カテゴリ:びまん性肺疾患( 273 )

AFOP(Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia)

ALI/ARDSの話をするときに、最近よく耳にするようになったAFOP。
Beasleyらの報告が非常によくまとまっているので、ダウンロードをおすすめします。

Mary Beth Beasley, et al.
Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia
A Histologic Pattern of Lung Injury and Possible Variant of Diffuse Alveolar Damage
Arch Pathol Lab Med. 2002;126:1064–1070


●AFOP(Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia)とは
 Beasleyらが提唱した概念で、急性の肺病変でみられる肺障害の新しいパターンである。進行性の呼吸困難が主たる症状であり、咳・発熱・胸痛を伴う。しかしながら、AFOPについて書かれた論文は多くない。SARS、感染症(Haemophilus influenza、Acinetobacter)、膠原病、薬剤などが原因となる。基本的にはDADのバリアントと考えられている。
             Mod Pathol 2005; 18:1-10. 
 AFOPを疑う段階は、OPを画像上疑ったときであるが、病理学的に述べられる見解であるため、臨床と画像だけでは意味をなさない概念である。

●画像
 Beasleyらは15人のAFOPの画像上の特徴として"bilateral basilar infiltration"としている。基本的にはOPパターンであり、多発性、移動性、斑状、びまん性の陰影で、胸膜直下かつ両側性に広がる。Kobayashiらは、孤立性結節影とエアブロンコグラムパターンを報告している。
        J Thorac Imaging 2005, 20(4):291-293.

●組織像
 ALIの際にみられる病理組織パターンで、DAD・BOOP(OP)・EPパターンとは異なるもので、肺胞内フィブリン形成(fibrin ball)がみられる病理組織像。
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by otowelt | 2009-10-28 12:30 | びまん性肺疾患

6分間歩行試験後の心拍数回復は、IPFにおける予後因子である

IPFにおける肺機能は特発性肺線維症の有力な予後因子ではないとされている。
(FVCの10%の低下がない例でも43%が死亡していた)
何が予後因子になるかといえば、たとえば6分間歩行。
これによる89%以下のSPO2の低下は予後をよく予想できたというエビデンスがある。
       Ann Intern Med. 2001; 134: 136-151

CHESTに心拍数のリカバーの異常が、予後不良因子であるとの報告がなされた。
ちなみに6分間歩行試験の略称は、6MWTが正しい。

Heart Rate Recovery After 6-Min Walk Test Predicts Survival in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST September 2009 vol. 136 no. 3 841-848


背景:
 IPF患者において、6分間歩行試験(6MWT)1分後の心拍数リカバー(HRR1)
 および2分後の心拍数リカバー(HRR2)が死亡リスクの予後因子になりうるか
 どうかを検証した。

方法:
 2003~2008年に、76人のIPF患者において6MWTを行い、検証した。

結果:
 カットオフ値はHRR1=13心拍、HRR2=22心拍とした。
 異常HRR1は、以下のものと関連。
 CO拡散能(OR 0.4 per 10% predicted; 95%CI 0.2 to 0.7; p=0.003)
 右室収縮期圧>35 mmHg(経胸壁エコーによる)
 (OR, 12.7; 95% CI, 2.0 to 79.7; p = 0.01)
 正常なHRRに比べて異常HRRは明らかに生存率が低かった。
 (HRR1, p=0.0007; HRR2, p=0.03)
 特に異常HRR1は死亡リスクの有力な予後因子
 (HR, 5.2; 95% CI, 1.8 to 15.2; p = 0.004).

結論:
 6MWT後の異常HRRは、IPF患者における死亡に関する有力な予後因子である。
 

by otowelt | 2009-09-16 09:49 | びまん性肺疾患

飛行機旅行におけるLAMの気胸発症リスク

LAMでは気胸が多いことはよく知られている。

旅行がすぐにその発症リスク増加につながるかといえば
疫学的にはそうではないが、飛行機には注意したほうがいい
ということになる。

Pneumothorax After Air Travel in Lymphangioleiomyomatosis, Idiopathic Pulmonary Fibrosis, and Sarcoidosis
CHEST September 2009 vol. 136 no. 3 665-670


背景:
 間質性肺疾患における旅行中の気胸の頻度についてはよくわかっていない。
 LAMは気胸をおこしやすい疾患であり、飛行機旅行の際に起これば
 生命をおびやかす。
 この試験の目的は、LAM、IPF、サルコイドーシスにおける気胸の有病率を
 調べたものである。

