方されていた(vs 16%)。

結論:
 インフルエンザに対して抗ウイルス薬が有効と考えられる患者においても抗ウイルス薬はあまり処方されておらず、むしろ抗菌薬が処方されることが多かった。


by otowelt | 2014-08-29 00:50 | 感染症全般

システマティックレビュー:ペニシリン・セファロスポリンとカルバペネムの交差反応

e0156318_9465048.jpg ペニシリンとカルバペネムの交差反応は5~10%であると研修医の頃に習った覚えがあります。今回のシステマティックレビューでは何かしらの過敏反応を呈したのが4.3%、IgEを介した反応に限るのであれば2.4%と報告されています。
 I型アレルギーの発症だけは注意して回避したいところですが、安易にアレルギーとカルテに記載して将来デメリットを被ることにも配慮しなければなりません。

Brittany Kula, et al.
A systematic review: Can one prescribe carbapenems to patients with IgE-mediated allergy to penicillins or cephalosporins?
Clin Infect Dis. first published online July 21, 2014


背景:
 βラクタム系抗菌薬であるペニシリン・セファロスポリンとカルバペネムの間には交差反応が懸念されているが、それが本当にIgEを介した交差反応をみているのかはわかっていない。

方法:
 小児と成人において、ペニシリンやセファロスポリンによってIgEを介した過敏症を起こしたあとカルバペネムに変更した患者データを収集し、システマティックレビューを実施した。反応は、IgEを介した反応が明らかなもの、IgEを介した反応が疑わしきものあるいはその可能性が高いもの、IgEを介した反応ではないものに分類した。

結果:
 10試験(4試験はレトロスペクティブデザイン)・12症例報告が適格基準を満たした。合計854人の患者が登録された。使用されたカルバペネムはほとんどがイミペネムかメロペネムであった。
 ペニシリンによるIgEを介した反応が過去に確定している、疑わしきものあるいはその可能性が高いものが838人であった。そのうち、カルバペネムが投与されて何かしらの過敏反応が疑われたのは36人(4.3%、95%信頼区間3.1~5.9)であった。IgEを介した反応が疑われたのは20人(2.4%、95%信頼区間1.6- 3.7%)だった。ペニシリンによるスキンテストが陽性だった患者(295人)のうち、1人だけが過敏反応を起こした(0.3%; 95%信頼区間0.06- 1.9%)。これはIgEを介した反応の可能性が高いと判断された。
 セファロスポリンによるIgEを介した反応が過去に確定している、疑わしきものあるいはその可能性が高いものと考えられた12人のうち、3人(25%)がカルバペネムにも何らかの過敏反応を示した。そのうち2人はIgEを介していない過敏反応と考えられた。

結論:
 ペニシリンとカルバペネムの間にIgEを介した交差反応の存在はかなりまれであると考えられるが、懸念事項には違いない。セファロスポリンとカルバペネムの間の交差反応の頻度は多かったが、有用なデータが限られていた。
 

by otowelt | 2014-08-07 00:08 | 感染症全般

外傷性脳損傷患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンは院内肺炎の発症を抑制できず

e0156318_22262163.jpg CRASH試験(Lancet. 2004; 364: 512-520)ではステロイドの投与は死亡リスクや院内肺炎の頻度を上昇させたことが有名です。しかしながら、HYPOLYTE試験(JAMA 2011; 305: 1201-1209)では副腎機能が正常化した時点でステロイドを中止しているためか、院内肺炎の頻度を下げたと報告されています。
 今回のLancet Respiratory Medicineの報告は、HYPOLYTE試験と同じくサンプルサイズが小さい点がlimitationとなりました。

Karim Asehnoune, et al.
Hydrocortisone and fludrocortisone for prevention of hospital-acquired pneumonia in patients with severe traumatic brain injury (Corti-TC): a double-blind, multicentre phase 3, randomised placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 24 July 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70144-4


背景:
 外傷性脳損傷後の院内肺炎:(Hospital-acquired pneumonia)はよくみられる病態であり、脳外傷による副腎機能不全が部分的に関与している可能性が示唆されている。われわれは、低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンが院内肺炎を予防する効果があるかどうか検証した。

方法:
 われわれは二重盲検第III相プラセボ対照試験をフランスの19のICUで実施した。重症外傷性脳損傷(GCS8点以下で頭部CTで脳損傷が確認できるもの)をきたした15~65歳の患者を登録した。患者はランダムに1:1にヒドロコルチゾン200mg/日(その後漸減)+フルドロコルチゾン50μg/日あるいはプラセボに10日間割り付けた。薬剤投与前に、副腎機能がコルチコトロピンテストによって調べられた。ステロイドおよびプラセボは副腎機能不全がなくなれば中止とした。
 プライマリアウトカムはランダム化から28日以内の院内肺炎の発症とした。ITT解析および副腎機能不全患者のみを含めた修正ITT解析をおこなった。

