カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 470 )

UIPに発症する肺癌は、下葉・胸膜下に多い

e0156318_8124310.jpg 実臨床で抱いているイメージと同じですが、しっかりデータとしてまとまっています。

Watanabe Y, et al.
A clinicopathological study of surgically resected lung cancer in patients with usual interstitial pneumonia.
Respir Med. 2017 Aug;129:158-163. doi: 10.1016/j.rmed.2017.06.015.


背景:
 UIPに合併した肺癌の臨床病理学的特徴はよく分かっていない。この研究の目的は、UIP患者に発症した肺癌の病理学的特徴を発症部位とともに調べることである。

方法:
 526人の肺葉切除を受けた肺癌患者の547切除検体をレビューした。患者はUIP群、非UIP群(UIP以外の背景病変がある患者)、正常群の3群に分類された。これら3群の組織検体および発症部位を比較した。末梢に局在していた腫瘍を胸膜下・内側・中枢にサブグループ化した。

結果:
 UIP群82人(男性87%、平均年齢71歳、喫煙歴94%)、非UIP群334人(男性80%、平均年齢69歳、喫煙歴81%)、正常群110人(男性30%、平均年齢62歳、喫煙歴29%)が登録された。UIP群と非UIP群の比較では、性別、平均年齢、喫煙歴には統計学的な差はなかった。非UIP群と比べると、UIP群では扁平上皮癌の頻度が高く(63% vs 32%)、下葉に多く(76% vs 32%)、胸膜下に多かった(24% vs 5%)。

結論:
 UIP患者の肺癌は、UIPが始まる下葉・胸膜下に多くみられるという予測ができる。


by otowelt | 2017-08-08 00:13 | 肺癌・その他腫瘍

PET-CTだけでN診断はしない方がよい?EBUS-TBNAでステージアップする可能性

e0156318_16584987.jpg 特にN1症例においては、永遠のテーマだと思います。

Naur TMH, et al.
Endobronchial Ultrasound-Guided Transbronchial Needle Aspiration for Staging of Patients with Non-Small Cell Lung Cancer without Mediastinal Involvement at Positron Emission Tomography-Computed Tomography.
Respiration. 2017 Jul 6. doi: 10.1159/000477625. [Epub ahead of print]


背景:
 肺癌の病期診断は治療決定のために重要であり、局所的な疾患のみが治癒可能である。過去の研究では、EBUS-TBNAはPET-CTでN診断ができれば不要とされていた。

目的:
 この研究の目的は、PET-CTで縦隔リンパ節転移がないと診断された肺癌患者においてEBUS-TBNAがステージアップに寄与するかどうか調べることである。

方法:
 2009年~2014年に術前EBUS-TBNAを受けた981人が登録された。そのうち、PET-CTでN0およびN1と診断された115人、52人を登録した(合計167人)。

結果:
 167人のうち、10人(6%)がEBUS-TBNAによってN2あるいはN3へステージアップした。そのうち9人はPET-CTでN1と診断されていた。組み入れられたN1患者の17.3%がN2あるいはN3へステージアップした(N0症例では0.9%)。EBUS-TBNAとPEC-CTのあと、115人が手術を受け、12人(10.4%)がN2あるいはN3であると診断された。術前EBUS-TBNAは感度42.9%、特異度99.0%、陰性適中率89.6%であった。

結論:
 PET-CTでN0、N1と診断された患者におけるEBUS-TBNAのステージアップが6.0%に観察された。N0では0.9%だったが、N1では17.3%がステージアップした。N2あるいはN3を見過ごすリスクはPET-CT、EBUS-TBNAの両方をおこなったとしても10.4%にみられた。


by otowelt | 2017-07-25 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

肺癌の術後肺炎の予防のための周術期口腔機能管理

e0156318_8124310.jpg 少し前の論文ですが、興味深く読ませていただきました。

西野 豪志,他.
肺癌手術における周術期口腔機能管理の術後肺炎予防効果
日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31(2017) No. 4, p.432-438


目的:
 肺癌手術における周術期口腔機能管理の肺炎予防効果を検討した.

対象:
 2013年4月~2015年3月に原発性肺癌に対して胸腔鏡下肺葉切除術を行った連続100例を対象とした.周術期口腔機能管理導入前後で介入群50例,非介入群50例に分類し検討した.

