カテゴリ:内科一般( 79 )

クリスマスBMJ:死神から逃げ切るには時速5kmで歩行すべき

死神の歩く速度についての論文。
歩行速度と死亡に関しては、実はJAMAに2011年に報告がある。
Gait speed and survival in older adults. JAMA 2011;305:50-8

Fiona F Stanaway, et al.
How fast does the Grim Reaper walk? Receiver operating characteristics curve analysis in healthy men aged 70 and over
BMJ 2011; 343 doi: 10.1136/bmj.d7679 (Published 15 December 2011)


目的:
 死神が歩く速度(好む速度)を同定する。

セッティングおよび参加者:
 オーストラリア・シドニーの70歳以上の男性1705名の
 プロスペクティブコホート研究において、歩行速度(m/s)と死亡率を評価した。
 CHAMP (Concord Health and Ageing in Men Project)に
 参加している者を登録した。

アウトカム:
 アウトカムは、死神の歩行速度(m/s)と死亡率。
 ROC解析によって同定する。適切な歩行速度は
 Youden index (sensitivity+specificity−1)を用いて決定する。

結果:
 平均歩行速度は0.88 (range 0.15-1.60) m/sであった。
 生存率解析の結果、時速0.82m/s(時速3km相当)の歩行速度で歩く
 老人は、それより遅く歩く老人に比較して死亡する可能性は
 1.23倍(95%CI:1.10-1.37)低く、時速5km(1.36m/s)で歩くことは、
 死神から逃げきることができる可能性が示唆された。
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結論:
 死神は0.82m/sを下回る歩行速度の高齢男性を好む。
 1.36m/s以上であれば死神に追い付かれることはない。

by otowelt | 2011-12-24 16:29 | 内科一般

クリスマスBMJ:減塩を推奨する政府・医療機関は、減塩ができていない

今年もクリスマスBMJの季節がやってきた。
減塩の推奨をしている政府機関や医療機関において
塩分摂取が多いじゃないかという皮肉。

L M Brewster,et al.
High salt meals in staff canteens of salt policy makers: observational study
BMJ 2011; 343 doi: 10.1136/bmj.d7352 (Published 20 December 2011)
Cite this as: BMJ 2011;343:d7352


目的:
 オランダにおける、塩分摂取などの健康行政にかかわる組織での
 食堂等の塩分摂取量を評価する。

結果:
 上記行政府の食堂におけるを調べると、塩分推奨量は6g/日にも関わらず、
 平均7.1 g,(SE 0.2 g)であった。健康・医療審議に関する
 Department of Health and National Health Councilでは
 6.9 g (0.4 g)、食品・消費者安全に関する
 Food and Consumer Product Safety Authorityでは6.0 g (0.9 g)、
 大学病院職員食堂では7.4 g (0.5 g) 、非大学病院職員食堂では
 7.0 g (0.3 g)であった。すなわち、推奨を遵守している人と比較すると
 23~36%の早期心血管死亡率増加と関連する。

結論:
 もし塩分摂取量を推奨する行政の食堂等で
 食事を摂取するなら、健康を危険にさらす可能性がある。

by otowelt | 2011-12-24 16:10 | 内科一般

中~高度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対する3ヵ月CPAPは有効

S.K. Sharma, et al.
CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea
N Engl J Med 2011; 365:2277-2286


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸は、メタボリックシンドロームの有病率や
 その増加に関連しているとされており、持続陽圧呼吸療法(CPAP)を
 用いて閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことで、
 これらのアウトカムに変化があるかどうかは明らかになっていない。

方法:
 本二重盲検プラセボ対照試験において、閉塞性睡眠時無呼吸症候群
 患者を、3ヵ月CPAP治療、1ヵ月の休薬、3ヵ月CPAPプラセボ治療の順に
 行う群と、その逆の順序で行う群にランダムに割り付け。
 介入前後に、身体測定、血圧、空腹時血糖値、インスリン抵抗性、
 空腹時血中脂質、HbA1c、頸動脈内膜中膜厚、内臓脂肪などを
 測定した。メタボリックシンドロームは、アジア人に対する
 肥満カットオフ値を用いた。

