カテゴリ:びまん性肺疾患( 284 )

肺胞蛋白症ではYKL-40が上昇し、高ければ疾患アウトカムが不良である

e0156318_10543430.jpg YKL-40をコードする遺伝子CHI3L1は、プロモータ領域での-131C→G変異がYKL-40蛋白の増加および1秒量の悪化と相関しています(N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1682-91.)。

Bonella F, et al.
Serum YKL-40 is a reliable biomarker for pulmonary alveolar proteinosis.
Respirology. 2017 Oct;22(7):1371-1378.


背景および目的:
 肺胞蛋白症(PAP)は肺胞を充満するまれな呼吸器疾患である。YKL-40はマクロファージや上皮細胞から産生されるキチナーゼ様タンパクで、間質性肺疾患の患者で上昇することがわかっている。キチナーゼはTh2細胞由来の炎症に対しても重要な役割を果たすことが知られており、喘息患者の組織においても過剰発現が確認されている。われわれは、今回PAPに対するYKL-40の役割を評価した。

方法:
 合計34人の自己免疫性PAP患者および50人の健常コントトールが登録された。YKL-40は血清および気管支肺胞洗浄液(BALF)中でELISA法を用いて測定された。キチナーゼコード遺伝子の多型(CHI3L1-329、 -131)がPCRおよびpyrosequencingで同定された。血清YKL-40レベルと疾患アウトカムの相関性が解析された。

結果:
 ベースラインの血清YKL-40およびBALF中YKL-40はPAP患者で有意に高かった(それぞれ286 ± 27 ng/mL vs 42 ± 4 ng/mL, P < 0.0001; 323 ± 36 ng/mL vs 3 ± 1 ng/mL, P < 0.0001)。血清YKL-40レベルはベースライン時および全経過中のDLCOと相関していた(それぞれP = 0.002、P < 0.0001)。疾患進行がみられたPAP患者では、血清YKL-40レベルが安定的あるいは改善がみられたPAP患者よりも高かった(P < 0.0001)。ベースラインのカットオフ値を300 ng/mLに設定すると、疾患進行を有意に予測できた(ハザード比7.875, P = 0.001)。Gアレルの存在は血清およびBALF中のYKL-40レベルと関連していた。

結論:
 YKL-40はPAP患者の血清およびBALFで上昇しており、アウトカムの予測に有用かもしれない。


by otowelt | 2017-09-25 00:44 | びまん性肺疾患

INJOURNEY試験:IPFに対するニンテダニブとピルフェニドンの併用療法

e0156318_21341355.jpg 副作用が問題なく、肺活量減少を明らかに抑制できるのであれば治療選択肢となるでしょう。マネジメント可能であると結論に書かれていますが、ちょっと忍容性については根拠が乏しいように思います。

Carlo Vancheri, et al.
Nintedanib with Add-on Pirfenidone in Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Results of the INJOURNEY Trial
AJRCCM, https://doi.org/10.1164/rccm.201706-1301OC


背景:
 ニンテダニブとピルフェニドンはIPFの進行を遅らせるが、疾患は進行し続けることは間違いない。これら2剤の併用に関してさらなる安全性と有効性のデータが求められている。

目的:
 安全性、忍容性、薬学動態および探索的効果エンドポイントを調べるために、ピルフェニドンとニンテダニブを併用群とそれぞれの単独治療を受ける群を比較する。

方法:
 IPF患者で、4~5週のニンテダニブ150mg1日2回を受けるrun-in periodの後のスクリーニング検査で%努力性肺活量が50%以上あるものを対象に、ピルフェニドン(801mg1日3回)あるいはニンテダニブをそのまま継続する群に割り付けられた。治療は12週間継続。プライマリエンドポイントはベースラインから12週目までのの消化器系副作用の治療必要性とした。解析は記述的および探索的に行われた。

結果:
 消化器系副作用はニンテダニブ+ピルフェニドン群53人中37人(69.8%)にみられ、ニンテダニブ単独群の51人中27人(52.9%)にみられた。
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(文献より引用: Figure E2 消化器系副作用)

 トラフ値はニンテダニブ単独とピルフェニドン併用群では同等だった。ベースラインから12週時点までの努力性肺活量変化はニンテダニブ+ピルフェニドン群で-13.3±17.4mL、ニンテダニブ単独群で-40.9±31.5mLだった。トランスアミナーゼ、γGTPの上昇は併用群で多く観察された。