結果:
 患者背景,腫瘍因子,手術因子には有意差を認めなかった.術後合併症は,介入群で5例(10.0%),非介入群で16例(32.0%)と介入群で有意に少なく,術後肺炎は,非介入群では6例(12.0%)にみられたが,介入群では1例もみられなかった.術後に発熱を認めた症例は,介入群で有意に少なく,術後CRP値は,介入群で低い傾向にあった.術後在院日数は,介入群で有意に短かった.

結語:
 周術期口腔機能管理には肺癌の術後肺炎を予防する効果がある可能性がある.今後,医科歯科の連携を強め,広く行われるべきであると考える.


by otowelt | 2017-07-21 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

J-SONIC試験:IPF合併非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+アブラキサン®+オフェブ®

 個人的にかなり興味深い臨床試験です。

Otsubo K, et al.
Treatment Rationale and Design for J-SONIC: A Randomized Study of Carboplatin Plus Nab-paclitaxel With or Without Nintedanib for Advanced Non-Small-cell Lung Cancer With Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Clin Lung Cancer. 2017 Jun 20. pii: S1525-7304(17)30176-6. doi: 10.1016/j.cllc.2017.06.003. [Epub ahead of print]


 170人のIPF合併非小細胞肺癌の患者に対して、ランダムに1:1に4コースのカルボプラチン+アブラキサン®(3週ごと)+ニンテダニブ(A群)あるいはカルボプラチン+アブラキサン®(3週ごと)(B群)に割り付けたJ-SONIC試験の計画について。


by otowelt | 2017-07-18 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

5年以上生存したIV期非小細胞肺癌症例の検討

e0156318_8124310.jpg 少し前の論文ですが、調べ物をしていてとても参考になりました。

松崎達ら.
5年以上生存したIV期非小細胞肺癌症例の検討
肺癌 57 (2):88─95,2017


目的:
 5年以上生存したIV期NSCLC症例の臨床背景を調査し,長期生存に寄与する予後因子を検討する.

方法:
 2002年10月1日から2010年9月30日までの期間で,東京歯科大学市川総合病院で診断されたIV期NSCLC 66例を後方視的に調査した.

結果:
 5年以上の長期生存者(long-term survivor;LTS)は8例存在した.全生存期間が5年未満であった(non-LTS)58例と比較して,EGFR遺伝子変異陽性,N0及びN1,遠隔転移臓器が1つである症例が多かった.IV期NSCLC 66例を多変量解析したところ,75歳未満,N0及びN1,肝転移がないことは長期生存に寄与する独立した予後因子であった.LTS群はnon-LTS群と比較して,EGFR-TKIを使用した症例が多く,殺細胞性抗癌剤とEGFR-TKIの病勢制御率はともに高く,無増悪生存期間はともに長かった.

結論:
 IV期NSCLCであっても,75歳未満の症例,N0及びN1症例,肝転移のない症例であれば,長期予後の可能性があり,積極的な治療を検討する際の参考になると考えられた.


by otowelt | 2017-07-03 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

悪性胸水のコントロールに胸腔内温熱化学療法は有効

e0156318_10471089.jpg 消化器系の悪性腫瘍ではよく耳にする治療法ですが、胸腔内に適用したのは初耳です。 

Runlei Hu, et al.
Intrapleural perfusion thermo-chemotherapy for pleural effusion caused by lung carcinoma under VATS
JTD Vol 9, No 5 (May 2017)


背景:
 この研究の目的は、悪性胸水に対する胸腔鏡補助下での胸腔内温熱化学療法(IPTC)の有効性を調べることである。

方法:
 この後ろ向き研究において、非小細胞肺癌による中等量あるいは大量片側悪性胸水の患者54人が登録された。患者は、胸腔鏡補助下でIPTCを適用された。IPTCは、胸腔内に43℃のシスプラチン含有(200mg/m2)生理食塩水を注入し、胸腔鏡下で60分機械的撹拌をこころみる治療法である。術中に、血圧、心拍数、酸素飽和度、食道・直腸温が記録された。処置後、胸膜生検が行われ組織を調べた。