結果:
 86人が試験を完了し、そのうち75例(87%)がメタボリックシンドローム。
 CPAP治療は、CPAPプラセボ治療と比較して
 収縮期血圧(3.9 mmHg,95%CI1.4~6.4,P=0.001)、
 拡張期血圧(2.5 mmHg,95% CI 0.9~4.1,P<0.001)、
 総コレステロール値(13.3 mg/dL,95% CI 5.3~21.3,P=0.005)、
 非HDLコレステロール(13.3 mg/dL,95% CI 4.8~21.8,P=0.009)、
 LDLコレステロール(9.6 mg/dL,95% CI 2.5~16.7,P=0.008)、
 TG(18.7 mg/dL,95% CI 4.3~41.6,P=0.02)、
 HbA1c(0.2%,95% CI 0.1~0.4,P=0.003)の平均値の低下に関連。
 CPAPを行うことによって、メタボリックシンドロームの頻度が低下。

結論:
 中~高度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対する3ヵ月CPAPは、
 血圧の低下と内分泌代謝異常が部分的に改善する。

by otowelt | 2011-12-19 09:01 | 内科一般

心不全患者の受動喫煙はHRQOLを低下させる

受動喫煙と心不全患者のQOLの話題。

Sarah G. Weeks, et al.
Secondhand Smoke Exposure and Quality of Life in Patients With Heart Failure
Arch Intern Med. 2011;171(21):1887-1893.


背景:
 受動喫煙:secondhand smoke (SHS) exposureは
 粥状硬化性心疾患や心血管イベントと関連している。
 われわれは、SHSのhealth-related quality of life (HRQOL)への
 関与を心不全患者で調査した。

方法:
 心不全患者のうち現非喫煙者(N = 205)が登録された。
 SHSへの曝露は、曝露アンケートと尿中コチニンレベルの高感度アッセイで
 評価した。多次元的HRQOLはRAND 36-Item Short Form Health
 Surveyで評価され、8ドメインでスケール0 (worst) から100 (best)を設定。
 サブセットとして75人の患者が機能的ステータス評価である6分間歩行に
 同意した。

結果:
 単変量解析では、自己申告SHS曝露は有意にHRQOL scoreと
 関連しており、統計学的にも臨床的に3のサブスケールスコアで減少が
 みられた。すなわち、role physical (22.2 pts),
 emotional well-being (11.0 pts), role emotional (16.2 pts)。
 年齢や性別、NYHA分類、合併症、内服薬などの臨床的因子による
 補正をおこなっても、SHS曝露はHRQOL score低下の独立危険因子であった。

結論:
 低SHS曝露であったとしても、心不全患者におけるHRQOL低下と
 関連するものと思われる。内科医は心不全患者と家族に
 受動喫煙を避けるよう助言をおこなうべきである。

by otowelt | 2011-12-07 11:36 | 内科一般

慢性腰痛・再発性腰痛に対するヨガの効果

ヨガの慢性あるいは再発性腰痛に対する効果について。
ヨガ群において10人に1人近くが腰痛の悪化を訴えているが、
総じて疼痛緩和効果があると結論づけているもの。
こればかりは腰痛の原因によりけりだとは思うが・・・。

Helen E. Tilbrook, et al.
Yoga for Chronic Low Back Pain
A Randomized Trial
Ann Intern Med. 2011;155:569-578.


背景:
 これまでのスタディでは、ヨガは慢性あるいは再発性腰痛の
 治療に対して効果があるかもしれないとされている。
 
目的:
 ヨガの効果を通常の慢性あるいは再発性腰痛の治療を比較する。

デザイン:
 Parallel-group, randomized, controlled trial using
 computergenerated randomization conducted from
 April 2007 to March 2010.
 アウトカムは、郵便アンケートによって実施

患者:
 313の慢性あるいは再発性腰痛をもつ成人。

介入および方法:
 ヨガ(n=156)、通常ケア(n=157)。
 全被験者は腰痛教育ブックレットを受ける。
 介入群は12クラスにわけられ、12人の講師によって
 3ヵ月以上ヨガプログラムをおこなうものとする。
 講師は、British Wheel of Yoga、Iyengar Yogaに所属。
 Roland–Morris Disability Questionnaire(RMDQ)スコアを
 3ヶ月後 (これをプライマリアウトカムとする), 6ヶ月後, 12ヶ月後
 (これをセカンダリアウトカムとする)にスコアリングした。
 同様に疼痛、疼痛に対する自己効果評価、一般的健康指標
 についても3点で観測(これもセカンダリアウトカムとした)。

