カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 469 )

原発性肺癌のTNM分類(肺癌取扱い規約第8版)

 ウェブサイト上であまりテキスト化されていないので、参考にしてください。病期分類は少し見やすく改変しております。国内では、2017年1月からすでに第8版が使用されています。


T-原発腫瘍
 TX:原発腫瘍の存在が判定できない、あるいは喀痰または気管支洗浄液細胞診でのみ陽性で画像診断や気管支鏡では観察できない
 T0:原発腫瘍を認めない
 Tis:上皮内癌(carcinoma in situ):肺野型の場合は、充実成分径0cmかつ病変全体径≦3cm
 T1:腫瘍の充実成分径≦3cm、肺または臓側胸膜に覆われている、葉気管支より中枢への浸潤が気管支鏡上認められない(すなわち主気管支に及んでいない)
   T1mi:微小浸潤性腺癌:部分充実型を示し、充実成分径≦0.5cmかつ病変全体径≦3cm
   T1a:充実成分径≦1cmでかつTis・T1miには相当しない
   T1b:充実成分径>1cmでかつ≦2cm
   T1c:充実成分径>2cmでかつ≦3cm
 T2:充実成分径>3cmでかつ≦5cm、または充実成分径≦3cmでも以下のいずれかであるもの
 ・主気管支に及ぶが気管分岐部には及ばない
 ・臓側胸膜に浸潤
 ・肺門まで連続する部分的または一側全体の無気肺か閉塞性肺炎がある
   T2a:充実成分径>3cmでかつ≦4cm
   T2b:充実成分径>4cmでかつ≦5cm
 T3:充実成分径>5cmでかつ≦7cm、または充実成分径≦5cmでも以下のいずれかであるもの
 ・臓側胸膜、胸壁(superior sulcus tumorを含む)、横隔神経、心膜のいずれかに直接浸潤
 ・同一葉内の不連続な副腫瘍結節
 T4:充実成分径>7cm、または大きさを問わず横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、反回神経、食道、椎体、気管分岐部への浸潤、あるいは同側の異なった肺葉内の副腫瘍結節

N-所属リンパ節
 NX:所属リンパ節評価不能
 N0:所属リンパ節転移なし
 N1:同側の気管支周囲かつ/または同側肺門、肺内リンパ節への転移で原発腫瘍の直接浸潤を含める
 N2:同側縦隔かつ/または気管分岐下リンパ節への転移
 N3:対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の前斜角筋、鎖骨上窩リンパ節への転移

M-遠隔転移
 M0:遠隔転移なし
 M1:遠隔転移がある
  M1a:対側肺内の副腫瘍結節、胸膜または心膜の結節、悪性胸水(同側・対側)、悪性心嚢水
  M1b:肺以外の一臓器への単発遠隔転移がある
  M1c:肺以外の一臓器または多臓器への多発遠隔転移がある
 ※M1は転移臓器によって以下のように記載する
  肺 PUL  骨髄 MAR  骨 OSS  胸膜 PLE  リンパ節 LYM
  肝 HEP  腹膜 PER  脳 BRA  副腎 ADR  皮膚 SKI  その他 OTH


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(上記すべて肺癌取扱い規約第8版より引用[病期分類表は改変])




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by otowelt | 2017-01-28 21:07 | 肺癌・その他腫瘍

免疫チェックポイント阻害剤によるhyperprogressive disease(HPD)

e0156318_12291546.jpg 多くの臨床家が指摘していることが、論文化されました。

Champiat S et al.
Hyperprogressive disease (HPD) is a new pattern of progression in cancer patients treated by anti-PD-1/PD-L1.
Clin Cancer Res. 2016 Nov 8. [Epub ahead of print]


背景・目的:
 免疫チェックポイント阻害剤はがん患者の治療に一石を投じている一方で、当該薬剤による急速な腫瘍増大(hyperprogressive diseaseあるいはHPD)が報告されており、その潜在的な悪影響が示唆されている。PD-1/PD-L1抗体によって治療されたがん患者におけるHPDの頻度、自然経過、予測因子についてはまだ分かっていない。

方法:
 本研究は、フランスGustave Roussy癌センターでのPD-1/PD-L1抗体の第1相試験における全患者(218人)の診療録を抽出した研究である。腫瘍増大率(TGR)を治療前(REFERENCE)、治療後(EXPERIMENTAL)の間で算出した。TGRと臨床病理学的背景、全生存期間(OS)を比較した。
 対象疾患のうち、肺癌は全体の約10%である。

