カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 470 )

CheckMate017試験・057試験:ニボルマブとドセタキセルの長期比較

e0156318_8501268.jpg ドセタキセルは長期には投与できませんからね。

Horn L, et al.
Nivolumab Versus Docetaxel in Previously Treated Patients With Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: Two-Year Outcomes From Two Randomized, Open-Label, Phase III Trials (CheckMate 017 and CheckMate 057).
J Clin Oncol. 2017 Oct 12:JCO2017743062. doi: 10.1200/JCO.2017.74.3062.


目的:
 PD-1阻害剤であるニボルマブは治療歴のある非小細胞肺癌(NSCLC)における独立した2つの第3相試験(CheckMate 017; ClinicalTrials.gov identifier: NCT01642004、CheckMate 057; ClinicalTrials.gov identifier: NCT01673867)でドセタキセルと比較して全生存期間を延長させた。その後の追跡結果を今回報告し、2研究のプール解析をおこなった。

方法:
 プラチナ併用化学療法中または治療後に病勢進行した病期IIIB/IVの扁平上皮NSCLC患者(272人)または非扁平上皮NSCLC患者(582人)を1:1でランダムにニボルマブ(3 mg/kg 2週ごと)とドセタキセル(75 mg/m2 3週ごと)に割り当てた。生存観察のための最小観察期間は24.2ヶ月。

結果:
 2年全生存率は扁平上皮NSCLC患者でニボルマブで23%(95%信頼区間16-30%)、ドセタキセルで8%(95%信頼区間4-13%)、非扁平上皮NSCLC患者でニボルマブで29%(95%信頼区間24-34%)、ドセタキセルで16%(95%信頼区間12-20%)だった。ニボルマブによる死亡リスクの相対的な減少は一次解析で報告されたものと同様。持続的効果が確認された扁平上皮NSCLC患者27人中10人(37%)、非扁平上皮NSCLC患者56人中19人で、少なくとも2年の観察後にも効果が持続していた。ドセタキセルでは持続的効果がみられなかった。プール解析では、ドセタキセルに対するニボルマブの死亡リスクの相対的減少は28%(ハザード比0.72、95%信頼区間0.62-0.84)だった。治療関連有害事象は、ニボルマブの方がドセタキセルよりも少なかった(全グレード:68% vs 88%、グレード3-4:10% vs 55%)。
e0156318_17181341.jpg
(文献より引用)

結論:
 既治療の進行NSCLCにおいて、ニボルマブはドセタキセルと比べ長期の臨床的利益をもたらし、忍容性プロファイルは良好であった。


by otowelt | 2017-11-09 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

腺癌から小細胞癌へ形質転換するメカニズムにRB1とTP53がカギに

e0156318_1164629.jpg  私も壮絶な1例を経験しているので、形質転換についてはかなり興味があります。

Lee JK et al.
Clonal History and Genetic Predictors of Transformation Into Small-Cell Carcinomas From Lung Adenocarcinomas.
J Clin Oncol. 2017 Sep 10;35(26):3065-3074.


目的:
 EGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌が小細胞肺癌へ形質転換することがあり、EGFR-TKIによる耐性化の主な機序の一つと考えられてきた。しかしながらこの分子病理学的機序についてはよく分かっていない。

方法:
 本研究では、21人のEGFR-TKIに耐性化し小細胞肺癌へと変化したものを登録した。これらから、時期を変えた9腫瘍の全ゲノムシークエンスを行い、クローン進化プロセスを再構成し、小細胞肺癌に到達する遺伝学的な予測因子を同定した。さらに得られた結果を合計210の肺癌組織で確認した。

結果:
 EGFR-TKI耐性の肺腺癌と小細胞肺癌では、共通のクローン原生と進化分岐を有していた。肺腺癌からの小細胞肺癌への先駆細胞のクローン多様性はTKI投与以前より存在し、早期の肺腺癌の時点でRB1とTP53の完全な不活性化を示していた。TKIを投与された75人の早期肺腺癌の組織で免疫染色をおこない、さらなる検討を行った。その結果。Rbとp53の不活性化は、小細胞肺癌に変化した群とそうでない群とでは有意に異なるプロパティだった(82% vs 3%、オッズ比131[19.9-859])。EGFR変異を持つ肺腺癌で、完全にRbとp53が不活性化されていた場合、小細胞肺癌に形質転換するリスクは43倍だった。

