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気管支喘息におけるオマリズマブ(ゾレア)の適応承認

2009年1月21日、喘息治療薬のオマリズマブ(ゾレア)が製造承認を取得。
喘息に適応を持つ、初の抗体医薬(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤)。
2~4週間に1回の皮下注射で、重症喘息患者の症状増悪頻度を減少させる効果がある
とされている。

オマリズマブは、喘息治療の国際指針であるGINA2008において、
Step5の治療選択肢として位置付けられ、コントロール不良追加薬剤として、
経口ステロイドとともに並ぶ。

投与開始16週間後の平均PEF値をオマリズマブ(164人)とプラセボ(151人)で
比較すると、その差がオマリズマブ群で有意に改善していた。
また、喘息の増悪発現率についても、プラセボが11%(164人中18人)に対し
オマリズマブ群が4%(151人中6人)と、有意差が認められた。

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●ゾレア
・用法・用量
 皮下注投与量は,患者の体重および総血清IgE濃度に応じて、
 1回150~300 mgを4週間毎に1回から,1回225~375 mgを2週間毎に
 1回までと異なる。

・作用機序
 多くの喘息患者では,アレルギー成分が,肥満細胞および好塩基球の受容体に
 結合した抗原特異的IgEを介して,ヒスタミン,ロイコトリエン,その他メディエーター
 を遊離し,粘膜の炎症や気道平滑筋の痙攣を増加させる。オマリズマブは循環血中
 遊離IgEと複合体を形成し,IgEが肥満細胞および好塩基球に結合するのを防止し
 その結果メディエーターの遊離を防ぐ。

・薬物動態
 単回皮下投与後,7~8日間で最大血清濃度に達する。本剤は肝臓で分解され
 血清消失半減期は平均26日間である。血清中の遊離IgE濃度は,初回投与後
 1時間以内に用量依存性に低下する。推奨量を用いた場合,次の投与までの間
 持続する遊離IgE濃度の低下は96%を超えると報告されている。
 本剤の投与を中止すると,遊離IgE濃度は約1年で治療前の値に戻る。

by otowelt | 2009-01-22 15:28 | 気管支喘息・COPD

緊張性気胸における脱気針の適切な長さ


救急をやっていたとき、緊張性気胸の脱気をレントゲンを見る前に
しなければならない状況があったのですが
針の長さはどれくらいがベスト?という論文が発表された。

Needle Thoracostomy for Tension Pneumothorax: Failure Predicted by Chest Computed Tomography. Prehospital Emergency Care 2009;13(1):14 - 17.

第2肋間・鎖骨中線上の胸壁の厚さをCTで計測したというシンプルな論文。
脱気の際にアメリカで用いる、4.4cmのカテ針は妥当かどうかを考察した。
全110例(平均43.5歳)の平均の胸壁厚は、右:4.5 cm (± 1.5 cm)、
左:4.1 cm (± 1.4 cm)だった。
結果としては、4.4cmのカテ針は、50%(95%CI:40.7-59.3%)の外傷患者で
脱気に失敗する!!!

ゲゲップ!!!!

自然気胸でも外傷性気胸でも、大胸筋発達してるし、年齢も若いから
50%で失敗するという考察が成り立ってしまったのだと思う。

ちなみによく救急でおいてある針、テルモの針なんかは
38mmなので、届かない可能性もある・・・・。
日本人はでも痩せてるから大丈夫かな。。。

by otowelt | 2009-01-18 21:22 | 救急

RSウイルスに対するパリビズマブのアウトブレイク予防の可能性

RSウイルスは小児病棟ではアウトブレイクの原因となる。
しばしばNICUでもアウトブレイクを引き起こす。
早産児や新生児に重大な影響を与える可能性があるため、注意が必要である。

RSウイルスの名の由来は、呼吸器(Respiratory)感染患者から分離され、感染細胞が
多核巨細胞(合胞体(Syncytium))を形成するという特徴から。
Mononegavirales門パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)の
Pneumovirus属に分類される。
パラミクソウイルス科に属するウイルスには、パラインフルエンザウイルス、
麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトメタニューモウイルスなど。
RSウイルスにはAとBの血清型があり(A型のほうが重症!)、
さらに各血清型に多くの遺伝子型が知られている。

