カテゴリ:呼吸器その他( 243 )

閉塞性睡眠時無呼吸にCPAPを導入すると体重が増える

e0156318_1118556.jpg なんとなく、禁煙後の体重増加と似ていますね。

Tachikawa R, et al.
Changes in Energy Metabolism After Continuous Positive Airway Pressure for Obstructive Sleep Apnea.
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Mar 1. [Epub ahead of print]


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)におけるエネルギー恒常性の破綻は体重増加を招きうる。しかしその反面、OSAに対するCPAP治療によっても体重増加が起こりうるが、そのメカニズムは分かっていない。

目的:
 CPAP治療後にOSA患者が体重増加する機序を調べる。

方法:
 63人の新規OSA患者(51人が男性、平均年齢60.8±10.1歳、AHI>20)が登録され、ベースライン、CPAP開始時、3ヶ月後の代謝を調べた。測定したのはポリソムノグラフィ、体重、身体計測、基礎代謝率(BMR)、ホルモン(ノルアドレナリン、コルチゾル、レプチン、グレリン、IGF-1)、食事摂取、食行動、身体活動。

結果:
 CPAP治療後のBMRは有意に低下していた(ベースライン:1584 kcal/日、CPAP開始時:1561 kcal/日、フォローアップ時1508 kcal/日, p <0.001)。身体活動性や総カロリー摂取量には差はみられなかった。多変量回帰分析では、ベースラインのAHI、尿中ノルアドレナリン変化量、CPAPアドヒアランスはBMR変化の有意な予測因子であった。体重増加した患者は、レプチン値が高く、グレリン値が低く、食行動スコアが高かった。

結論:
 CPAP 治療後に基礎代謝は低下しており、エネルギー消費量の低下がCPAP治療後の体重増加の背景にあることが示されたが、食事内容や食行動の問題がさらなる体重増加を助長しうる。


by otowelt | 2016-03-24 00:58 | 呼吸器その他

ニコチンパッチを郵送したら禁煙してくれる?

e0156318_23175684.jpg いろいろな工夫をこらす禁煙治療の試験は読んでいて面白いです。

John A. Cunningham, et al.
Effect of Mailing Nicotine Patches on Tobacco Cessation Among Adult Smokers
A Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. 2016;176(2):184-190.


背景:
 ニコチン置換療法(NRT)の禁煙に対する有効性は過去の臨床試験で実証されており、NRTは行動療法との併用がよく行われている。しかしながら、疫学的データによればNRTを受ける患者はNRTを受けていない患者よりもさほど禁煙成功率が高くない。

目的:
 行動療法サポートなしに喫煙者にニコチンパッチを郵送することの禁煙成功率を調べる。

方法:
 単盲検ランダム化臨床試験。カナダの成人喫煙者でRDD(選挙の結果予測調査などによく用いられるランダム電話インタビュー等)を用いて行った。1日10本以上の喫煙をしている2093人がインタビューを受け、郵送によるニコチンパッチ治療プログラムに興味を示した。
 介入群は、5週間のニコチンパッチ郵送(3週間:ステップ1[21mgニコチン]、1週間:ステップ2[14mgニコチン]、1週間:ステップ3[7mgニコチン])を受けた。行動療法は行っていない。コントロール群は、ニコチンパッチもその他の介入も受けなかった。主要アウトカムは、6ヶ月時点での30日禁煙率とした。

結果:
 2093人の参加者のうち、ベースラインのアンケートに回答できたのは76.5%だった。1000人がランダム化フェーズが妥当と判断された。解析は、介入群500人(平均年齢48歳、255人が女性)、コントロール群499人(平均年齢49.7歳、256人が女性)で行われた。
 自己申告禁煙率は、有意に介入群の方が高かった(30日禁煙率38 [7.6%] vs 15 [3.0%]、オッズ比2.65; 95%信頼区間1.44-4.89; P = .002)。唾液検体は参加者の50.9%のみからしか得られなかった。生化学的な6ヶ月時の禁煙率は、介入群2.8%、コントロール群1.0%だった(オッズ比2.85; 95%信頼区間1.02-7.96; P = .046)。

