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喫煙は肺炎球菌性肺炎の死亡リスクを上昇

e0156318_22543726.jpg 「喫煙はすべての呼吸器疾患のリスクと言っても過言ではないと思います」と書こうと思いましたが、過敏性肺炎に関してはリスクを下げるという報告もあることを思い出しました。

Salvador Bello, et al.
TOBACCO SMOKING INCREASES THE RISK OF DEATH FROM PNEUMOCOCCAL PNEUMONIA
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2853


背景:
 喫煙は市中肺炎や侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)のリスクを上昇させるが、肺炎球菌によるCAPのアウトカムにおいてその死亡にもたらす影響についてはよくわかっていない。この研究の目的は、肺炎球菌によるCAPの死亡率に現在の喫煙ステータスがどういった影響をもたらすか調べることである。

方法:
 われわれは多施設共同プロスペクティブ観察コホート研究を4288のCAP症例を用いて実施した。この研究は892人の肺炎球菌によるCAP患者を登録した。そのうち204人(22.8%)が現喫煙者、387人(43.4%)が非喫煙者、301人(33.7%)が既往喫煙者であった。

結果:
 30日時点での死亡率は3.9%であった。喫煙者別の内訳は、現喫煙者4.9%、非喫煙者4.3%、既往喫煙者2.6%であった。現喫煙CAP患者はより若く(51歳 vs 74歳)、またアルコール乱用者が多く、心疾患・腎疾患・気管支喘息は少なかった。現喫煙者はCURB65が低かったが、40%が診断時に重症敗血症を呈していた。年齢、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、合併症などの複数の項目で補正した後も、現喫煙は肺炎球菌によるCAPの30日死亡の独立リスク因子であった(オッズ比5.0; 95%信頼区間 1.8-13.5; p=0.001)。
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(文献より引用)

結論:
 現喫煙者における肺炎球菌によるCAPは、重症敗血症を呈し若年例が多いが、合併症は比較的少なかった。喫煙は30日死亡のリスク因子であった。


by otowelt | 2014-06-05 00:17 | 感染症全般

再発C.difficile感染症に対する凍結糞便を用いた糞便微生物移植の有効性

e0156318_1654535.jpg すっかりC. difficile感染症の治療でおなじみになった糞便微生物移植のうち、凍結糞便を用いた注入法の報告です。 
 Discussionに興味深い一文がありました。

“We are now studying oral delivery of frozen encapsulated material as the next logical step in making FMT more accessible to patients.”

Ilan Youngster, et al.
Fecal Microbiota Transplant for Relapsing Clostridium difficile Infection Using a Frozen Inoculum From Unrelated Donors: A Randomized, Open-Label, Controlled Pilot Study
Clin Infect Dis. (2014) 58 (11): 1515-1522. doi: 10.1093/cid/ciu135


背景:
 通常の治療でも効果がみられない再発性のClostridium difficile感染症(CDI)に対する治療に関心が集まっている。われわれは、再発性CDIに対して他人の凍結糞便を用いた糞便微生物移植(fecal microbiota transplant:FMT)を大腸内視鏡的および経鼻胃管の2治療で比較した。

方法:
 凍結糞便は健康な成人から得られた。再発性および治療不応性CDI患者はランダムに大腸内視鏡および経鼻胃管によって糞便を投与される群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは8週間後時点における下痢の臨床的軽快とした。セカンダリエンドポイントは自己申告の健康スコアとした。
 糞便提供者(ドナー)は外傷以外にいかなる既往歴も有さない健康な成人とした。糞便採取前にマグネシアミルクを飲んでもらった。糞便懸濁液は、防腐剤を用いずに生理食塩水とブレンダーで混合した。その後、粒子状物質を除去した。遠心分離によって3倍に濃縮し、10%グリセロールで滅菌生理食塩水に再懸濁として添加した。その後-80℃に凍結した。