結論:
 EGFR-TKI抵抗性小細胞肺癌は肺腺癌のクローンから早期から枝分かれし、RB1とTP53の完全な不活性化を伴っていることがわかった。RB1とTP53の発現を調べることが、肺腺癌の小細胞肺癌への形質転換を予測する情報になるかもしれない。


by otowelt | 2017-10-20 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

ニボルマブによる非典型的反応

Cristiano Rampinelli, et al.
Lung Tissue Injury as Atypical Response to Nivolumab in NSCLC
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Sep 14.


概要:
 セカンドラインとしてニボルマブを投与された病期IVの非小細胞肺癌の男性。著明に腫瘍は縮小したが、腫瘍があった部位にブラ様のシルエットのみが残った。
 異なる肺組織におけるPD-L2とRGMドメインファミリーB(RGMb)との関連性が示唆されるが、詳細は不明である(J Exp Med. 2014; 211:943–959.)。

e0156318_112871.jpg
(文献より引用:Figure1)


by otowelt | 2017-09-27 00:24 | 肺癌・その他腫瘍

BRAIN試験:イコチニブは、脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の治療に有用

e0156318_1164629.jpg すでによく知られた内容ですが、もう一度読みました。

Yang JJ, et al.
Icotinib versus whole-brain irradiation in patients with EGFR-mutant non-small-cell lung cancer and multiple brain metastases (BRAIN): a multicentre, phase 3, open-label, parallel, randomised controlled trial.
Lancet Respir Med. 2017 Sep;5(9):707-716. doi: 10.1016/S2213-2600(17)30262-X. Epub 2017 Jul 19.


背景:
 多発性脳転移を有する非小細胞肺癌の患者において、全脳照射は標準治療に位置づけられているが、認知機能障害の問題がある。われわれは、EGFR-TKIであるイコチニブを全脳照射と比較した第3相試験を計画した(BRAIN試験)。

方法:
 適格基準となったのは、EGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCで、EGFR-TKIによる治療歴のない、脳転移を有する患者。脳転移は画像所見で3つ以上確認されていることとした。
 イコチニブ125mgを1日3回経口投与する群(イコチニブ群)と、全脳照射(30Gy/3Gy/10Fr)+化学療法(併時・遂時)4~6サイクル行う群(全脳照射+化学療法群)に、ランダムに1:1で割り付けた。イコチニブは病勢進行があるまで投与し、有用と判断された場合には進行後も同薬の継続を可能とした。また、全脳照射+化学療法からイコチニブへのクロスオーバーも容認した。 
 プライマリアウトカムは、頭蓋内無増悪生存期間(intracranial PFS)で、セカンダリアウトカムとして通常PFS、頭蓋内奏効率、全生存期間、安全性・忍容性を設定した。

結果:
 2012年12月から2015年6月までに176人がランダム化され、イコチニブ群85人、全脳照射+化学療法群91人となった。実際に治療を導入されたのはそれぞれ85人、73人だった。患者背景は両群でバランスがとれていた。exon 19の欠失変異がある患者はぞれぞれ52.9%、65.8%、症候性脳転移の頻度はそれぞれ15.3%と17.8%だった。
 プライマリアウトカムである頭蓋内PFSは、イコチニブ群で有意に良好であった(10.0ヶ月 vs 4.8ヶ月、ハザード比0.56、95%信頼区間:0.36-0.90、p=0.014)。6ヶ月時の頭蓋内無増悪生存率は、イコチニブ群72.0%、全脳照射+化学療法群48.0%だった。12ヶ月時はそれぞれ47.0%、43.0%だった。
 通常PFSもイコチニブ群のほうが有意に良好であった(ハザード比0.44、95%信頼区間:0.31-0.63、p<0.001)。6ヶ月時の無増悪生存率は、それぞれ55.9%、22.0%、12ヶ月時はそれぞれ19.0%、9.0%だった。
 全生存期間に有意差はみられなかった(ハザード比0.93、95%信頼区間:0.60-1.44、p=0.734)。
 頭蓋内奏効率は、イコチニブ群67.1%、全脳照射+化学療法群40.9%だった(p<0.001)。
 グレード3以上の有害事象は、イコチニブ群よりも全脳照射+化学療法群の方が有意に多かった(8.2% vs 38.3%)。

