カテゴリ:びまん性肺疾患( 269 )

ピルフェニドンはIPFにおいて肺活量低下を防ぐ (phase III 試験)

ピルフェニドン(ピレスパ)はアメリカで発見された新規の抗線維化薬。
創製当初は抗炎症薬として開発が開始されたが、その途上で
炎症モデルとして検討されたイヌ肺感染症モデルにおいて線維化を抑制した。
日本では1998年10月に希少疾病医薬品の指定を受け、
2008年10月に承認され、同年12 月より発売している。
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作用機序は、図のごとく様々な作用の複合である。

ピレスパのこのphase III試験は以前から知っていたが、
論文化されたのが、このERJということである。

Pirfenidone in idiopathic pulmonary fibrosis
Eur Respir J 2010; 35: 821–829


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は、確固たる治療法のない進行性の肺疾患である。

方法:
 多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化第3相試験が日本の
 IPF患者で行われた。
 効果と安全性を検証するため52週以上にわたり投与された。
 275人の患者が、ピルフェニドン高用量1800mg/日、低用量1200mg/日、
 プラセボに1:2:1に割り振られた。267人がその効果を評価された。
 プライマリエンドポイントは、52週での肺活量(VC)の変化、
 セカンダリエンドポイントはPFSとした。

結果:
 プライマリエンドポイントにおいて、肺活量に有意な差が出た。
 プラセボ:-0.16 L、高用量ピルフェニドン:-0.09 L (p=0.0416)
 セカンダリエンドポイントであるPFSにおいても
 有意に差が出た。(p=0.0280)
 副作用である光線過敏症は、多くの患者で重症度は高くなかった。
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結論:
 ピルフェニドンはIPF患者において認容性があり、
 52週における肺活量減少率を軽減させ、PFSも改善させる。

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副作用の光線過敏症はサンスクリーンによって
ある程度軽減できることがわかっている。

by otowelt | 2010-04-03 22:32 | びまん性肺疾患

IPFにおいてイマチニブは生存率と肺機能を改善しない

イマチニブは、bcr-abl、c-kit、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体の
チロシンキナーゼ阻害活性を有する癌分子標的治療薬であり、
慢性骨髄性白血病、消化管間質性腫瘍に対して承認されている。
その一方で、特発性肺線維症(IPF)における線維化病態にはPDGFが
関与しており、イマチニブの有用性が期待されてきた。
肺線維症モデルにおけるイマチニブの肺線維化抑制効果が報告されていたが、
このランダム化試験によりイマチニブの有用性は否定的となった。

Imatinib Treatment for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Randomized Placebo-controlled Trial Results
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 604–610, 2010


方法:
 119人の患者で検討。
 多施設共同二重盲検臨床試験で、96週間にわたりイマチニブとプラセボを服用。

結果:
 96週間のフォローアップによって、イマチニブはプラセボに比べて
 プライマリエンドポイントであるdisease progression(%FVCの10%減少)
 および死亡までの期間に影響を与えなかった(log rank P = 0.89)。
 イマチニブによって、FVCは48,72,96週におけるどの時点でも
 変化がみられなかった。(P > 0.39 at all time points)
 DLCOも変化なし(P>0.26 at all time points)
 安静時PaO2はイマチニブ群で48週時点ではよかった(P = 0.005) が、
 96週目では変化なし(P = 0.074)。
 96週で、イマチニブ群で8人の死亡、プラセボ群で10人の死亡がみられた。
 29%の患者がプライマリエンドポイントに到達することなくトライアルオフした。
 (イマチニブ, 32%; placebo, 27%; P = 0.51)
 イマチニブ群において有意な有害事象は観察されなかった。
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結論:
 ランダム化プラセボ対照比較試験において、
 mild to moderateのIPF患者では、イマチニブは
 生存率および肺機能に影響しない。