方法:
 449人の患者において、上記を調べるための記録と画像評価をおこなった。

結果:
 計449人の患者が1232回の旅行をおこなった。
 299人が飛行機(816 trips)、150人が陸上旅行(416 trips)。
 281人のLAM患者のうち16人気胸を起こして目的地に到着した。
 5人はレントゲン、11人がCTで診断された。
 16人のうち、9人が慢性的な気胸であった。
 新しい気胸は、大きなcystがある患者によくみられた。
 LAMにおける新しい気胸の頻度は、飛行機で2.9%(1.1 per 100 flights)、
 陸上で1.3% (0.5 per 100 trips)であった。
 IPF(n = 76)やサルコイドーシス患者(n = 92)では気胸はみられなかった。
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結論:
 気胸を発症しやすいような間質性肺疾患において
 おしなべて気胸の発症は低いリスクであるものと推察される。
 ただ、LAMにおいて飛行機による気胸発症は多かった。
 (経陸を含めた)旅行そのものによる気胸発症は多くない。

by otowelt | 2009-09-15 09:02 | びまん性肺疾患

Wegener肉芽腫症患者の下気道には有意にブドウ球菌が多い


Wegener肉芽腫症患者における再発はしばしば経験するが、
これにブドウ球菌が関連しているのではないか、という論文が
Thoraxに掲載されていた。

Pulmonary infection in Wegener granulomatosis and idiopathic pulmonary fibrosis
Thorax 2009;64:692-697


背景:
Wegener肉芽腫症(WG)は、Staphylococcus aureusの鼻腔定着を
起こすとされているが、下気道における病原性について検討されていない。

目的:
WG患者におけるBALF検体を、IPF患者および健常人と比較した。

方法:
 33人のWGの患者および、22人のIPF、8人の健常人においてBALF施行。
 定量的培養を下気道において評価した。またBALF中のサイトカインを
 ELISAにて計測。

結果:
 病原微生物はIPFよりもWGの方に多く認められた。
  S.aureusが多かった。
 インターロイキン1受容体アンタゴニスト (IL1ra)が、病原微生物が
 同定されたBALF中に高くみられた。

結論:
 BALF中の病原微生物はWGにおいて有意に高い。特にS.aureusの発育が
 多く認められた。IL1raはこの病原微生物と関連性がみられた。
 そのため、WGの再発および治療抵抗性の場合には、S.aureusを狙った治療も
 選択肢に入るかもしれない。

by otowelt | 2009-08-21 08:45 | びまん性肺疾患

血清CCL18は、IPFの予後予測因子である

e0156318_19524725.jpgSerum CC-Chemokine Ligand 18 Concentration Predicts Outcome in Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2009; 179: 717-723


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は、予後不良の肺疾患である。
 予後不良因子は確立されていない。
 血清CCL18濃度がこの予後に関連するのでは
 ないかといわれており、これを調べた。

目的:
 IPFにおける血清CCL18濃度について、72人の患者を
 プロスペクティブに研究。

方法:
 IPFはATS/ERS診断基準に基づいた。
 血清CCL18濃度は、ELISAで測定。
 24ヶ月後フォローされた。肺機能試験は最低でも6ヶ月ごとに行われた。

結果:
 ROC解析では、生存率とベースラインの血清CCL18濃度に相関がみられた。
 カットオフ値は150ng/ml (感度83%、特異度77%)
 血清CCL18濃度が150ng/ml以上では、死亡率が高かった(P<0.0001)。
 HRは8.0であった(年齢、性別、肺機能で調節)。
 また、CCL18濃度が高値の場合、IPFの進行がみられる。

結論:
 血清CCL18濃度はIPFの予後予測因子であり、臨床的に用いることが
 可能であると考えられる。

by otowelt | 2009-04-11 19:48 | びまん性肺疾患

IPFにBALは必要かもしれない

現時点では、IPF/UIPの診断~予後、経過の評価に
BALが必要ではないとされている。これは2002年のATS/ERSの
コンセンサスに基づいているのは、言わずもがなである。
しかしながら、他疾患を除外するために有効な場合がある。
IPFでは、NSIPやCOPに比べ、BALの細胞分画でリンパ球比率は
一般には正常であることが知られている。