結論:
 IPF患者におけるニンテダニブ+ピルフェニドンの併用は、安全性、忍容性ともにマネジメント可能である。さらなるアウトカム調査を今後に期待したい。


by otowelt | 2017-09-21 00:28 | びまん性肺疾患

喫煙ステータスとIPF

e0156318_21341355.jpg Miia Kärkkäinen, et al.
Effect of smoking and comorbidities on survival in idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Research201718:160

背景:
 喫煙はIPFのリスクを増加させると言われている。合併症が生存期間を短縮させるが、喫煙者は非喫煙者よりも生存期間が長いことがいくつかの研究で示されている。これらの関連についてはいまだ報告はない。

方法:
 後ろ向き研究で、IPF患者から性別、喫煙歴などの情報を収集した。合併症や治療内容についてもデータを集めた。死亡を予測する因子は、Cox比例ハザード解析によって同定した。

結果:
 登録されたIPF患者のうち、45人が非喫煙者(53.3%が女性)、66人が既喫煙者(9.1%が女性)、17人が現喫煙者(17.6%が女性)だった。現喫煙者は、ベースラインの年齢が非喫煙者(58.1±8.74歳 vs 71.4±8.74歳、p<0.001)や既喫煙者(58.1±8.74歳 vs 72.5.4±7.95歳、p<0.001)よりも若かった。非喫煙者や現喫煙者の生存期間中央値は、既喫煙者よりも長かった(55.0ヶ月、52.0ヶ月 vs 36.0ヶ月)(p=0.028、0.034)。年齢および重症度を補正すると、喫煙は生存とは関連していなかった。心血管系疾患はもっともよくみられた合併症だった。現喫煙者は、既喫煙者よりもCOPDや肺癌を有している頻度が高かった。心血管系疾患、COPD、インスリンの使用は補正解析において生存期間の短縮と関連していた。

結論:
 現喫煙者の発症が若年であることから、喫煙はIPFの経過に影響を与えるだろう。しかし、喫煙そのものは生存には寄与していなかった。


by otowelt | 2017-09-20 00:33 | びまん性肺疾患

IPFにもたらすオゾンと微小粒子状物質の影響

e0156318_21341355.jpg 地道な研究ですが、重要な知見ですね。

Sesé L, et al.
Role of atmospheric pollution on the natural history of idiopathic pulmonary fibrosis.
Thorax. 2017 Aug 10. pii: thoraxjnl-2017-209967. doi: 10.1136/thoraxjnl-2017-209967.


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は、疾患安定性・生理的疾患進行・急速な肺機能低下といったいろいろな病像があるも、臨床経過を予測するkとは難しい。また、少数の患者はIPF急性増悪(AE)を経験する。近年の研究において、オゾンとNO2はIPF-AEの発生に寄与すると報告されている。われわれは、屋外での大気汚染がIPFの自然経過に影響すると仮説を立てた。

方法:
 IPF患者はフランス多施設縦断的前向きコホート(French cohort COhorte FIbrose [COFI])から192人の抽出した。大気汚染レベルはIPF患者の住居に最も近い大気環境観測所のデータをそれぞれの患者に符号させた。Cox比例ハザード解析によって、IPF-AE、IPF病勢進行、死亡に対する大気汚染の影響を評価した。

結果:
 IPF-AEの発症は、発症前6週間の間の平均オゾンレベルの上昇と有意に関連していた(ハザード比1.47/10μg/m3, 95%信頼区間1.13-1.92, p=0.005)。微小粒子状物質であるPM10とPM2.5の暴露累積は、IPF患者のそれぞれ34%・100%でWHO推奨レベルを超過。死亡はPM10への暴露(ハザード比2.01/10μg/m3, 95%信頼区間1.07-3.77, p=0.03)とPM2.5の暴露(ハザード比7.93/10μg/m3, 95%信頼区間2.93-21.33, p<0.001)と有意に関連していた。
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(文献より引用:Table4:死亡に与える影響)

