カテゴリ:びまん性肺疾患( 277 )

進行IPFに対する腹腔鏡下逆流防止術は有効か

e0156318_943137.jpg 侵襲性の割に、IPFに対するインパクトはなさそうです。

Ganesh Raghu, et al.
Laparoscopic anti-reflux surgery for idiopathic pulmonary fibrosis at a single centre
European Respiratory Journal 2016; DOI: 10.1183/13993003.00488-2016


目的:
 腹腔鏡下逆流防止術(laparoscopic antireflux surgery:LARS)がIPF患者の疾患進行を抑制することと関連するかどうか調べる。

方法:
 この研究は、胃食道逆流の治療に対する制酸剤の投与にもかかわらず、症状と呼吸機能の増悪がみられるIPF患者を対象とした後ろ向き単施設研究である。LARSを2009年9月から2012年12月に受けた患者を登録した。プライマリエンドポイントは、手術前後の%努力性肺活量の変化とした。

結果:
 進行性IPF患者27人がLARSを受けた。外科手術時、平均年齢は65歳で、平均%努力性肺活量は71.7%だった。回帰モデルを用いると、外科手術による%努力性肺活量の年間変化は5.7%(95%信頼区間-0.9~12.2%、p=0.088)、努力性肺活量変化は0.22L(95%信頼区間-0.06~0.49L、p=0.12)だった。平均DeMeesterスコアは42から4へ減少した(p<0.01)。外科手術後90日の死亡はなかった、また81.5%の被験者が手術後2年生存した。

結論:
 IPF患者はLARSに忍容性がある。統計学的に有意な努力性肺活量変化は1年では観察されなかった。現在進行している前向き研究で、IPFにおけるLARSの安全性と効果についてさらなる知見が得られるだろう。


by otowelt | 2016-09-21 00:17 | びまん性肺疾患

周術期ピレスパ®は肺癌手術後のIPF急性増悪を抑制

e0156318_7464618.jpg 若手医師の間では結構話題になっています。

Iwata T, et al.
Effect of Perioperative Pirfenidone Treatment in Lung Cancer Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Ann Thorac Surg. 2016 Aug 18. pii: S0003-4975(16)30601-4.


背景:
 IPF急性増悪は、IPF合併肺癌の手術において致死的であり、その効果的な予防は報告されていない。この研究では、周術期にIPF治療薬を用いることで急性増悪のリスクを減らす効果があるか検証した。

方法:
 2006年10月~2014年10月の間に、当施設で手術を受けたIPF合併肺癌患者連続50人を登録した。2009年9月以降、ピルフェニドンは肺癌手術前後4週間経口投与された。31人の患者が周術期ピルフェニドン治療群に登録され、周術期にピルフェニドン治療を受けていない19人と後ろ向きに比較した。

結果:
 ピルフェニドン群と非ピルフェニドン群の間で、年齢、喫煙歴、性別、肺活量、KL-6、術手技、リスクスコアに差はみられなかった。IPF急性増悪は術後30日以内で、ピルフェニドン群0.0%、非ピルフェニドン群10.5%だった(p=0.07)。また90日以内ではそれぞれ3.2%、21.1%だった(p=0.04)。ロジスティック回帰では、周術期ピルフェニドン治療とIPF急性増悪に有意な関連がみられた(術後30日以内:p=0.045、術後90日以内:p=0.04)。

結論:
 IPF合併肺癌において、ピルフェニドンの周術期投与は術後IPF急性増悪を予防する効果があるかもしれない。さらなる前向き研究が望まれる。


by otowelt | 2016-09-13 00:36 | びまん性肺疾患

慢性好酸球性肺炎では診断時の非喫煙が再発リスクを低下

e0156318_14453011.jpg 埼玉県立循環器・呼吸器病センターからの報告です。CEPの論文は数が少なく、非常に貴重な報告だと思います。この論文を読むと、CEP再発の“鬼門”がプレドニゾロン5mg近辺にあるのは、実臨床とマッチしているのでウンウンとうなずいてしまいました。

Ishiguro T, et al.
The Long-term Clinical Course of Chronic Eosinophilic Pneumonia.
Intern Med. 2016;55(17):2373-7.


