カテゴリ:びまん性肺疾患( 283 )

非対称性IPFは胃食道逆流症が関与し、急性増悪を助長させる可能性がある

呼吸器内科医なら、絶対面白いだろう論文。

Progression of idiopathic pulmonary fibrosis: lessons from asymmetrical disease
Thorax 2011;66:226-231


背景:
 特発性肺線維症(IPF)において、分布および時間的空間的線維化進行は、
 全身的・局所的な病状に影響されているかもしれない。この観点からみれば
 非対称性のIPF(asymmetrical IPF;AIPF)は独特かもしれない。

方法:
 このレトロスペクティブ試験は、32の患者(26人男性、平均±SD 年齢 69±7歳)
 のAIPFによっておこなわれた。AIPFの定義は、左右の非対称性率すなわち
 (most affected - least affected fibrosis score) /
 (most affected + least affected fibrosis score) >0.2であるものとした。
 グローバル線維化スコアは、左右ともに平均とした。
 AIPF患者は64の対称性IPF患者(対照群)と比較された。
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結果:
 AIPF患者は、対照群と比べて線維化スコアやFVCに差はみられなかったが、
 一酸化炭素拡散能はさほど低下してなかった(52±19% vs 43±13%, p=0.009)。
 胃食道逆流症の率と急性増悪の頻度は、よりAIPFにおいて高かった。
 (62.5% vs 31.3%, p=0.006 、46.9%vs 17.2%, p=0.004)
 AIPF患者において、右>左の線維化がよく観察され(62.5%)、その非対称性率は
 0.5 (range 0.24-1)であった。グローバル線維化スコアは、AIPF患者23人の
 HRCTにおいてより悪かった(p<0.0001)。
 3人をのぞいて、全例において左右非対称性は維持された。
 フォローアップ中、15人のAIPF患者が18の急性増悪エピソードを経験した。
 最初のエピソードは、片側性で10人が患側肺に起こっていた(66.7%)。
 生存に関しては、AIPFもIPFも同等であった。

結論:
 AIPFは、胃食道逆流症のような局所的な因子と関連しており、
 病態の悪化や急性増悪に深く関与しているかもしれない。

by otowelt | 2011-03-10 12:42 | びまん性肺疾患

腎血管筋脂肪腫がLAMにおよぼす影響

腎血管筋脂肪腫は、TSC-LAMの93%、S-LAMの30~50%に
認められるとしている。
Lyphangioleiomyomatosis: a clinical update.Chest 133: 507-516, 2008.

腎血管筋脂肪腫に焦点を当てた論文。

Clinical Features of Lymphangioleiomyomatosis Complicated by Renal Angiomyolipomas
Intern Med 50: 285-289, 2011


目的:
 腎血管筋脂肪腫(R-AMLs)は、リンパ脈管筋腫症(LAM)の重要な
 合併症である。この試験の目的は、LAMの予後や呼吸器の臨床因子に対する
 R-AMLsの影響を理解することであり、R-AMLsのマネジメントを調査することである。

患者および方法:
 われわれはレトロスペクティブにR-AMLsを合併したLAM7患者
 (4人は結節性硬化症合併LAM(TSC-LAM)、3人は散発性LAM(S-LAM))を
 検証した。(1997年~2008年)

結果:
 全ての患者は女性であり、平均年齢はLAM診断時で40.7歳(TSC-LAM:31.7歳、
 S-LAM:52.7歳)であった。5人の患者がR-AMLs関連症状を訴えたが
 1人だけが診断時にR-AMLs関連症状を訴えていた。
 5人は両側、2人が片側のR-AMLsであった。4例においてR-AMLsは
 破裂(ruptured)した(3人がTSC-LAM)。2人が両側破裂し、両側腎摘となった。
 1人は片側のR-AMLsが増大しており、フォローアップ期間中にもう片方にも出現した。