結果:
 20人の患者が登録され、10人ずつ各々の治療群に割り付けられた。患者は治療介入前に中央値で4回(range:2~16回)の再発を経験していた。1回のFMTによって下痢の軽快は14人(70%)で得られた(大腸内視鏡10人中8人、経鼻胃管10人中6人)。5人が再度FMT治療を受け、4人が軽快したため、全体としてFMTによる治癒率は90%となった。排便回数も治療前は中央値7回(IQR5~10)であったものが、治療後2回(IQR1~2)に減少した。また、自己申告健康スコアは有意に改善した。
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(文献より引用)

結論:
 凍結糞便を用いたFMTは再発性CDIに有効である。経鼻胃管からの投与は大腸内視鏡的投与と同等の効果が得られた。


by otowelt | 2014-05-27 00:26 | 感染症全般

HIV感染患者における市中肺炎とニューモシスティス肺炎を鑑別する因子

e0156318_1753714.jpg HIVの患者さんが肺炎を起こした場合には、常にニューモシスティス肺炎やは肺結核を念頭に置かねばなりません。日本では「ニューモシスス肺炎」と記載するのが正しいようですが、私は「ニューモシスティス肺炎」と記載しています。「ロマンック」と書くよりも「ロマンティック」と書く方が好きですね。

Catia Cilloniz, et al.
Community-acquired lung respiratory infections in HIV-infected patients: microbial aetiology and outcome
ERJ February 13, 2014 erj01558-2013


背景および目的:
 われわれはHIVに感染した患者の市中肺炎(CAP)の疫学、Pneumocystis jiroveciiによるCAPのリスク因子、30日死亡を予測する予後因子を記載する。

方法:
 これはHIVに感染した成人CAP患者を連続331人登録した(2007年1月から2012年7月まで)。

結果:
 128人(39人)の患者がCD4陽性細胞数200/mm3未満、99人(43%)がHIV RNA200コピー/mL未満であった。
 CD4陽性細胞数200/mm3以上の患者ではStreptococcus pneumoniaeが最もよくみられた。200/mm3未満およびHIV RNA200コピー/mL未満の患者ではP. jiroveciiが最もよくみられた。
 細菌性CAPを予測する因子としては、5日以下の症状(オッズ比2.6, 95%信頼区間1.5–4.4), CRP22 mg/dL以上(オッズ比4.3, 95%信頼区間2.3–8.2)、HCV共感染(オッズ比2.3, 95%信頼区間1.4–3.9)が挙げられる。白血球4×1012/L以下(オッズ比3.7, 95%信頼区間1.2–11.5), LDH598 U/L以上(オッズ比12.9, 95%信頼区間4.2–39.7)、多葉にわたる病変(オッズ比5.8, 95%信頼区間1.9–19.5)はP. jiroveciiによる肺炎を予測した。全体で30日死亡率は7%だった。
 適切な抗菌薬治療(オッズ比0.1, 95%信頼区間0.03–0.4), LDH598 U/L以上(オッズ比6.2, 95%信頼区間1.8–21.8)、人工呼吸器装着(オッズ比22.0, 95%信頼区間6.2–78.6)は30日死亡率を独立して予測した。
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(文献より引用)

結論:
 ある種の予測因子を用いれば、HIV感染症のある成人患者において、細菌性およびP. jiroveciiによる肺炎を鑑別することが可能かもしれない。


by otowelt | 2014-02-27 00:26 | 感染症全般

鞭虫感染に対するオキサンテルとアルベンダゾールの併用投与は標準治療より有効

e0156318_2256015.jpg 呼吸器科で出合う寄生虫感染の多くは回虫症で、個人的にはそれ以外経験したことがありません。

Benjamin Speich, et al.
Oxantel Pamoate–Albendazole for Trichuris trichiura Infection
N Engl J Med 2014; 370:610-620February 13, 2014


背景:
 世界的に土壌伝播蠕虫(回虫:Ascaris lumbricoides、鉤虫、鞭虫:Trichuris trichiura)感染が拡大しており、これらは同時に感染することが多いとされている。これらの寄生虫感染は、通常アルベンダゾールやメベンダゾールによって治療されるものの、いずれも鞭虫に対する有効性は高くない。また、アルベンダゾールは鉤虫に対する第一選択薬である。

