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出版のお知らせ:4冊同時刊行

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 2016年4月に書籍を4冊刊行することになりました。同時刊行ということもあり、出版社には申し訳ありませんが、まとめて宣伝させていただきます。出版に尽力いただいた編集者の方々、私の外来に通院している全ての患者さん、執筆の時間を作ってくれる妻と子どもたちに感謝しています。



●COPDの教科書: 呼吸器専門医が教える診療の鉄則

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発売日:2016年4月8日
単行本 : 348ページ
価格 : 4,200円 (税別)
出版社 : 医学書院
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
監修 : 林 清二 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)

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 医学書院から「COPDの教科書」という本を発売します。院長の林先生に監修いただき、ありそうでなかったCOPDの読み物を執筆しました。臨床医が知っておきたいCOPDのすべてが網羅されているはずです。一般的な診断・治療に加え、最新の吸入薬やロフルミラストなどの内服薬、トリプル吸入療法、在宅酸素療法にまで言及しています。特に在宅酸素療法は、患者負担やボンベ残量時間、飛行機旅行の注意点など細かく記載しました。



●気管支喘息バイブル 成人気管支喘息を診療するすべての人へ

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発売日:2016年4月8日
単行本 : 272ページ
価格 : 4,800円 (税別)
出版社 : 日本医事新報社
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)

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 日本医事新報社から「気管支喘息バイブル」という本を発売します。気管支喘息に対する私なりの考えをまじえながら、診断と治療に必要な知識をすべて詰め込んだ一冊です。気管支サーモプラスティなどの新しい治療にも触れています。目の前の患者さんにどういう吸入薬を処方したらよいかという症例集もあります。ACOS、好酸球性下気道疾患、AERDなどのちょっと勉強しにくい喘息亜種についても掲載しています。



●呼吸器の薬の考え方,使い方 ver.2

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発売日:2016年4月7日
単行本 : 454ページ
価格 : 5,200円 (税別)
出版社 : 中外医学社
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
監修 : 林 清二 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
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 中外医学社から「呼吸器の薬の考え方、使い方 ver.2」という本を発売します。これは改訂第2版です。ここ2年で新しい薬剤が増えたため、それらをラインナップに加えアップデートしました。中のデザインは同じですが、新しいエビデンスが更新された部位にも改訂を加えています。前作のおよそ1.2倍のボリュームです。まだ発売されていないプロボコリン・ケンブラン、タグリッソ、ジカディア、ヌーカラなどはコラムに少し登場する程度にとどめました。呼吸器の薬を扱う方に、ぜひ一冊。



●本当にあった医学論文3

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発売日:2016年4月7日
単行本 : 138ページ
価格 : 2,000円 (税別)
出版社 : 中外医学社
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
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 中外医学社から「本当にあった医学論文3」という本を発売します。おいおい、またかよ!と思われるかもしれませんが、とうとうシリーズ3作目。毎度のごとく「ほんまかいな」という論文を紹介しています。一般の読者の意見も考慮し、今回は1、2作目よりも医学用語を減らして少し簡単にしました。「最高何メートルの高さから転落して助かった人がいるのか?」「ウコンは飲酒時に肝臓を悪くする?」「キラキラネームは増えている?」・・・など70あまりの医学論文を紹介しています。


 ブログは数日お休みさせていただきます。



by otowelt | 2016-03-26 00:03 | その他

外科レジデントの勤務時間には柔軟性を持たせるべきか?

e0156318_926294.jpg ACGME規定の群に割り付けられたレジデントはどういう気持ちだったでしょうね。「じっくり研鑽を積みたいのに困るなぁ」という人と「QOLが維持できる、やった!」という人に二分されたでしょうか。

Karl Y. Bilimoria, et al.
National Cluster-Randomized Trial of Duty-Hour Flexibility in Surgical Training
N Engl J Med 2016; 374:713-727


