カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 474 )

EGFR野生型NSCLCの二次治療はEGFR-TKIよりも化学療法の方が良い

e0156318_8124310.jpg 1~3次治療の場合分けが難しくなってきました。

Tomasini P, et al.
EGFR tyrosine kinase inhibitors versus chemotherapy in EGFR wild-type pre-treated advanced nonsmall cell lung cancer in daily practice.
Eur Respir J. 2017 Aug 10;50(2). pii: 1700514.


背景:
 EGFR-TKIはEGFR野生型の非小細胞肺癌(NSCLC)の二次治療に適用される。しかしながら、EGFR-TKIと化学療法を比較したランダム化比較試験では、EGFR-TKIの生存的な利益は報告されていない。免疫治療の時代に入り、多くの薬剤がEGFR野生型NSCLCの二次治療に適用されるようになった。そのため、こうしたフェーズでのEGFR-TKIの位置付けを明らかにしておく必要がある。

方法:
 EGFR遺伝子変異の有無を調べたNSCLC患者のフランス国内大規模コホートデータを用いて、われわれはEGFR野生型NSCLC患者のうちEGFR-TKIあるいは化学療法を二次治療として受けたものを対象にアウトカムを調べた。

結果:
 1278人のうち、868人が化学療法を受け、410人がEGFR-TKI治療を受けた。全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の中央値はEGFR-TKIより化学療法群の方が有意に長かった。具体的には、OSが8.38ヶ月 vs 4.99ヶ月(ハザード比0.70、95%信頼区間0.59-0.83、p<0.0001)、PFSが4.30ヶ月 vs 2.83ヶ月(ハザード比、0.66、95%信頼区間0.57-0.77, p<0.0001)だった。

結論: 
 EGFR野生型NSCLCに対して複数ラインの治療を行う上で、この研究は役立つだろう。免疫治療の有効性が二次治療で示されているため、おそらく3次治療では、EGFR-TKIよりも化学療法の方が優れていると考えられる。


by otowelt | 2017-08-29 00:11 | 肺癌・その他腫瘍

診断から手術までの期間が長いと扁平上皮肺癌の生存アウトカムが悪化

e0156318_8124310.jpg 喫煙している患者さんはある程度の期間禁煙してもらってから手術することが多いですね。

Chi-Fu Jeffrey Yang, et al.
Impact of Timing of Lobectomy on Survival for Clinical Stage IA Lung Squamous Cell Carcinoma
Chest, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2017.07.032


背景:
 肺癌の診断から手術までの期間と生存の関連についてはこれまで検討されたことはなく、ガイドラインにも早期肺癌における臨床的に意義のある遅延についての記述はみられない。この研究は、診断から肺葉切除までの期間が長いほど病期IAの扁平上皮肺癌の生存アウトカムが不良になるという仮説を調べたものである。

方法:
 肺葉切除の時期と生存との関連性を、国立癌データベース(2006年~2011年)に登録された病期IAの扁平上皮肺癌患者のデータを用いて、多変量Cox比例ハザード分析および制限3次スプラインによってアセスメントした。

結果:
 登録基準を満たした4984人の5年全生存期間は58.3%だった(95%信頼区間56.3-60.2%)。外科手術は診断から30日以内に行われたのが1811人(36%)で、手術までの日数の中央値は38日だった(IQR23-58)。多変量解析では、診断から38日よりも遅く手術された患者は有意に5年生存率が低かった(38日より早く手術された患者と比較:ハザード比1.13、95%信頼区間1.02-1.25)。多変量制限3次スプライン解析では、統計学的に有意な生存アウトカム不良につながったのは90日以上という結果だった。
e0156318_10344287.jpg
(文献より引用:Figure3c:全コホート)

結論:
 早期扁平上皮肺癌において、診断から外科手術までの期間が長くなると、生存アウトカムの不良を招く。この知見に、手術のタイミング以外の因子が寄与した可能性は否定できないが、術前評価から手術までの期間を最小限にする努力は必要であろう。


by otowelt | 2017-08-23 00:19 | 肺癌・その他腫瘍

制酸剤を併用してもEGFR-TKIに影響は少ない

e0156318_1164629.jpg この報告では半数以上がPPIです。

小林 紘ら
EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌におけるEGFR-TKIと制酸剤併用の検討
肺癌 57 (3):190─195,2017


目的:
 Epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor(EGFR-TKI)治療に制酸剤併用が与える影響を明らかにする.