結論:
 行動療法を伴わないニコチンパッチの郵送による禁煙治療はたばこの禁煙を促進させることができる。ただし、生化学的な検証ではその効果はやや減弱する(妥当性に疑問符?)。


by otowelt | 2016-03-23 00:00 | 呼吸器その他

メタアナリシス:肺高血圧症に対する併用治療は単剤治療よりも有効

e0156318_9102283.jpg PAHに対する併用治療のメタアナリシスです。

Annie Christine Lajoie, et al.
Combination therapy versus monotherapy for pulmonary arterial hypertension: a meta-analysis
Lancet Respiratory Medicine, Published Online: 26 February 2016


背景:
 いくつかのランダム化比較試験や過去にメタアナリシスによれば、肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する併用治療は単剤治療よりも有効とする報告とそうでないとする報告が玉石混交である。われわれは、事前に規定した臨床的なPAH悪化のアウトカムにおけるその真偽を調べるべく、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。

方法:
 1990年1月1日から2015年5月31日までの間に報告された、12歳以上のPAH患者に対するPAH特異的治療の併用と単剤を少なくとも12週間比較した前向きランダム化比較試験を、MEDLINEなどの電子データベースから抽出した。事前に規定されている臨床的なPAH悪化のリスクをプライマリアウトカムとし、固定効果モデルに基づいた Mantel-Haenszel 法を用いた。

結果:
 2017の研究のうち、17研究(4095人)を解析に組み込んだ。15の研究は臨床的なPAH悪化についてアセスメントしており、これをプライマリ解析に組み入れた。併用治療は、単剤治療と比較して有意に臨床的なPAH悪化のリスクを減らした(併用治療17% [1940人中332人] vs 単剤治療28%[1862人中517人], リスク比0.65 [95%信頼区間0.58–0.72], p<0.00001)。
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(文献より引用:Figure 2)

 研究間に異質性はみられなかった(I2=18%, Phomogeneity=0.25)。出版バイアスが示唆されたが、標準誤差の高い4研究を除外してもリスク比は同等であった(リスク比0.65 [95%信頼区間0.58–0.73], p<0.00001)。

結論:
 われわれの解析によれば、PAHに対する併用治療は単剤治療よりも臨床的な悪化リスクを減少させることが分かった。しかしながら、この報告は“臨床的悪化”の定義に違いがある研究を統合したもので、出版バイアスもあった。併用治療によっても多くの患者は臨床的悪化を経験しており、新規治療薬の開発が望まれる。


by otowelt | 2016-03-16 00:43 | 呼吸器その他

同種骨髄移植後PPFEによって起こった空気漏出症候群の臨床的特徴

e0156318_051136.jpg 当院は血液内科を有さない病院なので、PPFEといえば特発性をまっさきに思い浮かべます。
 骨髄移植とPPFEの関連については呼吸器内科医も知っておいた方がよさそうです(Mod Pathol. 2011 Dec;24(12):1633-9.、Intern Med. 2014;53(1):43-6.、Histopathology. 2015 Mar;66(4):536-44. )。この報告ではGVHDとは直接的に関連していない感じですね。

Tomoya Ishii, et al.
Air-leak Syndrome by Pleuroparenchymal Fibroelastosis after Bone Marrow Transplantation
Intern Med. 2016;55(2):105-11


目的:
 空気漏出症候群(Air-leak syndrome ;ALS)は同種骨髄移植に続発する致死的な肺合併症であり。GVHDに関連していると考えられている。近年、同種骨髄移植後のPPFEがしばしばALSを起こすのではないかという報告がある。われわれは、同種骨髄移植後PPFEによって起こるALSの特徴を調べた。

方法:
 1996年4月から2007年12月までの間、同種骨髄移植後PPFEによってALSにいたった事例を集めた(単施設、後ろ向き)。臨床所見、画像所見、病理学的特徴を調べた。