背景:
 外科のレジデントの勤務時間についての現行方針が、患者のアウトカム、レジデント教育、レジデントの健康に与える影響には、懸念がある。

方法:
 アメリカの117の一般外科研修プログラムを対象に、クラスターランダム化非劣性試験を実施した(2014~2015年)。外科研修プログラムについては、アメリカ卒後医学教育認定評議会(ACGME)による勤務時間の指針(標準群)と、シフトについての規則を適用しない柔軟な指針(柔軟群)にランダムに割り付けた。30日時点での術後死亡または重篤な合併症の発生率をプライマリアウトカムとした。また、術後合併症、レジデントの健康などのアウトカムについても評価した。

結果:
 138691例の患者データの解析によれば、柔軟群において死亡や重篤な合併症の発生率上昇との関連は観察されなかった(柔軟群9.1% vs 標準群9.0%、P=0.92、非補正オッズ比0.96、92%信頼区間0.87~1.06、P=0.44)。外科レジデント4330 人のうち、柔軟群のレジデントが標準群のレジデントと比較して教育のクオリティ全体に不満を持っている割合が大きいという結果も観察されなかった(柔軟群11.0% vs 標準群10.7%、P=0.86)。また、レジデントの健康に対する不満も同様の結果だった(柔軟群14.9% vs 12.0%、P=0.10)。柔軟群のレジデントは、標準群のレジデントと比べて勤務時間が患者ケアやレジデント教育などにマイナスの影響があると認識する頻度は少なかったが、個人的な活動にマイナスの影響があると認識する傾向がみられた。レジデントの疲労が自身・患者の安全性に影響を与えているという認識には群間差はなかった。柔軟群のレジデントは、標準群のレジデントと比較して、手術中に退室した割合(7.0% vs 13.2%、P<0.001)、患者の問題を引き継いだ割合(32.0% vs 46.3%、P<0.001)が低いという結果だった。

結論:
 外科レジデントの勤務時間について、柔軟性を持たせることは標準的なACGMEの方針と比べて患者アウトカムに対しては非劣性で、レジデント自身の健康や教育に対する満足度にも有意差はなかった。


by otowelt | 2016-03-09 00:03 | その他

出版のお知らせ:ポケット呼吸器診療2016

 2016年2月12日に「ポケット呼吸器診療2016」をシーニュから出版します。これは2015の改訂版であり、毎年アップデート出版していく予定です。前回の2015年版から1.5倍ボリュームを増やし、内容を充実させました。価格は1,000円台をこれからも維持させていただく予定です。

<2015年版→2016年版においてボリュームが増えた主なポイント>
・気管支鏡に関する項目(BAL・TBLBの方法)
・肺エコー(各所見)
・胸水検査所見
・ACOS(asthma-COPD overlap syndrome)
・リンパ増殖性疾患
・悪性胸膜中皮腫
・脳転移
・放射線肺障害
・過敏性肺炎の原因一覧
・じん肺の種類(各珪肺~レアアース肺まで)
・好酸球性下気道疾患
・動脈血液ガス分析
・在宅酸素療法(飛行機内酸素療法を含む)
・身体障害者認定基準
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発売日:2016年2月12日
単行本 : 153ページ
価格 : 1,728円 (税込)
出版社 : シーニュ
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)
監修 : 林 清二 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター院長)

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 このマニュアルは「できるだけコンパクトかつ有用な安い書籍」を目標にしていますが、限りなく最新の文献に基づいた疾患情報を提供できるよう心がけています。実臨床で使用することを最優先に、不要な贅肉を極限までこそぎ落としました。
 
 呼吸器を診療する医師のポケットに長く入れていただけるよう、毎年ハイクオリティの内容をお届けできるよう努力致しますので、よろしくお願い申し上げます。「こういった内容の方がよい」「こういった項目を入れて欲しい」などの叱咤激励もお待ちしております。