紹介するのは
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 246-252

早産児1例からのRSウイルス検出後に、NICUでのアウトブレイクを
予防した経験を報告した論文。
すべての患児にパリビズマブ15 mg/kgを筋肉内投与したところ、
新規の発症はみられなかった。
従来の感染制御対策にパリビズマブを併用することにより、RSウイルス拡散を
予防できる可能性があるという報告。


・・・・ちなみに、RSウイルスの治療についての一般論。

1.β-blocker
乳幼児症例の50%では吸入β刺激剤に反応して症状改善するとされているが,
meta-analysesでは気管支拡張剤の効果には否定的な結果
 ・Hammer J; J. Pediatrics 1995; 127: p485
 ・Wainwright C; NEJM 2003; 349: p27
 ・Kellner JD; Cochrane 2000; CD001266

2005年の論文では気道RSウイルス感染症に対しては有効とされているものもある。
 ・BMC Pediatr 2005; 5:7.

2.ロイコトリエン拮抗薬
LT 受容体拮抗剤がRSV 細気管支炎の回復期における症状の軽快に有効で、
咳嗽や喘鳴の遷延を防ぐとの報告がある。
RSV 細気管支炎の病態はRSV 特異的IgE を介したⅠ型アレルギー反応
ではなく,自然免疫反応を介したものと理解されるが,局所におけるLT
の出現と作用が確認されていることから、LT受容体拮抗剤の効果は期待できる。

3.リバビリン(レベトール)
微小粒子のエアロゾルとして吸入で用いられる。多数のプラセボ対照研究において、
重症度の軽減と酸素飽和度の改善が認められているが、米国小児科学会では、
ハイリスクの患者においてのみ考慮されるべきであるとしている。
使用方法も煩雑であることから,最近は使用されなくなっている
 Cochrane Database Syst Rev 2004; :CD000181.
リバビリンと免疫グロブリンの併用で生存率は上昇する。
 Pharmacotherapy 2004; 24:932.

4.パリビズマブ(シナジス)
2001年、RSウイルス表面のエンベロープにあるF(Fusion)タンパク質を
特異的に認識するモノクローナル抗体製剤パリビズマブ(Palivizumab)(シナジス)
が承認。月1回 15mg/kgの筋注。
約1500人の乳幼児においての‘IMpact-RSV’スタディと呼ばれる研究では、
RSウイルス感染による入院が、プラセボ投与群で10.6%だったのに
対し、パリビズマブ投与群では4.8%と低かった。
 Pediatrics, September 1998;102:p.531-7.
ちなみに、価格は高い!
 50mg 79442円
 100mg 157709円

5.ステロイド
大規模meta-analysisでは、RSV感染症において
喘息などの閉塞性肺疾患を合併しない限りは、有用でないとされている。
 Cochrane Database Syst Rev 2004; 3:CD004878.

by otowelt | 2009-01-17 14:40 | 感染症全般

抗MRSA薬(2)


●テイコプラニン
・基本的にはVCMとほとんど同じ
・VREのうちvanBによるものはTeicoplaninに感受性を残す
(vanAからDまである)
・聴器・腎毒性・Red man 症候群などの副作用はいずれも少ない。
・肺(喀痰)移行性は良いが、骨髄は悪い。
・腎排泄 半減期40~70時間であり1日1回投与でよい
・アメリカではもはや使われていない。

・目標血中濃度  Trough 10~20μg/ml
・血中濃度が安定するまでに時間がかかる

処方例:
初回は12mg/kgを12時間毎に3回投与、以後12mg/kgを24時間毎
日本では初回400mgを12時間毎に2回、以後400mgを24時間毎、と記載。
       

●硫酸アルベカシン(ハベカシン)
・ABKは細胞間液に移行しやすく、病態により血中濃度に差を生じ易い。
・また、ABKに対して耐性を有するMRSAが数%見られるため、
 MRSAにルーチンに投与するべきものではない。
・PK/PD理論に基づいた投与法は、1 日1 回投与。
・胸水、腹水、心嚢液、滑膜液への移行良好であるが
 髄液、疣贅へは移行不良。
・腎障害のある患者に対しては、投与量は変更せず、
 投与間隔をあけることで対処
・アメリカではもはや使われていない。