結論:
 LAMにおいて症状のあるR-AMLsは初期には少ないが、重要な合併症である。
 腎摘出を避けるためにも、R-AMLsは径が小さい時に診断をつけ、厳重に
 超音波やCTでフォローアップをしていく必要がある。

by otowelt | 2011-02-22 07:07 | びまん性肺疾患

IPF急性増悪に対して、ステロイドパルスとタクロリムスの併用は有用である可能性

IPFの急性増悪にタクロリムスを用いたというInternal Medicineからの論文。
レトロスペクティブな小規模の研究なので、インパクトは強くないが
個人的に興味がある。
論文内にも記載があるが、IPF急性増悪時のタクロリムスの使用例
についてはあまり論文数としても多くない。
Acute respiratory distress syndrome secondary to antisynthetase syndrome
is reversible with tacrolimus. Eur Respir J 31: 213-217, 2008.


以下その報告。

Tacrolimus and Steroid Treatment for Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Intern Med 50: 189-195, 2011


目的:
 IPFの急性増悪(AE-IPF)はIPFの慢性的な進行性の経過中に起こる。
 死亡率は70%を超えるが、治療法についてはまだ確立されていない。 
 われわれはタクロリムスとメチルプレドニゾロンの併用療法について評価した。

方法:
 AE-APFの患者でメチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法に
 タクロリムス(標的血中濃度20 ng/mL)を加えた場合と加えなかった場合を
 レトロスペクティブに比較。 
 調査期間は2001年1月から2010年4月まで。
 プライマリエンドポイントは、生存率および生存期間。
 また我々はLDHレベル、P/F ratio、KL-6、再増悪の頻度、CTスコアも観察した。

結果:
 15人の日本人の患者でタクロリムス群74.2±6.0歳(n=5)、非タクロリムス群
 75.1±12.8歳(n=10)がAE-IPFであった。
 治療前のパラーメータは有意な差はみられず。 
 5人のタクロリムス群のうち4人、10人の非タクロリムス群のうち1人が生存した
 (p<0.05)。生存期間中央値は>92日(タクロリムス群)、38日(非タクロリムス群)
 (p<0.05)であった。 LDH、P/Fratioはタクロリムス群で有意によかった。
 KL-6、CTスコアは有意差なし。
 非タクロリムス群において4人の再増悪患者がみられた。

結論:
 メチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法にタクロリムスを併用すること
 により、AE-IPFに対する緩和効果がみられ、再増悪を予防できる可能性がある。

by otowelt | 2011-02-13 13:47 | びまん性肺疾患

IPF患者の手術後の急性増悪について

東邦大学からの論文。

Acute Exacerbation of Idiopathic Interstitial Pneumonia Following Lung Surgery in 3 of 68 Consecutive Patients:A Retrospective Study
Intern Med 50: 77-85, 2011


背景:
 特発性間質性肺炎(IIP)の急性増悪は、肺手術後にもしばしば起こる。
 しかしながら、IIPの肺手術における同リスクに関してはよくわかっていない。

目的および方法:
 われわれは、間質性肺炎の診断のもと2000年から2006年に肺手術がおこなわれた
 連続症例をレトロスペクティブに検証した。術後に急性増悪を起こした患者を
 評価した。

結果:
 間質性肺炎で手術を受けた68人の連続症例(男性56人、女性12人)を解析。
 肺癌で切除術を受けた患者が48人(IPF31人、non-IPF17人)で、
 肺生検を受けたのが20人(IPF8m人、NSIP8人、分類不能4人)であった。
 IPFの患者の3人が急性増悪を起こした(2人:切除術、1人:生検)。
 急性増悪のトリガーとして考えられるのが、高濃度酸素による大量換気の
 長期人工呼吸であった。急性増悪時に、HRCT上広汎な間質浸潤が
 非手術部位にまで広がっていた。ステロイド治療を受けたものの
 3人は12~82日後に全員が死亡している。

