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システマティックレビュー:ペニシリン・セファロスポリンとカルバペネムの交差反応

e0156318_9465048.jpg ペニシリンとカルバペネムの交差反応は5~10%であると研修医の頃に習った覚えがあります。今回のシステマティックレビューでは何かしらの過敏反応を呈したのが4.3%、IgEを介した反応に限るのであれば2.4%と報告されています。
 I型アレルギーの発症だけは注意して回避したいところですが、安易にアレルギーとカルテに記載して将来デメリットを被ることにも配慮しなければなりません。

Brittany Kula, et al.
A systematic review: Can one prescribe carbapenems to patients with IgE-mediated allergy to penicillins or cephalosporins?
Clin Infect Dis. first published online July 21, 2014


背景:
 βラクタム系抗菌薬であるペニシリン・セファロスポリンとカルバペネムの間には交差反応が懸念されているが、それが本当にIgEを介した交差反応をみているのかはわかっていない。

方法:
 小児と成人において、ペニシリンやセファロスポリンによってIgEを介した過敏症を起こしたあとカルバペネムに変更した患者データを収集し、システマティックレビューを実施した。反応は、IgEを介した反応が明らかなもの、IgEを介した反応が疑わしきものあるいはその可能性が高いもの、IgEを介した反応ではないものに分類した。

結果:
 10試験(4試験はレトロスペクティブデザイン)・12症例報告が適格基準を満たした。合計854人の患者が登録された。使用されたカルバペネムはほとんどがイミペネムかメロペネムであった。
 ペニシリンによるIgEを介した反応が過去に確定している、疑わしきものあるいはその可能性が高いものが838人であった。そのうち、カルバペネムが投与されて何かしらの過敏反応が疑われたのは36人(4.3%、95%信頼区間3.1~5.9)であった。IgEを介した反応が疑われたのは20人(2.4%、95%信頼区間1.6- 3.7%)だった。ペニシリンによるスキンテストが陽性だった患者(295人)のうち、1人だけが過敏反応を起こした(0.3%; 95%信頼区間0.06- 1.9%)。これはIgEを介した反応の可能性が高いと判断された。
 セファロスポリンによるIgEを介した反応が過去に確定している、疑わしきものあるいはその可能性が高いものと考えられた12人のうち、3人(25%)がカルバペネムにも何らかの過敏反応を示した。そのうち2人はIgEを介していない過敏反応と考えられた。

結論:
 ペニシリンとカルバペネムの間にIgEを介した交差反応の存在はかなりまれであると考えられるが、懸念事項には違いない。セファロスポリンとカルバペネムの間の交差反応の頻度は多かったが、有用なデータが限られていた。
 

by otowelt | 2014-08-07 00:08 | 感染症全般

外傷性脳損傷患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンは院内肺炎の発症を抑制できず

e0156318_22262163.jpg CRASH試験(Lancet. 2004; 364: 512-520)ではステロイドの投与は死亡リスクや院内肺炎の頻度を上昇させたことが有名です。しかしながら、HYPOLYTE試験(JAMA 2011; 305: 1201-1209)では副腎機能が正常化した時点でステロイドを中止しているためか、院内肺炎の頻度を下げたと報告されています。
 今回のLancet Respiratory Medicineの報告は、HYPOLYTE試験と同じくサンプルサイズが小さい点がlimitationとなりました。

Karim Asehnoune, et al.
Hydrocortisone and fludrocortisone for prevention of hospital-acquired pneumonia in patients with severe traumatic brain injury (Corti-TC): a double-blind, multicentre phase 3, randomised placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 24 July 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70144-4


背景:
 外傷性脳損傷後の院内肺炎:(Hospital-acquired pneumonia)はよくみられる病態であり、脳外傷による副腎機能不全が部分的に関与している可能性が示唆されている。われわれは、低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンが院内肺炎を予防する効果があるかどうか検証した。

