カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 453 )

EGFR遺伝子変異陽性NSCLCは脳転移の頻度が高い

e0156318_1164629.jpg 既知の知見です。 

Hsu F, et al.
EGFR mutation status on brain metastases from non-small cell lung cancer.
Lung Cancer. 2016 Jun;96:101-7. doi: 10.1016/j.lungcan.2016.04.004.


目的:
 この研究の目的は、EGFR遺伝子変異が進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者における脳転移の頻度にどういった影響を与えるか調べることである。

方法:
 後ろ向き研究。EGFR遺伝子変異陽性および陰性が判明している患者を本研究コホートとして使用。プライマリエンドポイントは、脳転移の頻度とした。セカンダリエンドポイントは全生存期間とした。

結果:
 543人の患者のうち、121人がEGFR遺伝子変異陽性、422人がEGFR遺伝子変異野生型であった。脳転移の累積罹患率は、前者で39.2%、後者で28.2%だった(p=0.038; ハザード比1.4)。多変量解析では、若年者、EGFR遺伝子変異陽性は有意な脳転移予測因子であった。生存期間中央値はEGFR遺伝子変異陽性群22.4ヶ月、野生型7.9ヶ月であった(p<0.001)。PS不良および脳転移は生存期間短縮のリスク因子であった。

結論:
 進行期NSCLCにおけるEGFR遺伝子変異陽性の患者では野生型の患者と比べて脳転移の頻度が高い。


by otowelt | 2016-05-27 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

タグリッソ®発売

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本日、タグリッソ®が発売されました。

効能効果:
 
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌

効能・効果に関連する使用上の注意
 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、EGFRT790M変異陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断薬を用いて測定すること。
1.【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。
2.本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。

用法用量:
 通常、成人にはオシメルチニブとして80mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

by otowelt | 2016-05-25 08:50 | 肺癌・その他腫瘍

BRAF-V600E変異陽性非小細胞肺癌に対するダブラフェニブの有効性

e0156318_9144269.jpg 非小細胞肺癌に対するダブラフェニブの論文です。ダブラフェニブ(タフィンラー)はBRAF V600E/K変異を有する悪性黒色腫の治療の際に、MEK阻害薬トラメチニブ(メキニスト)と併用されます。

Planchard D, et al.
Dabrafenib in patients with BRAFV600E-positive advanced non-small-cell lung cancer: a single-arm, multicentre, open-label, phase 2 trial.
Lancet Oncol. 2016 Apr 11. pii: S1470-2045(16)00077-2. doi: 10.1016/S1470-2045(16)00077-2. [Epub ahead of print]


背景:
 活性化BRAFV600E(Val600Glu)変異は肺腺がんの1~2%にみられ、これらの患者に対して当該標的治療が有効かもしれない。ダブラフェニブは経口選択的BRAFキナーゼ阻害薬である。われわれは、BRAFV600E陽性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するダブラフェニブの臨床的活性を調べた。

方法:
 これは多施設共同非ランダム化オープンラベル第2相試験であり、治療歴の有無を問わず病期IVのBRAFV600E陽性NSCLC患者を登録した。患者はダブラフェニブ150mg1日2回の投与を受けた。プライマリエンドポイントは、1回でも試験薬を投与された患者の奏効率とした。安全性はこの集団で解析をおこなった。研究そのものは現在も進行しているが、この2相試験コホートの患者は組み込まれていない。

結果:
 2011年8月3日から2014年2月25日までの間、84人の患者が登録され、そのうち6人がNSCLCの治療を過去に受けたことがなかった。治療歴のある78人のうち26人の奏効率は33%(95%信頼区間23-45%)、過去に治療を受けたことが無い6人のうち4人が客観的奏効が得られた。1人はダブラフェニブによる脳出血によって死亡した。もともよくみられたGrade3以上の有害事象は皮膚扁平上皮がん(12%)、無力症(5%)、基底細胞癌(5%)だった。

結論:
 ダブラフェニブはBRAFV600E陽性NSCLC患者に臨床的活性を持つ。ダブラフェニブは限定的な治療法しかない当該集団において治療オプションとなりうる。


by otowelt | 2016-04-25 00:47 | 肺癌・その他腫瘍

システマティックレビュー:非小細胞肺癌に対する維持療法

e0156318_8124310.jpg タルセバを含めた維持療法についてもさかんに議論されています。

Kulkarni S, et al.
The Use of Systemic Treatment in the Maintenance of Patients with Non-small Cell Lung Cancer: A Systematic Review.
J Thorac Oncol. 2016 Mar 21. pii: S1556-0864(16)30017-X. doi: 10.1016/j.jtho.2016.03.007.


