カテゴリ:内科一般( 80 )

5月31日:世界禁煙デー

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5月31日は世界禁煙デーです。

Wikipediaより引用
「毎年5月31日が世界禁煙デーとなっており、国際デーの1つである。(中略)1995年時点で世界の喫煙者は10億1000万人であり、約5人に1人の割合となっている。毎年世界で300万人が喫煙が原因とみられるがんや心臓病で亡くなっており、このままでは2030年代初頭には喫煙による死亡者が年間1000万人に達するとWHOは警告している。」

 医療従事者の喫煙率もまだまだ低いとは言えません。

医師と看護師の喫煙率


by otowelt | 2013-05-31 06:57 | 内科一般

ステロイド内服開始1ヶ月以内は肺塞栓のリスクが高い

e0156318_23212863.jpg ステロイド使用と肺塞栓の症例対照研究です。リスクが高いといっても、実臨床では内服初期から全例塞栓の予防をおこなうのは現実的ではありません。

Danka J. F. Stuijver, et al.
Use of Oral Glucocorticoids and the Risk of Pulmonary Embolism
A Population-Based Case-Control Study
CHEST 2013; 143(5):1337–1342


背景:
 内因性のステロイド過剰は静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク因子と考えられる。外因性のステロイド使用がVTEのリスクかどうかはまだわかっていない。われわれはステロイドを使用している患者の症候性の肺塞栓症(PE)のリスクを定量化した。

方法:
 オランダの集団ベース薬局登録システム:PHARMO Record Linkage Systemによる症例対照研究を実施した。症例は4495人のPEで初回入院した1998年から2008年までの患者で、年齢・性別マッチした16802人のPEの既往のないコントロールを登録した。
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A:ステロイド開始のタイミング、B:ステロイド内服期間

結果:
 平均年齢はいずれも60歳で、57%が女性だった。
 PEのリスクは、ステロイド薬曝露から最初の30日に最も高かった(補正オッズ比5.9, 95%信頼区間 2.3-3.9)。また、1年超の長期使用者については、使用中はゆるやかにそのリスクは低下していった(オッズ比1.9、95%信頼区間1.3-2.9)。低用量ステロイド使用(プレドニゾン換算で1日用量5mg未満)は2倍のPEのリスク増加をもたらした(オッズ比1.8、95%信頼区間 1.3-2.4)。また、高用量(プレドニゾン換算で1日用量30mg超)は10倍のリスク増加をもたらした(オッズ比9.6、95%信頼区間 4.3-20.5)。
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 使用期間と使用量の層別化では、用量に関係なく直近でステロイド内服をはじめた患者でPEリスクは高かった。
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結論:
 経口ステロイド治療は、特にステロイド投与後初期1ヶ月の間でのPEのリスクを増加させるかもしれない。


by otowelt | 2013-05-12 00:02 | 内科一般

慢性特発性蕁麻疹に対してオマリズマブ(ゾレア®)は有効

e0156318_14312949.jpg 当院にはステップ3以降の気管支喘息の患者さんも数多くいますので、ゾレア®を時々使用しています。アレルギーを有する気管支喘息患者さんでは何となく皮膚症状や掻痒感もやや軽減するような印象を持っていたので、個人的に合点がいきました。

Marcus Maurer, et al.
Omalizumab for the Treatment of Chronic Idiopathic or Spontaneous Urticaria
N Engl J Med 2013. DOI: 10.1056/NEJMoa1215372


背景:
 慢性特発性蕁麻疹(chronic idiopathic urticaria / chronic spontaneous urticaria)の多くの患者は、高用量のH1受容体拮抗薬であっても治療反応性がない。H1受容体拮抗薬が無効である患者は、H2受容体拮抗薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイドなどの薬剤が治療オプションとして含まれるが、慢性特発性蕁麻疹に対する長期使用の効果は不明である。第2相試験では、抗IgEモノクローナル抗体であるオマリズマブによる当該患者への効果が示された(J Allergy Clin Immunol 2011;128:567-73.)。

