カテゴリ:びまん性肺疾患( 283 )

自己免疫性PAPに対してGM-CSF吸入療法は有用

今回のAJRCCMに掲載されることがわかっていた重要な論文。

肺胞蛋白症は当院ではcommon diseaseになっている。
臨床試験のために集まるからかもしれないが…
全身麻酔下で全肺洗浄を行うこともあるが、
こちらはまだエビデンスがなかったように記憶している。

Inhaled Granulocyte/Macrophage–Colony Stimulating Factor as Therapy for Pulmonary Alveolar Proteinosis
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 1345–1354, 2010


背景:
 吸入GM-CSF治療は、肺胞蛋白症(PAP)の治療の画期的治療であるが、
 まだ適切な臨床試験はおこなわれていない。

目的:
 軽快しない、あるいは進行するPAPに対しての
 吸入GM-CSF治療の安全性と効果について検証する。

方法:
 国際多施設phaseII臨床試験を日本の9の呼吸器センターで実施。
 肺生検および細胞診でPAPと診断された患者において、
 12週間の観察期間の間、GM-CSF抗体が上昇し、PaO2が
 75mmHg未満である症例を登録。
 観察期間中にA-aDo2の改善などがみられたものは除外した。
 登録症例において
 高用量(250 mg Days 1–8, none Days 9–14; ×six cycles; 12 wk)
 低用量(125 mg Days 1–4, none Days 5–14; ×six cycles; 12 wk)
 フォローアップ(52 wk)とした。

結果:
 50のPAP患者がスタディに登録した。
 観察期間のうち、9人が改善、2人が取りやめ、で除外となった。
 35人が高用量→低用量レジメンを施行できたた。
 24人が改善し、ORRは62%であった(ITT解析で24/39)。
 A–aDO2減少は、12.3mmHg (95%CI 8.4–16.2; n=35, P,0.001)。
 重篤な副反応は起こらなかった。血清GM-CSF抗体は変化がみられなかった。
 治療によりみられた点としては、A-aDO2、DLCO、HRCTでのGGO改善
 に関連性がみられた。35人のうち、29人が治療1年をこえて安定している。
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結論:
 自己免疫性PAPに対して、吸入GM-CSF治療は安全性があり効果がある。

by otowelt | 2010-06-24 14:36 | びまん性肺疾患

RA-ILDにおけるUIPパターンは、予後不良因子(IPFと同等の生存期間)

関節リウマチと間質性肺炎の合併は多い。
報告によれば50%などという記載もあるが、臨床上ピックアップされるのは
その5分の1くらいの頻度だと個人的に思う。他の膠原病と異なり、
RA-ILDは、UIPパターン>NSIPパターンというのが特徴的である。

呼吸器内科医をやっているとよく話題になるのが、
関節リウマチとIPFにおけるUIPパターンは違いがあるのか?」という点である。
これに関しては、以下のような答えをされる呼吸器内科医が多いように思う。
関節リウマチのUIPパターンは、IPFとは異なり、気管支血管束周囲の
小葉中心部にも線維化病変を伴う

まぁ、よく知られた模範解答とは思うが、この差というのが臨床的に差を生むのかどうか
ERJで検討された論文が出た。非常に興味深い。

Usual interstitial pneumonia in rheumatoid arthritis-associated interstitial lung disease
Eur Respir J 2010; 35: 1322–1328


背景:
 ILDは、関節リウマチにおいてよくみられる肺病変である。しかしながら、予後に
 関する影響はほとんど知られていない。このスタディの目的は、関節リウマチの
 HRCTのUIPパターンがRA-ILDの予後に重要であるかどうかを検討したものである。

方法:
 RA-ILDのある患者はレトロスペクティブに82人登録可能であった。
 定義されたHRCTにおけるUIPパターンの生存への関連性は、
 臨床的にIPFと診断された51人と比べて、コホートに決定された。

結果:
 UIPと定義されたのは、RA-ILDのある82人の患者のうち20人(24%)であった。
 これらの患者はUIPパターンのない患者と比べると生存期間は悪かった。
  (生存期間中央値は 3.2年 VS 6.6年)
 そして対照群となったIPF患者でも同様の生存期間であった。
  HRCTにおいて定義されたUIPパターンは、明らかに生存期間の減少に関連。(HR 2.3)
 HRCTにおいて確認された、traction bronchiectasisおよび
 honeycomb fibrosisは生存期間の減少に関連していた(それぞれHR2.6、2.1)。
 女性(HR0.30)およびDLCO高値(HR 0.96)は生存期間の延長に関連。
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結論:
 HRCTにおいて定義されたUIPパターンは、RA-ILDの予後を規定する。
 RA-UIPはIPFと同等の生存期間であると考えられる。