目的:
 慢性好酸球性肺炎(CEP)の長期的な臨床経過と予後、再発予測因子については詳細に検証されていない。この研究の目的は、これらについて調べることである。

方法:
 後ろ向きに73人のCEP患者の再発率と予後について調べた。

結果:
 全身性ステロイドは1日あたり29.4±7.6mg投与されていた。1939日の追跡期間中央値において、27人(37%)にCEP再発をきたした。2人がステロイドによる糖尿病、1人が肺非結核性抗酸菌症を発症した。5人が死亡したが、CEPによるものではなかった。診断時に喫煙していることは、CEP再発リスクを下げる独立予測因子だった(ハザード比0.37, 05%信頼区間0.14-0.98)。

結論:
 CEP患者は頻繁に再発する。追跡期間の中で、長期ステロイドによる代謝内分泌的および感染性の合併症がみられた。診断時に喫煙していないことでCEP再発リスクが減少した。

Discussion:
 なぜ診断時に喫煙していることでCEP再発が少なかったのか?:1つの説明としては、煙の分布が肺の好酸球浸潤の維持にはたらいた可能性がある。Botelhoらのチリダニ(House dust mite)とたばこの煙を吸わせたマウスの研究で、たばこの煙の追加によって気管支肺胞洗浄液中の好酸球数が減ったと報告している(Am J Respir Cell Mol Biol. 2011 Oct;45(4):753-60.)。


by otowelt | 2016-09-09 14:26 | びまん性肺疾患

特発性NSIP患者の膠原病発症は予測困難

e0156318_16214955.jpg 目の前のNSIP患者さんが、将来膠原病を発症する“肺病変先行型”の症例なのかどうか予測する方法があればよいですね。

Kono M, et al.
Nonspecific interstitial pneumonia preceding diagnosis of collagen vascular disease.
Respir Med. 2016 Aug;117:40-7.


背景:
 この研究の目的は、NSIPと診断された患者がその後膠原病を発症する頻度と臨床的特徴を調べることである。

方法:
 外科的肺生検によってNSIPと診断された72人の患者を連続して登録した後ろ向き研究である(特発性NSIP:35人、膠原病関連NSIP:37人)。特発性NSIP診断後6ヶ月以内にACR基準を満たした患者はいなかった。

結果:
 特発性NSIPと診断された35人のうち、6人(17.1%)の患者がフォローアップ期間(5.5±5.0年)の間に膠原病を発症した。そのうち、3人が皮膚筋炎、2人がオーバーラップ症候群、1人が関節リウマチであった。膠原病診断までの平均期間は2年(6ヶ月~3.5年)だった。膠原病診断前NSIP同定患者、特発性NSIP患者、膠原病関連NSIP患者における臨床的特徴と生存期間には有意な差はなかった。加えて、初期診断時、膠原病診断前NSIP同定患者と特発性NSIP患者の間にIPAF (interstitial pneumonia with autoimmune features)のような基準を満たす頻度に差はみられなかった。

結論:
 特発性NSIP患者において膠原病の発症を予測することは困難であり注意深く観察する必要がある。


by otowelt | 2016-08-23 00:39 | びまん性肺疾患

possible UIP/inconsistent with UIPパターンを有する非IPF間質性肺炎の急性増悪の頻度と予後

e0156318_12303248.jpg 当院からの報告です。第三者的な目で読んでも貴重な知見であるため記載させていただきます。

Arai T, et al.
Heterogeneity of incidence and outcome of acute exacerbation in idiopathic interstitial pneumonia.
Respirology. 2016 Jul 26. doi: 10.1111/resp.12862. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 IPF急性増悪および他の間質性肺炎(IIP)の急性増悪は予後不良である。この研究の目的は、IPFおよび他のIIPの急性増悪の頻度と予後を同定することである。

方法:
 合計229人の患者が登録され、92人がIPF、137人がIPF以外のIIPであった(ATS/ERS/JRS/ALAT基準2011年ガイドラインに準拠)。IPF以外のIIPには、外科的肺生検で診断がついた11人が含まれていた。また、IPF以外のIIPには、胸部HRCTでpossible UIPパターンを示した75人およびinconsistent with UIPをパターンを示した62人が含まれていた。急性増悪の予測および増悪後の予後について調べた。

結果:
 IPFの年間発生は、IPFで16.5%、possible UIPのあるIIPで8.9%、inconsistent with UIPのあるIIPで4.0%だった。BMI、修正MRCスコア、%努力性肺活量で補正すると、IPFはpossible UIPおよびinconsistent with UIPのあるUIPよりも急性増悪の頻度が高かった。胸部HRCTにおけるpossible UIPを有するIIP急性増悪は、IPF急性増悪より予後不良だった。

