カテゴリ:びまん性肺疾患( 301 )

possilbe IPFに対するステロイドはすすめられない

e0156318_7331272.jpg そもそもメリットがないよ、ということでしょう。UIPがらみでなくとも、多くの線維性間質性肺疾患では有害性の方が大きいと考えられます。

Wiertz IA, et al.
Unfavourable outcome of glucocorticoid treatment in suspected idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2017 Dec 5. doi: 10.1111/resp.13230. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 possible IPFは、放射線学的にinconsistent with UIPパターンが胸部HRCTで確認され外科的肺生検でUIPパターンが検出されることで分類される(組み入れ基準:IIP with an inconsistent UIP pattern on HRCT scan and a histological UIP pattern in surgi-cal lung biopsy (SLB))。この群における治療エビデンスは不足しており、観察か免疫調節薬・抗線維化薬治療の間を選択しなければならない。

方法:
 多施設における59人のpossible IPF患者に対するプレドニゾン治療のアウトカムを評価すること。プレドニゾンは、0.5mg/kg/dayから開始し、6ヶ月かけて0.15mg/day/kgまで漸減された。アウトカムには努力性肺活量、重篤な有害事象(死亡あるいは入院)が含まれた。

結果:
 治療を受けたpossible IPFの患者は、68%がノンレスポンダーだった(ベースラインから6ヶ月までの努力性肺活量減少率>5%あるいは死亡)。蜂巣肺のある患者の90%がノンレスポンダーだった。反面、5年よりも前に禁煙している、外科的肺生検で局所的DIP様の反応がみられた7人中6人の患者はプレドニゾンに反応した(努力性肺活量減少率5%未満)。プレドニゾン開始から3ヶ月以内の重篤な有害事象が12人にみられ、5人が死亡した。

結論:
 possible IPF患者では努力性肺活量の減少が顕著であり、ステロイド治療によって相当数の有害事象を被る。


by otowelt | 2017-12-22 00:49 | びまん性肺疾患

デルファイ法によるCHP診断アルゴリズム

Morisset J, et al.
Identification of Diagnostic Criteria for Chronic Hypersensitivity Pneumonitis: An International Modified Delphi Survey.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Nov 27. doi: 10.1164/rccm.201710-1986OC. [Epub ahead of print]


 国際ガイドラインを作成する方針のようです。エキスパートオピニオンに依存した疾患概念なので、デルファイ法でアルゴリズムを作成していますが、真実はどうなんでしょうか。異論が出そう。
e0156318_7591778.jpg
(文献より引用改変)


by otowelt | 2017-12-21 12:09 | びまん性肺疾患

IPF患者は気胸を発症しやすく、それは予後不良につながる

e0156318_14441648.jpg 浜松医科大学からの報告です。

Nishimoto K, et al.
The prognostic significance of pneumothorax in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2017 Nov 12. doi: 10.1111/resp.13219. [Epub ahead of print]


背景:
 気胸はIPF患者に合併しやすいが、その頻度・リスク因子・予後的意義はいまだよく分かっていない。この研究の目的は、IPF患者における気胸の頻度・予後的意義を明らかにし、その発症のリスク因子を調べることである。

方法:
 ガイドラインに基づいてIPFと診断された84人の連続患者が登録された。われわれはその診療録を後ろ向きにレビューし、肺機能検査・胸部HRCT所見・気胸の頻度を調べた。気胸の予後的意義は時間依存性共変量のCox比例ハザードモデルを用いて解析された。気胸の累積発症率についても調べた。

結果:
 84人の患者のうち、17人(20.2%)が気胸を発症していた。累積発症率は1年で8.5%、2年で12.5%、3年で17.7%だった。単変量解析では、気胸は有意に予後不良と関連していた(ハザード比2.99; P = 0.002)。性別・年齢・%努力性肺活量で調整した多変量解析では、気胸はIPFアウトカムを不良にする独立予測因子だった(ハザード比2.85; P = 0.006)。低BMIおよび広範囲の網状影の存在は気胸の発症に有意に関連していた。

結論:
 経過中にIPF患者はしばしば気胸を発症し、それは予後不良につながる。


by otowelt | 2017-12-11 00:48 | びまん性肺疾患

IPFに対して抗線維化薬はあまり処方されていない

e0156318_7331272.jpg これまでのIPF治療の歴史が足枷になっているようですね。個人的には「プライマリケアでは処方してはいけない風潮」が根強いと思っています。特に日本ではガイドラインで強くMDD診断を推奨していますので、「wait and watch」という名目に隠されて治療を受けていない患者さんが大量に存在しているはずです。専門家集団だけの疾患という位置づけのままで本当によいのでしょうか?