※ちなみにhoneycomb fibrosis(蜂巣肺)の定義は
 下の記事のように考えている。

蜂巣肺・蜂窩肺(honeycombing lung)の定義

by otowelt | 2010-06-04 23:25 | びまん性肺疾患

いわゆる、びまん性肺胞出血は原因を問わず入院死亡率24.7%

肺胞出血の大規模なレトロスペクティブスタディがERJから出た。
レトロスペクティブなので、診断基準があやふやなものが混ざっているかもしれない。
死亡率をプライマリエンドポイントにおいて、おおむね予後は同等との結論だった。
個人的にはANCA関連のDAHと、特発性DAHに実臨床でかなり差を感じるのだが・・・。
GGOの改善、臨床症状の改善というエンドポイントも設定してほしかった。

Diffuse alveolar haemorrhage: factors associated with in-hospital and long-term mortality
Eur Respir J 2010; 35: 1303–1311


背景:
 びまん性肺胞出血(DAH)は、免疫あるいは非免疫的にも発症する疾患である。
 予後は不良であり、入院死亡率は20%から100%と考えられている。
 早期発見が適切な治療開始に有用な予後因子かもしれない。

方法:
 われわれはレトロスペクティブに1980年から2008年まで大学病院の
 すべての患者チャートを解析した。入院に関連した項目および長期死亡率は、
 ロジスティック回帰モデルおよびKaplan–Meier法を用いておこなわれた。
 免疫抑制患者は除外した。

結果:
 97人の患者がこのスタディに登録した。入院死亡率は24.7%であった。
 免疫学的肺胞出血は、35人。
  ・血管炎 25人
  ・抗基底膜抗体疾患 4人
  ・膠原病 6人
 非免疫学的肺胞出血は、62人。
  ・肺胞毛細血管圧上昇 26人
  ・その他 22人(感染6人、薬剤6人、塞栓性疾患4人、人工呼吸器関連4人、癌2人)
  ・特発性肺胞出血 14人
 入院死亡率に関連していたのは、
 ショック (OR 77.5, 95% CI 8.9–677.2)、
 GFR 60mL/min未満 (OR 11.2, 95% CI 1.8–68.4)
 血清LDHレベルが正常の2倍をこえるもの(OR 12.1, 95% CI 1.7–84.3)
 であった。退院した患者の死亡率は16.4%であり、フォローアップ期間中央値は
 34ヶ月であった。長期死亡率を増加させる因子としては、60歳をこえる患者(p=0.026)、
 心血管合併症患者(p=0.027)、末期腎不全血液透析患者(p=0.026)であった。
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 ↑ 免疫学的肺胞出血と非免疫学的肺胞出血のK-M曲線

結論:
 免疫的肺胞出血あるいは非免疫的肺胞出血のいずれも同等のアウトカムであった。
 早期のアウトカムは、肺以外の臓器不全に関連していた。
 後期のアウトカムは、年齢、心血管合併症、血液透析に関連していた。

by otowelt | 2010-06-04 18:32 | びまん性肺疾患

IgG4関連疾患

現在日本が確実にリードしている分野であり、海外の文献が少ないのが現状である。
最近IgG関連疾患の本が出版されており、読んでおきたいところである。
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●概念
 近年、IgG4関連疾患と呼ばれる疾患概念が提唱されている。
 涙腺・唾液腺、膵、腎など多臓器に病変を認め、血中IgG4高値と組織の
 IgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴とする。組織学的にIgG4陽性形質細胞や
 リンパ球浸潤が涙腺、唾液腺、後腹膜、膵臓、胆管などで起こり、臨床的には
 Mikulicz病、後腹膜線維症、自己免疫膵炎、糖尿病、原発性硬化性胆管炎
 類似の胆管病変などを呈する全身性疾患である。
 以下を満たすものをIgG関連疾患とする、という提唱がなされているが
 現時点では確実な診断基準はまだない。
 ・血清IgG4の高値(135㎎/dl以上)
 ・IgG4関連疾患で特異性の高い臓器(涙腺、唾液腺、膵臓、後腹膜) の異常
 ・組織学的にIgG4陽性形質細胞とリンパ球浸潤の確認
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●歴史
 1978年に両側上眼瞼と顎下腺の腫脹を初発症状とし、ステロイドが著効
 した膵炎を報告している。IgG4関連疾患の膵病変の初報告と考えられる。
             Am J Dig Dis 23(Supple):75S79S, 1978.
 その後の様々な検討により、自己免疫膵炎に高頻度に血清IgG4が高値を示す
 ことが明らかになった。膵以外にも胆道、涙腺、唾液腺、後腹膜などにも病変を認め、
 膵を含むそれらの臓器の免疫組織染色でIgG4陽性形質細胞および
 CD4ないしCD8陽性Tリンパ球がびまん性に浸潤していることが明らかになった。
               N Engl J Med 344:732738, 2001.
               J Gastroenterol 38:982984,2003.