結論:
 IPF患者における手術において急性増悪には極めて注意する必要がある。
 手術中における人工呼吸管理では、高濃度の酸素投与や長期人工呼吸は
 リスクとなりうる。

by otowelt | 2011-01-15 19:48 | びまん性肺疾患

バレニクリン(チャンピックス)品切れ

たばこ税増税により、バレニクリン(チャンピックス)が品切れになった。
製薬会社も、これは予想できた事態だと思うのだが…。

全ての喫煙者の禁煙に対して、禁煙補助薬であるバレニクリン(チャンピックス)など
が適応になるわけではない。いくら患者が殺到してきたとしても
ニコチン依存の状態ではなく、生活指導で禁煙ができる程度なら
安易に処方すべきではないと考えている。

呼吸器学会から以下の4点が保険適応における禁煙補助薬の適応と提言されている。
1.ただちに禁煙しようと考えていること
2.TDSによりニコチン依存症と診断されていること(TDS5点以上)
3.ブリンクマン指数が200以上
4.禁煙治療を受けることを文書により同意していること

<ファイザー発表>
 ファイザー株式会社(本社:東京都、社長:梅田一郎)が、製造輸入販売しておりますニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙補助薬「チャンピックス(R)錠0.5mg、同錠1mg」(一般名:バレニクリン酒石酸塩)は、本年8月まで毎月約7万人分を供給して参りました。10月からのたばこ税増税等に伴う禁煙意識の高まりにより、禁煙外来を受診される方が増え9月は約17万人分の供給となりました。更に、10月は6日の時点ですでに約8万人分の供給となり、当初の予測をはるかに上回ったため、現在、ご要望に応じたチャンピックス錠の供給ができない状況が発生しております。
 チャンピックス錠による治療を希望される皆様ならびに医療関係者の皆様には、多大なるご迷惑をお掛けすることになりましたことを心よりお詫び申し上げます。
 弊社では、既にチャンピックス錠で治療を始められている患者様の治療継続を最優先と考えております。新たに禁煙治療を希望される患者様については、しばらくの間チャンピックス錠の処方を延期していただくよう、医療機関・薬局ならびに医療関係者の皆様にご協力をお願いしております。併せて当分の間、疾患啓発広告を自粛することとしました。
 弊社では多くの方々の禁煙治療をサポートするために、現在生産量の拡大に全力を注いでおります。来年1月からは新規の患者様への治療を開始できる供給体制を整えられる予定です。

by otowelt | 2010-10-15 06:03 | びまん性肺疾患

BNP上昇あるいは右室機能不全は間質性肺疾患における死亡率上昇に関連

実地臨床において、肺高血圧があるILD患者の予後は
当然ながら不良だろうと思う。

Elevated brain natriuretic peptide predicts mortality in interstitial lung disease
Eur Respir J 2010; 36: 819–825


背景:
 肺血管抵抗の上昇は、間質性肺疾患(ILD)における予後不良に関連する。
 現在、非侵襲的な予後因子としてのサロゲートマーカーはない。
 われわれは、BNPおよびILDにおける超音波検査が予後因子として
 妥当かどうか検証した。

方法:
 ILD患者においてBNPを測定した2005年~2007年の90人を登録した。
 エコーは他の検査結果を隠した状態で循環器科医によって解析された。
 アウトカムはBNPあるいはエコーに対する生存の評価とした。

結果:
 20±9ヵ月のフォローアップで、28人が死亡(31%)。
 BNPはエコーの右心系の評価と関連しており、これは右室収縮期圧(RVSP)
 を含んでいた。 (p=0.0002) しかしながら、左心系機能とは関連していなかった。
 生存できなかった患者は、BNPおよびRVSPレベルが高かった。
 BNP≧20 pmol/L(HR 2.93, 95% CI 1.28–6.73; p=0.01)、
 中等度~重症肺高血圧症(HR 2.53, 95% CI 1.15–5.57; p=0.02)は、
 死亡率上昇と関連していた。BNP≧20 pmol/Lは、BNP<4 pmol/Lの
 患者に比べて14倍の死亡率上昇がみられた。