方法:
 タンザニア・ペンバ島で施行した二重盲検試験において、6~14歳の小児を次の4治療のいずれかにランダムに割り付けた。すなわち、オキサンテルパモ酸塩20mg/kg+アルベンダゾール400mg 2日間、オキサンテルパモ酸塩20mg/kg単回、アルベンダゾール400mg単回、メベンダゾール500mg単回である。オキサンテルとアルベンダゾールの併用の有効性・安全性プロファイルを、鞭虫感染の治療に用いた場合や土壌伝播蠕虫同時感染の治療に用いた場合について評価。有効性は、感染症治癒率と虫卵の減少率をみた。

結果:
 合計458人から完全なデータが得られた。450例が鞭虫、443例が鉤虫、293例が回虫に感染した。オキサンテル+アルベンダゾール群の鞭虫感染の治癒率はメベンダゾール群よりも有意に高かった(31.2% vs. 11.8%、P=0.001)。また、虫卵減少率も同様であった(96.0%、95%信頼区間93.5~97.6 vs. 75.0%、95%信頼区間64.2~82.0)。アルベンダゾール単剤群の治癒率と虫卵減少率は、メベンダゾール群よりも有意に低かった(P=0.02)。また、オキサンテル単剤群は、鉤虫と回虫に対する有効性が低かった。

結論:
 鞭虫感染に対するオキサンテルとアルベンダゾールの併用投与によって、標準治療と比べ高い治癒率および虫卵減少率が達成できた。


by otowelt | 2014-02-20 00:15 | 感染症全般

ロタウイルスワクチンと腸重積の関連性

e0156318_1022317.jpg 呼吸器内科医としてではなく、子供を持つ親の身として読みました。

W. Katherine Yih, et al.
Intussusception Risk after Rotavirus Vaccination in U.S. Infants
N Engl J Med 2014; 370:503-512February 6, 2014


背景:
 第二世代ロタウイルスワクチンであるロタテック(5価ワクチン)、ロタリックス(1価ワクチン)を接種した後に、腸重積のリスクが上昇することが知られている。われわれはこの関連をアメリカの乳児において検証した。

方法:
 本研究は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が助成しているミニセンチネルプログラムに参画する3医療保険に加入している、生後5.0~36.9週の乳児を対象としたものである。登録コードにより2004~2011年に腸重積の可能性のあった症例とロタウイルスワクチン曝露の症例を同定した。診療録をレトロスペクティブに検証し、腸重積発症とロタウイルスワクチンの接種の記載を確認した。
 主要解析において、ワクチン接種した小児のみを対象とした自己対照リスクインターバルデザインを用いた。副次的解析に、人–時間コホートデザインを使用。

結果:
 5価ワクチンは初回接種507874回、合計接種1277556回、1価ワクチンは初回接種53638回、合計接種103098回を解析対象とした。検出力は、後者の解析のほうが前者の解析よりも低かった。
 5価ワクチン初回接種を受けた10万人あたりの腸重積の過剰症例数は、主要解析(リスク期間7日間の寄与リスク1.1、95%信頼区間0.3~2.7、リスク期間21日間の寄与リスク1.5、95%信頼区間0.2~3.2)、副次的解析(リスク期間21日間の寄与リスク1.2、95%信頼区間0.2~3.2)の双方ともに有意に増加。2回目、3回目の接種後でのリスクの上昇はみられなかった。ただし、1価ワクチンは、副次的解析では2回目の接種後に有意なリスクがみられた。

結論:
 ロタウイルス5価ワクチンは、初回接種を受けた10万人あたりおよそ1.5例(95%信頼区間0.2~3.2)の腸重積過剰と関連していた。1価ワクチンは検出力が低かったが、副次的解析によってリスク上昇の可能性がある。


by otowelt | 2014-02-12 00:08 | 感染症全般

成人の敗血症性肺塞栓の臨床的特徴

e0156318_16595362.jpg うーん、システマティックレビューと言っていいものでしょうか。メタアナリシスではないですが。いずれにしても言語選択のバイアスのある研究だと思います。

Rui Ye, et al.
Clinical characteristics of septic pulmonary embolism in adults: A systematic review
Respiratory Medicine Volume 108, Issue 1 , Pages 1-8, January 2014


