カテゴリ:呼吸器その他( 261 )

術後の発熱と無気肺に関連性はない

1988年のスタディのみが有意差があるもので、
それ以外は有意差がもともとないため、forest plotを
しても95%CIは1.0に乗ってしまうのは当たり前かもしれない。

Atelectasis as a Cause of Postoperative Fever. Where Is the Clinical Evidence?
CHEST 2011; 140(2):418–424


背景:
 無気肺は、術後早期における発熱の原因と考えられているが
 エビデンスについては議論の余地がある。
 われわれは、無気肺が術後の発熱に関与しているかどうかを調べた。

方法:
 PubMed、Scopusデータベースにおいて
 システマティックな検索を施行。
 無気肺と発熱の関連についてのスタディを同定した。

結果:
 8のスタディで998人の外科手術をうけた患者を解析に組み込んだ。
 1のスタディのみが有意に術後無気肺と発熱を関連づけていたが、
 他のスタディは関連性がないものとしていた。
 forest plotで有意はなく、OR, 1.40; 95% CI, 0.92-2.12。
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結論:
 術後無気肺が発熱の原因となることは臨床的なエビデンスとして
 明確ではないことがわかった。

by otowelt | 2011-08-17 04:33 | 呼吸器その他

経胸壁肺生検における気胸の合併症は、全生検の15%

大規模なpopulation-based studyである。
CTガイド下生検の説明の際に
有用なスタディとなるだろう。

Population-Based Risk for Complications After Transthoracic Needle Lung Biopsy of a Pulmonary Nodule: An Analysis of Discharge Records
Ann Intern Med August 2, 2011 155:137-144;


背景:
 胸部CTを施行された患者において肺結節影がみられる頻度は
 25%にものぼるとされている。ただ、生検を行うべきかどうかという疑問は
 われわれの常である。経胸壁的な肺針生検後の合併症については、
 選択された施設における限られたケースシリーズしか報告されていない。

目的・デザイン:
 肺結節影に対しての経胸壁的肺針生検の後に
 合併症を起こすリスクを算出する。
 デザインはCross-sectional analysis。

セッティング:
 The 2006 State Ambulatory Surgery Databases and State
 Inpatient Databases for California, Florida, Michigan,
 and New York from the Healthcare Cost and Utilization Project.

患者:
 15865人の患者で針生検を肺結節影に対して施行された成人を登録。

結果:
 出血はまれであったが、1%の患者においてこれが確認され
 (95% CI, 0.9% to 1.2%)、そのうち17.8% (CI, 11.8% to 23.8%)
 が輸血を要した。気胸は15.0% (CI, 14.0% to 16.0%)にみられ、
 実に全生検の6.6% (CI, 6.0% to 7.2%)がドレナージを要した。
 合併症のない患者に比べると、出血やドレナージを要する気胸を起こした患者は
 在院日数が長く(P < 0.001)、また人工呼吸器を要する呼吸不全に陥る
 頻度も多かった(P = 0.020)。60歳から69歳の患者(若年・高齢者と比べて)、
 喫煙者、COPD患者は合併症のリスクであった。

結論:
 肺結節影に対する経胸壁生検において、出血はまれな合併症であるが
 気胸はよくみられる合併症であり、しばしばドレナージを要する。
 このスタディデータにより、患者および内科医は
 肺結節影に対する生検を施行するかどうかの選択に対して
 より多くの情報が得られるであろう。

by otowelt | 2011-08-09 05:10 | 呼吸器その他

近年の肺高血圧症の生存率について

中国における肺高血圧症の近年の生存率についての論文。

Survival of Chinese Patients With Pulmonary Arterial Hypertension in the Modern Treatment Era
CHEST 2011; 140(2):301–309


特発性肺高血圧症(IPAH)173人、結合組織病関連肺高血圧症(CTDPAH)103人
のレトロスペクティブコホート研究。

CTDPAHの内訳は
SLE、SSc、SjS、MCTD、arthritisの順に
38%, 22%, 11%, 10%, 4%。

治療の内訳は、IPAH、CTDPAHの順に
Bosentanが30人(17.3)、17人(16.5) 、
Iloprostが3人(0.2)、1人(0.1) 、
Sildenafilが54人(31.2)、27人(26.2) 、
Vardenafilが52人(30.0)、32人(31.1)であった。