結論:
 ILDにおけるBNPレベル上昇あるいはエコー上の
 右室機能不全は死亡率上昇を示唆する。

by otowelt | 2010-10-04 23:58 | びまん性肺疾患

塵肺は粉塵曝露がない状態でも初期10年で悪化しうる

INTERNAL MEDICINEから塵肺の論文。
塵肺の論文は多くないので、非常に目を引く。

Progression of Pneumoconiosis in Coal Miners after Cessation of Dust Exposure: A Longitudinal Study Based on Periodic Chest X-ray Examinations in Hokkaido, Japan
Inter Med 49: 1949-1956, 2010


背景:
 炭鉱夫を引退した塵肺患者において、10年以上追跡したスタディは日本にはない。

方法:
 レトロスペクティブに1091人のレントゲンによる塵肺診断の患者を
 1985年から2005年まで北海道で調べた。

結果:
 10年間207人(19%)が、20年間85人(8%) が登録できた。
 207人のうち62%、85人のうち29%がその間に塵肺の進行を認めた
 ILOカテゴリー1の31%、カテゴリー2の55%が10年間に複雑性の塵肺へ
 進展し、カテゴリー1および2の6%が20年間に同様の経過をたどった。

結論:
 塵肺は粉塵曝露がない状態でも初期10年で悪化しうる。

by otowelt | 2010-09-15 09:29 | びまん性肺疾患

喫煙関連肺疾患(SR-ILD):DIP、RB-ILD、CPFE、AEF

●SRILD: smoking related interstitial lung disease(喫煙関連間質性肺疾患)
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1.DIP:Desquamative Interstitial Pneumonia
・喫煙者は90%程度で、RB-ILDよりも少ない。
Katzenstein ALA. Surgical pathology of nonneoplastic lung disease. In : Katzenstein ALA, ed. Major Problem in Pathology vol 13. 4th ed. WB
Saunders Company, 2006 ; 61―66.

・好発年齢は40~50歳
・亜急性の咳嗽、呼吸困難がみられる。一般的にRB-ILDより症状は強いとされている。
・男女比は2:1
・半数にばち指がみられる。
※鑑別として以下の疾患が挙げられる
 Subacute extrinsic allergic alveolitis、PCP、Sarcoidosis
 Drug toxicity、Asbestosis、PLCH、UIP、NSIP

●DIPの画像所見
・びまん性GGO
・下葉優位でかつ胸膜直下の陰影
・胸部CT では全例にすりガラス影を認め、
 下肺野優位73%,中肺野優位14%,上肺野優位14%以下
・末梢分布優位は59%
              Radiology 1993 ; 187 :787―790.
・fibrosisはみられない
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●DIPの病理所見(DIPパターン)
肺実質一様におよぶ
・肺胞マクロファージの高度の肺胞腔内の集まり
・肺胞隔壁の軽~中等度の線維性肥厚
・間質への軽度の慢性炎症細胞浸潤
 RB-ILDとDIPの違いは、病変が呼吸細気管支中心性分布かびまん性分布かである。
・末期になると線維化が進行し、DIP/Pの認識は困難となり、
 国際分類ではf-NSIP patternと病理診断される。
              Histopathology 2004; 45: 904-12
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●DIPの治療
・一般的に禁煙によって軽快。
・ステロイド治療に対する反応もUIP に比べて良好と言われている。
・実際には禁煙指導と同時にステロイド治療が行われることが多く、
 DIP に対する禁煙単独の効果を評価することは困難である。
              Chest 2005 ; 127 :178―184.
・10年生存率は70%
              Mayo Clin Proc 1989 ; 64 : 1373―1380.