方法:
 われわれは二重盲検第III相プラセボ対照試験をフランスの19のICUで実施した。重症外傷性脳損傷(GCS8点以下で頭部CTで脳損傷が確認できるもの)をきたした15~65歳の患者を登録した。患者はランダムに1:1にヒドロコルチゾン200mg/日(その後漸減)+フルドロコルチゾン50μg/日あるいはプラセボに10日間割り付けた。薬剤投与前に、副腎機能がコルチコトロピンテストによって調べられた。ステロイドおよびプラセボは副腎機能不全がなくなれば中止とした。
 プライマリアウトカムはランダム化から28日以内の院内肺炎の発症とした。ITT解析および副腎機能不全患者のみを含めた修正ITT解析をおこなった。

結果:
 2010年9月1日から2012年11月29日まで、われわれは336人の患者を登録した(168人ずつ各群割り付け)。8人の患者が同意を撤回した。28日時点で、ステロイド投与群の165人中74人(45%)およびプラセボ群の163人中87人(53%)が1回以上の院内肺炎を発症した(ハザード比0.75; 95%信頼区間0.55—1.03, p=0.07)。ITT解析において、われわれはステロイド群で86の院内肺炎エピソードを、プラセボ群で110の院内肺炎エピソードを記録した(1患者あたり発症数中央値:0, IQR 0—1 vs 1, IQR 0—1 , p=0.07)。修正ITT解析では、副腎機能不全のある患者においてプラセボ群と比較したステロイド群の院内肺炎のハザード比は0.80 (95%信頼区間0.56—1.14, p=0.22)で、副腎機能が正常の患者における探索的解析ではハザード比0.48 (95%信頼区間0.23—1.01; p=0.05)であった。治療による有害事象は観察されなかった。

結論:
 外傷性脳損傷の患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンはアウトカムを改善させなかった。しかしながら、プラセボ群における院内肺炎の患者が想定よりも少なく、研究自体が検定力不足であった。結果は統計学的に有意に近いものであり、さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2014-08-06 00:50 | 感染症全般

アスペルギローマのサイズと血痰は関連

e0156318_2212077.jpg アスペルギローマに関するレトロスペクティブな観察研究です。実臨床で抱くイメージに近い結果となっています。

Jung-Kyu Lee, et al.
Clinical course and prognostic factors of pulmonary aspergilloma
Respirology, in press, DOI: 10.1111/resp.12344


背景および目的:
 肺アスペルギローマの自然経過におけるサイズの変化に着目したデータは限られている。われわれはこの研究において、サイズの変化を通して肺アスペルギローマの臨床経過や予後について解明することを目的とした。

方法:
 肺アスペルギローマの成人患者143人を多施設共同レトロスペクティブ観察研究で同定した。アスペルギローマのサイズの変化を胸部CTで追った。空洞や主流のサイズの変化を通した臨床経過および血痰のリスクを評価した。

結果:
 フォローアップ期間中央値は5.1年であった。アスペルギローマのサイズは全体の39.2%で変化した。アスペルギローマの容量減少は13.3%、増大は25.9%にみられた。容量が減少した患者は有意にCRPが高く、より気管支拡張症が重度で陳旧性結核病巣を有していた。
 臨床的に有意な血痰は50.3%の患者に観察され、これは空洞のサイズやアスペルギローマの腫瘤サイズの大きさと関連していた。しかし、サイズの経時的変化とは関連していなかった。
 平均空洞径>22mm、腫瘤径>18mmの場合、血痰のリスクが増加した。

結論:
 われわれの研究では肺アスペルギローマのサイズが変化する患者が相当数存在した。臨床的に有意な血痰は空洞やアスペルギローマ腫瘤のサイズの大きさに関連していた。


by otowelt | 2014-07-22 00:44 | 感染症全般

高齢の肺炎患者においてアジスロマイシンを含む抗菌薬治療は90日死亡率を減少

e0156318_1292947.jpg 入院患者さんにおけるアジスロマイシンの点滴は、日本の場合溶媒の輸液量が少しネックになっています。

Eric M. Mortensen, et al.
Association of Azithromycin With Mortality and Cardiovascular Events Among Older Patients Hospitalized With Pneumonia
JAMA. 2014;311(21):2199-2208. doi:10.1001/jama.2014.4304