by otowelt | 2010-03-06 14:59 | びまん性肺疾患

間質性肺炎急性増悪におけるPMX-DHP

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概要:
 特発性肺線維症(IPF)をはじめとする
 間質性肺炎は、慢性かつ進行性の経過
 をたどる。副腎皮質ステロイド薬の
 減量や外科手術などをきっかけにして
 急性増悪を起こすことが知られている。
 ポリミキシンB 固定化線維カラムを
 用いた直接血液灌流法(direct
 hemoperfusion using a polymyxin B immobilized fiber column;PMX-DHP)
 は血液中よりエンドトキシンを除去する治療法である。
 敗血症やARDSへの有効性が示されている。
J Clin Apher 2002 ; 17 : 97―102.
The EUPHAS randomized controlled trial. JAMA 2009 ; 301 : 2445―2452.


 間質性肺炎の急性増悪は、ARDSと同様DADを呈するだが
 PMX―DHPの有効性を示唆する報告がみられる。
Intern Med 2006 ; 45 :1033―1038.
Respirology 2008 ; 13 : 452―460.


PMX-DHPとは:
 ポリミキシンB 固定化線維カラムは、ポリミキシンBとエンドトキシンとの
 親和性を応用して、エンドトキシン吸着を目的に開発された。
 PMX-DHP はグラム陰性桿菌による敗血症に対して血圧上昇や酸素化能の改善
 などの効果が報告されている。また動物実験ではPMX-DHP による
 エンドトキシン吸着で生存率が有意に改善することも示されている。
 機序として、エンドトキシン吸着の結果炎症性サイトカインが減少し
 好中球の活性化が抑制され、酸素化能の改善につながったと考えられるが、
 まだまだ不明な点は多い。炎症性メディエーターや蛋白分解酵素の吸着により
 微小血管障害を抑制する可能性を示唆する報告もある。

効果:
 Seo らの報告では、PMX-DHP 施行後のどの時点での評価かは不明で
 あるが、30 日以上生存した全例でKL-6 の低下を認めている。
 また、急性増悪6 例にPMXDHPを施行し、4 例で30 日以上の生存が得られた
Intern Med 2006 ; 45 :1033―1038.

 ※KL-6 とSP-D とでは変動に時相のずれがあり、KL-6 が遅れて変動する。

文責"倉原優"

by otowelt | 2009-12-08 18:24 | びまん性肺疾患

SSc患者の半数で早期肺高血圧症がみられる


SScの肺高血圧症といえば、あとあと問題になるケースが多かった
ように思うが、実はそうではないという論文がCHESTから出た。

つまり、早期から肺高血圧症を起こしうる上に
それら早期例は重症化しやすいという結論である。

Is Pulmonary Arterial Hypertension Really a Late Complication of Systemic Sclerosis?
CHEST November 2009 vol. 136 no. 5 1211-1219


背景:
 肺高血圧症(PAH)は、全身性強皮症(SSc)でよくみられる致死的な合併症である。
 PAHは、基本的にはSScの晩期に起こるものと考えられている。
 このスタディは、早期にPAHが起こっていないかどうかを調べたものである。

方法:
 78人のSSc+PAH患者のデータを採取。
 PAHは非レイノー症状が最初に出てから5年以内に診断されたものを
 early-onsetと定義した。それ以外の、5年より長い経過のあとの診断を
 lateと定義した。

結果:
 PAHは平均してSSc診断後6.3 ± 6.6年後に診断された。
 early-onset PAHは43人(55.1%)、late-onset PAHじゃ35人(44.9%)。
 early-onset PAH患者は、late-onset PAH患者よりも年齢が高かった
 (平均年齢, 58.0 ± 12.5 vs 46.6 ± 12.9 years, p = 0.0002)。
 SScサブタイプに差はなかった(limited vs diffuse、
 anticentromere vs anti-Scl70 antibodies)。
 診断時ではearly-onset PAHはlate-onset PAHよりも重症であり、
 低cardiac indexであった(2.4 ± 0.6 vs 2.8 ± 0.6 L/min/m2, p = 0.005)。

