カテゴリ:呼吸器その他( 269 )

繰り返す呼吸器感染で発見されたMounier-Kuhn症候群

過去に以下の記事を紹介したが
Mounier-Kuhn症候群
AJRCCMに面白い画像が紹介されていた。

Pradeep H, et al.
Mounier-Kuhn Syndrome: Imaging in Recurrent Pulmonary Infections
Am. J. Respir. Crit. Care Med. January 15, 2012 vol. 185 no. 2 225


繰り返す感染のため当初cystic fibrosisなどを疑われていた63歳男性が
Mounier-Kuhn症候群と診断された症例報告。気管支鏡の写真、
3DCTの画像が掲載されており稀な疾患であるため非常に勉強になる。

by otowelt | 2012-01-15 19:40 | 呼吸器その他

睡眠時無呼吸症候群に対するモダフィニル


 2011年11月25日、モダフィニル(モディオダール錠100㎎)
(diphenyl-methyl sulfinyl-2 acetamide)の適応に、
CPAP等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群
が加わった。添付文書的には、CPAPを3ヵ月以上続けている状態であっても
改善しないものに対して用いる、と書かれている。

 モダフィニルは、ナルコレプシーに使用されている薬剤で、作用機序は不明。
視床下部における神経細胞の活性化、GABA遊離抑制作用、ヒスタミン遊離作用
などが確認されているが詳しくはわかっていない。
 副作用は、頭痛(21.5%)、口渇(11.7%)、不眠(9.1%)、動悸(5.8%)など。

 よく引用されるのが以下のCHESTの論文だと思う。


Schwartz JR,et al.
Modafinil as adjunct therapy for daytime sleepiness in obstructive sleep apnea: a 12-week, open-label study.
Chest. 2003 Dec;124(6):2192-9.


これは125人のOSAの患者に対するモダフィニルとプラセボのランダム化試験で、
12週間目でのESSやQOLなどを指標にしており、
この試験ではモダフィニルによるアウトカム改善が確認された。

by otowelt | 2012-01-06 17:43 | 呼吸器その他

saddle pulmonary embolismのアウトカムは認識されているよりも良好である

サドル型の肺塞栓は、発症が急性か慢性かで
全くアウトカムが異なるような気がするのは
私だけだろうか?

Alejandro Sardi, et al.
Saddle pulmonary embolism: Is it as bad as it looks? A community
hospital experience
Crit Care Med 2011; 39:2413–2418


背景:
 サドル型の肺塞栓:saddle pulmonary embolismは
 巨大な血栓によって引き起こされ、急速な血行動態の不安定を
 惹起する。しかしながら、臨床所見やアウトカムにはばらつき
 がみられる。超音波による右心機能、CT血管造影、心筋酵素上昇
 に基づいて血栓溶解剤やカテーテル血栓除去を血行動態不安定な
 患者に使用することに疑問の声もある。
 
目的:
 saddle pulmonary embolismのアウトカムとマネジメント
 について、放射線学的所見やエコーの特徴とともに調べる。

結果:
 2004年6月1日から2009年2月28日まで
 レトロスペクティブに肺塞栓患者に対しておこなった 
 CT血管造影を評価した。2人の放射線科医により
 saddle pulmonary embolismを抽出し、
 the clot burden scoreを評価した。
 臨床情報、エコー、治療法、アウトカムについても
 診療録により抽出された。
 saddle pulmonary embolismは、680人のうち37人に
 認められた(5.4%, 95% CI 4% to 7%)。
 saddle pulmonary embolismの患者は、年齢中央値60歳で、
 41%が男性であった。主要な合併症は神経疾患(24%)、
 最近の外科手術(24%)、悪性疾患(22%)であった。
 低血圧が14%に認められ、遷延性のショックが8%にみられた。
 1人の患者が人工呼吸器を要した。エコーは27人(73%)の
 患者に行われた。右室の拡張と機能不全が78%に認められた。
 67%の患者で肺動脈収縮期圧の上昇がみられた。
 CT血管造影では、中央値31ポイントというclot burden scoreであった。
 右室左室径比は中央値で1.39であった。未分画ヘパリンは
 33人(87%)の患者に投与され、血栓溶解療法は4人(11%)に
 おこなわれた。入院日数中央値は9日であった。37人のsaddle
 pulmonary embolismのうち2人(5.4%)が
 死亡した(95%CI 0.7% to 18%)。
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結論:
 CT血管造影で同定されたsaddle pulmonary embolismの患者の
 ほとんどは標準マネジメントによく反応した。不吉な見た目では
 あるが、saddle pulmonary embolismはおおむね血行動態は
 安定しており、血栓溶解療法や他のインターベンションを要しない。

by otowelt | 2011-11-09 21:51 | 呼吸器その他

気胸診断において超音波は感度特異度ともに高い

いくら感度・特異度が高いと言われても、
超音波のみで診断するのは、まだ怖いと思うのは私だけだろうか。

Wu Ding, et al.
Diagnosis of Pneumothorax by Radiography and Ultrasonography. A Meta-analysis
CHEST 2011; 140(4):859–866