結果:
 HPDは、RECISTでの初回評価がPDであって、TGRが治療前後で2倍以上になったものと定義された。131人の患者のうち、12人(9%)がHPDと考えられた。HPDはベースラインの腫瘍の大きさや病理組織型とは関連していなかった。PDの時点で、HPDを示した患者では非HPD患者と比較して新規病変が少なかった(p<0.05)。HPDは高齢(p<0.05)、OS不良と関係した。興味深いことに、治療前TGRは抗PD-1/PD-L1治療の奏効と逆相関を示した(p<0.05)。
 腫瘍細胞がPD-L1陽性かどうかはHPDとは関連していなかった。

結論:
 本研究から、抗PD-1/PD-L1治療をした患者の一部に急速な増悪(HPD)があることが示された。このことは高齢患者(65歳超)の抗PD-1/PD-L1単剤治療に懸念が示される。

by otowelt | 2016-11-18 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

KEYNOTE-021試験:進行非扁平上皮非小細胞癌の一次治療においてプラチナ併用療法+キイトルーダ®は有効

e0156318_9555458.jpg KEYNOTE-024試験の興奮さめやらぬ中、KEYNOTE-021試験が論文化です。既知の知見です。
 第III相試験のKEYNOTE-189(Study of Platinum+Pemetrexed Chemotherapy With or Without Pembrolizumab (MK-3475) in Participants With First Line Metastatic Non-squamous Non-small Cell Lung Cancer (MK-3475-189/KEYNOTE-189))(同レジメン)、KEYNOTE-407(A Study of Carboplatin-Paclitaxel/Nab-Paclitaxel Chemotherapy With or Without Pembrolizumab (MK-3475) in Adults With First Line Metastatic Squamous Non-small Cell Lung Cancer (MK-3475-407/KEYNOTE-407))(カルボプラチン+パクリタキセルorアブラキサン®)の結果次第でオプジーボ®を引き離すか。

Langer CJ et al.
Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study.
Lancet Oncol. 2016 Oct 10. pii: S1470-2045


背景:
 進行非扁平上皮非小細胞肺癌の一次治療では、プラチナ併用療法にもう一剤追加するエビデンスは限られている。抗PD-1抗体であるペムブロリズマブは単剤で進行非扁平上皮非小細胞肺癌に効果があり、毒性プロファイルは化学療法と重複しないことが分かっている。本研究ではプラチナ併用療法にペムブロリズマブを上乗せする効果について評価した。

方法:
 このオープンラベルphaseII試験(KEYNOTE-021)はアメリカと台湾の26施設が参加して実施された。患者はIIIBまたはIVの非扁平上皮非小細胞肺癌でEGFR遺伝子変異、ALK変異が陰性のものである。腫瘍細胞のPD-L1発現(1%未満、1%以上)で層別化され、ランダムに1:1に割り付けられた。治療群は、ペムブロリズマブ200mgをカルボプラチン(AUC5)+ペメトレキセド500mg/m2を3週ごとに4サイクル投与し、その後24ヶ月間ペムブロリズマブで維持療法を行う群と、カルボプラチン+ペメトレキセド4サイクル後ペメトレキセド維持療法を行う群である。プライマリエンドポイントはITT集団での奏効率で、独立判定委員会によって評価された。片側P<0.025を有意とし、安全性評価は治療を一度でも受けたものを治療群ごとに検討した。

結果:
 2014年~2016年に123人が登録され、60人がペムブロリズマブ+化学療法群、63人が化学療法群に割り付けられた。ペムブロリズマブ+化学療法群では33人(55%、95%信頼区間42-68)が奏効し、化学療法のみでは18人(29%、95%信頼区間18-41)が奏効した(治療差26%[95%信頼区間9-42% ],P=0.0016)。
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(文献より引用:腫瘍径)

 無増悪生存期間(PFS)は、ペムブロリズマブ+化学療法群13.0ヶ月(95%信頼区間8.3-未到達) vs 化学療法群8.9ヶ月(95%信頼区間4.4–10.3)だった(ハザード比は0.53、95%信頼区間0.31-0.91、p=0.0102)。全生存期間(OS)はクロスオーバーの効果があったため有意差はなし(ハザード比0.90、95%信頼区間0.42–1.91)。
 グレード3以上の有害事象は両群とも同等でそれぞれ39%、26%だった。なかでもよく見られたものは、ペムブロリズマブ+化学療法群で貧血(12%)、好中球減少(5%)がみられ、その他2%ずつに急性腎障害、リンパ球減少、疲労感、好中球減少、敗血症、血小板減少がみられた。化学療法群は貧血(15%)、好中球減少、汎血球減少、血小板減少がみられた。治療関連死亡はペムブロリズマブ+化学療法で敗血症によるものが1人(2%)おり、化学療法群でも2人(3%)が敗血症・汎血球減少により死亡した。
 