 のちにIgG4関連疾患という疾患概念が提唱され、
 自己免疫膵炎はIgG4関連疾患という全身性疾患の膵病変であると推定された。

●IgG4関連疾患・胆道~膵臓
 膵病変の特徴は膵管の狭細像と膵のソーセージ状の腫大である。
 自己免疫膵炎に合併する胆管狭窄はPSCの合併ではないとされている。
 IgG4関連疾患のPSC様胆管病変とするのが妥当である。
 PSCは閉塞性黄疸で発症するが、IgG関連PSC様胆管病変は軽度の肝障害が
 診断のきっかけとなることが多い。PSCとIgG4関連硬化性胆管炎は異なる組織像
 を示し、病理学的にも鑑別可能である。IgG4関連疾患の胆管病変の合併頻度は
 40%程度である。胆嚢ではIgG4関連疾患では胆嚢壁の肥厚が25%程度認められる。
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●IgG4関連疾患・後腹膜
 IgG4関連疾患では膵に対する画像診断で偶然発見されることが多いため、
 後腹膜線維症が発見されるケースは少ない。大動脈や上腸間膜動脈周囲の
 線維化にとどまっていることが多く、軽症例が多いとされている。
 尿路閉塞による水腎症を呈することがある。
 間質性腎炎を呈することがあり、造影CTが診断に有用である。
               Clin Nephrol. 2007 Nov;68(5):308-14.
 間質性腎炎と腎門部IgG4関連硬化性腫瘤の合併は本症に多く、
 浸潤形質細胞数が少ない場合、間質腎炎合併は重要なIgG4関連疾患の根拠となる。
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●IgG4関連疾患・唾液腺
 両側唾液腺、涙腺の腫脹を来たす症例をMikulicz病という。
 Mikulicz病はIgG4関連自己免疫疾患であるとの報告が多い。
 血清IgG4が高値であり、SS-AおよびSS-B抗体が陰性であるという点、
 またステロイド治療に対して良好な反応性を示すためである。
 顎下腺に後発し、硬く触れる腫瘤を形成する炎症性病変で
 硬化性唾液腺炎という病名を用いることが一般的である。
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●IgG4関連疾患・肺
 IgG関連肺疾患として認知されているのは、炎症性偽腫瘍と間質性肺炎である。
 炎症性偽腫瘍では特発性間質性肺炎に比べ優位にIgG、IgG4 陽性形質細胞が
 多く認められる。
               Human Pathology 2005 ; 36 : 710―717.
 BALでは全例でリンパ球分画の増加を認め、CD4/8ではCD4優位であったと
 いう報告が多い。
 また、肺門部リンパ節腫大を伴うことがあるため、
 サルコイドーシスと間違えられることもある。
 67%の自己免疫性膵炎で肺門部リンパ節腫大を伴うとされている。
               Pancreas 2003;27:20–25.
 アメリカの自己免疫性膵炎36症例の検討で、2例に肺病変が認められた。
               Am J Surg Pathol. 2006 Dec; 30 (12): 1537-45
 一方日本では自己免疫性膵炎30症例の経過中4例に肺病変が認められた。
               Intern Med J. 2006 Jan; 36 ( 1): 58-61
 IgG関連肺疾患の画像上の特徴として、
 (a) solid nodular
 (b) round-shaped GGO
 (c) alveolar interstitial
 (d) bronchovascular

 の4タイプが報告されている。
               Radiology: Volume 251: Number 1—April 2009
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 bronchovascular typeは、multicentric Castleman diseaseに類似する。
                Radiology 1998;209:477–481.
 病理学的に、炎症で閉塞した動脈周囲にIgG陽性形質細胞がみられることが多い。
                 Hum Pathol 2008;39:975–980.
 肺化膿症やWegener肉芽腫でもIgG陽性細胞が浸潤することがあるので
 鑑別に注意が必要であるとも考えられている。
 治療については、IgG関連疾患全般に共通しているが、
 肺病変もステロイドに反応しやすいとされている。
                    Gut 2004;53:770
                    Intern Med J 2006;36:58–61.