目的:
 このスタディは、気胸の診断においてA-P胸部レントゲンと経胸壁超音波を
 比較したメタアナリシスである。

方法:
 英語文献のレントゲンと超音波を用いた気胸診断の文献を選択した。
 組み入れたスタディを再計算し、forest plotとsROCを用いて解析した。

結果:
 超音波における感度・特異度はぞれぞれ0.88、0.99であった。
 レントゲンではそれぞれ0.52、1.00であった。
 放射線科医以外の臨床医が超音波をおこなった場合、感度・特異度は
 0.89、0.99であった。sROCにおけるAUCでは有意差はなkった。
 メタ回帰分析によれば、ただこの超音波診断においては
 術者に大きく依存すると考えられた
 (relative diagnostic OR, 0.21; 95% CI, 0.05-0.96; P=.0455)。
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結論:
 メタアナリシスによれば、ベッドサイドにおける気胸診断において
 臨床医の超音波は、レントゲンと比べても高い感度と得意度をほこる。
 しかし、超音波の診断精度は、術者のスキルに依存する。

by otowelt | 2011-10-05 09:49 | 呼吸器その他

ERS2011:イマチニブはPAH患者の運動耐容能を有意に改善

ERSで話題をよんだ内容。

Hoeper M, et al. Imatinib in pulmonary arterial hypertension, a randomized, efficacy study (IMPRES). Data presented at the European Respiratory Society (ERS) Annual Congress. Abstract No. 413. Presented 25th September 2011, 12.15, Room D203 - 204.

背景:
 原発性肺高血圧症(PAH)は、心臓と肺に影響をもたらす
 世界的には26万人が罹患しており、
 心不全によって死亡する難治性の疾患である。
 イマチニブはチロシンキナーゼに対する分子標的薬であり、
 慢性骨髄性白血病、KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍、
 フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病などに用いられている。
 IMPRES試験は多施設による24週間の観察期間での
 ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。
 
方法:
 PAH治療薬(エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬
 および/またはプロスタサイクリン製剤)の2剤以上を使用しているPAH患者で
 肺血管抵抗の上昇が認められる202人を対象に経口イマチニブの追加投与
 することで、有効性と安全性を評価する。
 イマチニブ1日1回200mgの投与から開始し、忍容性が良好な場合
 2週間後に1日1回400mgに増量する。また、逆に忍容性が不良な場合
 1日1回200mgに減少することも可とする。
 
結果:
 プライマリエンドポイントである24週間後の6分間歩行距離(6MWD)が、
 イマチニブ群ではプラセボに比べて平均31.8m増加(P=0.002)。
 セカンダリエンドポイントである、PAHによる入院・死亡、機能悪化、
 6MWDの15%低下までの期間についてはプラセボとの有意差はなかった
 (P=0.563)。しかしながら、肺動脈圧、心拍出量および肺血管抵抗は
 有意に改善した(all for P<0.001)。
 有害事象の発生率に関しては、統計学的には両群で同等だったが
 イマチニブにやや多い傾向がみられた。

結論:
 既治療PAHにおいてイマチニブは運動耐容能を改善する。

by otowelt | 2011-10-04 17:02 | 呼吸器その他

タルクによる胸膜癒着においてARDSなどの重篤な合併症は観察されなかった

P-O. Bridevaux, et al. Short-term safety of thoracoscopic talc pleurodesis for recurrent primary spontaneous pneumothorax: a prospective European multicentre study
Eur Respir J 2011; 38: 770–773


背景:
 タルクによる胸膜癒着の安全性は、タルクによるARDSとその死亡
 の報告があるため、まだ議論の余地がある。
 われわれは、原発性肺気胸の再発を高分子タルクによる胸腔鏡下の
 胸膜癒着をおこなうことの安全性を評価した。