結論:
 当初考えられていた結論とは異なり、
 early-onset PAHはおおよそ半分のSSc患者に認められ
 diffuse SScでもlimited SScでも観察された。
 そのため、SScの診断後はすみやかにPAHを検索すべきである。

by otowelt | 2009-11-18 13:24 | びまん性肺疾患

small airway diseases

リウマチ肺から勉強しなければならないことが出てきたので記載する。
BOとFBについて記載したい。

************************************************************************************
~~リウマチ肺~~
●肺実質疾患
・間質性肺炎
①通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)
②非特異的間質性肺炎(non specific interstitial pneumonia:NSIP)
③器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)
④びまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage:DAD)
⑤呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患
(respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease:RB-ILD)
・リウマトイド結節
・アミロイドーシス

●胸膜疾患
・胸水        ・気胸

●気道疾患
・閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans)
・濾胞性細気管支炎(follicular bronchiolitis)
・びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis)様病変

●血管炎
・肺高血圧症     ・過粘稠度症候群
************************************************************************************


inflammation of small airways
• Cellular / follicular – various causes
• Respiratory bronchiolitis
• Bronchiolitis obliterans

●濾胞性細気管支炎(Follicular bronchiolitis)
・概論
濾胞性細気管支炎(Follicular bronchiolitis)は、肺の細気管支領域への
リンパ球主体の炎症細胞浸潤と胚中心を伴うリンパ濾胞
を病理学的特徴とする疾患。
関節リウマチやシェーグレン症候群を合併する頻度が高いことが知られている。
   Hum Pathol 1985 ; 16 : 700―706.
   Lung 1985 ; 163 : 305―314.


またRA では多彩な呼吸器病変が合併し、そのうち10%は
呼吸器病変が先行する経過をとるといわれている

・疫学・症状・検査
本症は中年女性に多く、慢性に経過する労作時呼吸困難、咳嗽、発熱、
全身倦怠感を初発症状とすることが多い。肺機能検査で閉塞性、拘束性換気障害の
いずれのパターンもとりうる。
CT上線状影・網状影をとることが多い。

●閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis obliterans )
・概論・疫学
気道上皮の傷害に強く関連しており
肉芽組織によって閉塞した細気管支炎であり、不可逆性の変化である。
女性に多く、リウマトイド因子陽性であることが多い。
”concentric fibrosis of terminal & respiratory bronchiole”
◎cellular bronchiolitis
◎respiratory bronchiolitis
◎bronchiolitis obliterans
◎bronchiolitis obliterans with intraluminal polyps (proliferative bronchiolitis obliterans)
のパターンをとりうる。
閉塞性細気管支炎の原因として、骨髄移植後、肺移植後、有毒ガス吸入、膠原病に
伴う細気管支炎、マイコプラズマなどによる感染後の細気管支炎が知られている。
致死的な経過をたどりうる。

・症状・検査
関節症状につづいて起こることが一般的ではあるが、リウマトイド因子が
高いのにもかかわらず関節症状がみられずにBOをきたすこともある。
臨床的には比較的急性に発症する呼吸困難を主訴とし、肺機能検査では閉塞性障害を
呈することが多い。胸部X 線写真では過膨脹のみであることが多い。
HRCT では閉塞した細気管支より末梢の部位で透過性の亢進がみられ
この変化は吸気と呼気のCT を比較するとより明瞭になる。
BO では肺野の過膨張所見やモザイク状の肺野濃淡像(focal/ segmental mosaic
perfusion)が特徴的所見とされ、逆に末梢気道の分岐線状陰影を呈する例は少ない。
   Radiographics 1994 ;14 : 991―1003.
病理学的には、constrictive bronchiolitis with lymphocytic infiltrationを認める。

・予後は不良である。

by otowelt | 2009-11-08 15:42 | びまん性肺疾患

気管支拡張症患者の死亡リスク


今月のERJより。
アブストラクトしか読んでないが、アバウトすぎる。

Mortality in bronchiectasis: a long-term study assessing the factors influencing survival
Eur Respir J 2009; 34:843-849