結論:
 屋外の大気汚染がIPFに対して負の影響をもたらすことが示された。IPF-AEに対するオゾンの役割と微小粒子状物質曝露の潜在的な影響を示した。


by otowelt | 2017-09-07 16:27 | びまん性肺疾患

間質性肺疾患の死体肺移植待機中の患者の早期死亡リスク因子

e0156318_18552345.jpg ドナーが増えないと根本的な解決にならないのは明らかです。日本人の死生観が大きなハードルになっているように思います。

Hisao Higo, et al.
Clinical characteristics of Japanese candidates for lung transplant for interstitial lung disease and risk factors for early death while on the waiting list
Respiratory Investigation, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.resinv.2017.03.002


背景:
 肺移植は、日本における間質性肺疾患(ILD)のアウトカムを良好にする。しかしながら、ドナーがきわめて少なく、移植までに約2.5年待機をしなければならないため、移植までに多くの患者が亡くなる。われわれは、移植待機した日本のILD患者の臨床的特徴と移植前死亡のリスク因子を明らかにした。

方法:
 われわれは、日本臓器移植ネットワークに登録された患者の臨床データを岡山大学病院から抽出し、後ろ向きにレビューした。1999年から2014年までにILDで死体肺移植の希望登録をしたものを対象とした。

結果:
 53人のILD患者が対象となった(24人がIPF、29人がその他)。患者は重度の肺機能障害と低運動耐容能を有していた。移植待機期間中央値は462日であり、22人の患者が死亡した。移植を受けずに462日以前に死亡した患者は、462日以上待機した患者と比較して、重度の呼吸困難を有しており、6分間歩行距離が短く、パフォーマンスステータスが低かった。
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(文献より引用:Figure1)

結論:
 日本のILD患者において死体肺移植を待機している患者は、重度の肺機能障害がある。重度の呼吸困難、短い6分間歩行距離、低いパフォーマンスステータスは、待機リストにおける早期死亡のリスク因子であった。



by otowelt | 2017-08-24 00:01 | びまん性肺疾患

IPFに対するトラロキヌマブは無効

e0156318_21341355.jpg いわゆる、ネガティブスタディです。

Joseph M Parker , et al.
A Phase 2 Randomized Controlled Study of Tralokinumab in Subjects with Idiopathic Pulmonary Fibrosis
AJRCCM, https://doi.org/10.1164/rccm.201704-0784OC


背景:
 インターロイキン13は、IPFの治療の潜在的ターゲットである。臨床前データでは、組織線維化に関与し、その曝露によって疾患進行がはやくなることが示唆されている。

目的:
 軽症~中等症のIPF患者におけるヒトIL-13モノクローナル抗体であるトラロキヌマブの効果と安全性を調べること。

方法:
 トラロキヌマブ(400mgあるいは800mg)あるいはプラセボを4週間ごとに68週まで経静脈的投与された患者を対象とした。プライマリエンドポイントは、ITT集団における52週時点での%努力性肺活量とした。探索的解析として、ベースラインの血清ペリオスチン濃度が低いサブグループ患者での臨床的反応も評価した。

結果:
 中間解析において効果が確認されなかったため、この研究は中断された。トラロキヌマブ400mgおよび800mgのいずれもプライマリエンドポイントを達成しなかった。血清ペリオスチン濃度で規定したサブグループ患者において当該プライマリエンドポイントは達成されなかった。プラセボと比較して、トラロキヌマブ群では52週時点での%努力性肺活量が10%以上低下した患者が多かった。

結論:
 トラロキヌマブは安全性や忍容性プロファイルには問題なかったが、効果エンドポイントは達成されなかった。

 

by otowelt | 2017-08-22 00:07 | びまん性肺疾患

PPFEはIPFより予後不良?

e0156318_18552345.jpg  翻訳は日本医科大学から引用させていただきました。国内のPPFEではかなりまとまった報告だと思います。予後が不良の一群をみていることについては以前から指摘されていますね(Respir Investig. 2012 Sep;50(3):88-97. )。

Hayashi H, et al.
Body Mass Index and Arterial Blood Oxygenation as Prognostic Factors in Patients with Idiopathic Pleuroparenchymal fibroelastosis
Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2017; 34; 35-40


背景:
 原因不明で上葉優位に肺の線維化を来す疾患は,本邦では古くから認識されてきた.網谷らは,1992年,両側上葉に限局した非特異性線維化を呈する13症例をまとめ,「特発性上葉限局型肺線維症」として報告した.また,欧米でも,2004年に上葉優位の胸膜,隣接した肺実質の線維化,特に肺胞隔壁の弾性線維の増生を病理学的な特徴としたidiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis (IPPFE)という概念が提唱された.2013年にはATS(米国胸部疾患学会)/ ERS(欧州呼吸器学会)から発表された特発性間質性肺炎ステートメントでも,IPPFEは稀な間質性肺炎の中に包括されている.これらの病態はほぼ同一と考えられているが,比較的稀少ということもあり,その診断基準や発症のメカニズムについては明らかにされていない.今回,特発性肺線維症(IPF)との比較を通して,その臨床的特徴や予後などを調べることを目的とした.

