カテゴリ:びまん性肺疾患( 296 )

COPと二次性OPには臨床的・放射線的違いは少ない

このスタディにおける二次性OPは、
薬剤性(アミオダロン、βブロッカー、コカイン濫用)、全身性炎症性疾患
(関節リウマチ、結節性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症)、
固形腫瘍(大腸、乳房)、血液疾患(非Hodgkinリンパ腫)、
腎移植後、感染症で構成されている。
Abstractには記載されていないが、56%が喫煙者であったことも興味深い。

Cryptogenic and Secondary Organizing Pneumonia: Clinical Presentation, Radiographic Findings, Treatment Response, and Prognosis
CHEST 2011; 139(4):893–900


背景:
 器質化肺炎(OP)は、臨床的にも病理学的にも明確に規定されている。
 この病態は、原因不明であるCOPと二次性のOPとがある。
 このスタディにおいて、われわれはCOPと二次性OPの特徴を
 2つの教育病院において解析した。

方法:
 生検によって診断された61人のOPの患者をレトロスペクティブに検証。
 40人の患者がCOPと診断され、21人が二次性OPと診断された。
 臨床所見、放射線学的所見、呼吸機能検査、血液検査データ、BAL所見、
 治療、臨床アウトカムが解析された。

結果:
 平均年齢は60.46 ± 13.57 歳であった。
 不快感、咳嗽、発熱、呼吸困難、両側肺浸潤影、拘束性障害が
 最もよくみられた症状と所見であった。
 BALリンパ球比率はOPにおいて平均43.8%であった。
 再発率と1年後死亡率はそれぞれ37.8%、9.4%であった。
 院内死亡率は5.7%であった。臨床所見と放射線所見は
 COPと二次性OPの間に大きな違いはみられなかった。
 呼吸機能検査における混合性障害と低ナトリウム血症、
 血小板減少、低アルブミン、低タンパク、低pHが二次性OPで
 よくみられる所見であった。高クレアチニン血症、高ビリルビン血症、
 高PaCO2、BALリンパ球増多も二次性OPでよくみられた。
 再発率、死亡率に両者の差はみられなかった。1年後の死亡率は赤沈、
 低アルブミン、低ヘモグロビンに関連していた。
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結論:
 COPおよび二次性OPの患者における臨床所見、放射線所見は
 同等であり非特異的である。血液検査異常は二次性OPにおいて
 よくみられる傾向にあり予後不良因子と関連しているが、
 しかしながらこれは基礎疾患によるものが大きい。
 治療反応性は同等であり、再発率、死亡率も同等であった。

by otowelt | 2011-04-05 21:00 | びまん性肺疾患

エビデンスにもとづいた特発性肺線維症の診断とマネジメント:ATS/ERS/JRS/ALATステートメント

メモ。

An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Statement: Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Evidence-based Guidelines for Diagnosis and Management
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 788–824, 2011


●「結論」および「治療」の推奨のまとめ

●結論
1. IPFは慢性進行性線維化をきたす間質性肺炎で、原因がわからないもので、
 高齢成人に起こり、肺に限局した疾患で、なおかつ
 病理学的および/または放射線学的にUIPパターンであるものを指す。
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2.IPFの診断には以下のことが必要である
 a. 他の間質性肺疾患を除外していること。たとえば、家庭内職場内における
  曝露、膠原病、薬剤など。
 b. VATSを受けていない場合、UIPパターンがHRCTにおいて認められること。
 c. VATSを受けている場合、病理学的所見とHRCT所見が特異的に合致すること。
 2000年ATS/ERSコンセンサスにおける、メジャー・マイナー診断基準は
 削除された。
3. IPF診断の確からしさは、呼吸器内科医、放射線科医、病理医が
 相補的に討議した上で実現されるものである。
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4. IPFは致死的な肺疾患である。自然経過は多岐にわたり、予測困難である。
 a.ほとんどのIPF患者が長年かけて呼吸機能の低下がみられるが、
  呼吸機能は安定していたり急速に悪くなる患者もいる。
 b. 安定していたにも関わらず、急性増悪を経験する患者もいる。
5. 疾患の進行は、呼吸器症状の悪化、呼吸機能検査結果の悪化、
 HRCTにおける線維化の悪化、急性の呼吸機能減衰、死亡によって表現される。
6. IPF患者は非顕在化あるいは明白な合併症をもつかもしれない。
 すなわち、肺高血圧症、胃食道逆流症、閉塞性睡眠時無呼吸、肥満、
 気腫などである。これらの病態がIPFのアウトカムにどう影響するかは
 わかっていない。