Toby M. Maher, et al.
Unmet needs in the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis―insights from patient chart review in five European countries
BMC Pulm Med. 2017; 17: 124.


背景:
 IPFに対してピルフェニドンとニンテダニブという2つの抗線維化薬がEMAおよびFDAで承認されている。この解析では、IPFに罹患したヨーロッパの患者がIPF治療プラクティスにおいてどのくらい処方されているかどうかを調べ、およびアンメットニーズを理解することを目的とした。

方法:
 2016年2月から3月の間に、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスの呼吸器内科医にオンラインでアンケートを実施し、IPF治療パターンに関する情報を収集した。患者は、治療群(2承認薬のいずれかを処方されている)あるいは無治療群(承認薬のいずれも処方されていない)に分類された。2承認薬以外の治療を受けている場合、無治療群に分類された。IPF診断の分類(確定例/疑い例)、重症度(軽症/中等症/重症)についても情報が収集された。患者からの視点に関しては本研究では触れていない。

結果:
 合計290人の医師がアンケートに回答した。全体で、IPF患者の54%が承認された抗線維化薬を投与されていなかった(46%が受けていた)。
e0156318_9124532.jpg
(文献より引用:抗線維化薬の処方頻度)

 治療群の81%がIPFと確定診断されていた。確定診断を受けている患者のうち、40%が治療を受けていなかった。治療群は無治療群と比較して、若年(67歳 vs 70歳、p<0.01)、集学的見検討が頻繁になされていた(83% vs 57%、p<0.01)。%努力性肺活量が80%を超える集団では無治療を選択されやすかった。軽症IPFの71%が抗線維化薬を投与されておらず、中等症および重症でそれぞれ41%、60%が投与されていなかった。
e0156318_9135351.jpg
(文献より引用:IPF重症度ごとの処方頻度)

結論:
 抗線維化薬が処方できるにもかかわらず、多くのヨーロッパのIPF患者は、確定診断を受けていても同薬による治療を受けていない。そして重要なことだが、軽症や安定しているIPFに治療を導入することに抵抗があり、かわりに「watch and wait」戦略を取りがちである。IF重症度スペクトラムの全体を通して抗線維化が有効であることを医師に広く知らしめる必要があるかもしれない。



by otowelt | 2017-12-08 00:42 | びまん性肺疾患

IPFの咳嗽は日中に多い

e0156318_7331272.jpg 活動しているときに多いのは想定内ですが・・・。

Schertel A, et al.
Novel insights in cough and breathing patterns of patients with idiopathic pulmonary fibrosis performing repeated 24-hour-respiratory polygraphies.
Respir Res. 2017 Nov 13;18(1):190.


背景:
 IPFの主症状は咳嗽と呼吸困難感である。IPFは日中の活動や夜間の呼吸状態に影響を与える拘束性換気障害をもたらす。このパイロット研究は、IPF患者の日中および夜間の呼吸・酸素飽和度・咳嗽症状を8ヶ月にわたって調べたものである。

方法:
 反復24時間呼吸ポリグラフィー(RP)および肺機能検査がベースライン・3ヶ月後、4ヶ月後、7ヶ月後、8ヶ月後に実施された。咳嗽インデックス、酸素化パラメータ(酸素飽和度、酸素飽和度90%未満の時間、低酸素インデックス)、呼吸数、心拍数が日中・夜間に解析された。初回および最後のRPが比較された(Wilcoxon検定)。

結果:
 9人のIPF患者(8人が男性、年齢中央値67歳)がRPを受け、合計37の解析妥当性のあるデータが得られた。試験期間中、8人(88.9%)は抗菌薬治療を受けた。咳嗽は日中に顕著にみられ咳嗽インデックスは1時間あたり14.8で夜間就寝時の1.6より有意に多かった(p = 0.0039)。酸素化パラメータには、日中・夜間で差はみられなかったが、呼吸数と心拍数は有意に日中の方が多かった。肺機能の有意な低下は8ヶ月では観察されなかったが、呼吸数は25.7/分→32.2/分に上昇した(p=0.0273)。