方法:
 418人の再発気胸の患者が2002年から2008年の間に
 ヨーロッパ、南アフリカの9施設で登録された。
 主要な除外基準は、感染症、心疾患、凝固異常とした。
 ARDSや死亡などの重篤な有害事象が処置後30日間記録された。
 胸腔鏡での2gタルクでの癒着処置後、
 酸素飽和度、酸素療法の使用、体温などが記録された。

結果: 
 30日におよぶ観察期間において、ARDS発症は1例もなかった
 (95% CI 0.0–0.9%)。また、ICU入院や死亡についてもみられなかった。
 7人の患者が小さな合併症を訴えた(1.7%, 95% CI 0.7–3.4%)。
 胸膜癒着後、平均体温はday1において0.41℃上昇した
 (95% CI 0.33–0.48℃; p<0.001)ものの、day5には戻っていた。 
 ドレーンは80%の患者でday4で抜去された。
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結論:
 タルクによる胸膜癒着術ののち、ARDSや死亡を含む重篤な合併症は
 大規模多施設共同試験において、観察されなかった。
 高分子タルクによる胸膜癒着術は再発性気胸を予防する上で安全であると思われる。

by otowelt | 2011-10-03 06:45 | 呼吸器その他

パラコート中毒による肺線維症をアンブロキソールが軽減できる可能性がある

農薬を飲んで救急車で搬送され、その時は助かってよかったと
一瞬頭をよぎったとしても、のちに到来する重篤な肺傷害を
止められずに絶命することが多いのが、パラコート中毒である。
農薬を飲んだあと、緑色の嘔吐を繰り返すので
診断は比較的容易である。

Protective Effect of Ambroxol against Paraquat-induced Pulmonary Fibrosis in Rats
Intern Med 50: 1879-1887, 2011


目的:
 パラコートによる肺線維症に対してアンブロキソールによる
 治療的効果を評価する。

方法:
 オスの成人Sprague-Dawleyラット(n =144, 200-250 g)を
 4群(Control,Ambroxol, Paraquat, and Paraquat+Ambroxol group)
 に分けて、day 1, 3, 5, 7, 14, 28に生体解析した。
 ストレスマーカーであるMDA, SOD,GSH-PXやMPO活性、サイトカイン
 (TNF-α, MCP-1, TGF-β1, MMP-2, TIMP-1)、炎症細胞数、
 ヒドロキシプロリン含有量、コラーゲンI・III mRNAが解析された。

結果:
 パラコート群において、MDA, MPO活性、ヒドロキシプロリン含有、
 TNF-α, MCP-1, TGF-β1, MMP-2, TIMP-1, collagen I, collagen IIIの
 mRNA発現、総炎症細胞数は肺組織においてup-regulateされていた。
 しかし、SOD・GSH-PX活性はコントロールに比べて
 down-regulateしていた(p<0.05)。パラコート+アンブロキソール群では
 MDA, MPO活性、ヒドロキシプロリン含有、TNF-α, MCP-1, TGF-β1, MMP-2,
 TIMP-1 collagen I, collagen III のmRNA発現、炎症細胞数は
 有意に減少していた。一方、SOD・GSH-PX活性は肺組織において
 パラコート群では増加していた(p<0.05)。
 アンブロキソルは、肺線維症を防ぎ肺組織ダメージを軽減するかもしれない。

結論:
 このスタディにおいて、アンブロキソールは肺組織ダメージを軽減し、
 パラコートによる肺線維症を予防することができるかもしれないと考えられる。

by otowelt | 2011-09-21 05:34 | 呼吸器その他

小児におけるアデノイド切除は上気道感染の再発率を減らさない

純粋に面白い論文。

M T A van den Aardweg, et al. Effectiveness of adenoidectomy in children with recurrent upper respiratory tract infections: open randomised controlled trial
BMJ 2011;343:d5154 doi: 10.1136/bmj.d5154


目的:上気道感染症を繰り返す小児においてアデノイド切除の効果を検討する。

デザイン:オープンランダム化試験

セッティング:11の一般病院と2の研究センター

参加者:111人の1~6歳で上気道感染を繰り返す小児でアデノイド切除の
     適応となった患者

介入:
 すみやかなアデノイド切除±鼓膜切開術をおこなうか、注意深く経過観察を
 するかのいずれかとする。

アウトカム:
 プライマリアウトカムとして、1人年あたりの上気道感染を起こした数を
 最大24ヶ月のフォローアップ期間からデータ抽出する。
 セカンダリアウトカムは、1人年あたりの上気道感染を起こした日数、
 発熱を伴う中耳炎症状とその日数、上気道感染の頻度、QOLとした。