方法
 この第3相多施設共同ランダム化二重盲検試験は、中等度から重症の慢性特発性蕁麻疹の患者でH1受容体拮抗薬治療によっても症状が持続する者を対象にオマリズマブの安全性と効果を検証したものである。
 われわれは12~75歳までの慢性特発性蕁麻疹患者323人を4週間あけて3回の皮下注射を受ける治療に登録した。患者はランダム化され、オマリズマブの量は、75 mg, 150 mg, 300 mgとし、プラセボを別途準備した。患者はH1受容体拮抗薬を持続的に使用してもよいものとした。観察期間は16週間とした。
 プライマリ効果アウトカムは、ベースラインからの掻痒感重症度スコア(0点から21点で高いほど重症)とした。セカンダリアウトカムは、ベースラインからのUAS7変化、週ごとの蕁麻疹の数、UAS7が6点以下の患者比率などとした。

結果:
 平均年齢は42.5±13.7歳で、76%が女性、85%が白人、平均体重は82.4±21.9 kg、平均BMIは29.8±7.3であった。ベースラインの平均IgEは168.2±231.9 IU/mLと上昇していた。
 4群すべてにおいてベースラインの重症度スコアはおよそ14点であった。12週目での平均(±標準偏差)の掻痒感重症度スコアの変化はプラセボ群で−5.1±5.6点、オマリズマブ75mg群で−5.9±6.5点(P = 0.46)、150mg群で−8.1±6.4点(P = 0.001)、300mg群で−9.8±6.0であった(P<0.001)。
 事前に規定したほとんどのセカンダリアウトカムについて、12週時点で同様の用量依存性の効果がみられた。有害事象の頻度は全群同等であった。重篤な有害事象はまれであったが、300mg群(6%)ではプラセボ群(3%)、75mg(1%)、150mg(1%)よりも多かった。

結論:
 オマリズマブはH1受容体拮抗薬の使用によっても持続する慢性特発性蕁麻疹の臨床症状や徴候を減弱させることができる。


by otowelt | 2013-03-05 12:09 | 内科一般

ダビガトランは静脈血栓塞栓症の再発抑制効果が高く出血イベントの頻度が低い

 腎障害患者や高齢者でなければ、ダビガトラン(プラザキサ)を使用するケースが増えてきたと思います。余談ですが、110mgに減量する症例は「BRA-P(ブラP)」と覚える方法があります(日経メディカルオンライン プライマリケア医のための心房細動入門(小田倉弘典先生)参照)。
Bleeding history:消化管出血の既往
Renal dysfunction:中等度腎機能障害(CCr30~50mL/分)
Age≧70:70歳以上
P-糖タンパク阻害薬併用:アミオダロン、ベラパミルなど

 NEJMから、静脈血栓塞栓症に対するダビガトランとワーファリンの比較試験、およびダビガトランとプラセボの比較試験の2試験の報告です。2011年の国際血栓止血学会で発表された内容を論文化したものです。

Sam Schulman, et al.
Extended Use of Dabigatran, Warfarin, or Placebo in Venous Thromboembolism
N Engl J Med 2013;368:709-18.


背景:
 ダビガトランは直接的にトロンビンを阻害する抗凝固薬であり、固定用量で投与することができ、また検査によるモニタリングが不要であることから、静脈血栓塞栓症の延長治療(the extended treatment)に適しているかもしれない。

方法:
 2つのランダム化二重盲検試験において、3ヶ月以上の初期治療が終了した静脈血栓塞栓症患者を対象に、ダビガトラン150mg1日2回とワーファリンを比較した対照試験(33ヶ国、265施設)と、ダビガトラン150mg1日2回とプラセボを比較した対照試験(21ヶ国、147施設)をおこなった。
 評価は治療開始後15日目、30日目と1ヶ月ごとに合計180日目まで続けた。両試験とも、プライマリ効果アウトカムは、症状および客観的静脈血栓塞栓症の再発、あるいは静脈血栓塞栓症による死亡(プラセボ群の説明できない死亡を含む)とした。

結果:
 2006年7月から2010年7月までの間、2866人の患者がRE-MEDYに登録され、2007年11月から2010年9月までの間、1353人の患者がRE-SONATEに登録された。