文責"倉原優"

by otowelt | 2010-05-09 05:17 | びまん性肺疾患

ピルフェニドンはIPFにおいて肺活量低下を防ぐ (phase III 試験)

ピルフェニドン(ピレスパ)はアメリカで発見された新規の抗線維化薬。
創製当初は抗炎症薬として開発が開始されたが、その途上で
炎症モデルとして検討されたイヌ肺感染症モデルにおいて線維化を抑制した。
日本では1998年10月に希少疾病医薬品の指定を受け、
2008年10月に承認され、同年12 月より発売している。
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作用機序は、図のごとく様々な作用の複合である。

ピレスパのこのphase III試験は以前から知っていたが、
論文化されたのが、このERJということである。

Pirfenidone in idiopathic pulmonary fibrosis
Eur Respir J 2010; 35: 821–829


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は、確固たる治療法のない進行性の肺疾患である。

方法:
 多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化第3相試験が日本の
 IPF患者で行われた。
 効果と安全性を検証するため52週以上にわたり投与された。
 275人の患者が、ピルフェニドン高用量1800mg/日、低用量1200mg/日、
 プラセボに1:2:1に割り振られた。267人がその効果を評価された。
 プライマリエンドポイントは、52週での肺活量(VC)の変化、
 セカンダリエンドポイントはPFSとした。

結果:
 プライマリエンドポイントにおいて、肺活量に有意な差が出た。
 プラセボ:-0.16 L、高用量ピルフェニドン:-0.09 L (p=0.0416)
 セカンダリエンドポイントであるPFSにおいても
 有意に差が出た。(p=0.0280)
 副作用である光線過敏症は、多くの患者で重症度は高くなかった。
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結論:
 ピルフェニドンはIPF患者において認容性があり、
 52週における肺活量減少率を軽減させ、PFSも改善させる。

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副作用の光線過敏症はサンスクリーンによって
ある程度軽減できることがわかっている。

by otowelt | 2010-04-03 22:32 | びまん性肺疾患

IPFにおいてイマチニブは生存率と肺機能を改善しない

イマチニブは、bcr-abl、c-kit、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体の
チロシンキナーゼ阻害活性を有する癌分子標的治療薬であり、
慢性骨髄性白血病、消化管間質性腫瘍に対して承認されている。
その一方で、特発性肺線維症(IPF)における線維化病態にはPDGFが
関与しており、イマチニブの有用性が期待されてきた。
肺線維症モデルにおけるイマチニブの肺線維化抑制効果が報告されていたが、
このランダム化試験によりイマチニブの有用性は否定的となった。

Imatinib Treatment for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Randomized Placebo-controlled Trial Results
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 604–610, 2010


方法:
 119人の患者で検討。
 多施設共同二重盲検臨床試験で、96週間にわたりイマチニブとプラセボを服用。

結果:
 96週間のフォローアップによって、イマチニブはプラセボに比べて
 プライマリエンドポイントであるdisease progression(%FVCの10%減少)
 および死亡までの期間に影響を与えなかった(log rank P = 0.89)。
 イマチニブによって、FVCは48,72,96週におけるどの時点でも
 変化がみられなかった。(P > 0.39 at all time points)
 DLCOも変化なし(P>0.26 at all time points)
 安静時PaO2はイマチニブ群で48週時点ではよかった(P = 0.005) が、
 96週目では変化なし(P = 0.074)。
 96週で、イマチニブ群で8人の死亡、プラセボ群で10人の死亡がみられた。
 29%の患者がプライマリエンドポイントに到達することなくトライアルオフした。
 (イマチニブ, 32%; placebo, 27%; P = 0.51)
 イマチニブ群において有意な有害事象は観察されなかった。
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結論:
 ランダム化プラセボ対照比較試験において、
 mild to moderateのIPF患者では、イマチニブは
 生存率および肺機能に影響しない。