目的:
 診断と治療の改善のため、成人における敗血症性肺塞栓の臨床的特徴を記載する。

方法:
 事前に規定した適格基準に照らし合わせて、中国語および英語のデータベースから該当文献を抽出した。主要なリスク因子、臨床所見、画像所見、微生物学的特徴、合併症やそのほかの臨床的特徴などを調べた。

結果:
 厳格な基準に照らし合わせ、76の論文が選択された(2つが中国語の文献、74が英語の文献)。この中には168人の患者が登録されていた。敗血症性肺塞栓の主要なリスク因子は、経静脈的薬物使用(44人)、血管内留置カテーテルの存在(21人)、皮膚軟部組織の感染症(10人)が挙げられた。もっともよくみられた臨床所見は発熱(144人)であり、そのほかにも呼吸困難感(81人)、胸痛(82人)、咳嗽(69人)などがあった。胸部CTでは89人に肺末梢の結節影が両肺にみられ、75人に空洞、48人に局所あるいは楔状の浸潤影、40人に胸水が観察された。心エコー検査ではしばしば疣贅がみられた(52人)。血液培養ではMRSAが27人、MSSAが48人、カンジダが6人から検出された。17人が死亡し、101人が治癒した。

結論:
 敗血症性肺塞栓は特異的な臨床所見の無い稀な疾患である。経静脈的薬物使用者や血管内留置カテーテルのあるハイリスク患者、発熱とともにみられる多発性結節影あるいは局所の浸潤影(空洞の有無は問わない)を見た場合、当該疾患を疑う必要がある。早期診断と適切な治療が治療アウトカムを向上させるだろう。


by otowelt | 2014-02-10 14:56 | 感染症全般

血液型がA型の白人はARDSを発症するリスクが高い

e0156318_1746694.jpg あまり外部リンクは貼らないようにしているのですが、ABO式血液型について参考になるサイトのURLを掲載させていただきます。

http://members.jcom.home.ne.jp/natrom/BloodDBH.html

個人的には、あまりABO式血液型を臨床に応用する意義はないと思っています。性格や占いについては日本の“文化”ですから、敢えて批判はしません。

John P. Reilly, et al.
ABO Blood Type A is Associated with Increased Risk of Acute Respiratory Distress Syndrome in Caucasians Following both Major Trauma and Severe Sepsis
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-1962


背景
 ABOグリコシルトランスフェラーゼは様々な多糖類や糖タンパクにおいて抗原抗体反応を触媒する作用がある。血液型A型は、心血管系疾患や様々な炎症・内皮機能に関連したタンパク値に変化をもたらすとされている。われわれの目的は、ABO血液型が外傷や敗血症によるARDSに関連するかどうかを調べることである。

方法:
 われわれは2集団においてプロスペクティブコホート研究をおこなった。外傷患者732人、重症敗血症患者976人の2集団である。多変量ロジスティック回帰によって交絡因子を補正した。

結果:
 732人の外傷患者のうち、197人(27%)がARDSに発展した。血液型A型は白人におけるARDSリスクを上昇させた(37% vs. 24%、補正オッズ比1.88、95%信頼区間1.14~3.12、p=0.014)。しかし、アフリカ系アメリカ人ではリスクは上昇しなかった(補正オッズ比0.61, 95%信頼区間0.33~1.13, p=0.114)。
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(文献より引用)

 976人の敗血症患者のうち、222人(23%)がARDSに発展した。血液型A型は白人におけるARDSリスクを上昇させた(31% vs. 21%, 補正オッズ比1.67, 95%信頼区間1.08~2.59, p=0.021)。しかし、アフリカ系アメリカ人ではやはりリスクは上昇しなかった(補正オッズ比1.17, 95%信頼区間0.59~2.33, p=0.652)。
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(文献より引用)

limitations:
・単施設研究であること
・2集団を用いて検証しているが、人種差を言及するにはやはり数が少ないこと
・血液検体が少なくバイオマーカー解析が十分でないこと