結論:
 IPF患者では咳嗽は日中によくみられる。IPFの経過中に呼吸数の上昇が持つ役割について解明が必要である。


by otowelt | 2017-12-07 00:24 | びまん性肺疾患

胸部HRCTでCOPとCEPを鑑別する

e0156318_2331765.jpg いわゆるOPパターンとEPパターンというやつです。

Mehrian P, et al.
High-resolution computed tomography findings in chronic eosinophilic vs. cryptogenic organising pneumonia.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Nov 1;21(11):1181-1186.


背景:
 類似の臨床的・胸部CT所見をとる特発性器質化肺炎(COP)と慢性好酸球性肺炎(CEP)は、診断の際鑑別がなかなか難しい。

目的:
 COPとCEPを胸部HRCTを用いて鑑別できるか調べること。

デザイン:
 イランのMasih Daneshvari病院において、2007年~2015年のCOP、CEPの患者の胸部HRCT所見を後ろ向きに調べた。COPあるいはCEPは外科的肺生検、経気管支肺生検・気管支肺胞洗浄液、血中好酸球数、ステロイド反応性などで診断された。

結果:
 以下の傾向がみられた。
 CEP:GGO、上葉の肺炎像、気管支壁の肥厚、モザイクパターンが多い
 COP:下葉の肺炎像、胸膜直下の網状影、コンソリデーション、結節・腫瘤影、小葉間隔壁ではない線状影、気管支拡張、reversed halo signが多い
 喘息、喘鳴、末梢血好酸球数上昇の既往は、有意にCEPの方によくみられた。

結論:
 胸部HRCTのみでCEPとCOPを鑑別するのは容易ではないが、他の診断法で確定にいたらない場合、上記所見が有用となるだろう。


by otowelt | 2017-11-14 00:45 | びまん性肺疾患

気腫の多いIPF患者では努力性肺活量のモニタリングは適切とは言えない

e0156318_7331272.jpg 実臨床では努力性肺活量をみる意味がありますが、臨床試験上で交絡因子になる可能性があることを示しています。

Cottin V, et al.
Effect of Emphysema Extent on Serial Lung Function in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Nov 1;196(9):1162-1171.


背景および方法:
 事後解析において、ベースラインの気腫と線維化のひろがりの関連性を、肺機能の変化とともに48週にわたり調べた。
 第III相ランダム化プラセボ対照試験(GIPF-001 [NCT00047645] 、GIPF-007 [NCT00075998])のデータ用いた。48週時点でのベースラインからの肺機能の変化を調べ、気腫と線維化のひろがりとの関連性を多変量線形回帰を用いて解析した。

結果:
 気腫は38%の患者にみられた。線維化と気腫のひろがりは逆相関した(r = -0.232; P < 0.001)。四分位の解析では、気腫のひろがりが大きい(28~65%)患者では努力性肺活量の減少が最も小さく、気腫がない患者との比較では、48週時点で差3.32%だった(P = 0.047)。多変量解析では、気腫のひろがりが15%以上の場合、気腫がない患者や15%未満の患者と比較して努力性肺活量の減少は有意に少なかった。このような関連は、拡散能などの他の機能では観察されなかった。
e0156318_10361553.jpg
(文献より引用:Figure4A)

結論:
 気腫のひろがりが15%以上あるIPF患者では、努力性肺活量のモニタリングは適切とは言えないかもしれない。


by otowelt | 2017-11-13 00:24 | びまん性肺疾患

LAMの診断にTBLBは有用かつ安全

e0156318_21492533.jpg 当院に在院していた木庭医師の報告です。
 
Koba T, et al.
Efficacy and safety of transbronchial lung biopsy for the diagnosis of lymphangioleiomyomatosis: A report of 24 consecutive patients.
Respirology, DOI: 10.1111/resp.13190


背景および目的:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、出産適齢期の女性に起こるびまん性嚢胞性肺疾患である。LAMは、典型的胸部HRCT所見に加えて、乳び胸、血管脂肪腫、結節性硬化症複合体、血清VEGF-D上昇といった疾患特徴を少なくとも1つ有する場合に診断される。しかしながら、こういった特徴を有さない患者では、確定診断に際して組織学的な同定が必要となる。外科的肺生検よりも侵襲性の低い経気管支肺生検(TBLB)が有用かどうかはまだよくわかっていない。われわれは、LAMの診断におけるTBLBの有用性と安全性を後ろ向きに調べた。