by otowelt | 2010-03-06 14:59 | びまん性肺疾患

間質性肺炎急性増悪におけるPMX-DHP

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概要:
 特発性肺線維症(IPF)をはじめとする
 間質性肺炎は、慢性かつ進行性の経過
 をたどる。副腎皮質ステロイド薬の
 減量や外科手術などをきっかけにして
 急性増悪を起こすことが知られている。
 ポリミキシンB 固定化線維カラムを
 用いた直接血液灌流法(direct
 hemoperfusion using a polymyxin B immobilized fiber column;PMX-DHP)
 は血液中よりエンドトキシンを除去する治療法である。
 敗血症やARDSへの有効性が示されている。
J Clin Apher 2002 ; 17 : 97―102.
The EUPHAS randomized controlled trial. JAMA 2009 ; 301 : 2445―2452.


 間質性肺炎の急性増悪は、ARDSと同様DADを呈するだが
 PMX―DHPの有効性を示唆する報告がみられる。
Intern Med 2006 ; 45 :1033―1038.
Respirology 2008 ; 13 : 452―460.


PMX-DHPとは:
 ポリミキシンB 固定化線維カラムは、ポリミキシンBとエンドトキシンとの
 親和性を応用して、エンドトキシン吸着を目的に開発された。
 PMX-DHP はグラム陰性桿菌による敗血症に対して血圧上昇や酸素化能の改善
 などの効果が報告されている。また動物実験ではPMX-DHP による
 エンドトキシン吸着で生存率が有意に改善することも示されている。
 機序として、エンドトキシン吸着の結果炎症性サイトカインが減少し
 好中球の活性化が抑制され、酸素化能の改善につながったと考えられるが、
 まだまだ不明な点は多い。炎症性メディエーターや蛋白分解酵素の吸着により
 微小血管障害を抑制する可能性を示唆する報告もある。

効果:
 Seo らの報告では、PMX-DHP 施行後のどの時点での評価かは不明で
 あるが、30 日以上生存した全例でKL-6 の低下を認めている。
 また、急性増悪6 例にPMXDHPを施行し、4 例で30 日以上の生存が得られた
Intern Med 2006 ; 45 :1033―1038.

 ※KL-6 とSP-D とでは変動に時相のずれがあり、KL-6 が遅れて変動する。

文責"倉原優"

by otowelt | 2009-12-08 18:24 | びまん性肺疾患

SSc患者の半数で早期肺高血圧症がみられる


SScの肺高血圧症といえば、あとあと問題になるケースが多かった
ように思うが、実はそうではないという論文がCHESTから出た。

つまり、早期から肺高血圧症を起こしうる上に
それら早期例は重症化しやすいという結論である。

Is Pulmonary Arterial Hypertension Really a Late Complication of Systemic Sclerosis?
CHEST November 2009 vol. 136 no. 5 1211-1219


背景:
 肺高血圧症(PAH)は、全身性強皮症(SSc)でよくみられる致死的な合併症である。
 PAHは、基本的にはSScの晩期に起こるものと考えられている。
 このスタディは、早期にPAHが起こっていないかどうかを調べたものである。

方法:
 78人のSSc+PAH患者のデータを採取。
 PAHは非レイノー症状が最初に出てから5年以内に診断されたものを
 early-onsetと定義した。それ以外の、5年より長い経過のあとの診断を
 lateと定義した。

結果:
 PAHは平均してSSc診断後6.3 ± 6.6年後に診断された。
 early-onset PAHは43人(55.1%)、late-onset PAHじゃ35人(44.9%)。
 early-onset PAH患者は、late-onset PAH患者よりも年齢が高かった
 (平均年齢, 58.0 ± 12.5 vs 46.6 ± 12.9 years, p = 0.0002)。
 SScサブタイプに差はなかった(limited vs diffuse、
 anticentromere vs anti-Scl70 antibodies)。
 診断時ではearly-onset PAHはlate-onset PAHよりも重症であり、
 低cardiac indexであった(2.4 ± 0.6 vs 2.8 ± 0.6 L/min/m2, p = 0.005)。

結論:
 当初考えられていた結論とは異なり、
 early-onset PAHはおおよそ半分のSSc患者に認められ
 diffuse SScでもlimited SScでも観察された。
 そのため、SScの診断後はすみやかにPAHを検索すべきである。

by otowelt | 2009-11-18 13:24 | びまん性肺疾患

small airway diseases

リウマチ肺から勉強しなければならないことが出てきたので記載する。
BOとFBについて記載したい。

************************************************************************************
~~リウマチ肺~~
●肺実質疾患
・間質性肺炎
①通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)
②非特異的間質性肺炎(non specific interstitial pneumonia:NSIP)
③器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)
④びまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage:DAD)
⑤呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患
(respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease:RB-ILD)
・リウマトイド結節
・アミロイドーシス