2.RB-ILD:Respiratory Bronchiolitis Associated Interstitial Lung Disease
●RB-ILDの概念
 1989年、Yousemらが18例のRBに合併する間質性肺炎を
 DIPとは別にRB-ILDとして概念を明確にした。
                 Mayo Clin Proc 1989; 64: 1373-80
 現在、ATS/ERSコンセンサスに準じて、RB-ILDはIIPsの一臨床診断名と
 されており、病理像はRBと認識されている。

●RB-ILDの臨床所見
・通常は無症状で、咳嗽や呼吸困難感がみられることもある。
・DIPよりも症状は軽度であることが多いとされている。
・近年の報告では、RB-ILD VS DIP で
 呼吸困難感 75% VS 87%
 咳嗽    50% VS 43%
 胸痛    8% VS 17%
 肺雑音   42% VS 57%  と差がない。
・40~50歳が好発年齢
・男女比=1:1
・喫煙歴が必ずあり、ex-smokerでも禁煙後半年以内のことが多い。
 また、他のILDよりもheavy smokerのことが多い。
                Chest 2003; 124: 1199-1205
・両側性に吸気時後半のcrackleを聴取する

●RB-ILDの検査所見
・血液検査では特記すべき特徴はない。
・抗核抗体はDIPにおいて陽性例が散見される一方、RB-ILDでは全例陰性である。
                J Bronchol 2004; 11: 160-4
・動脈血液ガス分析は、正常または軽度な低酸素血症
・呼吸機能検査では軽度の混合性換気障害を呈するのみ。
・BALでは肺胞マクロファージ増加が特徴であり、色素沈着をともなった
 マクロファージが認識されることが多い。DIPではリンパ球・好中球・時に好酸球
 上昇がみられるが、RB-ILDでは90%以上が肺胞マクロファージによって構成。
・胸部レントゲンでは以下の通り。
  気管支壁の肥厚75%
  スリガラス陰影57%
  正常14%
・HRCTでは、
  Ill-defined ground glass centrilobular nodules
  斑状のGGO( ⇔ DIPはびまん性)
  スリガラス影(50%)
  気管支壁の肥厚(90%)
  上葉優位の分布( ⇔ DIPは下葉優位)
  LAA
  fibrosisはみられない(honeycombing lungはない) といった特徴がある。
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●RB-ILDの病理学的所見
RBの所見と同じである。
 ①(呼吸)細気管支中心性にみられること
 ②呼吸細気管支、肺胞管ならびに細気管支周囲に褐色調の豊富な細胞質を
  有するマクロファージの集まり
 ③細気管支から連続する肺胞壁での軽度線維化と散在性リンパ球や組織球浸潤
 ④II型上皮や立方状の細気管支上皮の過形成
 ⑤しばしば混在する小葉中心性肺気腫
・基本的に細気管支中心性の病変分布である。
・膜性細気管支のリンパ球や組織球などの炎症細胞浸潤と
 上皮剥離さらに褐色マクロファージ(炭粉貪食マクロファージpigmented
 macrophages)が呼吸細気管支の内腔と周辺の肺胞道、肺胞内にみられる。
・fibrosisはみられない
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●RB-ILDの病理と画像の対比
 ①スリガラス影:
  air spaceのマクロファージと粘液の集積、軽度の間質の炎症
  や線維化、alveolitisを伴う肺胞壁の肥厚に相当
           Radiology 1993; 186: 643-51
 ②(小葉中心性)小葉中心性粒状影:
  細気管支周囲の線維化を伴う細気管支拡張に相当
           Radiology 1993; 186: 643-51
  RBの可能性のほかに、喫煙者としての普遍的所見である
  小葉中心性線維性変化の可能性も示唆されている。
           気管支学 2000 ;22: 337-42

●RB-ILDの治療
・禁煙
・コルチコステロイドは反応性良好
・10年生存率は100%

3.CPFE(combined pulmonary fibrosis and emphysema)
  AEF(airspace enlargement with fibrosis)

 臨床医は、ときに肺気腫と間質性肺疾患の合併例に遭遇するが、
 CHESTの報告によればIPF110例のうち31例に気腫を合併していた。
            Chest 2009, doi:10.1378/chest.08-2306
 2005年にCottinらが上肺野優位に肺気腫、下肺野にILDがみられる61症例を
 取り上げ、combined pulmonary fibrosis and emphysema (CPFE)という
 概念を提唱したのをきっかけに、この病態に注目が集まるようになった。
            Eur Respir J 2005; 26: 586-593

