カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 455 )

吸入ステロイド薬は肺癌を減らさない

e0156318_8532618.jpg 吸入ステロイド薬(ICS)は、肺癌のリスクを下げるのではないかというのは呼吸器内科医にとって意見の分かれている問題です。メタアナリシスは今のところありません。

・ICSが肺癌のリスクを減らすという報告:Respir Med. 2013 Aug;107(8):1222-33. (コホート内症例対照研究:韓国)、Am J Respir Crit Care Med. 2007 Apr 1;175(7):712-9.(前向きコホート研究:アメリカ)、Respir Med. 2009 Jan;103(1):85-90. (後ろ向きコホート研究:イギリス)
・ICSが肺癌のリスクを減らさないという報告:Ther Clin Risk Manag. 2015 Mar 26;11:489-99. (人口ベースコホート研究:台湾)

 台湾から2つ目の報告です。

Jian ZH, et al.
The use of corticosteroids in patients with COPD or asthma does not decrease lung squamous cell carcinoma.
BMC Pulm Med. 2015 Dec 3;15:154. doi: 10.1186/s12890-015-0153-5.


背景:
 気管支喘息およびCOPDは遷延性の気道炎症性疾患であり、肺癌の罹患と関連している。この研究の目的は、ICS・経口ステロイド(OCS)が肺扁平上皮癌(SqCC)のリスクと関連しているかどうか調べたものである。

方法:
 これは台湾におけるコホート内症例対照研究である。気管支喘息あるいはCOPDと2003~2010年に新規に診断された患者情報をデータベースから抽出した。登録後、SqCCと診断された患者を“症例”として定義した。それぞれの症例について、4人のコントロール患者を設定した。

結果:
 167万人余りの対象者から、793人のSqCC患者と3172人のコントロール患者が登録された。高用量ICSおよび低用量ICSを受けている男性においてSqCCのオッズ比はそれぞれ2.18 (95%信頼区間1.56-3.04)、1.77 (95%信頼区間1.22-2.57)だった。同様に、低用量・高用量OCSを投与されている男性では、オッズ比はそれぞれ1.46 (95%信頼区間1.16-1.84)、1.55 (95%信頼区間1.22-1.98)だった。しかしながら、女性ではこのリスクは観察されなかった。ステロイドが直近で増量されていた患者はSqCCのリスクが高かった。特に男性において、そのSqCCのリスクは高用量ICS+OCSで8.08(95%信頼区間3.22-20.30)、高用量ICSで4.49(95%信頼区間2.05-9.85)、高用量OCSで3.54(95%信頼区間2.50-5.01)と高かった。女性では高用量OCSによるSqCCリスクはオッズ比6.72(95%信頼区間2.69-16.81)であった。

結論:
 気管支喘息あるいはCOPD患者においてステロイドはSqCCを減らさなかった。直近でステロイドが増量されていると、むしろSqCCのオッズ比は高くなった。


by otowelt | 2015-12-22 00:31 | 肺癌・その他腫瘍

緩和ケアを受ける進行癌患者に対する持続的鎮静は生存期間の短縮とは関連していない

e0156318_1040354.jpg 素晴らしい研究です。
 CDS群の生存期間中央値は27日。これは鎮静開始からではなく、緩和ケア開始からの日数であることに注意して論文を読む必要があります。鎮静後の生存期間に差のないということが証明されたわけではありませんが、個人的には差がないと思っています。

Maeda I, et al.
Effect of continuous deep sedation on survival in patients with advanced cancer (J-Proval): a propensity score-weighted analysis of a prospective cohort study.
Lancet Oncol. 2015 Nov 20. pii: S1470-2045(15)00401-5. doi: 10.1016/S1470-2045(15)00401-5. [Epub ahead of print]


背景:
 死亡前の緩和ケアの一環としての持続的鎮静:Continuous deep sedation (CDS)は、強い議論の的であり、特に生存期間を短縮するのではないかという懸念があった。われわれは、傾向スコアマッチを用いて、CDSが患者の生存期間を短縮するのかどうか、またCDS中の輸液負荷の効果が生存期間にもたらす効果を調べた。

