カテゴリ:気管支鏡( 51 )

EBUS-TBNAは組織サブタイプ診断とEGFR同定に妥当

 穿刺針に同封されているシリンジを使用せずに、手動で高陰圧をかけるとミミズのような検体がとれるため、cytologyではなくhistology検体がとれることは、日本の多くの呼吸器内科医が実感していると思う。

Neal Navani, et al.
Suitability of Endobronchial Ultrasound-guided Transbronchial Needle Aspiration Specimens for Subtyping and Genotyping of Non–Small Cell Lung Cancer
A Multicenter Study of 774 Patients
Am. J. Respir. Crit. Care Med. June 15, 2012 vol. 185 no. 12 1316-1322


背景:
 進行非小細胞肺癌(NSCLC)の現在のマネジメントとして、EGFR遺伝子ステータスと同様扁平上皮癌と非扁平上皮癌のサブタイプを区別することも必要とされている。EBUS-TBNAは、肺癌の病期診断において広くしようされている。しかしながら、EBUS-TBNAによって採取された細胞診検体が、組織学的分類やジェノタイプについて妥当な検体かどうかはまだよくわかっていない。

目的:
 ルーチンにEBUS-TBNAによって採取さた細胞診検体が、NSCLCにおける組織学的分類やジェノタイプの同定に妥当かどうか検証する。

方法:
 2009年から2011年の間に、イギリス5施設においてEBUS-TBNAによる細胞診断が肺癌確定あるいは疑いの774人の患者で記録された。

結果:
 EBUS-TBNAで最終的に組織学的診断が分類可能であったのは77%(95%CI73–80)であった。免疫組織化学染色を使用することで、特定不能のNSCLCの率は有意に減少した(補正OR, 0.50; 95% CI, 0.28–0.82; P = 0.016)。EGFR遺伝子解析はリクエストがあった119人の患者のうち107人(90%)において同定可能であった。NSCLC診断におけるEBUS-TBNAの感度、NPV、診断精度は88% (95% CI, 86–91), 72% (95% CI, 66–77), 91% (95% CI, 89–93)であった。

結論:
 この大規模多施設実用的試験によって、EBUS-TBNAによる細胞診検体はNSCLCのサブタイプ決定やEGFR遺伝子解析において妥当なものであり、免疫組織化学染色によって特定不能のNSCLCの頻度を減少させることができる。

by otowelt | 2012-06-16 06:15 | 気管支鏡

EBUSにおける縦隔リンパ節の大きさと形状による悪性所見の予測

Jessica S. Wang Memoli, et al.
Using Endobronchial Ultrasound Features to Predict Lymph Node Metastasis in Patients With Lung Cancer
CHEST 2011; 140(6):1550–1556


 縦隔リンパ節のステージングは、TNM分類と非小細胞肺癌(NSCLC)の
 治療を決定するものである。このスタディは
 気管支内エコー(EBUS)によって縦隔リンパ節転移の予測を
 評価したものである。 肺癌が確定ないし疑われている患者において
 ステージング目的にEBUSをおこなわれた患者を登録。
 リンパ節は胸部CT/PETとエコーによるサイズ・形状・辺縁・数などの
 特徴を迅速細胞診(ROSE)と最終的病理所見とに相関させた。
 227人のリンパ節(22.5%が悪性所見)が100人の患者から採取。
 CTあるいはEBUSによるリンパ節サイズが大きい場合、あるいは
 その形状が円形と卵形のものは縦隔リンパ節転移の予測ができた。

 本論文で記載された形状はtriangular, round, oval, draping。
 かなり主観が入ってしまうと思うのだが・・・。
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by otowelt | 2011-12-11 18:23 | 気管支鏡

超音波気管支鏡にバーチャル気管支鏡を併用することで末梢肺病変の診断率が向上する

当然の結果だが、論文にすることは大事だ。

Takashi Ishida,et al.
Virtual bronchoscopic navigation combined with endobronchial ultrasound to diagnose small peripheral pulmonary lesions: a randomised trial
Thorax 2011;66:1072-1077


背景:
 超音波気管支鏡(EBUS)は、末梢肺病変に有用である。
 しかしながら、生検部位の同定ができても、気管支鏡を
 同部位へ到達させることができないこともある。
 バーチャル気管支鏡(VBN)は、気管支鏡をコンピュータ上で
 到達させることができるが、これを併用することの意味については
 まだわかっていない。