結論:
 進行非扁平上皮非小細胞肺癌の一次治療として、カルボプラチン+ペメトレキセドにペムブロリズマブを上乗せする治療は効果があり、忍容性があった。この結果は現在進行中のランダム化第III相試験でさらに検討されるべきであろう。


by otowelt | 2016-10-27 00:51 | 肺癌・その他腫瘍

KEYNOTE-024試験:PD-L1高発現の進行NSCLCに対してキイトルーダ®は標準化学療法より生存期間延長

e0156318_9555458.jpg 論文化されました。肺癌の治療を変える歴史的報告です。事前にクロスオーバーが認められているにもかかわらず、全生存期間に明らかな差がみられています。

Martin Reck, et al.
Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer.
N Engl J Med. October 9, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1606774


背景:
 ペムブロリズマブは進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する抗腫瘍活性を有するト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であり、とりわけPD-L1を発現している腫瘍に活性が高い。

方法:
 オープンラベル第III相ランダム化比較試験において、少なくとも腫瘍細胞にPD-L1が50%以上発現しているEGFR遺伝子変異あるいはALK遺伝子転座のない、102施設305人の未治療進行NSCLC患者が登録された(D-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイ[Dako North America社]を使用)。
 なお、本研究でPD-L1を解析された1653人のうち、PD-L1発現が50%を超えていたのは500人(30.2%)だった
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(スクリーニング登録:Fig. S1 in the Supplementary Appendixより引用改変)

 患者は、ペムブロリズマブ(固定量200mg3週ごと)あるいは医師選択のプラチナベース化学療法のいずれかを受けた(パクリタキセル+カルボプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチン、ペメトレキセド+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、ゲムシタビン+シスプラチンのいずれか)。投与は35サイクルまでか増悪が認められるまで行われた。病勢進行時、化学療法群からペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを容認した。
 プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とした。セカンダリエンドポイントに全生存期間(OS)、客観的奏効率、安全性を設定した。

結果:
 PFS中央値はペムブロリズマブ群10.3ヶ月(95%信頼区間6.7-未到達)、化学療法群6.0ヶ月(95%信頼区間4.2-6.2)だった(病勢進行あるいは死亡に対するハザード比0.50、95%信頼区間0.37-0.68; P<0.001)。
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(PFS:文献より引用改変)

 6ヶ月時の全生存はペムブロリズマブ群80.2%、化学療法群72.4%だった(死亡に対するハザード比0.60、95%信頼区間0.41-0.89; P=0.005)。
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(OS:文献より引用改変)

 奏効率はペムブロリズマブ群の方が化学療法群よりも高かった(44.8% vs. 27.8%)。また奏効期間中央値もペムブロリズマブ群の方が長かった(未到達[1.9~14.5ヶ月] vs. 6.3ヶ月[2.1~12.6ヶ月])。治療関連有害事象についてもどのグレードもペムブロリズマブ群の方が頻度が低かった(73.4% vs. 90.0%、グレード3-5は26.6% vs. 53.3%)。

結論:
 進行NSCLCでPD-L1発現が腫瘍細胞に少なくとも50%みられる患者に対して、ペムブロリズマブは化学療法と比較してPFSおよびOSが有意に延長し、有害事象も少なかった。

Discussion:
・PD-L1高発現について
 今回の研究で観察されたPD-L1発現50%以上の頻度が30.2%という結果は、過去のKEYNOTE-001試験(24.9%)(Lancet 2016; 387: 1540-50.)、KEYNOTE-010試験(28%)(N Engl J Med 2015;372: 2018-28)と同程度のものである。現在進行している第III相試験であるKEYNOTE-042試験においてPD-L1発現1%以上の患者群における化学療法の有益性が明らかになるかもしれない。


by otowelt | 2016-10-15 00:37 | 肺癌・その他腫瘍

IASLC Mesothelioma Staging Project:悪性胸膜中皮腫TNM分類

 AJCC/IUCC第8版に向けて、悪性胸膜中皮腫のIASLC Mesothelioma Staging Projectが進んでいます。T、N、Mごとに別々に論文が3つ掲載されていますが、最終的な推奨はMの論文のTable 4aに記載されています。
 日本語訳したものを掲載します。切り貼りしたのでフォントがごちゃごちゃしています、申し訳ありません。
 T1aとT1bがT1に統合され、またN1とN2が統合され新しいN1になりN3がN2に繰り上がりました。

