カテゴリ:感染症全般( 355 )

腎移植患者のニューモシスチス肺炎に対するクリンダマイシン-プリマキンの有効性

e0156318_20444355.jpg アトバコンやペンタミジンをすっ飛ばしてクリンダマイシン-プリマキンの話題です。

Nickel P, et al.
Clindamycin-primaquine for pneumocystis jiroveci pneumonia in renal transplant patients.
Infection. 2014 Aug 29. [Epub ahead of print]


背景:
 腎移植患者においてST合剤はニューモシスチス肺炎(PCP)の第一選択として考慮されている。代替治療は十分に研究されていない。クリンダマイシン-プリマキン(C-P)はHIV関連のPCPには有効とされているが、腎移植患者では不明である。

患者および方法:
 レトロスペクティブコホート研究において、PCPを発症した57人の連続した腎移植患者を登録した。23人がC-P、34人がST合剤で治療された。

結果:
 有意ではなかったが、C-Pでは効果不良による治療失敗率が高かった(30.4% vs 20.6 %, p = 0.545)。この差は重症のPCPではさらに顕著にみられ(60% vs 37.5 %, p = 0.611)、サルベージ治療としてはC-Pは効果に乏しいと考えられた。ST合剤に不応性でC-P治療に切り替えられた2人の患者がC-P治療に失敗したが、C-P治療に失敗しST合剤に切り替えられた7人の患者は治癒した。

結論:
 C-Pは腎移植を受けたPCPの患者に忍容性が高かったが、ST合剤よりは効果が不良であった。しかしながら、ST合剤に禁忌や治療有害事象がある場合は代替治療としてC-Pを考慮してもよい。C-P治療が失敗した症例でもST合剤は効果的なサルベージ治療となろう。


by otowelt | 2014-10-25 00:15 | 感染症全般

市中肺炎・医療ケア関連肺炎に対するGram染色は高い特異度を有し、標的治療に有用

e0156318_838672.jpg たった一言。素晴らしい研究です。

Fukuyama H, et al.
Validation of sputum Gram stain for treatment of community-acquired pneumonia and healthcareassociated pneumonia: a prospective observational study
BMC Infectious Diseases 2014, 14:534


背景:
 市中肺炎(CAP)に対する喀痰Gram染色の有用性については議論の余地がある。また、医療ケア関連肺炎(HCAP)の患者に対するこの手技の診断的価値を評価した報告はない。この研究の目的は、CAP・HCAPの患者において喀痰Gram染色の病原診断や標的治療に対する有用性を評価することである。

方法:
 われわれは2010年8月から2012年7月までに沖縄県立中部病院に入院した肺炎患者に対してプロスペクティブ観察試験を実施した。入院時に抗菌薬を投与する前に、訓練されたレジデントによって、得られた喀痰に対して迅速にGram染色を実施された。喀出困難な患者は、看護師が経鼻カテーテルによって喀痰を採取した。Gram染色の喀痰検体の質を解析した。また、Gram染色に基づいた病原微生物法的治療を経験的治療と比較した。単一の菌によるものと判断できない検体はpolymicrobialとした。
 肺炎の診断は、胸部レントゲン写真上新たな浸潤影の出現がみられ、下気道感染症を示唆する所見(発熱、咳嗽、喀痰、呼吸困難感、胸痛)があるものと定義された。

結果:
 670人の肺炎患者のうち、328人がCAP、342人がHCAPであった。喀痰検体は591人の患者から得られ、このうち478検体は良質の検体であった。HCAPの患者の方が有意にpolymicrobialパターンが多く、喀痰検体は不良であった。
 喀痰Gram染色の感度・特異度は、肺炎球菌に対して感度62.5%、特異度91.5%、インフルエンザ桿菌に対して感度60.9%、特異度98.2%、Moraxella catarrhalisに対して感度68.2%、特異度96.1%、Klebsiella pneumoniaeに対して感度39.5%、特異度98.2%、緑膿菌に対して感度22.2%、特異度99.8%、黄色ブドウ球菌に対して感度9.1%、特異度100%という結果だった。
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(文献より引用)
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(文献より引用)