方法:
 これは日本の58施設において2012年9月3日から2014年4月30日まで登録された、大規模多施設共同前向きコホート研究の二次解析である。20歳以上の緩和ケアを受けた進行癌患者がこの二次解析に登録された。アウトカム変数のデータがない例、180日を超えて生存した例は除外した。CDSを受けた患者と受けなかった患者の登録後の生存期間を比較した。登録時の患者特性、病状、症状をコントロールするために傾向スコアマッチを用いた。

結果:
 2426人の進行癌患者が登録され、289人(12%)が180日を超えて生存し、310人(13%)がデータ確認ができなかったため、残りの1827人で解析がおこなわれた。そのうち、269人(15%)がCDSを受けた。生存期間中央値は、CDS群で27日(95%信頼区間22-30日)、非CDS群で26日(95%信頼区間24-27日)であった(差中央値-1日[95%信頼区間-5 to 4]; ハザード比0.92 [95%信頼区間0.81-1.05]; log-rank p=0.20)。傾向スコアマッチをおこなうと、これらの数値はそれぞれ22日(95%信頼区間21-24)、26日(95%信頼区間24-27)となった(差中央値-1日[95%信頼区間-6 to 4]; ハザード比1.01 [95%信頼区間0.87-1.17]; log-rank p=0.91)。年齢(pinteraction=0.67), 性別(pinteraction=0.26), PS(pinteraction=0.90), 輸液量(pinteraction=0.14)は鎮静と生存期間の関連に影響を与えなかったが、ケアセッティングは有意な影響を及ぼした(pinteraction=0.021)。

結論:
 緩和ケアを受ける進行癌患者におけるCDSは、生存期間の短縮とは関連していなかった。また、こうした状況ではCDSは緩和ケアの選択肢として一考に値する。


by otowelt | 2015-12-08 00:05 | 肺癌・その他腫瘍

高齢者LD-SCLCに対する化学放射線治療は化学療法単独よりも生存期間を延長

e0156318_12204311.jpg 高齢者でも放射線治療を併用したほうがOSが延長するという報告です。OSは逐次併用よりも同時併用の方がよいという結果ですが、3年生存率ではほとんど差がないようです(Kaplan-Meier曲線がクロス)。

Christopher D. Corso, et al.
Role of Chemoradiotherapy in Elderly Patients With Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer
JCO October 19, 2015


目的:
 大規模国内データベースを用いて、化学療法単独と化学放射線治療を受けた高齢者患者のアウトカムを比較すること。

方法:
 2003年から2011年までの間、国内癌データベースにおいて、化学療法単独および化学放射線治療を受けた病期I~IIIの70歳以上の限局型小細胞肺癌(LD-SCLC)患者が登録された。報告施設による階層混合効果ロジスティック回帰の上、治療選択に関連する因子を同定した。化学療法単独と化学放射線治療を受けた患者の全生存期間(OS)がlog-rank testおよびCox比例ハザード回帰によって比較された(傾向スコアマッチング)。

結果:
 8637人の患者のうち、3775人(43.5%)が化学療法単独で治療され、4862人(56.3%)が化学放射線治療を受けた。化学放射線療法を受けるオッズは、加齢、病期III、女性、合併症の存在によって低下していた(すべてP < .01)。単変量および多変量解析において、化学放射線治療は全生存期間の延長と関連していた(OS中央値15.6ヶ月 vs. 9.3ヶ月、3年生存率22% vs. 6.3%、log-rank P<0.001; Cox P<0.001)。
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(文献より引用:OS[Figure 2A])

 傾向スコアでマッチさせた6856人について比較すると、化学放射線治療による生存的利益が得られた(ハザード比0.52、95%信頼区間0.50-0.55、P < .001)。診断から4ヶ月後に生存していた患者のサブセット解析では、放射線同時併用群が逐次併用群の生存期間を上回っていた(17.0ヶ月 vs. 15.4ヶ月、log-rank P = .01)。
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(文献より引用:Figure 4)