結論:
 主要な外傷および重症敗血症がある血液型がA型の白人患者はARDSのリスクが高い。これらの結果は、ARDSの病態におけるABO多糖類およびグリコシルトランスフェラーゼの役割を反映しているものと考えられる。


by otowelt | 2014-01-05 00:03 | 感染症全般

2013年感染症専門医試験について

e0156318_17162994.jpg 2013年9月8日に受験した日本感染症学会の感染症専門医試験について記載します。不合格だと恥ずかしいので、その時は書かないつもりでした(笑)。いかんせん3ヶ月ほど前の試験なので、覚えている範囲で書いてみます。

 2013年の感染症専門医試験は62人が受験しました。試験時間は90分で、問題は60問でした。すべて医師国家試験のマルチプルチョイスと同じタイプの出題形式でした。

 インターネット上に感染症専門医試験に関する情報があまりにも少なく、また私は呼吸器内科医であったため感染症科医からの情報も乏しい状態でした。そのため、受験した後にあまり手ごたえがありませんでした。問題は持ち帰ることができませんでしたので、記憶している範囲で記載したいと思います。私のように専門外で情報が少ない人にとって、こんな些細な情報でも参考になれば幸いです。


・AIDS
 AIDSの指標疾患について出題されました。指標疾患でないものはどれか、という問題で「帯状疱疹」を選ばせる問題がありました。

・ワクチン
 ワクチンの接種の間隔や時期について問う問題が出ました。ワクチンは接種時期だけでなく間隔についてもしっかり暗記しないとダメですね。主要なワクチンの接種時期を暗記して臨みましたが、どのワクチンの後にどのくらい経過したらどのワクチンが打てるか、という問われ方をされたのでパニックになってしまいました。

・血液内科
 血液培養の画像を見せて、カンジダを選ばせる問題がありました。アスペルギルスとの形態の違いが分かれば大丈夫だと思います。また、発熱性好中球減少症の対応を問う問題が出ました(「セフェピムを使うこと」や「ただちに治療すること」が分かっていれば大丈夫でした)

・呼吸器内科
 結核の発病率がおよそ10%であること、Mycobacterium bovisはいわゆるNTMではないこと(結核菌群[M. tuberculosis complex]です)、一次結核の定義を問う問題が出ました。呼吸器の領域は基本的にすべて抗酸菌についての問題だったので、結核を普段診療している人にとっては簡単でした。

・小児科
 小児の急性腹症で、腹部CTから糞石を同定し虫垂炎を診断させる問題がありました。また、急性虫垂炎と鑑別が必要なエルシニアを選ばせる問題もありました。クループの問題もありましたが、完全専門外だったので全く分かりませんでした。

・産婦人科
 膣トリコモナスの特徴を問う問題が出ました。

・泌尿器科
 男性の尿道炎の原因にならない菌はどれかという問題で、オウム病の原因であるクラミドフィラ・シッタシを選びました。

・旅行医学
 輸入感染症ではないのはどれかという問題で、トリコスポロンを選びました。
 
・寄生虫
 広節裂頭条虫の虫卵の写真をみせて、プラジカンテルを選ばせる問題が出ました。受験中は広節裂頭条虫だと確信はなかったのですが、なんとなくプラジカンテルでいいだろうと思って選びました。後で確認したら広節裂頭条虫でした。

・時事問題
 H7N9インフルエンザ、SFTS、風疹、MERSについて出るのではないかと思っていましたが、まったく出ませんでした。

 解いた後の手ごたえとしては、自己採点で60%は確実、適当に答えたところが合っていればあわよくば80点くらい・・・という印象でした。周りの感染症科医の方々はもっと簡単に感じたようですが。

 試験勉強は、学会から販売されている分厚い辞書みたいな解説編と問題集を参考にしました。問題集は2周解いて、その都度該当する部分を解説編で確認するようにしました。解説編は1200ページくらいあるのですが、とりあえず流し読みで全部目を通しました。あまりにも分厚いので、試験会場に持って行く意味は無いと思います。どのくらい重いかといいますと、落としたら床のフローリングが凹むくらい重いです。


by otowelt | 2013-12-19 10:42 | 感染症全般

モンテルカストは感染後咳嗽に対して有効ではない

e0156318_10114661.jpg 鎮咳薬に関する臨床試験というのはあまり多くありません。
 ちなみにこれを書いている現在、私も感染後咳嗽に悩まされています。自分の著書に書いておいてナンですが、リンコデ(コデインリン酸®)もメジコン®も効かないのでイライラしています。手元にハチミツがないので、こうなったら机の引き出しに入っているモンテルカスト(シングレア®)を飲んでやろうか、なんて思ってました。

