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HIV検査に同意書は必要か


結論は「同意は必要」だが、「同意書は必要ではない」

某メーリングリストで話題になっていたので、
個人的に忘れないようにするためにも、記載しておく。

●CDCの勧告(2006年9月22日版MMWR55(RR14);1-17)
***************************************************
・すべての医療機関において、13才から64才の全患者に対して
 HIVスクリーニング検査を実施する。
・事前に本人がHIV検査が実施されることを知り
 理解していなければならない。(緊急時を除く)
・「口頭または文書によって」本人が断らない限りHIV検査が
 実施されることを説明する。一般的な医療行為に関する説明と同意の範囲でOK。
・本人に対して質問の機会・検査辞退の機会を与える。
・検査の同意は「一般の診療行為に関する同意」に含めて取得し
 「独立したHIV検査同意書は使用しない」
・本人が辞退した旨を医療記録に記載する。
・医療機関におけるHIV検査には予防相談を含めるべきではない。
 (いわゆるカウンセリングは行わない)
***************************************************

by otowelt | 2009-03-31 01:38 | 感染症全般

Mycobacterium xenopiの治療と予後について

e0156318_1314469.jpgMycobacterium xenopiは、1959年に南アフリカの
カエル(Xenopus laevis)から発見された。
この抗酸菌は、発育がおそいとされている。
Mycobacterium xenopiのアウトブレイクは
汚染水と関連しており、院内でも水回りが重要である。
Mycobacterium xenopiは、配水管設備で形成される
バイオフィルムと相互作用があり、
自由生活性Acanthamoeba属に寄生する。

Thoraxより、Mycobacterium xenopiについての論文。

Mycobacterium xenopi pulmonary infections: a multicentric retrospective study of 136 cases in north-east France.
Thorax 2009; 64: 291-296.


背景:
 低い頻度だが、Mycobacterium xenopiの肺感染症は起こりうる。
 レトロスペクティブにこれらの予後について考察した。
 
方法:
 M xenopi に感染(1997年ATS/IDSA criteriaに合致したもの)した患者を
 有する13病院を北フランスで検索。臨床的、画像的、細菌学的な予後について考察。

結果:
 136人の患者が登録。12人だけが合併症を持たない患者であった。
 3種類の疾患群にわけられる、すなわち
 (1)古典的な空洞を肺に有するもの(n = 39, 31%)
 (2)孤立陰影で免疫不全がないもの(n = 41, 33%)
 (3)急性の陰影で免疫不全を有するもの(n = 45, 36%)
 56人がいかなる治療も受けなかった。
 一方80人の患者が1st-lineでリファマイシン(87.5%)、エサンブトール(75%)、
 イソニアジド(66.2%)、クラリスロマイシン(30%)、フルオロキノロン(21%)を使用。
 36ヶ月フォローで、80人(69.1%)が死亡。median survivalは16ヶ月であった。
 独立予後因子として、急性浸潤影は予後不良(HR2.6, p = 0.001)であった。
 またリファマイシンを含むレジメンは防御に効果を発揮したと思われる。
 (HR 0.325, p = 0.006)
 クラリスロマイシンを含むレジメンは予後を改善しなかった。

結論:
 近年のガイドラインとは相反して、この研究によれば
 陰影のタイプによって予後が異なることがわかった。
 予後をよくするためには、Mycobacterium xenopi感染は
 リファマイシンを含むレジメンで治療されるべきであると考えられる。
 クラリスロマイシンについては再評価が必要である。

by otowelt | 2009-03-30 06:13 | 抗酸菌感染症

オタワ膝関節ルールは小児にも有用

e0156318_9555836.jpg
救命センターで当直していた頃、
足関節のレントゲン撮影はオタワルールでおこなえと教わった。
しかし実際やっている人は、そんなにいない。






●オタワ膝関節ルール
--------------------------------------------------------------------------------
以下のいずれかがあれば膝正面・側面・膝蓋骨軸写を撮影
--------------------------------------------------------------------------------
1.55歳以上
2.膝蓋骨圧痛のみ
3.90度以上曲げられない。
4.外側骨頭に圧痛
5.4歩以上歩けない。
--------------------------------------------------------------------------------