方法:
 2008年8月から2014年12月にGefitinib/Erlotinibで加療されたEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌98例を対象とし,制酸剤併用群と非併用群へのEGFR-TKIの臨床効果を後方視的に検討した.

結果:
 Gefitinib群の制酸剤併用は25/56例(44.6%)で,Erlotinib群は33/42例(78.6%)であり,Gefitinib群/Erlotinib群の奏効率,病勢制御率,無増悪生存期間は制酸剤併用の有無で有意差は認めず,Erlotinib群のGrade 3以上の肝障害は,制酸剤併用群が有意に少なかった(3% vs. 22%,p = 0.023).

結論:
 制酸剤併用はEGFR-TKIの治療効果や毒性に大きな影響を与えないことが示唆された.


by otowelt | 2017-08-21 00:59 | 肺癌・その他腫瘍

病期IV非小細胞肺癌の全身治療:ASCOガイドライン

 ボトムラインを翻訳しました。

Hanna N, et al.
Systemic Therapy for Stage IV Non-Small-Cell Lung Cancer: American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline Update.
J Clin Oncol. 2017 Aug 14:JCO2017746065. doi: 10.1200/JCO.2017.74.6065. [Epub ahead of print]


<ボトムライン>

①一次治療
1.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の非扁平上皮肺癌

・PD-L1発現が高く(TPS≧50%)、禁忌項目がない場合、ペムブロリズマブ単独治療が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・PD-L1発現が低い場合(TPS<50%)、細胞障害性抗癌剤の組み合わせ(カルボプラチン+パクリタキセルの場合、ベバシズマブを加えてもよい)が推奨される(プラチナ製剤・・・エビデンスの質:高、推奨度:強、非プラチナ製剤:エビデンスの質:中、推奨度:弱)。
・カルボプラチン+ペメトレキセドにベバシズマブを併用する治療を推奨をするエビデンスは不足している。
・他の免疫チェックポイント阻害剤や、免疫チェックポイント阻害剤同士の併用、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用は推奨されない。
・PS2の場合、併用療法あるいは単剤治療あるいは緩和ケア単独が適切かもしれない(化学療法・・・エビデンスの質:中、推奨度:弱、緩和ケア・・・エビデンスの質:中、推奨度:強)。

2.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の扁平上皮肺癌
・PD-L1発現が高く(TPS≧50%)、禁忌項目がない場合、ペムブロリズマブ単独治療が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・PD-L1発現が低い場合(TPS<50%)、細胞障害性抗癌剤の組み合わせが推奨される(プラチナ製剤・・・エビデンスの質:高、推奨度:強、非プラチナ製剤:エビデンスの質:低、推奨度:弱)。
・他の免疫チェックポイント阻害剤や、免疫チェックポイント阻害剤同士の併用、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用は推奨されない。
・PS2の場合、併用療法あるいは単剤治療あるいは緩和ケア単独が適切かもしれない(化学療法・・・エビデンスの質:中、推奨度:弱、緩和ケア・・・エビデンスの質:中、推奨度:強)。
・シスプラチン+ゲムシタビンで治療された扁平上皮NSCLCでは、ネシツムマブを化学療法に加える治療を当パネルは推奨しない。

3.EGFR遺伝子変異がある場合
・アファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブが推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。