 すでに抗菌薬を投与されている患者や誤嚥性肺炎が謳われる患者では診断能は低下した。病原微生物標的治療は、経験的治療と比較して、副作用を減少させたまま(p=0.049)同等の効果をもたらした。また、標的治療はICU入室率(p=0.017)や在院日数(p<0.001)が低かった。

結論:
 CAP・HCAPに対する喀痰Gram染色は高い特異度を有し、病原微生物の標的治療をすすめる上で有用である。

limitations:
・単一施設研究であること(Gram染色のメッカとも言える病院で、limitationとは思いませんが)
・非定型病原菌についての評価が不十分であること
・ランダム化比較試験でないこと


by otowelt | 2014-10-22 00:03 | 感染症全般

中等症の市中肺炎に対するβラクタム単剤は、βラクタム+マクロライド併用療法に非劣性示されず

e0156318_20385895.jpg 非劣性マージンが事前に規定した数値を超えました。

Nicolas Garin, et al.
β-Lactam Monotherapy vs β-Lactam–Macrolide Combination Treatment in Moderately Severe Community-Acquired Pneumonia
A Randomized Noninferiority Trial
JAMA Intern Med. Published online October 06, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.4887


背景:
 中等度の市中肺炎に対する経験的治療として、マクロライド系抗菌薬をβラクタム系抗菌薬に加える臨床的な利益は議論の余地がある。

目的:
 中等症の市中肺炎に対するβラクタム+マクロライド併用と比較したβラクタム単独の非劣性を検証する。

方法:
 200年1月13日~2013年1月31日までに実施されたオープンラベル多施設共同ランダム化試験において、スイスの6施設に中等症市中肺炎で入院した580人の免疫正常成人患者を登録した。フォローアップは90日とした。患者は、βラクタム+マクロライド(併用群)あるいはβラクタム単独(単剤群)に割り付けられた。Legionella pneumophila感染症が検索され、陽性の場合は単剤群にもマクロライドを併用した。アウトカムは、臨床的に安定が得られない患者の頻度とした(臨床的安定:治療7日目の脈拍<100/分、収縮期血圧>90mmHg、体温<38℃、呼吸数<24/分、酸素飽和度>90%[室内気])。

結果:
 治療7日後に、単剤群では291人中120人(41.2%)、併用群では289人中97人(33.6%)に臨床的安定が得られなかった(差7.6%, P = .07)。片側90%信頼区間上限は13.0%で、事前に規定した8%を超えていた。非定型病原菌に感染した患者(ハザード比0.33、95%信頼区間0.13~0.85)あるいはPSIカテゴリーIVの肺炎(ハザード比0.81、95%信頼区間0.59~1.10)は単剤治療ではより臨床的安定が達成しにくかった。一方で非定型病原菌に感染していない患者(ハザード比0.99; 95%信頼区間0.80-1.22)あるいはPSIカテゴリーI~IIIの肺炎(ハザード比1.06; 95%信頼区間0.82-1.36)は2群ともに同等のアウトカムであった。30日時点での再入院率は、単剤群で多かった(7.9% vs 3.1%, P = .01)。死亡率、ICU入室率、合併症、在院日数、90日以内の肺炎再発は両群ともに差はみられなかった。

結論:
 中等症の市中肺炎で入院した患者において、βラクタム単剤治療による非劣性は示されなかった。非定型病原菌あるいはPSIカテゴリーIVの肺炎では、単剤治療で臨床的安定は得られにくかった。


by otowelt | 2014-10-10 00:19 | 感染症全般

HIV感染症に関連した気流制限

e0156318_20133468.jpg 個人的にはAIDSと結核の合併しか診療しませんが、HIVについては一度しっかり勉強したいと考えています。

Calligaro GL, et al.
Lung function abnormalities in HIV-infected adults and children.
Respirology. 2014 Sep 23. doi: 10.1111/resp.12385. [Epub ahead of print]