●ワーファリン対照試験(RE-MEDY):
 静脈血栓塞栓症の再発は、ダビガトラン群1430人中26人(1.8%)、ワーファリン群1426人中18人(1.3%)にみられた(ダビガトランのハザード比 1.44、95%信頼区間0.78~2.64、P=0.01)。
 重大な出血事象は、ダビガトラン群13人(0.9%)、ワーファリン群25人(1.8%)に発生した(ハザード比 0.52、95%信頼区間 0.27~1.02)。重大な出血あるいは臨床的に重要な出血は、ダビガトラン群のほうが少なかった(ハザード比 0.54、95%信頼区間 0.41~0.71)。急性冠症候群は、ダビガトラン群13人(0.9%),ワーファリン群3人(0.2%)に発生した(P=0.02)。
●プラセボ対照試験(RE-SONATE):
 静脈血栓塞栓症の再発は、ダビガトラン群681人中3人(0.4%)、プラセボ群662人中37人(5.6%)にみられた(ハザード比 0.08、95%信頼区間0.02~0.25、P<0.001)。 重大な出血は、ダビガトラン群で2人(0.3%)に発生し、プラセボ群では発生しなかった。重大な出血あるいは臨床的に重要な出血は、ダビガトラン群36人(5.3%)、プラセボ群12人(1.8%)に発生した(ハザード比 2.92、95%信頼区間 1.52~5.60)。急性冠症候群は、ダビガトラン群とプラセボ群でそれぞれ1人に発生した。
結論:
 ダビガトランは、静脈血栓塞栓症の延長治療(the extended treatment)に有効であり、重大な出血あるいは臨床的に重要な出血のリスクは、ワーファリンより低かったがプラセボより高かった。


by otowelt | 2013-02-22 17:12 | 内科一般

死亡確認の方法について

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・はじめに
 多くの医師は、患者さんの死と向き合わなければなりません。特に癌を診療している医師は、患者さんの生と死と長期間にわたって向き合う必要があります。肺癌や間質性肺炎の診療している呼吸器内科医は、平均的に1ヶ月に1~2人の患者さんの死亡確認をしていると思います。
 はたして、医師はどのようにして死亡確認をおこなっているのでしょうか。これについて教科書にもウェブサイト上にもあまり記載がなく、個人的に書いてみようと思いました。


・医師が死亡確認について教わるとき
 死亡確認をどのようにして行うのか、医師が最初に教わるのは初期研修医の頃です。多くは、指導医の医師から教わるでしょう。そのため、閉鎖的な文化で受け継がれていく傾向があります。医師はお互いに死亡確認をしている現場を目にすることはまずありませんので、互いの方法について情報交換をすることもあまりありません。


・死亡確認の手順
 果たして死亡確認はどのような方法で行うのが正しいのでしょうか。多くの場合、睫毛反射・対光反射(直接反射、間接反射)の消失、胸部聴診(心音・呼吸音の確認)、橈骨動脈・頸動脈の触診をおこない、心電図モニターで脈拍がゼロで平坦であるのを確認し、家族に向かって死亡宣告をおこなう、といった方法がとられていると思います。これらの確認は救急救命士にも必要な作業ですが、死亡かどうかをめぐってトラブルになることが昨今ニュースに取り沙汰されていますので、明らかな社会死状態でなければ、救急搬送をおこなうことが通例です。特に、施設入所中の高齢者では死亡の判断自体が困難なこともあります。
Bern-Klug M. Calling the question of "possible dying" among nursing home residents: triggers, barriers, and facilitators. J Soc Work End Life Palliat Care. 2006;2(3):61-85.
 確認作業をもう少し簡略化して、対光反射の消失、胸部聴診、心電図モニターの確認の3点のみで死亡宣告を行う医師もいると思います。この理由は、「死」が医学的に心臓・肺・脳の全ての不可逆的な機能停止と定義されており、それらをすべて満たす他覚的所見が上記の手法であるためです。脳死のように、死亡確認に厳密な基準や指針が策定されているわけではありません。
 ただ死亡の徴候を全てを満たしたとしても、死亡確認を早急におこなうと、心電図波形が微弱に復古することもあるため、ある程度の時間を待ってから死亡確認を行うことが重要です。ほぼ完全に死の徴候を満たした状態であっても、心拍数だけが心電図モニター上弱く脈打っていることがあります。極端な場合、QRS幅の広い脈拍数20/分くらいの微弱な脈が30分くらい続くこともあります。個人的には心電図波形が平坦になるのを待って死亡確認していますが、無脈性電気活動(PEA)と判断して死亡確認をする医師も目にしたことがあります。