背景:
 気管支拡張症に関する死亡率に関してはあまり言及されていない。
 このスタディの目的は、それを調べることである。

患者:
 合計91人の原因のはっきりしない気管支拡張症患者で検証。
 肺機能およびHRCT、喀痰、QOLを13年間にわたりフォローアップした。

結果:
 29.7%の患者が13年間で死亡した。
 St George’s Respiratory Questionnaire activity score、
 Pseudomonas aeruginosaの感染、肺機能におけるTLCが
 おもにその死亡と統計学的に関連づけられた。

結論:
 気管支拡張症患者では、拘束性および閉塞性換気障害の程度や
 慢性緑膿菌感染症の存在が死亡と関連づいている。

by otowelt | 2009-10-30 10:54 | びまん性肺疾患

AFOP(Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia)

ALI/ARDSの話をするときに、最近よく耳にするようになったAFOP。
Beasleyらの報告が非常によくまとまっているので、ダウンロードをおすすめします。

Mary Beth Beasley, et al.
Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia
A Histologic Pattern of Lung Injury and Possible Variant of Diffuse Alveolar Damage
Arch Pathol Lab Med. 2002;126:1064–1070


●AFOP(Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia)とは
 Beasleyらが提唱した概念で、急性の肺病変でみられる肺障害の新しいパターンである。進行性の呼吸困難が主たる症状であり、咳・発熱・胸痛を伴う。しかしながら、AFOPについて書かれた論文は多くない。SARS、感染症(Haemophilus influenza、Acinetobacter)、膠原病、薬剤などが原因となる。基本的にはDADのバリアントと考えられている。
             Mod Pathol 2005; 18:1-10. 
 AFOPを疑う段階は、OPを画像上疑ったときであるが、病理学的に述べられる見解であるため、臨床と画像だけでは意味をなさない概念である。

●画像
 Beasleyらは15人のAFOPの画像上の特徴として"bilateral basilar infiltration"としている。基本的にはOPパターンであり、多発性、移動性、斑状、びまん性の陰影で、胸膜直下かつ両側性に広がる。Kobayashiらは、孤立性結節影とエアブロンコグラムパターンを報告している。
        J Thorac Imaging 2005, 20(4):291-293.

●組織像
 ALIの際にみられる病理組織パターンで、DAD・BOOP(OP)・EPパターンとは異なるもので、肺胞内フィブリン形成(fibrin ball)がみられる病理組織像。
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by otowelt | 2009-10-28 12:30 | びまん性肺疾患

6分間歩行試験後の心拍数回復は、IPFにおける予後因子である

IPFにおける肺機能は特発性肺線維症の有力な予後因子ではないとされている。
(FVCの10%の低下がない例でも43%が死亡していた)
何が予後因子になるかといえば、たとえば6分間歩行。
これによる89%以下のSPO2の低下は予後をよく予想できたというエビデンスがある。
       Ann Intern Med. 2001; 134: 136-151

CHESTに心拍数のリカバーの異常が、予後不良因子であるとの報告がなされた。
ちなみに6分間歩行試験の略称は、6MWTが正しい。

Heart Rate Recovery After 6-Min Walk Test Predicts Survival in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST September 2009 vol. 136 no. 3 841-848


背景:
 IPF患者において、6分間歩行試験(6MWT)1分後の心拍数リカバー(HRR1)
 および2分後の心拍数リカバー(HRR2)が死亡リスクの予後因子になりうるか
 どうかを検証した。

方法:
 2003~2008年に、76人のIPF患者において6MWTを行い、検証した。

結果:
 カットオフ値はHRR1=13心拍、HRR2=22心拍とした。
 異常HRR1は、以下のものと関連。
 CO拡散能(OR 0.4 per 10% predicted; 95%CI 0.2 to 0.7; p=0.003)
 右室収縮期圧>35 mmHg(経胸壁エコーによる)
 (OR, 12.7; 95% CI, 2.0 to 79.7; p = 0.01)
 正常なHRRに比べて異常HRRは明らかに生存率が低かった。
 (HRR1, p=0.0007; HRR2, p=0.03)
 特に異常HRR1は死亡リスクの有力な予後因子
 (HR, 5.2; 95% CI, 1.8 to 15.2; p = 0.004).