結果:
 93人(60%)が最初の6セッションのうち少なくとも3セッションを
 受講し他のセッションも少なくとも3セッション受講した。
 ヨガ群は腰背部機能が通常ケア群よりも良好であった。
 補正平均RMDQスコアは3ヵ月時点でヨガ群が
 2.17点(95% CI,1.03 to 3.31点)低く、6ヵ月時では
 1.48点(CI, 0.33 to 2.62 点)、12ヵ月時では1.57点
 (CI, 0.42 to 2.71点)低かった。一般的健康指標としては
 両者に差はみられなかった。自己申告での評価は
 3,6ヵ月時はヨガ群の方が良好であったが、12ヵ月では同等であった。
 157の通常ケアを受けた人のうち2人、ヨガ群の156人のうち12人が
 副作用を訴え、多くは腰痛の悪化であった。
 (本文を読むと、通常ケアのうち1人が死亡している←なぜ???)
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結論:
 12週間にわたるヨガプログラムは、慢性あるいは再発性腰痛を
 通常のケアに比べて改善させる。

by otowelt | 2011-11-02 17:39 | 内科一般

チョコレートをたくさん食べると心血管代謝障害リスクを減少させる

RR 0.63って、現在流通している心血管系の薬剤を
はるかに上回る効果だが、チョコレートってそんなすごいのか?(笑)

最低消費量はどのスタディもおおむね"none"だが
最大消費量はどのくらいかというと、具体的なスタディでは
毎日1杯以上のココア、チョコレート1日7.5g以上といったものがある。

チョコレートによる抗酸化作用と抗炎症性が
このリスク軽減につながっていると考察されているが、
この論文を読んだ後でも、市販のチョコレートを食べれば食べるほど
肥満や糖尿病、結果的な心疾患リスクが増大するのは
医学的に当たり前だと思っている。

Adriana Buitrago-Lopez, et al.
Chocolate consumption and cardiometabolic disorders: systematic review and meta-analysis
BMJ 2011;343:d4488 doi: 10.1136/bmj.d4488


目的:
 チョコレート消費量と心血管代謝障害のリスクとの関連性を評価する。

データ:
 Medline, Embase, Cochrane Library, PubMed, CINAHL, IPA,
 Web of Science, Scopus, Pascalなど

方法:
 18歳以上の成人に対して行われたチョコレートの消費と心血管代謝障害
 との関連についての研究を対象にして、メタアナリシスを施行。
 それぞれにチョコレート消費量が異なるカテゴリーになっているため
 最低消費量と最大消費量を比較するようにした。
 
結果:  
 最終的にメタアナリシス対象となったのは、4576参照文献中、
 7論文であった。ランダム化試験はゼロで、コホート研究6,横断的研究1。
 登録患者は114009人だった。
 チョコレートの消費は、チョコレートバー、チョコレート飲料、
 チョコレート菓子(ビスケットなど)などが含まれた。
 7論文中、5つではチョコレート消費量と心血管代謝障害のリスク低下と
 関連づけたものであった。各研究でチョコレートの消費量が最も多い群は
 最も少ない群に比べて37%のリスク低下と関連していた
 (RR0.63 (95%CI 0.44 to 0.90))。また、脳卒中29%リスク低下とも関連。
 Funnel plotにより有意な出版バイアスは確認されなかった。
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結論:
 チョコレートの消費量がより多いほど、心血管代謝に関連する疾患リスクが
 有意に減る。さらなる研究が必要とされる。

by otowelt | 2011-10-04 09:30 | 内科一般

カフェイン消費量の増大は、うつ発症リスクの減少と関連

Michel Lucas, et al. Coffee, Caffeine, and Risk of Depression Among Women
Arch Intern Med. 2011;171(17):1571-1578


背景:
 カフェインは世界的に中枢神経刺激をもたらす消費物であり
 およそ80%がコーヒーとして摂取されている。しかしながら、
 コーヒーあるいはカフェイン消費がうつのリスクと関連しているか
 どうかのプロスペクティブな解析はなされていない。

方法:
 合計50739人のイギリス人女性(平均63歳)でうつ症状がないものを
 ベースラインに組み込み(1996年)、2006年6月1日までフォローアップした。
 カフェインの消費量についてはアンケートを用いて1980年5月1日から
 2004年4月1日まで聴取。うつは自己申告での症状による
 医師診断と抗うつ薬の使用によって定義した。Cox比例ハザード回帰モデル
 を用いた解析をおこなった。