Harvey Pass, et al.
The IASLC Mesothelioma Staging Project: Improving Staging Of A Rare Disease Through International Participation
JTO, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jtho.2016.09.123


Anna K. Nowak, et al.
The IASLC Mesothelioma Staging Project: Proposals for Revisions of the T descriptors in the forthcoming Eighth edition of the TNM classification for pleural mesothelioma
JTO, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jtho.2016.08.147


David Rice, et al.
The IASLC Mesothelioma Staging Project: Proposals for Revisions of the N Descriptors in the Forthcoming Eighth Edition of the TNM Classification for Pleural Mesothelioma
JTO, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jtho.2016.09.121


Valerie W. Rusch, et al.
The IASLC Mesothelioma Staging Project: Proposals for the M Descriptors and for Revision of the TNM Stage Groupings in the Forthcoming (Eighth) Edition of the TNM Classification for Mesothelioma
JTO, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jtho.2016.09.124


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by otowelt | 2016-10-10 00:49 | 肺癌・その他腫瘍

日本人非小細胞肺癌の二次治療におけるラムシルマブ+ドセタキセルはドセタキセル単剤よりPFSを延長

e0156318_11111377.jpg 今後使用することになるであろうサイラムザ®の試験です。REVEL試験と同様の結果が日本でも得られています。

Yoh K, et al.
A randomized, double-blind, phase II study of ramucirumab plus docetaxel vs placebo plus docetaxel in Japanese patients with stage IV non-small cell lung cancer after disease progression on platinum-based therapy.
Lung Cancer. 2016 Sep;99:186-93. doi: 10.1016/j.lungcan.2016.07.019. Epub 2016 Jul 18.


目的:
 ラムシルマブは血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR-2)に対するヒト型モノクローナル抗体である。ラムシルマブ+ドセタキセルは、プラチナ製剤治療後の病勢進行がみられた非小細胞肺癌(NSCLC)に対して生存期間を延長する。この第II相二重盲検ランダム化プラセボ対照試験では、日本人NSCLC患者におけるラムシルマブ+ドセタキセルによる二次治療の効果と安全性を検証した。

方法:
 2012年12月19日~2015年5月22日までに、日本の28施設からプラチナ製剤治療後に病勢進行がみられたNSCLC患者を登録し、ドセタキセル60mg/m2(21日ごと)投与後にラムシルマブ10mg/kgあるいはプラセボを投与する群にランダムに割り付けた。すでにEGFR-TKI単剤治療を受けた患者は当該被験者(primary population)には組み入れなかった。しかし、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者でEGFR-TKIを使用した患者は別途探索的集団として組み入れた。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とし、セカンダリアウトカムに全生存期間、腫瘍奏効率、安全性を設定した。

結果:
 primary populationにおいて(160人がランダム化、157人が治療を受けた)、PFS中央値はラムシルマブ+ドセタキセル群の方がプラセボ+ドセタキセル群より長かった(5.22ヶ月[95%信頼区間3.52-6.97]; n=76 vs 4.21ヶ月[95%信頼区間2.83-5.62]; n=81)。ハザード比は0.83 (95%信頼区間0.59-1.16)だった。全生存期間中央値は15.15ヶ月(95%信頼区間12.45-26.55) vs 14.65ヶ月(95%信頼区間11.93-24.44)だった(ハザード比0.86 [95%信頼区間0.56-1.32])。客観的奏効率は28.9% vs 18.5%で、疾患制御率は78.9% vs 70.4%だった(統計学的な有意差はつかず)。ほとんどの有害事象は同等で、発熱性好中球減少症はラムシルマブ+ドセタキセル群で多くみられた(34.2% vs19.8%)。