・目標血中濃度  Trough 9~20μg/ml
・トラフ値2μg/mLを越えると腎機能障害の発生頻度が上昇

処方例:
成人には1日1回150~200mgを30分で点滴静注する


●リネゾリド(ザイボックス)
・オキサゾリジノン系抗菌薬(50Sサブユニットの70S開始複合体に結合)
・VCM耐性の腸球菌(VRE)や黄色ブドウ球菌(VRSA)にも効果がある。
 バンコマイシン耐性Enterococcus.faeciumの第一選択。faecalisにも有効。
・MLSB耐性型にも効果がある。
・細菌のリボソームに結合し、蛋白合成阻害で静菌的作用を有する。
・腸管からの吸収が良く、経口薬も発売されている。
・また、体内の各臓器に良好に移行。Bioavailability=100%。
・他に特徴として腎障害のある患者にも使用量を変えずに使える。
・副作用としては悪心・嘔吐・下痢が多く、血球減少なども。
・2週間以上使うと、不可逆的な神経障害をきたす可能性がある。
・相互作用としてモノアミンオキシダーゼ阻害作用を有し、チラミン含有物
 (チーズ、赤ワイン、ビールなど)と併用することで重症高血圧の出現の恐れ。
 また、アドレナリン作動薬や、セロトニン作動薬、SSRIとの併用で
 それらの効果が増強されてしまうこともあり要注意である。
・リネゾリドは肺への移行性に優れている。
健常ボランティアにリネゾリドを投与して動態をみた結果では、肺胞上皮粘液中
の濃度は24時間後においても血漿中濃度に比べ約4倍も高かった。
・重症VAP患者16例でみた結果では、リネゾリドの肺胞上皮粘液中の濃度は
 このように高くならなかったが、それでも血清中濃度と同レベルに達していた。

処方例:
 リネゾリド400~600mg/回 12時間ごと(経口、静注いずれか)
 ザイボックス錠(600mg) 2T 分2


●キヌプリスチン・ダルホプリスチン(シナシッド)
・キヌプリスチン(ストレプトグラミンB)とダルホプリスチン(ストレプトグラミンA)が
 30:70で混合されている。(1V500mg ・・・150mg:350mg)
・混合比はあまり関係ない。
・タンパク合成を阻害し、ダルホプリスチンが最初の段階を、
 キヌプリスチンが最後の段階を阻害する。
・主に肝で代謝される。
・髄液移行はよくない。
・心内膜にも、ダルホプリスチンは疣贅の周辺のみにしか浸透しない
 ためあまりすすめられない。
・耐性Enterococcus. faeciumにも効果あり。ただし、faecalisには効果なし。
 (しかしVREのほとんどはfaeciumであるため、問題ない)
・副作用として、静脈炎、消化器症状、筋肉痛、関節痛、QT延長など。

・処方例:
 faecium:7.5mg/kgを8時間ごと60分かけて点滴
 軟部組織感染:7.5mg/kgを12時間ごと60分かけて7日間投与


●セフトビプロール
・抗MRSA作用を持つ、セフェム系抗菌薬。
・院内肺炎(hospital-acquired pneumonia)を対象にした第3相試験では、
 ceftobiprole(セフトビプロール)の治癒率(69%)が
 ceftazidime(セフタジジム)+linezolid(リネゾリド)併用の治癒率(72%)
 に劣らない。

・将来性のある抗菌薬の1つ。


●VAP
バンコマイシンとリネゾリドの2つがATS/ IDSAの院内肺炎ガイドライン
で使用が推奨されている。グラム陽性菌による肺炎治療に対し、
バンコマイシンとリネゾリドを比較した二重盲検試験が二つ公表されている。
両試験のデザインは非劣性試験(non-inferiority trial)であり、2つとも
リネゾリドはバンコマイシンの有効性と劣らないことを証明している。
Clin Infec Dis 2001;32: 401-412.
Clin Ther 2003; 25: 980-982.


Wunderink らによる文献は、二つの臨床比較試験を混合した解析で、
post-hoc 解析の結果、約120名のMRSA肺炎に感染した患者に限って
みると、リネゾリドはバンコマイシンより優れているという内容。
Chest 2003; 124: 1789-1797.
 