・死亡宣告
 死亡確認をおこなった主治医は、家族の前で死亡宣告することが多いです。その際、色々な言い方があると思いますが、医師の方々はどのような言葉を使用しているでしょうか。

「○月×日△時□分、死亡を確認しました」
「○月×日△時□分、御臨終です」
「○月×日△時□分、お亡くなりになりました」

 私個人としては「死亡を確認しました」という言葉を使っています。本来「御臨終」は「終わりに臨んでいる」と言う意味で、死亡した直後に用いる言葉としては本来不適切なものです。しかし、日本人は「死」と言う言葉を忌み嫌う傾向があるため、臨終という言葉を便宜的によく使用するようです。
 ケースバイケースですが、そういった言葉の後に、「よく頑張られましたね」「生前家族様にこんなことをおっしゃっていましたよ」といった家族の皆さんが死を受容しやすくするよう声掛けをおこなうことが多いと思います。
 アメリカの場合、"His/Her heart stopped." "He/She passed away."などと言うのが一般的で、その後に"I am sorry ~."とお悔やみの言葉を述べることが多いです。日本と同じ理由で、died, deathという直接的な言葉はあまり使用しません。


・死亡時刻の確認
 死亡時刻は死亡診断書に記載する必要がありますので、病院での自然病死だと分単位まで記録することが多いです。しかし、そもそも死亡時刻を正確に死亡確認の場で家族に告げる必要があるかどうか、という議論もあります。この死亡時刻を宣告する行為は儀式的なもので、特にマスメディア(特にテレビドラマ)の影響が大きいように思われます。必ずしも家族に告げる必要はありません。
 院内感染対策の観点から腕時計をしていない医師も多く、だからといってPHSや携帯電話で時刻を確認することは、遺族の方々に失礼にあたる可能性が高いです。現代では携帯電話の液晶画面の時計の方が、針時計よりも正確かもしれませんが、死亡確認の際に携帯電話を取り出されるとやはり違和感を感じてしまいます。病室に時計があればよいと思いますが、そうでなければ腕時計をその時だけ持参するか、看護師さんに借りるといった工夫が必要になります。あるいは死亡確認の作業に入る前に、部屋の隅で現在の時刻を確認しておくという方法もあるでしょう。


・さいごに
 どのような死亡確認の方法であったとしても、それが臨床的に妥当性のあるものであれば問題ありません。しかし、死にゆく人に一人の人間として畏敬の念をもって接することが最も大事だろうと思います。


by otowelt | 2013-02-11 16:45 | 内科一般

メトホルミンは癌死亡リスクを減少

 メトホルミンは、肺癌の分野でも少し注目されていますね。ちなみにメトホルミンと癌のリスク減少については過去にいくつか報告されています(Cancer Prev Res (Phila) 3: 1451–1461, 2010.,Diabetes Care 34: 2323–2328,2011.)。

Hiroshi Noto, et al.
Cancer Risk in Diabetic Patients Treated with Metformin: A Systematic Review and Meta-analysis
PLoS One. 2012;7(3):e33411


背景:
 メトホルミンは潜在的ではあるが癌のリスクを下げると示唆されている。われわれの目的は、糖尿病患者においてメトホルミンが、部位を問わない癌あるいは臓器特異的な癌のリスクに対する効果検証するものである。