結論:
 高齢者LD-SCLCにおいて、最近の化学放射線治療は化学療法単独と比較して生存的利益が得られるだろう。毒性に忍容性があれば高齢者LD-SCLCの治療選択として化学放射線治療が選択されるべきと考える。


by otowelt | 2015-11-09 00:04 | 肺癌・その他腫瘍

肺癌診断前の腫瘍マーカーの有用性

e0156318_12291546.jpg 当院ではCEA、CYFRA21-1、ProGRPの3種類を主に使用しています。腺癌でもCEAとProGRPの両方上昇していたり、初診時の評価で使用するのは難しいと感じることもあります。

Rafael Molina, et al.
Assessment of a Combined Panel of Six Serum Tumor Markers for Lung Cancer
Am J Respir Crit Care Med. First published online 14 Oct 2015 as DOI: 10.1164/rccm.201404-0603OC


背景:
 われわれはこれまでに6つの腫瘍マーカーが肺癌の存在と関連していることを報告した(CEA, CA15.3, SCC, CYFRA 21-1, NSE, ProGRP)。

目的:
①独立コホートにおける腫瘍マーカーのパフォーマンスを確認する
②腫瘍マーカーの組み合わせによる診断(腫瘍マーカーが1つ以上異常)が肺癌の存在により精度の高いものかどうか調べること

方法:
 われわれの施設において、肺癌が臨床的に疑われた連続患者3144人に対して6つの腫瘍マーカーを測定した。カットオフ値:CEA 5 ng/ml;CYFRA21-1 3.3 ng/ml; SCC 2 ng/ml; CA15.3 35 U/ml; NSE 25 ng/ml; ProGRP 50 pg/ml。

結果:
 1316人は肺癌ではなく、1828人が肺癌と診断された。1563人が非小細胞肺癌で、265人が小細胞肺癌だった。
 個々の腫瘍マーカーについては過去に報告されているパフォーマンスと同等であることを確認できた。
 肺癌のない患者と比較すると、肺癌のある患者では有意に腫瘍マーカーの異常がみられる頻度が多かった。
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(Figure2:文献より引用)

 腫瘍マーカーの組み合わせによるアセスメント(1つ以上の腫瘍マーカーが異常)は、感度、特異度、陰性適中率、陽性適中率がそれぞれ88.5%, 82%, 83.7%, 87.3%であった。
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(Table3:文献より引用)

 腫瘍径、年齢、喫煙歴を加味するとさらに診断パフォーマンス(AUC)は向上した。しかしながら、腫瘍径が3cm未満の結節影がある患者では腫瘍マーカーアセスメントの陰性適中率は71.8%だった。NSEとProGRPは小細胞肺癌と非小細胞肺癌のリスク差の同定に有用であった。

結論:
 肺癌が疑われた患者において、6つの腫瘍マーカーを組み合わせてアセスメントすると診断精度が高いと言える。


by otowelt | 2015-10-30 00:45 | 肺癌・その他腫瘍

ALK陽性肺癌に対するファーストラインALK阻害薬治療後、セカンドラインALK阻害薬に移行する戦略は妥当

e0156318_21153247.jpg ALK陽性肺癌に対する治療戦略の話題です。ザーコリ→アレセンサか、beyond PDでザーコリを継続するか。

Chiari R, et al.
Clinical impact of sequential treatment with ALK-TKIs in patients with advanced ALK-positive non-small cell lung cancer: Results of a multicenter analysis.
Lung Cancer. 2015 Sep 14. pii: S0169-5002(15)30053-2. doi: 10.1016/j.lungcan.2015.09.009. [Epub ahead of print]


目的:
 ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)はALK-TKIに感受性である。しかしながら、ファーストラインのALK-TKIの治療後に悪化した場合のセカンドラインのALK-TKIの利益についてはよく分かっていない。

方法:
 われわれは、イタリアの3施設において1つ以上のALK-TKIによって治療されたALK陽性NSCLC患者69人のデータを収集した。ALK-TKIによる臨床アウトカムおよびファーストラインALK-TKIの治療後に悪化した際の治療パターンについて記録した。