結果:
 病理学的にPPFEと証明されたALS患者は5人だった(4人が男性、年齢中央値37歳)。ALS-PPFEの発症は骨髄移植後13~109ヶ月(中央値68.8ヶ月)であった。全例、アルキル化剤が用いられた。1人の患者のみが慢性GVHDに陥った(限局型)。最もよくみられた画像所見は、両側上葉優位の胸膜下肥厚、牽引性気管支拡張所見である。病理学的には、BOやGVHDの所見は観察されなかった。免疫抑制治療は有効でなく、肺移植の有無を問わず全例が呼吸不全によって死亡した。

結論:
 ALS-PPFEは晩期発症の同種骨髄移植の非感染性の肺合併症である。進行性で免疫抑制治療に反応せず、予後不良である。PPFEとGVHDには関連性はなかった。


by otowelt | 2016-02-23 00:40 | 呼吸器その他

ILDとCOPDの患者における呼吸困難感と呼吸メカニクス

e0156318_13222581.jpg ILDとCOPDの呼吸メカニクスの差についての話題です。

Azmy Faisal, et al.
Common Mechanisms of Dyspnea in Chronic Interstitial and Obstructive Lung Disorders
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 193, No. 3 (2016), pp. 299-309. doi: 10.1164/rccm.201504-0841OC


背景:
 間質性肺疾患(ILD)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の呼吸困難感のメカニズムの違いはよくわかっていない。

目的:
 吸気時の横隔膜への神経刺激と運動時の呼吸困難感の強度が、ILDおよびCOPDで違うのか調べた。2疾患は静的呼吸メカニズムに明確な違いがある。

方法:
 ILD、COPD、健常者のそれぞれ16人で、漸増自転車運動試験(incremental cycle exercise )時に横隔膜筋電図(EMGdi)と呼吸圧測定をおこないながら、感覚―メカニック(sensory–mechanical)の関係性を比較。

結果:
 軽症から中等症のILD、COPD患者では最大吸気量低下、最大酸素摂取量、仕事率、換気は健康人よりも低かった(P < 0.05)。EMGdi(最大からの比でEMGdi/EMGdi,max)、呼吸努力(食道圧を最大からの比で)、換気は安静時、運動時とも両疾患患者は健康人よりも高かった。これらの測定値について、ILDとCOPDには差はなかった。ILD患者では横隔膜活動性が大きかったが、COPD患者では呼気筋の活動性が強かった。呼吸困難感の強度と運動中EMGdi/EMGdi,maxは全群で差はなかった。ILD、COPDでは吸気時の呼吸困難感をより強く訴える傾向にあり、EMGdi/EMGdi, maxと1回換気量との解離が大きかった。

結論:
 疾患特異的なメカニクスや呼吸筋活動性の差は、呼吸困難感の強度と横隔膜神経へのドライブに影響を与えなかった。


by otowelt | 2016-02-22 00:17 | 呼吸器その他

両側気胸の原因:バッファローチェスト(Buffalo chest)

e0156318_839409.jpg 両側気胸をみたとき、こういった病態も鑑別に挙げましょう。

Adam Jacobi, et al.
Bilateral Pneumothoraces After Unilateral Lung Biopsy: A Case of 'Buffalo Chest'?
Am J Respir Crit Care Med. First published online 22 Jan 2016 as DOI: 10.1164/rccm.201509-1850IM


概要:
 81歳の男性が湿性咳嗽と両側肺結節影を呈して来院し、その生検を実施することとなった。CTガイド下生検で、右下葉の結節影は肺腺癌と判明した。軽度の右気胸がみられたが、驚くべきことにその気胸は左側へも波及した。胸腔ドレーンなどの侵襲的処置を行わず、両側気胸は改善した。
 「バッファローチェスト(Buffalo chest)」という言葉がある。これは、1つの胸腔に両肺が梱填されているという、動物の奇妙な解剖学的構造に由来する言葉である。過去の文献では、バッファローチェストをきたした症例はほぼ全例過去に外科手術(食道・心血管・肺)を受けた患者であり、手術によって縦隔バリアの破綻をきたしたことに起因するとされている。また、まれではあるが、先天性に両側胸腔が交通している事例も報告されている(The British Journal of Radiology, 79 (2006), e22–e24.)。
 この81歳の患者は過去に外科手術を受けておらず、また嚢胞性肺疾患も有していなかった。胸部CTでも縦隔に異常はみられていない。すなわち、先天性のバッファローチェストであると考えられる。もちろん肺癌の胸膜転移により縦隔バリアが破綻していた可能性は残るが。