●治療
1.IPFの治療を行う場合以下を使用ないことを推奨として強く掲げる
 a. ステロイド単剤(very low quality of the evidence)
 b. コルヒチン(very low quality of the evidence)
 c. シクロスポリン(very low quality of the evidence)
 d.ステロイドと免疫調整薬の併用(very low quality of the evidence)
 e. インターフェロンγ1b (high quality of the evidence)
 f.ボセンタン(moderate quality of the evidence)
 g. エタネルセプト(moderate quality of the evidence)
2. IPF治療に以下のものを用いない推奨は弱い。
 言い換えるなら、これらの治療は大多数の患者に用いるべきではないが
 一部の患者には選択してもよい。
 a.アセチルシステインとアザチオプリン、プレドニゾンの併用
  (low quality of the evidence)
 b.アセチルシステイン単剤(low quality of the evidence)
 c. 抗凝固剤(very low quality of the evidence)
 d. ピルフェニドン(moderate quality of the evidence)
3. 長期酸素療法はIPF患者、臨床的に安静時低酸素がみられる患者には強く推奨する。
 (very low quality of the evidence)
4. 肺移植はIPFの適切な症例には強く推奨する(very low quality of the evidence)
5. IPF患者において、人工呼吸器使用しない推奨は弱い。
 (low quality of the evidence)
6. 呼吸リハビリテーションをIPF患者におこなうことは推奨としては弱い。
 (low quality of the evidence)
7. 急性増悪をきたしたIPF患者にステロイドを使用することは、推奨としては弱い。
 (very low quality of the evidence)
8.肺高血圧症の治療をIPF患者におこなうことは、推奨としては弱い。
 (very low quality of the evidence)
9.症状のない胃食道逆流の治療をIPF患者におこなうことは、推奨としては弱い。
 (very low quality of the evidence)

by otowelt | 2011-03-21 13:34 | びまん性肺疾患

LAM患者における、シロリムスの有効性と安全性

呼吸器内科医にとっては重要な論文だろう。

Efficacy and Safety of Sirolimus in Lymphangioleiomyomatosis
NEJM, March 16, 2011 (10.1056/NEJMoa1100391)


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、女性にみられる進行性の嚢胞性疾患である。
 哺乳類ラパマイシン標的タンパクmTORシグナルの不適切な活性化によって
 細胞増殖・リンパ脈管異常が起こる。
 シロリムス(ラパマイシン)はmTORを阻害し、LAMに有効であると考えられている。

方法:
 われわれは、2段階のシロリムス試験を89人の中等度呼吸機能障害のある
 LAM患者で施行。12ヵ月のランダム化二重盲検プラセボ対照化試験をおこない
 引き続き12ヵ月の観察期間をおいた。
 プライマリエンドポイントはFEV1の勾配変化率とした。

結果:
 治療期間の間、FEV1勾配はプラセボ群で−12±2 ml per month(43人)
 シロリムス群で1±2 ml per month(46人)であった。(P<0.001)
 FEV絶対値の違いは、治療期間において153ml。これは登録時平均FEV1の
 およそ11%だった。
 プラセボ群比較で、シロリムス群はベースラインから12ヶ月時点において
 FVC、FRC、血中vascular endothelial growth factor D (VEGF-D)、QOL、
 機能的パフォーマンスを改善した。
 6分間歩行距離とDLCOの改善は両群において有意差はなかった。
 シロリムス中止後、肺機能減少の勾配は元に戻り、プラセボ群と平行になった。
 有害事象は、シロリムスにおいてよくみられたが、
 重度の有害事象においては有意差はみられていない。
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結論:
 LAM患者において、シロリムスは呼吸機能の安定化をもたらし
 血清VEGF-Dを減少させる。そして、症状とQOLの改善をもたらす。
 選択されたLAM患者においてシロリムスは有用かもしれない。

by otowelt | 2011-03-17 13:31 | びまん性肺疾患

非対称性IPFは胃食道逆流症が関与し、急性増悪を助長させる可能性がある

呼吸器内科医なら、絶対面白いだろう論文。

Progression of idiopathic pulmonary fibrosis: lessons from asymmetrical disease
Thorax 2011;66:226-231