 最後に、シーニュの藤本浩喜様、監修を引き受けていただいた当院院長の林清二先生に心より感謝申し上げます。


by otowelt | 2016-02-06 00:01 | その他

世界一短い医学論文のタイトル

e0156318_7383323.jpg あらゆる医学論文には、タイトルがついています。日本語の場合、「~~~の検討」「~~~の考察」のようなタイトルになることが多いですが、英語の場合、ちょっととんちじみたタイトルの論文もあります。

 さて、紹介するのは世界一短い論文のタイトルです。医学論文のタイトルが短いと、アクセス数が増えて他の論文から参照される確率が高くなるそうです(Clinics (Sao Paulo). 2012 May; 67(5): 509–513.)。

 私が調べた限り、少なくとも2014年の時点で最も短い医学論文のタイトルは“Myopia” という論文(Lancet. 2012 May 5;379(9827):1739-48.)、または“Prions”という論文(Cold Spring Harb Perspect Biol. 2011 Jan; 3(1): a006833.)でした。6文字。前者は近視に関する論文、後者はプリオン病に関する論文です。 

 しかし2015年に”Click”というタイトルの論文が登場しました。Myopiaよりも1文字少ない5文字!世界記録更新です!

Jenny Pinfield, et al.
Click.
Nurs Child Young People. 2015 Nov 12;27(9):11.


 これは小児におけるデジタルデバイスのアプリケーション教育に関する論文です。医学論文なのかと問われるとちょっと窮してしまいますが、PubMedという医学論文を集めたウェブサイトに掲載されているのでヨシとしましょう。それにしてもタイトルに「クリック」なんて書かれると、悪質サイトにつながるのかと警戒されてクリックしてくれない気もしますが・・・。

 もっと短いタイトルの医学論文があれば教えて下さい。


by otowelt | 2015-12-29 00:32 | その他

クリスマスBMJ 2015目次

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 研修医の方から「ブログ、最近一体どうされたんですか?」という私を精神状態を案ずるメールが来たので、クリスマスBMJ(BMJクリスマス特集号)について説明しましょう。

 BMJは言わずと知れた世界トップクラスの医学雑誌です。BMJは、年に1回クリスマスの時期に“おふざけ”論文をたくさん出してくるのです。この企画は基本的にジョークで、内容自体はどうでもいいものばかりです。しかし、オバカなテーマでもBMJ風に真面目に論じらているものが多いので、医師は興味深く読むことができるでしょう。

 少しでも医学論文に興味を持ってくれる若者が増えれば、という目的もあろうかと思います。

 このクリスマスBMJの目次ページは、論文を読むたびに随時更新していきます。

<クリスマスBMJ 2015 目次>

クリスマスBMJ:ヒトの脳における“クリスマス中枢”はどこに?
クリスマスBMJ:医学部の指導者は口ヒゲが多い
クリスマスBMJ:ホラー映画は“血が凍る”
クリスマスBMJ:現代の論文はポジティブな言葉を使いすぎ?
クリスマスBMJ:アルカンシエルの呪いは存在するか?
クリスマスBMJ:ヒト海綿状脳食症!?
クリスマスBMJ:ゾンビの疫学、治療、予防
クリスマスBMJ:ロシア高官は歩くときに右腕を振らない
クリスマスBMJ:政府首脳に選ばれると死亡リスクが上昇する
クリスマスBMJ:ボブ・ディランの歌は論文にしばしば引用されている
クリスマスBMJ:臨床試験スタッフに赤ちゃんが生まれると試験の進捗と費用に負担?
クリスマスBMJ:糞石を磨き上げる






by otowelt | 2015-12-20 12:23 | その他

クリスマスBMJ:ヒトの脳における“クリスマス中枢”はどこに?

e0156318_10323428.jpg クリスマスBMJ、12本目です。
 これまでのものと比較すると、ちょっとインパクトに欠けますかね。

Anders Hougaard, et al.
Christmas 2015: All in the Mind
Evidence of a Christmas spirit network in the brain: functional MRI study
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6266 (Published 16 December 2015)