しかし、Kollefらが、グラム陽性菌によるVAPの疑いがある患者1019例において
バンコマイシンとリネゾリドを比較した研究の結果では、MRSA・VAP症例の治癒率
はリネゾリド群62.2%、バンコマイシン群21.2%であり、
リネゾリドの優越性が浮き彫りに。

バンコマイシンのMICが2 mcg/mLのMRSA肺炎を治療する場合には、
バンコマイシンの治療効果が得られない場合があるのは当たり前。
ゆえに、それ以外のMRSAに関してはリネゾリドを使う意味はさほどない。
しかしながら、リネゾリドがバンコマイシンよりMRSA肺炎治療薬として
優れているという臨床試験の報告はまだない。

薬剤耐性の面からみると、バンコマイシンは40年前から使用されているのに
2002年までアメリカではバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌の報告がない。
それに対し、リネゾリドは2000年に発売されたが、
2001年にはリネゾリド耐性黄色ブドウ球菌が報告されている。

バンコマイシンによるMRSA肺炎治療の第一選択薬の座を
リネゾリドが奪うにしては、結論が早計すぎやしないか。


●PVL-MRSA
アメリカでは、MRSAを原因菌とするCAPが問題となりつつある。
CAPのMRSAは、院内肺炎の原因菌とは別の菌株であり、病原性、毒性がより強い。
PVL(Panton-Valentine Leukocidin)と呼ばれる毒素を産生、
両側性に壊死性の肺炎を生じる。このMRSA菌株は主に皮膚感染の原因菌で、
肺炎の原因菌となっている例は少ない。しかし、今後、肺炎の原因菌となる例が
増えるかもしれない。

by otowelt | 2009-01-11 21:59

抗MRSA薬(1)

1.バンコマイシンはボルネオが始まり
 ・ボルネオの伝道師が友人に土壌サンプルを送ったことから
  VCMが発見されたといわれている。
 ・その友人は、イーライリリー社の化学者だった。
 ・その土壌サンプルには、グラム陽性菌に対して著効する化合物を産生する
  細菌が生息していた。
 ・vanquish(征服する)という単語に由来して、バンコマイシンと命名された。
Griffith RS. Vancomycin use – an historical review. J Antimicrob Chemother 1984; 14: 1-5.


2.バンコマイシンとは
・グリコペプチド系抗菌薬で、細胞壁合成阻害作用がある。
 βラクタムと異なる段階に作用する
・腸管からの吸収はほとんどなし(腸炎が強いと少し吸収)
・殺菌性で、体内分布は良好だが胆道系・髄液への移行は良くない。
 MRSA髄膜炎(例えば脳外科領域)では大量VCMを必要とする。
・移行性は、炎症のない髄液は良くない。胆管もイマイチ。
・AGとの併用でシナジーを示すが、腎毒性・耳毒性強くなる
・腎臓から排泄(CCr<10で半減期は147hrに)
・時間依存性である


3.バンコマイシンのスペクトラム
・ほとんどすべてのグラム陽性菌に効く。グラム陰性桿菌には活性がない。
・ただしLactobacillus, Leuconostoc, Listeria,Actinomyces,VREなど
 一部に無効あり。そのため、リステリア感染ではあまり使うべきではない。
・MSSAなんかでは、バンコマイシンはセファゾリンやペニシリンに比べて抗菌活性弱い。
・グラム陰性桿菌に効果がないのは、「バンコマイシンは非常に分子が大きく、
 グラム陰性菌の外膜にあるポーリン(孔)を通過できないため。」
 ※唯一、Chryseobacterium meningosepticumに対しては感受性がある
・ほかのぶどう球菌・MSSAでは、バンコマイシンの抗菌活性は極めて低く、
 セファゾリンには太刀打ちできない
・バンコマイシンは腸球菌に対しては、VREでなければ有効だが、静菌的にしか
 作用しないとされている。具体的には、MICに対して非常にMBCが高い。
 この場合、ゲンタマイシンとの併用で殺菌的に作用する。


4.副作用
 Red man症候群 ヒスタミンリリース: 1時間以上かけて滴下
 遅発性バンコマイシン熱 投与2~3週後に起こる発熱
 腎毒性 単剤では起こるかは不明、AG併用で出やすい
 聴器毒性 血中濃度で80μg/mlを超えた症例
 好中球減少 投与してから3~4週間くらいで起こる
※ヘパリンの存在下で活性を失うことがある。 
※セフタジジムやメイロンと混ぜると、析出するので要注意。