背景:
 非小細胞肺がん(NSCLC)はしばしば進行期に診断され、治療オプションが限られているのが現状である。維持療法は病勢進行までの期間を延長させる効果があり、潜在的には全生存期間をも延長する。また、病勢進行があったときに二次治療にすすむことができる患者の割合も増加させることができる。このシステマティックレビューの目的は、NSCLC患者の維持療法としての全身治療の有用性を調べることである。

方法:
 MEDLINE, EMBASE, Cochrane Libraryを用いて、病期IIIBあるいはIVの最低4コースのプラチベースの化学療法を実施したNSCLC患者において、維持療法を他の全身治療あるいはプラセボと比較した第III相ランダム化比較試験を抽出した。当該研究に対してメタアナリシスを実施した。

結果:
 14のランダム化比較試験が登録された。全生存期間に対する利益は、非扁平上皮NSCLCに対するペメトレキセド維持療法で最も強く観察された(ハザード比0.74; 95%信頼区間 0.64 to 0.86)。しかし、扁平上皮NSCLC患者にはこの利益は観察されなかった。EGFR-TKIによる全生存期間への利益も観察されたが、ペメトレキセドほどの効果はなかった(ハザード比0.84; 95%信頼区間0.75 to 0.94)。ドセタキセルあるいはゲムシタビン維持療法は、全生存期間に対する影響はなかった。

結論:
 4~6コースのプラチナベース化学療法を受けて進行がみられなかった進行期IIIB/IV期NSCLCにおいて、ペメトレキセド維持療法による全生存期間の効果が最も強く、EGFR-TKIがそれに次ぐ。


by otowelt | 2016-04-22 00:18 | 肺癌・その他腫瘍

進行期非小細胞肺癌患者に対する血清ddPCRによる遺伝子ジェノタイピング

e0156318_1164629.jpg 科学の進歩を感じずにはいられない報告ですね。リキッドバイオプシーが将来当たり前になる時代が来るかもしれません。

Adrian G. Sacher, et al.
Prospective Validation of Rapid Plasma Genotyping for the Detection of EGFR and KRAS Mutations in Advanced Lung Cancer
JAMA Oncol. Published online April 07, 2016. doi:10.1001/jamaoncol.2016.0173


背景:
 セルフリーDNAの血清ジェノタイピングによって、組織ジェノタイピングの欠点や再生検を避けることができる非侵襲的ジェノタイピングが可能となった。

目的:
 よくみられるEGFRおよびKRAS遺伝子変異、またEGFR T790M獲得変異に対して血清droplet digital PCR (ddPCR)の妥当性を前向きに検証する。

方法:
 進行期非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)で、①新規診断され初回治療を考慮されている患者、②EGFR-TKI耐性となり再生検を考慮されている患者、に対して迅速血清ddPCRによってEGFR exon 19 del, L858R, T790M, KRAS G12X変異を2014年7月3日から2015年6月30日までNational Cancer Instituteにおいて検索した。全患者は組織ジェノタイピングを実施されており、これが対照比較として用いられた。再生検はEGFR-TKI耐性となった患者に適用された。採血から結果報告までのターンアラウンドタイム(TAT)についても、営業日ベースで調べた。
 アウトカムは、血清ddPCRの感度、特異度およびTATである。