方法:
 MEDLINE, EMBASE, ISI Web of Science, Cochrane Library, ClinicalTrials.govにおいて、2011年10月12日の時点で出版されている論文を調査し、システマティックレビューおよびメタアナリシスを施行した。検索ワード:‘diabetes’, ‘metformin’, ‘cancer’ or ‘neoplasms’, and ‘risk’ or ‘risk factors’。総癌死亡率と癌の頻度を計算した(リスク比)。

結果:
 6試験(4:コホート試験、2:ランダム化比較試験)で21195人の糖尿病患者が登録され、991人(4.5%)が癌によって死亡した。10試験(2:ランダム化比較試験、6:コホート試験、2:症例対照研究)210892人のうち、11117人(5.3%)に癌の発生がみられた。
 メトホルミン使用者における癌のリスクは有意に非メトホルミン使用者より低かった(癌死亡RR 0.66, 95%CI 0.49–0.88、全ての癌発症RR0.67, 0.53–0.85、大腸癌RR0.68, 0.53–0.88、肝細胞癌RR0.20, 0.07–0.59、肺癌RR0.67 , 0.45–0.99)。
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 ほかの癌種については統計学的有意差はみられなかった(前立腺癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌)。
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Discussion:
 メトホルミンが癌の発生・死亡リスクを抑制する理由として、体重増加の抑制や高インスリン血症の改善などが考えられる。また、メトホルミンとAMPK経路の関連が示唆される。LKB1はAMPK経路の上流にあり、メトホルミンがLKB1依存性の腫瘍形成を阻害している可能性がある。

結論:
 糖尿病患者におけるメトホルミン使用は有意に癌死亡と癌発症を減少させる。しかしながら、この解析はおもに観察研究に基づいており、長期のランダム化比較試験が必要であると考えられる。

by otowelt | 2012-10-30 00:01 | 内科一般

チョコレート摂取量が多いほどノーベル賞受賞者が増える

クリスマスBMJを彷彿させる、突っ込みどころ満載の論文です。ランダム化試験って。

Franz H. Messerli.
Chocolate Consumption, Cognitive Function, and Nobel Laureates
N Engl J Med 2012; 367:1562-1564


背景:
 チョコレートの摂取は認知機能の改善をもたらすとされているが、この摂取がノーベル賞受賞とどう関連しているのか、私は疑問に思った。

方法:
 合計22ヶ国の1000万人当たりのノーベル賞受賞者の数をWikipedia(http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_Nobel_laureates_per_capita)で調べた(List of countries by Nobel laureates per capita)。
 国別の1人当たりのチョコレート摂取量は、スイスChocosuisse、ドイツTheobroma-cacao、ヨーロッパチョコレート・ビスケット・菓子工業協会Caobiscoをインターネットで調べて、一番新しいデータを採用した。

結果:
 1人当たりのチョコレートの摂取量と、1000万人当たりのノーベル賞受賞者の数の間には、有意な線形相関がみられた(r = 0.791, P<0.0001)。外れ値のスウェーデン以外では、r=0.862であった(スウェーデンは、チョコレート摂取量から予測されるノーベル賞受賞者数の2倍程度の受賞者がいるため)。スイスにおいて、1人当たりのチョコレート摂取量および1000万人当たりのノーベル賞受賞者の数が双方とも最も高いものとなった。
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 1人当たり年間0.4kgのチョコレートを余分に摂取することで、国別ノーベル賞受賞者が1人増えると推測される。アメリカの場合、全米チョコレート総摂取量が年間1億2500万kg増加することで、ノーベル賞受賞者が1人増える。

考察:
 スウェーデンが外れ値となった理由として、ノーベル賞委員会が選考の際にスウェーデンを選ぶバイアスがかかっている理由が考えられる。また、スウェーデン国民のチョコレート感受性が高いこと(sensitive to chocolate)などが考えられる。

結論:
 チョコレートの摂取がノーベル賞受賞に必要なベースとなっている可能性がある。プロスペクティブランダム化試験が望まれる。

 

by otowelt | 2012-10-24 13:19 | 内科一般

リスペリドンに効果のあるAlzheimer病患者では、その断薬が精神症状再発のリスクに関連

e0156318_21221396.jpg 認知症患者さんの精神症状へのリスペリドンの継続使用は、やむを得ない場合のみに行うべきであるというのがスタンダードです。ただ、少量のリスペリドンが明らかに認知症患者さんに利益をもたらすことがあるため、このスタディが組まれました。結果的には利益のある患者群がいるだろうと考えられます。

