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研修医の労働時間を短縮することが、医療・教育の質を改善させるものではない

アメリカとイギリスで1週間あたりの労働時間上限に
かなり差があるのが気になるが・・・。
”研修医の労働時間←→質”というテーマがスタディになるなんて
昔のドクターは思いもしなかっただろうなぁ・・・。

Impact of reduction in working hours for doctors in training on postgraduate medical education and patients’ outcomes: systematic review
BMJ 2011;342:d1580 doi:10.1136/bmj.d1580


目的:
 医学部の卒後研修を受ける医師の労働時間を短縮することによって
 医学教育・臨床的アウトカムの客観的指標に影響を与えるかどうかを検証する。
 システマティックレビュー。

方法:
 Medline、Embase、ISI Web of Science、Google Scholar、
 ERIC、SIGLEから検索。言語に制限を設けずに
 1990年から2010年12月まで出版された文献で調査をおこなった。
 医学部卒後研修アウトカム、患者の安全性、臨床的なアウトカム
 などの客観的数値が使われ、duty hoursの変化へのインパクトを評価。

結果:
 72研究を検討対象とした。
  38:reporting training outcomes
  31:reporting outcomes in patients
  3:reporting both
 80時間/週を超える労働時間(アメリカ推奨時間)から短縮することよって
 患者安全性へ逆的影響はみられず、卒後訓練への影響は限定的であった。
 ヨーロッパでの56・48時間未満という労働時間制限に関する報告は、
 スタディクオリティが低く、上記と相反する結果がみられているため
 はっきりとした結論を出せなかった。

結論:
 アメリカにおいて、 80時間からの労働時間短縮は、
 患者や卒後訓練へ逆的影響がみられなかった。
 56・48時間制限というイギリスのスタディはスタディクオリティが
 低く、評価できなかった。さらなる研究が必要である。

by otowelt | 2011-03-28 22:28 | その他

東日本大震災による緊急的措置:主要医学雑誌、UpToDateなど全無料開放

東日本大震災を受けて、4月8日までの間、
The Emergency Access Initiativeが
医学雑誌233誌、本75冊、Cochrane database、
DynaMed、Essential Evidence Plus、UpToDateを
全部無料開放しています。

↓主要論文についてはこのサイト参照
http://eai.nlm.nih.gov/

医中誌Webも震災を受けて無料にしていますが、
メールによる無料登録申請が必要のようです。

by otowelt | 2011-03-17 15:46 | その他

来年もよろしくお願いします。

研修医時代、「1日1論文」ということを義務づけていた後輩がいたので
私はそれに触発されて、朝に早起きしてできる限り1日1論文という
日課を続けています。それでも2010年は300程度の論文しか読めませんでした。
ただ、私は記憶力が極めて乏しく、メモしないと覚えられません。
勉強したことをメモすることで、いつでも引き出せるのが
ブログという媒体のよいところでした。
ただ、全ての論文を記載してアップロードするにはやはり労を要しますので、
アップロードできたのは部分的なものだけでした。
その勉強した内容を積み重ねて、自分の患者さんに還元したいと
いう初志で始めたメモであり、その気持ちは今も変わっていません。

勉強メモのつもりだったのが、いつの間にか1日のアクセス数が
途方もない数字になってきました。
呼吸器内科医だけでなく、誰に見られても恥じないような
勉強・論文メモのブログであり続けたいと思います。

来年もよろしくお願いします。

by otowelt | 2010-12-30 11:05 | その他

自転車が軽くても、通勤時間を短縮できるわけではない

毎年恒例のChristmas BMJ。
自転車が趣味の麻酔科医の、心のこもった論文である。
考察にも書かれているが、自転車が4kgばかり軽くなったところで
自分の体重が重力の作用のほとんどを占めているので差が出なかった。
じゃあなぜカーボン製の自転車を買ったのか、というところが
問題になるわけだが、”新しいものを出すから買うんだ!”と筆者は言う。

Bicycle weight and commuting time: randomised trial
BMJ 2010; 341:c6801 doi: 10.1136/bmj.c6801


目的:
 筆者の9.5kgのカーボンフレーム自転車と、
 13.5kgのスチールフレーム自転車の通勤時間を比較する
 ランダム化試験である。

セッティング:
 イギリスSheffieldからChesterfieldまで、2010年1月中旬頃から7月中旬頃まで。
 往復27マイル(43.5km)を小旅行した。
 カーボンフレーム自転車の車輪:
   36 spoke 700C wheel of standard alloy rim construction
 スチールフレーム自転車の車輪:
   20 spoke 700C wheel with alloy rim

参加者:
 1人の麻酔科・集中治療部コンサルタント(筆者)