結論:
 6MWT後の異常HRRは、IPF患者における死亡に関する有力な予後因子である。
 

by otowelt | 2009-09-16 09:49 | びまん性肺疾患

飛行機旅行におけるLAMの気胸発症リスク

LAMでは気胸が多いことはよく知られている。

旅行がすぐにその発症リスク増加につながるかといえば
疫学的にはそうではないが、飛行機には注意したほうがいい
ということになる。

Pneumothorax After Air Travel in Lymphangioleiomyomatosis, Idiopathic Pulmonary Fibrosis, and Sarcoidosis
CHEST September 2009 vol. 136 no. 3 665-670


背景:
 間質性肺疾患における旅行中の気胸の頻度についてはよくわかっていない。
 LAMは気胸をおこしやすい疾患であり、飛行機旅行の際に起これば
 生命をおびやかす。
 この試験の目的は、LAM、IPF、サルコイドーシスにおける気胸の有病率を
 調べたものである。

方法:
 449人の患者において、上記を調べるための記録と画像評価をおこなった。

結果:
 計449人の患者が1232回の旅行をおこなった。
 299人が飛行機(816 trips)、150人が陸上旅行(416 trips)。
 281人のLAM患者のうち16人気胸を起こして目的地に到着した。
 5人はレントゲン、11人がCTで診断された。
 16人のうち、9人が慢性的な気胸であった。
 新しい気胸は、大きなcystがある患者によくみられた。
 LAMにおける新しい気胸の頻度は、飛行機で2.9%(1.1 per 100 flights)、
 陸上で1.3% (0.5 per 100 trips)であった。
 IPF(n = 76)やサルコイドーシス患者(n = 92)では気胸はみられなかった。
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結論:
 気胸を発症しやすいような間質性肺疾患において
 おしなべて気胸の発症は低いリスクであるものと推察される。
 ただ、LAMにおいて飛行機による気胸発症は多かった。
 (経陸を含めた)旅行そのものによる気胸発症は多くない。

by otowelt | 2009-09-15 09:02 | びまん性肺疾患

Wegener肉芽腫症患者の下気道には有意にブドウ球菌が多い


Wegener肉芽腫症患者における再発はしばしば経験するが、
これにブドウ球菌が関連しているのではないか、という論文が
Thoraxに掲載されていた。

Pulmonary infection in Wegener granulomatosis and idiopathic pulmonary fibrosis
Thorax 2009;64:692-697


背景:
Wegener肉芽腫症(WG)は、Staphylococcus aureusの鼻腔定着を
起こすとされているが、下気道における病原性について検討されていない。

目的:
WG患者におけるBALF検体を、IPF患者および健常人と比較した。

方法:
 33人のWGの患者および、22人のIPF、8人の健常人においてBALF施行。
 定量的培養を下気道において評価した。またBALF中のサイトカインを
 ELISAにて計測。

結果:
 病原微生物はIPFよりもWGの方に多く認められた。
  S.aureusが多かった。
 インターロイキン1受容体アンタゴニスト (IL1ra)が、病原微生物が
 同定されたBALF中に高くみられた。

結論:
 BALF中の病原微生物はWGにおいて有意に高い。特にS.aureusの発育が
 多く認められた。IL1raはこの病原微生物と関連性がみられた。
 そのため、WGの再発および治療抵抗性の場合には、S.aureusを狙った治療も
 選択肢に入るかもしれない。

by otowelt | 2009-08-21 08:45 | びまん性肺疾患