Kay Wang, et al.
Montelukast for postinfectious cough in adults: a double-blind randomised placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 2 December 2013, doi:10.1016/S2213-2600(13)70245-5


背景:
 感染後咳嗽はプライマリケアではよくみられる病態であるが、効果的な治療は証明されていない。システイニルロイコトリエンは感染後咳嗽や百日咳の病態に関与しているとされている。われわれは、感染後咳嗽に対してシステイニルロイコトリエン受容体拮抗薬であるモンテルカストの効果を検証した。

方法:
 このイギリスのランダム化プラセボ対照比較試験において、2~8週間の感染後咳嗽を呈した非喫煙者の16~49歳の成人患者を登録した。患者は百日咳の検査を受け、ランダムにモンテルカスト10mg1日1回あるいはプラセボに2週間割り付けられた。患者はその後試験を継続して追加で2週間内服することが選択できた。ランダム化ハコンピュータ上でおこなわれ、患者、主治医、研究者は治療割り付けを盲検化された。
 効果は、咳嗽特異的QOLを調べるためLeicester咳嗽質問票によって評価された。プライマリアウトカムはベースラインと2つのフォローアップポイント(2週間および4週間)におけるスコアの変化とした。

結果:
 2011年4月13日から2012年9月21日までの間、われわれは276人の患者のうち137人をモンテルカスト、139人をプラセボに割り付けた。70人(25%)の患者が検査室で百日咳であると確定された。
 咳嗽特異的QOLの改善は2週間後両群でともに観察されたが(モンテルカスト:平均2.7, 95%信頼区間2.2—3.3; プラセボ:3.6, 2.9—4.3)、臨床的に意義のある最小変化量:minimum clinically important differenceは満たさなかった(平均差-0.9、95%信頼区間-1.7~-0.04, p = 0.04)。これについて、いかなる感度解析でも統計学的な差はなかった。
 2週間後、データが得られた259人の参加者のうち192人が試験薬を継続した。4週間後において咳嗽特異的QOLは改善しなかった(モンテルカスト: 5.2, 95%信頼区間4.5—5.9; プラセボ:5.9, 5.1—6.7;平均差−0·5,95%信頼区間−1.5 ~0.6, p=0.38)。副作用についても差はなかった(p=0.14)。よくみられた副作用は喀痰、消化器症状、頭痛など。

結論:
 感染後咳嗽に対してモンテルカストは有効ではない。


by otowelt | 2013-12-15 00:48 | 感染症全般

カラギーナンは風邪症状を早期に軽快させる

カラギーナン。初めて聞きました。

Martin Ludwig, et al.
Efficacy of a Carrageenan nasal spray in patients with common cold: a randomized controlled trial
Respiratory Research 2013, 14:124


概要:
 風邪はヒトにおいて最も広く知られたウイルス感染症である。イオタカラギーナンは臨床試験において風邪を引き起こすウイルスに対する抗ウイルス活性が報告されている。この研究では、成人においてカラギーナン含有鼻スプレーが風邪の罹病期間や鼻汁のウイルス量を減らすことができるか調べたものである。このランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、初期の風邪症状がある211人の患者が7日間にわたって治療を受けた。1日3回のカラギーナン鼻スプレーあるいはプラセボとして生理食塩水の鼻スプレーを使用した。その結果、カラギーナンはプラセボと比較して2.1日早く症状を軽快させることができた(p = 0.037)。また、カラギーナン投与群の方は鼻汁のウイルスタイターが有意に減少した(ITT:p = 0.024、per protocol:p = 0.018)。


by otowelt | 2013-12-08 00:18 | 感染症全般