結論:
 胸部HRCTにおいてpossible UIPおよびinconsistent with UIPパターンを有するIIPの急性増悪は、IPF急性増悪よりも頻度が低かった。また、possible UIPパターンを有するIIPの急性増悪の予後は、IPF急性増悪よりも不良かもしれない。


by otowelt | 2016-08-15 00:54 | びまん性肺疾患

INPULSIS試験サブグループ解析:ニンテダニブの効果は人種に影響されない

e0156318_7331272.jpg INPULSIS試験のサブグループ解析です。

Taniguchi H, et al.
Subgroup analysis of Asian patients in the INPULSIS® trials of nintedanib in idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2016 Jul 11. doi: 10.1111/resp.12852. [Epub ahead of print]



背景および目的:
 IPFに対するニンテダニブの有効性を評価したINPULSIS試験において、ニンテダニブ150mg1日2回はプラセボと比較した努力性肺活量の減少を有意に抑制することができた。セカンダリエンドポイントは、52週の試験期間における研究者報告の初回急性増悪までの期間およびSGRQスコアのベースラインからの変化であった。われわれはアジア人患者におけるニンテダニブの効果を調べた。

方法:
 INPULSIS試験事前に規定されたサブグループ解析で、アジア人と白人のニンテダニブの効果を比較した。安全性データが解析された。

結果:
 INPULSIS試験において、322人がアジア人であった(ニンテダニブ群:194人、プラセボ群:128人)。608人が白人であった(ニンテダニブ群:360人、プラセボ群:248人)。アジア人において、ニンテダニブのプラセボと比較した努力性肺活量の年減少は94.1mL/年(95%信頼区間33.7-154.6mL)だった。アジア人と白人のニンテダニブによる努力性肺活量の減少抑制効果は同等であった(treatment-by-subgroup interaction P = 0.72)。アジア人患者において、もっともよくみられた有害事象は下痢であった(56.2%)。

結論:
 事前に規定されたアジア人と白人のIPFサブグループの比較では、人種はニンテダニブの効果に影響を与えなかった。


by otowelt | 2016-07-26 00:27 | びまん性肺疾患

症例報告:ピルフェニドンによる好酸球性肺炎

e0156318_2331765.jpg ピルフェニドンによる好酸球性肺炎は、これが最初の報告のようです。ERJに掲載されるほどのインパクトなのかな?

Diana C. Gomez, et al.
Eosinophilic pneumonia associated with pirfenidone therapy
European Respiratory Journal 2016; DOI: 10.1183/13993003.00809-2016


概要:
 78歳の白人男性。3年前にガイドラインに準じてIPFと診断された。胸部CTではUIPパターンがみられ、他の間質性肺疾患は考えにくかった。ピルフェニドンを開始してから5週間後に、進行性の労作時呼吸困難がみられ、その2週間後にクリニックを訪れた。発熱や喀痰はみられなかった。他の内服薬剤として、シンバスタチンとパントプラゾールがあった(以前から内服しているもの)。彼は喫煙をしておらず、処方薬剤以外の吸入・濫用もなかった。
 診察所見では、両肺底部にcoarse cracklesが聴取され、肺機能検査では努力性肺活量・1秒量・DLCOが極端に低下していた。血液検査では好酸球増多がある以外、おおむね正常だった。胸部CTでは、肺塞栓の所見はなく、多発性に斑状のスリガラス影が下葉にみられ、UIPパターンに上乗せされた所見だった。気管支肺胞洗浄液の好酸球は22%と上昇していた。微生物学的検査は陰性だった。
 好酸球性肺炎の診断のもとピルフェニドンが中止され、プレドニゾロン40mg/日が開始された。すみやかに病状は改善した。


by otowelt | 2016-07-22 22:09 | びまん性肺疾患

IPFと咳嗽

e0156318_13274932.jpg IPFは初診時であっても、長年咳嗽に苦しめられた患者さんが多いです1)。IPFの患者さんの70~85%が年単位の慢性咳嗽を有しているとされています2)。IPF患者さんの咳嗽を24時間記録した珍しい研究があります。これによれば1時間あたり平均9.4回の咳嗽を発していたとされています3)。ええっと、だいたい6分に1回くらいでしょうか。最もひどい患者さんでは1時間あたり39.4回という例もあったそうです。まさに、起きている間ずっと咳き込んでいる状態ですね・・・。