4.ALK遺伝子再構成がある場合
・クリゾチニブが推奨される(エビデンスの質:中、推奨度:中)。

5.ROS1遺伝子再構成がある場合
・クリゾチニブが推奨される(エビデンスの質:低、推奨度:弱)。


②二次治療
1.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の腫瘍

・一次治療を受けた後の、PD-L1発現が高く(TPS≧1%)、禁忌項目がない患者では、免疫療法を受けていない場合、ニボルマブ単剤、ペムブロリズマブ単剤、アテゾリズマブ単剤が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・一次治療を受けた後の、PD-L1発現がない(TPS<1%)あるいは不明である禁忌項目がない患者では、イボルマブ、アテゾリズマブ、細胞障害性抗癌剤の併用が推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
・他の免疫チェックポイント阻害剤や、免疫チェックポイント阻害剤同士の併用、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用は推奨されない。
・一次治療で免疫チェックポイント阻害剤の治療を受けた患者では、細胞障害性抗癌剤の併用が推奨される(プラチナ製剤・・・エビデンスの質:強、推奨度:強、非プラチナ製剤・・・エビデンスの質:低、推奨度:強)。
・一次治療を受けた後、免疫チェックポイント阻害剤の禁忌に該当する患者では、ドセタキセルが推奨される(エビデンスの質:中、推奨度:中)。
・ペメトレキセドで治療を受けたことがない非扁平上皮癌の患者では、ペメトレキセドが推奨される(エビデンスの質:中、推奨度:中)。

2.EGFR遺伝子変異がある場合
・EGFR-TKI治療を一次治療で適用された後、T790M耐性遺伝子が存在すれば、オシメルチニブが推奨される(エビデンスの質:高、推奨度:強)。
※T790M耐性遺伝子が存在しなければ、プラチナ併用治療が推奨される(エビデンスの質:低、推奨度:強)。
・EGFR-TKI治療を一次治療で適用された後奏効し、緩徐ないし最小限の局所疾患進行がみられる場合、局所治療(手術や放射線治療など)にEGFR-TKIを併用することも選択肢である(エビデンスの質:不足、推奨度:弱)

3.ROS1遺伝子再構成がある場合
・前治療でクリゾチニブ以外が適用された場合、クリゾチニブが推奨される(エビデンスの質:低、推奨度:中)。
・前治療でクリゾチニブが適用された場合、二次治療のプラチナ併用療法(ベバシズマブを加えてもよい)が推奨される(エビデンスの質:不足、推奨度:中)。

4.BRAF遺伝子変異がある場合
・前治療として免疫チェックポイント阻害剤を使用しておらず、高いPD-L1発現(TPS>1%)がある患者では、アテゾリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブが推奨される(エビデンスの質:不足、推奨度:弱)。
・前治療として免疫チェックポイント阻害剤を使用した患者では、ダブラフェニブ単独あるいはダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法が三次治療のオプションとなる(エビデンスの質:不足、推奨度:中)。


③三次治療
1.EGFR遺伝子変異、ALKあるいはROS1遺伝子再構成のない、PS0~1(あるいは妥当性のあるPS2)の非扁平上皮癌の患者で、すでに化学療法(ベバシズマブ使用の有無を問わず)や免疫チェックポイント阻害剤の投与を受けている場合、ペメトレキセド単剤あるいはドセタキセルが選択肢になる(エビデンスの質:弱、推奨度:強)。
2.EGFR遺伝子変異がある患者で、少なくとも1ライン以上のEGFR-TKIおよびプラチナ治療を受けている場合、化学療法に先んじて免疫療法を推奨するというデータは不足している(エビデンスの質:不足、推奨度:弱)。


④四次治療
 患者および主治医が、経験的治療、臨床試験、ベストサポーティブケア(緩和ケア)継続といった観点から考慮・議論すべきである。


by otowelt | 2017-08-17 00:50 | 肺癌・その他腫瘍

UIPに発症する肺癌は、下葉・胸膜下に多い

e0156318_8124310.jpg 実臨床で抱いているイメージと同じですが、しっかりデータとしてまとまっています。

Watanabe Y, et al.
A clinicopathological study of surgically resected lung cancer in patients with usual interstitial pneumonia.
Respir Med. 2017 Aug;129:158-163. doi: 10.1016/j.rmed.2017.06.015.