目的:
 ヒトの脳における“クリスマスの心(Christmas spirit)”(クリスマス中枢)の局在を同定すること。

方法:
 機能的MRI(fMRI)を用いた単盲検研究で、デンマークの臨床生理学・核医学・PET部門で行われた。被験者はコペンハーゲンの健常ボランティアで、クリスマスを祝う習慣がある10人と習慣がない10人の合計20人が登録された。クリスマスにちなんだ画像による視覚的な刺激を与え、クリスマスを祝う習慣がある人の脳に特異的な活動性がある部位を調べた。クリスマスの画像とクリスマスと関係のない画像を見せながら、fMRIのBOLD効果によるMR信号の変化を計測し、脳の活動部位を調べた。fMRIの後、被験者にクリスマスを祝う習慣などについてどう思っているかアンケートをとっている。“クリスマス群”の被験者と“非クリスマス群”の被験者に分けて、解析した。

結果:
 クリスマスを祝う習慣のある人では、そうでない人と比べて感覚運動皮質、前運動皮質、第一次運動皮質、下・上頭頂葉でのBOLD効果が顕著にみられた。これらの領域は、霊的なこと、体性感覚、顔の感情の認識といった機能と関連している。
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(文献より引用)

結論:
 ヒトの脳皮質には、“クリスマスの心”にかかわるネットワークが存在する。このネットワークはクリスマスを祝う習慣のある人に有意に活性化がみられる。クリスマス以外の他の行事・休暇についても特異的な領域を検索する研究が望まれる。おもしろく好奇心をそそられる内容だが、これらの知見は慎重に吟味されるべきである。


by otowelt | 2015-12-19 00:29 | その他

クリスマスBMJ:医学部の指導者は口ヒゲが多い

e0156318_10323428.jpg クリスマスBMJ、11本目です。
 口ヒゲ指数の定義が思っていたのと逆の定義で、指数が低いほど口ヒゲが多いという意味を指します。外科分野では口ヒゲはさすがに少ないですね。

Mackenzie R Wehner, et al.
Christmas 2015: Face Time
Plenty of moustaches but not enough women: cross sectional study of medical leaders
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6311 (Published 16 December 2015)


目的:
 口ヒゲがあるリーダーと女性リーダーの数を比較することで、医学部の教育指導者の立場にある人間の性差に注目したい。

方法:
 アメリカの医学校における横断研究である。NIHと関連のある50のアメリカ医学校からリーダーに位置する1018人を被験者に選んだ。女性リーダーの数とヒゲのあるリーダー(ヒゲリーダー)の数をアウトカム指標に設定した。加えて、口ヒゲ指数(女性数/ヒゲ数)を多項ロジスティック回帰モデルを用いて解析した。

口ヒゲの定義:
 上唇の上の皮膚に存在する毛で、他のヒゲと結合されていてもよいとする。Copstash Standard型もVan Dyke型もOKとしている。いくつか珍しいタイプの口ヒゲもあるが、ダリ型やスーパーマリオ型もOKらしい。
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(文献より引用:適格基準の口ヒゲ:ダリ型・ジャック・スパロウ型・スーパーマリオ型)

※毛が豊富でも、口の上にヒゲがなければ口ヒゲとは認められない。
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(文献より引用改変)

結果:
 50の医学校の医学部のリーダーの13%が女性だった(1018人中137人)。ヒゲリーダーは、19%(1018人中190人)だった。施設ごとに、また専門分野ごとに女性リーダーの数にはばらつきがあった。7施設および5専門分野では、女性リーダーの頻度が20%を超えた。
 本研究における総口ヒゲ指数は0.72(95%信頼区間0.58 to 0.90; P=0.004)であった。20の専門分野のうち6だけが女性の方がヒゲより多かった(口ヒゲ指数>1)。
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(文献より引用改変:口ヒゲ指数:施設別、専門分野別)