BALをすべきかしないべきか、コンセンサスが出ていても
議論は止まらないところではある。

Significance of Bronchoalveolar Lavage for the Diagnosis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Am J Respir Crit Care Med. 2009 Feb 26


背景:
 2002年のATS/ERSコンセンサスに従い、
 IPFの診断は、開胸肺生検がなくても、臨床的・生理学的所見と
 HRCTの典型的特徴からおこなわれているのが現状である。

目的:
 IPFの診断のためにBALを追加することは是か否か

方法および結果:
 101人のHRCTでIPFを疑った患者を対象にした。
 74名はATS/ERS推奨criteriaに一致していた。
 BAL中のリンパ球比率でカットオフ値30%に設定。
 これはIPF診断の鑑別に最適??
 6人(8%)がBAL中リンパ球比率が30%を上回った。
 この6人の診断はNSIP(n=3)で、外因性アレルギー性肺隔炎(n=3)。
 結局6人とも診断が変わってしまった・・・

結論:
 8%でBALリンパ球増加により診断変更があったため、
 BALがないと誤診につながる可能性がある。

by otowelt | 2009-03-09 09:05 | びまん性肺疾患

MTX投与中のカリニ予防はST合剤で大丈夫


呼吸器内科では膠原病肺を扱うため、
リウマトレックスを飲んでいる患者さんも多い。
そんな患者さんはまぁ、ステロイドを内服していることもあるわけだが
そういったとき、カリニ肺炎予防が問題となる。
バクタ連日でいいのか・・・・・ベナンバックス・・・・うーむ。

確かに、メソトレキセート投与中にST合剤を投与することは
葉酸代謝経路の観点から望ましくないとされている。
理由は、以下の通りである。
1.トリメトプリムの葉酸代謝拮抗作用が加わるため
2.MTXのクリアランスがスルファメトキサゾールによって下がる
3.MTXの血清中の蛋白結合率を変える
Thomas MH, Gutterman LA: Methotrexate toxicity in a patient receiving trimethoprim-sulfamethoxazole. J Rheumatol 1986; 13:440

しかし膠原病権威であるCarol A. Langford, MDはMTX投与下の
Wegener肉芽腫患者で、ニューモシスティス肺炎予防目的のST合剤は
安全に投与できていると記載している
The Rheumatologist Oct 2008

最近のトップジャーナルでも同様の意見だ。
NEJM June 10、2487-3498, 2004

by otowelt | 2009-02-17 10:51 | びまん性肺疾患

COPDにボセンタンは無効


e0156318_23504610.jpgA randomised, controlled trial of bosentan in severe COPD.Eur Respir J. 2008 Sep;32(3):619-28.

ボセンタン(トラクリア)は、肺動脈性肺高血圧(PAH)の
重症患者に適応があるのはご存知の通り。
COPDの二次性肺高血圧症は、運動時に悪化する。
トラクリアで肺高血圧を伴うCOPDの
ADLを改善できるかという論文。

結果として6MW(6分間歩行試験)で改善なく、
肺機能、肺動脈圧、最大酸素摂取量なども改善なし。
結果として何の有意差もなかった・・・・。

まぁ、もともと肺がぶっこわれてるわけだから
トラクリアでどーのこーのっていうのは無茶な話であって。
当たり前ですね。

by otowelt | 2009-01-08 23:55 | びまん性肺疾患

LAAの比率とFFMIは反比例する


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Inter Med 48: 41-48, 2009)

COPDにおいて、筋肉量の減少というのは予後に相関することが知られているが、
まだはっきりとしたデータは存在しない。
この論文は112人の安定したCOPD患者で、
fat mass indexおよびfat free mass indexを考察したもの。

なんでこんな研究がなされたかというと、
最近はBMIよりもFFMI(fat free mass index)がはやっているからである。
BMIはCOPDの病期分類上の有意な影響を与えないとされるが、
FFMIはstageゼロで有意な影響を与える。
Chest. 2007; 132:164-169


結局予後まではわからないが、
LAAの比率は、FFMIあるいはFMIと反比例するだろうという結果が得られた。

つまりは、COPDにヤセはよくないということ。

by otowelt | 2009-01-07 14:35 | びまん性肺疾患

日本呼吸器学会 近畿地方会

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by otowelt | 2008-12-14 16:05 | びまん性肺疾患