D.P. Devanand, et al.
Relapse Risk after Discontinuation of Risperidone in Alzheimer's Disease
N Engl J Med 2012; 367:1497-1507


背景:
 Alzheimer病で、精神症状あるいは興奮・攻撃性に対して抗精神病薬に効果のあった患者で、継続投薬の後に中止することでの症状が再発するかどうか、そのリスクはよくわかっていない。

方法:
 Alzheimer病患者において、精神症状あるいは興奮・攻撃性のある患者に、非盲検下でリスペリドンを16 週間投与。その折にリスペリドン療法に効果のあった患者を、続いて3種類のレジメンのいずれかに二重盲検下でランダムに割り付けた。
 グループ1:32週間のリスペリドン継続療法
 グループ2:16週間のリスペリドン療法後に16週間のプラセボ投与
 グループ3:32週間のプラセボ投与
プライマリアウトカムは、精神症状または興奮の再発までの期間とした。

結果:
 180人の患者に、非盲検下でリスペリドンを投与(平均用量0.97mg/日)。精神症状と興奮の重症度は低下したものの、錐体外路徴候に軽度の増加があった。
 112人が治療に効果があり、ランダム化フェーズへ移行できたのは110人であった。ランダム化の後最初の16週での再発率は、プラセボ投与群のほうがリスペリドン投与群よりも高かった(60% [24 of 40 patients in group 3] vs. 33% [23 of 70 in groups 1 and 2]; P=0.004; hazard ratio with placebo, 1.94; 95%CI, 1.09 to 3.45; P=0.02)。引き続く16週での再発率は、リスペリドンからプラセボに切り替えた群のほうがリスペリドン投与を継続した群よりも高いものであった(48% [13 of 27 patients in group 2] vs. 15% [2 of 13 in group 1]; P=0.02; hazard ratio, 4.88; 95% CI, 1.08 to 21.98; P=0.02)。
 ランダム化後の有害事象発生率と死亡率にそれぞれの群間で有意差はなかったが、特に最後の16週で比較対象となる患者数が少なかった。

結論:
 Alzheimer病患者において、精神症状または興奮に対し4~8ヶ月間のリスペリドン療法に効果があった場合、リスペリドンの中止は再発リスクの上昇に関連。

by otowelt | 2012-10-21 00:08 | 内科一般

ラクナ梗塞の二次予防に対して、アスピリンにクロピドグレルを併用すると出血と死亡リスクが上昇

The SPS3 Investigators
Effects of Clopidogrel Added to Aspirin in Patients with Recent Lacunar Stroke
N Engl J Med 2012; 367:817-825


背景:
 ラクナ梗塞は、主に脳小血管病変に由来する頻度の高い脳卒中の一つである。ラクナ梗塞の二次予防のための、抗血小板療法の有効性については明らかになっていない。

方法:
 頭部MRIで、症候性ラクナ梗塞を最近(180日以内)発症したことが確認された30歳以上の患者3020人を対象にして、二重盲検多施設共同試験を施行した。北米、南米、スペインにおける82施設で実施した(2003年から2011年まで)。
 患者は、クロピドグレル75mg/day投与群とプラセボ投与群にランダムに割り付けられた。両群にアスピリン325mg/dayも投与した。プライマリアウトカムは、脳梗塞と頭蓋内出血を含んだすべての脳卒中の再発とした。