結果:
 スチールフレーム自転車の移動総距離は809マイル(1302km)、
 カーボンフレームは711マイル(1144km)であった。
 両群の平均の移動時間差は、00:00:32
 (hr:min:sec; 95% CI –00:03:34 to 00:02:30; P=0.72)であった。
 また冬の間(20 January to 19 April 2010)と
 夏の間(21 April to 22 July 2010)の移動時間差は
 00:06:50 (95% CI 00:04:39 to 00:08:59; P<0.01)であり、有意だった。
e0156318_123671.jpg
結論:
 自転車が軽くても、通勤時間を短縮できるわけではない。
 軽い自転車を購入するよりも、自分の体重を減らすべきである。

by otowelt | 2010-12-13 12:42 | その他

間質性肺疾患診療マニュアル



まさに呼吸器内科医のための本です。
病理写真が多く、かゆいところに手が届く部分も多いため
買って損はありません。

by otowelt | 2010-11-19 09:06 | その他

Rett症候群の肺HRCT所見

Rett症候群は小児の病気であるが、
10年以上の生存が見込める場合、中年まで存命されるケースもある。
Longevity in Rett Syndrome: Analysis of the North American Database.
J Pediatr. 2009 Sep 19.

(古典的Rett症候群とわけて、非典型的Rett症候群という)
脊柱変形が進むと呼吸器合併症も強くなる先天性疾患であることは、
呼吸器内科医として知っておいた方がよい。

Unrecognized Lung Disease in Classic Rett Syndrome.A Physiologic and High-Resolution CT Imaging Study
CHEST 2010; 138(2):386–392


27人のRett症候群の女児で検証された、肺HRCTの所見。
いままでこういったスタディがなかったため、
Rett症候群にこういった肺病変があることは知られていなかった。

15人(55.5%)にHRCTの異常がみられた。
centrilobular nodules (10/15, 66.7%)
thickening of the bronchial walls (8/15, 53.33%)
patchy ground-glass opacities (4/15, 26.7%)
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by otowelt | 2010-08-05 00:23 | その他

未熟児に一酸化窒素吸入を行ってもBPDは予防できない

Inhaled nitric oxide for prevention of bronchopulmonary dysplasia in premature babies (EUNO): a randomised controlled trial.
Lancet. Early Online Publication, 22 July 2010


背景:
 動物モデルにおいて、一酸化窒素吸入は肺形成をうながすが
 未熟児においては気管支肺異形成(BPD)のリスクになる可能性が指摘
 されている。

方法:
 未熟児800名(在胎24-28週)を対象に、一酸化窒素吸入による
 BPDの予防効果を無作為化比較試験で検討。

結果:
 399の新生児が一酸化窒素吸入群に割り当てられた。
 無BPD生存率(65% vs 66%, RR1.05, 95% CI 0.78—1.43)
 最終月経後36週時の生存率(86% vs 90%, RR 0.74, 95%CI 0.48—1.15)
 BPDの発症率(24% vs 27%,RR 0.83, 95%CI 0.58—1.17)であり、
 プラセボ群との有意差は認められなかった。

結論:
 未熟児に一酸化窒素吸入を行ってもBPDは予防できない。

by otowelt | 2010-07-28 16:39 | その他

有用性をもって早期終了した臨床試験の効果は、誇張されている

e0156318_655412.jpgStopping Randomized Trials Early for Benefit and Estimation of Treatment Effects
JAMA. 2010;303(12):1180-1187.


http://newsblog.mayoclinic.org/2010/03/19/study-on-stopping-clinical-trials/

メイヨークリニックから、臨床試験に関するスタンスの勧告。

JAMAから発表されたのは、治療効果が良好であることを理由に早期終了した
約100の臨床試験についての国際的な研究。
論文によれば、早期終了の研究は効果を誇張されている現状があるとのこと。
本研究の著者らは、研究者は臨床試験の早期終了への圧力に屈することなく、
早期終了を検討する以前に、より長期にわたって試験を継続するよう勧告した。

平均すると、早期終了した試験は、
効果のない治療で約30%の相対リスクの低下を示し、
真に20%の相対リスク低下効果のある治療では40%以上の低下を示す

by otowelt | 2010-05-06 06:53 | その他

術前貧血は術後死亡率上昇のリスクである


術前貧血は術後死亡率上昇のリスクであるという論文。

Risk Associated with Preoperative Anemia in Noncardiac
Surgery. Anesthesiology 2009; 110:574–81.


背景:
 術前の貧血は輸血の観点からも重要であり、
 非心臓術後の副次的アウトカムに関連していると言われている。
 この研究の目的は、術前貧血がどのように術後の死亡率と関連しているか
 を調べるものである。

方法:
 データはレトロスペクティブに7759人の非心臓手術患者を
 University Health Networkから集めた。
 術前貧血は、ヘモグロビンが女性で12.0g/dl以下、男性で13.0g/dl以下と定義。

結果:
 術前貧血については特に男女差はなかった。
 (39.5% for men and 39.9% for women)
 しかしながら、オッズ比は術後5倍に上昇。
 死亡率も上昇した。(OR 2.36; 95%CI,1.57–3.41)
e0156318_15405836.jpg


結論:
 貧血は周術期患者における死亡率上昇の独立因子である。

by otowelt | 2009-03-16 15:44 | その他