by otowelt | 2016-02-16 00:18 | 呼吸器その他

FeNOレベルの高い咳嗽にはステロイドが効く?

e0156318_814353.jpg ステロイドは好酸球性炎症を抑えるので、当然の結果のようにも思います。安易にステロイドを導入することは推奨されません。

Fang Yi, et al.
Validity of Fractional Exhaled Nitric Oxide in Diagnosis of Corticosteroids Responsive Cough
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.01.006


背景:
 FeNO測定単独、あるいは喀痰中好酸球やアトピーとの組み合わせによるFeNO測定は、ステロイド反応性咳嗽(CRC)とステロイド非反応性咳嗽(NCRC)の鑑別ができるのかどうか不明である。

方法:
 合計244人の慢性咳嗽患者および59人のコントロール患者を登録した。慢性咳嗽の原因は、確立された診断アルゴリズムに基づいて調べられた。FeNO測定と誘発喀痰を全例に実施した。

結果:
 CRCは139人(57.0%)の患者にみられ、NCRCは105人だった。CRC患者のFeNOレベルは有意に喀痰中好酸球と相関していた(rs=0.583, P<0.01)。CRCのFeNOレベルの中央値は有意にNCRCよりも高い水準であった[32.0 ppb (19.0-65.0 ppb) vs 15.0 ppb (11.0-22.0 ppb), P<0.01]。慢性咳嗽患者におけるCRC診断において、FeNO31.5ppbは感度・特異度はそれぞれ54.0%、91.4%だった。また、陽性適中率89.3%、陰性適中率60.0%だった。FeNO22.5ppb未満、喀痰中好酸球正常(2.5%未満)、アトピーがない、という組み合わせは、NCRCを予測する上で感度・特異度はそれぞれ30.3%、93.5%だった。

結論:
 われわれのコホートでは、FeNO高値(31.5ppb以上)はCRCの診断により確からしさを有していたが、CRCの診断を除外するだけの十分な感度は有していなかった。FeNO低値、喀痰中好酸球正常、アトピーがない、という組み合わせはCRCの可能性が低いと考えられる。


by otowelt | 2016-02-10 00:27 | 呼吸器その他

メタアナリシス:BMPR2遺伝子変異を有する肺高血圧症は、重症かつ死亡・肺移植リスクが高い

e0156318_9102283.jpg BMPR2遺伝子変異と実際のアウトカムとの関連性を報告したメタアナリシスです。

Jonathan D W Evans, et al.
BMPR2 mutations and survival in pulmonary arterial hypertension: an individual participant data meta-analysis
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(15)00544-5


背景:
 骨形成タンパク質受容体2型:bone morphogenetic protein receptor type II (BMPR2)遺伝子変異は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の原因遺伝子としてもっともよく知られている。しかしながら、BMPR2遺伝子変異が臨床型やアウトカムにどのような影響を与えるかはよくわかっていない。

方法:
 特発性、遺伝性、食欲抑制因子(anorexigen)に関連したPAH患者1550人をBMPR2遺伝子変異を調べた8コホートから抽出した。プライマリアウトカムは、死亡あるいは肺移植の複合アウトカムとした。セカンダリアウトカムとして全死因死亡を設定した。BMPR2遺伝子変異の存在が死亡あるいは肺移植、全死因死亡に与える影響としてのハザード比を算出した。