背景:
 UIPに合併した肺癌の臨床病理学的特徴はよく分かっていない。この研究の目的は、UIP患者に発症した肺癌の病理学的特徴を発症部位とともに調べることである。

方法:
 526人の肺葉切除を受けた肺癌患者の547切除検体をレビューした。患者はUIP群、非UIP群(UIP以外の背景病変がある患者)、正常群の3群に分類された。これら3群の組織検体および発症部位を比較した。末梢に局在していた腫瘍を胸膜下・内側・中枢にサブグループ化した。

結果:
 UIP群82人(男性87%、平均年齢71歳、喫煙歴94%)、非UIP群334人(男性80%、平均年齢69歳、喫煙歴81%)、正常群110人(男性30%、平均年齢62歳、喫煙歴29%)が登録された。UIP群と非UIP群の比較では、性別、平均年齢、喫煙歴には統計学的な差はなかった。非UIP群と比べると、UIP群では扁平上皮癌の頻度が高く(63% vs 32%)、下葉に多く(76% vs 32%)、胸膜下に多かった(24% vs 5%)。

結論:
 UIP患者の肺癌は、UIPが始まる下葉・胸膜下に多くみられるという予測ができる。


by otowelt | 2017-08-08 00:13 | 肺癌・その他腫瘍

PET-CTだけでN診断はしない方がよい?EBUS-TBNAでステージアップする可能性

e0156318_16584987.jpg 特にN1症例においては、永遠のテーマだと思います。

Naur TMH, et al.
Endobronchial Ultrasound-Guided Transbronchial Needle Aspiration for Staging of Patients with Non-Small Cell Lung Cancer without Mediastinal Involvement at Positron Emission Tomography-Computed Tomography.
Respiration. 2017 Jul 6. doi: 10.1159/000477625. [Epub ahead of print]


背景:
 肺癌の病期診断は治療決定のために重要であり、局所的な疾患のみが治癒可能である。過去の研究では、EBUS-TBNAはPET-CTでN診断ができれば不要とされていた。

目的:
 この研究の目的は、PET-CTで縦隔リンパ節転移がないと診断された肺癌患者においてEBUS-TBNAがステージアップに寄与するかどうか調べることである。

方法:
 2009年~2014年に術前EBUS-TBNAを受けた981人が登録された。そのうち、PET-CTでN0およびN1と診断された115人、52人を登録した(合計167人)。

結果:
 167人のうち、10人(6%)がEBUS-TBNAによってN2あるいはN3へステージアップした。そのうち9人はPET-CTでN1と診断されていた。組み入れられたN1患者の17.3%がN2あるいはN3へステージアップした(N0症例では0.9%)。EBUS-TBNAとPEC-CTのあと、115人が手術を受け、12人(10.4%)がN2あるいはN3であると診断された。術前EBUS-TBNAは感度42.9%、特異度99.0%、陰性適中率89.6%であった。

結論:
 PET-CTでN0、N1と診断された患者におけるEBUS-TBNAのステージアップが6.0%に観察された。N0では0.9%だったが、N1では17.3%がステージアップした。N2あるいはN3を見過ごすリスクはPET-CT、EBUS-TBNAの両方をおこなったとしても10.4%にみられた。


by otowelt | 2017-07-25 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

肺癌の術後肺炎の予防のための周術期口腔機能管理

e0156318_8124310.jpg 少し前の論文ですが、興味深く読ませていただきました。

西野 豪志,他.
肺癌手術における周術期口腔機能管理の術後肺炎予防効果
日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31(2017) No. 4, p.432-438


目的:
 肺癌手術における周術期口腔機能管理の肺炎予防効果を検討した.

対象:
 2013年4月~2015年3月に原発性肺癌に対して胸腔鏡下肺葉切除術を行った連続100例を対象とした.周術期口腔機能管理導入前後で介入群50例,非介入群50例に分類し検討した.

結果:
 患者背景,腫瘍因子,手術因子には有意差を認めなかった.術後合併症は,介入群で5例(10.0%),非介入群で16例(32.0%)と介入群で有意に少なく,術後肺炎は,非介入群では6例(12.0%)にみられたが,介入群では1例もみられなかった.術後に発熱を認めた症例は,介入群で有意に少なく,術後CRP値は,介入群で低い傾向にあった.術後在院日数は,介入群で有意に短かった.