結論:
 イコチニブは、脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の治療において全脳照射+化学療法より頭蓋内PFSを延長する。同集団において治療選択肢となるだろう。


by otowelt | 2017-09-14 00:47 | 肺癌・その他腫瘍

アファチニブの髄液移行率は想定より高い?

e0156318_1164629.jpg 当院の田宮医師の報告です。exon19欠失のセルラインでアファチニブのIC50はかなり低かったように記憶しています。髄液移行率が想定よりも高いということは脳転移にかなり有効と考えてよさそうです。

Tamiya A, et al.
Cerebrospinal Fluid Penetration Rate and Efficacy of Afatinib in Patients with EGFR Mutation-positive Non-small Cell Lung Cancer with Leptomeningeal Carcinomatosis: A Multicenter Prospective Study.
Anticancer Res. 2017 Aug;37(8):4177-4182.


背景:
 アファチニブはEGFR陽性NSCLCに対する初回治療として効果的である。しかしながら、中枢神経系に転移のある患者の効果に対して、脳脊髄液(CSF)移行性を論じた報告は極めて少ない。そこでわれわれは、多施設共同で、EGFR陽性NSCLCで髄膜腫症をきたした患者においてアファチニブのCSF移行率と有効性を前向きに評価した。

患者および方法:
 癌性髄膜腫症を併発したEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者11人を登録した(2014年4月~2015年11月)。患者はアファチニブ(40mg/day)で治療されており、血液およびCSFのアファチニブレベルがday8に解析された。プライマリエンドポイントはCSF移行率とした。セカンダリエンドポイントは客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)とした。

結果:
 年齢中央値は66歳だった。5人の患者がexon19欠失を有しており、3人はL858Rの点突然変異が陽性で、3人はuncommon exon18変異がみられた。アファチニブの血中およびCSFレベル(平均±標準偏差)は、それぞれ233.26±195.40 nM、3.16±1.95 nMだった。CSF移行率は2.45±2.91%だった。ORRは27.3%(11人中3人)、そのレスポンダーのうち2人がuncommon EGFR遺伝子変異を有していた。PFS中央値およびOS中央値は2.0ヶ月、3.8ヶ月だった。

結論:
 アファチニブのCSF移行率は過去に報告されているよりも高かった。アファチニブはuncommon EGFR遺伝子変異を有するNSCLCの癌性髄膜腫症に有効だった。


by otowelt | 2017-08-31 00:46 | 肺癌・その他腫瘍

免疫チェックポイント阻害剤による間質性肺疾患の発症率は3.5%

e0156318_8124310.jpg 3~4%に発症し、10人に1人が死亡すると考えてよさそうです。
 PD-1阻害剤のほうがPD-L1阻害剤よりもILDの頻度は高いと考えられています。

参考:PD-1阻害薬はPD-L1阻害薬と比較して肺炎の頻度が高い

 ちなみに、抗CTLA4抗体併用例も含めた報告だと、免疫チェックポイント阻害剤によるILDは4.7%と報告されています。前向きの臨床試験では、有名なCheckMate試験シリーズで4.6~5.9%と報告されています。

Delaunay M, et al.
Immune-checkpoint inhibitors associated with interstitial lung disease in cancer patients.
Eur Respir J. 2017 Aug 10;50(2). pii: 1700050.