結果:
 1550人の患者のうち448人(29%)がBMPR2遺伝子変異を有していた。遺伝子変異キャリアは、診断時年齢が若く(平均年齢35.4±14.8歳 vs 42.0±17.8歳)、平均肺動脈圧が高く(60.5±8.3mmHg vs 56.4±15.3mmHg)、肺血管抵抗が大きく(16.6±8.3Wood units vs 12.9±8.3Wood units)、低CIであった(2.11±0.69L/min/m2 vs 2.51±0.92L/min/m2)(全てp<0·0001)。
 BMPR2遺伝子変異を有する患者は、急性肺血管反応試験に反応しにくかった(3% vs 16%、p<0.0001)。1164人の生存データを有する患者のうち、BMPR2遺伝子変異患者の非変異患者と比較した年齢補正および性別補正ハザード比は、死亡あるいは肺移植の複合アウトカムにおいて1.42(95%信頼区間1.15–1.75; p=0.0011)、全死因死亡において1.27 (95%信頼区間1.00–1.60; p=0.046)だった。これらのハザード比は、肺血管抵抗、CI、血管反応性を含む潜在的因子で補正を行うと減少がみられた。BMPR2遺伝子変異に関連した死亡あるいは肺移植、全死因死亡のハザード比に男女差はなかったが、診断時若年の患者では高かった(死亡あるいは肺移植p=0.0030、全死因死亡p=0.011)。

結論:
 PAH患者では、診断時若年でBMPR2遺伝子変異を有すると疾患がより重症となり、遺伝子変異がない患者と比較して死亡リスク、死亡・肺移植リスクた高くなる。


by otowelt | 2016-01-29 00:33 | 呼吸器その他

閉塞性睡眠時無呼吸やむずむず脚症候群はGFR減少のリスク

e0156318_7351193.jpg 要は、閉塞性睡眠時無呼吸やむずむず脚症候群がGFR減少のリスクということを示唆してるようですが・・・。

Isabelle Jaussent, et al.
Impact of sleep disturbances on kidney function decline in the elderly
ERJ, Published 3 December 2015


背景:
 睡眠障害は腎疾患患者ではよくみられるが、高齢者においてこれまでに睡眠障害と腎機能低下の関連性について前向きに調べられたことはない。

方法:
 ベースラインおよびフォローアップ後11年目の糸球体濾過率(eGFRs)を測定した。期間中の糸球体濾過の減少は、腎機能低下の最高三分位カットオフ値を超える減少と定義した。過度の日中の眠気(EDS)および不眠症は自己申告とした。むずむず脚症候群(RLS)およびその発症年齢は試験終了時に調べられた。フォローアップ期間中にポリソムノグラフィは1105人中277人に実施された。AHI、睡眠中の周期性四肢運動(PLMS)、総睡眠時間が解析された。

結果:
 eGFR減少のリスクの増加は、EDS(オッズ比1.67, 95%信頼区間1.18–2.34)およびRLS(オッズ比1.98, 95%信頼区間1.18–3.30)と関連していた(心血管性リスク因子を含む潜在的交絡因子とは独立)。不眠症のある被験者のうち、eGFR減少と関連性がみられたのは早朝覚醒のみであった(ただしボーダーライン)。高AHI(30以上)および総睡眠時間6時間未満はeGFRの減少と関連がみられたが、PLMSにはみられなかった。複数の補正をおこなってもAHIだけは有意に関連性がみられた。

結論:
 EDS、RLS、AHIは腎eGFR減少の独立リスク因子である。


by otowelt | 2016-01-07 00:45 | 呼吸器その他

胸膜癒着術時の鎮痛薬にNSAIDsを用いても問題ない?

 NSAIDsを胸膜癒着術時に避けた方がよいという意見があることは知っていました(Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2007;6(1):102-104.)。ただ、個人的にはあまり重視していませんでした。
 トラムセットが使えるようになりエキスパートの意見も少し変わりましたが、日本の実臨床では現在も胸膜癒着術時の鎮痛管理はNSAIDsが主流だと思います。
 胸腔ドレーン径については各々の患者数が50人で、参考程度にした方がよさそうです。個人的には12Frは用いません。なお、本研究ではアセトアミノフェンが定期内服されています。

Najib M. Rahman, et al.
Effect of Opioids vs NSAIDs and Larger vs Smaller Chest Tube Size on Pain Control and Pleurodesis Efficacy Among Patients With Malignant Pleural Effusion
The TIME1 Randomized Clinical Trial
JAMA. 2015;314(24):2641-2653.