結果:
 180人の進行期NSCLC患者(62%が女性、年齢中央値62歳[37-93歳])が登録され、120人が新規にNSCLCと診断され、60人がEGFR-TKIに耐性を獲得した。ジェノタイピングでは、80人がEGFR exon 19/L858R変異, 35人がEGFR T790M変異, 25人がKRAS G12X変異を有していた。血清ddPCRのTAT中央期間は3日(1-7日)だった。組織ジェノタイピングのTATは、新規NSCLC診断例で12日(1-54日)、耐性獲得例で27日(1-146日)だった。血清ddPCRの陽性適中率はEGFR 19 delで100%(95%信頼区間91-100%)、L858変異で100% (95%信頼区間85%-100%)、KRAS変異で100% (95%信頼区間 79%-100%)、T790M変異で79% (95%信頼区間62%-91%)だった。同様に感度は、EGFR 19 delで82% (95%信頼区間69%-91%), L858変異で74% (95%信頼区間55%-88%), T790M変異で77% (95%信頼区間60%-90%)、KRAS変異で64% (95%信頼区間43%-82%)だった。多発転移巣を有する患者ではEGFRあるいはKRASの感度は高く、肝転移・骨転移を有する患者では特異度が高かった。
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(文献より引用:Table 2)

結論:
 迅速に結果が得られるEGFRおよびKRAS変異を同定する血清ddPCRは、高い特異度を有し、早期の治療選択や再生検の回避に役立つ。このアッセイはEGFR T790M変異も同定できるため、EGFR-TKIに対して耐性を獲得した腫瘍の不均一性(heterogeneity)に由来する組織ジェノタイピングの欠点を補うことも可能かもしれない。


by otowelt | 2016-04-11 00:13 | 肺癌・その他腫瘍

ROMANA試験:アナモレリンは進行非小細胞肺癌患者の悪液質に有効

e0156318_8124310.jpg 70人あまりの解析で既にアナモレリンの有効性は同雑誌から報告されています(Lancet Oncol. 2015 Jan;16(1):108-16. )。

Temel JS, et al.
Anamorelin in patients with non-small-cell lung cancer and cachexia (ROMANA 1 and ROMANA 2): results from two randomised, double-blind, phase 3 trials.
Lancet Oncol. 2016 Feb 19. pii: S1470-2045(15)00558-6.


背景:
 進行癌患者はしばしば食思不振と悪液質を経験する。それにより食事摂取が減少し、生体成分に変調をきたし、機能低下を招く。われわれは、新しいグレリン受容体アゴニストであるアナモレリンが進行非小細胞肺癌患者の悪液質に対して効果があるかどうか調べた。

方法:
 ROMANA1試験およびROMANA2試験は、ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験で、19か国93施設から登録された。手術不能病期IIIあるいはIVの非小細胞肺癌患者で、悪液質(6か月以内に5%以上の体重減少あるいはBMI20未満)を有するものをランダムに2:1にアナモレリン100mg1日1回あるいはプラセボに割り付けた。複合プライマリ効果エンドポイントは、12週におよぶ除脂肪体重および握力の変化の中央値とした(ITT)。

結果:
 2011年7月8日から2014年7月28日までの間、484人の患者がROMANA1試験(323人がアナモレリン群、161人がプラセボ群)に、2011年7月14日から2013年10月31日までの間、495人がROMANA2試験(330人がアナモレリン群、165人がプラセボ群)に登録された。12週におよぶ観察期間において、除脂肪体重はアナモレリン群の方がプラセボ群よりも有意に多かった(ROMANA1試験:増加中央値0.99 kg [95%信頼区間0.61 to 1.36] vs -0.47 kg [95%信頼区間-1.00 to 0.21], p<0.0001、ROMANA2試験:0.65 kg [95%信頼区間0.38 to 0.91] vs -0.98 kg [95%信頼区間-1.49 to -0.41], p<0.0001)。握力については有意差はみられなかった(ROMANA1試験:-1.10 kg [95%信頼区間-1.69 to -0.40] vs -1.58 kg [95%信頼区間-2.99 to -1.14], p=0.15、ROMANA2試験:-1.49 kg [95%信頼区間-2.06 to -0.58] vs -0.95 kg [95%信頼区間-1.56 to 0.04], p=0.65)。グレード3-4の治療関連有害事象については両群で有意差はなかった。もっともよくみられたグレード3-4の有害事象は高血糖であり、ROMANA1試験のアナモレリン群320人中1人(<1%)、ROMANA2試験のアナモレリン群330人中4人(1%)に観察された。