結果:
 胸膜表面の温度は43℃に維持された。胸水は全例でコントロールされた。KPSスコアは89.3%の患者で上昇した。骨髄抑制、処置後の明らかな出血、肝腎障害は観察されなかった。IPTC後、組織学的に胸膜のアポトーシスが同定された。IPTCから1ヶ月後、全例でCEAの著明な減少がみられた。生存期間中央値は21.7ヶ月で、1年生存率は74.1%だった。

結論:
 胸腔鏡補助下IPTCは安全で、侵襲性が少なく、肺癌に続発する悪性胸水のコントロールに効果的である。


by otowelt | 2017-06-20 00:33 | 肺癌・その他腫瘍

PD-1阻害薬はPD-L1阻害薬と比較して肺炎の頻度が高い

e0156318_12291546.jpgMonica Khunger, et al.
Incidence of pneumonitis with use of PD-1 and PD-L1 inhibitors in non-small cell lung cancer: A Systematic Review and Meta-analysis of trials
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.04.177


背景:
 PD-1/PD-L1阻害薬は非小細胞肺癌(NSCLC)において有意に臨床的効果があることが示されている。しかしながら、時に潜在的に致死的な免疫を介した肺炎を起こす。臨床試験での当該頻度は個々にばらつきがみられるため、われわれはこの肺炎の頻度を調べ、阻害薬の種類および前治療による差があるかどうか検討した。

方法:
 Medline, Embase, Scopusデータベースを2016年11月まで検索。全グレードおよびグレード3以上の肺炎の頻度をニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブの臨床試験(NSCLC患者への単剤使用)から収集した。DerSimonian-Laird法(ランダム効果モデル)を用いて肺炎の頻度を算出した。PD-1およびPD-L1阻害薬による肺炎の差、また前治療によっても差があるのかどうかも調べた。

結果:
 19試験(12:PD-1阻害薬3232人、7:PD-L1阻害薬1806人)が同定された。PD-1阻害薬は統計学的に有意にPD-L1阻害薬よりも全グレードの肺炎の頻度が高かった(3.6%, 95%信頼区間2.4%-4.9% vs 1.3%, 95%信頼区間0.8%-1.9%, p=0.001)。PD-1阻害薬では、グレード3以上の肺炎の頻度も多かった(1.1%, 95%信頼区間0.6%-1.7% vs 0.4%, 95%信頼区間0%-0.8%, p=0.02)。
 全グレードの肺炎の頻度は、治療を受けたことがない患者の方が前治療がある患者よりも高かった(4.3%, 95%信頼区間2.4%-6.3% vs 2.8%, 95%信頼区間1.7%- 4%, p=0.03)。

結論:
 PD-1阻害薬はPD-L1阻害薬と比較して肺炎の頻度が高い。特に、これまで治療を受けたことがない患者ではよくみられる有害事象である。


by otowelt | 2017-06-02 00:22 | 肺癌・その他腫瘍

ED-SCLCに対するPCIは生存的利益なし

e0156318_12481476.jpg 日本で実施された有名な研究です。論文化されました。

Takahashi T, et al.
Prophylactic cranial irradiation versus observation in patients with extensive-disease small-cell lung cancer: a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial
Lancet Oncology, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S1470-2045(17)30230-9


方法:
 一次治療としてのプラチナ併用療法が奏効し、MRIで脳転移がないことを確認した進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)患者において、PCI群(25Gy/10分割)と経過観察群を比較した。患者登録は最終化学療法開始から6週間以内に行った。
 プライマリアウトカムはITT集団の全生存期間(OS)、セカンダリアウトカムは脳転移までの期間、無増悪生存期間(PFS)、安全性とした。脳転移は3ヶ月ごとの脳MRIで評価した。

結果:
 2009年3月から2013年7月までに224人が登録された。中間解析は163人(PCI群84人、経過観察群79人)を対象に行われた(この時点で死亡が111人)。中間解析の結果、PCIの利益が認められなかったことから、2013年7月17日に試験は中止。
 OS中央値は、PCI群11.6ヶ月、経過観察群13.7ヶ月だった(ハザード比1.27、95%信頼区間0.96-1.68, p=0.094)。
 もっともよくみられたgrade3以上の有害事象(3ヶ月時)は食思不振(6% vs 2%)、不快感(3% vs <1%)など。治療による死亡は観察されなかった。