方法:
 プロスペクティブ多施設共同試験で、
 VBNによるEBUSを末梢肺病変において施行。
 199人の患者で直径が30mm以下の患者を登録した。
 患者を、VBNによるEBUS群(VBNA)と、非VBN群(NVBNA)に
 ランダムに割り付けた。

結果:
 診断は、VBNAのほうがNVBNAよりも高かった(80.4% vs 67.0%; p=0.032)。
 検査時間についても前者のほうが短かった(median (range), 24.0(8.7-47.0)
 vs 26.2 (11.6-58.6) min, p=0.016)。
 サンプル採取までの時間も同様に、8.1(2.8-39.2) vs 9.8 (2.3-42.3) min,
 p=0.045)であった。軽度の気胸が有害事象としてNVBNAでみられた。

結論:
 末梢の肺小病変は、EBUSにVBNを併用することにより診断率を上昇させることができる。

by otowelt | 2011-11-21 06:35 | 気管支鏡

気管支鏡におけるプロポフォールとハイドロコドンの併用はプロポフォール単独より安全かつ有用

オピオイド併用の方が、咳スコアはよかった。
しかし、咳の定量化、患者の主観など、気管支鏡処置における
アウトカムの設定は非常に難しいと常々思う。

Propofol versus propofol plus hydrocodone for flexible bronchoscopy: a randomised study
Eur Respir J 2011; 38: 529–537


背景:
 プロポフォールとベンゾジアゼピンを組み合わせることは
 軟性気管支鏡を施行する場合の鎮静法として確立している。
 しかしながら、処置中の咳をおさえる上での
 プロポフォール単独使用と鎮痛薬との併用の比較はまだされておらず、
 どちらが優位かわかっていない。

方法:
 300人の連続患者で軟性気管支鏡を大学病院で施行した際に
 プロポフォールとハイドロコドンの併用と
 プロポフォール単独とを二重盲検で割りつけた。
 プライマリエンドポイントは処置中の咳スコアとしVASで評価。
 
結果:
 患者背景は両群とも同等であった。
 プロポフォール単独と比べると、咳スコアは
 ナースおよび患者のいずれも有意にプロポフォール・ハイドロコドンの
 併用群で低かった(2.5 (1.5–4.0) versus 2.0 (1.0–3.0)p=0.011)。
 加えて、併用群ではプロポフォールの必要量は有意に低かった
 (200 mg (140–280) versus 260 mg (180–350),p<0.0001)。
 退院までの時間や、合併症については両群とも同等であった。
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結論:
 気管支鏡検査において、プロポフォールにハイドロコドンを加えることは
 プロポフォール単独よりも安全かつ有用である。

by otowelt | 2011-09-01 06:45 | 気管支鏡

肺癌診断における、通常の気管支鏡に蛍光気管支鏡を併用する意義についてのメタアナリシス

呼吸器内科医であれば、蛍光気管支鏡を用いた経験はあるだろう。
オリンパス光学の蛍光電子鏡システムを
AFI: Auto fluorescence imaging bronchovideoscope systemと言う。

原理としては、青色光を気管支組織に照射し、正常の気管支組織や
癌などの組織から発せられる自家蛍光差を利用して、
上皮内癌などを診断するものである。

これについてのメタアナリシスがJTOから出ていた。
JTOという雑誌は、本当に面白いなぁといつも思う。

The Value of Autofluorescence Bronchoscopy Combined with White Light Bronchoscopy Compared with White Light Alone in the Diagnosis of Intraepithelial Neoplasia and Invasive Lung Cancer: A Meta-Analysis
Journal of Thoracic Oncology: August 2011 - Volume 6 - Issue 8 - pp 1336-1344


目的:
 蛍光気管支鏡:autofluorescence bronchoscopy (AFB)を
 白色ライトの気管支鏡white light bronchoscopy (WLB)と組み合わせる
 ことで、WLB単独と肺癌診断に差があるかどうかを検証する。

方法:
 Ovid, PubMed, Google Scholarで1990年1月から2010年10月まで
 検索した。2人のレビューアーが独立してスタディデータの質を評価した。
 AFB+WLBとWLB単独における、上皮内悪性腫瘍と浸潤癌を同定する
 上での感度特異度を評価した。

結果:
 21のスタディが組み込まれ、3266人の患者が解析された。
 病変ごとのAFB+WLBとWLB単独における
 上皮内悪性腫瘍、浸潤癌診断の相対感度は、それぞれ
 2.04 (95%CI 1.72–2.42) 、1.15 (95% CI 1.05–1.26)であった。
 病変ごとのAFB+WLBとWLB単独における相対特異度は
 0.65 (95% CI 0.59–0.73)であった。