結果:
 ファーストラインALK-TKI(ほとんどがクリゾチニブ)による客観的奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)中央値はそれぞれ60.9%、12ヶ月であった。ファーストラインALK-TKI治療後に悪化した50人の患者のうち、22人はさらにセカンドラインALK-TKI(セリチニブあるいはアレクチニブ)へとスイッチした。その際のORRは86.4%であり、PFS中央値は7ヶ月であった。反面、13人の患者はファーストラインALK-TKIの中断後急速に病勢が進行した。7人がbeyond PDの状態でファーストラインALK-TKIが継続された。8人はALK-TKI以外の抗癌剤治療へ移行した。22人のセカンドラインALK-TKIを受けた患者の増悪後生存期間(PPS)は他の抗癌剤治療をうけた患者より有意に良好であったが(P=0.03)、beyond PDの状態でファーストラインALK-TKIを継続した患者との間に有意差はなかった(P=0.89)。

結論:
 ファーストラインALK-TKI治療後に病勢が進行した患者において、セカンドラインALK-TKI治療は有効である。また、beyond PDでファーストラインALK-TKIを継続する治療も臨床アウトカムの改善と関連しているかもしれない。


by otowelt | 2015-10-26 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

CheckMate-057試験:既治療進行非扁平上皮非小細胞肺癌へのニボルマブはドセタキセルより全生存期間を延長

e0156318_8501268.jpg紹介するまでもありませんが、CheckMate-057試験の結果です。

Borghaei H, et al.
Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer.
N Engl J Med. 2015 Sep 27. [Epub ahead of print]


背景:
 ニボルマブは完全ヒト型IgG4 PD-1免疫チェックポイント阻害抗体であり、抗腫瘍効果が期待されている。

方法:
 これはランダム化オープンラベル国際共同第III相試験であり、われわれはプラチナ製剤を用いた2剤併用レジメンによる1次治療中ないしは治療終了後に再発・病勢進行(PD)した病期IIIB/IVの非扁平上皮非小細胞肺癌の患者を対象とした。患者はニボルマブ3mg/kgを2週ごとに静脈内投与する群あるいはドセタキセル75mg/m2を3週ごとに静脈内投与する群にランダムに割り付けられた。治療は、PDあるいは毒性による治療中止となるまで続けられた。プライマリエンドポイントは全生存期間(OS)とした。

結果:
 2012年11月~2013年12月に合計582人が登録され、ニボルマブ群に292人、ドセタキセル群に290人が割り付けられた。そのうち、287人、268人が治療を受けた。登録患者の年齢は中央値で62歳、男性が55%で、PS 1が69%、病期IVが92%だった。前治療成績は、完全奏効(CR)・部分奏効(PR)が24%、安定(SD)が34%、悪化(PD)が39%。
 13.2か月時点におけるOS中央値は、ニボルマブ群が12.2か月(95%信頼区間9.7~15.0)と、ドセタキセル群の9.4か月(95%信頼区間8.1~10.7)に比べ統計学的に有意に延長した(死亡ハザード比0.73、96%信頼区間0.59~0.89、p=0.002)。1年生存率はニボルマブ群が51%(95%信頼区間45~56)、ドセタキセル群は39%(95%信頼区間33~45)だった。
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(全生存期間:文献より引用)

 ニボルマブ群は、事前に規定されたPD-L1発現レベル(≧1%、≧5%、≧10%)のいずれにおいても、全エンドポイントがドセタキセル群より良好であった。
 有害事象は、ニボルマブ群が69%、ドセタキセル群は88%とニボルマブ群で頻度が少なかった。ニボルマブ群で多い有害事象として、疲労(16%)、悪心(12%)、食欲減退(10%)、無力症(10%)など。