結語:
 周術期口腔機能管理には肺癌の術後肺炎を予防する効果がある可能性がある.今後,医科歯科の連携を強め,広く行われるべきであると考える.


by otowelt | 2017-07-21 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

J-SONIC試験:IPF合併非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+アブラキサン®+オフェブ®

 個人的にかなり興味深い臨床試験です。

Otsubo K, et al.
Treatment Rationale and Design for J-SONIC: A Randomized Study of Carboplatin Plus Nab-paclitaxel With or Without Nintedanib for Advanced Non-Small-cell Lung Cancer With Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Clin Lung Cancer. 2017 Jun 20. pii: S1525-7304(17)30176-6. doi: 10.1016/j.cllc.2017.06.003. [Epub ahead of print]


 170人のIPF合併非小細胞肺癌の患者に対して、ランダムに1:1に4コースのカルボプラチン+アブラキサン®(3週ごと)+ニンテダニブ(A群)あるいはカルボプラチン+アブラキサン®(3週ごと)(B群)に割り付けたJ-SONIC試験の計画について。


by otowelt | 2017-07-18 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

5年以上生存したIV期非小細胞肺癌症例の検討

e0156318_8124310.jpg 少し前の論文ですが、調べ物をしていてとても参考になりました。

松崎達ら.
5年以上生存したIV期非小細胞肺癌症例の検討
肺癌 57 (2):88─95,2017


目的:
 5年以上生存したIV期NSCLC症例の臨床背景を調査し,長期生存に寄与する予後因子を検討する.

方法:
 2002年10月1日から2010年9月30日までの期間で,東京歯科大学市川総合病院で診断されたIV期NSCLC 66例を後方視的に調査した.

結果:
 5年以上の長期生存者(long-term survivor;LTS)は8例存在した.全生存期間が5年未満であった(non-LTS)58例と比較して,EGFR遺伝子変異陽性,N0及びN1,遠隔転移臓器が1つである症例が多かった.IV期NSCLC 66例を多変量解析したところ,75歳未満,N0及びN1,肝転移がないことは長期生存に寄与する独立した予後因子であった.LTS群はnon-LTS群と比較して,EGFR-TKIを使用した症例が多く,殺細胞性抗癌剤とEGFR-TKIの病勢制御率はともに高く,無増悪生存期間はともに長かった.

結論:
 IV期NSCLCであっても,75歳未満の症例,N0及びN1症例,肝転移のない症例であれば,長期予後の可能性があり,積極的な治療を検討する際の参考になると考えられた.


by otowelt | 2017-07-03 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

悪性胸水のコントロールに胸腔内温熱化学療法は有効

e0156318_10471089.jpg 消化器系の悪性腫瘍ではよく耳にする治療法ですが、胸腔内に適用したのは初耳です。 

Runlei Hu, et al.
Intrapleural perfusion thermo-chemotherapy for pleural effusion caused by lung carcinoma under VATS
JTD Vol 9, No 5 (May 2017)


背景:
 この研究の目的は、悪性胸水に対する胸腔鏡補助下での胸腔内温熱化学療法(IPTC)の有効性を調べることである。

方法:
 この後ろ向き研究において、非小細胞肺癌による中等量あるいは大量片側悪性胸水の患者54人が登録された。患者は、胸腔鏡補助下でIPTCを適用された。IPTCは、胸腔内に43℃のシスプラチン含有(200mg/m2)生理食塩水を注入し、胸腔鏡下で60分機械的撹拌をこころみる治療法である。術中に、血圧、心拍数、酸素飽和度、食道・直腸温が記録された。処置後、胸膜生検が行われ組織を調べた。

結果:
 胸膜表面の温度は43℃に維持された。胸水は全例でコントロールされた。KPSスコアは89.3%の患者で上昇した。骨髄抑制、処置後の明らかな出血、肝腎障害は観察されなかった。IPTC後、組織学的に胸膜のアポトーシスが同定された。IPTCから1ヶ月後、全例でCEAの著明な減少がみられた。生存期間中央値は21.7ヶ月で、1年生存率は74.1%だった。

結論:
 胸腔鏡補助下IPTCは安全で、侵襲性が少なく、肺癌に続発する悪性胸水のコントロールに効果的である。


by otowelt | 2017-06-20 00:33 | 肺癌・その他腫瘍