●オタワ足関節ルール
--------------------------------------------------------------------------------
1.外果(腓骨)先端より6cmまでの後方(上方)に圧痛あり
2.内果(脛骨)先端より6cmまでの後方(上方)に圧痛あり
3.第5中足骨基部に圧痛あり
4.舟状骨に圧痛あり
5.受傷直後および来院時に4歩以上歩けない
--------------------------------------------------------------------------------
1.2.のいずれかがあれば足関節のX線2方向(正面・側面)オーダー
3.4.のいずれかがあれば足のX線2方向(正面・斜位)オーダー
5.があれば足関節と足のX線を2方向ずつオーダー
--------------------------------------------------------------------------------
48時間以内であれば感度99.6%



今週のEMJより、The Ottawa knee rule (OKR)についての論文。
小児に適応できるかどうかを検討したもの。

背景:
 OKRは不要なレントゲン撮影を減らすツールとなりうる。
 しかしながら、小児にこれが適応できるかどうかはわかっていない。

目的:
 OKRがよりよい感度と特異度をもっているかを検討するため。

方法:
 過去の英語文献より検討。
 Medline (1950 to date)
 EMBASE (1974 to date)
 CINAHL (1982 to date)
 the Cochrane Library
 Google Scholar (←これも入るんだ(笑))
 小児に対してOKRを使用検討した症例をピックアップ。

結果:
 4つの信頼できるスタディがピックアップされた。
 3つはメタアナリシスで、1130人の小児を含む。ただし、5歳以上。
 陰性尤度比は0.07 (95% CI 0.02 to 0.29)で、
 陽性尤度比は1.94 (95% CI 1.60 to 2.36)、
 感度99% (CI 94.4 to 99.8)、特異度46% (CI 43.0 to 49.1)。
 レントゲン撮影を減らすことができたのは、30~40%にのぼった。

結論:
 OKRは高い感度と適度な特異度でもって5歳以上の小児に適応される。
 しかしながら、5歳以下には有用でない。

by otowelt | 2009-03-29 06:34 | 救急

抗癌剤による味覚障害の治療

e0156318_13121514.jpg
亜鉛欠乏症でプロマックは長野県だけ
保険が通っているとかどうとか
耳にしたことがあるが・・・

名古屋で2009年3月20日、3月21日に開かれた
第7回日本臨床腫瘍学会学術集会のポスターセッションで、
大阪府立病院機構大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター
から抗癌剤における味覚障害の治療について発表があった。

目的:
 化学療法中の味覚障害の発生頻度と血清亜鉛濃度の関連性
 胸部悪性腫瘍治療中の味覚障害に対するポラプレジンク口腔内崩壊錠
 75mg(商品名:プロマック錠)の効果をプロスペクティブに検討。

対象:
 胸部悪性腫瘍で治療中の患者57人(男39人、女18、年齢中央値65.6歳)。
 疾患の内訳は肺癌55人、悪性胸膜中皮腫2人。
 PSは 0~1が43人、2が14人であった。

方法:  
 味覚障害の調査は、問診・アンケート調査・口腔内観察で実施。
 有害事象共通用語基準(CTCAE)で評価し、
 グレード1(味覚に変化はあるが食事に影響はしない)以上を味覚障害ありとした。
 グレード1以上と判断された患者はポラプレジンクを1日2回1カ月間内服し、
 グレードが1以上改善するか、味覚障害が消失したものを有効とした。
 血清亜鉛は化学療法施行前と、味覚障害未出現例は3カ月の観察期間終了後、
 味覚障害出現例はポラプレジンク内服開始前と1カ月間の内服終了後に測定。

結果:
 味覚障害は13人に認められ、口内炎の1人と合わせて14人がポラプレジンクを内服。
 味覚障害の症状としては「苦味」「味の喪失」「塩味」などの順に多く認められた。
 血清亜鉛値と味覚障害の関係については有意な相関はみられず、
 血清亜鉛値の平均は、登録時62.7μg/dl、味覚障害出現時66.0μg/dL、
 ポラプレジンク内服後67.0μg/dLで、有意差はなかった。