結果:
 北米からの参加者は全体のうち1960人(65%)で、南米は694人(23%)、スペインは366人(12%)であった。全体の平均年齢は63歳で、63%が男性であった。75%の患者に高血圧の既往があり、37%に糖尿病の既往があった。20%が喫煙者であった。3.4年の平均追跡期間ののち、脳卒中の再発リスクは、アスピリンとクロピドグレルの併用群で125件(年間発生率2.5%)、アスピリン単独群で138件(年間発生率 2.7%)と有意な差はみられなかった(HR0.92,95%CI 0.72~1.16)。脳梗塞の再発リスク(HR0.82,95% CI 0.63~1.09)および、後遺症を残す脳卒中または致死的脳卒中(HR1.06,95% CI 0.69~1.64)にも有意な差はなかった。 重篤な出血リスクは、2剤併用群で105件(年間発生率 2.1%)、アスピリン単独群で56件(年間発生率 1.1%)と大きく差が出た(ほぼ2倍)(HR1.97,95% CI 1.41~2.71,P<0.001)。全死因死亡は、2剤併用群の患者で増加した(アスピリン単独群77人 vs 2剤併用群113人)(HR1.52,95% CI 1.14~2.04,P=0.004)。ただ、この差は致死的な出血では説明されない増加であった。結論:
 直近にラクナ梗塞を発症した患者で、アスピリンにクロピドグレルを併用した場合、脳卒中の再発リスクを減少させることができないだけでなく、出血と死亡のリスクが有意に増加した。

by otowelt | 2012-08-30 15:58 | 内科一般

血清クレアチニンとシスタチンCによる複合GFR推定式は、より正確である

e0156318_17231312.jpg先日の腎臓学会においてCKD重症度分類が改訂されたことは周知のこと(実臨床やマネジメントにおいて大きな改訂ではなかった)だが、GFRの推定にCre-シスタチンC複合推定のほうが妥当性が増すという報告がNEJMよりなされた。
 シスタチンCはCreに比べて腎機能低下の影響を早期から受けやすい。そのため、抗菌薬や抗癌剤でも有益に使用できる可能性があるのだが、呼吸器内科医という診療特性上、個人的にはコントロール不良の糖尿病患者でたまに測定するくらいしか使用したことがない。

Lesley A. Inker, et al.
Estimating Glomerular Filtration Rate from Serum Creatinine and Cystatin C
N Engl J Med 2012; 367:20-29


背景:
 血清Creによる糸球体濾過量(GFR)の推定は、日常診療においてよく用いられている。しかしながら、この推定は実際には不正確であり、慢性腎臓疾患の過剰な診断をきたすおそれがあるとされている。
 Cystatin C(シスタチン C)は、GFRの予測において血清Creに代替可能なマーカーである。

方法:
 合計13研究の5352人から構成される患者集団で横断的解析によってシスタチンCに基づく推定式およびシスタチン Cと血清Creを組み合わせた推定式を作成。その後、GFRが測定されていた5研究1119人で、これらの予測推定式の妥当性を検証。
 シスタチンCと血清Cre測定法は、一次標準物質にトレース可能であった。

結果:
 実際に測定されたGFR 平均値は、development data setsで68 mL/min/1.73 m2、validation data setsで70 mL/min/1.73 m2だった。validation data setsにおいて、Cre-シスタチンC推定式は、Cre推定式およびシスタチンC推定式よりも有意に優れていた。3推定式におけるそれぞれの偏りは同程度であり、実際のGFRと推定GFRの差の中央値は、Cre-シスタチンCの複合推定式で3.9 mL/min/1.73 m2であったのに対して、Cre推定式では 3.7 mL/min/1.73 m2(P=0.07)、シスタチンC推定式で3.4 mL/min/1.73 m2(P=0.05)だった。
 Cre-シスタチン複合推定式において、推定精度が向上した(interquartile range of the difference, 13.4 vs. 15.4 and 16.4 ml per minute per 1.73 m2, respectively [P=0.001 and P<0.001])。Cre推定GFRが45~74 mL/min/1.73 m2であった被験者で、複合推定式によって実際のGFRの<60 mL/min/1.73 m2 または≧60 mL/min/1.73 m2の分類が改善(net reclassification index, 19.4% [P<0.001])。推定GFRが 45~59 mL/min/1.73 m2の被験者の16.9%が、GFR≧60mL/min/1.73m2に正確に再度分類されることとなった。

結論:
 血清Cre-シスタチンC複合のGFR推定式は、これら単独によるGFR推定式よりも優れていた。

by otowelt | 2012-07-08 17:41 | 内科一般