背景:
 悪性胸水の治療に対して、NSAIDsは胸膜癒着術の効果を減弱させる可能性があり避けられている。また、細径の胸腔ドレーンは太径のものより疼痛が少ないかもしれないが、胸膜癒着術における効果が十分得られないかもしれない。

目的:
 悪性胸水の患者に対する胸膜癒着術時の疼痛および臨床的効果における胸腔ドレーンのサイズと鎮痛薬(NSAIDs[イブプロフェン]とオピオイド[モルヒネ]の比較)が与える影響を調べる。

方法:
 16のイギリスの病院において2007年~2013年にかけて胸膜癒着術を要した320人の患者を登録したランダム化比較試験である。胸腔鏡を行い24Fr胸腔ドレーンを挿入された患者206人を、オピオイド投与群(103人)あるいはNSAIDs投与群(103人)に割り付けた。また、胸腔鏡を実施していない114人を、24Fr胸腔ドレーン+オピオイド群(28人)、24Fr胸腔ドレーン+NSAIDs群(29人)、12Fr胸腔ドレーン+オピオイド群(29人)、12Fr胸腔ドレーン+NSAIDs群(28人)に割り付けた。
 胸腔ドレーンによる疼痛はVASによって1日4回評価し、胸膜癒着術の効果は3ヶ月時に判断された。何かしらの追加的胸腔内操作が必要であった場合は臨床的失敗とした。

結果:
 オピオイド群(150人)とNSAIDs群(144人)の疼痛スコアは、統計学的に有意差はなかった(平均VASスコア23.8mm vs 22.1mm、補正差-1.5mm、95%信頼区間-5.0mm~2.0mm、p=0.40)。しかし、NSAIDs群はより鎮痛薬のレスキュー使用が多かった(26.3% vs 38.1%、率比2.1、95%信頼区間1.3-3.4、p=0.003)。胸膜癒着術の失敗は、オピオイド群で30人(20%)、NSAIDs群で33人(23%)みられ、これは非劣性基準を満たした(差-3%、片側95%信頼区間-10%~∞、p=0.004[ITT])。
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(文献より引用:Fiure 2:胸膜癒着術失敗の非劣性比較)

 
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(文献より引用:Figure 4:胸膜癒着術失敗までの期間)

 疼痛スコアは、24Fr胸腔ドレーンと比べて12Frの胸腔ドレーンで有意に少なかった(平均VASスコア22.0 mm vs 26.8 mm、補正差−6.0 mm; 95%信頼区間−11.7~−0.2 mm、P = 0.04)。ただ、12Frは胸膜癒着術の失敗率の高さと関連しており(30% vs 24%)、これは非劣性基準を満たせなかった(差−6%、片側95%信頼区間−20%~∞、P = 0.14[ITT])。
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(文献より引用:Figure 3:平均VAS)

 胸腔ドレーン挿入時の合併症は12Frの方にやや多くみられた(14% vs 24%、オッズ比1.91、P = 0.20)(出血、失神、再挿入など)。全体の重篤な有害事象に差はみられなかった。

結論:
 胸膜癒着術時にオピオイドではなくNSAIDsを用いても、疼痛スコアに有意な影響はなかったが、レスキューの鎮痛薬使用は多くなった。NSAIDsは3ヶ月時点での胸膜癒着術の成功率を低下させなかった。12Fr胸腔ドレーンを留置することは、24Fr胸腔ドレーンと比べて統計学的に有意だが臨床的にはわずかな疼痛の減少をもたらし、胸膜癒着術の成功率に関して非劣性基準を満たすことはできなかった。


by otowelt | 2015-12-25 00:02 | 呼吸器その他