背景:
 特発性肺線維症(IPF)において、分布および時間的空間的線維化進行は、
 全身的・局所的な病状に影響されているかもしれない。この観点からみれば
 非対称性のIPF(asymmetrical IPF;AIPF)は独特かもしれない。

方法:
 このレトロスペクティブ試験は、32の患者(26人男性、平均±SD 年齢 69±7歳)
 のAIPFによっておこなわれた。AIPFの定義は、左右の非対称性率すなわち
 (most affected - least affected fibrosis score) /
 (most affected + least affected fibrosis score) >0.2であるものとした。
 グローバル線維化スコアは、左右ともに平均とした。
 AIPF患者は64の対称性IPF患者(対照群)と比較された。
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結果:
 AIPF患者は、対照群と比べて線維化スコアやFVCに差はみられなかったが、
 一酸化炭素拡散能はさほど低下してなかった(52±19% vs 43±13%, p=0.009)。
 胃食道逆流症の率と急性増悪の頻度は、よりAIPFにおいて高かった。
 (62.5% vs 31.3%, p=0.006 、46.9%vs 17.2%, p=0.004)
 AIPF患者において、右>左の線維化がよく観察され(62.5%)、その非対称性率は
 0.5 (range 0.24-1)であった。グローバル線維化スコアは、AIPF患者23人の
 HRCTにおいてより悪かった(p<0.0001)。
 3人をのぞいて、全例において左右非対称性は維持された。
 フォローアップ中、15人のAIPF患者が18の急性増悪エピソードを経験した。
 最初のエピソードは、片側性で10人が患側肺に起こっていた(66.7%)。
 生存に関しては、AIPFもIPFも同等であった。

結論:
 AIPFは、胃食道逆流症のような局所的な因子と関連しており、
 病態の悪化や急性増悪に深く関与しているかもしれない。

by otowelt | 2011-03-10 12:42 | びまん性肺疾患

腎血管筋脂肪腫がLAMにおよぼす影響

腎血管筋脂肪腫は、TSC-LAMの93%、S-LAMの30~50%に
認められるとしている。
Lyphangioleiomyomatosis: a clinical update.Chest 133: 507-516, 2008.

腎血管筋脂肪腫に焦点を当てた論文。

Clinical Features of Lymphangioleiomyomatosis Complicated by Renal Angiomyolipomas
Intern Med 50: 285-289, 2011


目的:
 腎血管筋脂肪腫(R-AMLs)は、リンパ脈管筋腫症(LAM)の重要な
 合併症である。この試験の目的は、LAMの予後や呼吸器の臨床因子に対する
 R-AMLsの影響を理解することであり、R-AMLsのマネジメントを調査することである。

患者および方法:
 われわれはレトロスペクティブにR-AMLsを合併したLAM7患者
 (4人は結節性硬化症合併LAM(TSC-LAM)、3人は散発性LAM(S-LAM))を
 検証した。(1997年~2008年)

結果:
 全ての患者は女性であり、平均年齢はLAM診断時で40.7歳(TSC-LAM:31.7歳、
 S-LAM:52.7歳)であった。5人の患者がR-AMLs関連症状を訴えたが
 1人だけが診断時にR-AMLs関連症状を訴えていた。
 5人は両側、2人が片側のR-AMLsであった。4例においてR-AMLsは
 破裂(ruptured)した(3人がTSC-LAM)。2人が両側破裂し、両側腎摘となった。
 1人は片側のR-AMLsが増大しており、フォローアップ期間中にもう片方にも出現した。

結論:
 LAMにおいて症状のあるR-AMLsは初期には少ないが、重要な合併症である。
 腎摘出を避けるためにも、R-AMLsは径が小さい時に診断をつけ、厳重に
 超音波やCTでフォローアップをしていく必要がある。

by otowelt | 2011-02-22 07:07 | びまん性肺疾患

IPF急性増悪に対して、ステロイドパルスとタクロリムスの併用は有用である可能性

IPFの急性増悪にタクロリムスを用いたというInternal Medicineからの論文。
レトロスペクティブな小規模の研究なので、インパクトは強くないが
個人的に興味がある。
論文内にも記載があるが、IPF急性増悪時のタクロリムスの使用例
についてはあまり論文数としても多くない。
Acute respiratory distress syndrome secondary to antisynthetase syndrome
is reversible with tacrolimus. Eur Respir J 31: 213-217, 2008.