概要:
 主にPD-1阻害剤の免疫チェックポイント阻害剤を用いた後ろ向きのデータで、間質性肺疾患(ILD)を発症したケースをまとめた報告。
 投与された癌患者1826人中64人(3.5%)にILDを発症した。ILDを発症した患者は、男性、既~現喫煙者が多く、年齢中央値は59歳だった。ILDの重症度は、grade 2/3が65.6%、grade 4が9.4%、致死的なものが9.4%だった。免疫療法開始からILD発症までの中央期間は2.3ヶ月(0.2-27.4ヶ月)だった。悪性黒色腫と比較すると肺癌患者では発症が早かった(2.1ヶ月 vs 5.2ヶ月、p=0.02)。GGOがもっともよくみられた所見で(81.3%)、次にコンソリデーションが多かった(51.3%)。器質化肺炎パターン(23.4%)、過敏性肺炎パターン(15.6%)もよくみられた。6ヶ月生存率は58.1%だった(95%信頼区間37.7-73.8%)。



by otowelt | 2017-08-30 00:07 | 肺癌・その他腫瘍

EGFR野生型NSCLCの二次治療はEGFR-TKIよりも化学療法の方が良い

e0156318_8124310.jpg 1~3次治療の場合分けが難しくなってきました。

Tomasini P, et al.
EGFR tyrosine kinase inhibitors versus chemotherapy in EGFR wild-type pre-treated advanced nonsmall cell lung cancer in daily practice.
Eur Respir J. 2017 Aug 10;50(2). pii: 1700514.


背景:
 EGFR-TKIはEGFR野生型の非小細胞肺癌(NSCLC)の二次治療に適用される。しかしながら、EGFR-TKIと化学療法を比較したランダム化比較試験では、EGFR-TKIの生存的な利益は報告されていない。免疫治療の時代に入り、多くの薬剤がEGFR野生型NSCLCの二次治療に適用されるようになった。そのため、こうしたフェーズでのEGFR-TKIの位置付けを明らかにしておく必要がある。

方法:
 EGFR遺伝子変異の有無を調べたNSCLC患者のフランス国内大規模コホートデータを用いて、われわれはEGFR野生型NSCLC患者のうちEGFR-TKIあるいは化学療法を二次治療として受けたものを対象にアウトカムを調べた。

結果:
 1278人のうち、868人が化学療法を受け、410人がEGFR-TKI治療を受けた。全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の中央値はEGFR-TKIより化学療法群の方が有意に長かった。具体的には、OSが8.38ヶ月 vs 4.99ヶ月(ハザード比0.70、95%信頼区間0.59-0.83、p<0.0001)、PFSが4.30ヶ月 vs 2.83ヶ月(ハザード比、0.66、95%信頼区間0.57-0.77, p<0.0001)だった。

結論: 
 EGFR野生型NSCLCに対して複数ラインの治療を行う上で、この研究は役立つだろう。免疫治療の有効性が二次治療で示されているため、おそらく3次治療では、EGFR-TKIよりも化学療法の方が優れていると考えられる。


by otowelt | 2017-08-29 00:11 | 肺癌・その他腫瘍

診断から手術までの期間が長いと扁平上皮肺癌の生存アウトカムが悪化

e0156318_8124310.jpg 喫煙している患者さんはある程度の期間禁煙してもらってから手術することが多いですね。

Chi-Fu Jeffrey Yang, et al.
Impact of Timing of Lobectomy on Survival for Clinical Stage IA Lung Squamous Cell Carcinoma
Chest, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2017.07.032


背景:
 肺癌の診断から手術までの期間と生存の関連についてはこれまで検討されたことはなく、ガイドラインにも早期肺癌における臨床的に意義のある遅延についての記述はみられない。この研究は、診断から肺葉切除までの期間が長いほど病期IAの扁平上皮肺癌の生存アウトカムが不良になるという仮説を調べたものである。

方法:
 肺葉切除の時期と生存との関連性を、国立癌データベース(2006年~2011年)に登録された病期IAの扁平上皮肺癌患者のデータを用いて、多変量Cox比例ハザード分析および制限3次スプラインによってアセスメントした。