結果:
 中央期間24ヶ月のフォローアップにおいて、1人年あたり
 7.91の上気道感染エピソードがアデノイド切除群においてみられ、
 経過観察群では7.84であった(difference in incidence rate 0.07,
  95%CI −0.70 to 0.85)。上気道感染の日数や発熱を伴う
 中耳炎症状とその日数やQOLについては差はみられなかった。
 上気道感染の頻度は、期間を経るにつれて両群とも減少していた。
 切除を受けた小児では経過観察群よりも有意に発熱を起こす日数は長かった。
 2人の小児が外科手術による合併症を起こした。
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結論:
 小児において反復性上気道感染に対するアデノイド切除は
 経過観察に比べて臨床的な利益をもたらさない。

by otowelt | 2011-09-13 13:35 | 呼吸器その他

術後の発熱と無気肺に関連性はない

1988年のスタディのみが有意差があるもので、
それ以外は有意差がもともとないため、forest plotを
しても95%CIは1.0に乗ってしまうのは当たり前かもしれない。

Atelectasis as a Cause of Postoperative Fever. Where Is the Clinical Evidence?
CHEST 2011; 140(2):418–424


背景:
 無気肺は、術後早期における発熱の原因と考えられているが
 エビデンスについては議論の余地がある。
 われわれは、無気肺が術後の発熱に関与しているかどうかを調べた。

方法:
 PubMed、Scopusデータベースにおいて
 システマティックな検索を施行。
 無気肺と発熱の関連についてのスタディを同定した。

結果:
 8のスタディで998人の外科手術をうけた患者を解析に組み込んだ。
 1のスタディのみが有意に術後無気肺と発熱を関連づけていたが、
 他のスタディは関連性がないものとしていた。
 forest plotで有意はなく、OR, 1.40; 95% CI, 0.92-2.12。
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結論:
 術後無気肺が発熱の原因となることは臨床的なエビデンスとして
 明確ではないことがわかった。

by otowelt | 2011-08-17 04:33 | 呼吸器その他

経胸壁肺生検における気胸の合併症は、全生検の15%

大規模なpopulation-based studyである。
CTガイド下生検の説明の際に
有用なスタディとなるだろう。

Population-Based Risk for Complications After Transthoracic Needle Lung Biopsy of a Pulmonary Nodule: An Analysis of Discharge Records
Ann Intern Med August 2, 2011 155:137-144;


背景:
 胸部CTを施行された患者において肺結節影がみられる頻度は
 25%にものぼるとされている。ただ、生検を行うべきかどうかという疑問は
 われわれの常である。経胸壁的な肺針生検後の合併症については、
 選択された施設における限られたケースシリーズしか報告されていない。

目的・デザイン:
 肺結節影に対しての経胸壁的肺針生検の後に
 合併症を起こすリスクを算出する。
 デザインはCross-sectional analysis。

セッティング:
 The 2006 State Ambulatory Surgery Databases and State
 Inpatient Databases for California, Florida, Michigan,
 and New York from the Healthcare Cost and Utilization Project.

患者:
 15865人の患者で針生検を肺結節影に対して施行された成人を登録。

結果:
 出血はまれであったが、1%の患者においてこれが確認され
 (95% CI, 0.9% to 1.2%)、そのうち17.8% (CI, 11.8% to 23.8%)
 が輸血を要した。気胸は15.0% (CI, 14.0% to 16.0%)にみられ、
 実に全生検の6.6% (CI, 6.0% to 7.2%)がドレナージを要した。
 合併症のない患者に比べると、出血やドレナージを要する気胸を起こした患者は
 在院日数が長く(P < 0.001)、また人工呼吸器を要する呼吸不全に陥る
 頻度も多かった(P = 0.020)。60歳から69歳の患者(若年・高齢者と比べて)、
 喫煙者、COPD患者は合併症のリスクであった。

結論:
 肺結節影に対する経胸壁生検において、出血はまれな合併症であるが
 気胸はよくみられる合併症であり、しばしばドレナージを要する。
 このスタディデータにより、患者および内科医は
 肺結節影に対する生検を施行するかどうかの選択に対して
 より多くの情報が得られるであろう。

by otowelt | 2011-08-09 05:10 | 呼吸器その他