5.Redman症候群
 別名Red neck症候群という。ヒスタミン遊離によって起こるもので、
 アレルギーとは違う(Anesthesiology 2000; 92:1074.
 生命にかかわることは少ないが、心血管抑制のためにCPAになる
 ことがしばしばある(Can Anaesth Soc J 1985; 32:65.
 点滴速度が33mg/分(1g/30分)であれば、症状をきたしやすい。
 10mg/分以下なら、症状は起こしにくい。2時間以上かけて点滴する。
 また、オピオイドを内服している患者で起こりやすい。
 50mgのジフェンヒドラミン内服でRMSを抑制できたとのstudyも。
 特に重症RMSではヒスタミンブロッカーの投与が望ましい。
 (J Infect Dis 1991; 164:1180.


6.TDM(Therapeutic drug monitoring)
 投与開始4回目の投与直前troughを測定(peak測定不要)    
 目標濃度:Peak: 20-50 (μg/ml)  
       Trough:10-15 (μg/ml)
・VCMの薬物動態は比較的予想しやすいため、腎機能が正常な
 症例に通常量を使用する場合は、TDMを行う必要はない。
・例外的にピーク/トラフを測定する必要がある状況
 ・アミノグリコシドとの併用・透析症例
 ・通常量以上のバンコマイシン使用・腎機能変動が激しい症例
 ・肝機能異常が強い症例・体重が極端に大きいか小さい
 ・MRSA感染症で最低血中濃度を15μg/ml以上に保ちたい場合


7.適応
●VCMを使うとき
・MRSA,MREなどの耐性菌感染
・βラクタムアレルギー(殺菌力は強くないことに注意)
・メトロニダゾールで失敗したか、非常に重症のCD colitis
・MRSAやMRSEの多い施設、またはcolonizationが確認されている患者での
  人工物埋め込み手術の術前予防 
・髄膜炎でのempiric Rx (病原体・感受性判明まで)  
・MRSAがcolonizeしているか長期間入院している患者でのsepsis

●避けるとき
・ルーチンの術前投与      ・血培1セットのみからのCNS分離
・発熱性好中球減少症でMRSAの可能性が高くない症例への経験的投与
・MRSAのcolonizationの治療  ・吸入・関節・褥瘡などへの局所投与
・C.difficile腸炎の初回治療

by otowelt | 2009-01-11 21:48

PETはNSCLCの予後推定には役立たず


Computed Tomography Response, But Not Positron Emission Tomography Scan Response, Predicts Survival After Neoadjuvant Chemotherapy for Resectable Non-Small-Cell Lung Cancer. JCO Oct 1 2008: 4610-4616.

CTによる効果判定あるいはPETによる効果判定が
どのくらい予後推定に役立つかを調べた研究。
化学療法前後でCT、PETを撮影しているのだが・・・

89人の症例で行われた研究。
当然ながらRECISTに基づく。
CTで認められた奏効例での有意な生存期間の延長は
PETによる効果判定ではみられなかった。

つまり、PETはCRだろうが何だろうが、画像評価として
予後推定には役立たずなのだろう。

しかし、2003年のJCOでは相反する報告
Journal of Clinical Oncology, Vol 21, Issue 7 (April), 2003: 1285-1292 )もある。
非小細胞肺癌への放射線治療あるいは化学療法の効果判定と予後の関連を
CTとPETで比較した論文だがではPETの方がより予後を予想できた。

by otowelt | 2009-01-11 19:28 | 肺癌・その他腫瘍

真菌関連喘息におけるイトラコナゾールの有用性


Ⅰ型アレルギー検査のために使用可能な皮膚テスト用真菌アレルゲンとして、
屋外空中飛散真菌として主要な菌種であるCladosporium、Alternaria、
Aspergillus、 Penicillium、Candidaの5種が広く臨床に使われている。
また、血中IgE 抗体測定が可能なアレルゲンとしては、これらに加えて
Malassezia(Pityrosporum), Mucor 等数種類がある。
近年、屋内環境中の真菌もアレルゲンとして重要であることが認識されており、
この論文では真菌感染がアレルゲンと思われる患者において、
抗真菌薬が喘息を改善させるかどうかをみたものである。

Randomized Controlled Trial of Oral Antifungal Treatment for Severe Asthma with Fungal Sensitization: The Fungal Asthma Sensitization Trial (FAST) Study. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2009; 179: 11-18.