結果:
 登録基準を満たした4984人の5年全生存期間は58.3%だった(95%信頼区間56.3-60.2%)。外科手術は診断から30日以内に行われたのが1811人(36%)で、手術までの日数の中央値は38日だった(IQR23-58)。多変量解析では、診断から38日よりも遅く手術された患者は有意に5年生存率が低かった(38日より早く手術された患者と比較:ハザード比1.13、95%信頼区間1.02-1.25)。多変量制限3次スプライン解析では、統計学的に有意な生存アウトカム不良につながったのは90日以上という結果だった。
e0156318_10344287.jpg
(文献より引用:Figure3c:全コホート)

結論:
 早期扁平上皮肺癌において、診断から外科手術までの期間が長くなると、生存アウトカムの不良を招く。この知見に、手術のタイミング以外の因子が寄与した可能性は否定できないが、術前評価から手術までの期間を最小限にする努力は必要であろう。


by otowelt | 2017-08-23 00:19 | 肺癌・その他腫瘍

制酸剤を併用してもEGFR-TKIに影響は少ない

e0156318_1164629.jpg この報告では半数以上がPPIです。

小林 紘ら
EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌におけるEGFR-TKIと制酸剤併用の検討
肺癌 57 (3):190─195,2017


目的:
 Epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor(EGFR-TKI)治療に制酸剤併用が与える影響を明らかにする.

方法:
 2008年8月から2014年12月にGefitinib/Erlotinibで加療されたEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌98例を対象とし,制酸剤併用群と非併用群へのEGFR-TKIの臨床効果を後方視的に検討した.

結果:
 Gefitinib群の制酸剤併用は25/56例(44.6%)で,Erlotinib群は33/42例(78.6%)であり,Gefitinib群/Erlotinib群の奏効率,病勢制御率,無増悪生存期間は制酸剤併用の有無で有意差は認めず,Erlotinib群のGrade 3以上の肝障害は,制酸剤併用群が有意に少なかった(3% vs. 22%,p = 0.023).

結論:
 制酸剤併用はEGFR-TKIの治療効果や毒性に大きな影響を与えないことが示唆された.


by otowelt | 2017-08-21 00:59 | 肺癌・その他腫瘍

病期IV非小細胞肺癌の全身治療:ASCOガイドライン

 ボトムラインを翻訳しました。

Hanna N, et al.
Systemic Therapy for Stage IV Non-Small-Cell Lung Cancer: American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline Update.
J Clin Oncol. 2017 Aug 14:JCO2017746065. doi: 10.1200/JCO.2017.74.6065. [Epub ahead of print]


<ボトムライン>

①一次治療
1.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の非扁平上皮肺癌

・PD-L1発現が高く(TPS≧50%)、禁忌項目がない場合、ペムブロリズマブ単独治療が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・PD-L1発現が低い場合(TPS<50%)、細胞障害性抗癌剤の組み合わせ(カルボプラチン+パクリタキセルの場合、ベバシズマブを加えてもよい)が推奨される(プラチナ製剤・・・エビデンスの質:高、推奨度:強、非プラチナ製剤:エビデンスの質:中、推奨度:弱)。
・カルボプラチン+ペメトレキセドにベバシズマブを併用する治療を推奨をするエビデンスは不足している。
・他の免疫チェックポイント阻害剤や、免疫チェックポイント阻害剤同士の併用、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用は推奨されない。
・PS2の場合、併用療法あるいは単剤治療あるいは緩和ケア単独が適切かもしれない(化学療法・・・エビデンスの質:中、推奨度:弱、緩和ケア・・・エビデンスの質:中、推奨度:強)。

2.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の扁平上皮肺癌
・PD-L1発現が高く(TPS≧50%)、禁忌項目がない場合、ペムブロリズマブ単独治療が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・PD-L1発現が低い場合(TPS<50%)、細胞障害性抗癌剤の組み合わせが推奨される(プラチナ製剤・・・エビデンスの質:高、推奨度:強、非プラチナ製剤:エビデンスの質:低、推奨度:弱)。
・他の免疫チェックポイント阻害剤や、免疫チェックポイント阻害剤同士の併用、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用は推奨されない。
・PS2の場合、併用療法あるいは単剤治療あるいは緩和ケア単独が適切かもしれない(化学療法・・・エビデンスの質:中、推奨度:弱、緩和ケア・・・エビデンスの質:中、推奨度:強)。
・シスプラチン+ゲムシタビンで治療された扁平上皮NSCLCでは、ネシツムマブを化学療法に加える治療を当パネルは推奨しない。