IPAHにおいて1年生存率92.1%、3年生存率75.1%、
CTDPAHにおいて1年生存率85.4%、3年生存率53.6%であった。

男性に限ると、これらはそれぞれ
93.5%、77.5% vs71.1%、47.4%。

過去に比べると生存は著明に改善しているが、
男性のCTDPAHは、予後不良であった
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by otowelt | 2011-08-04 06:33 | 呼吸器その他

呼吸機能検査の禁忌

An update on contraindications for lung function testing
Thorax doi:10.1136/thx.2010.139881


他科から呼吸機能検査を施行してよいか、と
コンサルテーションをいただくこともあるかと思うが、
Thoraxから、呼吸機能検査の禁忌に関するUpdateが出た。
個人的には、かなり面白い。
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by otowelt | 2011-07-25 14:18 | 呼吸器その他

粉塵曝露によって兵士に呼吸困難と運動耐容能低下をきたす狭窄性細気管支炎が起こり得る

兵士ネタの論文が最近流行っているような気がする。

Constrictive Bronchiolitis in Soldiers Returning from Iraq and Afghanistan
N Engl J Med 2011;365:222-30.


背景:
 記述症例研究において、イラク・アフガニスタンでの従軍中に
 吸入曝露を受けたアメリカのケンタッキー州フォートキャンベル兵80人
 について、陸軍の体力基準を満たせなくなるような
 労作時呼吸困難が起こり得るかどうか評価した。

方法:
 登録された兵士において、病歴と曝露歴に関する評価、身体所見。
 呼吸機能検査、HRCTを施行。非侵襲的評価項目においては
 症状の原因が判明しなかった49人にVATS:胸腔鏡肺生検を施行。
 心肺運動負荷試験、呼吸機能検査のデータを
 過去のコントロール兵士のデータと比較。

結果:
 2003年イラクにおける硫黄鉱山での火災による吸入曝露歴が多かったが
 全員はこれに該当していなかった。VATSを施行した49人全員の検体に
 異常があり、38人にconstrictive bronchiolitis:狭窄性細気管支炎
 の変化がみられた。残り11人では、constrictive bronchiolitis以外の
 呼吸困難症状に合致するような病理学的診断が確定できた。
 constrictive bronchiolitisのある兵士では、胸部レントゲンは正常だったが、
 CTでは約1/4にモザイク型エアートラッピングまたは小葉中心性結節が
 確認できた。呼吸機能検査と心肺運動負荷試験の結果は正常範囲内であった
 ものの、コントロール兵士の結果と比べると劣性であった。結論:
 従軍派遣後に原因不明の労作時呼吸困難と運動耐容能低下があった
 49人のVATS生検標本を分析した結果、38人でびまん性の
 constrictive bronchiolitis:狭窄性細気管支炎が同定された。
 これらは吸入曝露に関連するのかもしれない。

by otowelt | 2011-07-22 09:07 | 呼吸器その他

Leeuwenhoek's disease(横隔膜粗動)

AJRCCMのデザインがかわったのか、非常に見にくくなったと感じるのは
私だけだろうか?Case reportでLeeuwenhoek's disease(横隔膜粗動)
がビデオつきで紹介されていたが、不勉強のためこの病態を知らなかった。

van Leeuwenhoek's Disease
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2011; 183: 1434


横隔膜粗動は、顕微鏡で有名なLeeuwenhoekが本症に罹患したため
この病名がついたとされているが、報告例が少ない。
AJRCCMのビデオをみてわかる通り、非常に小刻みな横隔膜の痙攣が
みられ、これにより過換気症候群のような呼吸様式になっている。
本来の概念は、横隔膜が呼吸運動とは異なった高頻度の不随意運動を
反復する症候群であるが、1973年PhillipsとEldridgeは横隔膜以外の
吸気筋の不随意運動をも含む症例を報告し、やや概念としては広く
考えられているようである。
診断は、X線透視により非対称性の両側横隔膜の不規則な運動を観察する
ことで確定となる。
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吃逆とどう違うのか、と問われると
これらの詳しい概念を存じ上げないので明確な定義上の違いは
不明だが、映像を見る限りでは、この粗動はかなりの速度であり
吃逆とは性質を異にしているように思える。

by otowelt | 2011-05-20 06:49 | 呼吸器その他

自然気胸ブレブ手術において両側換気麻酔は有用

Abstractには記載されていなかった点として、
視野確保の面でデメリットはないかと思ったのだが、
さして問題ないという考察が手術中の写真を比較しながら
述べられていた。