結論:
 プラチナ製剤を用いた2剤併用レジメンによる1次治療中ないしは治療終了後の進行非扁平上皮非小細胞肺癌の患者に対するニボルマブはドセタキセルよりも有意に全生存期間を延長する。
 

by otowelt | 2015-10-14 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

髄液EGFR遺伝子変異解析の有効性

e0156318_1852110.jpg 髄液中のEGFR遺伝子変異は有効な診断ツールになるようです。

Sasaki S,et al.
Diagnostic significance of cerebrospinal fluid EGFR mutation analysis for leptomeningeal metastasis in non-small-cell lung cancer patients harboring an active EGFR mutation following gefitinib therapy failure
Respiratory Investivation, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.resinv.2015.07.001


背景:
 EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者の治療においてEGFR-TKIが有効である。しかしながら、治療反応性が良好であるにもかかわらず、1~2年以内に再発することがしばしばある。NSCLCの再発形式として、転移性髄膜癌腫症(LM)の診断および治療は困難をきわめる。われわれは、髄液検体においてリアルタイムPCRを用いたEGFR遺伝子変異を解析し、EGFR-TKIであるエルロチニブの治療効果を評価した。

患者および方法:
 ゲフィチニブ治療中あるいは治療後にLMを有したEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者がレトロスペクティブに解析された。髄液が採取され、細胞診およびEGFR遺伝子変異(T790M変異を含む)の解析がなされた。

結果:
 7人の患者すべてにおいて原発巣と同様のEGFR遺伝子変異が髄液中に同定された(感度100%)。反面、細胞診は2人においてのみ陽性であった(感度28.6%)。T790M変異は観察されなかった。エルロチニブはすべての症例において有効であり、7人中5人でPSが改善した。エルロチニブの効果は一時的であったが、治療成功期間(TTF)は29~278日(中央値65日)であり、エルロチニブ開始から死亡までの期間は45~347日(中央値168日)だった。

結論:
 髄液検体を用いたリアルタイムPCRによるEGFR遺伝子変異の解析は、LMによるNSCLC再発の強力な診断法である。


by otowelt | 2015-10-05 00:51 | 肺癌・その他腫瘍

クリゾチニブに関連した肺障害は予後不良因子?

e0156318_10111651.jpg ザーコリによる間質性肺炎の話題です。

Créquit P et al.
Crizotinib Associated with Ground-Glass Opacity Predominant Pattern Interstitial Lung Disease: A Retrospective Observational Cohort Study with a Systematic Literature Review.
J Thorac Oncol. 2015 Aug;10(8):1148-55.


背景: 
 クリゾチニブはALK融合遺伝子変異をターゲットにした経口チロシンキナーゼ阻害薬で、非小細胞肺癌(NSCLC)に対して無増悪生存期間(PFS)の延長が示されている。重篤な間質性肺疾患(ILD)の発症は、ッ重大な有害事象の1つであり、ランダム化比較試験およびケースレポートで報告されている。

方法:
 2011年9月にクリゾチニブに関連したILDを同定した。当該症例について、2010年から2013年までの間に臨床的特徴、CT画像所見を調べ、ILDを起こさなかった患者と比較検討した。系統的な文献検索も行った。

結果:
 研究期間中に29人のNSCLC患者がクリゾチニブの治療を受け、6人がILDを発症した。肺に対する有害事象は2つのタイプが観察された。1つ目は、治療1ヶ月以内に起こる致命的なもの(1人)、2つ目は、そこまで重篤ではなく遅発性に起こるものである(5人)。後者はほとんど臨床症状がないが、CTではスリガラス影がみられ、BALではリンパ急性胞隔炎を起こしていた。これらの症例は、ILDを起こさなかった患者と比べて、PFSが長かった(19.9ヶ月 vs. 6.2ヶ月、p=0.04)。

結論:
 過去の報告を合わせると、クリゾチニブに関連したILDは合計49人(今回の6人を含める)同定された。肺に対する有害事象には2つのタイプがあり、両者で異なる経過をたどった。


by otowelt | 2015-09-08 00:37 | 肺癌・その他腫瘍

中皮腫の胸腔内感染は生存期間を延長する?

e0156318_22565933.jpg 呼吸器内科医にとって、インパクトの大きな報告です。

Anna C. Bibby, et al.
Survival in Patients With Malignant Pleural Effusions Who Developed Pleural Infection: A Retrospective Case Review From Six UK Centers
Chest. 2015;148(1):235-241.