結果:
 2010年9月1日から2012年11月29日まで、われわれは336人の患者を登録した(168人ずつ各群割り付け)。8人の患者が同意を撤回した。28日時点で、ステロイド投与群の165人中74人(45%)およびプラセボ群の163人中87人(53%)が1回以上の院内肺炎を発症した(ハザード比0.75; 95%信頼区間0.55—1.03, p=0.07)。ITT解析において、われわれはステロイド群で86の院内肺炎エピソードを、プラセボ群で110の院内肺炎エピソードを記録した(1患者あたり発症数中央値:0, IQR 0—1 vs 1, IQR 0—1 , p=0.07)。修正ITT解析では、副腎機能不全のある患者においてプラセボ群と比較したステロイド群の院内肺炎のハザード比は0.80 (95%信頼区間0.56—1.14, p=0.22)で、副腎機能が正常の患者における探索的解析ではハザード比0.48 (95%信頼区間0.23—1.01; p=0.05)であった。治療による有害事象は観察されなかった。

結論:
 外傷性脳損傷の患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンはアウトカムを改善させなかった。しかしながら、プラセボ群における院内肺炎の患者が想定よりも少なく、研究自体が検定力不足であった。結果は統計学的に有意に近いものであり、さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2014-08-06 00:50 | 感染症全般

アスペルギローマのサイズと血痰は関連

e0156318_2212077.jpg アスペルギローマに関するレトロスペクティブな観察研究です。実臨床で抱くイメージに近い結果となっています。

Jung-Kyu Lee, et al.
Clinical course and prognostic factors of pulmonary aspergilloma
Respirology, in press, DOI: 10.1111/resp.12344


背景および目的:
 肺アスペルギローマの自然経過におけるサイズの変化に着目したデータは限られている。われわれはこの研究において、サイズの変化を通して肺アスペルギローマの臨床経過や予後について解明することを目的とした。

方法:
 肺アスペルギローマの成人患者143人を多施設共同レトロスペクティブ観察研究で同定した。アスペルギローマのサイズの変化を胸部CTで追った。空洞や主流のサイズの変化を通した臨床経過および血痰のリスクを評価した。

結果:
 フォローアップ期間中央値は5.1年であった。アスペルギローマのサイズは全体の39.2%で変化した。アスペルギローマの容量減少は13.3%、増大は25.9%にみられた。容量が減少した患者は有意にCRPが高く、より気管支拡張症が重度で陳旧性結核病巣を有していた。
 臨床的に有意な血痰は50.3%の患者に観察され、これは空洞のサイズやアスペルギローマの腫瘤サイズの大きさと関連していた。しかし、サイズの経時的変化とは関連していなかった。
 平均空洞径>22mm、腫瘤径>18mmの場合、血痰のリスクが増加した。

結論:
 われわれの研究では肺アスペルギローマのサイズが変化する患者が相当数存在した。臨床的に有意な血痰は空洞やアスペルギローマ腫瘤のサイズの大きさに関連していた。


by otowelt | 2014-07-22 00:44 | 感染症全般

高齢の肺炎患者においてアジスロマイシンを含む抗菌薬治療は90日死亡率を減少

e0156318_1292947.jpg 入院患者さんにおけるアジスロマイシンの点滴は、日本の場合溶媒の輸液量が少しネックになっています。

Eric M. Mortensen, et al.
Association of Azithromycin With Mortality and Cardiovascular Events Among Older Patients Hospitalized With Pneumonia
JAMA. 2014;311(21):2199-2208. doi:10.1001/jama.2014.4304


背景:
 入院を要する肺炎患者では、ガイドラインにおいてアジスロマイシンを含むマクロライド系抗菌薬の併用が推奨されているが、近年の研究によってアジスロマイシンが心血管系のイベントを増加させるのではないかという懸念が浮上している。

目的:
 肺炎で入院した患者において、アジスロマイシンの使用と全死因死亡率および心血管系イベントの関連を調べること。

デザイン・方法:
 肺炎で入院した高齢患者におけるレトロスペクティブコホート研究。アジスロマイシンを処方された群とその他のガイドライン推奨治療を行われた群とを比較した。患者は65歳以上の入院を要する肺炎患者とし、抗菌薬の使用は当該ガイドラインに準ずるものとした。アウトカムは30日および90日時点での全死因死亡率、90日時点での不整脈、心不全、心筋梗塞、そのほか心血管系イベントの発生とした。傾向スコアでマッチングした患者に条件付きロジスティック回帰分析を行った。

結果:
 118病院から73690人の患者が登録された。アジスロマイシン処方を受けた既往がある31863人と同処方既往のないマッチ患者31863人が解析対象となった。2群において潜在的交絡因子に差はみられなかった。90日死亡率はアジスロマイシンを処方された患者で有意に低かった(17.4% vs 22.3%; オッズ比0.73; 95%信頼区間0.70-0.76)。しかしながら、心筋梗塞については有意に多かった(5.1% vs 4.4%; オッズ比1.17; 95% CI, 1.08-1.25)。他の心血管系イベント(43.0% vs 42.7%;オッズ比1.01; 95%信頼区間0.98-1.05), 不整脈(25.8% vs 26.0%; オッズ比0.99; 95%信頼区間 0.95-1.02), 心不全(26.3% vs 26.2%; オッズ比1.01; 95%信頼区間0.97-1.04)には統計学的な差は観察されなかった。
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(文献より引用)

結論:
 肺炎で入院した高齢患者に対するアジスロマイシンを含む抗菌薬治療は、他の抗菌薬治療と比較して90日死亡率が低かったが、心筋梗塞のリスクはやや上昇した。


by otowelt | 2014-06-12 11:37 | 感染症全般