以下その報告。

Tacrolimus and Steroid Treatment for Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Intern Med 50: 189-195, 2011


目的:
 IPFの急性増悪(AE-IPF)はIPFの慢性的な進行性の経過中に起こる。
 死亡率は70%を超えるが、治療法についてはまだ確立されていない。 
 われわれはタクロリムスとメチルプレドニゾロンの併用療法について評価した。

方法:
 AE-APFの患者でメチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法に
 タクロリムス(標的血中濃度20 ng/mL)を加えた場合と加えなかった場合を
 レトロスペクティブに比較。 
 調査期間は2001年1月から2010年4月まで。
 プライマリエンドポイントは、生存率および生存期間。
 また我々はLDHレベル、P/F ratio、KL-6、再増悪の頻度、CTスコアも観察した。

結果:
 15人の日本人の患者でタクロリムス群74.2±6.0歳(n=5)、非タクロリムス群
 75.1±12.8歳(n=10)がAE-IPFであった。
 治療前のパラーメータは有意な差はみられず。 
 5人のタクロリムス群のうち4人、10人の非タクロリムス群のうち1人が生存した
 (p<0.05)。生存期間中央値は>92日(タクロリムス群)、38日(非タクロリムス群)
 (p<0.05)であった。 LDH、P/Fratioはタクロリムス群で有意によかった。
 KL-6、CTスコアは有意差なし。
 非タクロリムス群において4人の再増悪患者がみられた。

結論:
 メチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法にタクロリムスを併用すること
 により、AE-IPFに対する緩和効果がみられ、再増悪を予防できる可能性がある。

by otowelt | 2011-02-13 13:47 | びまん性肺疾患

IPF患者の手術後の急性増悪について

東邦大学からの論文。

Acute Exacerbation of Idiopathic Interstitial Pneumonia Following Lung Surgery in 3 of 68 Consecutive Patients:A Retrospective Study
Intern Med 50: 77-85, 2011


背景:
 特発性間質性肺炎(IIP)の急性増悪は、肺手術後にもしばしば起こる。
 しかしながら、IIPの肺手術における同リスクに関してはよくわかっていない。

目的および方法:
 われわれは、間質性肺炎の診断のもと2000年から2006年に肺手術がおこなわれた
 連続症例をレトロスペクティブに検証した。術後に急性増悪を起こした患者を
 評価した。

結果:
 間質性肺炎で手術を受けた68人の連続症例(男性56人、女性12人)を解析。
 肺癌で切除術を受けた患者が48人(IPF31人、non-IPF17人)で、
 肺生検を受けたのが20人(IPF8m人、NSIP8人、分類不能4人)であった。
 IPFの患者の3人が急性増悪を起こした(2人:切除術、1人:生検)。
 急性増悪のトリガーとして考えられるのが、高濃度酸素による大量換気の
 長期人工呼吸であった。急性増悪時に、HRCT上広汎な間質浸潤が
 非手術部位にまで広がっていた。ステロイド治療を受けたものの
 3人は12~82日後に全員が死亡している。

結論:
 IPF患者における手術において急性増悪には極めて注意する必要がある。
 手術中における人工呼吸管理では、高濃度の酸素投与や長期人工呼吸は
 リスクとなりうる。

by otowelt | 2011-01-15 19:48 | びまん性肺疾患

バレニクリン(チャンピックス)品切れ

たばこ税増税により、バレニクリン(チャンピックス)が品切れになった。
製薬会社も、これは予想できた事態だと思うのだが…。

全ての喫煙者の禁煙に対して、禁煙補助薬であるバレニクリン(チャンピックス)など
が適応になるわけではない。いくら患者が殺到してきたとしても
ニコチン依存の状態ではなく、生活指導で禁煙ができる程度なら
安易に処方すべきではないと考えている。

呼吸器学会から以下の4点が保険適応における禁煙補助薬の適応と提言されている。
1.ただちに禁煙しようと考えていること
2.TDSによりニコチン依存症と診断されていること(TDS5点以上)
3.ブリンクマン指数が200以上
4.禁煙治療を受けることを文書により同意していること