概要:
 HIV感染症は成人・小児において慢性的な気流制限と呼吸機能障害のリスク因子と認識されるようになってきた。ウイルス要因(メタロプロテイナーゼ発現の増加)、免疫学的影響、結核などの日和見感染がその機序として考えられている。

HIVに伴う非感染性呼吸器疾患としては以下のものが挙げられる。
・COPD
・悪性腫瘍
 Kaposi肉腫
 AIDS関連リンパ腫
 非小細胞肺癌
・間質性肺疾患
 リンパ球性間質性肺炎
 NSIP
・HIV関連肺高血圧症
・HIV関連気管支拡張症
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(文献より引用)

・発展途上国では、新生児期を生存したHIV陽性の小児における慢性的な気流制限は、呼吸機能障害の主な原因である。
・この疾患の原因は多因子的である:閉塞性細気管支炎・気管支拡張症、有害な吸入抗原に対する感受性、免疫再構築症候群、慢性炎症
・抗レトロウイルス治療(ART)の遅延とコントロール不良のHIVウイルス複製は呼吸機能の減少と関連している。
・成人・小児においてHIVに関連する気流制限の薬学的マネジメントのデータはないが、早期にARTを受けること、コモンな呼吸器系病原微生物に対する幼少期の免疫構築、日和見感染症に対する抗菌薬の予防・迅速な治療は重要な予防戦略である。


by otowelt | 2014-10-09 00:46 | 感染症全般

呼吸器疾患患者における侵襲性肺アスペルギルス症の診断パフォーマンス

e0156318_1939242.jpg ガラクトマンナン抗原とラテラルフローの感度・特異度がまあまあよいようです。β-Dグルカンは予想通りの結果です。

Juergen Prattes, et al.
Novel Tests for Diagnosis of Invasive Aspergillosis in Patients with Underlying Respiratory Diseases
Am J Respir Crit Care Med. First published online 09 Sep 2014


目的:
 侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)は、呼吸器疾患も含め好中球の減少していない病態でも発生しうる。われわれは、呼吸器疾患のある患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)検体を通常培養するとともに、BALFガラクトマンナン、1,3-β-Dグルカン、アスペルギルス特異的ラテラルフローの診断的パフォーマンスを調べた。

方法:
 基本的な登録患者は18歳超の呼吸器疾患患者で気管支鏡を受けた者である。呼吸器疾患のある221人の患者から得られた268のBALF検体を解析した。ただし、血液悪性腫瘍や過去に臓器移植を受けた患者は除外した。オーストラリアのGraz大学病院において2012年2月~2014年5月に実施した。IPAは 改訂版EORTC/MSG基準(Clin Infect Dis. 2008; 46: 1813-1821.)を用いた。

結果:
 診断時、ほとんどの患者が広域抗菌薬を使用していた。最も多い基礎疾患はCOPDだった。
 31人(14%)の患者がprobableあるいはproven IPAと診断され、25人がpossible IPA、残りの165人はIPAと診断されなかった。probable/proven IPAは32%と有意に30日死亡率が高かった(p=0.034)。
 感度、特異度、診断的オッズ比はガラクトマンナン(カットオフ値0.5: 0.97, 0.81, 124.4、カットオフ値1.0: 0.97, 0.93, 422.1、カットオフ値3.0: 0.61, 0.99, 109.8)、β-Dグルカン(カットオフ値80pg/ml: 0.90, 0.42, 6.57、カットオフ値200pg/ml: 0.70, 0.61, 3.7)、ラテラルフローデバイス(0.77, 0.92, 41.8)、培養(0.29, 0.97, 14)でばらつきがみられた。
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(文献より引用:非IPAと比較したproven/probable IPAの診断パフォーマンス)

 proven/probable IPAと非IPAの鑑別におけるROC-AUCは、ガラクトマンナンは0.965(95%信頼区間0.935 – 0.996)、β-Dグルカン0.752 (95%信頼区間0.662 – 0.842)であった。
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(文献より引用)