 IPFの咳嗽は、日中に多く夜間に少ないという特徴があります(図)。GERDやSBSと違って、安静臥床時はかなり落ち着いていることが多いです。しかし、他の慢性咳嗽疾患と比べて、非常にしつこく強いものです。中枢気道に腫瘍が顔を出している悪性腫瘍のように、咳嗽は強い。そのため、経年的にQOLはどんどん損なわれ、体重も徐々に落ちていきます。
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図. IPFの咳嗽3)(文献より引用)

 IPFの患者さんでは、カプサイシンによる化学的刺激(図)や胸壁振動による物理的刺激のいずれによっても咳感受性が強いことがわかっています4),5)。多くの咳嗽診療医も、きわめて咳が出やすい呼吸器疾患であることを認めています。
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図. IPF患者とコントロール患者のカプサイシンによる咳感受性4)(文献より引用)

 残念ながら、IPFによる慢性咳嗽を治療する有用な鎮咳薬はありません。唯一ランダム化比較試験が報告されているのは、サリドマイドです6)。「なぜにサリドマイド!?」とお思いの方もいるかもしれませんが、サリドマイドは強力な免疫調節薬で、抗炎症作用や抗血管新生作用を持ちます。この研究では、プラセボと比較してCQLQスコアを改善したとされています(プラセボとの平均差-11.4点[95%信頼区間-15.7~-7.0]、p<0.001)。また、VASに評価した咳嗽の重症度も有意に軽減させました。サリドマイドと聞くとなんだか副作用が多そうなイメージがありますが、非常に軽いものがほとんどです。便秘やめまいが有意に多かったそうです。
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IPFの咳嗽に対するサリドマイドの効果6)(文献より引用)

 他にもインターフェロンαやプレドニゾロンといった薬剤が効果的とする報告もありますが4),7)、前者はコマーシャルベースで薬剤が出回っていませんし、後者はそもそもIPFへの投与がもはや推奨されていません。

 もっぱらIPFに使用されているピルフェニドン(ピレスパ®)やニンテダニブ(オフェブ®)は努力性肺活量の低下を抑制する効果はありますが、咳嗽症状を軽減する効果はさほどないと考えられています。しかし、高用量ピルフェニドン(1800mg/日)を内服している患者さんでは、咳嗽の安定化が得られたという報告があるので、もしかすると幾ばくかの効果があるのかもしれません(図)8)
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図. IPFに対する高用量ピルフェニドンの咳嗽スコアへの影響8)(文献より引用)

 なお、IPFと逆流性食道炎(GERD)には深い関連性があることが知られており、IPFの増悪にはGERDが大きく関与しているのではないかと考える研究者もいます。ただし、GERDに対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)治療をおこなってもIPFの病態は改善せず、むしろ感染リスクを増加させるだけだと考えられています。そのため、現時点ではIPFに対するPPI使用は推奨されません9)


(参考文献)
1) Vigeland CL, et al. Cough in idiopathic pulmonary fibrosis: more than just a nuisance. Lancet Respir Med. 2016 Jun 23. pii: S2213-2600(16)30150-3. doi: 10.1016/S2213-2600(16)30150-3. [Epub ahead of print]
2) Crystal RG, et al. Idiopathic pulmonary fibrosis. Clinical, histologic, radiographic, physiologic, scintigraphic, cytologic, and biochemical aspects. Ann Intern Med. 1976 Dec;85(6):769-88.
3) Key AL, et al. Objective cough frequency in Idiopathic Pulmonary Fibrosis. Cough. 2010 Jun 21;6:4.
4) Hope-Gill BD, et al. A study of the cough reflex in idiopathic pulmonary fibrosis. Am J Respir Crit Care Med. 2003 Oct 15;168(8):995-1002.
5) Jones RM, et al. Mechanical induction of cough in Idiopathic Pulmonary Fibrosis. Cough. 2011 Apr 10;7:2.
6) Horton MR, et al. Thalidomide for the treatment of cough in idiopathic pulmonary fibrosis: a randomized trial. Ann Intern Med. 2012 Sep 18;157(6):398-406.
7) Lutherer LO, et al. Low-dose oral interferon α possibly retards the progression of idiopathic pulmonary fibrosis and alleviates associated cough in some patients. Thorax. 2011 May;66(5):446-7.
8) Azuma A, et al. Exploratory analysis of a phase III trial of pirfenidone identifies a subpopulation of patients with idiopathic pulmonary fibrosis as benefiting from treatment. Respir Res. 2011 Oct 28;12:143.
9) Kreuter M, et al. Antacid therapy and disease outcomes in idiopathic pulmonary fibrosis: a pooled analysis. Lancet Respir Med. 2016 May;4(5):381-9.