 味覚障害は、ドセタキセル(DOC、3人)、イリノテカン(CPT-11、3人)、
 ビノレルビン(VNR、2人)のレジメンの順に多かった。

 味覚障害の改善は、14人中13人でポラプラジンク内服後に認められた。

結論: 
 ポラプラジンク内服により、化学療法による味覚障害の改善がみられた。

考察:
 内服により唾液分泌が促進され、粘膜保護および味蕾発達が促進されたため?

by otowelt | 2009-03-26 05:03 | 肺癌・その他腫瘍

欧米でエルロチニブが適応申請

e0156318_21415197.jpg
2009年3月19日、進行非小細胞肺癌患者(NSCLC)で、
プラチナ抗癌剤の1st-line療法を受け、
進行しなかった患者を対象に、EGFR-TKIの
エルロチニブ(タルセバ)をメンテナンスに利用することを
求めた適応拡大申請を、アメリカでOSI社、
スイスHoffmann-La Roche社が行ったと発表した。

明らかに2008年11月のSATURN試験の結果を受けたもの。
詳細はまだ報告されていないが・・・・
SATURN試験は新しい試験だが、エルロチニブ(タルセバ)の臨床試験
としては、TRUST試験とBR21試験はおさえておきたいところ。
BR21→TRUSTという流れをくんでいる。


●SATURN試験
 3B~4のNSCLCで、少なくとも4サイクルのプラチナ製剤による
 初回治療の後、進行していない患者を対象に、メンテナンスとして
 エルロチニブ(タルセバ)、あるいはプラセボを投与した。
 889人が登録し、プライマリエンドポイントはPFS。
 このPFSで有意差が出ている。
 春頃に報告される予定。

●TRUST試験 phase4
 TRUST試験は、ステージ3B/4の非小細胞肺癌患者で、
 化学療法や放射線療法が無効あるいは不適切だった患者を対象とし、
 エルロチニブ1日150mgを病気進行または強い毒性が現れるまで投与した。
 2008年2月27日までに分析が可能だった6809人の年齢中央値は63歳、
 男性が61%を占めた。腺癌が55%、扁平上皮癌は24%、大細胞癌は6%。
 現在喫煙習慣のある人および過去に喫煙経験のある人(以下、喫煙者)が69%、
 非喫煙者は全体の31%だった。
 奏効率が最も高かったのは「女性・非喫煙者・非扁平上皮癌」のグループ(1216人)
 で27%、最も低かったのは「女性・喫煙者・扁平上皮癌」(162人)の4%であり、
 「奏効率は非喫煙者・非扁平上皮癌で高く、喫煙者・扁平上皮癌で低い傾向がある」。
 PFS中央値は全体では14.3週(6807人)、サブグループでは
 「女性・非喫煙者・非扁平上皮癌」のグループ(1364人)が最も長く30週、
 続いて「男性・非喫煙者・非扁平上皮癌」(510人)が25.3週、
 「男性・喫煙者・扁平上皮癌」(1205人)が12.4週で、
 「男性・喫煙者・非扁平上皮癌」(2292人)が11.9週、
 「女性・喫煙者・扁平上皮癌」(204人)が10.3週、
 最も短かったのは「男性・非喫煙者・扁平上皮癌」(101人)の10.1週だった。

●BR.21試験 phase3 (N Engl J Med 2005; 353:1739-1741,)
 ファーストラインまたはセカンドラインでの化学療法施行後に
 増悪が見られたNSCLC731名が参加し、エルロチニブ単剤と
 プラセボとを比較。
 エルロチニブ群における生存期間中央値は6.7ヶ月で、
 プラセボ群では4.7ヶ月だった。1年経過時点で、
 エルロチニブ群では31%、プラセボ群では22%が生存。

by otowelt | 2009-03-25 06:01 | 肺癌・その他腫瘍

気管支鏡のリスクを詳しく説明することは不安リスク上昇

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そりゃそーだろ、という論文。
これはどういう意図で発表されたのか…?