結論:
 probableあるいはproven IPAはわれわれの集団では14%にみられ、これは有意に高い30日死亡率と関連していた。β-Dグルカンのパフォーマンスは低い特異性であり、培養も感度が低かった、その一方でアスペルギルスラテラルフローデバイスはガラクトマンナンの代替として使用可能である。


by otowelt | 2014-09-25 00:54 | 感染症全般

アネメトロ 9月26日発売

 本日、ファイザーからプレスリリースが出ています。

嫌気性菌感染症治療剤「アネメトロ®点滴静注液500mg」9月26日に新発売

 アネメトロについてはご存知の方も多いと思いますが、発売日は9月26日です。特に消化器系の先生は待ち望んでいた注射製剤でしょうか。

by otowelt | 2014-09-19 17:47 | 感染症全般

気管支拡張症に対するアジスロマイシンは喀痰量、QOLを改善

e0156318_2302539.jpg 呼吸器内科医としては、アジスロマイシンの長期投与の弊害がどこまであるのかが注目点です。まだ気管支拡張症に対してマクロライドを長期処方したことはありません。
 気管支拡張症に対するアジスロマイシンについては2012年のEMBRACE試験(Lancet. 2012 Aug 18;380(9842):660-7. )や2013年のBAT試験(JAMA. 2013 Mar 27;309(12):1251-9. )が有名です。

Albert I. Lourdesamy Anthony, et al.
Efficacy of azithromycin in the treatment of bronchiectasis
Respirology, Article first published online: 2 SEP 2014


背景および目的:
 われわれは成人の気管支拡張症に対して、12週間におよぶアジスロマイシンの効果を評価した。この研究の目的は、治療によって喀痰の量を減少させQOLを向上させることを証明することと、治療中止後どのくらい効果が続くかを調べることである。

方法:
 本研究において、胸部HRCTで気管支拡張症と診断された78人の患者を登録した。患者は、2週間のrun in periodの後、ランダムに経口アジスロマイシンあるいはプラセボを12週間投与され、さらにその後両群ともにプラセボを12週間投与されフォローアップされた。喀痰量、SGRQスコア、呼吸機能検査がベースライン、12週目、24週目に評価された。エンドポイントはベースラインと追跡最終時で比較された。

結果:
 68人の患者が解析に登録された。平均24時間喀痰量は、治療中だけでなくその後のプラセボ相においても有意に減少した(いずれもP < 0.01)。アジスロマイシン群において12週目、24週目の平均SGRQスコアは有意に減少した。呼吸機能については治療および治療後のいずれにおいても、両群ともに維持されていた。
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(文献より引用)

結論:
 気管支拡張症に対する12週間のアジスロマイシンは喀痰量、健康ステータス、呼吸機能の安定に寄与した。喀痰量の減少とQOLの改善はアジスロマイシンが終了してから12週間維持された。


by otowelt | 2014-09-17 00:31 | 感染症全般

AIR-BX試験:非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入アズトレオナムは臨床的に有意な利益をもたらさない

e0156318_22435338.jpg 気管支拡張症に対する吸入抗菌薬としてはトブラマイシン、アミカシンあたりが呼吸内科的にメジャーですね。ATSでもシステマティックレビューが報告されています。
 そういえば、その後吸入マンニトールはどうなったのでしょう。

ATS2014:気管支拡張症に対する吸入抗菌薬のシステマティックレビュー
非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入ドライパウダーマンニトール(ブロンキトール®)の効果

Alan F Barker, et al.
Aztreonam for inhalation solution in patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis (AIR-BX1 and AIR-BX2): two randomised double-blind, placebo-controlled phase 3 trials
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 19 August 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70165-1