●胸膜疾患
・胸水        ・気胸

●気道疾患
・閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans)
・濾胞性細気管支炎(follicular bronchiolitis)
・びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis)様病変

●血管炎
・肺高血圧症     ・過粘稠度症候群
************************************************************************************


inflammation of small airways
• Cellular / follicular – various causes
• Respiratory bronchiolitis
• Bronchiolitis obliterans

●濾胞性細気管支炎(Follicular bronchiolitis)
・概論
濾胞性細気管支炎(Follicular bronchiolitis)は、肺の細気管支領域への
リンパ球主体の炎症細胞浸潤と胚中心を伴うリンパ濾胞
を病理学的特徴とする疾患。
関節リウマチやシェーグレン症候群を合併する頻度が高いことが知られている。
   Hum Pathol 1985 ; 16 : 700―706.
   Lung 1985 ; 163 : 305―314.


またRA では多彩な呼吸器病変が合併し、そのうち10%は
呼吸器病変が先行する経過をとるといわれている

・疫学・症状・検査
本症は中年女性に多く、慢性に経過する労作時呼吸困難、咳嗽、発熱、
全身倦怠感を初発症状とすることが多い。肺機能検査で閉塞性、拘束性換気障害の
いずれのパターンもとりうる。
CT上線状影・網状影をとることが多い。

●閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis obliterans )
・概論・疫学
気道上皮の傷害に強く関連しており
肉芽組織によって閉塞した細気管支炎であり、不可逆性の変化である。
女性に多く、リウマトイド因子陽性であることが多い。
”concentric fibrosis of terminal & respiratory bronchiole”
◎cellular bronchiolitis
◎respiratory bronchiolitis
◎bronchiolitis obliterans
◎bronchiolitis obliterans with intraluminal polyps (proliferative bronchiolitis obliterans)
のパターンをとりうる。
閉塞性細気管支炎の原因として、骨髄移植後、肺移植後、有毒ガス吸入、膠原病に
伴う細気管支炎、マイコプラズマなどによる感染後の細気管支炎が知られている。
致死的な経過をたどりうる。

・症状・検査
関節症状につづいて起こることが一般的ではあるが、リウマトイド因子が
高いのにもかかわらず関節症状がみられずにBOをきたすこともある。
臨床的には比較的急性に発症する呼吸困難を主訴とし、肺機能検査では閉塞性障害を
呈することが多い。胸部X 線写真では過膨脹のみであることが多い。
HRCT では閉塞した細気管支より末梢の部位で透過性の亢進がみられ
この変化は吸気と呼気のCT を比較するとより明瞭になる。
BO では肺野の過膨張所見やモザイク状の肺野濃淡像(focal/ segmental mosaic
perfusion)が特徴的所見とされ、逆に末梢気道の分岐線状陰影を呈する例は少ない。
   Radiographics 1994 ;14 : 991―1003.
病理学的には、constrictive bronchiolitis with lymphocytic infiltrationを認める。

・予後は不良である。

by otowelt | 2009-11-08 15:42 | びまん性肺疾患

気管支拡張症患者の死亡リスク


今月のERJより。
アブストラクトしか読んでないが、アバウトすぎる。

Mortality in bronchiectasis: a long-term study assessing the factors influencing survival
Eur Respir J 2009; 34:843-849


背景:
 気管支拡張症に関する死亡率に関してはあまり言及されていない。
 このスタディの目的は、それを調べることである。

患者:
 合計91人の原因のはっきりしない気管支拡張症患者で検証。
 肺機能およびHRCT、喀痰、QOLを13年間にわたりフォローアップした。

結果:
 29.7%の患者が13年間で死亡した。
 St George’s Respiratory Questionnaire activity score、
 Pseudomonas aeruginosaの感染、肺機能におけるTLCが
 おもにその死亡と統計学的に関連づけられた。

結論:
 気管支拡張症患者では、拘束性および閉塞性換気障害の程度や
 慢性緑膿菌感染症の存在が死亡と関連づいている。

by otowelt | 2009-10-30 10:54 | びまん性肺疾患