<ファイザー発表>
 ファイザー株式会社(本社:東京都、社長:梅田一郎)が、製造輸入販売しておりますニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙補助薬「チャンピックス(R)錠0.5mg、同錠1mg」(一般名:バレニクリン酒石酸塩)は、本年8月まで毎月約7万人分を供給して参りました。10月からのたばこ税増税等に伴う禁煙意識の高まりにより、禁煙外来を受診される方が増え9月は約17万人分の供給となりました。更に、10月は6日の時点ですでに約8万人分の供給となり、当初の予測をはるかに上回ったため、現在、ご要望に応じたチャンピックス錠の供給ができない状況が発生しております。
 チャンピックス錠による治療を希望される皆様ならびに医療関係者の皆様には、多大なるご迷惑をお掛けすることになりましたことを心よりお詫び申し上げます。
 弊社では、既にチャンピックス錠で治療を始められている患者様の治療継続を最優先と考えております。新たに禁煙治療を希望される患者様については、しばらくの間チャンピックス錠の処方を延期していただくよう、医療機関・薬局ならびに医療関係者の皆様にご協力をお願いしております。併せて当分の間、疾患啓発広告を自粛することとしました。
 弊社では多くの方々の禁煙治療をサポートするために、現在生産量の拡大に全力を注いでおります。来年1月からは新規の患者様への治療を開始できる供給体制を整えられる予定です。

by otowelt | 2010-10-15 06:03 | びまん性肺疾患

BNP上昇あるいは右室機能不全は間質性肺疾患における死亡率上昇に関連

実地臨床において、肺高血圧があるILD患者の予後は
当然ながら不良だろうと思う。

Elevated brain natriuretic peptide predicts mortality in interstitial lung disease
Eur Respir J 2010; 36: 819–825


背景:
 肺血管抵抗の上昇は、間質性肺疾患(ILD)における予後不良に関連する。
 現在、非侵襲的な予後因子としてのサロゲートマーカーはない。
 われわれは、BNPおよびILDにおける超音波検査が予後因子として
 妥当かどうか検証した。

方法:
 ILD患者においてBNPを測定した2005年~2007年の90人を登録した。
 エコーは他の検査結果を隠した状態で循環器科医によって解析された。
 アウトカムはBNPあるいはエコーに対する生存の評価とした。

結果:
 20±9ヵ月のフォローアップで、28人が死亡(31%)。
 BNPはエコーの右心系の評価と関連しており、これは右室収縮期圧(RVSP)
 を含んでいた。 (p=0.0002) しかしながら、左心系機能とは関連していなかった。
 生存できなかった患者は、BNPおよびRVSPレベルが高かった。
 BNP≧20 pmol/L(HR 2.93, 95% CI 1.28–6.73; p=0.01)、
 中等度~重症肺高血圧症(HR 2.53, 95% CI 1.15–5.57; p=0.02)は、
 死亡率上昇と関連していた。BNP≧20 pmol/Lは、BNP<4 pmol/Lの
 患者に比べて14倍の死亡率上昇がみられた。

結論:
 ILDにおけるBNPレベル上昇あるいはエコー上の
 右室機能不全は死亡率上昇を示唆する。

by otowelt | 2010-10-04 23:58 | びまん性肺疾患

塵肺は粉塵曝露がない状態でも初期10年で悪化しうる

INTERNAL MEDICINEから塵肺の論文。
塵肺の論文は多くないので、非常に目を引く。

Progression of Pneumoconiosis in Coal Miners after Cessation of Dust Exposure: A Longitudinal Study Based on Periodic Chest X-ray Examinations in Hokkaido, Japan
Inter Med 49: 1949-1956, 2010


背景:
 炭鉱夫を引退した塵肺患者において、10年以上追跡したスタディは日本にはない。

方法:
 レトロスペクティブに1091人のレントゲンによる塵肺診断の患者を
 1985年から2005年まで北海道で調べた。

結果:
 10年間207人(19%)が、20年間85人(8%) が登録できた。
 207人のうち62%、85人のうち29%がその間に塵肺の進行を認めた
 ILOカテゴリー1の31%、カテゴリー2の55%が10年間に複雑性の塵肺へ
 進展し、カテゴリー1および2の6%が20年間に同様の経過をたどった。

結論:
 塵肺は粉塵曝露がない状態でも初期10年で悪化しうる。

by otowelt | 2010-09-15 09:29 | びまん性肺疾患