結論:
 アナモレリンは悪液質にある進行期非小細胞肺癌患者に対して除脂肪体重の有意な増加をもたらすが、握力の増加はもたらさない。悪液質に対する安全で効果的なアンメットニーズの治療薬を考慮した場合、アナモレリンは治療オプションとなりうるかもしれない。


by otowelt | 2016-03-25 00:17 | 肺癌・その他腫瘍

オシメルチニブ(タグリッソ®)について

 既存の感受性変異以外にもT790M変異に対して有効である第3世代EGFR-TKIとして注目されているオシメルチニブ(タグリッソ®)について少しだけ勉強してみました。この薬剤は、2016年2月に厚生労働省の二部会でセリチニブ(ジカディア®)とともに承認されました。

 オシメルチニブはEGFR-TKIで治療を受けた非小細胞肺癌の患者さんのうち、T790M変異が陽性だった127人の奏効率が61%(95%信頼区間52-70%)とAURA試験で報告されており1)、第3世代EGR-TKIとしての有効性が期待されています2)。AURA試験はオシメルチニブを20mgから240mgに増量していき、反応がみられた用量で症例を追加して拡大試験を実施した、一風変わった臨床試験です。その後の2つのAURA第2相試験(AURA延長試験とAURA2試験)でも同様の良好なデータが報告されています。
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図. 無増悪生存期間1)(文献より引用)

 別の第3世代EGFR-TKIであるロシレチニブと構造や機序は酷似しています3),4)

 オシメルチニブはT790M陽性が確認されないと使えません。各種ウェブサイトでも情報発信がさかんになっているように、これから肺癌に対して再生検を行う機会が増えるでしょう。どのタイミングで再生検を実施するのかは、いろいろな意見が出てきそうですね。

 第3世代のEGFR-TKIは、T790M陰性の症例に対しては、無増悪生存期間の観点からみれば、プラセボよりはもちろん効果的ですが、アファチニブと大差はなさそうです。

 オシメルチニブは、脳転移で再発したEGFR-TKI耐性非小細胞肺癌の患者さんに対して有効な選択肢となりうる可能性があります5)。EGFR-TKI既治療例の癌性髄膜炎合併患者さんを対象にオシメルチニブの有効性を検証しているBLOOM試験(NCT02228369)では、半数以上の患者さんに画像上の改善がみられ、その後の評価が可能な患者さんでは全員に効果が持続しているとされています。

 オシメルチニブの副作用として多いのは、これまでのEGFR-TKIと同じく、下痢、皮疹が30~50%、嘔気、食欲不振などが20%程度にみられます。下痢と皮疹については用量依存的にその頻度が上昇することが知られています。間質性肺炎の報告についても、1~3%に収束するものと考えられ、これも他のEGFR-TKIと差はなさそうです。

 オシメルチニブには既に耐性の報告があり、C797S変異が良く知られています6)。他にも、HER2遺伝子増幅、小細胞癌への形質転換など、既知の耐性も起こりえます7),8)。そのため、オシメルチニブと他のEGFR-TKIを併用することで、耐性化を回避できるのではと考える研究グループもあります。

 現在、標準治療であるプラチナダブレットとの比較(AURA3試験:NCT02151981)、第1世代EGFR-TKIとの比較試験(FLAURA試験:NCT02296125)が実施されています。

 他の第3世代EGFR-TKIとの使い分けについては不明ですが、ロシレチニブ治療後のオシメルチニブ投与でも効果を発揮する集団がいることが報告されており、EGFR-TKI耐性の治療戦略は将来複雑化しそうです9)