A comparative study of two- versus onelung ventilation for needlescopic bleb resection
Eur Respir J 2011; 37: 1183–1188


背景:
 このプロスペクティブ試験は、低い1回換気量による
 両側換気two-lung (TL) ventilationと、片側換気one-lung (OL)
 ventilationを、needlescopicのブレブ切除において比べたものである。

方法:
 2mm胸腔によりブレブ切除を受けた自然気胸の患者を登録。
 手術は、TL群においては4.0ml/kgの1回換気量で、OL群においては
 8.0ml/kgの1回換気量でおこなわれた。呼吸回数は
 吸入酸素濃度50%のもとでそれぞれ23、12に設定された。

結果:
 合計108人の患者(TL群55人、OL群53人)が登録された。
 気道内圧は、TL群の方が有意に低かった
 (mean±SD TL:8.0±3.3 v OL:24.0±3.9 mmHg; p<0.001)。
 挿管から、皮切までの時間はTL群で17.1±4.0 min、OL群で
 35.3±7.6 minであった(p<0.001)。しかしながら
 手術時間に関しては2群とも差がみられなかった。
 合計麻酔時間に関してはOL群の方が有意に長かった
 (OL:77.9±21.6 v TL:64.9±14.7 min ; p=0.002).
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結論:
 低1回換気量による両肺換気麻酔下のneedlescopicブレブ切除術
 は技術的、経済的、時間的にも片肺換気下手術に遜色ない。

by otowelt | 2011-05-02 06:04 | 呼吸器その他

外傷後ストレス障害は、一秒率低下、気流制限のリスクである

PTSDは、いわゆる炎症性変化と関連性があると言われているが、
なぜPTSDが炎症性メディエーターを惹起するのか、理解できない。
・Association of posttraumatic stress disorder with low-grade elevation of C-reactive protein: evidence from the general population. J Psychiatr Res 2010; 44: 15–21.
・Evidence for low-grade systemic proinflammatory activity in patients with posttraumatic stress disorder. J Psychiatr Res 2007; 41: 744–752.


ERJからPTSDの呼吸機能検査に関する論文。

Association of airflow limitation with trauma exposure and post-traumatic stress disorder
Eur Respir J 2011; 37: 1068–1075


背景:
 外傷後ストレス障害(PTSD)は、自己申告による喘息やCOPDに関連している。
 しかしながら、客観的な呼吸機能評価と関連しているという報告はない。

方法:
 1772の成人で医療録と呼吸機能検査のあるもののうち、PTSDインタビューを
 追加で受け、3群に割り振った。
 外傷のないもの、外傷があるがPTSDのないもの、PTSDのあるもの。

結果:
 社会背景的、臨床的、ライフスタイル因子の調整後、
 PTSDは喘息症状と関連した高いオッズ比を認めた(OR 3.2–8.8)。
 平均1秒率はPTSD群で最も低く(83.2±9.3)、外傷歴のない群で最も高かった。
 外傷ストレスは、一秒率低下の独立危険因子であった。
 また、PTSD群では気流制限のリスクも有意に高かった(OR 4.2–7.8)。
 ※気流制限:ECCS基準ないしはFEV1/FVC ≦70%,
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結論:
 これは、PTSDにおける客観的呼吸機能検査を評価した最初の臨床試験である。
 PTSDは気流制限と関連しており、これは炎症性プロセスによるものと
 考えられる。

by otowelt | 2011-05-02 05:21 | 呼吸器その他

喫煙は認知症のリスクである

e0156318_10134935.jpg喫煙と認知症の関係において重要な報告と思われる。

Heavy Smoking in Midlife and Long-term Risk of Alzheimer Disease and Vascular Dementia
Arch Intern Med. 2011;171(4):333-339


背景
 喫煙は生命を脅かす様々な病気の危険因子である。
 しかしながら、認知症との関係については議論がある。
 この研究の目的は、喫煙とAlzheimer病、脳血管性
 認知症との関連性を調べることである。