Randomised controlled trial of the effect of standard and detailed risk disclosure prior to bronchoscopy on peri-procedure anxiety and satisfaction. Thorax 2009;64:224-227

背景:
 気管支鏡にはリスクがつきものだが、
 このリスクを詳しく説明した場合と、
 シンプルに説明した場合で
 不安や満足度に違いが出るかを研究する。

方法:
 100mm不安ビジュアルアナログスケール(VAS)および
 改訂アムステルダム術前不安スケール(APAIS)が主な評価ツールである。
 気管支鏡のあとには、さらに満足度のアンケートもおこなわれた。

結果:
 142人の患者のうち、122人(86%)がスタディを完遂した。
 (平均年齢57.8歳、53%が男性)
 よりリスクを詳しく説明された場合、シンプルな場合においてより不安度が増した。
 それはVASでもAPAISでも同様であった。
 VAS (平均14.0(95%CI 10.1-17.9) vs 平均2.5(95%CI 1.4-6.4), p<0.001)
 APAIS (1.73 (95%CI 1.19-2.26) vs 0.57 (95%CI 0.05-1.10), p<0.001)
 詳しくリスクを説明された患者は、詳しすぎる説明に
 気管支鏡に対する不安が強くなった。

結論: 
 より詳しい気管支鏡のリスクの説明によって、患者の不安が強くなる。

by otowelt | 2009-03-25 02:56 | 気管支鏡

イマチニブ1日400mg服用した患者の98%で、GIST術後1年間の再発がみられなかった

e0156318_16244393.jpg
グリベック。
STI571、メシル酸イマチニブ。
私が医師国家試験を受けた時には
分子標的薬といえばコレだった。

この分子標的薬が消化管間質腫瘍(GIST)術後
の再発リスクを大幅に抑制することがわかった。

●GISTとは
 消化管間質腫瘍(GIST)は、通常は消化管から発生する軟部肉腫
 と呼ばれる粘膜下腫瘍の一種であり、もっとも多い発生部位は胃、
 ついで小腸。EUでは推定で年間5,000例以上が新規に発症するとされ、
 そのうち約95%がKIT陽性である。外科切除後の再発までの期間は約2年。
 KITはCD117としても知られており、変異すると、GIST発症の主因の
 1つになることが確認されている蛋白質である。
 イマチニブ(グリベック)はKITを含む数種のタンパクの活性を阻害する。

Adjuvant imatinib mesylate after resection of localised, primary gastrointestinal stromal tumour: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. The Lancet. Published online March 19, 2009. Accessed March 2009.

デザイン:
 アメリカとカナダで行われた二重盲検・無作為化・多施設協同の試験

方法:
 GIST(最低でも3cm以上)の切除がなされ、KIT陽性の症例をeligibleとした。
 外科切除の手術を受けたGIST患者713名を対象とし、1年間
 イマチニブ400mg/日の投与を受けた群(n=359)または
 プラセボ投与群(n=354)のGIST患者の無再発生存率(RFS)をITT解析。

結果:
 平均フォローアップ期間は19.7か月。
 術後1年間の無再発生存率は、プラセボ群の患者の約83%に対し、
 イマチニブ投与群の患者では98%であった(P<0.0001)。
 アジュバントのイマチニブは忍容性もあり、
 有害事象としては皮膚炎が最もよくみられ、(11 [3%] vs 0)
 次いで腹痛(12 [3%] vs 6 [1%])、下痢(10 [2%] vs 5[1%])など。

結論:
 イマチニブ1日400mg服用した患者の98%で、
 GIST術後1年間の再発がみられなかった。

by otowelt | 2009-03-24 05:21 | 肺癌・その他腫瘍

抗癌剤投与なく転移性乳癌で死亡する患者は多い

e0156318_1652455.jpg
乳癌が肺転移した患者さんも何人か受け持って
いるのだが、若いのに結構ステージが
進んでしまっているケースをよくみかける。
やはりできる場所がデリケートな
部位だからか・・・???

ついこの間も33歳の乳癌の
患者さんを天国へ見送った。
全身に転移し、塩酸モルヒネの
タイトレーションをおこなう
時間すら与えられず、非常にシビアな最期を迎えた。

oncologyから以下の論文。
化学療法を受けることなく、亡くなっていく
乳癌の患者さんが意外に多かったという報告。
おそらく日本でも同様の数字だと思う。

Systemic therapy of metastatic breast cancer:the truth beyond the clinical trials.
Oncology 2009;76:247-253.