背景:
 入院を要する肺炎患者では、ガイドラインにおいてアジスロマイシンを含むマクロライド系抗菌薬の併用が推奨されているが、近年の研究によってアジスロマイシンが心血管系のイベントを増加させるのではないかという懸念が浮上している。

目的:
 肺炎で入院した患者において、アジスロマイシンの使用と全死因死亡率および心血管系イベントの関連を調べること。

デザイン・方法:
 肺炎で入院した高齢患者におけるレトロスペクティブコホート研究。アジスロマイシンを処方された群とその他のガイドライン推奨治療を行われた群とを比較した。患者は65歳以上の入院を要する肺炎患者とし、抗菌薬の使用は当該ガイドラインに準ずるものとした。アウトカムは30日および90日時点での全死因死亡率、90日時点での不整脈、心不全、心筋梗塞、そのほか心血管系イベントの発生とした。傾向スコアでマッチングした患者に条件付きロジスティック回帰分析を行った。

結果:
 118病院から73690人の患者が登録された。アジスロマイシン処方を受けた既往がある31863人と同処方既往のないマッチ患者31863人が解析対象となった。2群において潜在的交絡因子に差はみられなかった。90日死亡率はアジスロマイシンを処方された患者で有意に低かった(17.4% vs 22.3%; オッズ比0.73; 95%信頼区間0.70-0.76)。しかしながら、心筋梗塞については有意に多かった(5.1% vs 4.4%; オッズ比1.17; 95% CI, 1.08-1.25)。他の心血管系イベント(43.0% vs 42.7%;オッズ比1.01; 95%信頼区間0.98-1.05), 不整脈(25.8% vs 26.0%; オッズ比0.99; 95%信頼区間 0.95-1.02), 心不全(26.3% vs 26.2%; オッズ比1.01; 95%信頼区間0.97-1.04)には統計学的な差は観察されなかった。
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(文献より引用)

結論:
 肺炎で入院した高齢患者に対するアジスロマイシンを含む抗菌薬治療は、他の抗菌薬治療と比較して90日死亡率が低かったが、心筋梗塞のリスクはやや上昇した。


by otowelt | 2014-06-12 11:37 | 感染症全般

喫煙は肺炎球菌性肺炎の死亡リスクを上昇

e0156318_22543726.jpg 「喫煙はすべての呼吸器疾患のリスクと言っても過言ではないと思います」と書こうと思いましたが、過敏性肺炎に関してはリスクを下げるという報告もあることを思い出しました。

Salvador Bello, et al.
TOBACCO SMOKING INCREASES THE RISK OF DEATH FROM PNEUMOCOCCAL PNEUMONIA
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2853


背景:
 喫煙は市中肺炎や侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)のリスクを上昇させるが、肺炎球菌によるCAPのアウトカムにおいてその死亡にもたらす影響についてはよくわかっていない。この研究の目的は、肺炎球菌によるCAPの死亡率に現在の喫煙ステータスがどういった影響をもたらすか調べることである。

方法:
 われわれは多施設共同プロスペクティブ観察コホート研究を4288のCAP症例を用いて実施した。この研究は892人の肺炎球菌によるCAP患者を登録した。そのうち204人(22.8%)が現喫煙者、387人(43.4%)が非喫煙者、301人(33.7%)が既往喫煙者であった。

結果:
 30日時点での死亡率は3.9%であった。喫煙者別の内訳は、現喫煙者4.9%、非喫煙者4.3%、既往喫煙者2.6%であった。現喫煙CAP患者はより若く(51歳 vs 74歳)、またアルコール乱用者が多く、心疾患・腎疾患・気管支喘息は少なかった。現喫煙者はCURB65が低かったが、40%が診断時に重症敗血症を呈していた。年齢、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、合併症などの複数の項目で補正した後も、現喫煙は肺炎球菌によるCAPの30日死亡の独立リスク因子であった(オッズ比5.0; 95%信頼区間 1.8-13.5; p=0.001)。
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(文献より引用)

結論:
 現喫煙者における肺炎球菌によるCAPは、重症敗血症を呈し若年例が多いが、合併症は比較的少なかった。喫煙は30日死亡のリスク因子であった。


by otowelt | 2014-06-05 00:17 | 感染症全般

再発C.difficile感染症に対する凍結糞便を用いた糞便微生物移植の有効性

e0156318_1654535.jpg すっかりC. difficile感染症の治療でおなじみになった糞便微生物移植のうち、凍結糞便を用いた注入法の報告です。 
 Discussionに興味深い一文がありました。

“We are now studying oral delivery of frozen encapsulated material as the next logical step in making FMT more accessible to patients.”