結論:
 AFB+WLBにおける特異度はWLB単独よりも低いが、
 AFB+WLBは有意に感度を上昇させるように思われる。しかしながら
 浸潤癌を同定するために、WLB単独以上の利益はあまりないのではないか。

by otowelt | 2011-08-04 14:21 | 気管支鏡

診断的気管支鏡の展望(Advances in Diagnostic Bronchoscopy)

AJRCCMで、
診断的気管支鏡の展望(Advances in Diagnostic Bronchoscopy)というタイトルの
レビューがある。

Advances in Diagnostic Bronchoscopy
Am J Respir Crit Care Med Vol 182. pp 589–597, 2010


過去の歴史が色々書いてあるが、
EBUS-TBNAについてまとまった感度の表があったのでメモしておきたい。

臨床試験      平均リンパ節サイズ(mm)  感度(%) NPV(%)
Yasufuku, et al.   19 (L), 13 (S)          94.6   89.5
Herth, et al.      16                94.4  11.0
Herth, et al.      7.9               88.9  98.9
Bauwens, et al.   14.4              95.0  90.6
Lee, et al.     15.2 (L), 8.6 (S)         94.3  96.9
Wallace, et al.     NR               69.0  88.1
Ernst, et al.      15.6               86.6  77.6
Hwangbo, et al.   14.4 (L), 7.9 (S)         90.0  96.7


             Lung Cancer 2005;50:347–354.
             Thorax 2006;61:795–798.
             Chest 2008;133:887–891.
             Lung Cancer 2008;61:356–361
             Chest2008;134:368–374.
             JAMA 2008;299:540–546.
             J Thorac Oncol 2008;3:577–582.
             Chest 2009;135:1280–1287.


このレビューの大事なポイントは、
低侵襲であるEBUS-TBNAの登場から、
さらにミクロの世界まで診断的技術が進んでいる点に言及しているところである。
めんどくさいので、そこまで読んでいない。
Optical coherence tomography (OCT)は冠動脈などでも有名になった
方法である。Fibered confocal fluorescence microscopy (FCFM)は
肺胞領域までの構造が観察できるため、今後期待される技術である。

by otowelt | 2010-09-06 15:57 | 気管支鏡

EBUS-TBNAにおける菌血症を含めた感染性合併症は問題ない範囲

EBUS-TBNAはリンパ節を刺すのだが、
肺動脈を刺さないかヒヤっとすることがしばしばある。
そんな背景もあってか、菌血症について調べた論文がERJから出た。
・・・・なんか、EBUS-TBNA関連の論文ってすぐにアクセプトされている気がする。

Incidence of bacteraemia following endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration
Eur Respir J 2010; 36: 28–32


背景:
 EBUS-TBNAの手技に基づく感染性合併症についてはいくつか報告がある。
 EBUS-TBNAに関連した菌血症および感染性合併症の頻度について
 プロスペクティブに評価する。

方法:
 EBUS-TBNAを縦隔リンパ節および肺門リンパ節診断のために受けた患者を登録。
 血液培養がTBNA後60秒以内に行われた。
 TBNA針は生食で洗浄され、これも培養にかけられた。
 血液培養陽性患者はすぐさま解析され、またEBUS-TBNA1週間以内に
 すべての患者において解析された。

結果:
 43人の患者がEBUS-TBNAがおこなわれ、菌血症は7%に認められた。
 すべての細菌は、口腔咽頭の常在菌であった。
 TBNA針洗浄培養は、35%で陽性であった。
 菌血症に陥った患者は、臨床症状はみられず、その他の合併症も観察されなかった。

結論:
 EBUS-TBNAにおける菌血症は、通常の気管支鏡と変わりない。
 血液培養もTBNA針洗浄培養も、口腔咽頭の常在菌が検出されたが
 臨床的に感染症症状は認められなかった。

by otowelt | 2010-07-06 00:30 | 気管支鏡

気管支鏡の際の鎮静にプロポフォールは有用


気管支鏡の際の前投薬については
アトロピン使用がリスクが高いというCHESTの論文を読んだが、
(「気管支鏡時に前投薬としての抗コリン薬は不要かもしれない 」)
これは気管支鏡時の鎮静の話。
ERJより。
readiness-for-discharge scoreって何じゃらホイ。

Propofol versus combined sedation in flexible bronchoscopy: a randomised non-inferiority trial
Eur Respir J 2009; 34:1024-1030