方法:
 2005年から2013年に日本医科大学付属病院ならびに国立病院機構茨城東病院を受診,画像上IPPFEと判断した症例を対象とし,その医療記録をreviewした.IPPFEは,既報告に基づき,胸部CTで胸膜直下の線維化に付随した胸膜肥厚を認め,かつ上葉主体で下葉の病変は乏しい,ないしは認めないものと定義した.明らかな膠原病や慢性過敏性肺臓炎,悪性腫瘍を背景に持つ症例,二次性PPFEは除外した.本検討では,臨床像,検査結果を調べ,その推移をみた.検討項目として,臨床像(性別,年齢,喫煙歴,職業歴,吸入歴,BMI),血液検査(KL-6,SP-D,動脈血液ガス),呼吸機能検査(FVC,FEV1,TLC,DLco,RV/TLC,ERV)とした.同時期に日本医科大学付属病院を受診し, IPFと比較検討し,予後不良因子を検討した.

結果:
 対象としたIPPFE は20 例,比較対象としたIPF は71 例であった.観察期間は,2 群間で有意差は認めなかった.年齢中央値は,IPPFE 群が68.5 歳,IPF 群が70 歳で群間に有意差は認めなかった.IPPFE 群の体重ならびにBMI は,有意に低値であった(共にp<0.0001).非喫煙者が半数を占め(10/20 例),また喫煙者でのpack-years も低かった (p<0.0001).IPPFE群は,FVC,%FVC,FEV1,FEV1%,ERV,%ERVが有意に低値を示した.またRV/TLCが有意に高値を認めた.呼吸機能の推移では,IPPFEでは⊿FVC -326ml/year,⊿%FVC -10%/year,⊿%TLC -10.7%/yearと有意に拘束性障害の進行を認めた.Kaplan-Meier曲線を比較してみると,IPPFE群はIPFに比較して有意に予後不良であった(P=0.021).univariate Cox-proportional hazard modelにおいてBMI, PO2が有意に予後と相関した.

考察:
 上葉優位型肺線維症は,比較的緩徐に進行するとされているが,本検討ではIPFと比較し初診時から拘束性換気障害,残気率の上昇を認め,経過中FVCの急速な低下,Ⅱ型呼吸不全の進行を来たし,必ずしも予後良好な病態とは言えなかった.初診時のBMIとPaO2は予後との関連を示した.症状出現後の病勢進行は比較的急速で予後不良と考えられるため,無症状期からの慎重な観察,栄養管理,更に肺移植の考慮が必要である.


by otowelt | 2017-08-15 00:04 | びまん性肺疾患

IPF患者において、抑うつは健康関連QOLあるいは健康ステータスの独立規定因子

e0156318_21341355.jpg こういう検証は重要だと思います。

Matsuda T, et al.
Depression Is Significantly Associated with the Health Status in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Intern Med. 2017;56(13):1637-1644.


目的:
 抑うつはIPF患者でよくみられる症状であると報告されている。しかしながら、抑うつが健康関連QOLの独立規定因子であるかどうかはIPF患者では評価されていない。われわれは、SGRQスコア等が独立規定因子かどうか調べるためこの研究をデザインした。

方法:
 肺機能検査、動脈血酸素分圧、6分間歩行試験、SGRQ、BDI、HADSを評価された連続IPF患者を後ろ向きに登録した。すべての登録患者は、新規にIPFと診断されたものであり、抗うつ薬・ピルフェニドン・ステロイド・免疫抑制剤・長期酸素療法といった治療を受けていない。