Ilan Youngster, et al.
Fecal Microbiota Transplant for Relapsing Clostridium difficile Infection Using a Frozen Inoculum From Unrelated Donors: A Randomized, Open-Label, Controlled Pilot Study
Clin Infect Dis. (2014) 58 (11): 1515-1522. doi: 10.1093/cid/ciu135


背景:
 通常の治療でも効果がみられない再発性のClostridium difficile感染症(CDI)に対する治療に関心が集まっている。われわれは、再発性CDIに対して他人の凍結糞便を用いた糞便微生物移植(fecal microbiota transplant:FMT)を大腸内視鏡的および経鼻胃管の2治療で比較した。

方法:
 凍結糞便は健康な成人から得られた。再発性および治療不応性CDI患者はランダムに大腸内視鏡および経鼻胃管によって糞便を投与される群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは8週間後時点における下痢の臨床的軽快とした。セカンダリエンドポイントは自己申告の健康スコアとした。
 糞便提供者(ドナー)は外傷以外にいかなる既往歴も有さない健康な成人とした。糞便採取前にマグネシアミルクを飲んでもらった。糞便懸濁液は、防腐剤を用いずに生理食塩水とブレンダーで混合した。その後、粒子状物質を除去した。遠心分離によって3倍に濃縮し、10%グリセロールで滅菌生理食塩水に再懸濁として添加した。その後-80℃に凍結した。

結果:
 20人の患者が登録され、10人ずつ各々の治療群に割り付けられた。患者は治療介入前に中央値で4回(range:2~16回)の再発を経験していた。1回のFMTによって下痢の軽快は14人(70%)で得られた(大腸内視鏡10人中8人、経鼻胃管10人中6人)。5人が再度FMT治療を受け、4人が軽快したため、全体としてFMTによる治癒率は90%となった。排便回数も治療前は中央値7回(IQR5~10)であったものが、治療後2回(IQR1~2)に減少した。また、自己申告健康スコアは有意に改善した。
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(文献より引用)

結論:
 凍結糞便を用いたFMTは再発性CDIに有効である。経鼻胃管からの投与は大腸内視鏡的投与と同等の効果が得られた。


by otowelt | 2014-05-27 00:26 | 感染症全般

HIV感染患者における市中肺炎とニューモシスティス肺炎を鑑別する因子

e0156318_1753714.jpg HIVの患者さんが肺炎を起こした場合には、常にニューモシスティス肺炎やは肺結核を念頭に置かねばなりません。日本では「ニューモシスス肺炎」と記載するのが正しいようですが、私は「ニューモシスティス肺炎」と記載しています。「ロマンック」と書くよりも「ロマンティック」と書く方が好きですね。

Catia Cilloniz, et al.
Community-acquired lung respiratory infections in HIV-infected patients: microbial aetiology and outcome
ERJ February 13, 2014 erj01558-2013


背景および目的:
 われわれはHIVに感染した患者の市中肺炎(CAP)の疫学、Pneumocystis jiroveciiによるCAPのリスク因子、30日死亡を予測する予後因子を記載する。