3.EGFR遺伝子変異がある場合
・アファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブが推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。

4.ALK遺伝子再構成がある場合
・クリゾチニブが推奨される(エビデンスの質:中、推奨度:中)。

5.ROS1遺伝子再構成がある場合
・クリゾチニブが推奨される(エビデンスの質:低、推奨度:弱)。


②二次治療
1.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の腫瘍

・一次治療を受けた後の、PD-L1発現が高く(TPS≧1%)、禁忌項目がない患者では、免疫療法を受けていない場合、ニボルマブ単剤、ペムブロリズマブ単剤、アテゾリズマブ単剤が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・一次治療を受けた後の、PD-L1発現がない(TPS<1%)あるいは不明である禁忌項目がない患者では、イボルマブ、アテゾリズマブ、細胞障害性抗癌剤の併用が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・他の免疫チェックポイント阻害剤や、免疫チェックポイント阻害剤同士の併用、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用は推奨されない。
・一次治療で免疫チェックポイント阻害剤の治療を受けた患者では、細胞障害性抗癌剤の併用が推奨される(プラチナ製剤・・・エビデンスの質:強、推奨度:強、非プラチナ製剤・・・エビデンスの質:低、推奨度:強)。
・一次治療を受けた後、免疫チェックポイント阻害剤の禁忌に該当する患者では、ドセタキセルが推奨される(エビデンスの質:中、推奨度:中)。
・ペメトレキセドで治療を受けたことがない非扁平上皮癌の患者では、ペメトレキセドが推奨される(エビデンスの質:中、推奨度:中)。

2.EGFR遺伝子変異がある場合
・EGFR-TKI治療を一次治療で適用された後、T790M耐性遺伝子が存在すれば、オシメルチニブが推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
※T790M耐性遺伝子が存在しなければ、プラチナ併用治療が推奨される(エビデンスの質:低、推奨度:強)。
・EGFR-TKI治療を一次治療で適用された後奏効し、緩徐ないし最小限の局所疾患進行がみられる場合、局所治療(手術や放射線治療など)にEGFR-TKIを併用することも選択肢である(エビデンスの質:不足、推奨度:弱)

3.ROS1遺伝子再構成がある場合
・前治療でクリゾチニブ以外が適用された場合、クリゾチニブが推奨される(エビデンスの質:低、推奨度:中)。
・前治療でクリゾチニブが適用された場合、二次治療のプラチナ併用療法(ベバシズマブを加えてもよい)が推奨される(エビデンスの質:不足、推奨度:中)。

4.BRAF遺伝子変異がある場合
・前治療として免疫チェックポイント阻害剤を使用しておらず、高いPD-L1発現(TPS>1%)がある患者では、アテゾリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブが推奨される(エビデンスの質:不足、推奨度:弱)。
・前治療として免疫チェックポイント阻害剤を使用した患者では、ダブラフェニブ単独あるいはダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法が三次治療のオプションとなる(エビデンスの質:不足、推奨度:中)。


③三次治療
1.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の非扁平上皮癌の患者で、すでに化学療法(ベバシズマブ使用の有無を問わず)や免疫チェックポイント阻害剤の投与を受けている場合、ペメトレキセド単剤あるいはドセタキセルが選択肢になる(エビデンスの質:弱、推奨度:強)。
2.EGFR遺伝子変異がある患者で、少なくとも1ライン以上のEGFR-TKIおよびプラチナ治療を受けている場合、化学療法に先んじて免疫療法を推奨するというデータは不足している(エビデンスの質:不足、推奨度:弱)。


④四次治療
 患者および主治医が、経験的治療、臨床試験、ベストサポーティブケア(緩和ケア)継続といった観点から考慮・議論すべきである。


by otowelt | 2017-08-17 00:50 | 肺癌・その他腫瘍