背景:
 benzodiazepineと鎮痛薬を用いた方法は
 気管支鏡の際によく使われる。Propofolは効果・覚醒がはやいが
 呼吸不全のリスクをはらむ。

方法:
 連続した患者200人をランダムにmidazolam+hydrocodone
 あるいは静脈内propofolに割りつけた。プライマリエンドポイントは
 平均最低SpO2および処置後1時間のreadiness-for-discharge score。

結果:
 気管支鏡時の平均最低SpO2は、いずれもかわりなかった。(p = 0.422)
 readiness-for-discharge scoreの中央値はプロポフォールで有意に高かった。
 (8 (6–9) versus 7 (5–9); p = 0.035)
 プロポフォール群の方が、処置後の心拍数上昇も少なかった。
 Minor procedural complicationsは両群とも同等(p = 0.460)。

結論:
 プロポフォールは、気管支鏡を行う際の鎮静に
 効果的かつ安全である。もし処置後早期に退院させたい場合には
 よいオプションになるだろう。

by otowelt | 2009-11-05 22:21 | 気管支鏡

気管支鏡時に前投薬としての抗コリン薬は不要かもしれない


気管支鏡施行前に、アトロピンやジアゼパムなどを
用いることがあるが、これは気道分泌を減らしたり安心感を与えるため
と考えられている。
これによって本当に恩恵があるのかどうかを検討した論文がCHESTから出た。

グリコピロレートというのは、麻酔の分野では
アトロピンにかわって使われることもある抗コリン薬である。
特徴は、頻脈になりにくい、より強い分泌物抑制効果がある、
BBBを通過しないのでアトロピンよりも麻酔後の記憶障害が少ない。

Anticholinergic Premedication for Flexible Bronchoscopy
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Atropine and Glycopyrrolate
CHEST August 2009 vol. 136 no. 2 347-354


背景:
 抗コリン薬は、気管支鏡の前投薬としてよく使われているが
 潜在的リスクよりも利益が上回るかどうかはよくわかっていない。

方法:
 1000人の気管支鏡患者に対して、アトロピンとグリコピロレートの
 安全性を検討。
 339人の患者はアトロピン(0.01 mg/kg)、336人の患者はグリコピロレート
 (0.005 mg/kg)、325人の患者はプラセボ(2 mL of normal saline solution)を
 筋肉注射した。これらはランダム化された。
 施行者および被験者が感じた気道分泌、咳嗽、患者不快感、SpO2、施術時間、
 副作用頻度などが検討された。

結果:
 施行者の報告した気道分泌は、グリコピロレート(p = 0.02)および
 アトロピン(p = 0.064)で少なかった。しかしながら、
 患者の訴えた気道分泌の多さ、患者および施行者の報告した咳嗽・不快感とは
 いずれも関連性がなかった。また、いずれの薬剤もサチュレーション低下とは
 関連がなく、アトロピンは施行時間が長くなってしまう傾向にあった(p = 0.042)。
 心拍数や血圧上昇は抗コリン薬、特にアトロピンでよく認められた。

結論:
 抗コリン薬は気道分泌を減らすかもしれないが、
 咳や不快感やサチュレーションには関連がない。しかしながら、
 気管支鏡施行時間を長くしたり、循環動態を変動させる。
 ルーチンでの抗コリン薬は気管支鏡施行時には必要ないと考えられる。

by otowelt | 2009-08-17 09:20 | 気管支鏡

BALF中ヘモジデリン貪食マクロファージ20%以上は、DADの予後不良


Haemosiderin-laden macrophages in the bronchoalveolar lavage fluid of patients with diffuse alveolar damage
Eur Respir J 2009; 33:1361-1366


背景:
 BALFにおけるヘモジデリン貪食マクロファージは、びまん性肺胞出血の 
 診断に利用されるが、DADの評価には使われていない。
 この試験では、外科的肺生検で診断のついた21人のDAD患者からBALFを採取。

結果:
 21人の平均年齢は68歳。14人 (67%) が男性で12人 (57%)が免疫不全。
 BALFにおけるヘモジデリン貪食マクロファージは平均5%(0–90%)であるが、
 7人の患者では20%以上であった。これはびまん性肺胞出血の診断に使用される
 カットオフ値である。この20%以上のヘモジデリン貪食マクロファージが
 BALFでみられる患者は予後不良で死亡率が高かった。(p = 0.047)

結論:
 呼吸不全患者で20%以上のヘモジデリン貪食マクロファージがBALFでみられる
 場合、肺胞出血でなければDADの可能性もあり、この場合DADだと死亡率は高い。

by otowelt | 2009-06-24 14:22 | 気管支鏡