方法:
 これはHIVに感染した成人CAP患者を連続331人登録した(2007年1月から2012年7月まで)。

結果:
 128人(39人)の患者がCD4陽性細胞数200/mm3未満、99人(43%)がHIV RNA200コピー/mL未満であった。
 CD4陽性細胞数200/mm3以上の患者ではStreptococcus pneumoniaeが最もよくみられた。200/mm3未満およびHIV RNA200コピー/mL未満の患者ではP. jiroveciiが最もよくみられた。
 細菌性CAPを予測する因子としては、5日以下の症状(オッズ比2.6, 95%信頼区間1.5–4.4), CRP22 mg/dL以上(オッズ比4.3, 95%信頼区間2.3–8.2)、HCV共感染(オッズ比2.3, 95%信頼区間1.4–3.9)が挙げられる。白血球4×1012/L以下(オッズ比3.7, 95%信頼区間1.2–11.5), LDH598 U/L以上(オッズ比12.9, 95%信頼区間4.2–39.7)、多葉にわたる病変(オッズ比5.8, 95%信頼区間1.9–19.5)はP. jiroveciiによる肺炎を予測した。全体で30日死亡率は7%だった。
 適切な抗菌薬治療(オッズ比0.1, 95%信頼区間0.03–0.4), LDH598 U/L以上(オッズ比6.2, 95%信頼区間1.8–21.8)、人工呼吸器装着(オッズ比22.0, 95%信頼区間6.2–78.6)は30日死亡率を独立して予測した。
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(文献より引用)

結論:
 ある種の予測因子を用いれば、HIV感染症のある成人患者において、細菌性およびP. jiroveciiによる肺炎を鑑別することが可能かもしれない。


by otowelt | 2014-02-27 00:26 | 感染症全般

鞭虫感染に対するオキサンテルとアルベンダゾールの併用投与は標準治療より有効

e0156318_2256015.jpg 呼吸器科で出合う寄生虫感染の多くは回虫症で、個人的にはそれ以外経験したことがありません。

Benjamin Speich, et al.
Oxantel Pamoate–Albendazole for Trichuris trichiura Infection
N Engl J Med 2014; 370:610-620February 13, 2014


背景:
 世界的に土壌伝播蠕虫(回虫:Ascaris lumbricoides、鉤虫、鞭虫:Trichuris trichiura)感染が拡大しており、これらは同時に感染することが多いとされている。これらの寄生虫感染は、通常アルベンダゾールやメベンダゾールによって治療されるものの、いずれも鞭虫に対する有効性は高くない。また、アルベンダゾールは鉤虫に対する第一選択薬である。

方法:
 タンザニア・ペンバ島で施行した二重盲検試験において、6~14歳の小児を次の4治療のいずれかにランダムに割り付けた。すなわち、オキサンテルパモ酸塩20mg/kg+アルベンダゾール400mg 2日間、オキサンテルパモ酸塩20mg/kg単回、アルベンダゾール400mg単回、メベンダゾール500mg単回である。オキサンテルとアルベンダゾールの併用の有効性・安全性プロファイルを、鞭虫感染の治療に用いた場合や土壌伝播蠕虫同時感染の治療に用いた場合について評価。有効性は、感染症治癒率と虫卵の減少率をみた。

結果:
 合計458人から完全なデータが得られた。450例が鞭虫、443例が鉤虫、293例が回虫に感染した。オキサンテル+アルベンダゾール群の鞭虫感染の治癒率はメベンダゾール群よりも有意に高かった(31.2% vs. 11.8%、P=0.001)。また、虫卵減少率も同様であった(96.0%、95%信頼区間93.5~97.6 vs. 75.0%、95%信頼区間64.2~82.0)。アルベンダゾール単剤群の治癒率と虫卵減少率は、メベンダゾール群よりも有意に低かった(P=0.02)。また、オキサンテル単剤群は、鉤虫と回虫に対する有効性が低かった。

結論:
 鞭虫感染に対するオキサンテルとアルベンダゾールの併用投与によって、標準治療と比べ高い治癒率および虫卵減少率が達成できた。


by otowelt | 2014-02-20 00:15 | 感染症全般

ロタウイルスワクチンと腸重積の関連性

e0156318_1022317.jpg 呼吸器内科医としてではなく、子供を持つ親の身として読みました。

W. Katherine Yih, et al.
Intussusception Risk after Rotavirus Vaccination in U.S. Infants
N Engl J Med 2014; 370:503-512February 6, 2014