結論:
 アメリカの医学校では、口ヒゲのあるリーダーの方が女性リーダーより多い。口ヒゲ指数が1以上になるよう各施設とも努力されたい。


by otowelt | 2015-12-18 12:45 | その他

クリスマスBMJ:ホラー映画は“血が凍る”

e0156318_10323428.jpg クリスマスBMJ、10本目です。
 「bloodcurdling」という単語は、身の毛もよだつ、血も凍るようなという意味で、本当にbloodがcurdlingと関係しているのか調べたのがこの研究です。

Banne Nemeth, et al.
Christmas 2015: Infection Control
Bloodcurdling movies and measures of coagulation: Fear Factor crossover trial
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6367 (Published 16 December 2015)


目的:
 中世から言われてきたように、急性の恐怖は血液を凝固させるかもしれない。この真偽について調べた。

方法:
 クロスオーバー試験である。オランダのライデン大学の臨床疫学部の大会議室を即席の映画館に変身させた。参加者は、ライデン大学医療センターの30歳以下の24人の健常ボランティア(生徒、卒業生、職員)である。14人がホラー映画を観た後に教育的な(こわくない)映画を観る群、10人が教育的な映画を観た後にホラー映画を観る群に割り付けられた。映画は、ホラー映画は2010年の『インシディアス』、教育的な映画は2014年の『シャンパーニュの一年』。映画はそれぞれ90分。(同じ日に観るわけにはいかないので)2回目の映画は1週間以上間をあけて同じ時間帯で観た。
 アウトカムは、恐怖指数とも言える凝固系の測定に設定した。それぞれの映画の15分前に採血し、映画を観終わった後15分以内に2回目の採血をおこなった。凝固系の検査項目として、第VIII因子、D-ダイマー、TAT(トロンビン-アンチトロンビン複合)、プロトロンビンフラグメント1+2とした。セカンダリアウトカムとしてVASによってどのくらい恐怖を感じたか被験者に報告してもらった。

結果:
 すべての参加者が試験を完遂できた。VASによれば、ホラー映画は教育的映画よりもこわいことがわかった(当たり前だ)(平均差5.4、95%信頼区間4.7-6.1)。映画の前後における第VIII因子値の差は、ホラー映画の方が有意に高かった(平均差11.1 IU/dL [111 IU/L], 95%信頼区間1.2 to 21.0 IU/dL)。TAT、D-ダイマー、プロトロンビンフラグメント1+2については差はみられなかった。

結論:
 若い成人男女では、恐怖(本研究ではホラー映画)はトロンビン形成なしに第VIII因子の増加と関連していた。


by otowelt | 2015-12-18 06:37 | その他

クリスマスBMJ:現代の論文はポジティブな言葉を使いすぎ?

e0156318_10323428.jpg クリスマスBMJ、9本目です。
 初めて書いた英語論文で「surprisingly」という言葉を使ったら、度が過ぎると言われ一蹴された経験があります。「表現バイアス」とでも呼ぶのでしょうか。
 ここまでやるなら、このクリスマスBMJの研究自体にもそういう副詞や形容詞をふんだんに盛り込んでもらいたかったですね。

Christiaan H Vinkers, et al.
Christmas 2015: The Publication Game
Use of positive and negative words in scientific PubMed abstracts between 1974 and 2014: retrospective analysis
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6467 (Published 14 December 2015)


目的:
 科学論文のアブストラクトに使われている言葉が、時代の流れでポジティブな言葉やネガティブな言葉の使い方に変化をもたらすのかどうか調べる。

方法:
 1974年~2014年にPubMedに収載された科学論文のアブストラクトにおける後ろ向き解析である。
 novel(新しい)、amazing(驚くべき)、bright(輝かしい)、innovative(革新的な)といったポジティブな単語と、detrimental(有害な)、impossible(不可能)、unsatisfactory(不満足な)、mediocre(平凡な)といったネガティブな単語をそれぞれ25単語、そのほかのニュートラルな名詞や形容詞をオグデンのベーシック英語からランダムに100抽出した。そして、オンラインの論文検索でアブストラクトからワードを検索し数えた。これら単語群が1980年からどのように変化しているかを調べた。