 <Cottinらの報告 Eur Respir J 2005; 26: 586-593>
 画像上IPFあるいはfibrosing NSIPパターンが全体の84%を占め、
 組織があった8例のうち5例はUIPで、その他DIP、OP、分類不能型IPが
 それぞれ1例ずつであった。肺気腫病変については
 centrilobular emphysema が95%、paraseptal emphysemaが93%だった。
 全体の98%がDLCOの低下がみられた。しかし、1秒率が低下していたのは
 49%、拘束性障害を呈していたのは21%であった。これは過去の他の報告でも同様。
            Respir Med 2005; 99: 948-954
            Respiration 2008; 75: 411-417
            Respir Med 2009, doi:10.1016


 終末細気管支より末梢の気腔が拡大している病態を
 RAE:respiratory airspace enlargementと呼ぶが、
 RAEは肺胞構造の破壊のないものと構造破壊を伴うものに分類される。
 明らかな線維化がみられないものを気腫と定義し、線維化を伴うものを
 airspace enlargement with fibrosis (AEF)と呼ばれる。
            Am Rev Respir Dis 1985; 132: 182-185
文責"倉原優"

by otowelt | 2010-08-26 06:28 | びまん性肺疾患

エベロリムスによる肺炎

エベロリムスは、ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)と結合して
抗原により活性化されたT細胞の増殖を抑制し、免疫抑制剤として作用する。
腎細胞癌において使用されることもある。
Efficacy of everolimus in advanced renal cell carcinoma: a double-blind, randomised, placebo-controlled phase III trial.
Lancet. 2008 Aug 9;372(9637):449-56.


エベロリムスによる肺炎が意外に多いという報告が、AJRCCMから出た。

Noninfectious Pneumonitis after Everolimus Therapy for Advanced Renal Cell Carcinoma
Am J Respir Crit Care Med Vol 182. pp 396–403, 2010


背景:
 mTOR阻害薬には非感染性の肺炎が起こることが知られている。

目的:
 この肺炎の頻度、放射線学的パターン、マネジメント、臨床アウトカム
 を進行腎細胞癌患者でエベロリムスを受けている患者で検討した。

方法:
 416人の患者が登録、エベロリムスとプラセボにランダム化割り付けされた。
 全ての患者において、肺炎の発症を文責した。
 8週ごとに放射線学的な検証がおこなわれた。
 
結果:
 274人の患者がエベロリムスをうけ37人(13.5%)に肺炎を発症した。
 プラセボ患者では肺炎はみられなかった。
 肺炎を起こした患者のうち、9人(3.3%)がグレード1、18人(6.6%)が
 グレード2、10人(3.6%)がグレード3で、グレード4はいなかった。
 グレード3の肺炎をおこした10人のうち5人がエベロリムス投与前から
 肺炎を起こす放射線学的な基礎素因があると判断された。
 37人のうち20人(54.0%)がフォローアップ期間中に肺炎は改善した。
 16人でステロイド治療がおこなわれた。
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結論:
 エベロリムスにおける肺炎は、早期発見・早期マネジメントが重要である。

by otowelt | 2010-08-02 12:46 | びまん性肺疾患

黒色胸水の鑑別

●黒色胸水(black pleural effusion)の鑑別
・悪性黒色腫(melanoma)の胸腔内播種
  CMAJ MAY 18 2010 182(8)
  AJR Am J Roentgenol 1981;137:293-8.
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・骨髄移植後のzygomycosis感染症(Rhizopus oryzaeが報告)
  Med Mycol 2006;44:75-8.
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・Aspergillus nigarによる胸膜炎
 Am Rev Respira Dis 1984; 129:501-502

by otowelt | 2010-07-09 10:24 | びまん性肺疾患