背景:
 第二世代ロタウイルスワクチンであるロタテック(5価ワクチン)、ロタリックス(1価ワクチン)を接種した後に、腸重積のリスクが上昇することが知られている。われわれはこの関連をアメリカの乳児において検証した。

方法:
 本研究は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が助成しているミニセンチネルプログラムに参画する3医療保険に加入している、生後5.0~36.9週の乳児を対象としたものである。登録コードにより2004~2011年に腸重積の可能性のあった症例とロタウイルスワクチン曝露の症例を同定した。診療録をレトロスペクティブに検証し、腸重積発症とロタウイルスワクチンの接種の記載を確認した。
 主要解析において、ワクチン接種した小児のみを対象とした自己対照リスクインターバルデザインを用いた。副次的解析に、人–時間コホートデザインを使用。

結果:
 5価ワクチンは初回接種507874回、合計接種1277556回、1価ワクチンは初回接種53638回、合計接種103098回を解析対象とした。検出力は、後者の解析のほうが前者の解析よりも低かった。
 5価ワクチン初回接種を受けた10万人あたりの腸重積の過剰症例数は、主要解析(リスク期間7日間の寄与リスク1.1、95%信頼区間0.3~2.7、リスク期間21日間の寄与リスク1.5、95%信頼区間0.2~3.2)、副次的解析(リスク期間21日間の寄与リスク1.2、95%信頼区間0.2~3.2)の双方ともに有意に増加。2回目、3回目の接種後でのリスクの上昇はみられなかった。ただし、1価ワクチンは、副次的解析では2回目の接種後に有意なリスクがみられた。

結論:
 ロタウイルス5価ワクチンは、初回接種を受けた10万人あたりおよそ1.5例(95%信頼区間0.2~3.2)の腸重積過剰と関連していた。1価ワクチンは検出力が低かったが、副次的解析によってリスク上昇の可能性がある。


by otowelt | 2014-02-12 00:08 | 感染症全般

成人の敗血症性肺塞栓の臨床的特徴

e0156318_16595362.jpg うーん、システマティックレビューと言っていいものでしょうか。メタアナリシスではないですが。いずれにしても言語選択のバイアスのある研究だと思います。

Rui Ye, et al.
Clinical characteristics of septic pulmonary embolism in adults: A systematic review
Respiratory Medicine Volume 108, Issue 1 , Pages 1-8, January 2014


目的:
 診断と治療の改善のため、成人における敗血症性肺塞栓の臨床的特徴を記載する。

方法:
 事前に規定した適格基準に照らし合わせて、中国語および英語のデータベースから該当文献を抽出した。主要なリスク因子、臨床所見、画像所見、微生物学的特徴、合併症やそのほかの臨床的特徴などを調べた。

結果:
 厳格な基準に照らし合わせ、76の論文が選択された(2つが中国語の文献、74が英語の文献)。この中には168人の患者が登録されていた。敗血症性肺塞栓の主要なリスク因子は、経静脈的薬物使用(44人)、血管内留置カテーテルの存在(21人)、皮膚軟部組織の感染症(10人)が挙げられた。もっともよくみられた臨床所見は発熱(144人)であり、そのほかにも呼吸困難感(81人)、胸痛(82人)、咳嗽(69人)などがあった。胸部CTでは89人に肺末梢の結節影が両肺にみられ、75人に空洞、48人に局所あるいは楔状の浸潤影、40人に胸水が観察された。心エコー検査ではしばしば疣贅がみられた(52人)。血液培養ではMRSAが27人、MSSAが48人、カンジダが6人から検出された。17人が死亡し、101人が治癒した。

結論:
 敗血症性肺塞栓は特異的な臨床所見の無い稀な疾患である。経静脈的薬物使用者や血管内留置カテーテルのあるハイリスク患者、発熱とともにみられる多発性結節影あるいは局所の浸潤影(空洞の有無は問わない)を見た場合、当該疾患を疑う必要がある。早期診断と適切な治療が治療アウトカムを向上させるだろう。


by otowelt | 2014-02-10 14:56 | 感染症全般