結論:
 日本人NSCLC患者におけるラムシルマブ+ドセタキセルの二次治療はREVEL試験で観察されたようにPFSを延長し、安全性プロファイルも良好だった。


by otowelt | 2016-09-20 00:32 | 肺癌・その他腫瘍

EGFR陽性の非扁平上皮非小細胞肺癌へのペメトレキセド+ゲフィチニブはゲフィチニブ単剤よりPFS延長

e0156318_7422892.jpg 有害事象の上乗せが強くなければ良い治療オプションになりそうですね。

Ying Cheng, et al.
Randomized Phase II Trial of Gefitinib With and Without Pemetrexed as First-Line Therapy in Patients With Advanced Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer With Activating Epidermal Growth Factor Receptor Mutations
JCO Published online before print August 9, 2016, doi: 10.1200/JCO.2016.66.9218


目的:
 EGFR遺伝子変異陽性の進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対して、ゲフィチニブにペメトレキセドを加える治療が、ゲフィチニブ単剤よりも臨床的な利益があるかどうか検証した。

患者および方法:
 中国、日本、韓国、台湾の35施設において、化学療法治療歴のないEGFR遺伝子変異陽性の進行非扁平上皮非小細胞肺癌患者を登録し、ランダムに2:1にペメトレキセド群(500mg/m2 21日ごと)+ゲフィチニブ(250mg/日)(129人)あるいはゲフィチニブ単剤(66人)に割り付けた。プライマリエンドポントは、無増悪生存期間(PFS)、セカンダリエンドポイントは病勢進行までの期間、全生存期間、奏効率、奏効期間、安全性とした。

結果:
 PFSは併用群で有意に延長した(中央値15.8ヶ月、95%信頼区間12.6 to 18.3 vs 10.9ヶ月、95%信頼区間9.7 to 13.8; 補正ハザード比0.68; 95%信頼区間0.48 to 0.96; 片側P =0.014; 両側P =0.029)。EGFR exon19欠失変異およびexon21 L858R点突然変異のサブグループ解析を実施しても、ITTの結果と同様であった。併用群ではゲフィチニブ単剤群と比較すると病勢進行までの期間が延長し(中央値16.2ヶ月 v 10.9ヶ月、ハザード比0.66; 95%信頼区間0.47 to 0.93)、数値上の奏効期間も有意ではないが延長した(中央値15.4ヶ月 v 11.3ヶ月、ハザード比0.74; 95%信頼区間0.50 to 1.08)。腫瘍奏効率に有意差はみられなかった。全生存期間はimmatureだった。薬剤によるgrade 3あるいは4の有害事象は併用群でよくみられたが、毒性はマネジメント可能であった。
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(文献より引用:PFS[ITT])

結論:
 東アジア人のEGFR遺伝子陽性非扁平上皮非小細胞肺癌患者ではペメトレキセド+ゲフィチニブの併用はゲフィチニブ単剤と比較してPFSを延長した。現時点での標準治療と比較して、これらの併用治療は新しい治療オプションとなりえ、臨床アウトカムを改善させるかもしれない。


by otowelt | 2016-09-16 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

大気汚染物質への曝露は肺癌の生存期間に不利益

e0156318_13261090.jpg 数値だけみると、PM2.5の影響が大きいようにも見えますね。

Sandrah P Eckel, et al.
Air pollution affects lung cancer survival
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207927


背景:
 大気汚染への曝露は肺癌の頻度や死亡率を上昇させるとされているが、その致命率の高さから、大気汚染が診断後の生存に与える影響についてはよく分かっていない。この研究は、大気汚染物質への曝露が肺癌患者の生存と関連するかどうか調べたものである。

方法:
 カリフォルニア癌レジストリーにおいて1988~2009年の間に新規に肺癌と診断された352053人の患者が登録された。平均居住大気汚染濃度を追跡期間で調査っした。Cox比例ハザードモデルを用いて、地域ごとの大気汚染が肺癌の総死亡および病期ごと・組織別の死亡と関連しているかどうかハザード比を算出して調べた。

結果:
 組織および潜在的交絡因子によって補正すると、局所型の肺癌では、NO2、O3、PM10、PM2.5が1SD増加するごとにハザード比はそれぞれ1.30(95%信頼区間1.28-1.32)、1.04(95%信頼区間1.02-1.05)、1.26(95%信頼区間1.25-1.28)、1.38(95%信頼区間1.35-1.41)となった。進行病期では補正ハザード比は小さくなり、組織型や細かい病期ごとに差がみられた。もっとも影響を強く受けたのは、早期非小細胞肺癌患者で、特に腺癌の患者だった。

結論:
 肺癌診断後の大気汚染曝露が生存期間を短縮するという疫学的仮説が支持された。曝露を減少させることによる影響も、今後評価するべきである。


by otowelt | 2016-08-16 00:11 | 肺癌・その他腫瘍

癌性リンパ管症合併例におけるtotal lesion glycolysis (TLG)の有用性

e0156318_11464189.jpg TLGはSUVmeanとMTVの積です。TLGは糖代謝と容積の両方が加味された指標であるため、腫瘍活動性の評価に良いとする報告が増えています。

Ooi H, et al.
Fluorodeoxyglucose Uptake in Advanced Non-small Cell Lung Cancer With and Without Pulmonary Lymphangitic Carcinomatosis.
Anticancer Res. 2016 Aug;36(8):4313-20.