目的:
 悪性胸水の頻度は増えているが、予後はいまだ不良である。留置胸腔カテーテル:Indwelling pleural catheters (IPCs)は症状を緩和するが、胸腔内感染のリスクを増加させる。われわれは悪性胸水に対してIPCsを留置した症例を6のイギリスの施設で、2005年1月1日~2014年1月31日まで評価した。

方法:
 胸腔内感染を起こし生存した患者を、LENTコホートの悪性胸水患者788人と比較した。

結果:
 672人のIPCs挿入患者のうち、25人(3.7%)に感染がみられた。ほとんどの患者(25人中20人)は中皮腫あるいは肺癌であった。胸腔内感染症を起こした患者の生存期間中央値はLENTコホートよりも長かったが、統計学的に有意ではなかった(386日 vs 132日; ハザード比0.67; P =0.07)。中皮腫の患者が胸腔内感染症を起こすと、通常の中皮腫よりも生存期間が2倍長かった(753日 vs 365日未満)。LENTコホートの中皮腫患者(339日)と比較しても2倍の生存期間であった。肺癌や乳癌ではこういった差はみられなかった。胸腔内感染が早期であっても晩期であっても生存期間に差はみられなかった(P=0.06)。

結論:
 悪性胸水に対してIPCsを挿入した小規模な今回の報告では、胸腔内感染症は中皮腫患者において生存期間を延長する可能性がある。これについては統計学的に有意な差はなかったが、大規模な研究によって感染症によって惹起される局所的な免疫反応が中皮腫の進行を緩和するかどうか調べる必要があるだろう。


by otowelt | 2015-08-13 00:37 | 肺癌・その他腫瘍

TCOG0701 CATS試験:進行NSCLCに対するシスプラチン+S-1はシスプラチン+ドセタキセルに非劣性

e0156318_10111651.jpg シスプラチン+S-1の報告です。日本人によく使用されるレジメンです。

Kubota K et al.
A randomized phase III trial of oral S-1 plus cisplatin versus docetaxel plus cisplatin in Japanese patients with advanced non-small-cell lung cancer: TCOG0701 CATS trial.
Ann Oncol. 2015 Jul;26(7):1401-8.


背景:
 進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する白金製剤を含む2剤併用療法は標準的治療とされている。本研究は2つの化学療法レジメンの比較し、全生存期間(OS)を比較することが主目的である。セカンダリエンドポイントとして無増悪生存期間(PFS)、奏効率、安全性、QOLを設定した。

方法:
 未治療のIIIBまたはIV期のNSCLC患者で、ECOG PSが0-1で臓器機能が保たれている症例をランダム化し、シスプラチン(60mg/m2, day8)+S-1(80mg/m2, day1-21)と、シスプラチン(day1, 80mg/m2)+ドセタキセル(60mg/m2, day1)にランダムに割り付けた。両レジメンとも最大6サイクルまでとした。

結果:
 計66施設から608人の患者が登録され、シスプラチン+S-1群に303人、シスプラチン+ドセタキセル群に305人が登録された。シスプラチン+S-1のOSは、シスプラチン+ドセタキセルに対し非劣性であった(16.1ヶ月 vs. 17.1ヶ月、ハザード比1.013[96.4%信頼区間 0.837-1.227])。シスプラチン+ドセタキセル群では発熱性好中球減少症(7.4% vs 1%)、グレード3/4の好中球減少(73.4% vs 22.9%)、グレード3/4の感染(14.5% vs 5.3%)、グレード1/2の脱毛(59.3% vs 12.3%)が有意に多くみられた。セカンダリエンドポイントであるPFSや奏効率では両群に差はみられず、QOLはシスプラチン+S-1群が良好であった。
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(文献[Figure 1]より引用:OS、PFS)

結論:
 日本人の進行NSCLCに対するシスプラチン+S-1はシスプラチン+ドセタキセルに非劣性であり、忍容性がある。


by otowelt | 2015-07-22 00:15 | 肺癌・その他腫瘍