(参考文献)
1) Jänne PA, et al. AZD9291 in EGFR inhibitor-resistant non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2015 Apr 30;372(18):1689-99.
2) Greig SL. Osimertinib: First Global Approval. Drugs. 2016 Feb;76(2):263-73.
3) Cross DA, et al. AZD9291, an irreversible EGFR TKI, overcomes T790M-mediated resistance to EGFR inhibitors in lung cancer. Cancer Discov. 2014 Sep;4(9):1046-61.
4) Sequist LV, et al. Rociletinib in EGFR-mutated non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2015 Apr 30;372(18):1700-9.
5) Nanjo S, et al. High efficacy of third generation EGFR inhibitor AZD9291 in a leptomeningeal carcinomatosis model with EGFR-mutant lung cancer cells. Oncotarget. 2016 Jan 26;7(4):3847-56.
6) Planchard D, et al. EGFR-independent mechanisms of acquired resistance to AZD9291 in EGFR T790M-positive NSCLC patients. Ann Oncol. 2015 Oct;26(10):2073-8.
7) Kim TM, et al. Mechanisms of Acquired Resistance to AZD9291: A Mutation-Selective, Irreversible EGFR Inhibitor. J Thorac Oncol. 2015 Dec;10(12):1736-44.
8) Ham JS, et al. Two Cases of Small Cell Lung Cancer Transformation from EGFR Mutant Adenocarcinoma During AZD9291 Treatment. J Thorac Oncol. 2016 Jan;11(1):e1-4.
9) Sequist LV, et al. Osimertinib Responses After Disease Progression in Patients Who Had Been Receiving Rociletinib. JAMA Oncol. 2015 Dec 17:1-3.


by otowelt | 2016-03-22 00:36 | 肺癌・その他腫瘍

非小細胞肺癌治療前のT790M変異はexon19欠失変異よりもL858R変異に合併しやすい

e0156318_1164629.jpg 既知の知見ではありますが。

Chen LY, et al.
Coexistence of EGFR T790M mutation and common activating mutations in pretreatment non-small cell lung cancer: A systematic review and meta-analysis.
Lung Cancer. 2016 Apr;94:46-53.


概要:
 非小細胞肺癌(NSCLC)におけるEGFR exon19欠失変異はEGFR-TKIに対してL858R変異よりもアウトカムが良好であることが過去の研究で示されている。この研究は、治療前NSCLCにおいてはT790Mの耐性変異がexon19欠失変異よりもL858R変異に合併しやすいかどうかを調べたものである。
 治療前にT790M変異および感受性EGFR変異の報告をしているランダム化比較試験および観察研究を2015年11月30日までMEDLINE、EMBASEから抽出した。ランダム効果モデルを用いてメタアナリシスを実施した。プライマリアウトカムは、治療前にL858R変異およびexon19欠失変異とT790M変異が合併するオッズ比である。
 15の観察研究および3のランダム化比較試験が解析に組み込まれた。治療前T790M変異は、exon19欠失変異よりもL858R変異とより合併しやすかった。T790MとL858Rの関連は、観察研究で統計学的に有意なものであったが(オッズ比1.65, 95%信頼区間1.17-2.32)、ランダム化比較試験では有意ではなかった(オッズ比1.84, 95%信頼区間0.96-3.52)。


by otowelt | 2016-03-21 00:58 | 肺癌・その他腫瘍

POPLAR試験:治療歴のある非小細胞肺癌に対してアテゾリズマブはドセタキセルより全生存期間を延長

e0156318_12291546.jpg ご存知かと思いますが、オプジーボはPD-1阻害薬で、アテゾリズマブはPD-L1阻害薬です。

Fehrenbacher L, et al.
Atezolizumab versus docetaxel for patients with previously treated non-small-cell lung cancer (POPLAR): a multicentre, open-label, phase 2 randomised controlled trial.
Lancet. 2016 Mar 9. pii: S0140-6736(16)00587-0.


背景:
 進行性あるいは転移性非小細胞肺癌(NSCLC)の治療歴のある患者アウトカムは不良である。PD-L1抗体であるアテゾリズマブはNSCLCに対して臨床的活性があり、特に腫瘍細胞上にPD-L1を発現している癌に効果的である。われわれは、治療歴のあるNSCLCに対するアテゾリズマブとドセタキセルの効果・安全性を比較し、腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1発現レベルを解析した。

方法:
 このオープンラベル第2相ランダム化比較試験において、プラチナベースの化学療法を受けた後に病勢進行がみられたNSCLC患者を13か国61施設から登録した。適格基準は、ECOG PS0-1、RECIST判定可能な測定病変を有するもの、腫瘍臓器機能に問題がない症例とした。患者はPD-L1腫瘍浸潤免疫細胞ステータス、組織型、過去の治療ライン数によって層別化され、ランダムに1:1にアテゾリズマブ1200mg点滴静注あるいはドセタキセル75mg/m2の3週ごとの投与に割り付けた。ベースラインのPD-L1発現は、腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞の免疫組織化学所見によってスコア化された。プライマリエンドポイントはITT、PD-L1サブグループにおける全生存期間とした。バイオマーカーについても探索的に検査を実施した。