結論:
 脳転移がないED-SCLCにおいてPCIは生存利益をもたらさなかった。


by otowelt | 2017-04-10 00:52 | 肺癌・その他腫瘍

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌は免疫チェックポイント阻害薬が効きにくい?

e0156318_12291546.jpg Lee CK, et al.
Checkpoint Inhibitors in Metastatic EGFR-Mutated Non-Small Cell Lung Cancer-A Meta-Analysis.
J Thorac Oncol. 2017 Feb;12(2):403-407. doi: 10.1016/j.jtho.2016.10.007. Epub 2016 Oct 17.


背景:
 EGFR遺伝子変異のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)の二次治療として免疫チェックポイント阻害薬を用いる役割を調べるため、メタアナリシスを実施した。

方法:
 化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の効果を比較したランダム化比較試験を同定した。ITT集団およびEGFR陽性集団の全生存期間(OS)のハザード比および95%信頼区間を算出。固定効果モデルを用いて、治療効果を類推した。

結果:
 3つの臨床試験が組み込まれた(ニボルマブ292人[Checkmate 057試験]、ペムブロリズマブ691人[Keynote 010試験]、アテゾリズマブ144人[POPLAR試験])。比較レジメンはドセタキセル(776人)。
 免疫チェックポイント阻害薬は有意にOSをドセタキセルよりも改善した(1903人, ハザード比0.68, 95%信頼区間0.61-0.77, p < 0.0001)。EGFR野生型では有意な改善だったが(1362人, ハザード比0.66, 95%信頼区間0.58-0.76, p < 0.0001)、EGFR陽性群(186人、ハザード比1.05, 95%信頼区間0.70-1.55, p < 0.81; 治療-遺伝子変異interaction p = 0.03)。

結論:
 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCにおいて、免疫チェックポイント阻害薬はドセタキセルと比較したOSを改善しなかった。



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by otowelt | 2017-03-16 00:21 | 肺癌・その他腫瘍

ASCEND-4試験:ALK転座陽性NSCLCに対する初回セリチニブ治療の効果

e0156318_12291546.jpg 遅ればせながら、ASCEND-4試験を読みました。

Jean-Charles Soria, et al.
First-line ceritinib versus platinum-based chemotherapy in advanced ALK-rearranged non-small-cell lung cancer (ASCEND-4): a randomised, open-label, phase 3 study
Lancet, Volume 389, No. 10072, p917–929, 4 March 2017


背景:
 未治療のALK転座陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するセリチニブの効果は不透明である。本研究において、セリチニブとプラチナベースの治療を比較した。

方法:
 ASCEND-4試験はオープンラベルの第III相ランダム化比較試験で、ステージIIIBまたはIV期の非扁平NSCLCを対象として28ヶ国134施設で実施された。患者はセリチニブ750mg/日またはシスプラチン75mg/m2(あるいはカルボプラチンAUC5~6)+ペメトレキセド500mg/m2を3週ごとに投与し、ペメトレキセド維持療法を導入した。ランダム化層別化因子はPS、術後補助化学療法の有無、脳転移の有無とした。本研究において、患者および主治医には治療割り付けはマスクされていない。プライマリエンドポイントは全患者の無増悪生存期間(PFS)である。安全性評価は一度でも試験薬の投与を受けた患者を含めた。

結果:
 2013年~2015年で合計376人の患者がランダム化された。セリチニブ(189人)、抗癌剤(187人)であった。PFS中央値はセリチニブで16.6ヶ月、抗癌剤で8.1ヶ月だった(ハザード比0.55、95%信頼区間0.42-0.73)。よく観察された有害事象はセリチニブ群で下痢(85%)、悪心(69%)、嘔吐(66%)、ALT上昇(60%)であり、抗癌剤群では悪心(55%)、嘔吐(36%)、貧血(35%)であった。

結論:
 ASCEND-4試験において、ALK転座陽性NSCLCに対する初回セリチニブ治療は、抗癌剤に比べ有意に臨床的に意味のあるPFS延長をもたらした。



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by otowelt | 2017-03-13 00:29 | 肺癌・その他腫瘍