皮膚テストあるいはRASTにおいて、
 Aspergillus fumigatus
 Cladosporium herbarum
 Penicillium chrysogenum (notatum)
 Candida albicans
 Trichophyton mentagrophytes
 Alternaria alternata
 Botrytis cinerea

のいずれか1種に陽性のステロイド依存性喘息に対して抗真菌剤の効果を検討した。

治療薬は、2 armで
oral itraconazole (200 mg twice daily) or placebo for 32 weeks
の比較検討。

結果として、抗真菌剤投与群の喘息症状は有意に改善した。

真菌に関係する喘息といえば、ABPAであるが
これ以外でははっきりとしたエビデンスはまだ存在しない。
この論文もそれをすっ飛ばして、治療の観点から入っているので
実際のところこの皮膚テストやRASTが陽性だからといって
抗真菌薬をホイホイと投与することはどうなのだろう・・・・

by otowelt | 2009-01-11 15:18 | 感染症全般

COPDにボセンタンは無効


e0156318_23504610.jpgA randomised, controlled trial of bosentan in severe COPD.Eur Respir J. 2008 Sep;32(3):619-28.

ボセンタン(トラクリア)は、肺動脈性肺高血圧(PAH)の
重症患者に適応があるのはご存知の通り。
COPDの二次性肺高血圧症は、運動時に悪化する。
トラクリアで肺高血圧を伴うCOPDの
ADLを改善できるかという論文。

結果として6MW(6分間歩行試験)で改善なく、
肺機能、肺動脈圧、最大酸素摂取量なども改善なし。
結果として何の有意差もなかった・・・・。

まぁ、もともと肺がぶっこわれてるわけだから
トラクリアでどーのこーのっていうのは無茶な話であって。
当たり前ですね。

by otowelt | 2009-01-08 23:55 | びまん性肺疾患

うつ病とサルコイドーシス


サルコイドーシスの患者さんって何か特徴的な気がする・・・・。
これは呼吸器内科医であれば誰しもが感じたことと思う。

実は意外に報告は多いことが知られている。
Examining the Link between Sarcoidosis and Depression
Am. J. Respir. Crit. Care Med., Volume 163, Number 2, February 2001, 306-308

Depression in Sarcoidosis
Am. J. Respir. Crit. Care Med., Volume 163, Number 2, February 2001, 329-334



2008年の論文でも論じられているが、
うつに限らずDSM-Ⅳの様々な観点から論じられている。

Quality of life, anxiety and depression in Sarcoidosis
General Hospital Psychiatry 2008; 30(5): 441-445


サルコイドーシスの44%は、DSM-IVの少なくとも1つ以上の診断基準にあてはまる。
大うつ病性障害25%、パニック障害6.3%、双極性障害6.3%、
全般性不安障害5%といった結果であった。

結論として、サルコイドーシスは精神疾患の合併が多いということがいえる。

by otowelt | 2009-01-08 23:40 | サルコイドーシス

ICUの全死亡率に対するMRSA菌血症の寄与


ICUとMRSAは切っても切れない関係。

ICUなどのMRSA感染症のリスクの高い領域では、入院患者の保菌率と
感染症患者の発生率に相関があり、保菌検査は一定の意義を持つ。
(改訂された標準予防策、インフェクションコントロール、2004;13:520-522.)

保菌率が上昇している場合、感染対策を実行する。


Contribution of acquired meticillin-resistant Staphylococcus aureus bacteraemia to overall mortality in a general intensive care unit.
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 223-227


上記論文では、MRSA菌血症発生率はICU在室期間の延長に従って上昇し、
25日以上ICUに在室した198例の死亡率37.9%に対するMRSA菌血症の寄与は
3.1%(95%CI 1.1~5.7%)と推定された。
長期在室している患者の初期のMRSA保菌予防の重要性が考察されている。

by otowelt | 2009-01-08 23:17 | 感染症全般