結果:
 IPF121人が登録された(男性99人)。SGRQでは、全体および各コンポーネントのいずれにおいても軽度~中等度の障害が観察された。HADSでは、27人(22.3%)が境界あるいは確定的抑うつを有していた。単変量解析では努力性肺活量、DLCO、動脈血酸素分圧、BDI、HADS(HADS-A・HADS-D)、6分間歩行距離、6分間歩行試験中の最低酸素飽和度が有意にSGRQの合計と相関していた。ステップワイズ多変量回帰モデルでは、BDI、6分間歩行距離、HADS-DがSGRQスコアと関連する独立規定因子と同定された。このモデルでは、全分散は59%(p<0.001)だった。

結論:
 IPF患者において、抑うつは健康関連QOLあるいは健康ステータスの独立規定因子であると結論づけられた。

 

by otowelt | 2017-07-20 00:59 | びまん性肺疾患

IPF患者における睡眠呼吸障害の存在は予後不良因子

e0156318_21341355.jpg IPFは痩せ型の患者さんが多いので、そこまで私は意識していませんでした。

Bosi M, et al.
OSA and Prolonged Oxygen Desaturation During Sleep are Strong Predictors of Poor Outcome in IPF.
Lung. 2017 Jul 3. doi: 10.1007/s00408-017-0031-4. [Epub ahead of print]


目的:
 睡眠呼吸障害(SBD)はIPF患者でよくみられ、睡眠や生活の質の障害と関連し、また死亡率の上昇とも関連しているとされている。この研究の目的は、軽症~中等症のIPF患者の予後にSBDがもたらす影響を評価することである。

方法・結果:
 35人のIPF患者のうち、25人にOSAがみられた。軽症IPFは全体で14人、中等症は7人、重症は4人だった。AACM定義では、睡眠関連低酸素血症は35人のIPF患者のうち9人にみられた。SBDの有無でみると、IPF患者は4群に分けられる。すなわち、SBDがない群(A群:25.7%)、睡眠関連低酸素血症がないOSA群(B群:48.5%)、睡眠関連低酸素血症のあるOSA群(C群:22.8%)、OSAがないものの睡眠関連低酸素血症がある群(D群:1人のみ[2.8%])である。D群が1人のみであったため、統計学的解析はA~C群で行われた。
 C群は、死亡率あるいは臨床的悪化の両アウトカムにおいてもっとも予後不良だった。SBDは死亡(ハザード比7.6、p=0.029)および疾患進行(ハザード比9.95、p=0.007)の独立予測因子であった。

結論:
 IPF患者において、SBDは予後不良と関連していた。SBDの存在はすべてのIPF患者で検索すべきである。


by otowelt | 2017-07-19 00:55 | びまん性肺疾患

血清Dダイマーの上昇は間質性肺疾患の急性増悪のリスク増加と関連

e0156318_1543237.jpg ルーチンで測定してもよいという流れになるかもしれませんね。

Ishikawa G, et al.
Elevated serum D-dimer level is associated with an increased risk of acute exacerbation in interstitial lung disease.
Respir Med. 2017 Jul;128:78-84.


背景:
 早期に間質性肺疾患(ILD)の急性増悪やその前段階のリスク増加を認識することは、臨床的に有用である。本研究は、血清Dダイマーの上昇とILD急性増悪・前(preclinical)急性増悪の関連性を調べることである。

方法:
 単施設後ろ向き研究。2009年10月から20145年9月まで18歳以上のILD患者を登録した(IPF、他のIIPs、CHP、膠原病関連ILD、CPFE)。プライマリアウトカムはDダイマー測定から3ヶ月以内のILD急性増悪とし、セカンダリアウトカムは同3ヶ月以内の呼吸器系の入院、全ての原因による入院、静脈血栓塞栓症(VTE)、総死亡率とした。

結果:
 合計263人(平均年齢64.1歳)が登録され、Dダイマーが374回測定された(中央値0.44μg/mL)。急性増悪のリスクは血清Dダイマーが上昇している患者で有意に高かった(補正オッズ比10.46; 95%信頼区間1.24-88.11; p = 0.03)。血清Dダイマーが上昇している患者は、呼吸器系の入院、全ての原因による入院、VTE、総死亡率のリスク増加がみられた。他の急性増悪を予測する因子として、在宅酸素療法、血清LDH上昇、努力性肺活量減少、1秒量減少が挙げられた。

結論:
 血清Dダイマーの上昇はILD急性増悪のリスクと関連していた。急性増悪ないしは前急性増悪の状態を予測する上で血清Dダイマーは有用かもしれない。


by otowelt | 2017-06-28 00:31 | びまん性肺疾患