背景:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者における吸入抗菌薬の臨床的利益はランダム化比較試験では確率されていない。われわれは、非嚢胞性線維症の気管支拡張症およびグラム陰性菌コロナイゼーションのある患者に対するアズトレオナム吸入の効果と安全性をアセスメントした。

方法:
 AIR-BX1およびAIR-BX2は二重盲検多施設共同ランダム化プラセボ対照第3相試験で、18歳以上の喀痰あるいは気管支鏡のグラム陰性菌の培養が陽性となった気管支拡張症患者を登録した。患者はランダムに1:1にアズトレオナムあるいはプラセボの吸入を受ける群に割り付けられた。
 両試験では、4週間のアズトレナム75mgあるいはプラセボ吸入治療(1日3回、ネブライザー使用)を2セット行い、その後4週間フォローアップした。プライマリエンドポイント治療後4週時点での気管支拡張症QOL呼吸器症状スコア(QOL-B-RSS)のベースラインからの変化とした。

結果:
 AIR-BX1試験では47病院、AI-BX2試験では65病院から患者を登録した。試験は2011年4月25日から2013年7月1日まで実施された。
 AIR-BX1試験では、348人の患者がスクリーニングされた。134人がアズトレオナム群に、132人がプラセボ群に割り付けられた。AIR-BX2試験では404人の患者がスクリーニングされた。136人がアズトレオナム群へ、138人がプラセボ群に割り付けられた。
 4週時点でのアズトレオナムとプラセボの間のベースラインからの平均QOL-B-RSSの差はAIR-BX1試験では有意ではなかった(0.8、95%信頼区間−3.1 to 4.7、 p=0.68)。しかしAIR-BX2試験では有意な差がみられた(4.6, 95%信頼区間1.1 to 8.2, p=0.011)。4週時点での後者試験の4.6ポイントという数字は、臨床的に有意とは考えられなかった。
 両試験において治療関連有害事象はアズトレオナム群で多くみられた。最もよくみられたのは呼吸困難感、咳嗽、喀痰の増加であった。

結論:
 QOL-B-RSSをアウトカムに設定した場合、非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者に対するアズトレオナム吸入は臨床的に有意な利益をもたさなかった。プラセボ対照試験において吸入抗菌薬の臨床的利益のエビデンスを蓄積していく必要があるだろう。


by otowelt | 2014-09-02 00:20 | 感染症全般

Streptococcal Toxic Shock Syndromeに対する免疫グロブリン大量療法とクリンダマイシンは予後を改善

e0156318_23184679.jpg 当たり前ですが、IVIGの量は日本よりもかなり多いです。

Anna Linnér, et al.
Clinical Efficacy of Polyspecific Intravenous Immunoglobulin Therapy in Patients With Streptococcal Toxic Shock Syndrome: A Comparative Observational Study
Clin Infect Dis. (2014) 59 (6): 851-857. doi: 10.1093/cid/ciu449


背景:
 Streptococcal toxic shock syndrome (STSS)および壊死性筋膜炎はA群溶連菌(GAS)による最重症型の感染症である。免疫グロブリン(IVIG)治療は死亡率に対して有益な付加的な治療とされてきた。しかしながら、臨床的エビデンスは限られている。われわれは、STSS患者における比較観察研究においてIVIG治療の有効性を調べた。

方法:
 2002年4月から2004年12月まで実施されたスウェーデンのサーベイランス研究において、GASによるSTSSに対するIVIGの効果をプロスペクティブに評価した。症状、疾患重症度、治療、アウトカムが67人の患者から抽出された。