結果:
 10年フォローアップ期間中、2607の”うつ”が発生した。
 1日1カップ以下のカフェイン入りコーヒー飲料比較して、一日2-3カップで
 ハザード比0.85(95%CI 0.75-0.95) 、4カップ以上で
 0.80(0.64-0.99; P for trend <.001)であった。
 多変量相対リスクは、5カフェイン量比較において、最大と最小の比較では
 HR0.80(95%CI, 0.68-0.95; P for trend = .02)であった。
 カフェインのないしコーヒーではうつリスクとは関連しなかった。

結論:
 カフェイン消費量の増大は、うつ発症リスクの減少と関連する。

by otowelt | 2011-09-28 17:05 | 内科一般

アクトス-膀胱癌問題

話題になっているネタ。

(日経メディカルオンラインより)
武田薬品工業が販売する2型糖尿病治療薬ピオグリタゾン(商品名:アクトス)およびその合剤について、海外で膀胱癌リスク上昇の可能性が指摘されている問題で、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は6月23日、膀胱癌のリスクに関連する情報を添付文書に追記することを決めた。対象となるのは、アクトス、ソニアス配合錠、メタクト配合錠および6月24日に薬価収載予定のアクトス後発品。フランスや米国で実施された疫学研究データなどに基づき判断した。
 今回の改訂では、「海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究において、本剤を投与された患者で膀胱癌の発生リスクが増加する恐れがあり、また、投与期間が長くなるとリスクが増える傾向が認められている」として、以下の点を「重要な基本的注意」欄に追記する予定。

(1)膀胱癌治療中の患者には投与を避けること。また、特に、膀胱癌の既往を有する患者には本剤の有効性および危険性を十分に勘案した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
(2)投与開始に先立ち、患者又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与すること。また、投与中に血尿、頻尿、排尿痛などの症状を認めた場合は、直ちに受診するよう患者に指導すること。
(3)本剤投与中は、定期的に尿検査などを実施し、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。また、投与終了後も継続して、十分な観察を行うこと。

 上記のうち(1)(2)は、米国食品医薬品局(FDA)による注意喚起と共通するが、FDAでは(3)の定期的な尿検査の実施は求めておらず(関連記事:2011.6.16「FDA、アクトスの1年以上の長期処方に懸念」)、その点ではより踏み込んだ内容になっているといえる。尿糖の検査を行う際に、血尿などの有無を確認することが現場での実際の対応となりそうだ。なお、フランスとドイツの当局は、ピオグリタゾンを新規の患者に処方しないように求めている。
 また、添付文書には海外の疫学研究のデータも「その他の注意」欄に記載する。
 1つ目は、米国で行われた疫学研究の中間解析で、全体解析では膀胱癌の発生リスクに有意差は認められなかったが(ハザード比 1.2、95%信頼区間[CI] 0.9-1.5)、層別解析において投与期間が2年以上の群で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.4、95%CI 1.03-2.0)。
 2つ目はフランスでのデータで、ピオグリタゾン投与患者で膀胱癌の発生リスクが有意に増加し(ハザード比 1.22[95%信頼区間 1.03-1.43])、投与期間が1年以上で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.34[95%信頼区間 1.02-1.75])。
 一方、膀胱癌のリスクを上げないとする疫学研究も複数報告されているが、今回の改訂案にはその情報は含まれていない。また、日本での大規模な疫学研究のデータはなく、今後何らかの調査を実施できないかを検討する必要性が、審議会でも議論された。
 厚労省は、「疫学研究における限界も踏まえて慎重にリスク評価をすべき」とし、今後リスクに関する説明用資材の提供を製造販売業者に求めていくとともに、情報収集を行いながら必要に応じて追加対策を検討するとしている。
 現在、日本人の膀胱癌の年齢調整罹患率は、10万人当たり12人(男性)、白人では10万人当たり20人程度とされている。ピオグリタゾンの国内における2009年度の年間推定使用患者数は約132万人。

by otowelt | 2011-06-25 09:01 | 内科一般

systemic capillary leak syndromeにβ2刺激薬あるいは免疫グロブリン投与は有効かもしれない

SCLS(Systemic capillary leak syndrome)は
全身性の毛細血管の漏出性反応を起こす重症疾患であり、
多臓器不全やALI/ARDSとも関連が深い。近年ではMGUSとの関連が注目されている。
血管内血漿成分の8割近くが血管外に漏出することによって
重症の浮腫と循環血液量減少性ショックを起こす。
基礎疾患として、敗血症、急性膵炎、多発外傷、薬剤、幹細胞移植後、悪性腫瘍、
血球貪食症候群、systemic mastocytosis、CO中毒、出産など様々である。
基礎疾患が明らかでない場合は、ICLS(Idiopathic systemic capillary
leak syndrome)と呼ぶが、別名Clarkson’s diseaseもいう。