by otowelt | 2016-07-13 00:54 | びまん性肺疾患

IPFにおいて縦隔気腫の発症は死亡予測因子である

e0156318_7331272.jpg 私も何度かIPFに縦隔気腫を合併した患者さんを診たことがあります。多くが呼吸不全をすでに合併している進行したIPFでした。

Colombi D, et al.
Spontaneous Pneumomediastinum as a Potential Predictor of Mortality in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Respiration. 2016 Jun 28. [Epub ahead of print]


背景:
 特発性肺線維症(IPF)患者において自然縦隔気腫(PM)はまれなイベントである。

目的:
 IPF患者コホートにおけるPMの頻度と予後インパクトを調べること。

方法:
 IPF患者182人を登録し、胸部CTで同定されたPM症例を後ろ向きに診療録および放射線記録から抽出した(2006年8月~2013年7月)。PM-IPF患者と非PM-IPF患者を比較し、生存について解析した。

結果:
 182人のIPF患者のうち9人がPMを有していた(5%:6人が男性、年齢中央値63歳、%肺活量中央値53%)。IPF診断からPM発症までの期間の中央値は3ヶ月だった(IQR: 0-33)。コントロールグループとして36人の非PM-IPF患者が登録された(28人が男性、年齢中央値69歳、%肺活量57%)。多変量Cox回帰分析において、PMは有意な死亡の予測因子であった(ハザード比3.0; p = 0.032)。IPF診断時にPMがあった患者4人のみをみてみると、PMは強い死亡予測因子であることがわかった(ハザード比6.4; p = 0.007)。

結論:
 IPF患者において、自然縦隔気腫はまれではあるが重篤な合併症である。またこれは、潜在的な死亡予測因子である。


by otowelt | 2016-07-12 00:15 | びまん性肺疾患

INPULSIS試験事後解析:possible UIPに対するニンテダニブの有効性評価

e0156318_12303248.jpg AJRCCMから、言わずと知れたRaghu先生の論文です。inconsistent with UIPがなく、蜂巣肺あるいは外科的肺生検がないIPF患者は、必然的にpossible UIPという位置づけです。

Ganesh Raghu, et al.
Effect of Nintedanib in Subgroups of Idiopathic Pulmonary Fibrosis by Diagnostic Criteria
Am J Respir Crit Care Med. First published online 22 Jun 2016 as DOI: 10.1164/rccm.201602-0402OC


背景:
 外科的肺生検がなくとも、臨床的にIPFと診断された患者は胸部HRCTで蜂巣肺あるいは牽引性気管支拡張症+網状影があればINPULSIS試験に登録することができた。そのため、これらの試験に参加した患者はdefinite UIP患者およびpossible UIPの大規模なサブグループ患者といえる。

目的:
 われわれは、診断サブグループがIPF進行に与える影響を調べ、ニンテダニブの効果を調べた。

方法:
 INPULSIS試験のデータを用いて、胸部HRCTで蜂巣肺がある患者または生検でUIP診断が得られたIPF患者(definite UIP)と、それら2つの所見がないIPF患者(possible UIP)を比較した事後解析である。

結果:
 723人(68.1%)が蜂巣肺あるいは生検でIPFと診断された患者(definite UIP)、338人(31.9%)が蜂巣肺も生検もなくIPFと診断された患者であった(possible UIP)。これらのサブグループでは、補正年間努力性肺活量減少率はプラセボでそれぞれ-225.7mL/年、-221.0mL/年であった。ニンテダニブとプラセボの間の年間減少率の差はそれぞれ117.0mL/年(95%信頼区間76.3-157.8)、98.9mL/年(95%信頼区間36.4-161.5)であった。サブグループによる治療効果に差はみられなかった。サブグループによる治療交互作用はみられなかった(p=0.8139)。有害事象は両群同等であった。

結論:
 臨床プラクティスでIPFと診断された、胸部HRCTで牽引性気管支拡張症を伴う外科的肺生検を受けていないpossible UIP患者は、胸部HRCTで蜂巣肺があり外科的肺生検によってIPFの診断を受けたdefinite UIP患者と同様の進行を遂げ、同様のニンテダニブの効果を有する。


by otowelt | 2016-07-06 00:25 | びまん性肺疾患