目的:
 癌性リンパ管症を合併した/していない進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、FDG集積と生存アウトカムとの関連性を調べること。

患者および方法:
 われわれは後ろ向きに157人のNSCLC患者をレビューした。SUVmeanおよびSUVmax、metabolic tumor volume (MTV)、total lesion glycolysis (TLG)が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)に与える影響が評価された。

結果:
 癌性リンパ管症群に55人、非癌性リンパ管症群に102人の患者が登録された。SUVmean、SUVmax、MTV、TLGは非癌性リンパ管症群で低かった。癌性リンパ管症群では原発性肺腫瘍TLGは有意にPFSを予測し、whole-body TLGは非癌性リンパ管症群で有意な予測因子であることが分かった。

結論:
 原発性肺腫瘍TLGは、癌性リンパ管症合併例でPFSの有意な予測因子であったが、whole-body TLGは癌性リンパ管症がない症例のみで有効な予測因子であった。


by otowelt | 2016-08-11 00:37 | 肺癌・その他腫瘍

CheckMate-032試験:既治療小細胞肺癌に対するニボルマブ+イピリムマブの有用性

e0156318_8501268.jpg CheckMate-026試験で巷はにぎわっていますが、今日は敢えてCheckMate-032試験を読みました。

Antonia SJ et al.
Nivolumab alone and nivolumab plus ipilimumab in recurrent small-cell lung cancer (CheckMate 032): a multicentre, open-label, phase 1/2 trial.
Lancet Oncol. 2016 Jul;17(7):883-95.


背景:
 プラチナベースの抗癌剤投与後に病勢進行した小細胞肺癌(SCLC)の治療は限られている。過去に1レジメン以上の治療で病勢進行したSCLCに対するニボルマブおよびニボルマブ+イピリムマブの安全性と効果について検証した。

方法:
 第I/II相試験として、6ヶ国23施設が参加したオープンラベル試験である。適格基準は、18歳以上のLD-SCLCあるいはED-SCLCで、少なくとも過去にプラチナベースの抗癌剤治療を1レジメン以上実施され病勢進行を認めた患者とした。患者はニボルマブ(3mg/kg点滴)を2週ごとを病勢進行あるいは毒性に耐えられなくなるまで投与される群か、ニボルマブ+イピリムマブ(1mg/kg+1mg/kg[安全性用量漸増]、1mg/kg+3mg/kg、3mg/kg+1mg/kg点滴)を3週ごと4サイクル投与されその後ニボルマブ3mg/kgを2週に投与される群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは各医師評価による奏効率である。
 この試験は現在進行形であるが、中間解析結果を報告することとした。

結果:
 2013年11月18日から2015年7月28日までに合計216人が登録された(98人:ニボルマブ3mg/kg、3人:ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ1mg/kg、61人:同1mg/kg+3mg/kg、54人:同3mg/kg+1mg/kg)。患者の観察期間中央値はそれぞれ198.5日、302日、361日、260.5日だった。
 客観的奏効率はニボルマブ単剤群10%、ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ1mg/kg群33%、同1mg/kg+3mg/kg群23%、同3mg/kg+1mg/kg19%だった。グレード3あるいは4の有害事象は、ニボルマブ単剤群13%、ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kg群30%、ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kg群19%にみられ、頻度が高いものとしてリパーゼ上昇、下痢があった。
 毒性による治療中止は、ニボルマブ単剤群6%、ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kg群11%、ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kg群7%だった。ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kg群のうち2人に治療関連死がみられた(重症筋無力症、腎不全)。また、ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kgでも肺臓炎による死亡があった。

結論:
 既治療のSCLCに対するニボルマブとニボルマブ+イピリムマブは抗腫瘍効果があり、長期奏効を維持でき、毒性は対処可能であることがわかった。さらなる第III相試験で評価することを支持する研究結果であった。


by otowelt | 2016-08-10 00:34 | 肺癌・その他腫瘍