The Systemic Capillary Leak Syndrome: A Case Series of 28 Patients From a European Registry
Arch Inter Med. April 4, 2011 vol. 154 no. 7 464-471


背景:
 SCLSはまれな疾患であり、毛細血管の過度の漏出をおこす致死的なものである。 

目的:
 臨床的な性格、検査所見、治療、アウトカムを記載する。

患者および方法:
 ケースシリーズ。1997年1月から2010年7月の間にヨーロッパの他施設に
 紹介されSCLSの診断がついた28人の患者。
 
結果:
 13人の男性、15人の女性。合計252回のattackをカウント。
 発症時年齢中央値は49.1歳(5.4 to 77.7 years)で、1人患者あたりの
 年間attack中央値は1.23回 (0.13 to 21.18)。モノクローナルなIgG上昇が
 25人(89%)にみられた。予防的治療として免疫グロブリン(n = 18)、
 テルブタリン(n = 9)、アミノフィリン(n = 10)がおこなわれた。
 8人(29%)が死亡し、1年生存率は89%、5年生存率は73%であった。
 SCLS attacksによる直接的死亡は6人であった。
 予防的治療を受けた23人の5年生存率は85%であったが、受けていない5人の 
 5年生存率は20%であった。

結論:
 28人のSCLS患者における臨床的経験から、予防的なβ2刺激薬あるいは
 静注免疫グロブリンはSCLS attackの頻度と重症度を減らし、生存率を改善
 するかもしれない。
 

by otowelt | 2011-04-07 13:51 | 内科一般

ループ利尿薬のボーラス投与と持続注入、高用量と低用量で差なし

Diuretic Strategies in Patients with Acute Decompensated Heart Failure
N Engl J Med 2011;364:797-805.


背景:
 急性非代償性心不全患者治療において、ループ利尿薬は重要な薬剤であるが、
 使用指針とすべき前向きデータはほとんどない。

方法:
 プロスペクティブ二重盲検ランダム化試験において、急性非代償性心不全患者
 308人に、フロセミドの静脈内投与を
 12 時間ごとのボーラス投与または持続注入、および
 低用量(それまでの経口投与量と同じ)または高用量(経口投与量の2.5倍)
 の組合せで行う、4群に割り付け。投与開始後から48時間後には、
 用量調節ができるようはからった。複合プライマリエンドポイントは
 VASスコアの72時間AUCで定量化した患者症状評価、およびベースラインから
 72時間までの血清Creの変化とした。

結果:
 ループ利尿薬のボーラス投与と持続注入との比較で、
 患者による症状のVAS全般的評価(平均AUCそれぞれ4236±1440、
 4373±1404、P=0.47)および、血清Cre値の平均変化
 (それぞれ 0.05±0.3 mg/dL [4.4±26.5 μmol/L]、
 0.07±0.3 mg/dL [6.2±26.5 μmol/L],P=0.45)にも有意差はなかった。
 高用量と低用量との比較では、高用量群の方が患者による症状の
 全般的評価の改善が大きくなる傾向があったが、統計学的に有意でなかった。
 (平均AUC 4430±1401 vs 4171±1436、P=0.06)
 血清Cre値の平均変化には、2群間で有意差はなかった
 (高用量群 0.08±0.3 mg/dL [7.1±26.5 μmol/L]、
 低用量群 0.04±0.3 mg/dL [3.5±26.5 μmol/L]、P=0.21)。
 高用量法は、強い利尿作用と複数の副次的指標における転帰の改善に関連して
 いたものの、腎機能の一時的な低下にも関連した。結論:
 ループ利尿薬のボーラス投与と持続注入、高用量と低用量とでは
 急性非代償性心不全患者による症状の全般的評価や
 腎機能の変化に有意差は認められなかった。

by otowelt | 2011-03-07 06:25 | 内科一般