方法:
 1991年1月から2016年8月までに、連続131人のLAM患者が同定された。TBLBはそのうち24人に実施された。われわれは、後ろ向きに当該コホートにおいて診断能と安全性を調べた。

結果:
 24人全例女性であり、年齢中央値は42歳だった。胸部HRCTでは多発性の類円形薄壁嚢胞が肺にびまん性にみられた。血清VEGF-D中央値は2109pg/mLだった。LAMの病理学的所見は2人の独立した病理医の診断によって17人(70.8%)に同定された。%DLCOは、TBLBが陰性だったLAM患者よりもTBLBで診断されたLAM患者17人で有意に低かった(p=0.046)。TBLBによる気胸や出血などの重篤な有害事象は報告されなかった。

結論:
 TBLBはLAMの病理診断において安全かつ有用な手法である。


by otowelt | 2017-11-08 00:02 | びまん性肺疾患

IPFの重症度分類判定改定案

e0156318_7331272.jpg いずれ改訂されるでしょう。 

Kondoh Y, et al.
Disease severity staging system for idiopathic pulmonary fibrosis in Japan.
Respirology. 2017 Nov;22(8):1609-1614.


背景:
 日本では、IPFの疾患重症度分類が医療助成の決定のために用いられてきた。現在使われているシステムはPaO2と労作時SpO2低下によって重症度分類IからIVに割り振られる。IIIとIVでは予後予測能が良好であるが、IとIIでは良好ではないとされている。そのため、IとIIでの識別性を高めるため、改訂システムを提唱する。

方法:
 IPFの死亡率を予測するためにCox比例ハザードモデルを用いて改定システムと現行システムを比較した。両システムと比較するために、国際的に提唱されているGAPシステムについても評価した。
e0156318_1436677.jpg

結果:
 215人のIPF患者を後ろ向きに検討した。単変量解析では現行システム、改訂システム、修正GAPシステムはすべて有意な予後予測因子であった。予後を識別するC統計値は、改定システムで修正GAPシステム・現行システムよりも高かった(それぞれ0.677、0.652、0.659)。1万のブートストラップサンプルから作成した当該モデルのC統計値はオリジナルモデルのものと同様で、良好な内的妥当性があると判断された(ぞれぞれ0.665 [95%信頼区間0.621–0.705]、 0.645 [95%信頼区間0.600–0.686]、0.659[95%信頼区間0.616–0.700])。多変量解析では改定システムと修正GAPシステムは独立予後予測因子と判断された。

結論:
 IPFの重症度分類判定の改定システムは、現行システムよりも良好な死亡予測が可能である。改定システムと修正GAPシステムはともにIPFの予後予測に有用である。


by otowelt | 2017-11-07 00:48 | びまん性肺疾患

TOMORROW試験オープンラベル:52週以降のニンテダニブの有効性と安全性

 納入要件が緩和されれば日本でも処方が増えると思います。
 
Luca Richeldi, et al.
Long-term treatment of patients with idiopathic pulmonary fibrosis with nintedanib: results from the TOMORROW trial and its open-label extension


e0156318_14282161.jpg
(文献より引用)

概要:
 これはIPFに対するニンテダニブの有効性と安全性を検証したプラセボ対照ランダム化比較試験(TOMORROW試験:52週)の52週以降の同アウトカムを調べたリサーチレターである。
 努力性肺活量の年あたりの減少はニンテダニブ群―125.4mL/年(95%信頼区間-168.1~-82.7)、プラセボ→試験終了後ニンテダニブ群-189.7mL/年(95%信頼区間-229.8~-149.6)だった。
e0156318_14231735.jpg
(文献より引用:努力性肺活量、死亡)
 
 ニンテダニブの有害事象は研究期間を通じてTOMORROW試験と差はなく、忍容性は良好だった。これらの結果から、ニンテダニブは52週を超えてもIPFの肺機能に利益をもたらすことがわかった。


by otowelt | 2017-11-01 00:19 | びまん性肺疾患