目的:
 転移性乳癌のコホート研究における緩和療法の経過を追う。

方法:
 1990年から2006年までに乳癌の遠隔転移が診断され
 最終的にこれにより死亡した242例の患者の治療法と経過を比較。
 乳癌の転移が診断された年代により患者を2群にわけた。
 A群:1998~2006年
 B群:1990~1997年

結果:
 一般的な治療の種類および治療の回数は2群で有意な差はなかった
 全身療法なし:A群12.9% VS B群13.7%、p=0.848
 ホルモン療法単独:A群20.4% VS B群25.2%、p=0.430
 化学療法単独:A群18.4% VS B群16.9%、p=0.735
 ホルモン療法/化学療法/trastuzumabを含む順次併用療法:
     A群46.9% VS B群44.2%、p=0.694
 治療回数中央値:2回
 
 化学療法が投与された症例における治療回数は高齢と若年で差はなし。
 (中央値2回、≧70歳 VS <70歳;p=0.269)
 転移性乳癌特異的生存期間は1990~1997年の16か月に対し
 1998~2006年では21か月に延長していた(p=0.062)。

結論:
 どのような抗癌剤の投与も受けることなく転移性乳癌で死亡した
 患者数は10%以上と予想外に多い。
 化学療法は高齢患者にも実施可能な治療法と考えられる。

by otowelt | 2009-03-23 16:51 | 肺癌・その他腫瘍

CMVワクチンは先天性CMV感染を減らす

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サイトメガロウイルスは母親の胎盤を
介して胎児に移行し、新生児に
精神遅滞や難聴を引き起こす。
このような先天性サイトメガロウイルス
感染は、ダウン症に次いで2番目に
精神遅滞の原因となっている。



TORCH 症候群のひとつとして広く知られている先天性CMV感染症は
日本人では90%を超える成人が抗体を保有していたため
問題にならなかった。近年、日本人の若年層の抗体保有率の低下が
指摘され、妊婦の抗体保有率も80 %程度へ減少傾向を示している。
特に若年妊婦の抗体保有率の低下は著しい。
妊婦のCMV初感染の殆どは不顕性感染であり、症状が認められる
場合でも発熱、発疹などの非特異的な症状を呈するのみであり、
感染に気づかれないことも多い。
妊婦のCMV 初感染では再感染に比較して、胎児・新生児期は
子宮内胎児発育遅延、肝脾腫、出血斑、脳内石灰化、側脳室拡大、
網脈絡膜炎、黄疸などの重篤な症状を起こすことが多いとの報告があり、
周産期におけるCMV感染の管理は重要性を増す。
 J Med Virol 1992;326:663-667

NEJMから、サイトメガロウイルスワクチンについてのレポート。
予防接種後3年半で50%感染リスクを減らした。
母体感染防止は非常に難しいだろうと思われているため、
このNEJMの論文は驚くべき結果だと思う。

Vaccine Prevention of Maternal Cytomegalovirus Infection.
NEJM March 19, 2009, Volume 360:1191-1199


背景:
 先天性のサイトメガロウイルス感染症は聴力、認知能力、運動の
 側面で新生児にとっては大きな問題となる。
 これを予防するワクチンについて吟味。

方法:
 これはプラセボ対照無作為化二重盲検の第II相試験である。
 遺伝子組換えCMVワクチンをプラセボと比較したものである。
 CMVワクチンあるいはプラセボを生後0ヶ月、1ヶ月、6ヶ月に投与した。
 対象はCMVが血清学的に陰性である妊婦。(1年以内の出生をしていない人に限る)
 感染はウイルス培養あるいは免疫ボトルで行われた。
 プライマリエンドポイントは、CMV感染が同定されるまでの期間とした。

結果:
 40才以下で出産歴がありCMVに感染していない464人の女性を登録した。
 ランダムに234人のCMVワクチンを受けた患者と230人のプラセボワクチンを
 受けた患者に分けた。最低1年以上のフォローアップをおこない、49のCMV感染を
 確認した。18がワクチングループで、31人がプラセボグループだった。
 Kaplan–Meier曲線は、明らかにCMVワクチン群で42ヶ月フォローでの感染率が
 有意に低かった。(P=0.02)
 ワクチンのefficacyは50%であった。(95%CI, 7 to 73)
 また、局所反応や全身反応はワクチン群で多かった。