結果:
 患者は2013年8月5日から2014年3月31日までの間に登録され、144人がランダムにアテゾリズマブ群、143人がドセタキセル群に割り付けられた。ITTにおける全生存期間はアテゾリズマブ群12.6ヶ月(95%信頼区間9.7-16.4)、ドセタキセル群9.7ヶ月(95%信頼区間8.6-12.0)であった(ハザード比0.73[95%信頼区間0.53-0.99]、p=0.04)。全生存期間の延長は、PD-L1発現増加と関連していた(TC3 or IC3 ハザード比0.49 [95%信頼区間0.22-1.07; p=0.068], TC2/3 or IC2/3 ハザード比0.54 [95%信頼区間0.33-0.89; p=0.014], TC1/2/3 or IC1/2/3 ハザード比0.59 [95%信頼区間0.40-0.85; p=0.005], TC0 and IC0 ハザード比1.04 [95%信頼区間0.62-1.75; p=0.871])。探索的解析では、治療前の免疫状態の指標としてエフェクターT細胞インターフェロンγ関連遺伝子発現が高いと、全生存期間がアテゾリズマブ群で有意に改善した。アテゾリズマブ群の11人(8%)、ドセタキセル群の30人(22%)が有害事象のため治療を中断した。治療に関連したグレード3-4の有害事象はアテゾリズマブ群の16人(11%)、ドセタキセル群の52人(39%)にみられた。治療関連有害事象によって、アテゾリズマブ群の1人(<1%)、ドセタキセル群の3人(2%)が死亡した。
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(中外製薬ウェブサイトより)

結論:
 治療歴のあるNSCLCに対するアテゾリズマブは、ドセタキセルよりも有意に全生存期間を延長させる。腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞における免疫組織化学的なPD-L1発現に関連した全生存期間の延長は、PD-L1発現がアテゾリズマブによる利益を予測することが示唆される。アテゾリズマブは忍容性が高い。
 

by otowelt | 2016-03-18 00:16 | 肺癌・その他腫瘍

タルセバ+PPIは、コーラを併用すればしっかり吸収される

e0156318_8541491.jpg コカ・コーラは商品名ですが、コーラは一般名です。どうでもいいですけど。タルセバは炭酸飲料と併用するのがよいのかもしれません。

Roelof W.F. van Leeuwen, et al.
Influence of the Acidic Beverage Cola on the Absorption of Erlotinib in Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer


目的:
 エルロチニブの生体内利用率(バイオアベイラビリティ)は胃内pHに依存している。エルロチニブをPPIと併用することで胃内pHが上昇し、臨床的に信頼性のあるエルロチニブの生体内利用率を低下させることにつながる。われわれは、この薬物相互作用が炭酸飲料であるコーラによって軽減できるのではないかという仮説を立てた。エルロチニブの生体内利用率に対するコーラの効果は、PPIで治療されていない患者でも調べられた。

方法:
 この非小細胞肺癌の患者におけるランダム化クロスオーバー試験で、われわれはエソメプラゾール、コーラあるいは水の7日間併用・非併用の条件下でエルロチニブの吸収(AUC0-12h)について調べた。7日目、14日目に患者は検査のために1日入院した。

結果:
 28人の患者が解析に組み込まれた。エルロチニブ+エソメプラゾール+コーラの併用患者では、AUC0-12hは39%上昇した(範囲−12% to 136%; P = .004)。PPI治療を受けていない患者では、平均AUC0-12hはわずかだが高かった(9%; 範囲−10% to +30%; P = .03)。
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(文献より引用)

結論:
 コーラ併用によって、エソメプラゾール治療を受けていてもエルロチニブの吸収が上昇することが分かった。PPI治療を受けていない患者でも、コーラの効果は幾許か認められた(marginal)。


by otowelt | 2016-03-02 00:43 | 肺癌・その他腫瘍