結果:
 23人の患者がIVIG治療を受け、44人が受けなかった。合併症、疾患重症度、臓器不全、性別には差はみられなかったが、IVIG群の患者は非使用者と比べて年齢が若く壊死性筋膜炎の合併が多かった(56% vs 14%)。また手術を受けた患者やクリンダマイシン使用患者はIVIG群で多くみられた。
 28日時点での生存を予測する因子として、単変量解析ではSPAS II(オッズ比1.05)、クリンダマイシン使用(オッズ比7.5)、IVIG(オッズ比6.7)、外科手術(オッズ比4.4)が得られた。多変量解析では、SAPS II(オッズ比1.1)、クリンダマイシン使用(オッズ比8.6)、IVIG(オッズ比5.6)は有意な生存予測因子であった。
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(文献より引用)

 壊死性筋膜炎のない患者(48人)でも同様の解析をおこなったところ、クリンダマイシン使用は有意な生存予測因子であった。統計学的に有意ではないものの、IVIGも改善の傾向がみられた。

 IVIGによる恩恵は80歳未満の患者に有意にみられた(Post hoc)。
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(文献より引用)

結論:
 GASによるSTSSに対して、IVIGとクリンダマイシンの使用は良好な予後に関連していた。


by otowelt | 2014-08-30 00:41 | 感染症全般

アメリカではインフルエンザに対して抗ウイルス薬処方が少ない?

e0156318_22395783.jpg インフルエンザの臨床試験にはてんで疎いので、イムノクロマトグラフィーと思って読んでいたら、診断はRT-PCRなのですね。ちなみに日本では、たとえ迅速キットが陰性でも臨床診断でタミフルがよく処方されている気がします。

Fiona Havers, et al.
Use of Influenza Antiviral Agents by Ambulatory Care Clinicians During the 2012–2013 Influenza Season
Clin Infect Dis. (2014) 59 (6): 774-782. doi: 10.1093/cid/ciu422


背景:
 インフルエンザの早期の抗ウイルス治療(発症から2日以内)は、インフルエンザに関連した合併症発生を減らす(かもしれない)。重症度にかかわらず、高い合併症リスクを有するインフルエンザ感染疑いの患者には早期のエンピリックな抗ウイルス治療が推奨されている(MMWR Recomm Rep 2011; 60:1–24.)。インフルエンザの外来患者で抗微生物治療を受けた者を対象とした。

方法:
 2012~2013年シーズンにおいて、アメリカの当該研究参加施設の外来を受診した患者データを解析した。7日以下の咳嗽症状を有する生後6ヶ月以上の患者を対象とした。全例インフルエンザがRT-PCRで検査された。
 原文:Respiratory specimens were tested for influenza viruses by PCR; all sites used the same assays. At 1 of the 5 network sites, study laboratory test results were provided to clinicians by email, usually within 24–48 hours of participant enrollment. PCR results were not available to clinicians at other sites, although clinicians may have had access to rapid influenza diagnostic tests or other tests not performed as part of the study protocol.
 病歴および処方情報は、診療録や処方録から得た。参加施設のうち4施設については一般抗菌薬(アモキシシリン/クラブラン酸、アモキシシリン、アジスロマイシン)の処方データも抽出した。

結果:
 急性呼吸器症状を呈した6766人のうち、509人(7.5%)が抗ウイルス薬の処方を受けた。全体のうち2366人(35%)がPCRで確定診断のついたインフルエンザであり、そのうち355人(15%)しか抗ウイルス薬の処方を受けていなかった。
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(文献より引用)

 合併症の高リスクと考えられる患者(2歳未満や65歳以上、慢性疾患を有する患者)1021人においても抗ウイルス薬を処方されたのは195人(19%)にとどまった。
 上述した3種類の抗菌薬の処方頻度については、1825人中540人(30%)と抗ウイルス薬よりは高率に処方されていた(vs 16%)。

結論:
 インフルエンザに対して抗ウイルス薬が有効と考えられる患者においても抗ウイルス薬はあまり処方されておらず、むしろ抗菌薬が処方されることが多かった。


by otowelt | 2014-08-29 00:50 | 感染症全般