結論:
 CMVグリコプロテインBワクチンは先天性CMV感染を減らすことができる。

by otowelt | 2009-03-22 22:31 | 感染症全般

PS不良NSCLC/EGFR+群にゲフィチニブは有用


イレッサに関する興味深い論文がJCOから発表されていた。
ここでまずイレッサに関する復習から。

●INTEREST試験 2nd-line イレッサ=DOC
1~2レジメンの化学療法(少なくとも1つは白金製剤を含むレジメン)を受けた
後、進行もしくは再発した、局所進行、転移性NSCLC患者を対象に行われた。
患者は無作為にゲフィチニブを1日当たり250mg投与する群と、3週間おきに
ドセタキセル75mg/m2を静脈内投与する群に割り付けられた。
24カ国149施設で1466人の患者が登録され、ゲフィチニブ群は733人、
ドセタキセル群も733人となった。1466人のうち323人がアジア人だった。
試験の結果、全生存期間の中央値は、ゲフィチニブ群が7.6カ月に対して
ドセタキセル群が8.0カ月、1年生存率はゲフィチニブ群が32%で
ドセタキセル群が34%だった。全生存期間の評価対象はゲフィチニブ群が
723人、ドセタキセル群が710人で、イベント数はゲフィチニブ群が593、
ドセタキセル群が576だった。HRは1.020(96%CI 0.905-1.150)で、
ゲフィチニブがドセタキセルに非劣性であることが明らかとなった。

●IPASS試験 1st-line EGFR+ イレッサ>カルパク
IPASS試験は、アジア人の化学療法治療歴のない進行
非小細胞肺癌(NSCLC)患者で、組織型は腺癌、かつ喫煙歴がないか
軽度の喫煙歴(10pack yaer以下で少なくとも15年以上禁煙している)が
ある患者が対象になっている。日本人は233人参加しており、
ゲフィチニブ群114例、カルボプラチン/パクリタキセル(PC)群は119例。
試験の結果、ゲフィチニブはPCに対して優れていることが明らかとなった
(HR0.741、95%CI:0.651-0.845、p<0.0001)。
ただし、無増悪生存について、最初の6カ月間はPC群の方が上回っており、
次の16カ月はゲフィチニブ群が上回ったという結果だった。
EGFR変異の有無でサブ解析を行った結果では、EGFR変異陽性群で
HR0.48(95%CI:0.36-0.64、p<0.0001)でゲフィチニブ群が
有意にPFSを延長し、EGFR変異陰性群ではHR2.85
(95%CI:2.05-3.98、p<0.0001)でPC群の方が有意にPFSを延長した。


First-Line Gefitinib for Patients With Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer Harboring Epidermal Growth Factor Receptor Mutations Without Indication for Chemotherapy.JCO Mar 2009: 1394–1400.

North East Japan Study Groupa:東北大学からの論文。
PSが悪いEGFR mutationポジティブの症例に イレッサを投与するというもの。

目的:
 このmulticenter phase II studyは、進行NSCLCのEGFR mutationが
 ポジティブの 症例に対して、化学療法が適応とならないようなPS不良の
 患者に対して、どのような効果と安全性があるかを調べた試験である。

患者および方法:
 化学療法ナイーヴで、PS不良(20~74歳でPS 3~4, 75~79歳でPS 2~4,
 80歳以上でPS 1~4)のEGFR mutationがポジティブの症例。
 この患者群にgefitinib (250 mg/d)単剤で治療を開始した。

結果:
 2006年2月から2007年5月までに、30人の患者が登録された。
 うち22人はPS3~4だった。
 RRは66% (90% CI, 51% to 80%)であり、DCRは90%だった。
 PSの改善は79%にみられた (P < .00005)。median PFSは6.5ヶ月、
 median 生存期間は17.9ヶ月、1年生存率は63%であった。
 治療関連死亡はみられなかった。

結論:
 EGFR mutationポジティブのPS不良症例における
 イレッサの効果を示した初めての論文である。
 こういった生命予後の悪い患者におけるスタンダードの治療はBSCしかなく、
 このイレッサの試験は今後のPS不良群における治療に一石を投じるであろう。

by otowelt | 2009-03-22 13:44 | 肺癌・その他腫瘍