方法:
 1978~85年の間に健康診断に参加した北カルフォルニアの50~60歳の
 33108人のうち、1994年に生存し、引き続きこのヘルスケアシステム会員だった
 21123人を登録。医療記録に基づき、1994年1月1日から2008年7月31日までの
 認知症、Alzheimer病、脳血管性認知症の診断の有無を検索。
 健康診断時のアンケートにおける1日喫煙量により、喫煙量0.5箱未満、
 0.5~1箱、1~2箱、2箱超に分類。

結果:
 平均追跡期間23年において、認知症と診断されたのは5367人(25.4%)であった。 
 そのうち1136人がAlzheimer病、416人が脳血管性認知症と診断されていた。
 年齢、性別、人種等で調整した多変量Cox比例ハザードモデルを用い、
 中年期の喫煙と認知症の関係を調べたところ、
 1日あたり2箱を超える喫煙者では、非喫煙者に比べ、認知症の調整HRは
 2.14(95%CI1.65-2.78)、Alzheimer病は2.57(1.63-4.03)、
 脳血管性認知症は2.72(1.20-6.18)と、有意なリスク上昇がみられた。
 1日あたり1~2箱の喫煙者も、認知症の調整HR1.44(1.26-1.64)と有意で、
 Alzheimer病ではHR1.18(0.92-1.52)、脳血管性認知症1.42(0.95-2.13)
 と、リスク上昇傾向がみられた。
 1日あたり0.5~1箱の群においても、認知症のリスクは1.37(1.23-1.52)と
 有意であった。Alzheimer、脳血管性認知症は有意差がみられなかった。
 過去の喫煙者、1日あたり0.5箱未満の喫煙者は、いずれの評価項目にも
 差がみられなかった。

結論:
 この大規模コホート試験において、中年期にヘビースモーカーであった場合
 その後の認知症リスクは、非喫煙者の2倍を超える。

by otowelt | 2011-03-22 07:07 | 呼吸器その他

NPPVにおけるトータルフェイスマスクと口鼻マスクのランダム化比較試験

マスクの差を比較した試験は、2008年のIntensitve Care Medで34人の
臨床試験がある。これは、cephalic mask(トータルフェイス)の非劣性を
証明した試験でもある。
Cephalic versus oronasal mask for noninvasive ventilation in acute hypercapnic respiratory failure. Intensive Care Med 2008; 35(3): 519-526

今回、60人の患者において検討。
EVALUATION OF THE TOTAL FACE MASK™ FOR NONINVASIVE VENTILATION TO TREAT ACUTE RESPIRATORY FAILURE
CHEST Published online before print February 17, 2011, doi: 10.1378/chest.10-1905


試験目的:
 われわれは、非侵襲的人工呼吸(NIV)を急性呼吸不全(ARF)に施行する
 ときに、トータルフェイスマスク(TFM)がより快適で通常の口鼻マスク(ONM)よりも
 簡単に適応できる点で利点があると考えた。

方法:
 60人のARFの患者をランダムにNIVにおいてONMとTFMに割りつけた。
 マスク快適さと呼吸困難はVASスケールによって評価した。他のアウトカムとして
 適応するまでの時間、バイタルサイン、ガス交換能、NIV中断率とした。
 
結果:
 マスクの快適さと呼吸困難のスコアは、両群とも3時間使用において同等であった。
 NIVの適応までに要した時間は、ONM:5分(Interquartile range (IQR)2-8)、
 TFM3.5分(IQR1.9-5))で、使用期間は15.7時間(IQR, 4.0-49.8)) 、6.05時間
 (IQR, 0.9-56.7))で差はみられなかった。
 心拍数はTFM群の方が高かったが、そのほかのバイタルサインやガス交換能は
 初期3時間において2群間に差がなかった。(p>0.05)
 早期NIV中断率はONMおよびTFM群において同等であった(40% vs. 57.1%)。
 しかしながら、TFM群の8人の患者はONMに3時間以内にスイッチしたものの
 逆のパターンは観察されなかった(P < 0.05)。
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結論:
 NIVを要する急性呼吸不全患者において、トータルフェイスマスクと口鼻マスクは
 快適さ、適応要求時間などは同等であった。中断率、バイタルサイン改善、
 挿管率、死亡率も同等であった。

by otowelt | 2011-02-18 12:21 | 呼吸器その他