結果:
 1974~80年から2014年までの化学論文の単語の使用率を見ると、ネガティブやニュートラルな単語に比べ、ポジティブな単語は平均2%から17.5%へと増加していた。とくに上位の単語、robust(強固な)、novel(新しい)、amazing(驚くべき)といったものは相対的に150倍という増加をみせていた。
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(文献より引用:ポジティブな単語の変遷)

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(文献より引用:使用数の多いポジティブな単語)

 高いインパクトファクターの論文に限定したところ、これほど顕著ではないものの匹敵するほどの増加がみられていた。非英語圏の著者はポジティブな単語を使用する傾向が強かった。ネガティブな単語は、1974~1980年から2014年までの間、1.3%から3.2%へと増加していた(相対増加率2.57倍)。ニュートラルな単語やベーシック英語のランダム抽出単語には有意な増加はみられなかった。

結論:
 われわれの解析によれば、現代の科学論文はよりポジティブ・ネガティブな単語を使う傾向にあることがわかった。科学者は研究結果の陽の側面に目が行きがちである。しかし、研究の質向上に意義のあることかどうかは疑問であろう。
 

by otowelt | 2015-12-18 00:52 | その他

クリスマスBMJ:アルカンシエルの呪いは存在するか?

 クリスマスBMJ、8本目です。
 「アルカンシエルの呪い」とは、Wikipediaによれば『世界選手権(特に男子エリートロードレース)で優勝した選手が、翌年には大きく成績を落とすというケースが少なくないほか、なぜかレース中の落車事故やメカトラブルが頻発したり、歴代の優勝者は私生活で家庭不和や事故、病気に罹患するなどのトラブルに見舞われていることなどから、俗に自転車業界では「アルカンシエルの呪い(英語: Curse of the rainbow jersey、フランス語: Malédiction du maillot arc-en-ciel)」というジンクスがまことしやかに噂されている』と書かれています。
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(写真:アルカンシエル[Wikipediaより引用])

Thomas Perneger.
Christmas 2015: All in the Mind
Debunking the curse of the rainbow jersey: historical cohort study
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6304 (Published 14 December 2015)


目的:
 自転車の世界選手権の現行チャンピオンが勝てなくなるという「アルカンシエルの呪い」(curse of the rainbow jersey)の機序を理解すること。

方法:
 ヒストリカルコホート研究。1965年から2013年の間に、世界選手権自転車競技大会ロードレースあるいはジロ・ディ・ロンバルディアで優勝したプロ自転車選手を登録した。選手が優勝した年をyear 0とし、その後2年(year 1, year 2[1年目だけアルカンシエル着用])のレース勝利数をアウトカムとした。以下の仮説を調べた。

・「スポットライト効果(spotlight effect)」:優勝者が負けると、大々的に取り上げられっる
・「マーク仮説(marked man hypothesis)」:優勝者が切るアルカンシエルが派手なので、他の選手からマークされる
・「平均への回帰(regression to the mean)」:勝ちやすいシーズンの後は、勝ちにくい

※優勝者は世界戦後の1年間、アルカンシエルを着用して全てのレースに出場することが許される

結果:
 平均すると、世界選手権チャンピオンはyaer 0に5.04回勝利しており、year 1に3.96回、year 2に3.47回勝利している。一方ジロ・ディ・ロンバルディア優勝者は、それぞれ5.08回、4.22回、3.83回である。初年度が最も勝利を蓄積しやすいことが分かった(勝利比1.49, 95%信頼区間1.24-1.80)。しかし、year 1とyear 2には有意差はなかった。

結論:
 自転車の世界チャンピオンは優勝した年よりもアルカンシエルを着用した次の年の方が勝ちにくいという特徴はあったが、おそらく平均への回帰がもっとも説明のつく現象であり、呪いではないだろう。


by otowelt | 2015-12-17 06:20 | その他